大火で実家の工務店「大留」が焼け、両親を亡くした若棟梁・茂次は、「どんなに時代が変わっても人に大切なものは、人情と意地だぜ」という父の言葉を胸に再建を誓う。
そこにお手伝いのりつ、行き場のない子供達が転がり込んできて……
ひげもじゃ若棟梁の崖っぷち人生はじまりはじまり。
山本周五郎の小説「ちいさこべ」を望月ミネタロウの解釈で漫画化した作品です。
原作の舞台は江戸です。この作品は舞台を現代に置き換えて描かれています。
主人公の茂次(しげじ)は父親である棟梁留造(とめぞう)からの教えである人情と意地そして大留工務店を守ろうと奮闘する物語です。
漫画的表現がほとんどなく人物の感情を表現しています。その感情表現が画から伝わりコマの中の人物たちがイキイキしているように見えて面白いです。
大規模な火災が起こり両親と大留工務店の建物を失ってしまいます。
茂次は家業の工務店を継ごうとしていて若棟梁として頑張っています。鎌倉に来ていて東京には戻らず泊りで仕事をしていると大留工務店周辺が火事で焼けたという連絡が入ります。悪いことにその火事に茂次の両親である棟梁留造と女将も巻き込まれてしまったというのです。
職人の一人大(まさる)が東京の様子を見てくると言い、茂次は現場で仕事を続けます。
茂次は途方に暮れます。両親を失い火事によって作業員が負傷し工務店が焼けてなくなりこれからどうすべきか問題が山積みだからです。
大が戻ってきます。大は東京の状況を説明し、屋敷に作業員を世話する人を雇ったと言います。住み込みで雇ったのはりつという女の子だと言います。
茂次はりつを幼い頃に覚えがあると言います。
大はりつが家政婦として食事や身の回りの世話を引き受けたいと言うので雇ったと言います。
茂次はわかったと返事します。
大はただひとつ問題があるのだと言います。りつが火事で燃えてしまった福祉施設の子供達の面倒を見ていてその子供達を屋敷に連れてきたのだと言います。
茂次は東京に帰ったらりつと話してみると言います。
茂次は東京に戻ります。りつと顔を合わせます。
留造の弟子で独立した横浜と呼ばれる人物がやって来て、茂次に協力を申し出ます。
茂次は協力を断ります。
翌朝、茂次は騒がしい物音で目覚めりつが連れて来たという子供5人と対面します。りつを呼び話しをしようと言うとりつが朝ご飯の後でと言うので茂次はジョギングに出かけます。火事の被害を目撃し、信用金庫の支店長の娘福田ゆうこに会います。
茂次はジョギングを終え屋敷に戻ると子供達5人と鉢合わせします。会話ができないとわかりりつを呼び話しをします。
りつは茂次に子供達を屋敷に置いてほしいとお願いします。
茂次は役所に頼むしかないと言います。
りつは福祉施設か役所の人間が来るまでは待ってほしいと言います。
茂次は了承します。
茂次は仕事の手順を決めるのに忙しい日々を送ります。大留工務店の事務員が資金の話をすると、なんとかすると応えます。
大がなんとかっていったいどうするのかと訊きます。
茂次はそんな心配はお前達がすることじゃないと言いかけた時、横浜が顔を出します。
横浜は力になりたいともう一度言います。
茂次は断ります。
大は茂次を諫めようとします。
しかし茂次は職人たちに自分たちの力だけで大留工務店を立て直すと宣言します。
横浜はあきれた様子で帰っていきます。
茂次は材木問屋に出かけ、社長に土地を抵当に入れて木材と金を調達しようと交渉します。
社長は茂次の条件を受け入れます。
福祉課の職員がやって来ます。
信用金庫の支店長福田もやって来ます。
職員も福田も子供達をここに置いておくわけにはいかないと言います。
りつはなんとか子供達を置いてほしいとお願いをします。
職員はりつに何か資格を持っているかと訊きます。
りつは何も持っていないと応えます。
福田ゆうこが部屋に入って来て、保育士と幼稚園教論の資格を持っているから手伝いたいと申し出ます。
職員たちはそういうことなら短い期間という条件で許可すると言います。
茂次とりつと子供達のやりとりが描かれます。
子供達は茂次に負けたくないのか、どこで仕入れたのかわからない大人が使う言葉で茂次に反発します。
りつは子供達を屋敷に置いてくれたことで茂次にお礼を言います。
ゆうこが屋敷に出入りします。
りつはゆうこが自分に出来ないことで子供達と接しているのを見て敵わないとやや落ち込んでいます。
事務員が茂次に金の工面の催促をします。
茂次は分かっていると言い昼食をとったら現場から姿を消します。
大は茂次が行きそうな場所に見当がついていて、そこへ行くと茂次が立っているのを見つけます。
茂次は大に「ちいさこべ」って知ってるかと訊きます。
ちいさこべえ 1巻
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青空文庫 山本周五郎 ちいさこべ
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