2017年3月30日木曜日
あだち充 スローステップ 4巻
山桜と千香ちゃんの連携が面白いです。
カリフォルニアからお転婆な女の子、門松の妹が須藤麻里亜に会うためにやって来ることになり、もう一度美夏は須藤麻里亜に変装するはめになります。
美夏と麻里亜が同一人物だということを知らない礼子の言いたい放題加減が楽しいです。
余韻を残す終り方はいろいろ想像させてくれます。
美夏のみた夢が本当に起こるのなら、高校を卒業してどういうきっかけがあって美夏は決断するのでしょうね。
2017年3月28日火曜日
あだち充 スローステップ 3巻
門松のまっすぐ過ぎる気持ちが分かりつつ、のらりくらりとはぐらかそうとしますが、思ってもみない危機が訪れます。
山桜の娘千香ちゃんに美夏のヒミツがバレてしまいます。
ヒミツを握った千香ちゃんは子供らしい(?)脅迫をし始めます。
門松は少し疑いを持ち始めたのか、美夏が写った写真にマジックでメガネと髪を描き足します。描いてみると当然そっくりで、門松は驚いてしまいます。
しかし結果、美夏と須藤麻里亜がよく似ていることを発見するだけで納得してしまいます。
鈍感すぎて笑ってしまう場面です。
その後、それでもやはり似ていることがひっかかるようで、美夏が試合中に麻里亜に会おうとしてみたり、麻里亜と会っているときに美夏の家に電話してみたりと探りを入れますが、たまたま偶然間一髪で逃れることができます。
ここのやりとりが好きです。
話は変わり、山桜、千香、美夏、麻里亜、習、門松で海に行くことになります。
美夏は何度も変身し、ふたり分の食事をし、門松に後ろめたい気持ちに抱きつつもヒミツは守られるのでした。
海でヒミツを死守した美夏ですが、とうとうバレてしまいます。
千香ちゃんがポロッと話してしまい、習、門松、そして山桜のみつどもえ戦がようやく、ようやく訪れます。
美夏は誰を選ぶのか、それとも…。面白い青春コメディーです。
2017年3月26日日曜日
あだち充 スローステップ 2巻
条星学園と練習試合を行なうことになり、習の対戦相手は門松直人の予定で当日逃げないようにと部長が中里美夏に誓約書にサインしてくれないかと持ちかけます。
内容は、
「わたくし中里美夏は秋葉習が門松直人に勝った場合キスを贈ることを誓います」
というものでした。
絶対に習が勝つことはない、あくまで大きな相手から逃げずに全力で闘ってほしいからと説得され、美夏はサインに応じます。
その話を聞いたソフトボール部顧問兼、ボクシング部コーチの山桜は慌てます。
習へのコーチぶりがおかしいです。
でも相手はあの門松直人。
重傷のノイローゼにでもならない限り間違いの起こる可能性はゼロだと余裕に表情です。
焦るのは美夏。
マンションのエレベーターで会った門松直人は大変な状態でした。
聞くと人探しをしていてどこを探しても見つからないといいます。
探している人は変装した美夏だったのです。
そりゃどこを探してもいるわけがないのですが、美夏としても習が門松に勝ってしまうなんてことがあると大変です。
憔悴する門松に練習試合が終わったら会わせてあげると約束します。
習にも山桜にも門松にも同一人物だとバレない美夏。声だって同じなのになんで気づかない?という展開が面白いです。
2017年3月24日金曜日
あだち充 スローステップ 1巻
麻丘高校ソフトボール部・中里美夏、さっぱりした気性の美少女エースだ。しかも、お父さんはプロレスラー。そして美夏をめぐる3人の男。クラスメートの秋葉習、高校ボクシング界の新星・角松直人、ソフト部監督の山桜監悟。恋する男の意地とせつなさをのせて青空をさわやかな風が吹き抜けるあだち充の青春コメディー!
どこに向かうんだ?と不安になる展開で、中里美夏、秋葉習のクラス1-Aの担任は、
「辛抱そしてつき合いこれが大切なのです。温かい目で見守りそしてひとつでもいいところを発見してあげる、人が生きて行く上で忘れてはならないことですよ」
と、美夏は、
「これソフトボールまんがだったわよね」
と言い、ゆっくりのんびりと話が進んで行きます。
ある事情で美夏が変装して出掛けるところから話に面白くなります。
終りのほうで練習試合ですがソフトボールの試合も描かれています。
男としてみてもらえない秋葉習、いろんなところが抜けている角松直人、教師なのに教え子に好意を持つ困ったソフトボール部の監督の山桜監悟。
美夏は恋愛する気さえまったくないようなのでタイトル通りゆっくりとした足取りで展開していくようです。
この速度が好きな作品です。
2017年3月22日水曜日
あだち充 QあんどA 4巻
厚も遊歩も参加する陸上部夏合宿になぜか久まで飛び入り参加!?さらに合宿先は忍の祖母が営む民宿!?あだちワールドのお約束満載!陣野たちのスケベな罠も全開!そして、遊歩のファーストキスの相手とは!?あだち充が描くちょっぴりせつない兄弟の絆の物語、第4巻!!
練習に部員が全員集まっているはずなのに、厚がいなかったことに一番に気がついたり、一晩孤島でふたりっきりで過ごす厚と大内忍を心配(?)して眠れなかったり、気にかけていない態度をとりつつもやっぱり厚と忍のことが気になっていたり、小さいころ町内子供会の海水浴で溺れたときのとぎれとぎれの記憶をあえて確認したりする遊歩。大内忍のことで厚と張り合う小笠原一郎なんかより、キューちゃんがどうして厚のそばにいるのかより、ずっと気になってしまいました。
2017年3月20日月曜日
あだち充 QあんどA 3巻
地縛霊の兄・久の幽霊に高校生活をひっかき回されている。弟・厚だったが、さらに足をケガして入院することに。幼なじみの前沢遊歩と、厚に想いを寄せる美少女・大内忍もお見舞いに現れて…?さらに遊歩の兄・耕世の小説家への道がついに開ける!?
奇妙な三角関係が始まりそうです。小笠原一郎の薄い存在感、陣野のキャラ。なんかかわいそうになってきました。
2017年3月18日土曜日
あだち充 QあんどA 2巻
6年前に事故で亡くなったはずの兄が地縛霊になって弟と再会!?やんちゃな兄・久の幽霊に高校生活をひっかき回されている弟・厚だったが、さらに厚のことを「初恋の人」と呼ぶ女の子大内忍の出現で……春の嵐の予感!?
思考や行動や姿は小学生のままのキューちゃん。
6年の月日が流れて、心配されていたのが心配することになったり、意志とは裏腹に望んでいない関係が築かれていったり、助けに来てくれると安心しきっているのに肝心なところが抜けていたり、兄の知らない弟の一面があったり。
厚の生活にキューちゃんが関わりいろいろ描かれています。
もしこんなに普通に話せたら、どんななんだろうと想像させてくれます。
2017年3月16日木曜日
あだち充 QあんどA 1巻
高校入学直前、父親の転勤で6年ぶりに生まれ故郷に帰ってきた庵堂厚。その街は、6年前にたった一人の兄を事故で失った街。そして気になる同い年の女の子・前沢遊歩の暮らす街でもあった。そんな厚の前に現れたのは、死んだはずの兄・庵堂久の幽霊!!?とんでもない再会を果たした庵堂兄弟の運命は…!?あだち充が久々に描くちょっぴりせつない兄弟の絆の物語、ここに開幕!!
クロスゲーム5巻の、
「幽霊でもいいから会いたい人がいるんですよ」
といった青葉のセリフを思い出させる設定です。
成仏できずに両親と厚が戻ってくるのを待っていた久(通称キューちゃん)。
別に驚きもしなければ、怖がりもせず冷静に状況を把握する厚。
6年ぶりにこんなかたちとはいえ、再会できたのはやっぱりうれしかったのだと思います。
だけど、キューちゃんは小学六年生のままの姿。厚は高校一年生。行動と思考のあまりの違いが笑いを誘います。
キューちゃんとの思い出がたくさん詰まった街に戻ってきたのは6年ぶりなのに、親しかった人たちはキューちゃんとそのあとをくっついて歩いていた厚を覚えていて、誰の記憶の中にもまだキューちゃんが生きているのがあだち作品のその後の人たちを描いているようでちょっと嬉しいです。
あだち充の過去の作品、スローステップ、いつも美空に負けないくらいゆったりしたテンポで庵堂兄弟の高校生活が描かれています。
2017年3月14日火曜日
あだち充 ショートプログラム
読後にそれからのストーリーを想像してみたり、自分の記憶と重ねてみたりする短編が多く収録されています。
●近況
あの時のあの記憶、出来事。
どうして自分にこんな話をするんだろうという疑問、ちょっとした言葉の意図することがずいぶん後になってわかることってあります。
●交差点前
誤解されそうな状況になったら、迷わず話しかけなくてはいけません。
たとえ相手との距離が近くなって凶暴な兄がいることがわかっても。。。
乗り越えなくてはいけない壁がいくつもある話でした。
●ショートプログラム
こわい、ひたすらコワいです。
たまたまタイミングよく現れる人が好青年とは限りません。
おしゃべりでツメが甘過ぎるという抜けたところがある人物であったことがなによりだと思いました。
●テイクオフ
読んでいて鈍いなと思う反面、同じようにこんな気持ちには気づけないだろうなと思います。
●チェンジ
憧れていた女性。やたらちょっかいを出してくる少年だと思っていたのが女の子で女性の妹だったという話。
最後の、「考えさせてくれ」の台詞はズルいです。
●プラス1
真似したいとは思わないけど、とてもいいな思う短編です。
●むらさき
自分に感心なんてあるわけがない。
けど意識して上手くしゃべれない、自分の想いに気づいてほしいな思っている気がない異性だとしゃべれるというシャイな女の子。
意中の人も自分と同じ方向を見てたことがわかる嬉しさ、葉書を読んだ次の日から小宮榛名は村崎純一にどう接するのかと想像するのが楽しいです。
●なにがなんだか 前編・後編
文通に書かれた文字のかたち、文章から想像する相手の顔や声。会いたいような、それとも会わないほうがいいのか。
文章から始まるやりとりは想像が膨らみます。
会ってよかったけど、会ってしまったために入試が。。。オチも面白かったです。
2017年3月12日日曜日
あだち充 じんべえ
こんな歳の離れたおやじ、こんな子供が男として女として対象になれるはずがないと互いに遠慮しているところがありつつ、ものすごく相手の動向を気にし合っている距離感が絶妙です。
美久の最後の女の大勝負は本当にいい終わり方でした。
喪失感でいっぱいのじんべえ(高梨陣平)の前に立つ美久。
勝つか負けるかわからない不安なまま勇気を出す美久、美久の想いが理解できたときのじんべえ、それぞれの気持ちを想像すると、よかった、本当によかった、と体が幸福感で満たされたような気持ちになりました。
2017年3月10日金曜日
いくえみ綾 爛爛
初めてできた友だちがとってもキケンな人物かもしれないと阻止するために頑張るあずき、ちまき、有平の三人が面白かったです。
ここは野々花町一丁目。何がおきてもおかしくないの。いくえみ綾の新境地!双子姉妹が繰り広げる摩訶不思議な物語
双子姉妹の“あずき”と“ちまき”は中学2年生だが、とある事情で、あずきは他人に触れず、ちまきは帽子を脱げず、ふたりとも学校へは通っていなかった。いとのこ有平だけが気の置けない友だちだったけど、ある日、隣に有平と同い年の男の子・州浜琥珀が引っ越してきたことで摩訶不思議な物語の幕が開けた!
豪華フルカラーショートストーリー・「今日はまっすぐ帰らない」を同時収録!
秘密を打ち明けてもいつも上手くいかなかったのに、琥珀は難なく受け入れてくれたという意外さは14年生きてきたあずきとちまきにとってこれまでになかった事件で嬉しいことだっただろうな。
一方で、有平は琥珀が一気に双子との距離を縮めたことで喜哀のまじった複雑な気持ちを抱いてしまいます。
この有平の何かふっと抜け落ちたような気持ち、よくわかります。
元気なちまき、立ち向かおうとする勇気のある普段は冷静なあずき、おっちょこちょいでいいヤツな有平、なにか含みのある感じを抱かせる琥珀が織りなすふつうじゃない話が面白かったです。
いくえみ綾 爛爛
(アマゾンのサイトに移動します)
2017年3月8日水曜日
冬目景 ACONY アコニー 3巻
最終巻です。
不思議さはなくなりコメディーになって、空木基海(ウツキモトミ)、アコニー、アコニーのパパとママ、樒(しきみ)、巳園さん、姫ちゃん、ラリーさん、カエルさん(沼田青左衛門)といったこれまでのキャラが総動員し、しきみ野アパートでドタバタが繰り広げられます。
母親の行方とアコニーの秘密が明かされます。
だけど、秘密にはほとんど関心がなくなってしまい、しきみ野アパート内で起こる出来事が面白かったです。
冬目景 ACONY 3巻
(アマゾンのサイトに移動します)
2017年3月6日月曜日
冬目景 ACONY アコニー 2巻
アコニーが空木基海(ウツキモトミ)と出会ってから、年上だという割にどんどん好奇心旺盛な見た目相応の少女になってきています。
アコニーの感情の起伏が読んでいて楽しいです。
昭和初期に建てられて、そこで時間が止まっているアパートで起こる不思議な出来事と、そこに住む人間ではない住人たちの生活が描かれています。
外部から何か不振な侵入者があるとまるで生きているように、部屋が移動し出口が見当たらない迷路のようになるアパート。
不審者を捕獲しようとするアコニーと基海はなぜか虫取り網を持って捜索します。
物の怪に免疫がついてきて慌てることのない基海だけど、虫取り網で捕まえられるの?とアコニーに聞いてみて欲しかったです。
迷い込んだ物の怪はこのアパートに入って恐怖しかなかっただろうな。
森の精霊、樒(しきみ)のオチが強がっていただけというのがおかしかったです。
カエル侍も花見も笑いました。
アコニーの秘密に関係する母親の行方がすこしだけ明らかになりますが、そこのところはどうでもよくなってきて、アパートの敷地内で起こる不思議をずっと読んでいたいです。
冬目景 ACONY 2巻
(アマゾンのサイトに移動します)
2017年3月4日土曜日
冬目景 ACONY アコニー 1巻
父は一年以上連絡がなく、母は仕事で海外赴任することになり、空木基海(ウツキモトミ)は祖父の住む昭和初期頃に竣工し、築八十年以上の古いアパートに越すことになりました。
元々は三棟あったけど、基海の住むアパートを残してとり壊されてしまいました。アパートがただひとつ取り壊されず残ったのには事情があるようです。
モトミの隣に住む同じ年の女の子アコニー・ランチェスターは言います。
「このアパート自体が壊されるのを嫌がっているから」
どうやらアパートにもここに住む住人にもなにか秘密のようなものがあるようです。
緊張すると消えてしまう管理人。
「わたしは眠らないし、食べないし、歳もとらないのよ、だってもう死んでるんだもの」
というアコニー。
不思議さいっぱいで話がすすみます。
冬目景 ACONY 1巻
(アマゾンのサイトに移動します)
2017年3月2日木曜日
みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 11巻
安政2年(1855年)12月。
土佐では坂本竜馬の父直足(なおたり・八平)が、江戸では北辰一刀流の開祖千葉周作が没。
真剣に学問に取り組む竜馬、乙女の結婚と続き、藩から武市と竜馬がともに剣術修行で一年間の江戸留学が許され東上します。
以蔵が武市に一緒に連れて行ってほしいと望むが、
「道場を守れ、こんな事を任せられる男は土佐中にお前しかおらん」
あきらめさせられます。
その後の、
「今度わしの手足として役に立つ!!」
との武市の台詞。
この頃からすでに自分の手足となる捨て駒を探し始めていたのかなと思えるエピソードでした。
異人に対する考え方の違う竜馬と武市。竜馬のぼんやりと考えるこの国のかたちなどが描かれています。
江戸では千葉道場に世話になる竜馬。
それが気に入らないさな子。
さな子につきまとう人物として桂小五郎が登場します。
ハリスと幕府との交渉。この場で使われている言語がオランダ語なんだとはじめて知りました。
アメリカが日本語を学んで日本にやって来たとは思えないし、素朴な疑問が解決しました。
幕府側が使っているオランダ語が300年も前のオランダ語だったのには驚きました。
ハリスとの交渉中にロシア船がやってきて、対応に大忙しの幕府。
外国船の出入りで行われる礼砲は、庶民にとって何のことだかわからず、攘夷志士にとっては苛立ちそのものだっただろうなと思います。
村田蔵六。
台場の配置を批判し、顔面蒼白で鳩居堂を訪れた伊藤雋吉にとんでもない提案を実行するよう助言します。
川路聖謨が鳩居堂の村田蔵六を訪れ、蔵六は小川町蕃所調所の総裁大久保忠寛に会いにいき、蕃所調所の兵学書の翻訳を引き受けます。
この蕃所調所には、箕作阮甫、杉田成卿、手塚良仙、川元幸民、東条英庵、原田敬策、手塚律蔵といった有名人がいたという説明があります。
村田蔵六はじめ、こういう人物がいたんだと驚くばかりです。
大坂適塾の福沢諭吉、長崎の勝麟太郎(勝海舟)と中島三郎助のいさかい、将軍徳川家定と篤姫(天璋院)、薩摩藩士島津斉彬と阿部正弘の外様大名の慶喜擁立の工作などが描かれています。
見所は、アロー戦争です。欧米列強、ロシアのすさまじい力技。清国の内外の問題。洪秀全の太平天国を利用し、ぶっ潰す様子。
弱いところは徹底的に潰す帝国主義の正義が味わえました。
●その他登場した人物
大石円、さな子、桂小五郎、ヒュースケン、ポシェット、リムスキー・コルサコフ、フハビウス、緒方洪庵、ハリー・パークス、咸豊帝、ニコライ・ムラヴィヨフ=アムールスキー、吉田松陰、西郷隆盛
みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 11巻
(アマゾンのサイトに移動します)