2020年3月4日水曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 2巻

ハクの故郷に身を隠すつもりが、火の部族の襲撃があり、ヨナはハクを伴って風牙(フウガ)の都を出る決意をします。

ムンドク長老から教えられた風の地のどこかにいるという神官を探す旅に出ます。

神官はヨナをどのように導いていくのか楽しみです。




追手を警戒しつつ山中を歩き、ハクの故郷で風の部族の風牙(フウガ)の都に到着します。

門番の見張りは気持ちよさそうに昼寝をしています。ハクに蹴りを入れられ、慌てる見張りのテウとヘンデはハクだと気がつくと再会をゆるく喜びます。

門をくぐると風の部族の民がハクが戻ったと聞きつけ集まります。

ハクは人々の様子から緋龍城の状況がここには届いておらず、城からの追っ手もいないことがわかり警戒を解きます。

風の部族は人々はハクに連れられたヨナに興味津々です。

民に囲まれたヨナは気を失い、倒れてしまいます。

ハクはヨナを抱きかかえ、

「すぐに寝床と食事の用意を」

と門で見張りをしていたヘンデという少年に指示します。

ヘンデはハク(若長)が女性に優しくしているところを見るのは初めてみたいで、少し驚きつつ指示に従います。

ハクはムンドク長老の行方を尋ねます。

ヘンデは長老は緋龍城にいるとこたえます。急に城から五部族招集令があったと言うのです。ハクが緋龍城にいるからムンドク長老が呼ばれたのでおかしいなと思ったと言います。



高華王国王都「空都」緋龍城に招集された五部族、地、水、火、風の将軍たちに国王が崩御されたと知らせが入ります。

空の将軍はスウォンとすでに手を組んでいるようで、スウォンとともに地、水、火、風の将軍の前に現れます。

スウォンは一刻も早く我々五部族が力を合わせ高華王国を他国に侵されない強国にしなくてはと主張します。

水、地の将軍はスウォンに賛同し、火の将軍は新王が必要だといいます。

スウォンの側近はスウォンが王になることを主張し、火、水、地の将軍はこれを認めます。

風の部族ムンドクだけは、

「眠い」

と席を立ちます。

スウォンの側近はスウォンを王に承認しないなら、風の部族はハクが行方不明だということも加え、謀叛の疑いがかかると圧力をかけます。

ムンドクは無言で目でスウォンの側近を威圧します。

するとスウォンは張り詰めた空気を和ますように柔らかい口調でムンドクにどうしたら王として認めたくれるのか尋ねます。

ムンドクはスウォンとヨナが婚礼を挙げて正式に高華の王となれば認めると言います。

スウォンは3日後新王即位式を行うので必ず来るよう、風牙の都の民のためにもとムンドクに迫ります。脅迫し

ムンドクはスウォンに、悲しい、ハク同様孫のように思っていた言い緋龍城を去ります。


五部族の将軍が招集された会議は仕組まれたものでした。



風牙の都では、ヨナの意識が戻ります。

服は新しいものに取り替えられ、食事の用意がされてあります。

ヨナは温かい食べ物を口に運びます。自然に涙が頬を伝います。

隣でヨナの様子を伺っていたのか、テヨンという少年が泣いているヨナに話しかけます。

みんなヨナが何者なのか気になるようでテヨンが代表してヨナにハクとの関係を訊ねます。

テヨンがハクの友達かと訊くとヨナは長い沈黙のあと、

「…………たぶん」

と応えます。

部屋の外では他にも様子を伺っている者がいます。

門番をしていたテウとヘンデです。

2人はハクがヨナの友達だと思っていたのに、ヨナが「たぶん」と応えたので、ハクを不憫に思い号泣しています。

テウとヘンデの様子をハクは見ていて、ヨナに、

「あんたの名は『リナ』 城の見習い女官ということになっている 俺もここでは女官として扱う いいな?」

と話を合わせるように言います。

テヨンはヨナに城でのハクの様子を尋ねます。

ヨナの返答が面白いです。


テヨンがしゃべり、テウとヘンデが笑います。その賑やかな雰囲気にヨナは少し口元をほころばせます。


風の部族の民はハクにヨナを城の女官だと聞かされているから、さっそくヨナに洗濯の仕事をいいつけます。

ヨナの側には常に隠れてハクが見守っているようで大量の洗濯物を受け持ち川まで一緒に向かいます。

洗濯する場所に到着すると川の水が枯れているのを発見します。


枯れた川を見たハクはヘンデに川上の様子を調べてくるよう命じます。そして、水を調達する算段を始めます。

ハクがぶつぶつとあれこれ考えていると、どこかから、

「長老だ ムンドク長老が帰ってきたーっ」

と知らせが聞こえてきます。

ハクはヨナを連れ、急いでムンドクを迎えに行きます。

ハクはムンドクを見つけると、

「ジジィー」

と叫びます。

ハクの声を聞き取ったムンドクは声の方向を見ます。

ムンドクはハクの前に立つヨナを見つけ、駆け寄り抱きしめます。ヨナの無事を確認して安堵します。

続いてムンドクはハクに抱擁を求めます。

ハクは全力でムンドクを拒絶します。


干上がった川の上流を調べに行ったヘンデが戻ります。ヘンデは負傷しています。

ヘンデは川の上流には火の部族が集まっていて、彼らが水をせき止めていることをつきとめます。

ムンドクは火の部族と聞いて、緋龍城での五部族招集令を思い起こします。

風の部族の民は火の部族の怒り、ハクに川の上流に行く許可を求めます。

ムンドクは、

「……待て 火の部族に手を出してはならん」

と皆を制止するよう命じます。

ムンドクはスウォンがこの国の王に即位することを承認するための火の部族の警告だと言います。

ヨナは父を殺したスウォンが高華王国の王になることは受け入れられません。

ヨナの様子にムンドクは、

「姫様 大丈夫じゃ 承認はせん」

と安心させます。


川上では火の部族のカン・テジュンが風の部族の様子を探っています。

さらに風の部族を追いつめようと水の調達を困難にさせるため定期的にやって来る商団を潰すよう配下に命じます。

命じられた部下はカン・テジュンに勝手に行動するのはよくないと進言します。

テジュンはそれでも商団を襲撃するよう命じます。


夜になり、風の部族風牙の都に今日来るはずの商団が何者かに襲われたとの知らせが入ります。

風の部族の民は動揺します。

ハクが風の部族長として皆に落ち着くよう命じます。


皆が寝静まるのを待って、ハクはムンドクの元を訪れます。

ハクはムンドクにスウォンの新王即位を承認するよう頼みます。

そして、ハクは明朝にも風牙の都を去ると言います。

ムンドクはヨナを置いて行くのかと訊ねます。

ハクはヨナを風の部族の民として生かしてほしいと言います。

ムンドクはハクの要求を受け入れます。


風の部族は火の部族に襲われた商団を風牙の都まで運び、負傷した人々の手当てを行います。

ヨナは襲われた商団の傷を負った人たちを見て火の部族に、スウォンに怒りを感じます。

この人たちを巻き込んではいけない。

ヨナは覚悟を決めます。

ヨナはハクを探し出し、一緒に風牙の都を出ようと言います。

ハクはヨナについて行く決意をします。


火の部族ではカン・テジュンが勝手に商団を襲ったことで父である将軍に𠮟責されます。

テジュンの側近はヨナ姫が風牙の都付近にいたという情報を得て、テジュンはヨナ姫を捕えるため動きます。


ヨナとハクが風牙の都を出て北山に向かったという情報を頼りに、カン・テジュンは二人の捜索をします。

風牙の都を出たヨナとハクはムンドクから教わった神官を探すため北山にいます。

ヨナは神官からこれからどうすべきか道を示してもうらおうとしています。

北山のどこかにいるはずの神官に会うため、手がかりもなく山の中を探すつもりのようです。

火の部族がヨナとハクを発見します。

襲いかかる火の部族に対し、ハクは一太刀で複数の兵を次々とやっつけていきます。

テジュンはヨナを捕えようとします。

隠れていたヨナはハクを狙う弓兵をみつけ、兵士に体当たりします。

兵士は崖から落ちてハクは助かります。

テジュンは出てきたヨナに話をします。雰囲気が変わったヨナに戸惑います。

ヨナは力強くまっすぐテジュンを見つめ、真実を知りながらスウォンに加担するテジュンを責めます。

テジュンはヨナの迫力に押されてしまいます。

一方、ハクは疲れで動きが鈍くなり、身体中に傷を負い、さらに深い傷を受け崖から落ちそうになります。

ヨナは懸命にハクを救おうとします。

非力なためヨナとハクは谷の底に落ちてしまいます。

火の部族の兵士は高さと言い、人が踏み入れない場所であるので助かる見込みはないと判断します。

テジュンはヨナの生存を確認できないまま、緋龍城のスウォンにヨナの報告をします。

テジュンの報告を受けたスウォンはショックを受けます。


谷の底では少年が気を失ったヨナとハクを見つけます。



緋龍城では即位式が執り行われます。

ムンドクがスウォンに一言言うと、スウォンは力強く高華王国を再生させると宣言します。

ムンドクはスウォンの幼い頃の姿思い浮かべながら、もうあの頃のスウォンには会えないのかと、自問自答します。



ユンという少年に助けられたヨナは意識が戻ると、ハクを探します。

ハクは全身傷だらけでまだ意識が戻りません。

ヨナとユンが会話していると、イスクという男が現れます。

イスクは涙を流し、ヨナに、

「ほん…とに…つらかったですね…」

と言い、

「よく旅立ちの決意をされた ましてやヨナ姫ともあろうお方が…」

と言い、ヨナを驚かせます。

ヨナと話すイスクは、ヨナとハクが探していた神官だったのです。


風の地のどこかにおられると言われた神官様は衣服を泥んこにしたちょっと抜けている人物でした。

続きます。




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