2022年6月28日火曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 31巻

ヨナはユンと四龍を守るため望まないかたちで緋龍城に帰還します。

国中を見て来て、流れついた次の地が緋龍城です。

緋龍城に戻ったことで、ヨナ、ハク、ユン、四龍に何が起こるのか、もしくは起こすのか、楽しみです。




ジェハの背に乗ってヨナがユンと四龍たちのもとに帰ってきます。

ジェハはヨナを降ろすとハクを迎えに行きます。


ハクは捕らえたゴビ神官をヴォルドに引き渡します。そして、迎えに来たジェハの背に乗ってみんなのところに戻ります。



千州軍との戦いは高華国が勝利します。

イン・クエルボ率いるトゥーリ族は北方へ撤退し、不戦条約を反故にしたリ・ハザラは投獄されます。

高華国は千州を完全に制圧し、国土はイル王の時代の倍になります。



ヨナはハクに助けられる直前、炎と煙でのどを傷めてしまい声が出せません。

テジュンがケイシュクからのどに効く薬をもらってきます。

ハクが飲まない方がいいと言おうとする前にヨナはためらいもせず一気に薬を喉を流し込みます。

苦い薬なのか、薬ではないのか、ヨナは苦しそうな表情を見せます。

ハクは慌てて、ユンを呼びに行こうとします。ヨナはハクを引き留め、か細く掠れた声で、

「ハ… ハク きこえる? わたし ハクが好き こえを はやく だしたくて きこえた? やっといえた」

と微笑んでいます。

ハクは聞きたかった言葉なのに、ヨナの口から聞くとうまく反応できません。

ハクはヨナに対して悟りを開いているので感情が表情に出ません。ものすごく冷静に受け止めます。



翌日、ヨナはテジュンに彩火には戻らないと言います。ユンはどうしているのかと聞くと、テジュンの側近のフクチが空の部族の医療部隊にいると言います。

ユンは、自分の知らない治療法や薬があり、親切にいろいろ教えてもらえるのでしばらくここで医術を学びたいと言います。

ヨナにとって空の部族は思い出したくない記憶を呼び起こすのであまり近くにいたくないと思っています。

ジュド将軍が空の部族の医療部隊にユンがいるので、警戒していると、ケイシュク参謀が自分が許可したと言います。

ヨナがすぐにここを去ると言うと、ケイシュクがユンに緋龍城に戻るのでそこで医療を学ぶかと言います。

ユンは断ります。

ケイシュクは緋龍城の書庫には最新の医学書が揃っているとユンの意欲を刺激します。

ヨナがケイシュクに狙いを尋ねます。

ケイシュクは手を組みませんかと提案します。

ヨナはユン、四龍、ハクと話し合い緋龍城に行くことを決めます。



ヨナの失踪、イル王の死は千州の仕業、今回の戦で捕らえられていたヨナを救い出せたと国中に知らせます。

緋龍城の城下町を着飾ったヨナが通ります。民衆はヨナ姫が無事だったことを喜び、ヨナの赤い髪と緋龍王とを重ね興奮しています。


緋龍城に到着します。ゼノ以外の四龍キジャ、シンア、ジェハ、そしてユンは初めてです。

ゼノはどれくらいぶりに緋龍城に入ったのでしょう。何か思うところがあるような表情です。

キジャは心が安らぐといい、ジェハは体が軽くなった気がすると言います。


ケイシュクは四龍の四人のみスウォンのところに連れて行きます。

ヨナは用意された部屋へ案内され、ハクとユンは兵士の監視がつきヨナとは別に用意された部屋へ案内されているようです。


ケイシュクはスウォンが待っている広間に四龍を連れて行きます。

スウォンはケイシュクに独断でヨナ達を緋龍城に連れて来た事にやや不満を感じているような言い方をします。

ケイシュクは正しい判断だと主張し、祭りを催し、武術大会で四龍をお披露目しようと言います。

話を聞いていたジェハは見世物にする気かと言います。

シンアはゼノは戦えないと言います。ケイシュクが反論すると、スウォンが興味を示します。

それを見たゼノは自身の能力を明かします。

スウォンはケイシュクが提案した祭りを了承するため四龍を煽り、うまく乗せて参加させようとし、見事に成功します。人の心をくすぐるのが上手です。

話は終わり、四龍も部屋に案内されます。ヨナともハクとも別の部屋を用意されます。


ヨナが案内されたのは、自分が使っていた部屋です。城から去ったあの日からずいぶんたつのに綺麗な状態を保っています。イル王の側仕えのミンスが現れ、時々掃除していたと告げます。ミンスはヨナの世話を命じられ、そして、四龍が祭りの催しでお披露目が行われると言います。



四龍のお披露目の武術大会は国中から人が王都に集まります。

四龍の対戦相手は部族の将軍です。二試合同時に行われ、キジャはジュド将軍と、ジェハはグンテ将軍と対戦します。その後、シンアとゼノが対戦する予定のようです。

武術大会の会場は観客でいっぱいです。

二つの闘技台ではジュド将軍とグンテ将軍が呼びだされた後、キジャとジェハが呼びだされます。

審判の開始の合図を待たず、キジャが全力でジュドを攻めます。攻撃の激しさにジュドは八百長とはいえすんなり負けてしまっては将軍の名が廃ると、反撃せねばと思い始めます。

隣の闘技台では、ジェハがグンテに、

「僕は阿波で海賊をやってたんだ グンテ将軍は阿波でも大人気だったよ」

と話しかけます。グンテは、

「ほう そうかお前が阿波の海賊… 今 阿波はすげえ活気づいてるぞ 水産業も盛んだし」

と返します。

ジェハがこの催しの狙いをわかっているので、グンテはそれなりに戦っているフリをします。


ハクは二つの試合を観ています。

グンテの戦いを見て、手を抜いているのがわかり、武人であるジュドとグンテが己の誇りを脇に置いてでもスウォンに従う姿に呆れています。たとえ、イル王が出来なかったことをスウォンがやってのけたのだとしても許せない気持ちは消えません。ヨナや四龍を都合のいい駒として扱っているように見えて怒りがこみ上げてきています。




なぜヨナはケイシュクの提案を受け入れたのでしょう。

ケイシュクと空の部族がヨナ、四龍を追いつめたら、風の部族、火の部族が黙っていないし、なんなら水の部族の一部もヨナに味方すると思います。

せっかくまとまった五つの部族を割ってまでやることではないし、今後の予定も狂うだろうから、ヨナが言うような追手を差し向けるなんていう事態にはならない気がします。

他人をいらだたせる才能を持つケイシュクは国が強くなれば、中枢から去る考えがある人物なのでしょうか。

スウォンはケイシュクについてどう考えているんだろう。

スウォンはユホンが描いていた理想をどう思っているんだろう。

スウォンの心の内はいずれ描かれるのでしょうか。それはヨナやハクが納得できることになるのでしょうか。

続きます。





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2022年6月24日金曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 30巻

ハクがひたすら格好よかったです。
最前線で誰よりも戦い、的確な命令をして、総大将に深手を負わせる姿を見て、火の部族の兵士が信頼しない理由がありません。



千州軍との戦い。高華国は劣勢だったが巻き返し徐々に優勢となります。
イン・クエルボが前線にやって来ます。
ハクは自分に向かってくる兵士をことごとく斬り倒し限界間近の状態です。そこに、
「よお お前がハクか?」
と声をかけられます。
敵の兵士は彼をクエルボ様と呼びます。
テジュンがハクに、
「ハク! そいつは敵の総大将だ」
と知らせます。
クエルボの、
「四龍とあの女は俺が貰う」
という声に、限界だったハクは気力を取り戻します。
ハクとクエルボの一騎打ちです。
ハクがクエルボの腹を斬り勝負がつきます。
クエルボは味方に運ばれ退却します。
ハクはクエルボを追おうとします。しかし空の部族の兵士に止められます。
ユンが四龍のおかげで解放され、ハクのもとにやって来て、ヨナや四龍の状況について説明します。
無事だと知り安心したのかユンに身体を預け目を閉じます。


リ・ハザラの城ではゴビ神官がヨナとユーランに接触します。
ゴビはユーランに取引を持ち掛けます。
ユーランは即座に拒絶します。
ゴビは黒装束の刺客を呼び力ずくでヨナをさらおうとします。
ヨナとユーランは逃げます。ヨナは逃げつつ一人ずつ刺客を倒していきます。


クエルボが退却し、戦場にいた四龍も千州軍に監視されながら、リ・ハザラの城に移動します。
ジェハが千州軍の兵士に話しかけると、その兵士は千州軍の軍服を着たアルギラとヴォルドでした。
アルギラとヴォルドはハクに頼まれて、ヨナと四龍を助けに来たと言います。
ジェハはこの戦を短時間で終わらせるためにヴォルドに協力を求めます。


ジェハとヴォルドはリ・ハザラに会いに行きます。
ジェハはハザラに嘘で追い込み、助かる道があるから受け入れるか? 受け入れるなら四龍がこの都を守ると約束します。

高華国軍は門の前まで集まっています。ジュド将軍は兵士に門を破るよう命令します。

千州軍の兵士はクエルボに、
「せ… 千都の門に 白旗が上がっています…!?」
と言います。リ・ハザラ軍の兵士は戦いを放棄しているとの報告も入ります。

ジェハが門から降りてきて、
「千州… リ・ハザラは降伏を宣言した 今からこの門を開ける ただ この都の民や無抵抗の兵に害を為すなら 僕らが阻止する」
と高華国軍の兵士に言います。
空の部族の兵士は反発します。ジェハは、
「大切な人が囚われているんだ そこは僕らも譲れない」
と言います。ジェハの言葉に火の部族の兵士達からは、
「ヨナ姫…」
「ヨナ姫が…」
という声が漏れて聞こえてきます。
後方から、
「その話俺も参加していいか?」
ハクとユンがやって来ます。
火の部族の兵士が振り返り声の人物がハクだと分かると、
「ハク隊長」
「ハク隊長ぉぉ」
「ご無事で」
「良かった」
「あなたがいなければ我々はどうなっていた事か…!」
ハクを慕う者でいっぱいです。その様子をジュド将軍が見ています。ハクの存在が火の部族の中で大きくなっていることに危機を感じます。

ハクは、
「この都で無抵抗の者には手を出さないと四龍を信じて言う通りにしてくれ」
と言うと、
「我々は貴方に命を救われました」
「貴方の命に従います」
と火の部族の兵士達は言います。
門をくぐりヨナを捜索し始めます。


クエルボは部下とともに移動しています。部下の一人が撤退を提案します。
高華国軍が城に迫ります。
ハクとジェハが兵士を倒していると角笛が聞こえてきます。角笛はイン・クエルボ率いるトゥーリ族の撤退の合図です。兵は一気に退却を始めます。


ヨナが外が騒がしいのに気づきます。
ヨナは足に鎖が繋がれて自由にならないので、ユーランは一人でクエルボを探しに行きます。
ユーランはゴビに見つかり、ゴビから現在の状況を知らされます。ゴビはヨナを渡せと言います。
刺客がユーランを斬りかかろうとすると、矢が飛んできて刺客の一人が倒れます。ヨナがユーランを追いかけてきて放ったのでした。
しかし、ヨナは刺客に捕えられてしまいます。


高華国軍はヨナを探し出せません。
ハクは周囲を見回していると、一人の兵士に目がとまります。
ハクが呼び止めると高華国空の部族の軍服を着たイン・クエルボでした。

クエルボの案内でヨナがいるはずの部屋に向かいます。
途中でユーランを見つけます。
ユーランはヨナがゴビ神官に連れ去られたと言います。
ハクはユーランが言った場所に走り出します。

ヴォルドとアルギラは単独でヨナを探しています。
アルギラがヨナを見つけます。
ゴビも一緒です。
ヨナを抱えた刺客はヴォルドがやっつけます。
ヨナは足を痛めてしまい動けません。
ゴビはヨナに四龍を呼べと言います。
しかし、ヨナは意識が途切れてしまいます。


ヨナは意識が戻るとハクに抱きかかえられていて、逢えたことで涙がこぼれます。
ジェハがハクとヨナを見つけます。
続きます。





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2022年6月4日土曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 29巻

草凪みずほ 暁のヨナ 29巻

ゼノは長年の経験があるから危険を察知する能力がずば抜けていてもいいはずなのにと思います。

ケイシュクという人物が好きになれません。




オギはヨナ、ユン、ジェハ、ゼノを彩火城の外に連れ出します。

仲間のカンジが人質に取られていて逆らうことができません。

城から大分離れてからジェハが罠だと気づきます。気づいたときには黒い外套を着た集団に囲まれてしまいます。

ジェハは、ヨナを逃がすため戦おうとしますが、身体が思うように動かず仕留めることができません。

ゼノが黒い外套を着た集団に飛び込んで、隙を作ろうとします。しかし、敵はユンに剣を突きつけて、ヨナたちを動けないようにします。

オギがユンは関係ないと言おうすると、腹部を剣で切られてしまいます。

敵はヨナとユンと四龍を戒帝国に連れて行くと告げます。



キジャとシンアがジェハとゼノの気配が遠いことに気がつきます。

テジュンが作戦会議の場にやって来てハクに、

「ヨナ姫が城内にいらっしゃらない!」

と言います。

ハク達は城の外を探すと、負傷したオギを見つけます。

オギと仲間のカンジを見つけ、事情を聞きます。

カンジは、

「黒い外套を纏ったヤバい集団がオギを斬ったんだ 赤い髪の少女と四龍って奴らを連れ去った…」

と言います。

ハクは懸命にヨナ達を探します。しかし見つけられませんでした。


夜になり、ハク、キジャ、シンア、キョウガはケイシュク参謀に会い、ヨナ姫と四龍の内2人が何者かに連れ去られてしまった、おそらく、戒帝国の人間だと言います。

ハクはヨナを探しに千州に行くと言うとケイシュクが止めます。



ヨナ達はリ・ハザラの城の牢に入れられています。

ジェハとゼノは鎖で繋がれています。

ゴビ神官とイン・クエルボがやって来ます。

ゴビは四龍の力をクエルボに見せるためヨナを剣で傷つけようとします。

ところがヨナはハクとの特訓の成果なのか、ジェハの影響なのか、ゴビの首元に蹴りを食らわします。ゴビの持っていた剣を取り、ゴビに突きつけます。続いてクエルボに剣を構え、

「私達を高華国に帰して」

と言います。

クエルボは剣先をマントで包み、その上から握り引っ張ります。簡単にヨナは身体を持って行かれ首を掴まれ、抑えつけられます。

すると、鎖につながれているジェハが鎖を千切ります。ジェハはイン・クエルボに殺気を漂わせて近づきます。

クエルボは待て、とヨナに剣を突きつけて言います。ゴビが言ったことは本当だとわかり、ヨナとジェハのみ外に連れ出します。


クエルボは四龍の力を見たいと、ジェハを兵士たちと戦わせます。

ジェハは挑んできた兵士を全員倒し、ヨナを見ると足に鎖がはめられていることに気がつきます。

クエルボはヨナを人質に残りの四龍を連れて来いといいます。

ジェハはヨナの肩に手を回してしゃべるクエルボに、

「君が簡単に触れていい相手じゃない 君はいずれ稲妻の獣に喉笛を喰いちぎられるだろうさ」

と言います。



彩火城では作戦会議が行われています。

敵の規模、援軍、説明を聞きながら、ハクはどうしたらクエルボの本境地に入りヨナ達を救えるか考えています。


オギの意識が戻ります。

カンジから知らせがあり、真国のヴォルドが見舞いにやって来ます。

アルギラも彩火城に来ていて、テジュンと再会します。

テジュンはヴォルドとアルギラにハクと会うように言います。

ヴォルドとアルギラはハクと会うと、ヨナ達をさらったのはゴビ神官の可能性が高く、一緒に戦うと言います。

戦力が足りなくて、苦悩していたハクは、二人に感謝します。

火の部族軍の兵士は負傷者が多く、前線で戦える戦力が足りません。

ハクは剣を持てる兵士には戦場における戦い方を教えます。

ジュド将軍が到着し、火の部族軍の兵士に教えているハクを見て、ケイシュクに不満をぶつけます。



クエルボは常にヨナを側に置き、リ・ハザラとの話し合いの場にも同席させます。

ヨナはリ・ハザラの消極的な態度を見逃しません。

クエルボはヨナに身の上を話します。なぜ四龍を欲するのか。ヨナに何を求めているのか。そういったことを話します。


翌日、戦が始まります。

ハクの部隊も進軍しています。部隊に紛れてキジャとシンアもハクに見つからないようについて行きます。

両軍が相対します。

ハクは自軍を見ると震えている者がいたり、全体の士気が上がっていないことに気がつきます。

戦意を高揚するため、自分を奮い立たせるため、大刀を空に掲げて、

「…俺は 火の部族の民じゃねえし かつて火の部族兵と闘った事もある だが あんたらが部族を守りたい想いは何よりも理解できるし 荒れ果てていた火の地が手をかけて漸く蘇ろうとしているのも知っている 俺はこの刃に誓う あいつらを絶対俺らの国に入れさせねぇってな!!」

と兵士たちに言います。

兵士達の士気は一気に上がります。


戦が始まります。

ハクは暴れています。

後方にいるキジャとシンアは左の方に何か感じます。

左はジュド将軍が指揮している部隊です。ジュドの部隊の兵士は次々にやれています。ジェハとゼノが千州の兵士として高華国の兵士を倒しています。

キジャとシンアはジェハとゼノと戦います。



ハクが冷静になり、キョウガの部隊が劣勢になると策を伝えます。この場面が一番面白かったです。

ハクがとった戦略は何気なく話したスウォンとの会話からのものでした。

ハクに最も影響を与えた人物は、ハクが最も許せない人物です。切ないです。

続きます。



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