好きだと気持ちを伝えたい女の子。
からかわれていると思い、隙を見せてはならないと構える男の子。
そんな二人が駅のホームのベンチで思いつくまま会話しているというお話です。
学校の最寄り駅「へいわ台」のホームのベンチで交わされる会話が男女の考え方の相違によって盛り上がったり、互いに主張したいことが対立してしまったりします。本音が誤解されたり会話にいろんな温度を感じたりしながらなかなか二人の距離が近づいていかないのが面白いです。
女の子は相沢のぞみと言います。美人で近寄りがたい存在のようで、相沢さんは他の生徒と距離があると感じています。
男の子は東司朗と言います。東くんは場の空気を読めず、相手を怒らせていますことが多いです。自分が原因で怒っているのはわかっていて、何故怒らせたかについてはまったくわからないようです。しかし、色んな人に絡まれ見方によっては人気者にも見えます。
●ep.1これから大切な話をします
東くんと相沢さんはへいわ台駅のホームのベンチに座っています。
東くんは読書をしています。
相沢さんは東くんに話しかけます。
しかし、会話のきっかけをつかめず、なんとか切り出したのは
「…… …… どうして男は…戦いが好きなの」
というものです。弟の漫画を読んで感じたことを隣に座る本を読む東くんに話しかけます。
東くんはは、
「…それを言ったら少女漫画だって似たようなものじゃないか」
と女の子が読む漫画についての疑問をぶつけかえします。
相沢さんは、
「それが少女漫画のいいところじゃない」
と理不尽な返答をします。
東くんは言葉が出ません。
相沢さんは、
「…なんて そんなことはどうでもいいんだけど…」
と自分が言い出したことはさておき、
「2年4組東司朗くん 私 あなたが好きです」
と急に告白をします。
東くんは驚いた様子で女の子を見ます。
女の子は真っ赤になった顔を手で覆っています。
東くんはからかわれていると思い、
「…2組の相沢さんだっけ」
と言うと、学校から駅までの間ずっと後ろから尾けられたことを、
「そういうのよくないよ」
と冷たく対応します。東くんは相沢さんの気持ちを伝えたかったということについても、
「いやそれもやめたほうがいい」
と持論を展開し始めます。
女性から告白することについての東くんの説明は相沢さんにとって全く理解できるものではありません。
相沢さんは東くんに気持ちを伝えることができてうれしかったのに、冷静に指摘され驚いてしまい謝ります。
相沢さんに謝られてしまうと、東くんはそれはそれで申し訳なく思い、続く言葉が出てきません。
相沢さんは告白をして、今後どうしていきたいかを言おうとしたその時、東くんのズボンの裾と靴下の隙間からのぞく素足、肌からまばらに生えているスネ毛を目撃してしまいます。
東くんは相沢さんが言いかけたことを聞こうとします。
しかし、相沢さんは東くんのスネ毛によって熱くなりすぎた気持ちを冷まされてしまい、告白のその先はお預けになってしまいます。
相沢さんは、用事を思い出したからとその場を立ち去ってしまいます。
東くんは相沢さんと交わした会話について考えてみても何がなんだかよくわかりません。
翌日、東くんは学校で相沢さんと目が合ったけど逸らされたので、駅でのことは全て忘れることにします。
●ep.2男と女の交差点
学校で目を合わそうともしない相沢さんは東くんに助けられて、また駅のホームのベンチで話しかけます。
東くんは相沢さんの行動が理解できず、冷静に応対します。
相沢さんは、
「…この間はごめんなさい 東くんの男らしい下半身を見て私ちょっとびっくりしたっていうか なんかどん引きしたっていうか……」
と理想と現実のギャップに耐え切れなくてと言います。
東くんはよくわからない、女は自分に甘いと興奮気味に語ります。男の気持ちと女の気持ちは絶対に理解し合えないと言います。
相沢さんはならどうして構ってくれるのかと訊ねます。
東くんはこちらから拒むのはもったいない、相沢との会話はあまりに自分と違ってなんだか面白いと言います。
相沢さんは、
「…東くん あのね 改めて私と友達に−−」
再度言おうとしたところ、駅を通過する急行が入ってきて風を巻き起こし、相沢さんのスカートがめくれてしまいます。
東くんは相沢さんの正面の位置にいます。
相沢さんは赤面して取り乱し、東くんが宥めて落ち着きます。
この日も相沢さんは思いを言えませんでした。
●ep.3女の不安は納豆のようにからむ
相沢さんは東くんがクラスメイトの女の子と話しているのを見かけてしまいます。
危機感が募り、焦り、慌てて気にして、やきもちを焼いてしまいます。
三度目の駅のホームのベンチでの会話です。
東くんは相沢さんに学校ではしゃべらないのに、駅ではよくしゃべるんだなと言います。
相沢さんはクラスの女子とすごく親しげで、交友関係が広いだねと言います。相沢さんの目には東くんは人気者に映っていて、いつも誰かとしゃべっているので話しかける勇気が出ません。
東くんは言わなくていいことをつい調子に乗って言ってしまいます。
会話が途切れてしまいます。
相沢さんは黙ってうつむいています。
一方東くんは黙ってうつむいている相沢さんを横目で感じて、
落ち込んでいる理由を探します。わからないので、考え抜いた結果ダジャレを言います。
相沢さんは怖ろしく冷たい目で東くんを見ます。
東くんは挫けず、何か悩みがあるなら相談に乗ると言います。相沢さんが、え? 、と言うと、元気がないように見えたからと言います。
相沢さんは東くんが気にかけてくれていると感じうれしくなります。そして、もっと親しくなりたいと言います。
東くんは、
「え? 僕 今 女子で一番仲いいのたぶん相沢さんだけど」
と言います。
それを聞いた相沢さんは嬉しくて震えています。
東くんはさらっと相沢さんが求めていることを言ってしまう
のに的を外してしまうこともあるので面白いです。
●ep.4相談男
相沢さんは調理実習で作ったクッキーを持って東くんが来るのをを待っています。ようやく来たと東くんをみると、すぐ後ろに友人を連れてきています。見たことはあるものの、名前は知りません。
東くんは相沢さんに彼をカフェインと紹介します。
カフェインは高橋と名乗ります。駅で東くんを待っているのが相沢さんなのでびっくりしています。
東くんはカフェインが悩みを抱えていて一緒に相談にのってほしいと言います。
カフェインの悩みは付き合ってる彼女についてです。
恋の話に相沢さんは興奮します。
東くんはデータはバッチリなので何でも相談してくれと言います。
カフェインの相談というのは、彼女が二股しているみたいなんだけど、どうすればいい、というものです。
東くんも相沢さんも即答で別れろと助言します。話を聞けば聞くほど付き合う理由がないと言います。
カフェインはそれでも彼女が好きだから一回ちゃんと話してみると言います。話していると携帯にメールが届きます。彼女からのもので別れるという内容です。悩みは強制に終了します。
相沢さんは東くんに手作りクッキーを渡せませんでした。
翌日、東くんは下駄箱で相沢さんからの手作りクッキーを見つけます。昨日熱くなって、手作りについて熱弁したことを思い出し、後で相沢さんに昨日の言動を謝りました。
●ep.5ほめられて伸びるタイプなんで
東くんはクラスの女子に入口をふさがれて教室に入れません。駅のホームのベンチで相沢さんにそのことについて話します。
相沢さんは隠れてその様子をの一部始終を見ていたので知っています。
二人は女子を怒らせないようにするため練習してみます。
後日、東くんは練習通り教室で女子に実践してみると怒らせることなく上手くやりとりができます。
●ep.6高嶺の花は意外とフリー
東くんは駅で相沢さんを待っても来ないようなので帰ろうとします。
相沢さんがやって来ます。今日は相沢さんが人を連れています。
環(たまき)という学校一のモテ男です。
環くんは東くんと友達になりたくて相沢さんに紹介を頼んだのでした。環くんはフワフワしていて東くんのように自分の意見を持つようになりたいと思っています。
相沢さんもズバッと核心を突くことを言い、環くんは嬉しそうです。
ここでも男と女の相容れない考え方で盛り上がります。
翌日、相沢さん東くんは、環くんが髪型を変えているのを発見します。環くんの変化をきっかけに二人は学校でも話すようになります。
東くんは明日からここで弁当を食べるから、よかったら話しかけてと言います。
相沢さんと東くんが仲よさそうに話すのをクラスの人たちが見つけザワザワしています。
東くんは考え抜いて口にしたことは、相沢さんに冷たくあしらわれて、不意に思って言ったことが相沢さんの心に響いてしまうのが面白いです。
会話がすれ違わないまでも、うまくかみ合わないのが楽しいです。
続きます。
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