戦が始まる前に火の部族のカン・キョウガ、テジュン、イグニ、ヨナ達、ケイシュク参謀、オギ、北戒のリ・ハザラ、イン・クエルボ、真国のゴビ神官、それぞれの思惑が交錯して面白いです。
ヨナ達はテジュンの別荘で休むことになります。
ヨナは部屋の外でやけに賑やかな音がするので、窓から覗くと、オギが立っていて、
「今夜は宴だ 火の部族が戒帝国軍を打ち破ったからな」
と教えてくれます。
ヨナはオギと話していると、腕を掴まれてしまいます。驚いて声を上げると隣の部屋にいたハクがヨナ急いで駆けつけ、キジャが窓からヨナの手を掴む男を掴み上げます。
酔っ払った火の部族の民がテジュンの別荘の敷地入ってバカ騒ぎしているとヨナを見つけて四龍にも触れることができたという事です。
火の部族の民が宴で騒いでいる中にゴビ神官がいます。また企んでいるようです。
空都の城下町ではリリがオギに会いに情報屋の集まる酒場に行っのに不在で、仕方なく城下町をブラブラ歩いていると、ケイシュク参謀が空の部族軍とともに火の部族彩火城に向かっているところを目撃します。
テジュンは別荘で起こった事をヨナ達に謝り、安全を考えて彩火城に移ります。
とりあえずと使用人の部屋に案内しようとする様子をテジュンの母イグニがじっと見つめています。
イグニはヨナを見て、
「あか」
と言います。キジャ、シンア、ジェハ、ゼノを見て、
「しろ あお みどり き」
と言います。テジュンはひやひやしながら母の様子を見ています。
ユン、キジャ、シンア、ジェハ、ゼノは風呂に行くとカン・キョウガにばったり出会ってしまいます。
テジュンに大人しく目立たずにとにかく静かにしていろよ、と言われて、言う通りにしていたのに、厄介なことは向こうからやってきます。
湯船につかっていたキョウガは四龍とわかると、
「何だ貴様ら なぜお前達がここにいる」
と言います。ゼノは扉を閉め、キジャとシンアとジェハが扉を開かないように押さえます。
キョウガは必死に扉を開けようとします。キジャが力比べを始めます。
互いに盛り上がり、キジャが扉を壊してしまいます。扉が外れてキョウガは額を強く打ち気絶してしまいます。
ユン達はキョウガをヨナの部屋に運びます。
「大変なことが起こったんだ これを見て」
額に大きなたんこぶを作った気を失ったキョウガが布に包まれています。
どうしようとアタフタしていると、誰かが静かにそっと部屋に入ってきます。
「キョウガ…?」
皆が振り向くとそこにイグニが立っていました。
北戒千州千都リ・ハザラの城では北戒トゥーリ族の王イン・クエルボがリ・ハザラと話しています。
仕事を片付けたテジュンはヨナに会いに行きます。
いろいろ妄想しながらヨナの部屋に入ると、母のイグニがいるし、気絶したキョウガもいるし、ハクもユンも四龍もいます。
話していると、テジュンの部下キルソンがやって来て、
「申し上げます 只今 彩火城に空の部族軍とケイシュク参謀が到着されました」
と報告します。
キョウガは気絶しているので、テジュンが対応します。
ケイシュクは人を小馬鹿にするのが得意なようです。
テジュンは一瞬カッとなりながらも、ヨナの不利にならないようにぐっとこらえて笑って流します。
ケイシュクはどこまでも失礼な男です。彩火城にいるというのに空の部族の兵士を好きに配置したりやりたい放題です。どうしてスウォンはこんな男を側に置いて重宝しているのかわかりません。
キョウガの部下に貴賓室に案内され、別のお客様がお使いになられていると言っているのに、兵士に中を調べさせます。
ケイシュクもずかずかと中に入ります。やることが本当に気に入りません。
ヨナ達は貴賓室を出て、空の部族の兵士に見つからないように、どこか安全なところはないか探しています。
壁の開口からひらりひらりと扇子がヨナ達を呼びます。
イグニがヨナ達を助けます。イグニが暮らす屋敷で誰も入ってくることはできません。
ヨナは、
「ありがとう助けてくれて でもどうして?」
と尋ねます。イグニは、
「…テジュンが 己の感情を抑えあなた達を守る為に行動していましたから それはとても尊いことだと思ったのです」
と言います。
「何より 息子(テジュン)を笑ったあの参謀の思い通りにはさせたくありません キョウガを懐柔したスウォン陛下にも… あまりいい気分はしませんし」
と静かに怒りを爆発させています。
イグニはヨナを見て、
「…髪の色が違うからあまりピンと来なかったけれど… あなた 瞳はカシ様に似ていますね」
と言います。ヨナは驚きます。
「カシ… 私の母上を… 知っているの……?」
「…… カシ様とは若い頃 少し交流がありました 互いに立場ある身となってからは あまりお会いしなくなったけれど でも あなたがお生まれになった頃お祝いに行きましたよ」
イグニ言うとヨナは嬉しそうに顔をほころばせます。
ヨナが母カシが自分に何か言っていなかったか聞こうとした時、シンアが、
「ジェハとゼノが危ない」
と二人のいるところへ駆け出します。キジャもシンアを追いかけます。
ユンはイグニに、キョウガの額の腫れを抑える塗り薬を渡し、キジャの後を追います。
ヨナも行こうとすると、イグニが止めます。
「…危険です ここは殿方に任せて… 女は戦いに行く殿方を見送るのが役目なのだから」
と言います。ヨナは、
「ありがとう でも行きます 彼らが私のもとへ現れてから 私は抱えきれない幸福をもらったの」
と言い皆を追いかけます。
イグニはカシの言葉を思いだします。
(イグニ この子は しろと あおと みどりと きいろの守護がついているの)
(この国で神の力を持ってしまった赤い髪の子の話よ)
イグニは何かがつながったようです。ヨナは何者なのでしょうか。
ジェハとゼノが傷つけられ、キジャとシンアに剣を抜く空の部族の兵士を見てハクはどうしてケイシュクを仕留めないのか不思議です。大刀を首に突きつけ恐ろしいほどの殺気を放つのみです。
ケイシュクは自分の命は大事なようです。高華国の少女の命は何とも思わないのに、己の価値はかなり高く設定しています。自分の命と高華国の滅亡を同等のもとととらえているようです。
戦場で軍の指揮はとれなさそうだし、スウォンの側近というだけで何が優れているのかわかりません。スウォンがケイシュクに知らせていないことはたくさんありそうだし。気に入らない人物です。
ハクはスウォンよりもまず手段を選ばずイル王を手にかけた場にいたケイシュクを始末するべきです。
翌朝、キョウガが目覚めます。
イグニじっとキョウガが目覚めるのを待っていたようです。
キョウガは母から、
「キョウガ… 恩人を軽んじれば 誰もあなたを助けませんよ」
と言われます。
衣服を整えてキョウガはテジュンに会います。
「ヨナ姫達は今 母上の屋敷に身を寄せているらしいな 空の部族兵が母上の屋敷に近づかないよう警備を強化しろ」
と伝えます。テジュンは、
「ヨナ姫を… ケイシュク参謀に 差し出さないのですか?」
昨日とキョウガの様子が変わったことに気がつきます。
「母上が… 仰ったのだ 我が民の命の恩人に対し礼を欠くような将軍になって欲しくないと…」
兄弟そろって聞く耳を持っています。
北戒千州千都リ・ハザラの城ではイン・クエルボが兵士が準備を整え、いつでも動ける状態です。
ゴビ神官が登場します。どうやらイン・クエルボをそそのかしたのはこの男なのかなと思います。
イン・クエルボは四龍を欲していて、ゴビは四龍を捕えたければ赤い髪の少女を手に入れるといいと助言します。
キョウガはケイシュクとの話をして、イグニの邸にいるヨナ達に会いに来ます。
ハクと四龍が戦いに参加することになります。
彩火城下町の裏町の酒場にオギはいます。
ここに来てからずっと誰かにつけられていると警戒していたのに囲まれてしまいます。
ヨナと四龍をおびき出せと脅されます。
ヨナに城門前でオギと名乗る人物が待っていると女官が知らせます。
ヨナが行こうとすると、ユンとジェハとゼノが一緒について来ます。
城門前で待っていたオギは、
「じゃあ… 見せたいものがある」
とヨナ達を連れ出します。
火の部族長カン・キョウガ、テジュンの素直さが面白いです。
二人の母親イグニが登場します。ヨナの母カシを知っている人物です。イグニとヨナの会話が広がればなと思います。
続きます。
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