2023年9月14日木曜日

森本梢子 高台家の人々 6巻

最終巻です。

テレパスという能力があったら楽しいだろうなって思っていました。だけど大変なこと、傷つくことのほうが多いことがわかります。

相手のことがわかるからわからないように対応して、それが変な間を生み関係に日々が入ることもあるだろうなって思います。


一緒に生きていく相手は見つからないだろうと思って過ごしていた光正は木絵を見つけて人生が楽しいものになってよかったです。

茂子も和正も光正が木絵を見つけたように、何もかも知ってもらえる相手に出会いたいのに、そう上手くはいかなくて、秘密にしたままでいたり、一人で生きていこうと考えたりします。万能だと思われた能力が生きていくのに足かせになってしまうのはつらいです。

木絵の空想は光正と茂子と和正の心を軽くしてくれて物語全体を面白くしてくれました。楽しい物語です。




平野木絵(ひらのきえ)と高台光正(こうだいみつまさ)は高台家の豪邸で新婚生活を始めます。

身の回りの何もかもを世話してもらい木絵は妻としてすることがないと感じます。

母由布子(ゆうこ)は木絵の嫁修業はこれからだと毎日一緒に過ごしています。

ある日、松笠(まつかさ)という由布子の友人が訪ねてきます。松笠は息子とその嫁を連れてきて挨拶と言いつつ嫁自慢、嫁比べをするためにやって来ました。

木絵の空想に笑ってしまいます。


茂子(しげこ)は光正と木絵の仲の良さに影響され、自分も二人のようになりたいと考え始めます。そのための彼に秘密を打ち明けようと強く思うようになります。

いざ打ち明けようとする寸前で相手の本音を読み取り秘密を打ちかけることをあきらめます。

茂子は光正と木絵のようにはなれないと苦悩します。祖母アンに相談し、木絵の空想を読み取り答えを急がないように決めます。


木絵は豪邸に一人で過ごすのが怖いようで、特に夜、物音がすると空想が発動し、パニック寸前に陥ります。

茂子は木絵の恐怖心を読み取り、木絵の部屋で過ごします。

すると、弟和正(かずまさ)も木絵の部屋にやって来て、両親も一緒に過ごすようになります。

光正は家族団らんの光景を見て微笑みます。

家族が一つの部屋で床に座り団らんするなど木絵以外そんな経験はないはずなのにみんな寛いでいるところが面白いです。


和正は純との関係に結論を出します。光正と茂子三人の中で一番優しい和正はみんなにとって最良を選びます。


木絵は体調を崩したのかと思ったらおめでたでした。

報告を受けた光正は素直に喜べません。子供がテレパスの能力を受け継いだらという不安が先に頭をよぎります。

木絵は心の中で考えます。光正も茂子も和正も木絵の心を読み取り不安を軽くします。

終わり。



森本梢子 高台家の人々 6巻
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2023年9月12日火曜日

森本梢子 高台家の人々 5巻

会社の女性社員の中で高台光正(こうだいみつまさ)と平野木絵(ひらのきえ)が結婚するという情報が飛び交います。

木絵は光正の祖母アンのひと言でマリッジブルーに突入しています。

ホリー・ジョーンズというアメリカの支社で光正の上司だった人が日本にやって来ます。

マリッジブルー中の木絵は光正とホリーの親密さに嫉妬してします。

光正は木絵の心を読み秘密を隠したままにしておくことに後ろめたさを感じます。このままではいけないという気持ちが強くなり、木絵に秘密を打ち明けます。

木絵の頭の中は恥ずかしさと恐ろしさがごちゃまぜになります。心の中を読まれて平然としていられるわけもなく混乱します。自宅に帰って空想で乗り越えようとしても難しそうです。


数日後、木絵はふと自分のことばかり考えていることに気がつきます。光正の気持ちになって考えてみることで、秘密を打ち明ける危険性、能力を知られると相手から拒絶されることを想像すると、たくさん傷ついて来たのだろうと思い涙します。そして、開き直るしかないと結論を出します。

光正は木絵の変化と返事を心を通して理解します。一番の難関を乗り越えられます。


茂子と和正は木絵の決断に喜びつつ呆れています。少なくとも数週間から数ヶ月、長ければ年単位で答えが出ないと思っていたのに、三日で答えを出したからです。しかし、木絵のような人物がいるということがわかり、茂子と和正の人生に小さな変化を与えます。



由布子は部屋が余っているから光正と木絵を屋敷に住むように言います。

光正と木絵は屋敷で生活することに決めます。


結婚式です。

最後の木絵の光正への彼がテレパスだからという思いが感動します。

続きます。




森本梢子 高台家の人々 5巻
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2023年9月10日日曜日

森本梢子 高台家の人々 4巻

高台由布子(こうだいゆうこ)は長男光正(みつまさ)と平野木絵(ひらのきえ)の結婚について具体的に計画を考え始めます。

光正と妹茂子(しげこ)は由布子の心を読み取り結婚の話が進みそうな気配を喜びます。

茂子は岸本浩平(きしもとこうへい)という男性と交際しています。しかし、二人の仲は友達だった頃とさほど変わりはありません。光正と木絵のような関係になりたいと願うのに上手くいかないので木絵に会い心を読んでどう行動すべきか決めます。

弟和正は茂子の友達純のことを木絵のおかげでずっと好きだったことに気づかされて、あきらめようにもあきらめきれず悩んでいます。木絵の空想に影響され、もう少し結論を先延ばしにしようと決めます。

木絵の光正と茂子と和正に与える影響がくだらない妄想からだというのが面白いです。



光正は木絵の家族に挨拶に行きます。

木絵は家族にかっこよすぎる光正に会ってもびっくりしないでと事前に連絡します。

木絵の家族は話半分に聞き流しています。

実際、光正に会うと、木絵の言った通り木絵の家族はあまりの美形に衝撃を受けます。

光正は心を読み控え目に過ごし、挨拶を終えます。

木絵のおばあちゃんが面白いです。



光正と茂子と和正が祖母アン以外のテレパスの能力を持った女性に会った話が描かれます。

その女性は長い時間をかけて恋が実ります。



木絵のお稽古が始まり3ヶ月がすぎ、由布子は結婚を認めます。

アンはちょっとしたいたずらを木絵に残しイギリスに帰って行きます。

続きます。



森本梢子 高台家の人々 4巻
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2023年9月8日金曜日

森本梢子 高台家の人々 3巻

平野木絵(ひらのきえ)の空想は突飛すぎて大好きです。




高台光正(こうだいみつまさ)は帰宅すると母由布子(ゆうこ)がイギリスから帰国していているのを知り、木絵にフラれた理由を理解します。木絵に会いに行き、母のことを謝ります。

光正はおばあちゃんを頼ります。アンも日本にやって来て木絵に会います。

アンは由布子を説得すると約束します。そして簡単に由布子を説き伏せます。


由布子は光正と木絵に会い、結婚を認めるかどうか機会を与えると言います。

木絵は修行と聞き空想を始めます。そして、修行すると受け入れます。

英会話、料理、お花、マナー、お茶、エステ、美容院と予定はぎっしりです。

木絵は毎日由布子と課題に取り組んでいます。


アンは光正と木絵に由布子と茂正ジュニアの出会いを話します。

木絵がほろ酔いなのが面白いです。リラックスしすぎて笑えます。

由布子の優しい一面が伺えます。



光正の心が読めてしまうからわかってしまうエピソードです。

見た目や口にしたことでその人の本心はわからないことばかりです。

光正にとって木絵は心安らぐ存在なのだとわかるお話でした。

続きます。



森本梢子 高台家の人々 3巻
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2023年9月6日水曜日

森本梢子 高台家の人々 2巻

高台光正(こうだいみつまさ)は平野木絵(ひらのきえ)に秘密を打ち明けようか悩んでいます。


平野木絵は高台光正から、君に話したいことがあると言われます。

木絵は同僚の阿部さんと飲みに行き、話すとそれはプロポーズだと言います。

木絵は信じられません。


光正は残業を終え会社を出ようとすると、女性社員の浅野さんに声をかけられます。

浅野さんは近くに素敵なワインの店ができたので行かないかと誘います。

相手の心が読める光正は即答で断ります。

浅野さんはあっさり断られて傷つきます。ここで引き下がるわけにはいかず、せめて駅まで一緒に行きませんかと言います。

光正は仕方ないと駅まで一緒に行くことにします。心が読めると言うのも大変な苦労です。


木絵と阿部さんは店を出ると、光正が浅野さんと一緒に歩いているのを目撃します。

木絵は光正の話したいことが別れ話なのではないかと考えます。別れることになったら大変だと、急いで何か生きがいを探さなきゃと空想を始めます。


木絵は唯一できる水泳から空想を膨らませていきます。

光正は木絵の心を読んで何かあったことを知ります。


阿部さんは木絵を心配します。

光正は阿部さんが木絵を心配しているのがわかり、心を読んで原因を探ります。先日、浅野さんと歩いているところを目撃したことで誤解か生じていることを知ります。


光正は木絵を迎えに行き、話したいことを伝えます。

木絵は驚きとともに空想が爆発します。

心を読んだ光正はフッと笑みをもらします。



光正の祖父母、アン・ペドラーと高台茂正の出会いが描かれます。

アンはイギリス人です。光正と茂子(しげこ)と和正(かずまさ)の能力はアンから遺伝したものです。

光正は木絵に祖父母の結婚に至るまでの話をします。

祖父はもういなくて、祖母がさみしがっていること、木絵に祖母に会ってもらいたいことなどを話します。



光正の話したいこととは阿部さんの予想通りプロポーズでした。

木絵は、はい、と返事します。しかし、なかなか現実に起こっていることと受け入れられないようです。デートで待ち合わせの場所に行くと、周囲から嫌味のような声が聞こえてきます。自分のことを言われていることかわかり、空想で乗り切ろうとします。

光正は笑みを浮かべて木絵を見つめます。

木絵はいい気になって調子こいてると、土壇場で大きな落とし穴が待っていると身構えています。



光正の手紙を読んだイギリスにいる祖母アンは近いうちに日本に行くと連絡します。


その夜、茂子が帰宅すると母由布子(ゆうこ)が帰国していました。

由布子はアンから光正が結婚すると聞かされ慌てて帰国したようです。光正と木絵の結婚の障害となる人物です。

由布子の行動は素早く、木絵に会う約束をします。木絵を見て驚きます。そして木絵に光正との結婚を諦めるよう言います。


帰宅した由布子を茂子と和正が待ち構えていて問いつめます。

茂子と和正は由布子の心を読み取り何があったか把握します。

茂子は木絵のところへ行こうとします。

和正は兄が何とかするからと引き止めます。


木絵は自宅で悲しみに暮れています。


翌日、光正は出張から帰ってきます。

木絵に連絡をとると、

「わ… 私… もう… 光正さんとは会わない」

と言われます。

光正は生まれて初めてフラれたのでした。

続きます。




森本梢子 高台家の人々 2巻
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