2016年7月22日金曜日

志村貴子 青い花 8巻

好きという気持ちが相手のものと同じかどうか不安になるあーちゃん(奥平あきら)とふみちゃん(万城目ふみ)。

ふみちゃんの想いにこたえたいけれど、どうこたえていいのかわからない。

自分の好きという気持ちと、ふみちゃんのそれとは何かが大きく違うと感じているあーちゃん。

あーちゃんに別れを告げられたとしても、絶望しないでいられるよう心に言い聞かせるふみちゃん。

ふたりとも終わりがあることがわかっていて、そこに進みつつ、今日ではなかった、と安堵しているように見えます。

藤が谷女学院高等部3年生の修学旅行の行き先はイギリスのロンドン。そこには先輩の杉本恭己(すぎもとやすこ)が留学しているので、あーちゃん、井汲京子、上田良子の三人は会う約束をしていたのでした。

杉本先輩はさらに綺麗になっていました。

その綺麗な杉本先輩に「きれいになった」といわれる井汲さん。

何か心の霧が晴れたのを感じたんだと思います。さすが、井汲さんをずっと見てきた杉本先輩です。

あーちゃんが杉本先輩とふたりきりで話し打ち明ける場面は、そうだったんだ、とあーちゃんがこれまで抱えていたもやもやしていた部分がはっきりしました。

修学旅行から帰ってきて、あーちゃんはふみちゃんに距離を置くことを告げます。

ふみちゃんは当然号泣してしまいます。何度もふみちゃんの泣き顔は見てきたのに、このときの涙はつきささるような深い悲しみを感じてたまらなくなりました。

拒まれたという感覚をうまく処理できないながらも、平静を保とう、少しずつ元気になろうとするふみちゃん。

そして、心のどこか大切なところが欠けてしまったような気持ちになるあーちゃん。

ふたりのそれぞれの時間が過ぎ、卒業式を迎えます。

卒業式を終え、帰り道、偶然再会したあーちゃんとふみちゃん。

砂浜で交わす会話で互いが背負ってしまう言葉の重み。

それは、後日、あーちゃんがふみちゃんを見かけたときに感じてしまいます。

そういえば、あーちゃんは他の人と楽しく過ごしているふみちゃんを見たことがなかったなと思いました。

心がざわざわしたあーちゃん。

そして出した答えは……。 最終巻です。

恋のこの字も知らなかったあーちゃん。高校の通学路でふみちゃんに再会し、ふみちゃんが女の人が好きだと知ってもあまりピンとこなかった女の子。

ふみちゃんの恋を元気いっぱいで応援し、破れたあとも慰めていると、ふみちゃんに対する気持ちが友達とは違うなにかなのかもを思い始め、ふたりの立ち位置から、ふみちゃんの心の隙間を埋めるのは私、とあーちゃんは思っていたのでしょうか、「つきあう」ことにします。

周りが恋ということに敏感になり、ノリや勢い、おしゃれっぽいという感覚から「つきあう」と言ってしまったのか、本当に相手のことを想っていった言葉なのか、関係が深くなるにつれ、もし違っていたらという怖さが先にたってしまいます。

これが恋なのかどうかを知るために距離を置くことにします。

ひとつずつ気持ちを確かめ、そうなんだ、これは恋なんだと、あーちゃん自身で確信できてよかったなと思いました。

小さな、すぐにでも消えてしまいそうな、淡い光をあきらめずに待ち続けたふみちゃんにも本当によかったと思いました。



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