1960年代後半。転入生の薫は、不良の千太郎と出会い、ジャズを通じ友情を育む。同級生の律子が千太郎を好きと知りつつ告白し、一度は振られた薫。ところが、時が経ち、律子の恋心は意外な方向へ!どうなる?薫の恋。
薫は見覚えのある紺色の毛糸で編まれた手袋を贈られ、いくつかの可能性を考えてしまいます。
朝、登校時に薫に会って一番に手を見つめる律子の視線に気づかず、いつもと変わりないようにしか見えない彼女の様子に、もしかしたらという思いがしぼんでいきます。
薫の頭の中はとてつもない速さで回転しているだろうな。
めまぐるしく動いている内側の感情は決して外にはださないように、冷静に振舞おうとするところが薫らしいなって思いました。
律子のほうは昨晩から薫は手袋をして登校してきてくれるだろうかと心配で、一度薫からの想いを断ってしまったことがあるだけになかなか寝つけなかったんじゃないかなと思います。
薫を背中にした律子の落ち込んだ表情、ふたりの通い合わない気持ちがもどかしいです。
千太郎の家と律子の家が共同で使っているお風呂に入っている薫と鉢合わせした律子が扉越しに交わした会話、風邪で寝込んでしまった薫の見舞いにやってきた律子に言ったこと、親友として男としての千太郎はちょっとやそっとじゃ敵わないと思う魅力ある人物で、そんな彼と比べて自分が誇りたいものの理想が千太郎だから、彼を好きだという律子を振り向かせるなんてとうてい叶わないという薫の告白は避けられないことだったと思います。
その薫の告白に、おそらくこれまでこんなに勇気を出して誰かに言ったことはないだろう律子の薫に背を向けていうセリフがよかったです。
薫の誰にも負けない自信がある言ったこと、
「風邪うつしちゃうといけないから」
といったこと、風邪をひいていたから言えたんだと思います。
風邪をひいちゃったことに感謝しなきゃね、と思う場面でした。
ひとつの恋が終わり、留年を回避した千太郎。薫と律子に対しての気配りがよかったです。松岡が割り込んできて、恋からジャズへシフトする矢先に事件発生です。
続きます。
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