世間の片隅で三文小説を書いて暮らす冴えない独身男のダンナさん。
でもそんな彼の家には、可愛くて家事上手な女中の「ヤイさん」がいる…。照れ屋で気持ちを伝えるのが苦手なふたりの恋愛未満ほのぼの日常ストーリー♪
●うたたね
三文小説を書いているダンナさま(シバタニコーイチ)とその家に住み込みの女中として働くヤイさんのほのぼのした話です。
ダンナさまは照れ屋で小心者だけど、優しくて真面目な人です。
ヤイさんはのんびり屋でドジだけど一生懸命で気配り上手です。
二人の関係はフワッとした和やかな気持ちにさせてくれます。
天気のいい昼間。ダンナさまが空腹で部屋から降りてくると、ヤイさんは気持ち良さそうにうたた寝しています。
起こすのは気が引けて、起きるまで待っていようと腰を下ろすと、ダンナさまは徹夜明けのためすぐさま眠りに落ちてしまいます。
目を覚ましたヤイさんは側でダンナさまが居眠りしているので途中だった掃除を後回しにし、干してあったフトンを取り込もうとします。
縁側までもっていくと、干したフトンのあまりの心地よさに再び眠りに落ちます。
夕方、ダンナさまは目を覚まします。
しまいかけた布団に顔をうずめ、ヤイさんは先ほどよりも気持ちよさそうに眠っています。
ダンナさまは起こすのは気が引け、ヤイさんの寝顔を眺めていると再び睡魔が。
ダンナさまはほのかに香るセッケンの匂いで眠りから覚めると頬に柔らかい感触が。
ヤイさんがヒザマクラをしていてくれたのでした。
慌てるダンナさま。
今日はうたた寝ばかりしていて何もできなかったからと微笑むヤイさん。
なんだろうこのふたりの距離感とヤイさんの心配り。
ドギマキするダンナさまが面白かったです。
●柿八年
ある秋の日。
自宅になった柿をダンナさんが採り、ヤイさんそれを美味しそうに食べます。
柿をひとつふたつ木に残してあるのに気づき、ダンナさんに訊ねると、
「彼らのためにとっておいてあげましょう」
と渡り鳥を見てなにかわからないポーズととりながら言うのでした。
和やかに渡り鳥が柿をついばむのを眺めていたのに、あろうことか、渡り鳥がフンをし、それがダンナさんの顔に狙いをつけたかのようにまともにかかってしまいます。
ダンナさんは怒り狂います。
柿を全部とってしまおうとします。
だけど、残っている柿は手の届かない高いところになっています。
ヤイさんと協力しあれこれ考えた末、ダンナさんが支え、ヤイさんを肩車するという普段のダンナさんなら考えついても行動に移すことが出来なさそうなことをやってのけます。
われに返ったというか、ちょっと考えしまい、興奮してぶっ倒れてしまうダンナさまが面白かったです。
●月見酒
ある日の眠れない夜。
寝酒でもしようということになり、熱燗をつけるヤイさん。
照れ屋さんなのに、ヤイさんにこういう願望が心のどこかにあって、妄想を思い描いているんですね。
●恋敵
ヤイさんは物憂げな表情でちょっと様子がおかしいです。
ぼーっとしていることが多く、ため息をついています。
ダンナさんはあれこれ推測すると、もしかして恋をしているんじゃないか、誰か好きなひとがいるんじゃないかという方向に考えがおよび、いてもたってもいられまえん。
恋敵の存在はなく、子犬で済んだのだから、ヤイさんが喜んでくれるなら苦手な犬もなんのその。
もうダンナさんはヤイさんに夢中なんだなという話でした。
●自転車
ダンナさんは帰りが遅いヤイさんを心配しています。
鼻緒が切れてしまい歩けなくなり、途方にくれているヤイさんを見つけ、
「どうぞ」
とオンブの姿勢で待つと、重いからと遠慮され、ダンナさんは落胆します。
と、すぐにヤイさんのために自転車を用意してくるところにダンナさんの優しさを感じます。
●台風少女
ダンナさんのいい所を知っている少女が現れます。
ダンナさんの人柄の良さを感じるいい話でした。
●爆睡
ヤイさんの頑張りがなくてもダンナさんは目を覚まさなかったんじゃないかな。
●年上の女
「ここが一番落ち着くみたいで…」
ダンナさんに聞かせてあげたいです。
●思い出
うまくコミュニケーションがとれない者同士のぎこちなさが面白かったです。
●ずっと ここに…
そっか。ヤイさんは自分がダンナさんをどう思ってるかきづいていないんですね。
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