最終巻です。
テレパスという能力があったら楽しいだろうなって思っていました。だけど大変なこと、傷つくことのほうが多いことがわかります。
相手のことがわかるからわからないように対応して、それが変な間を生み関係に日々が入ることもあるだろうなって思います。
一緒に生きていく相手は見つからないだろうと思って過ごしていた光正は木絵を見つけて人生が楽しいものになってよかったです。
茂子も和正も光正が木絵を見つけたように、何もかも知ってもらえる相手に出会いたいのに、そう上手くはいかなくて、秘密にしたままでいたり、一人で生きていこうと考えたりします。万能だと思われた能力が生きていくのに足かせになってしまうのはつらいです。
木絵の空想は光正と茂子と和正の心を軽くしてくれて物語全体を面白くしてくれました。楽しい物語です。
平野木絵(ひらのきえ)と高台光正(こうだいみつまさ)は高台家の豪邸で新婚生活を始めます。
身の回りの何もかもを世話してもらい木絵は妻としてすることがないと感じます。
母由布子(ゆうこ)は木絵の嫁修業はこれからだと毎日一緒に過ごしています。
ある日、松笠(まつかさ)という由布子の友人が訪ねてきます。松笠は息子とその嫁を連れてきて挨拶と言いつつ嫁自慢、嫁比べをするためにやって来ました。
木絵の空想に笑ってしまいます。
茂子(しげこ)は光正と木絵の仲の良さに影響され、自分も二人のようになりたいと考え始めます。そのための彼に秘密を打ち明けようと強く思うようになります。
いざ打ち明けようとする寸前で相手の本音を読み取り秘密を打ちかけることをあきらめます。
茂子は光正と木絵のようにはなれないと苦悩します。祖母アンに相談し、木絵の空想を読み取り答えを急がないように決めます。
木絵は豪邸に一人で過ごすのが怖いようで、特に夜、物音がすると空想が発動し、パニック寸前に陥ります。
茂子は木絵の恐怖心を読み取り、木絵の部屋で過ごします。
すると、弟和正(かずまさ)も木絵の部屋にやって来て、両親も一緒に過ごすようになります。
光正は家族団らんの光景を見て微笑みます。
家族が一つの部屋で床に座り団らんするなど木絵以外そんな経験はないはずなのにみんな寛いでいるところが面白いです。
和正は純との関係に結論を出します。光正と茂子三人の中で一番優しい和正はみんなにとって最良を選びます。
木絵は体調を崩したのかと思ったらおめでたでした。
報告を受けた光正は素直に喜べません。子供がテレパスの能力を受け継いだらという不安が先に頭をよぎります。
木絵は心の中で考えます。光正も茂子も和正も木絵の心を読み取り不安を軽くします。
終わり。
森本梢子 高台家の人々 6巻
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●関連リンク
集英社 高台家の人々