2020年2月4日火曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 1巻

ヨナという赤い髪の姫が主人公の物語です。

舞台は高華王国(こうかおうこく)という王国です。


大切に育てられてきたヨナは16歳の誕生日の日に父親で高華王国の王のイルが殺されるところを目撃し、人生が一変してしまいます。

秘密裏に王を弑逆するつもりがよりにもよってヨナ姫に見られてしまい、ヨナ姫にも刃を向けられます。

衝撃と動揺と混乱で動けずにいるヨナの元に従者のハクが助けに来て、城から脱出します。


イル陛下を殺したのは、ヨナとハクが幼い頃から親しく過ごしてきたスウォンという王族です。

ハクにとっては最大の信頼を寄せる、ヨナにとっては将来結婚を望む人物です。

極端に武器を手にすることを嫌う王イル。なのにイルはスウォンの父ユホンを自らの手で殺害しました。

スウォンは物腰が柔らかく優しそうな人物です。そんな彼が10年の歳月をかけ綿密に計画し復讐を実行します。

ハクはヨナ姫の専属護衛として常に側に控えています。腕はこの国でも指折りです。平民だということもあり、ヨナに寄せる思いを胸にしまっていて、いずれ、ヨナとスウォンが治めるであろう高華王国を将軍として支えようとしているようです。そして、王様でありヨナの父であるイル陛下から信頼されています。

ハクにとってスウォンが起こしたことは想像もしていない出来事で、幼い頃から過ごしてきた日々、スウォンと交わした会話を思い返しながら、感情をなんとか押さえつけ、イル陛下との約束を果たそうとします。

ヨナはこれまでの優しかったスウォンと現実に目にしたスウォンが同一の人物だと思いたくないのと、父がもういないという事実に、絶望の底に突き落とされ生きる力が尽きてしまいそうな状態です。



ヨナとハクの追手から逃れる旅になるのか、王座を取り戻すのか、どう展開していくんだろうと期待が膨らむ物語です。



ヨナは王都緋龍城(ひりゅうじょう)の外に出たことがありません。心配事と言えば、髪が赤くてくせっ毛なので思い通りに決まらないということや、好きな人が自分を気にかけてくれるだろうかいうことくらいです。

ヨナが気にかけて欲しいと思っている人物はイトコであるスウォンという人物です。

ヨナの16歳の誕生祝いの宴が行われるため、各地から人がやってきます。

スウォンもヨナの誕生を祝うため城にやってきます。


スウォンが城に来てから、かまってほしいヨナはあれこれと接触を試みます。

スウォンがハクと矢を射たり、馬に乗ったりしているのを見かけ自分も一緒にやってみると言うと、父のイル陛下は慌てて止めます。

ヨナのスウォンに対する思いを感じ取ったイル陛下は

「お前の夫となる者はこの国の王となる者なのだ」

と言い、スウォンとの結婚は認めないと言います。

また、

「お前の母は賊に襲われ殺された 王の一族は 皆このような危険がつきまとう それを知って 私は再び妻を娶る気にはなれなかったよ ヨナ スウォンには幸せになってほしいだろう?」

とも言います。

イル陛下の言葉にヨナは落胆します。


スウォンはヨナの誕生日に簪を贈ります。

ヨナはスウォンへの気持ちを諦められません。

宴が終わり、ヨナは改めてイル陛下に言われたことを思い返し、従うことができなくて父にもう一度会ってスウォンとのことを認めてもうらおうと寝所に向かいます

いつもはいるはずの衛兵姿はなく、人の気配がなく異様な静けさに包まれています。

扉を開くと奥の窓からの月明りでシルエットに見えた王の姿。

身体を剣で貫かれています。

何が起こっているのか状況が飲み込めないヨナは剣を手にした人物に驚きます。

スウォンなのでした。

スウォンはヨナに話します。

父ユホンを殺害された復讐を10年抱えてきたこと。

10年前から父の敵を討ち父の遺志を受け継ぐ者として自らが王座に就くことを望んでいることを告白します。

スウォンに従う配下が集まり、王の亡骸を見ると、本懐を遂げたと喜びの声を上げ王のそばで泣き崩れる人物がヨナ姫であるとわかると、姫を殺せとスウォンに言います。

スウォンは覚悟を決めヨナを見据えます。

ヨナはその場を逃げようと試みるもスウォンの兵に捕えられてしまいます。

兵がヨナに剣を振り下ろそうとするその時、爆風のような太刀が次々と兵をなぎ倒していきます。

ヨナの専属護衛のハクが登場します。

泣いているヨナ。スウォンに従っているであろう兵士達。

状況を把握するためにハクはスウォンに尋ねます。

スウォンは自らの手で王を殺めたと言います。

ハクは怒りのまま大刀をスウォンに振り下ろします。スウォンは剣で応じます。

兵士たちがヨナとハクを取り囲みます。

ハクがスウォンに自分の気持ちを話しつつ大勢のスウォンに従う兵士達を相手にヨナを守る術を考えているとどこからか一本の矢が飛んできます。

別のハクを援護する者が現れたと兵士達が矢が放たれた方向に注意を向けた隙にハクはヨナを抱えその場から逃げ出します。

ヨナとハクを助けたのはイル王の側仕えをしているミンスでした。

ミンスの手引きによりヨナとハクは王城を脱出します。


ハクは追手の捜索が難航するよう山の中を進みます。

精神的肉体的に極度に疲弊し、気を失うように眠りに落ちるヨナを見てハクは過去の記憶を思い起こします。

イル陛下がハクにヨナの専属護衛を命じたときのこと。

イル陛下の別の一面を見て心に決めたこと。

そんなことを思い出しながらハクはヨナを守り城に戻る決意をします。


ヨナは子供の頃のハクとスウォンとの出来事を夢で見ます。

目が覚め、現実を思い出し3人で見た楽しい景色はもう見ることはないと分かり、声を出して泣きます。


スウォンは空を見上げ着々と計画を実行すべく指示を出します。



弱っていくヨナを見てハクはスウォンに対してさらに憎悪を膨らませます。

ハクはヨナが立ち上がった際に落とした簪を見つけます。スウォンがヨナに贈ったものです。ヨナには言わず、黙っておくことにします。

暗くなるまで移動し、休むときになってヨナは簪をなくしたことに気がつきます。

ハクは簪が今のヨナの感情を少しでも動かせるのであるなら、ヨナに渡し、自分の思いを伝えます。


ヨナがハクにどこに向かっているのかと訊くと、ハクは自分の故郷である風の部族風牙の都に行くつもりだと言います。



スウォンはどうしてこういう選択をしたのか。父親ユホンをイル陛下が殺害して、復讐するため10年費やしてきました。スウォンはどういう気持ちで王座を簒奪したのか、その真相はずっと最後のほうに明らかになりそうです。

ヨナはどう生きていくのか。心に決めている人によって父親を殺されて希望を失ってしまいました。ヨナがどのように自分を取り戻すのか、これからどう行動するのか楽しみです。

ハクは陛下に命じられて護衛を任せられたとヨナに対して一定の距離を保つよう自分に言い聞かせています。ヨナへの思いと距離が今後どのように縮まり変化するのでしょうか。

三人が交差するところがいつになるのか楽しみです。

続きます。



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●関連リンク
白泉社公式サイト 暁のヨナ

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