2016年12月22日木曜日

入江亜季 コダマの谷 王立大学騒乱劇

●コダマの谷

とある王国の王立大学が舞台の物語です。

目的があまり明らかにならず、それぞれの事情と人間模様が描いています。

ライダーやアーサー、ユリウス、学院長といった男たちよりも、自分のことをおれという女の子のマージとアーナスタ家の姫ウーナの思いや行動が面白かったです。



●忘れている事、思い出したこと

ニール・ライダーは入試をトップで通過したのに、それ以降の成績は進級に差し支えないギリギリのラインを保ち、卒業を拒んでいるちょっと変わった男です。

何か目的があって大学に残っているようです。

もしもライダーが、

「何か大事なことを忘れている」

ことを忘れていたら、マージはどんな反応をしていただろう。

ただ黙ってがっかりしていたのかな。



●天上からの来訪者

近い将来やってくることへの備えのため、手を回して学院にもぐりこんだ王国の王子アーサー。

切れ者なのか未熟なのかわかりにくい人物です。

ライダーがどういう人物が興味があってつながりを持つため彼の住む部屋の屋根裏を寝床にしていたのに、初対面は散々なものになってしまいました。

ライダーは一体何をしているんだろう(明かされることはありませんでした)。



●やることがあるんだ

兄のユリウスを負かしたライダーと婚約相手のアーサーに興味があり、ふたりがいる学院に女は入学できないのに偽って入学したウーナ。

彼女の立ち位置が面白いです。

変装したウーナを容易に女性だと見抜くアーサー。

男の子の格好で自分を「おれ」というマージも即女の子だと見抜いてしまいます。

「あんまりからかうんじゃねえよ」

と、マージをアーサーから遠ざけようと、マージの背後から手を回し軽く抱きしめる格好になり、ライダーを背中に感じちょっと頬を赤らめたマージがかわいらしいです。



●利得と動揺

理想の女性像とぴったりと思った人が、国王の決めた相手だと知ったときのアーサー。

直球の求愛行動が可笑しかったです。



●駈け引き

マージがアーサーに言った、

「吸わないってまえ言ったよ」

というセリフがものすごく好きです。



●最終話

アーサーの会話を偶然立ち聞きしてしまうウーナ。

これほどまでにまっすぐに想われていることを知るとどういう気持ちになるだろう。



●After the Echo Valley

マージが「おれ」から「あたし」に変えるところを描いて欲しかったです。

一つひとつの話の終わりに描かれている挿絵が楽しかったです。



●フクちゃん旅また旅

父親と旅をしていろんな経験をするフクちゃんのショートストーリーです。

迷子になって知らないヒトに連れられて、頭ん中が不安と恐怖でいっぱいなったり、滅亡した国の幼い王様を説得したり、野宿で食べ物がなく乾パンを独り占めしたい気持ちを抑えたり、稲荷神社のキツネにからかわれたり、一目ぼれしたり、奇跡が起こったり、空想したり、似た男の子と入れ替わったり、宿屋のお嬢ちゃんに優しくされたり、知らない間に誰かを勇気付けていたりします。



入江亜季 コダマの谷 王立大学騒乱劇
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2016年12月20日火曜日

入江亜季 乱と灰色の世界 2巻

陣は乱の考えていることなんてお見通し。

冒頭の乱と陣の会話が面白かったです。




4人の魔法使い。一家の妹・乱を中心に4人の魔法がきらきらと輝く。人気絶好調のマジカル・デイズ!大きな小さな日常の問題ごとが、魔法使いファミリーを悩ませる。願いはひとつ、家族4人いっしょに仲良く暮らすこと…。




●たま緒来たらば

ずっと乱と凰太郎とたま緒の3人しか出てこないで欲しいな、なんて思っていたら、見開きを使ったページに四人ほど他の人物が描かれていました。

だからどうなんだ?ということなんだけど、たま緒が魔法か何かで特別な空間を作ってしまい、3人しか存在しない空間の中で監視していた、とかだったら、全があわてて逃げようとしたことにつながりそうかな?と思いました。



●千客万来

乱の魔法で大騒ぎになります。

陣を怒られてべそをかく乱。

乱にとって陣はどれだけ恐い存在な んだろう。



●全の飛んだり跳ねたり

「起きな始まるよ」

と、たま緒は寝ている乱を起こすのに、たま緒は表立って動いているところが何も描かれていません。

どうしてなんだろう? 今回の主人公ではないからかな。

漆間家であまり存在感がなかった全が活躍します。

静と同じく偉大な魔法使いのようです。



●晴れてめでたし

梅ももさくらのエステが面白かったです。

静は家に帰って家族4人で暮らしたかったのに、大事な役目のために仕方なく離ればなれになって過ごしていたんですね。

なにかあるようなセリフばかり言うたま緒。

彼女は何をしているんだろう。



●魔法の作法

乱は早く大人になりたいけど、

「まー小さいのにしっかりしたお子さんで」

とも言われたいことが判明します。

日比誠はダメな子だなあ。



入江亜季 乱と灰色の世界 2巻
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2016年12月18日日曜日

入江亜季 乱と灰色の世界 1巻

描かれている物語の前に起こった、きっかけになった出来事を想像して読むのが楽しい作品です。

魔法が使える家族のお話です。

空想と現実がうまく混ざり合っています。

想像する描かれていない前置きは、勝手にあれこれ思い描いているので、登場する人物の特徴が作者の意図とは異なるものを作り上げているかもしれません。

それはそれで気がついたときに修正しながら、最初から読み返せる楽しみが増えるのでいいかな?と思います。




●ちいさな乱

漆間乱(うるまらん)は小学四年生の女の子。

大きな魔力を秘めた魔法使い。…のはずだけど、幼いからなのか、まだ自在にコントロールできません。

意識があるときはたいしたことはできず、せいぜい物を少しどうにかできる程度です。

ただ、意識がないとき、眠っているときなどは力が多少暴走し、自分を含め、身の回りのあらゆるものを浮遊させたりできます(乱本人はこのことには気づいていません)。


乱は魔法を自在に使えるようになりたくてあらゆる試みをしてみたんだと思います。

そして、魔法がある程度自在に使える道具を探し、発見します。

それは靴でした。

それも乱の足には合わないとても大きなサイズのスニーカーでした。

履いてみると、乱は自分の思うとおりに魔法が使えようになったんだろうと思います。

まず魔法を使ってやることは姿を変えること。

「乱はまだ子供だから」

と、事あるごとに納得させるために言われていて、反発心を抱いていたんだと思います。


興奮して嬉しくなって、兄の陣(ぜん)や父親の全(ぜん)に大きくなった姿を披露したはずです。

そして、二度とするんじゃないと思いきり叱られたんじゃないかと思います。

こんな感じのやりとりがあって、陣は乱が懲りずに大晦日の大掃除に魔法を使うことを見越して靴を隠したんじゃないかなあと思いました。

靴を探す乱。

乱の目の届かないところに隠そうとする陣。

何かを察知しこたつを動かし、天板の上に椅子を置いて登ろうとするコマがかわいらしかったです。



●静帰る

妹思いの陣。

母親の静(しずか)がいないことで乱が寂しがっているのは分かっていて、時々突然やって来て半日ほどの滞在で帰っていってしまう静に、そんなことをしたら余計に乱の寂しさが募り、かわいそうだからやめてくれとでも言ったことがあるんだと思います。

乱をかばうために静にやたら冷たい態度で接する陣を全も静も分かっていて、子供たちには見せないけど、どうにかしたい、と歯がゆい気持ちでいるんだと思います。

乱に魔法を教える静。

乱の魔力は強そうです。

静の手鏡を割ってしまった陣への罰が面白かったです。



●陣出陣

ある程度思い通りに魔法が使えるという自信を持った乱の行動。

何度も失敗して、陣が探しに行き、全が心配するということがあったんじゃないでしょうか。

今度はうまく行くと靴を携えて出発しまが、時間が悪かったようです。

子供は起きていられません。



●プカプカ実験室

陸路で静の元へ行くのは諦め、空から行こうとしたのでしょう。

小学生の知恵をフル回転させて、飛ぼうとしたのですが、ことごとく失敗して傷だらけになってしまいます。

薬局で傷薬を大量に買い込む陣。

乱の見えるところに大きな字で家訓を書く全。

陣も全もまさか乱が理科の授業の実験を応用するなんて思ってもみなかっただろうな。



●最上階の王子

飛ぶことにばかり気をとられて、風に流され、降りることさえできないくらい上空を漂う乱。

あまりに無邪気な乱。そりゃそうです。小学4年生なんですから。



●扉

「あの村には力の強い魔女たちが交代で務める大事な役目がある。ママが長い時間抜けることはできないんだよ」

全が乱に言ったセリフです。

静の大事な役目が描かれています。

モテモテの陣、動揺する乱、乱に魔法を教えるという、全があわてて逃げようとする先生とは?




語られていないことがたくさんあり、そこが想像をふくらませます。



入江亜季 乱と灰色の世界 1巻
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2016年12月16日金曜日

石黒正数短編集2 ポジティブ先生

短編のの面白さ…思い知れッ♪ 「それ町」の石黒正数が贈る多彩な世界嵐山歩鳥初登場作品「夜は赤い目の世界」正義の味方物語「ジャスティス・ジャスト」カラー4p描き下ろし世紀末綺譚「種」etc.


作品の視点が面白かったです。直線でないというか、ひねってあるというか。藤子・F・不二雄のSF(すこし・ふしぎ)にほんの少し似てるかなと思いました。


●種
ミニミニ人類の歴史のような作品でした。


●ジャスティス
小さい頃よく思っていた、
「仮面ライダーとウルトラマン、その他の正義の味方が一度に出てきたらいいのに」
を再現してコメディの味付けをした作品だなと思いました。


●夜は赤い目の世界
吸血鬼退治。舞台が日本らしく、吸血鬼の眠る箱が和式だったり、出現したドラキュラが栄養満点の体格だったのに笑いました。
コントのような展開もあって楽しい作品でした。


●ポジティブ先生
この短編集の表題になっているので期待してしまいました。
短すぎてびっくりしました。


●ネジまで愛して
展開がはやかったです。
短編のサイズではなく3話か4話くらいの長さになるとより面白くなったんじゃないかなと思いました。


●デーモンナイツ
戦っていないときの悪役は何をしているのか。
悪役のある日のハプニングでのドタバタが面白かったです。
オチのデーモンキングの台詞は絶対に言ってはいけません。


●怪奇!透明人間が来る
どこかで読んだことがあるような話でした。

2016年12月14日水曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 8巻

●笑ってごらん
最後のページの歩鳥の憎たらしい顔。タッツンの気持ちすごく分かります。


●踊る大捜査網
商店街の人たちがシーサイドに大集合しました。シーサイドで起こる出来事が面白いです。


●KAPPA QUEST
猛と雪子の大冒険です。虫よけの光景は嵐山家では定番なんですね。池での思惑の一致が面白かったです。


●サインはB!
おや、紺双葉が歩鳥を頼るようになりました。


●さよなら麺類
ちょっと切ない話でした。荒井和豊の台詞は歩鳥には楽しそうな顔していてもらいたいという思いが伝わってきます。変わってほしくないものほど姿を消し、変わってしまいます。合理性を追求し、ハードルがどんどん上がっていくことは本当にいいことなんだろうかと思うときがあります。

2016年12月12日月曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 7巻

●ホワイトデビル
知らないことを教えられて理解しようとするとき、自分の中にある似ているだろう知識と結びつけて何とか理解しようとします。
歩鳥の野球のルールを自分なりに解釈している脳内の様子が面白かったです。
野球にまったく興味がなく、学校から応援に狩り出されていやいや観戦している者、対戦相手が父親の母校でいわゆる代理戦争で観戦に熱が入っている者、チームの監督になりきって采配を批判しながら観戦する者。
野球を観戦するというだけでもいくつものドラマが生まれています。
真田広章が野球を熱心に観戦しているのを見て、野球が好きなんだと思ったタッツン。
歩鳥の奇想天外な新しい野球をバカにしたら、真田は歩鳥の肩を持ち、プロ野球の観戦に誘ったら、野球に興味がないと言われ、歩鳥のように斬新な野球ルールを提案したら、完全に否定され、真田に対して何を頑張ってみても裏目にしか出ないタッツンに笑いました。


●秋まつり
歩鳥が楽しそうにしているのを見ているだけでこちらまで楽しくなります。


●コンタクト
御神体にこんな機能が備わっていたら、面白名と思います。


●ガッカリなカード
歩鳥はこの手のゲームは得意そうに思えたのにな。やはり歩鳥は探偵になるしかないのかもしれません。


●時は待ってくれない
歩鳥の弁当事件が面白かったです。ショックで真田が食欲をなくし、タッツンが真田に渡せなかったお弁当はたまたまいた浅井という男の子にあげてしまい、タッツンはまたも真田以外の男の子の高感度を上げてしまいました。


●テリトリー
ユキコが出てくるのが楽しみです。どう笑わせてくれるのか期待が膨れます。


●それ町サスペンス劇場2乙女を襲う氷のやいば!?凶器は雪山に消えた
門石先生って、歩鳥が鼻息荒く読み耽っていたミステリー小説の作者じゃなかったっけ。門石先生が亀井堂静だと歩鳥が知るとどんなにびっくりするだろう。リフトで登っている最中にストックを落としてしまった歩鳥。ストックを落としたところまで真田に男だからおんぶしてほしいと頼みこむと、
「こんなところでイチャつくな」
と静、
「そうよボンクラ」
とタッツン。
今までのいろんなことも込めて言った一言のように感じ笑ってしまいました。


●血のバレンタイン
歩鳥が渡せなかったチョコレートを何げに奪い合おうとする真田勇司、菊池貴明、荒井和豊の三人芝居が面白かったです。
紺双葉の提案と歩鳥のオチも面白かったです。

2016年12月10日土曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 6巻

主人公の歩鳥は成長を見てみたいという思いと、いつまでもこのまま予測不能の女の子でいてほしいという思いを両方持った魅力的な人物です。

兄妹や友達、商店街の人たちとともに笑わせ続けてほしいです。


●フリーマーケットで歩鳥とキス
商店街のおじいちゃんおばあちゃんに人気があり、同世代には真田広章にしか人気がない歩鳥と、同世代には大人気だけど、意中の人には振り向いてもらえないタッツン、自分が好きな子に夢中で周りなんて見えない真田広章。
三人のうちで一番誰が楽しい一日を送れているのでしょう。
急に電話で呼び出しをくらい、フリマを手伝わされることになった真田。
妄想する癖を直さないといけません。


●ざっくばらん
真田の一言が気になるタッツン。可哀相な立ち位置です。


●逢えない二人
針原兄妹は本当によく似ていました。病人なのに見舞いにやってきた伊勢崎エリに気を使う猛。エビちゃんのことをまったく意識していないと思っていたのに、そうでもないんだとわかりました。


●タイムカプセル
ちょっと泣かせる展開なのか? と思わせつつ、さすがの歩鳥でした。


●ヒーローショー
ユキコが面白いです。この年齢ですでに見る視点が違います。まっすぐな眼差しで質問の答えを待つのが面白かったです


●歩鳥初体験
本人が意図しないところで商店街の人たちに優しさを配っていたんですね。


●紺先輩の静かな怒り
商店街では歩鳥の友達も親切にされていることがわかりました。


●まぼろしの少年
歩鳥の推理が少しズレてしまいました。だけど、どこへ行っても歩鳥は楽しそうです。

2016年12月8日木曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 5巻

ミステリー色が強く余韻を残すストーリーが多くて、絵の雰囲気もどこかしら緊張感を受けます。
それでも歩鳥をはじめとする主要人物や妹のユキコには笑わせてもらいました。

神社の神主八代辰巳が、
「もう神様なんて信じねえ」
とぼそっと言ったのには笑いました。

嵐山家の猛(たける)はまともなのに、雪子(ユキコ)は歩鳥同様自由に生きているのが面白いです。


●夢現小説
どれが夢でどれが現実だったんだろう。亀井堂静の裏の家業を歩鳥が知るという話は描いてくれるのかな。


●嵐山家、家事になる
喫茶「シーサイド」で常連が集まり、しゃべる様子が久しぶりに戻ってきました。真田勇司、菊池貴明、荒井和豊の三人組の何気ない会話が楽しいです。


●大嵐の夜に
台風でひとり心細いだろうと、嵐山家に一泊することになった紺双葉。寝相の悪い歩鳥に蹴られ、蹴飛ばされ、1人っ子なのでびっくりしただろうし、無防備だったので相当痛かっただろうなと思います。
ジェセフィーヌはジョセフィーヌよりポンちゃんと呼ばれたほうが音のあたりがいいのでしょうか。

2016年12月6日火曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 4巻

歩鳥の推理が冴える?4巻でした。

亀井堂静(かめいどうしずか)の魅力を削ぐプレゼンテーションの末、一枚の絵をしぶしぶ購入させられた歩鳥。なんでもそれは埋蔵金を示すっぽい絵図でそれを頼りに、歩鳥、弟の猛、タッツン(辰野俊子)、紺双葉、針原春江で、G県鬼保根村に向かうことになったのでした。
おそらく商店街の温泉旅行と同じく、G県鬼保根村に行くことを渋っただろうタッツン。見事に歩鳥の策略にはめられたのでしょう、集合場所にやってきて猛を見たときのタッツンの残念そうな顔。歩鳥ごときにやられた怒りと自分の情けなさで一杯だったろうなと思います。
なんとかタッツンは真田広章といい感じになってほしいけど…。
上手くはいきそうにないですね。
ユンボ。タッツンと猛と同様の経験があります。針原さんがわからなそうな顔をしている猛に親切に教えてあげるのを聞いて、頬を赤らめているタッツンがなんかかわいらしいです。

宿泊先さえも嘘をついていた歩鳥。怒りにふるえるタッツンと口をとがらせて鳴らない口笛を吹き悪びれる様子もない歩鳥が、一度や二度ではないことを物語っているみたいです。


●メイド探偵大活躍
初めて舞い上がる歩鳥を見ることができます。警察官の松田旬作の振り回されっぷりが面白かったです。

●実に奇妙なカード
クラスメイトの伊勢崎エリに猛が振り回されます。学校にいるときと二人で会っているときの温度の差が小学生だったのかな。猛は学校では知らないフリをするべきだったのかな。

2016年12月4日日曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 3巻

歩鳥は普通の人とは優先する順番が違っていて、そのズレが面白くてたまりません。
歩鳥の面白さに磨きがかかっているのと、タッツン(辰野俊子)の真田に対する想いの報われなさが可哀想すぎて面白いです。

タッツンの誕生日会での紺先輩の伏せておきたかったこと、学園祭でのタッツンの妄想爆発、シーサイドを一人で任された歩鳥の奇跡、サンタ大作戦の姉歩鳥とは違う妹の夢を壊さずきちんと落としどころを作った弟猛、なんちゃって探偵で歩鳥に振舞わされるタッツン、椅子を巡る歩鳥に負けたくない数学教師森秋夏彦の挑戦、幼い頃の無邪気な歩鳥が亀井堂静によってミステリーに興味を持ち始めた話、シーサイドの目玉商品の開発、シーサイドマスター兼メイドの磯端ウキの旦那と大いに楽しませてくれました。

2016年12月2日金曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 2巻

ここは下町、丸子商店街!この、一見フツーの通りに存在するメイド喫茶「シーサイド」。女子高生探偵に憧れる天然少女・嵐山歩鳥とそつのなさで人生をこなす辰野俊子に重厚な服が何げに似合うババァが繰り広げるメイドカフェじゃない、メイド喫茶(自称)コメディー。死や風邪菌、温泉をも弄ぶ石黒ワールド、何が何でも第2巻発動!


チカラの抜け加減が面白いです。
メイド喫茶が舞台での話のはずなのに、メイドの話なんてちっとも出ていません。
プラス思考というか、失敗を悔やまない性格、突飛な行動をする嵐山歩鳥が面白いです。

商店街の寄り合いで行く温泉の顔ぶれで態度を180度変える真田広章と辰野俊子(タッツン)。
拒んでいるそれぞれに意図してかどうかはわからないけど、揺さぶりをかける広章の父勇司と歩鳥の加減が面白いです。
温泉地でのタッツンに対しての気の利かなさ、広章の揺れる恋心と葛藤も面白かったです。

事故に巻き込まれてしまった歩鳥。迎えにきた天使や最後の審判が西洋式だなって思っていると、日本式の手続きが日本っぽすぎて面白かったです。

初めて日をまたぐ経験をする歩鳥の弟猛(たける)。
昼間とは違った町の様子に興奮するところがなんだか懐かしく感じました。
絶妙な場所に登場する警察官松田旬作。歩鳥の性格を知り尽くしているのがおかしかったです。
ツメが甘い広章、ちょっとかわいらしい紺双葉(こんふたば)、出てくるキャラが個性的で面白いです。
クスクス笑いがこみ上げてきます。
醸し出す雰囲気が好きな作品です。

2016年11月30日水曜日

石黒正数 それでも町は廻っている 1巻

ここは下町、丸子商店街!この、一見フツーの通りに存在するメイド喫茶「シーサイド」。重厚な服が何げに似合うバアサンと女子高生探偵に憧れる天然少女・嵐山歩鳥が繰り広げるメイドカフェじゃない、メイド喫茶コメディー。商店街の皆さんを巻き込んで只今を持って第1巻発進!


ゆっくり、のんびり、じっくり読んで、コマを何度も行き来して、といったこと繰り返しているとじわりじわりと面白みが増していきます。

やりとりや展開が面白いです。

●登場人物
    嵐山歩鳥(あらしやまほとり)    この作品の主人公。よく笑い、すぐ泣くメイド喫茶シーサイドでアルバイトをする女子高生。
    磯端ウキ            メイド喫茶シーサイドのマスター兼メイド長。
    真田広章            歩鳥のことが好きで好きでしょうがない奇特な少年。歩鳥の幼馴染。
    辰野俊子            歩鳥のクラスメイト。メイドカフェにひそかに憧れを抱いている。
    針原春江            歩鳥のクラスメイト。卓球部に所属。


メイド喫茶とメイドカフェに違いがあるなんて知りませんでした。
この漫画の舞台であるメイド喫茶「シーサイド」は、メイドの制服を着てるだけの、メイド喫茶から連想されるサービスなど一切ないごくごく普通の喫茶店です。

メイドカフェに憧れを抱いていて一度働いてみたいと思っていた辰野俊子(タッツン)は、歩鳥のバイト先がメイド喫茶だと知るとお店に行ってみたいと言います。
歩鳥のバイト先シーサイドを見るなり、タッツンの理想とあまりにも違う店の佇まい、店員の接客態度に愕然とします。

タッツンはメイドとはこう振舞うんだと手本を見せ、歩鳥に稽古をつけることになるのでした。
歩鳥の接客で起こる奇跡は読んでみてください。接客の数コマは笑ってしまいます。

歩鳥のことが好きな真田広章は歩鳥がバイトを始めるなりシーサイドに通う常連客としてやってきます。
タッツンは真田広章のことが好きで、シーサイドに通う常連客だと知ると自分もメイドとして働くことを決めます。
三角関係の恋物語が始まりそうですが、何も起こらず、第二話では恋に触れることなく別の話が展開してきます。

歩鳥のバカっぷりと天才的なひらめき、細かいところにちりばめられている小さな笑いを楽しんでいます。

2016年11月28日月曜日

高橋留美子 境界のRINNE 9巻

氷上のスケーター霊に、大正時代の女学生…そして因縁深きりんねの父、だまし神・六道鯖人がラーメン屋に事業拡大!?鳳の契約黒猫・朧も現れ、次々りんねは事件の渦中へ――!!バラエティーに富む奇問難問・霊的事件、ゾクゾク勃発!!




やりたくもない勉強は睡魔とのたたかいです。

受験生の落合マナブがりんねに依頼したのは、眠くなるのは呪いか何かなんじゃないか調べてほしいというものでした。

何かに取り憑かれていることを感じたりんねは調査を行います。

取り憑かれている原因をつきとめ解決しても、依頼者本人のやる気が頭の片隅でだけ思っているものなので勉強ははかどることはないだろうなと思いました。



真宮桜が友人とスケートリンクに遊びに行くと、小さな女の子の幽霊がスケートをしていて、滑っている子どもたちを邪魔したり、突き飛ばしたりしているのを見つけます。

ユキナという女の子の幽霊に話を訊いてみると、特訓のためシズカが来るのを待っているといいます。

翌日りんねに相談した桜。

りんねもシズカという人物から相談されていると知ります。

小学生らしいなと思うエピソードでした。



一般者から相談を受け、お祓いを行った十文字翼。除霊が完了したはずなのに、翌日、桜は翼の背中に大正時代の女学生の霊が憑いているのを見つけます。

ヤヨイさんという霊が未練を残し成仏できずにいるため十文字翼が協力することになったのでした。

だけど、ヤヨイさんの未練は難易度が高く、十文字翼は見るからにボロボロになっていきます。



なんとかりんねの力を借りることなくヤヨイさんを成仏させたい翼と、ヤヨイさんが翼を自分の成仏の道連れにしようとしていることに気づいたりんね。りんねが気がついたように翼もヤヨイさんの魂胆がわかりすぎるくらいわかっていて、ちょっと頑張りすぎてしまします。

頑張りすぎて、ちょっと入院してしまいますが、無事にヤヨイさんを成仏させることができます。



翼と桜がいるところには、必ずりんねが何食わぬ顔でいるのが面白かったです。



学校の近所にラーメン屋がオープンし、そのラーメン屋から依頼を受けたりんね。

ラーメン屋に向かうと、桜も友人たちと学校で噂になっているラーメン「かえ魂」の行列に加わっています。

店の中から出てきたのは、見覚えのある女の人。

りんねの父六道鯖人の運営する堕魔死神カンパニーの社長秘書だった人でした。

彼女が登場すると必ずついてくるのは鳳。

目隠しをしているとはいえ、鳳にとっては二度目の対面のはずなのに、自分の姉であることに気づくことなく、手加減なしに全力でカマを姉に振りおろすところは、なんか鳳らしいです。



働くことがなによりも嫌いな鯖人が、悪だくみしたり、取り憑かれたり、涙を流したり、りんねを言い負かしたりするところが面白いです。



演劇部の倉庫に眠っていたカツラが役を演じきるのに協力するりんねと桜。

後ろ回し蹴りと、なんかしっくりこない、というヒントがどこに繋がるのかと思い読んでいくと、そっか、そういえば、そこも毛だなというオチでした。



細長い霊がふわふわと漂っているのをりんねが回収しています。

ヘビの霊が集団脱走したのでした。

若手死神が総出で捕獲しているのに、ただひとり鳳だけは、ヘビが大嫌いで見るのもさわるのもいやだと、りんねの部屋でマネキュアを塗り、ヘビの霊の捕獲をサボっています。



この騒動を引き起こしたのは鳳がヘビが嫌いなことを知っている人物の犯行で、鳳に復讐するためにやったのでした。

鳳は、悪だくみをしたら失敗し、自分にかえってくるし、意図しないところで知らず知らずのうちに相手から恨みを買うこともあるところがあります。

りんねと六文の関係のように、鳳にも契約黒猫がいて、名前は朧といい、なにやら仕返しを企んでいるようです。



朧の小さい頃の話は六文が思うように、いくらでも引き返すチャンスはあったはずなのに、なんだかんだと鳳と一緒にいられる気の合う黒猫は朧をおいて他にいないという展開です。



高橋留美子 境界のRINNE 9巻
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2016年11月26日土曜日

高橋留美子 境界のRINNE 8巻

りんねの指導のもと、この世で成仏実習中の小学生死神・翔真。しかし翔真は大物悪霊を狙うばかりで、成仏実績いまだゼロ。さらには悪魔・魔狭人に目をつけられ、よからぬ方向へ歩み出し…!?世話役りんね、振り回されながらも先輩として死神の道を説く!!




死神小学校の児童がこの世にホームステイし、実際に霊を成仏させるという実習が始まり、りんねの元に死神翔真という児童がやってきます。

成仏ポイントを50点稼いで終了という実習の内容です。

実習は成仏させるものによって点数が分かれていて、犬猫は5点、金魚は1点、小鳥は2点、寿命を迎えた霊は10点、訳あり地縛霊は30点、悪霊は50点、となっています。



クラスメイトは点数は低いけれど、自分たちの力でなんとかできるものを数をこなしていくのに対して、翔真という児童は高得点狙い、無謀にも悪霊を成仏して50点を獲得し、ホームステイを終了しようとたくらんでいます。

未熟なうえ、技術もないのに、クラスメイトには、

「へえ~、さっすが翔真くん。ボクら、悪霊なんてこわくて近づけないよ」

と、感心されたいらしく、本当はこわいのに悪霊を成仏させようとします。



翔真のダメっぷりに目をつけ、翔真を指導するりんねを困らせようと魔狭人もやってきてにぎやかになり、大変な役回りのりんねと、実習を通じて良い経験をした翔真でした。



心の狭い魔狭人の、

「ふっ、忘れたか、僕は女・子供等自分より弱い者には、いっさい手加減しない!」

には笑いました。



簡単に騙されてしまう鳳。

あの世の縁日でインチキ商品を高額で売りつけられたとも知らず、販売員の宣伝文句を信じきってりんねの部屋に持って行きます。

購入した商品がもしかしたらインチキなんじゃないのか、と騙されたことに気づきはじめるのと、りんねと真宮桜と十文字翼が、鳳がかわいそうだから優しくしてあげようとするのが交差し、鳳が思っていたのと程遠いけど、すこしだけりんねのと距離が縮まった気がしているようなので、今後も鳳はこの手の商品を高額で買っちゃうんだろうな、と思いました。

りんねと六文には冬を乗り切る超豪華暖房器具が手に入ってよかったです。



調理実習では、感情は抑え、表面上は冷静を装おうとするりんねが、美味しい唐揚げを食べるためにいつもとは違う面を見せたり、首しめマフラーの謎解きでは事件よりも桜の手編みのマフラーもらうことに重点をおいているところが面白かったです。




高橋留美子 境界のRINNE 8巻
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2016年11月24日木曜日

高橋留美子 境界のRINNE 7巻

桜のことになると動揺を隠しきれないりんねと、りんねのことで気になることがあっても表には出さず冷静に振舞おうとする桜が面白いです。




今まで来なかった霊が家に現れ、困った桜は原因究明をりんねに依頼。「桜の家に遊びに行ける」と舞い上がるりんねだったが、二人の仲をやっかむ十文字&鳳が押し掛け、調査は一向にはかどらず…!?化け猫・呪いに祭りの怪異…霊的トラブル続々発生で死神りんね、東奔西走!




リカちゃんに夏祭りに誘われるりんね。

以前、遊園地に誘われて悲しみのどん底に落とされるくらいタカられた苦い思い出があるからか、即決で断ります。

このあとのリカちゃんの行動はぜったいにわかっててやっていると思います。



桜とミホちゃんとリカちゃん、そして翼がお祭りを楽しんでいると、りんねが女の子と手をつないで歩いているところを目撃してします。

いままで見たこともないような笑顔のりんねを見て、桜は読み取りにくい反応をします。

一方、女の子と手をつないで、デートしていると言ってしまったりんねは全身汗だくで、桜に誤解を解く方法と依頼された仕事で大忙しです。



女の子に向けた笑顔は営業スマイルだと静かに弁解しているりんねの心の内はどんな感じだったんだろう。

これでわかってくれただろうか?と不安がいっぱいだったのかな。



ミホちゃんとリカちゃんとで海に来た桜。

浜辺に幽霊がウヨウヨいます。

ちょうど浜に除霊のバイトに来ていた翼、霊たちを集めて成仏させるバイトをしている鳳とりんねに出会います。

りんねに桜と翼が海デートだと知らせたかった鳳、あっさりとさっき会ったばっかりだと桜に言われてしまう翼ががっかり感が面白かったです。

「桜っ」

初めて名前で呼んだりんね。

そのあとの桜はちょっと意地悪な気がします。

翼のほうはりんねが桜と下の名前で呼んだのがうらやましかったんだろうなと思います。



霊道石という石が俗世間に興味を持ち、大都会のゴージャスな夜を満喫しないと元居た場所に帰らないとダダをこね、りんねに接待させます。

壊してしまうと罰金を支払わなくてはならないので下手にでて、低予算でできる限りのもてなしをします。

何百年も人間を見てきて、よりによってホストクラブに興味がわくというのが面白かったです。



祠を壊してしまい化け猫にとり憑かれてしまった小学生を助ける依頼を受けたりんね。

小学生たちを無事救出するまではかっこよかったのに、そのあとがダメダメだったりんねでした。



自宅にいるときは霊を見ることはなかった桜。

ところがこのところ家の中で幽霊をやたらと目にするようになり、りんねに相談します。

桜の家に行くことになったりんねの浮かれ具合が面白いです。

それを見ていた翼と、若手死神の死神道具の講習会を欠席してどこかに行ってしまったのを不信に思う鳳と六文に邪魔され、桜の家で二人きりの楽しい時間を過ごせるはすが、全員ついてきて、ふくれっ面のりんねなのでした。



それでも桜とふたりになりたいりんね。

あらゆる策略を総動員して翼と鳳を桜の家から排除しようとします。

りんねの必死さが面白かったです。



桜にとって頼りになる存在でいたいりんね。

手痛い出費でも男はじっと我慢のりんねでした。



園芸部にかけられた呪いをとくという依頼を受けたりんねと桜。

わかりやす過ぎる反応をする朝妻トモオと井本、サツマイモが人間的な感覚でしゃべるのが面白かったです。



高橋留美子 境界のRINNE 7巻
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2016年11月22日火曜日

高橋留美子 境界のRINNE 6巻

どうやってもりんねに勝てそうにない十文字翼の不運が面白かったです。




人間の寿命を管理するあの世の名簿係、記死神・架印(かいん)登場!!なんとりんねの父・鯖人は、架印の母に多額の借金をしているという。債権者・架印は担保がわりにと、りんねから大切なものを奪い去り…!?さらには鯖人も加わって、死神・りんね、絶体絶命大ピンチ!!




魔狭人が翼に与えたりんねを呪う「悪魔の書」によって、ひどい目に遭うりんね。

捨てても、燃やしても自分の元に戻ってきて、つい頭に浮かぶりんねへの黒い思いによって、りんねを呪ってしまいます。

「なんとかならない?翼くんお祓い屋さんだし」

桜から助けを求められるけど、意図しないにしろ呪っているのは翼本人で、ただでさえ後ろめたい気持ちなのに、

「誰がやってるか知らないけど、人を呪うなんてサイテー」

追い討ちをかける桜の言葉に、なにがなんでもりんねを呪っているのが誰なのか、桜にバレるわけにはいかなくなってしまう翼の心情が面白いです。



桜に誰の仕業なのかバレそうになったとき、自分を呪おうとした翼。

自分には甘すぎる呪いには笑ってしまいました。

頭がチリチリになり、ボロボロになりながらも、禊が済み、聖石(パワーストーン)が聖なる輝きを取り戻すと、聖なる石の精霊が魔狭人をこらしめます。



何かやられたとき、瞬時に元以上を取り戻そうとするりんねの悪だくみが面白いです。



普通の人にも見える幽霊が桜の前に現れ、りんねとともにその幽霊の未練を探ります。

「成仏したの?」

「逃げただけだ。我々もこの場にいては危険だ。行くぞ!」

「え…あ…そーゆー事…」

りんねと桜のこのやりとりが面白かったです。



堕魔死神を成敗する鳳を冷静に徹底的にバカにする記死神(しるしがみ)架印(かいん)が登場します。桜と六文と翼と鳳が協力してりんねを救います。



鳳の道具にはリボンがついているのに気がつきました。裁きの輪はこれからどんなことに役に立つんだろう。



高橋留美子 境界のRINNE 6巻
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2016年11月20日日曜日

高橋留美子 境界のRINNE 5巻

鳳に対して冷たすぎるりんねが面白かったです。




りんねに「堕魔死神カンパニー」を継がせるため、強引に結婚指輪(百万円!)を用意し、桜とりんねの結婚を画策する父、鯖人。だまし神に恨みを持つ死神少女・鳳(あげは)の乱入で事態は混沌!!りんね・桜・鳳の三角関係も加わって、もつれにもつれる会社相続騒動!!




美人秘書の正体が知れ、鯖人が登場しりんねのとの関係が明らかになり、ひとり怒るわ、泣くわで忙しい鳳。

育ちがいいからか疑うことを知らず、簡単に騙されてしまう鳳を見て腹を立てるりんねが面白いです。

そして、そこだけ切り取られて見られてしまうと言い訳がたたない、というところを桜に目撃されてしまうりんねというオチで終わります。



なんとか前回の疑惑?を晴らそうとするりんねだけど、聞く耳を持とうとしない桜の間に、またしても鳳が登場します。

りんねに鳳を押す翼。

桜にりんねと翼の会話の一部分だけ聞かれて、より苦境に立たされしまうりんねが面白いです。

空回りしている鳳がりんねと桜と翼の中に馴染んでくる日は来るのかな。



百葉箱に先月から図書室にある可動式の本棚が動かなくなったという図書委員の依頼にあまり乗り気でないりんね。

お供えがうれしくないのでした。

六文の言うとおりりんねにとってイヤガラセそのもののお供えでした。

同じ頃、桜も友人たちと図書室での出来事を話していて、見に行ってみることになりました。

一見普通に見える本棚をよく見てみると、本棚の間からヒモのようなものが少しだけ出ています。

桜がヒモに気がつくと同時くらいに翼が現れて、

「中になにかいるな」

聖灰を投げます。

翼があまりにもタイミングよく桜の前に登場するのが面白かったです。

彼は常に桜の近くで待機しているのかな。

考えようによっては翼が桜の前に現れるのはちょっとコワくなってきます。



りんねも図書室に到着します。

開かずの本棚のすきまから出てきてきたのは土佐犬の生霊でした。

ヒモは土佐犬のリードで途中でちぎれてしまっています。

霊道を使って飼い主を探すことになりました。



鳳がフラフラ空を飛んでいると、女の子の地縛霊を発見します。

「ちょっとあんた。成仏できないの?」

話しかけると、地縛霊は失恋話をし始めます。

他人事とは思えない鳳。

事情を訊き、思い出せない大事なこと訊き出そうとしている矢先に、霊道からりんねと桜と六文と翼がヒモをつたって鳳と地縛霊の元にやってきます。

霊道の出口に鳳がいるのを見るや、くるっと引き返そうとするりんね。

一方、偶然の出会いにときめく鳳。

協力してこの件を解決することになります。



はりきっている鳳が桜の話をまったく耳に入れなかったり、地縛霊の思いを自分のものと重ねたりしているところが面白かったです。



陸上部のエースが突然不自然な転び方をするのでなにかの祟りではないかと百葉箱に入った依頼を読むりんね。

久しぶりに桜とふたりで解決します。

翼から今度の日曜日に、桜も通っていた小学校の校庭にある大木、通称「おばけ杉」の根元に埋めた聖石(パワーストーン)を掘り出しに行かないかと誘われた桜。懐かしさもあり二人で行くことになりました。

翼の押さえ切れない嬉しさが声に出ているや、気になって翼と桜のデート場所に現れるりんね、小学校のときの桜とヨータくんのたたかいが面白かったです。



高橋留美子 境界のRINNE 5巻
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2016年11月18日金曜日

高橋留美子 境界のRINNE 4巻

一方通行気味だったりんねと桜の間に互いが意識せざるを得ない、愉快なキャラが登場します。




りんねの前に突然姿を現した赤髪の男。その正体は、悪の死神組織「堕魔死神カンパニー」を率いる父・六道鯖人(ろくどうさばと)!会社を継がせたい鯖人 VS. 会社をぶっつぶしたいりんね。桜と翼に、謎のアザラシも巻き込み、あの世にて宿命の父子バトル開幕!!




六道りんねの父親であり、非合法会社堕魔死神カンパニー社長の六道鯖人(さばと)が登場し、派手な親子ゲンカが行われます。

決着をつけたのはりんねのおばあちゃんで、鯖人のお母さんの魂子なのですが、彼女はどうやって侵入できたんだろう。



堕魔死神を倒すためだけに生きているという死神鳳(あげは)がりんねの前に現れます。

行方不明の姉を探していると、差し出された手がかりの写真には姉と一緒にりんねの父親鯖人が笑顔で写っています。

反応に困るリんね。意気込む鳳を見て沈黙を守ろうと、

「おれもきみと同じく、だまし神カンパニーを憎む者」

できる限り協力することを約束します。

それで終わればいいのだけれど、ツイてないりんねは、

「嬉しいっ!」

鳳が手を握っているところを桜に目撃されてしまいます。

ここから物語が進むごとに手を取り合っているりんねと鳳の様子の記憶が誇張、改ざんされていくのが面白いです。



だまし神カンパニーの美人秘書の前に死神鳳が現れ姉妹対決が始まります。



高橋留美子 境界のRINNE 4巻
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2016年11月16日水曜日

高橋留美子 境界のRINNE 3巻

恋の要素が新たに加わって、冷静な桜、桜について動揺しまくるりんねのやりとりが面白いです。




りんねのクラスにやって来た転校生・十文字翼(じゅうもんじつばさ)。お祓い屋を家業とする翼は、転校してきて早々、初恋の相手である桜に急接近!恋にも霊にも直球勝負の翼に対し、りんねは…!?トイレの花子さんに、悪の死神・堕魔死神(だましがみ)も登場し、浄霊合戦は大乱闘




転向してきて自己紹介も終わらないうちに桜に告白する大胆なりんねの恋のライバルになる十文字翼が登場します。

成仏させることを建前に桜、りんね、翼の思惑が入り乱れます。

ただ、りんねはまだ胸の奥にわきあがってくる気持ちが何なのかよくわかっていません。

今回の未練は好きだった桜の友達ミホちゃんと一日デートしたいといもの。

臼井くん(成仏できない霊)のことをよく知らないし、大勢のほうが楽しいというので、ミホちゃんは桜を誘いどさくさにまぎれて、そのデートに翼がついて行くことになります。

4人で遊びに行くことを知ったりんねのこみ上げてくるイヤな気持ちの言い回しがおかしかったです。



翌日、桜とミホちゃんが男の子と4人で遊びに行くことを聞いたリカちゃん。

自分も行きたいと言い出します。

当日、リカちゃん待ち合わせ場所に連れてきたのはりんねなのでした。



りんねの様子を気にする桜。

リカちゃんにタカられてちょっと可哀想だけど、桜の笑顔になんだか楽しい気持ちになるりんねは遊園地に来てよかったと思ったはずです。

臼井くんの未練は無事果たされ姿を消します。



高額な賞金が懸けられた悪霊退治に乗り出すりんね。

黄泉の羽織で簡単に確保できたと思ったのに、中から出てきたのは小さな女の子なのでした。

女の子は自分はトイレの花子さんで学校で大人気だったのに、5年前十文字翼に浄霊され住処にしていたトイレを追い出されずっとお空をさまよっていたとりんねに打ち明けます。

トイレの花子さんの未練は翼に復讐することなのでした。



りんねに打ち明けるトイレの花子さん視点の話しが面白いです。

翼に復讐するために力を借りたのがりんねが標的にする悪霊で、見事に退治します。

トイレの花子さんの翼への復讐も翼が花子さんを守り、謝ることによって解決します。



学園祭。

一年四組の桜のクラスは喫茶店を出店し、ウェイトレスとなり接客していると怪しげな霊らしきものが入り込んできます。

悪霊の気配を感じ戻ってきた翼。

聖灰を撒き散らし模擬店をメチャクチャにしてしまいます。

どうして翼はところかまわず、灰をまいちゃうんだろう。

困ったヤツです。



悪霊とは死ぬべきでない者を惑わし、あの世に誘うという、りんねが堕魔死神(だましがみ)と呼ぶものでした。

堕魔死神は学校の女生徒をあの世に連れ去ろうとします。

「負けるわけにはいかないんだ」

いつになくりんねは真剣です。



罠を仕掛けて、堕魔死神のアジトに潜り込み無事に女生徒を救出できたのですが、堕魔死神とりんねの因縁は深そうです。



翼の聖灰もりんねの黄泉の羽織も効かない、美術部に現れる顔のない女の正体を探るりんねと桜と翼。翼の押さえ切れない桜への想いが声に出ているのや、美術部部長二年三組絵川スグルのわかりやすい独白、前美術部部長三年一組絵草仁美の頭の弱さが面白かったです。




高橋留美子 境界のRINNE 3巻
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2016年11月14日月曜日

高橋留美子 境界のRINNE 2巻

婚約者への未練から成仏できない落武者霊。未練が何か忘れてしまったプールに棲まう少女霊。次々と巻き起こる怪奇現象に立ち向かうのは死神みたいな少年と霊感少女の名コンビ!?そんな時、りんねに根深い怨みを持つ心の狭い悪魔・魔狭人(まさと)が現れ、また大騒動!!




成仏できないくらい執着していたわりに、探し人が思っていた人と違うことが判ると、あっさりと成仏してしまう落ち武者や、雲外鏡(うんがいきょう)という前世の姿を映す道具でりんねの依頼人である姫川カオリを映し出すと落ち武者と結ばれるはずの姫の生まれ変わりなどではなく、人間ですらなかったのが面白かったです。


時を経て、女性の好みが現代の感覚になってしまい落武者は、結ばれる約束をした姫の右手の手首にあった花びらのアザをいまさらながら思い出したり、保健室のサトウ先生を雲外鏡で映し出してみると、

「姫でありませんように。ありませんように!」

前世姫であったことよりも現世の姿を重要視して、サトウ先生が姫ではないという結果にはにぎりこぶしを握り、

「っしゃあ!」

声を上げて歓喜する始末。成仏できない落武者も本来の願いそっちのけで楽しんでいる様子が面白いです。



最後のオチは落武者の現世での未練をきっぱり断ち切れるほどのもので、なんとか姫川カオリの依頼は解決します。



真宮桜が体育の授業のプールで遭遇した自由気ままな歌姫の未練をりんねとともに解決します。

桜はプールの中から響いてくる叫びのような不思議な声に気がつきます。

クラスメイトが目の前で突然おぼれるので、もぐって見てみると足を引っぱっている霊らしきものと目が合います。

じっと見つめていると、

「あんた…私が見えるの?」

問いかけられ、うなづくと、

「昼休み、もう一度来なさい」

と言われ、りんねとともに昼休みにプールへ向かいます。

りんねもこの歌姫歌川ミソラのことを気づいていて、依頼もあったので協力することになったのです。



成仏できるように未練の原因を探るのですが、一向に糸口が見当たりません。

歌川ミソラのプライドが高く、なんだかわからないけど、プールで足をひっぱるいたずらをするのや、夜合唱部に所属していた彼女が課題曲をアレンジして高らかに歌いあげて練習しているのが笑えます。

美人で頭もよく、スポーツ万能で歌もうまい歌川ミソラが唯一気にしていたことが未練となり、成仏できないことに気がついたりんねにより一件落着します。



人間味があふれていて悪魔とは程遠い魔狭人という悪魔が登場します。

自分でも、

「心の狭さは誰にも負けない」

自信満々に言い、りんねにただならぬ恨みを持っています。

りんねを地獄におびき出して、メッタメタにやっつけてやる気でいるのに、魔狭人はツメが甘すぎます。

これからも度々登場してりんねを困らせるキャラになるようです。



高橋留美子 境界のRINNE 2巻
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2016年11月12日土曜日

高橋留美子 境界のRINNE 1巻

真宮桜(まみやさくら)の心の声やツッコミ、六道りんねのドジなところやちょっとズレている感覚や感情が面白いです。




幼い頃から幽霊が見える女の子、真宮桜がある日出会ったのは、死神みたいな仕事をしてる不思議な少年・六道りんね!この世に何かの未練を残し、さまよう幽霊たちを輪廻の輪へ送るため、2人の奇想天外な放課後が始める!!




真宮桜は神隠しに遭ってから「幽霊的なもん」が見えるようになった女の子です。

桜が教室で隣の席の男の子六道りんねの仕事に巻き込まれていくコメディです。六道りんねはこの世に未練を残した地縛霊を無事成仏させる役目を務めています。

真宮桜は幽霊が見えるので、恐怖というものをあまり感じず、動揺しません。

六道りんねは桜の前にそんな彼女でも驚くような登場をします。



真宮桜と六道りんねの最初の出会いが面白かったです。

りんねは高校入学以来ずっと空いたままになっていた席に遅刻しているのに堂々とやってきます。だけど、彼の姿は桜以外誰も見えていません。

ゴソゴソと机の中からクラッカーのようなものを取り出し、授業中だということを気にする様子もなくクラッカーを鳴らします。

破裂音と同時に中から小さなドッグフードがたくさん出てきて、あたりに撒き散らしてしまいます。

すると、どこからか人間の何倍もある大きなチワワがプルプル震えながらやってきます。りんねはそのチワワに話しかけるのですが、右腕の二の腕あたりまでばくっとかじられてしまいます。

「大丈夫…こわくない」

りんねはアニメの影響を受け、優しく撫でながら話かけ、危害を加えられないと判ればおとなしく離してくれるはずだと思っています。

りんねの思惑は見事に外れ、パクッと腕どころか身体ごと飲み込まれてしまいます。

桜その様子を授業ほっらたかしで見ています。

りんねを飲み込んだチワワはフッと教室から姿を消します。



放課後、桜の前に、やや疲れが出ているりんねと、2、3発はげんこつをくらっただろうりんねの腕に抱かれた小さくなったチワワが再び現れます。

桜は朝の教室みたいに幽霊だろうと思い、突進するとりんねにぶつかってしまいます。

りんねは桜に見られている気がしていました。



見えるはずのない姿が見えている桜の助けを借りて、チワワと桜にまとわりついて成仏できずにいる霊をあの世にある輪廻の輪に導いてあげます。

りんねは、

「非常事態とはいえ、おまえを巻きこんですまなかったと思う」

りんねは海外テレビドラマの影響を受けていると思われるセリフを桜に告げ、催眠術をかけ現世に戻します。



この出会いをきっかけに桜はりんねの仕事をあれこれと手伝ってしまうことになります。

友人の携帯電話に、毎日放課後同じ時刻にかかってくる男の声の主の現世の心残りを解決したり、りんねのおばあちゃんが登場し、桜の幼い頃の記憶がよみがえったり、六文という黒猫が登場したりします。



やりきった入場口、桜が「幽霊的なもん」が見えるようになった原因が面白かったです。桜はりんねに会うべくして会ったのでした。



高橋留美子 境界のRINNE 1巻
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2016年11月10日木曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 15巻

話の展開は少しスローペースです。
能力を使おうとしないタイスケ。
ユキエは葵を奪われて情緒が不安定な状態で、軍の海上にある基地へ、なりふり構わない奪還作戦を決行します。
ユキエを怒らせることなく無事に葵を救出したいタイスケとナミはそれぞれ違うルートで葵を探していきます。
タイスケの前にはマクファーソン、ナミの前にはD4が立ちはだかり戦いを避けることができない状況になりつつあります。

御霊とメグミも心臓が沈んでいる海、軍の海上の基地ヘ向かい、役者が心臓の真上に集結しつつあります。

2016年11月8日火曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 14巻

手塚葵大活躍です。
浮かれすぎているタイスケが面白いです。
大きな話の進展はありません。

2016年11月6日日曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 13巻

ナミのキャラクターがちょっと変わってきました。初めて登場した頃は冷たかったのに、笑ったり、照れたり、面白キャラになりつつあります。

ユータの大ファン、丘田くるみも激変。
この変化には驚くしかありませんでした。

メグはどうなんだろう?変わったのは見た目だけなのか、勝又に操られたままで断片的にしか記憶がないのかな。

2016年11月4日金曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 12巻

心臓を封印するため横須賀基地に突入。計画は失敗に終わり、タイスケたちは一旦解散することになります。
ナミの家にお世話になるタイスケとナミの父親とのバトルが面白かったです。
メグも成長して髪が長くなって登場します。
御霊はあの噴火のなかで生まれた生命体なのかな。

2016年11月2日水曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 11巻

登場するキャラクターのそれぞれの思いが描かれていて面白いです。

ユータがこの2年間、ずっと後ろめたく感じていたことを手塚葵の母親由紀恵に慰められる場面、タイスケの失った記憶を呼び起こさせたのが姉の叶陽子だったこと、タイスケが記憶が戻らないように、出て行かないように方向違いの努力をしていた葵がよかったです。

2016年10月30日日曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 10巻

第二部のスタート、北海道の湖での出来事から2年。
湖で能力者は消えたと思っていたのに由良が生き残っていました。ユータもナミも成長していて新たな展開が始まります。

ユータの学校に変な転校生、手塚葵がやってきて、女の子はタイスケを知っていました。
葵もユータやナミと同じく能力者でタイスケは生きていることを知らされます。

2016年10月28日金曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 9巻

アクロの心臓を手にした華音(かのん)は器が小さいため弾けてしまい、当初の予定通りアクロの心臓が選んだのはヒロ(広瀬雄一)でした。
心臓に触れた能力者は内なる欲求に耐えられなくなり、心の傷をえぐられて消えていきます。
タイスケは人の未来と過去が見える三咲の言ったとおり、選択を迫られます。

かろうじて生を選択したタイスケはアクロの心臓を持ち器であったはずが意思をもち暴走し始めたヒロを止めようと挑みます。
まったく歯が立たない中でタイスケは自分の能力で何をすべきかが見えてきて決着をつけようと決心します。

シリアスな展開が続いているので、唯一、タイスケとユータとナミの会話が和ませてくれました。
噴火はタイスケが誘発したものだったのか、最後に生まれた生命はなんなのでしょうか。

2016年10月26日水曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 8巻

心の傷の深さを描きながら戦いが続きます。
湖から浮かんできたアクロの心臓は華音が手にいれるけど、器が小さすぎて耐え切れず弾けてしまいます。

2016年10月24日月曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 7巻

ナミの弟とのエピソードがよかったです。

目的地の湖にたどり着きます。
湖の付近で弟の命を奪った赤毛の女を見つけ対決。
メグは岡田と、タイスケから離れてはいけない、という死神の約束を交わしてしまい、タイスケは戦えない状態になります。
戦えないタイスケのもとへ森尾がやってくるし、麻生は勝又に操られてしまうし、赤毛の女、華音が劣勢になると由良が加勢してきて、複雑に入り組んだ展開が繰り広げれます。戦いばかりが続きます。

2016年10月22日土曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 6巻

勝又がアクロの心臓を手に入れるための条件を満たすために画策した、メグの逃亡と、ヒロの覚醒は見事に成功します。
タイスケはスワンボートを全力で漕いで勝又の行方を捜すというどうにもならないことをし、それにツッコミを入れるユータ。
タイスケがヒッチハイクしたドライバー、吹石稜とタイスケの姉の叶陽子の初顔合わせ、ナミの料理の腕、面白い場面がたくさんありました。

石化の能力を持つ麻生、水の能力を持った論くんが登場し、ナミ、タイスケと対決します。
石化してしまったユータはタイスケの成長途中なのかまだ秘めている能力かによって助かるのですが、タイスケは火の能力以外に別の力を備えているのか、火という能力が応用されたものなのかはわからずじまいです。

2016年10月20日木曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 5巻

死神の約束という能力を持つ岡田剛はなかなかいいキャラクターです。
楠奈美の旅の目的である弟の命を奪った人物も登場します。
見た目と内面が上手く合っている印象を受けたこちらもいいキャラクターです。
勝又がタイスケの前に現れ、北へ向かっている目的、能力を持つ者とそうでないものの謎を告げ、目的の地まで来るように促します。

これまで漠然としていた目的が明確になり、展開がひとつの方向へ向かっていきます。
メグはタイスケに似てて、ちょっと面白いキャラクターです。

2016年10月18日火曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 4巻

北へ向かう勝又とヒロたちを追うタイスケとユータを追いかける、事件の真相を究明しようとする記者の雨宮今日子と、彼女の後輩の小田正志。これまで出てきたヒッチハイクに協力した吹石稜も再び登場し、雨宮と接触し、それぞれがなんらかのつながりを持ち始めていきます。

タイスケとユータ以外にも勝又を追う者が現れ、タイスケと遭遇すると互いに能力者だということがわかり、戦いになります。

氷の能力を持つ女、楠奈美(くすのきなみ)が登場します。
彼女は大事な弟を奪った炎の能力を使う勝又の仲間を追っていて、タイスケが勝又の仲間ではないことがわかると見つけるまで一緒に行動することを決めます。

タイスケとユータの掛け合いや、楠奈美がこれからどう変化していくのかが楽しみです。

2016年10月16日日曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 3巻

旋風で真空を作りあらゆる物を切り裂く風の能力を持つ森尾と遭遇します。
タイスケ(叶太輔)は自分の能力が少しずつ目覚め始めていきます。

タイスケに瀧沢勇太(たきざわゆうた)という小学3年生の能力を持った仲間ができて、年齢の差があるのにもかかわらず、いいコンビで小学3年生が高校1年生を手玉に取っているのが楽しいです。

能力者は能力者を感じることができて、近くにいる気配を感じたり、人ごみの中で存在を見つけたりすることができるようです。
タイスケはそういう能力がないみたいで、発展途上の能力のようです。

人の過去と未来が見える能力を持つ者には選択を迫られると告げられ、幻覚で相手を支配する能力を持つ者には選択を誤ることの恐ろしさを体験します。

巻末のお目汚しマンガもおもしろいです。

2016年10月14日金曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 2巻

ヒロ(広瀬雄一)はメグ(落合恵)を連れ去ってどこかへ消えてしまいました。
気を失ったタイスケ(叶太輔)は目が覚めるとベッドの上にいました。
3日間も眠り続け目が覚めると、腹の傷もふさがっていて、いよいよ自分が普通の人間ではなくなってしまったことを自覚し始めます。

急いでメグとヒロの実家へ向かうのですが、やはり二人はいませんでした。
ヒロのマンションのエレベーター内で大勢に絡まれえて路地に連れて行かれ男と会います。
男は警告と、仲間とともに北にむかうことをタイスケに告げると姿を消します。

メグとヒロを追って北へ向かおうとするタイスケ。
ヒッチハイクをし、立ち寄ったドライブインで同じ能力を持つ少年と出会います。
彼の名前は瀧沢勇太。
能力は隔離で完全に切り取られた別世界を作り上げる能力を持っています。
そのちからを使って、ドライブインまるごとを隔離してしまいます。

どうやら、「なにか」が身体に降ってきた者は生と死のどちらを選択するかという命令が下されるようです。
そして生きることを選んだものは特別な「能力」を身につけることができるようです。

勇太は同じようになにかが降ってきた母親も、自分のように生きることを選んでほしかったと悲しみを抱えつつ、タイスケとともに北へ向かうのでした。

北へ向かう途中で、能力をもった者と戦っていくストーリーのようです。2巻でもまだ目的は明らかになっていません。

2016年10月12日水曜日

河島正 あだちとか アライブ 最終進化的少年 1巻

この先何かが起こるんだろうという期待をさせながら次に続いていきます。

主人公の叶太輔は高校生です。
タイスケ(叶太輔)と幼馴染の落合恵、親友である広瀬雄一の三人は同級生でごく普通の学校生活を送っていました。

ヒロ(広瀬雄一)はいじめられっ子で暴力が嫌いな男の子。
タイスケはいじめられているヒロをよく助けていました。
助けるたびに傷を作って、メグ(落合恵)や三人が通う学校に勤めているタイスケの姉の陽子を心配させます。

タイスケと陽子は両親を亡くし二人で生活をしているので、陽子は心配でたまりません。

ある日の授業中、居眠りをしているタイスケは、からだ中に「なにか」が降ってくる衝撃を感じます。
それは暗い闇を思わせるもの。
なにかはわからないけど、降ってきた衝撃のあったことを除いて変化はないように感じていました。
ところが、世の中では「なにか」に関係しているのかどうかはわからないけど、その出来事を境に次々と事件が起こります。

タイスケの大事な親友のヒロも太輔と同じように「なにか」が降ってくる衝撃を受け、そこからヒロの雰囲気が一変します。
いじめられっ子だったヒロに「なにか」はちからを与え、なんらかの目的を達成するためにメグ(落合恵)を連れて姿を消します。

2016年10月10日月曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 9巻

千明くん、永遠さん、ゴメスの手助けによって、バーディーがネーチュラーを救出し、やっとのことで拘束された浄化学館東京支部の施設から脱出します。


連邦指名手配犯・レビの拘束から逃れたバーディーは、依然囚われたままのネーチュラーの救出へ。初めて手を握ったバーディーとネーチュラー。連邦の潜入捜査官カシューまで参戦、彼らの脱出戦の行方は…いかに……!?

奥の院、神祇庁は派遣した特殺官ネーチュラーからの報告がないことに焦りを感じています。
クリステラ・レビという人物は奥の院にとって公表されると都合が悪い事情を多く抱えていることがわかります。
さらにネーチュラーにはとっておきがあるようで、
「あの存在が、我々の干渉を無効にしているというのか」
といい、いざというときのために、ネーチュラーになにか細工をしているみたいで、そのなにかが、バーディーによって抑えられてしまっているようです。

冷静さが崩れないクリステラ・レビ(火之宮水晶)はなにもかも計画通り、とでも思っていそうです。
アンカーマンと同行しているカシューはネーチュラー救出の機会を探り、ゴメスはあらゆる方向に可能性を残しておく策を講じ、バーディーは漠然とした計画のもと、施設の脱出を考えています。
そんな矢先、大気圏外から東京湾に爆発する何かが落とされます。

攻撃を受けたと認識する日本政府。宇宙人を尋問するための通訳を必要とし、施設にやってきた椿さんは一旦防衛科学研究所に戻ります。
宇宙人の存在を日本政府は確認しているけれど、国民にその事実を知らせることはあるのでしょうか。
もし公表するなら、大混乱するだろうなと思います。

緊迫感が続く展開に、バーディーの存在は気持ちをホッとさせます。
深く考えないからか、悲観的にならないからなのか、物語から距離が遠くなりそうになるところをうまく戻してくれます。

大アルタ帝国側にもイクシオラの生き残りがいました。
近衛兵団のダールは、バーディーと互角の戦いです。

ダールの、
「イクシオラ・アルテクス――――連邦だかなんだかの専売特許ではないんだよ」
どこかで聞いたようなセリフと、どこかでみたような顔が面白かったです。

Q体ってなんだろう。
イクシオラは誰もが持っている力のようです。
この力の恐ろしさは馬鹿力のほかになにがあるんだろう。

帝国の側近と火之宮水晶(クリステラ・レビ)の立場が逆転する場面が面白いです。
企みを含むレビの表情はこれから先、旧帝国の面々をどう利用しようとしているのでしょうか。
楽しみです。

施設の外に出られたバーディとネーチュラー。
外に出た途端、ネーチュラーに異変が起きます。
奥の院、神祇庁のはじめのセリフはここにつながっていました。
施設にはあらゆる電波や信号を遮る装置が備わっています。
レビ捜索は地上に降りないと不可能だった理由にもつながりました。

2016年10月8日土曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 8巻

連邦の法律にのっとって順当な手続きを踏んでクリステラ・レビを裁判にかけたいバーディーと奥の院神祇庁特殺官としてクリステラ・レビの抹殺命令を遂行しようとするネーチュラー。
イクシオラは奥の院にとって忠実に命令を実行する駒でしかないことを感じさせます。


連邦指名手配犯・レビの圧倒的な力に屈し、捕らわれてしまったバーディーと、特殺官ネーチュラー。あくまでレビに真実を吐かせたいバーディーと、殺害の使命を帯びたネーチュラー。それぞれの正義ゆえ事態はどう転ぶ…!?



絶妙のタイミングでクリステラ・レビとバーディーの前に現れたゴメス。ネーチュラーに彼女が帰還したときに、連邦にバーディーの居場所がないようにあえて連邦を裏切る可能性をにおわせる行為は大したものです。
きちんとポイントは押さえて行動していると思わせるゴメスの本当のところの関心はどこにあるのだろう? 立ち位置はクリステラ・レビに惜しみない協力をし、忠誠を誓っているようにみえるのに、千明くんにはバーディーに寄せる想いを上手に利用して、トラブルを引き起こさせます。
145ページでは、
「勝ち目のない闘いなど帝国にだけやらせておけばいい」
といい、帝国の亡霊たちが夢に描いていることが現実的ではないこともわかっています。惜しみない協力と適度な破壊と混乱が何に結びついていくのか楽しみです。

クリステラ・レビがバーディーに話したことをそのまま真実として信じるなら、奥の院、神祇庁によって洗脳されたネーチュラーは、解放することはできないのかな。
ゴメスが解放されたように解放されると面白い展開になりそうだなって思います。

アルタ帝国の皇帝及び側近は見ていてかわいそうになってきます。
皇帝が生きてさえいれば、どうにかすれば帝国が再建されると信じています。
昔の権威をまだ引きずっていて、みじめな最後を迎えるだろうなって思います。

連邦で学んだ歴史と事件経緯と、クリステラ・レビの語る真実があまりにかけ離れているのに、バーディーはテロリストとして指名手配され異端認定されているクリステラ・レビの言い分が偽りだと断定することができません。
迷っています。
捜査官として、地球にやってきて任務をこなすことのほかになにもないはずが、これほどまでに迷っているのは、イクシオラとして生きてきて、どこかしらに疑問を抱き、思い当たることがあるからだけど、つとむを抱えたままのバーディーがどう行動するのか楽しみです。

2016年10月6日木曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 7巻

ゴメスの仮説、クリステラ・レビの生い立ちと過去と目的。
もしもその言い分が正しいものなら、バーディーは洗脳され、疑うことなく、奥の院の都合のいい手足となっているといういうことになります。
バーディーはゴメスやクリステラ・レビを真っ向から否定できません。
奥の院の存在、自らの境遇、アルタ人が人種の底辺に追いやられる理由が的を得ているのでこれからどう行動していくのか目が離せません。
一気に神祇庁の特殺官がクリステラ・レビのもとに派遣されたことで、奥の院の焦りを感じます。
だとすると、クリステラ・レビの言い分は正しいのかな。
怪しげな笑みが何を暗示するのかも気になります。


「わたしはあなたと同じ、奥の院によって生み出された化け物よ」ついに対峙したバーディーに対し、指名手配犯であるレビは自身の生い立ちと奥の院との因縁を語る。権力を握った政治家に重用され、階段を着々と昇りつめたはずのレビであったが…稀代のテロリストか、民を救う救世主か。レビの真実を見届けよ――!!



バーディーとクリステラ・レビが対面します。
新興宗教浄火学館の教母火之宮水晶であり、惑星連合のテロリスト、クリステラ・レビの、
「私はあなたと同じ。奥の院によって生み出された化け物だからよ」
から始まる要領を得ない会話にバーディーはイライラします。
「へー… その話と“アンタが化け物だ”って話に、なんの関係があんの!?」
と眉毛をつり上げてキレているけど、次第にクリステラ・レビの会話にのまれていきます。

奥の院とはなんなのか。
生命体ではなさそうな気がします。
何者かが作り上げた世界の均衡を保つためシステムなのかな。
奥の院が抱える不都合な真実はクリステラ・レビの言う通りなのか、それとも…。

ゴメスは小さなころにクリステラ・レビに出会っていました。
ほかにもイクシオラはゴメスのように解放されているのか。ここも気になります。

奥の院神祇庁特殺官ネーチュラーが登場。
神祇庁の命令に疑問を感じることもなくクリステラ・レビを抹殺命令を遂行するため、間に立つバーディーに攻撃を加えます。

2016年10月4日火曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 6巻

とうとう来た!と興奮してしまう場面がやって来ました。
ついにつとむとバーディーがクリステラ・レビにたどり着きます。


中杉の記憶を宿す殺戮ロボットの暴走を止めようと病院へ向かう、つとむ。その場で、バーディーが追うテロリスト・レビとの遭遇を果たす。殺戮ロボットの製造に関与した父への怒りを宿し、己の命を絶とうとする中杉。彼女につとむの叫びは届くのか…!?そして、レビの策謀の核心とは…!?


つとむとバーディーが男だと思いこんでいたのに、以前浄火学館で遭ったことがある教母様と呼ばれる火之宮水晶がクリステラ・レビだと判ります。
実際につとむの目の前で正体が判明するとは思いませんでした。
余計に気持ちが昂ぶりました。

つとむにとってはどうしてこの場所にいるのかと戸惑う、思いもよらない人物が目の前に現れます。
火之宮水晶は淡々と人形のさやかに質問を行います。
つとむは人形のことをすでに知っていることからゴメスの仲間だと推測します。
人形のさやかとともに、中杉小夜香のいる病棟へ案内されるつとむ。
病室に通されると、中杉はバーディーの宇宙船にある調整槽にそっくりの容器に収容されたまま眠っています。
つとむは状況を説明する火之宮水晶に怒りがこみ上げてきます。
火之宮水晶とつとむの会話を別の声が遮ります。
「クリステラ・レビ!つまらぬ相手にかかずらわっている暇などない。まず陛下を!」
怒りが一気に覚めてしまうほどの名前が耳に入ってきます。
バーディーとつとむが標的が目の前にいることを知ります。

材料がたくさんありすぎて、目的が見えてこない状況でクケルツォ教官やメギウス警視に戒められるバーディー。そこに千明とゴメスがやって来ます。

ゴメスとバーディーの会話、とくに博物館での会話が面白すぎです。
背筋がゾクゾクしてきました。
ゴメスの話でバーディーはどのような行動をとるのか楽しみです。

皇帝の精神、記憶を移した人形が目を覚まします。クリステラ・レビがいよいよ行動開始という展開です。

2016年10月2日日曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 5巻

人形がつとむに会いに来ます。
県十三(あがたじゅうぞう)先生の試みを交換条件をだしてつとむが引き受けます。
拿捕された船に乗っていたバズ船長とパダン先生とテ先生がエオンの公主ヴィルム・テールと会食します。
つとむが人形と一緒に行動し、そっくりそのまま中杉小夜香の記憶を移されていることを肌身で感じます。
人形がどのような経緯で中杉小夜香の記憶を埋め込まれたかが描かれ、人形が元々インプットされた情報と中杉小夜香の記憶がうまく噛み合わず疑問を抱き始めます。
火之宮水晶が人形に中杉小夜香の記憶を移したように、余命いくばくもない大アルタ帝国の皇帝の記憶を人形に移そうと側近に提案します。
つとむが真僕会飯田病院に中杉小夜香が入院しているのを知ります。
真僕会病院に4特、つとむ、人形、アンカーマン、大アルタ帝国皇帝と側近、火之宮水晶が集結します。
つとむと火之宮水晶が対面します。


つとむが想いを寄せる中杉小夜香の意識を回復させるため、連邦製の殺戮ロボットに記憶を移植する実験が行われる。その関連の兵器製造に加わった両親と実験体にされた己が許せない中杉。彼女の贖罪の意思を抱え、帝国皇帝が運ばれた病院で暴走するロボット。その切なる思いと対峙する、つとむは…!?


こんなところで終わってしまうなんて。次が待ち遠しすぎます。

人形にこれほどまでに記憶や感情、しぐさまでも移すことができれば、クローンや再生技術など必要なくなってしまいます。
県十三が自らの欲の追求でどういう結果を生むのか行方が気になります。

フォルテはオレオとカントリーマアムに続いてハッピーターンも気に入った様子です。
だけど、こんな食べ方をしていたら、食べかすが床に散らばって掃除が大変だろうなと思います。

2016年9月30日金曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 4巻

パダン先生とテ先生を乗せた船が拿捕されてしまいます。
ヴィルム・テールという新たな人物が登場します。
中杉小夜香が入院していて意識が戻りません。
ゴメスの計画は着々とすすんでいます。
つとむの前にさやかと呼ばれる人形が登場します。
バーディーはアグニケミカルの南総研究所を破壊し現地(地球)でテロリストとして顔が知れ渡ってしまい、連邦の上司から叱責されます。
火之宮水晶は渡米し、大アルタ帝国192代皇帝アイオロス=シド12・アルティラに謁見し、国家緊急警告機構(NEWS)のアンカーマンと会談します。
ゴメスは千明くんと情報交換し、つとむの自宅へ向かいます。
フォルテはあっちこっちとうろうろ動き回り情報収集に励んでいます。見るからに怪しそうな体格のいい男がつとむの前に現れます。
中杉小夜香はつとむが病院に面会に行くと、転院しましたと言われ、行方がわからなくなります。
中杉小夜香の記憶が人形を暴走させます。
人形がつとむに会いに来ます。


バーディーとつとむがテロリスト・レビの捜査に難航するなか、アメリカに渡航し、アルタ帝国の皇帝と謁見するレビ。 宇宙連邦で迫害に遭い、彼の地を離れて地球に身を潜めていた皇帝と対面し、レビは何事かを謀る。そして、中杉小夜香を襲った事故と悲劇。未来を掴むのは、誰の手か…!?衝撃が加速する第4巻!!


濃い内容でした。
早宮と須藤はつとむを心配しているんだろうけど、あまりにスケールが大きく、自分たちの力ではなんの援護もできない無力さと、それでもなにかできないかという思いが感じられます。
また、つとむと早宮と須藤の会話で読む側の引っかかる部分をわかりやすく説明してくれています。

バーディーはアルタ人であるというだけで幼いころから軽蔑され、いじめられ、差別されてきましたた。
命令に反する行動をとり、上司に反論して、
「私をなめるのもいい加減にしろよ、三層アルタ人!宇宙船の機能を停めて、君を日干しにすることもできるんだぞ!!」
などという暴言をバーディーは浴びせられます。
あまりに酷い扱われかたです。

2016年9月28日水曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 3巻

つとむは中杉小夜香と海で短い夏休みを過ごし、彼女との距離をゆっくりと縮めた。そして、東京に戻ったバーディーとつとむはアグニケミカルの研究所に侵入する。そこでアグニの人体兵器開発の犠牲となり獣人と化した人体標本を目にした2人は、制御不能な感情を抱えて研究所をブチ壊す。その夜、つとむを待つ中杉を襲ったのは…!?驚愕の第3集、刮目して見よ!!


バーディーとつとむの精神融合はまた起こる、というパダン先生とテ先生の会話。
アグニケミカル南総研究所にもぐり込み、そこで行われている実験を目にしたときこれまでにない精神融合が起こってしまいます。
つとむの身体が戻ってくる前にふたりは正常な精神でいられるのかな。
間に合わなかったりして。

2016年9月26日月曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 2巻

バーディーとつとむの精神混濁がかなりのところまですすんでしまっています。
つとむの中杉小夜香(なかすぎさやか)への想いが面白かったです。


高校時代の思い出の相手・中杉と再会したつとむ。心穏やかならぬ彼だが、バーディーとつとむの精神融合を回避する手術が施され、また一難。そんな最中、2人で図書館で勉強することに!その夜、アグニケミカルによる人体実験の犠牲者である獣人が脱走。そこに現れた、自衛隊の驚愕すべき特殊部隊とは…!?日本政府とアグニの陰謀が、顕わに…慄然の第2巻、ここに登場!!


アメリカはバーディーの星の科学技術を軍事利用のため積極的に取り込んでいます。
宇宙からの侵略から守ろうとしている日本の防衛省とはスタンスが違い、この二国の展開も楽しみです。

つとむの中杉小夜香が好きなのは僕じゃないという、二心同体じゃないと分からない葛藤が面白かったです。
街中に獣人が現れ、戦隊もののヒーローのように動作にちょっと恥ずかしい名前をつけてたたかうのが千明くんだったのが、びっくりしました。
なんでそんなところにいるの?と思いました。

2016年9月24日土曜日

ゆうきまさみ 鉄腕バーディー EVOLUTION 1巻

千川つとむとバーディーの二心同体のSF物語です。
「鉄腕バーディー EVOLUTION」は前作「鉄腕バーディー」の物語の最終巻から2年の月日が流れています。
バーディーとつとむがどのようにしてクレステラ・レビにたどり着いていくのか、まずはそこまでが待ち遠しいです。



宇宙捜査官バーディーと“二心同体”の千川つとむは、普通の浪人生活中(?)。だが、製薬会社アグニケミカルの女性社員が、自社の卑劣な実験を曝こうとする計画に巻き込まれる。しかし、この実験で人体兵器の製造を策謀するのは防衛省、そしてアグニを統べるのはバーディーが追うテロリスト、レビなのだったこの巨大なる敵を相手にいかに動く…!?ゆうきまさみの大反響作、新章始動!!



バーディーが目覚め、つとむが遭遇した事件の調査を行うと、企業と日本の防衛省がつながっていて、裏では浄火学館とゴメスが糸をひくという壮大な構図で、今後大きな混乱が起こりそうな下地が描かれています。

千川つとむはアグニケミカルの高柳縁という人物からデータを受け取るよう室戸圭介に頼まれます。
データの内容を訊くと、以前つとむとバーディーが関わった事件に繋がります。
アグニケミカルは日本政府、防衛省、浄火学館の火之宮水晶、ゴメスまで関わっていてそれぞれの思惑が明らかにはなっていませんが、入り乱れています。

バーディーはクリステラ・レビを捜索しつつ、国家ともたたかっていかなくてはならない難しい立場にいます。
クリステラ・レビにたどりつく手がかりが断たれてしまったかにみえたけど、実は繋がっていて、事件を追うにつれてレビに近づいていく展開が楽しみです。

2016年9月22日木曜日

木尾士目 げんしけん 9巻

最終巻です。

アンジェラとスザンナ再来日。

スザンナの発する日本語が最高です。

卒業間際の大野さんと咲ちゃんの約束と悪魔大野さんの斑目との取引。

笹原、高坂、咲ちゃんの卒業で終わりです。

最後までからかわれた笹原と荻上。

愉快な大学生活の漫画でした。



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2016年9月20日火曜日

木尾士目 げんしけん 8巻

荻上の過去が判明します。

特別書き下ろしの大野さんが不発弾を爆発させかけたのが面白かったです。

笹原の荻上への告白と笹原に隠していたすべてを見せる荻上。

二人の関係が上手くいってよかったです。



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2016年9月18日日曜日

木尾士目 げんしけん 7巻

表紙の大野さんと荻上と笹原のイラストがいいです。

大野さんが、

「何描いてるんですか?」

荻上が、

「大野さんには関係ないから見ないでください」

という会話がなされる中、笹原がだったらここで描かなければいいのにと思っていそうな表情が面白かったです。

大野さんは荻上をいじるだけあってよく性格も見抜いていて、さすが同類だな、荻上のコントロールが上手いなと感じます。

徐々に心を開いていく荻上。

大野さんの友達のアンジェラとスザンナが登場します。

強い個性の持ち主です。



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2016年9月16日金曜日

木尾士目 げんしけん 6巻

咲ちゃんの絶妙のトークで上手く乗せられた荻上。

ちょっとかわいらしいことになってしまいます。

荻上をいじるのが楽しくてしょうがない大野さん。

たまたま笹原と斑目のやり取りを目撃しそこからストーリを作り上げる荻上。

荻上のスケッチを見て勘違いしてしまった咲ちゃん。

久我山、田中、斑目の三人が卒業。大野さんが咲ちゃんに言った、

「みんな、先に卒業しちゃう…」

は寂しいという気持ちが伝わってきました。



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2016年9月14日水曜日

木尾士目 げんしけん 5巻

対立する荻上の本性を暴こうと悪い顔になる大野さん。

すこーしおしゃれに目覚めた斑目、だけど、それを上回るファッションで登場の荻上。

部室で斑目と笹原の会話に聞き耳をたてている荻上。

似合いすぎている高坂の衣装をみてしまった咲ちゃんの複雑な気持ち。

みんなが上手くまとまっています。



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2016年9月12日月曜日

木尾士目 げんしけん 4巻

斑目が完全に咲ちゃんに恋してしまいます。

部室が使用禁止になってしまって会員の部屋を転々とする毎日。

サークル内での恋、会長の交代、新たな入会者、荻上千佳の登場、荻上と大野さんの対立。

仲良くけんかしています。



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2016年9月10日土曜日

木尾士目 げんしけん 3巻

サークル活動で製作した作品の価値をわかる人とわからない人の違い、斑目と咲ちゃんの緊張感のある二人だけの部室の物語、サークルの活動では絶対にありえないとされていた海水浴が描かれています。

主義、主張、体力と情熱あふれた内容です。



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2016年9月8日木曜日

木尾士目 げんしけん 2巻

大野さんが入会してサークルらしくなってきたげんしけん。

多くの秘密や弱みを握っている会長の言葉に反論できず高坂の彼女の咲ちゃんも入会します。

冬のサークル活動での斑目は独り言、咲ちゃんの悩み相談は面白すぎます。



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2016年9月6日火曜日

木尾士目 げんしけん 1巻

現代視覚文化研究会(げんしけん)というサークル活動を行う部室で繰り広げられる大学生活を描いた作品です。



大学へ入学した笹原完士はある種のサークルに入ると決意はしたが、勇気が出ず、なかなかサークルを見学することができませんでした。



たまたま目に入った現代視覚文化研究会という文字を記憶し、後日部室を訪ねます。



部室の扉まではたどり着けたけど、ここまできてノックする勇気がでず立っていると、先に入会していた同学年の高坂真琴に声をかけられて部室に入るよう促されます。

部室は笹原が考えていたようなモノで埋め尽くされていて、先輩の策略にまんまハメられて入会してしまいます。



そこから始まる大学生活。

先輩の着メロに反応し、高坂の彼女に殴られて発したあの言葉、サークル友達の家で見たもの、はじめてのサークル活動と会議、初の女性入会で生態をわかり始めた高坂の彼女。

そこから生まれるドラマが面白いです。



木尾士目 げんしけん 1巻
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2016年9月3日土曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 2巻

イザナ王子は白雪をどうするつもりなんだろう。試しているのか、排除したいのか。白雪がクラリネス王国で生きていくのは困難が多そうです。




●第5話

白雪は宮廷薬剤師に合格し身分証を手にします。

ゼンの友人ではなく、宮廷薬剤師として城の出入りができるようになります。

白雪が直接指導を受ける上司はリュウという12歳の少年です。リュウは最年少薬剤師で、書物から得られる知識もさることながら、自然の中で生きる人達が長い時間をかけて見つけてきた知識も大切にしています。

しかし、12歳の少年が持ち合わせている感情が乏しいです。リュウは白雪に出会い、少しずつ年齢相応の感情を身につけていきます。

リュウにとって白雪との出会いがどういったものになるのでしょうか。

ガラクは白雪とリュウがうまくやっていってほしいと望んでいるみたいです。



●第6話

第3話でハルカ侯爵の指示で白雪を狙った刺客オビはゼンの元に居座っています。

ゼンを主として、細かな情報を収集して届ける役目を勝手出ています。

クラスドの砦の原因不明の問題を白雪が解決します。

ミツヒデ、木々とゼンの関係は主従と信頼と尊敬が時と場合に瞬時に使い分けられています。

これだけ息の合った関係は簡単には築けないだろうなと思います。



●第7話

白雪は兵士たちにつきっきりで看病します。任せられた責任を全うすることだけ考えているようです。城では、イザナ殿下、第一王子が帰還します。



●第8話

イザナ殿下は留守の間の様々な報告を受け、白雪のことも耳に入ります。

ゼンは白雪の同僚はリュウの他に男性はいないものだと思い込んでいました。

自分と同じ年頃の男性がいたことに焦りを感じています。

恋愛にも進んでいきそうな気配です。

ゼンはなんとなく城の中の様子に変化を感じとり、兄イザナが帰ってきているのに気がつき、城から出て行く用意を始めます。

ゼンはイザナに呼び出され、ラクスドの責任を負わせ、受け入れます。

次にイザナは白雪を呼び出し、白雪の立場を改めて確認させ、白雪が何者でもないということを認めさせようと圧力をかけます。

イザナが用意していたのは、ザクラ・シドノト、アサナギ(スイ家)との対面に白雪を同席させ、白雪をゼンの友人と紹介することでした。

ザクラ、アサナギは白雪が王族であるゼンの友人だときいて、白雪に興味を持ちます。

イザナ殿下は白雪に、

「よほど何かゼンに必要とされるものがあなたにはあるのだろうね?」

と冷ややかに問いかけます。

その後、イザナはゼンと白雪が知り合うきっかけの出来事、ラジ王子の件の報告を受けます。

白雪を不快に思うイザナ殿下。どう乗り越えていくのでしょうか。

続きます。



あきづき空太 赤髪の白雪姫 2巻
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2016年9月2日金曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 1巻

白雪はタンバルン王国に住む美しい赤い髪の女の子です。

ゼンはタンバルン王国の隣国クラリネス王国の第二王子です。

白雪の髪が赤いことがゼンと出会うきっかけになり、この出会いは二人にとって思いがけないものになるという物語です。

場面で何を思いどう動いていくのか、出会いによって発見する自分の進むべき方向、それらによってゆれ動く感情などが、頭の中でぐるぐる思い巡らせてくれる作品です。




●第1話

舞台はタンバルン王国。

白雪(しらゆき)は赤い髪の女の子です。その赤い林檎のような美しい髪は何かと注目され、人の集まる所で話題になります。

赤い髪の噂は、王族の耳にまで入ります。タンバルン王国の王子ラジは悪名しか聞こえてこない、いわばダメ王子で、白雪の噂を聞き、赤い髪を持つというだけで気に入り、白雪を自分の愛妾にすると言い出します。

白雪はラジ王子のいいなりになるわけもなく、国を出ます。

国境を越えた森の中でゼンという青年と出会います。

ゼンは隣の国、クラリネス王国の第二王子という身分の高い者です。

白雪はゼンにラジ王子から助けてもらい、ゼンの国クラリネス王国の首都ウィスタルで新たな生活を始めます。



●第2話

白雪の赤い髪はラジ王子の一件でさらに多くの人の知るところとなります。

赤い髪は役に立つ、と白雪を狙う者が現れます。

ゼンはそういう奴らから白雪を守ります。

赤い髪は白雪をつらい目に遭わせてしまいます。



●第3話

ウィスタル城内で、白雪の存在が知られることになります。

ハルカ侯爵はゼンが白雪を城に入れることが不快でたまりません。実力行使で白雪を排除しようとします。

刺客は忠告、警告、とゼンに近づく白雪を遠ざけるため、脅しの度合いを強めていきます。

白雪はおどされてもひるむことなく、意思を貫こうとします。

白雪の覚悟を知るハルカ侯爵。力ずくで排除することをあきらめます。



●第4話

宮廷薬剤師の試験です。

合格する、しない云々よりも、白雪の優先する順位は王国にとって大事かどうか、ゼンのためになるかならないかで決まります。白雪の人柄がよく分かるエピソードです。

試験の内容は小薬草園を3日間1人で担当するというものです。

白雪は第3薬草園を任されます。

白雪が気になったゼンは第3薬草園を覗きに来たため、ちょっとした事態に巻き込まれてしまいます。薬草園に閉じ込められてしまいます。

ゼンは白雪と過ごせて楽しかっただろうなと思います。薬室長のガラクが第3薬草園に来た時にはクタクタな様子なのに、なんだかうれしそうです。

どうしてゼンは白雪のことを気にかけるのか、白雪はゼンを近くで見ていたいと思うのか、気持ちが明らかになるにはもう少し待つ必要があります。

一歩ずつゆっくりと進んでいきます。

続きます。



あきづき空太 赤髪の白雪姫 1巻
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2016年9月1日木曜日

西森博之 お茶にごす。 11巻

最終巻です。

部長を危険な目に遭わせたくないという気持ちから、誰よりも部長を守りたいと思っているのはまークンなのに避けようとする行動をとります。

そうは思うものの、まークンはやっぱり部長のことが心配で、起こりそうなことを予測してそっと側に立っています。

もう立派に優しい男だよ、とまークンの部長への想いに感動しそうになりました。



まークンの行動に微かな変化を感じ、しっかり観察している夏帆も、人をホメるのが苦手だけれど、本当に優しい女の子です。



部長が高校を卒業し、新学期が始まります。

茶道部の勧誘で、まークンが新入生を怯えさせないために部員が知恵を尽くして考えたのがイメチェン。

まークンは髪型を変えてみることになりました。

真面目な学生のヘアスタイルのはずが、悪魔度が増してしまい、よりいっそうおそろしい見た目になってしまいます。

それを見た夏帆と山田の感想が面白いです。



まークンは優しい男とはどういうことなのかを人を想うことで気がつきます。

夏帆は彼女らしい方法でまだまークンが気づけなかった優しさを教えることでまークンに最高の笑顔を送ることができました。



まークンに関わった人たちも一緒に成長していくいい作品でした。



部長がまークンを見つけ満面の笑みで手を振ったあと、どっちが先に口を開いたんだろう?

まークンは想いを部長に伝えられたでしょうか。

優しくなって恐さを知ったまークンにこれからいいことばかりが訪れますように、と思わずにはいられない結末でした。



部長がまークンのTシャツの裾をちんまりしている表紙も微笑ましいです。



西森博之 お茶にごす。 11巻
(アマゾンのサイトに移動します)

2016年8月31日水曜日

西森博之 お茶にごす。 10巻

夏帆に人の気持ちになってみろと言われ、まークンは夏帆の気持ちになってみようします。



とてもよく似ていました。

まークンはこんなことをしたら怒られるだろうとは考えないみたいです。



まークンの心は透き通るように純粋で、そのために損することが多い人生が容易に想像できます。



フクちゃんをかばったことでさらに厄介事が出てきます。

フクちゃんが勇気をだしてくれたことでまークンの頑張ったことが報われ、なんだかうれしくなりました。



まークンがいろいろと考え始めます。

きっかけは、夏帆と智花がまークンの知り合いということで狙われたことからで、もしも、部長がまークンの知り合いだということが、まーくんを狙う奴らに知られたら、部長が狙われ危ない目にあってしまったらと考えると、まークンは自分が茶道部にいることや部長の近くにいることがいけないことなのではないかと思い始めます。



もう十分に優しさと大切な人を思いやるという気持ちがまークンに生まれたことを感じさせますが、どうもいい方向にむかいそうにありません。



やっと優しさに気がつき始めたところなのに、大切な人から身を引くことが優しさに繋がるかもしれないと感じているまークンに切なくなります。



西森博之 お茶にごす。 10巻
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2016年8月30日火曜日

西森博之 お茶にごす。 9巻

樫沢の顔を見て意識を失う部長と、想うだけでドキリとする飯倉智花。

本当についてない役回りの樫沢がかわいそうになってきました。




まークンがどうして優しい男になりたいのか、というきっかけになる幼少時代のエピソードが描かれています。



優しい人になると、君の欲しいものが全部手に入るよと言ってくれる人。

なれるわけがねえと言い切る面識のない父親だという男の言葉。

まーくんを見てニオイとか勘で優しくなれないと断言する祖父。

反発心とまったくわからない気持ちを手に入れたいという思いが、これほどまでに優しい男になることにこだわっている理由なんだなと思いました。



部長を家まで送るときに話した会話はまークンにとって、自分のことを聞かれて話すことがおそらく初めてのことで、うれしいやらどうしていいやらわからず必死だったのが伝わってきます。

言葉にできないくらい舞い上がったような、興奮したような感情が、

「なんかこう、なんかこう、なんかこう」

ということで伝わってきます。



欲しかった日常だったんだろうな。



夏帆がまだわからない恋するという感情を一足先に知ったような気になり、

「そーか、それは夏帆が恋をした事がないからだよ」

というまークン。

子供のような男に恋を知らない呼ばわりされた夏帆の受けた衝撃、そして、すぐさま怒りに変わっていく様子は面白かったです。



文化祭での電子レンジパントマイムも面白い場面でした。

下校時にまークンが優しい男になりたい理由を山田から聞いた夏帆が、まークンに対して山田と同じく、目指していいけど、なれなくても別にいいよというような感情を抱いていて、今のままのまークンもいいと思っているのが、さすがよく観察している夏帆らしいなと思いました。



西森博之 お茶にごす。 9巻
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2016年8月29日月曜日

西森博之 お茶にごす。 8巻

道具の価値について、体育祭のリレー、人助けが描かれています。



茶道部の先輩としてまークンと山田に教えたいのに、上手く言えない茶道具の大切なホニャララを考える続ける慎大寺珠美がおかしかったです。



まークンのやさしさがほんの少しだけ他の人にも伝わるようになってきました。

まークンの精一杯の優しさがよい結果になったフクちゃんの話は報われてよかったと思ういい話でした。



西森博之 お茶にごす。 8巻
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2016年8月28日日曜日

西森博之 お茶にごす。 7巻

 夏祭りでのナイスアシスト、恋かもしれない胸の疼き、やっぱり人を誉められないという、またもや夏帆の大活躍の巻です。



まークンだけじゃなく、

「優しさとは」

ということに悩み始める夏帆。

ふたりのコンビネーションが面白いです。



一番最後の柄杓。吹出してしまいました。



西森博之 お茶にごす。 7巻
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2016年8月27日土曜日

西森博之 お茶にごす。 6巻

文化部と運動部の対立、夏祭りの出来事が描かれています。

茶道部合宿の肝試し大会が面白かったです。

なんのために樫沢が禅寺に来たのかわかりました。笑いが止まりませんでした。

部員全員が持ち味を出し切ったと思います。面白すぎます。



西森博之 お茶にごす。 6巻
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2016年8月26日金曜日

西森博之 お茶にごす。 5巻

スズメバチに襲われる寸前の部長を助けるため、まークンは素手でハチに応戦し握りつぶします。無事に済む訳がなく、右手は刺されてしまい腫れ上がってしまいます。



まークンの右手が気になる部長と手助けする山田。それを見ていた夏帆がさりげなくまークンに渡す特大氷入りの麦茶。なんだかとてもいいチームワークです。



まークンはウソとわかっていても、ウソをついたまークンを信じてくれた部長の優しさに探し求めている優しさを感じます。



まークンがこの出来事によって行動がどう変わっていくのかが楽しみです。

樫沢が修行場所に選んだ禅寺が茶道部の合宿先の禅寺と同じなのはなんのためだろう。



山田が合宿でどうしてもやりたかったイベント、肝試しが始まります。




西森博之 お茶にごす。 5巻
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2016年8月25日木曜日

西森博之 お茶にごす。 4巻

浅川夏帆が大活躍の巻でした。



まークンは浅川夏帆と茶室で交わした暴力はふるわないという誓いを守ろうと、争いごとから逃げようとします。



それを見ていた山田と浅川夏帆と飯倉智花の三人。



山田と智花は夏帆に暴力を避けようとしているまークンをホメてあげなよと催促します。批判はできても、人を誉めることなんてできない夏帆が、大汗をかいて自分の心の中で葛藤し弱っている様子が面白いです。



また、まークンにノラといわれたとき、夏帆がキョトンとして、

「私のこと?もしかして私のことを影では野良犬の『ノラ』と呼んでいるの」

とノラについて考え、それがじわりじわりと怒りに変わっていき、いつもの調子に戻っていくのも面白かったです。



あと、アニメ研究会部長柏井卓の合宿の提案とそこでぜひ行ないたい部員同士の打ち明け話、茶道部の顧問縦島の大人として、教育者としてのさりげない精一杯の演出、茶道部の合宿が描かれています。



西森博之 お茶にごす。 4巻
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2016年8月24日水曜日

西森博之 お茶にごす。 3巻

船橋雅矢(悪魔まーくん)と山田航が二人で行動するようになった小学生の頃の話、樫沢光輝の登場が描かれています。




小学生で中学生や大人をやっつけた思い出話をしていて、どうやってやっつけたの? と浅川夏帆や飯倉智花にきかれて、口に出来ないくらい無茶したということがまーくんと山田の意識のなかにあったのが、ひょっとするとふたりは一般に持つ感覚が欠けているのかなと思える場面もあったので、そこまで暴走することはないんだとホッとしました。



樫沢光輝はどういう位置関係でまーくんと山田、そして部長に関わっていくのか、登場する人物がどれも個性的でワイワイ楽しんでいる様子が面白いです。



西森博之 お茶にごす。 3巻
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2016年8月23日火曜日

西森博之 お茶にごす。 2巻

船橋雅矢(悪魔まーくん)は茶道部に入部し、部長の姉崎奈緒美からかけられる心のこもった言葉によって、目標とする優しい男になれつつあると、誰がどう読んでみても1ミリの変化さえも感じられないのに、優しさの極みに達しつつあるとやけに充実感でいっぱいです。



具体的に部活に励んでいきます。

茶杓の用途のそれぞれ新入部員たちの主張。

薄茶で部長の言ったとおりに行なったつもりなのに浅川夏帆、山田航、飯倉智花からひんしゅくを買うまーくん。

うどん。

まーくんと浅川夏帆の対決。

正座勝負。

濃茶での淡い期待のエピソード。

どれもおかしくて、涙を流して笑いました。



西森博之 お茶にごす。 2巻
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2016年8月22日月曜日

西森博之 お茶にごす。 1巻

“悪魔(デビル)”と恐れられる中学最凶の男、船橋雅矢(ふなばしまさや)!!高校入学時、相棒・山田とともになんと茶道部に入部!!だって、不良の修羅の道から足を洗い、静かなハートと学園ライフを手に入れたいんだモン!!だけど、その体にどっぷり染みついた不良魂は簡単には消えないモノで・・・!?血とお茶がほとばしる文科系・脱不良コメディー始動!!




船橋雅矢(悪魔まーくん)は恐ろしい見た目とずば抜けた強さを併せ持った高校生です。

彼の目標は優しい男になることです。

小学生からまーくんとつき合いのある親友山田航はかっこいいのに本命には振り向いてもらえない男の子です。

山田はまーくんが優しい男になることなんて絶対にあり得ないと思っています。



この二人がこれまで生きてきて触れることのなかった世界に飛び込みます。

それは茶道部。部長の人柄に触れ入部を希望したのでした。



明らかに場違いの雰囲気が満ちあふれている部室と部員たちのギャップが面白い作品です。



まーくんと同級生の新入部員の女の子浅川夏帆、飯倉智花の二人も個性的で笑わせてくれます。

茶道の作法と自分たちの価値観がぶつかり、せめぎ合う場面や、夏帆ちゃんの性格に爆笑してしまいました。



西森博之 お茶にごす。 1巻
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2016年8月21日日曜日

手塚治虫 アラバスター 2巻

宝石ファッションショーを襲撃するアラバスター一味。

計画通り宝石と美女を盗みアジトへ戻れたと思ったのもつかの間、捜査官ロック・ホームの作戦が一枚上手でアジトを警察に包囲されてしまいます。

あらかじめ危機においての脱出手段を用意していたアラバスター達は、それを使い逃げきれたのだが、ロックは亜美を連れ去ってしまったのでした。



亜美はロックに乱暴され、全身にペンキを塗られた亜美、逃亡中一般の人からは石を投げられるなどの仕打ちを受け、アラバスターと同様、復讐を決意し、世の中に憎悪を膨らませていきます。



ゲンはアラバスターの考えについていけず、悪に染まる亜美を心配し、亜美をアラバスターの元から連れ去ろうとしますが、失敗に終ります。

同じく、奇顔城に亜美の兄カニ平が侵入し、ゲンとは違う方法で亜美を救おうとするが、これも拒まれてしまいます。亜美がこうなった原因が、ロック・ホームにあるとわかったカニ平は、ロックを殴りつけ逮捕されてしまいす。



亜美とアラバスターの復讐は世の中を混乱に陥れていきます。

ゲンは組織の中で働きつつ、警察や捕まったカニ平と連携して亜美を救出する作戦を練ります。

カニ平はゲンと組み、変装して奇顔城に入り、アラバスターの組織に潜り込みます。

脱出を図ろうとするもロックに阻まれ、アラバスターに見つかり、ピンチになるもゲンと、ゲンの仲間の頑張りで倒すことが出来ます。



亜美が自分の犯してしまった罪の重さのためにとった行動で結末を迎えます。

二巻完結の作品です。

心の美しさがわかったときに終わり、よくわらなかった部分もありましたが、場面の物語が面白かった作品です。



手塚治虫 アラバスター 2巻
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2016年8月20日土曜日

手塚治虫 アラバスター 1巻

徹底的に悪者、悪と愛の間で揺れる者、悪にも善なりきれない者、悪に染まろうとする者を救おうとする者の物語です。




アラバスター(ジェームズ・ブロック)が美しいもの、社会に憎悪するようになったきっかけ、亜美の秘密、ゲンと亜美の出会い、亜美を頂点するアラバスターとゲン、三助その他の組織の誕生、アラバスターを追う捜査官ロック・ホームの登場までが描かれています。



心が悪に染まり、狂信していくアラバスターが築こうとするもの、悪に抗おうとする亜美と仲間達の行方が面白いです。

学生スポーツのチャンピオンでオリンピックでは六つの金メダルを手にし、世界的なトップスターとなったジェームズ・ブロック。

彼はテレビで活躍している女優スーザン・ロスに好意を持ち、交際に発展します。

ジェームズは意を決してスーザンに結婚を申し込むも、オリンピックの英雄としてお付き合いしていただけだと断られます。

スーザンの馬鹿にしたような言葉はジェームズを逆上させ、運転したことのない自動車を運転し事故を起こし逮捕されてしまいます。



裁判にかけられ法廷ではスーザンの虚偽の証言が支持され、弁明の余地もなく懲役五年の実刑の判決を言い渡されてしまいます。

服役中ジェームズ・ブロックは社会に絶望し、スーザン・ロスを怨み、復讐を決意します。

その間に受刑者のじいさんと知り合いになり、話すうちに透明になれる装置を発明したことを知ります。

じいさんは自分が刑務所から生きて出られるかわからないからと、発明した装置のありかをジェームズに教えます。



刑期を終えたジェームズ・ブロックは懐疑的ながらもじいさんに教えられた場所を探してみると、その家は実在し、聞かされた手順を踏むと銃のかたちをした小さな装置が出てきたのでした。

試してみると、じいさんの話していた通り透明になる装置で、ジェームズは自分の身体で試してみます。

光線を体にあてると焼けるような痛みでとても浴び続けていることはできずその場に倒れ込んでしまいます。

痛みが抜けて鏡をのぞいてみるとこの世のものとは思えないグロテスクな、皮膚のみ透明になり体中の血管が剥き出しになったおぞましい姿になってしまったのでした。



半透明の体になったジェームズ・ブロックはアラバスターと名を変え、自分を裏切ったスーザン・ロスへの復讐に向かいます



亜美という少女は特異な体質を持って生まれ、常におしろいで全身を塗っていなければならないのでした。

おしろいがはがれてしまうと瞳以外はすべて透明なのです。

この少女はジェームズ・ブロックが服役中に知り合った透明になれる銃を発明したじいさん(博士)の孫で、博士の裁判で担当した女性検事が引き取って育てていました。

生まれつき身体が透き通っていることでいじめられて傷ついていました。



透明になる装置を手に入れたら、生まれ持つもので傷つけられたら、裏切られてわき上がる悪というものをドラマチックに描いた作品です。想像しすぎると怖くなってしまいます。



手塚治虫 アラバスター 1巻
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2016年8月19日金曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 10巻

囚われた美木を巡る岳山隆雄との壮絶バトルはさらに激化!!次々と倒れていく「めぐ団」のメンバーたち。だが、圧倒的勝利をもくろむ岳山はケンカのプロを集め、更なる罠を仕掛けてくる。源造は、再び恵の笑顔を取り戻せるのか!?そして気になる恵と源造、2人の恋の行方は・・・!?涙あり笑いありの長編ラブコメディー、ここに完結!!その他、藤木のその後や、小悪魔の謎にせまる外伝2話を完全収録。




花華院美木を守りたい思いから、男の中の男になりたいと願った天使恵(メグ)。

美木にとって一番の不安であり、逃れることの出来ない運命だとあきらめていたことから救い出したことで、メグは願いを叶え、その結果、メグと美木は魔本に出会う前後の記憶を取り戻すことになります。



本編とは別に収録されている外伝2話(1つは藤木の爆笑後日談でした)を読んで小悪魔がどうして恵と美木の2人に呪いをかけたのかとか、蘇我源造が幼いときにもメグと美木のふたりに関わっていて、高校でメグに再会し、小学校3年生くらいに会ったことがあり、メグをガラスから助けたというエピソードが、メグと美木の記憶から小悪魔によって消されていた、実際にはあった出来事だったというのが補足されていて面白かったです。

恵、美木、源造、小林一文字、藤木一郎、安田太助。

そして田中桂子といったやりとりや胸の内が面白く、めぐ団のそれぞれの男らしさが楽しい作品でした。



西森博之 天使な小生意気 19巻
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西森博之 天使な小生意気 20巻
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2016年8月18日木曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 9巻

異国のイケメン王子との一件もひと段落し、ほっとしたのも束の間、美木が新しい魔本を発見!!再び例の小悪魔を召喚しようとするが、なぜか可愛いいカッパが出現!?しかも、今回取引相手に選ばれたのはミスター普通・藤木!!見事カッパの試練をクリアーし、藤木は男を上げることが出来るのか?




花華院美木をとられるかも、という危機感から小林一文字に対抗心を抱く天使恵(メグ)。

美木のことが異性として好きかどうかはわからないけど、メグにとっては一大事で、たいていのことには冷静だけど、美木のことになるとこうまで慌ててしまうとか、という展開のめぐがかわいらしかったです。

また、小林も蘇我源造に言われるまで自分が美木のことが好きだということに気がつかなかったのも面白かったです。



西森博之 天使な小生意気 17巻
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西森博之 天使な小生意気 18巻
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2016年8月17日水曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 8巻

ハプニング連発の「大和撫子杯」も終り、やっと平穏な日々を取り戻した恵。と思いきや、今度は恵の16歳の誕生パーティーを父が大々的に開催。その上招待客は、18歳以上のセレブ限定だから、源造たちはお呼びじゃない!!しかも、パーティー会場で、ある国の超イケメン王子様が、恵に大接近!!さあ、この最大のピンチにどうする源造!?




小悪魔の呪いを一時的に押しのけて本来持っている力で天使恵(メグ)を助けようとする花華院美木。

小林一文字の仮説が確かなら、小悪魔は何のために呪いをかけたのかが気になります。

カッパがちょっとおかしかったです。



西森博之 天使な小生意気 15巻
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西森博之 天使な小生意気 16巻
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2016年8月16日火曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 7巻

宿敵・桂子からの宣戦布告を受けた恵は、誰が一番女らしいかを競う「大和撫子杯」にムリヤリ参加するハメに…。男性パートナーとゴールを目指すこの大会。源造は幸運にも恵に選ばれチョー浮かれ気分。なごやかムードでスタートしたのだが、突然の凶悪ヤンキー軍団登場で一転、緊迫の展開に!!爆笑とハラハラ満載の「大和撫子杯』。優勝は誰の手に!?




なにかにつけて天使恵(メグ)と張り合おうとする田中桂子のキャラ、蘇我源造のメグに対する感情振れ幅の激しさが面白いです。

祭や大和撫子杯、争いなどのイベントなんて必要ないと思えるくらいそれぞれのキャラが次に何を言うのかが楽しみです。

この巻で一番大笑いしたのは、大和撫子杯の一日目が終り、宿泊先でのメグと桂子の攻防です。

なんだろう、どうしてこんなに面白いんだろう。

花華院美木がただのか弱いお嬢さんではないことに驚きました。

なんかフワフワして掴みどころがなく、めぐをからかえる唯一のキャラだったのに。

めぐが呪いで女の子になっちゃったときに、美木にもなにか呪いをかけているのかもしれない展開になってきました。



西森博之 天使な小生意気 13巻
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西森博之 天使な小生意気 14巻
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2016年8月15日月曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 6巻

恵を女の子の姿にした「魔本」を再び発見!!これで“男に戻れる”と、ひと安心の恵。それを聞いて源造たちが騒然としているなか一人冷静な恵。と、思いきや、やはり内心どこか複雑な感じ…!?そんな恵がとった、源造たちに対するチョー大胆な行動は!?ドキドキの急展開に、目が離せない!!




表紙の天使恵(メグ)と花華院美木は何を話しているんだろう。

メグの神経が耳に集中しているかのような表情なので、このひそひそ話の後、面白いことが起こるんじゃないのかなと、いろいろ想像してしてしまいます。



美木、小林一文字、藤木一郎、安田太助が真面目に友人、仲間、憧れの人のことを心配しています。

魔本の呪いがめぐから蘇我源造に替わったことをよかったと思う源造、源造を心配する小林、藤木はそうでもないけど、呪いについて分析し、自分なりの仮説を立てようとする安田。

偶然つながりを持ったおかしな仲間たちの頑張りと、めぐの男まさりな振る舞いと純情なところの描き方が面白かったです。



西森博之 天使な小生意気 11巻
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西森博之 天使な小生意気 12巻
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2016年8月14日日曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 5巻

長い間、海外にいた恵の母が突然の帰国!!恵に男友達がいることを知った母は、「めぐ団」のメンバーの中に相応しい相手がいるかどうかを見極めると、いきなり面接を始めることに…。突然の出来事に、テンション上がりっぱなしの源造たちは、それぞれ自己アピールを開始!!見事、恵の母の目に留まり、恋人候補になるのは一体誰!?




天使恵(メグ)の男心より女心がわかってしまう自分に戸惑っているのが可愛らしかったです。

ファミレスでの花華院美木、小林一文字、藤木一郎、安田太助の会話のメグを男にしてはいけない何かとはなにか。

そして、メグはあれほど男に戻りたいと願っていたのに、本当に戻れるとなると迷いが生じるのはなぜなんだろう。

源造のメグに対する行動力はかっこいいです。



西森博之 天使な小生意気 9巻
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2016年8月13日土曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 4巻

源造たち「めぐ団」に加えて、天敵・田中桂子も転校してきて、恵のまわりはいつも大騒ぎ!!そんな中、今度は恵の無二の親友である、美木に許嫁の存在が発覚!!でも、それは家同士が勝手に決めたことで、うかない様子の美木。そんな状況に全然納得のいかない恵は、婚約解消をさせる為「めぐ団」を引き連れて強行手段を決行するのだが…!?




蘇我源造の男として自分の主張を貫きたいのと、恵に好かれてたいために曲げてしまう間のとっても短い葛藤と面白かったです。

「何もいらないし、何度でもつきあう!」

の源造の台詞はかっこよかったです。



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2016年8月12日金曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 3巻

恵の迷惑をかえりみず、源造たちは勝手に「恵を守る会」を発足!!毎日、朝から晩まで恵に付きまとう日々。そして何故か、舞台は大阪へひょんなことから女泥棒と出会ってしまった恵は、あれよあれよのうちに事件に巻込まれていく。だが、恵を追って大阪にやって来た源造と藤木により、何とか解決するかにみえたが…?




花華院美木はなんか変だなって感じます。

何を考えているのだろうと気になってしまう存在で、天使恵(メグ)や蘇我源造、小林一文字、藤木一郎、安田太助のやりとりを冷静に突っ込みを入れるところは、激しい動きや揺れる心で笑わせてくれる源造とは違うおかしさを生み出してくれて楽しいです。



新たに個性的で恵の天敵キャラ、田中桂子が登場します。

小林の地味さ、小林の頑張っているようで空回りしているところが面白かったです。



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2016年8月11日木曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 2巻

ついに恵は、自分を女に変えた“魔本”の手がかりを掴んだ!?果たして、魔法が解けて念願の男に戻ることができるのか?そして源造の新たな恋ライバル、イケメン・小林の登場で、物語はますます騒がしくなる一方!小悪魔に呪いをかけられるわ、ヤクザに絡まれるわで、眩しくて小生意気な天使の周りは、今日もドタバタが絶えない!




女性が乱暴な言葉や行動をとることを極端に嫌う小林と、魔本のピエロが登場します。

天使恵(メグ)と蘇我源造は妙なところで気が合い面白さを誘います。

源造のメグへのまっすぐさとその暑苦しいほどの求愛をばっさりと切り捨てるメグも面白いです。

読んでいて引っかかったのは花華院美木。彼女は何を考えているのかわかりづらいです。なにか変。



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2016年8月10日水曜日

西森博之 天使な小生意気 ワイド版 1巻

誰もが羨む超美少女・天使恵。でも彼女にはとんでもないヒミツが…!?




皆が恐れる最強の不良・蘇我源造(そがげんぞう)は登校中に出会った同級生の美少女・天使恵(あまつかめぐみ)に惚れてしまう。恵はケンカがメチャクチャ強くて言葉遣いも乱暴、それにはとても深い理由が…!?でも、そんなのお構いナシの源造は、あの手この手で恵に猛アタックを開始!!更に、同じく恵にゾッコンの平凡な同級生・藤木と安田も加わり、争奪戦は早くもデッドヒート!!




蘇我源造が一目惚れした美少女天使恵は普通ではない、あるヒミツを抱えた少女なのでした。

それは6年前、彼女が9歳のときに遭遇した不思議な体験に遡ります。

恵と幼なじみの花華院美木はピアノの稽古をサボってブラブラしていました。

何か面白いことはないかと河原を歩いていると、ゲームに出てくるような魔法使いの格好をしたおじさんを見つけます。

そのおじさんはちびっ子に追い回されていました。弱い者の味方をする性格の恵はおじさんにつき、ちびっ子から助け出します。



恵は助けたお礼に何かくれとおじさんにねだりました。すると、おじさんは魔本「天の恵」という怪しげな本を差し出しました。

捨てた方がいいよ、という美木の言葉を聞かず、どんな本なのか開いてみると、中からピエロが現れました。

そしてそのピエロは、

「一つだけ、どんな願いも叶えてやろう」

と言います。恵は迷わず、

「世界一男らしい男の中の男にしてください」

と願い事をしたところ、まばゆい光に包まれました。



輝きがおさまり美木が恵の姿を見ると信じ難いことが起こっていたのでした。

なんと、世界一の男らしい男の中の男どころか、見た目が世界一女らしい女の中の女に変えられてしまったのでした。

怒りのあまり、恵は魔本「天の恵」を川に放り投げてしまいました。



元に戻る手段を失って現在に至ります。



男だった恵がピエロによって女に変えられてしまってから6年間、恵は女として生きてきたのでした。

男に戻るために魔法使いのおじさん、もしくは、魔本を探し続けたけど見つけられず高校生になってしまった恵と美木。

果たして恵は男に戻れるのでしょうか。



6年の間、女で過ごし、同性からも羨まれる容姿と、その前の9年間男だった名残の男っぽい性格と行動を併せ持つ不思議な魅力を持つ女の子になった天使恵。

不良と怖れられた源造に求愛され、藤木、安田というファンを獲得し高校生活はスタートします。



恵の幼なじみの美木が恵を観察し反応する様子や源造が一直線に恵に求愛するところが面白いです。



西森博之 天使な小生意気 1巻
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西森博之 天使な小生意気 2巻
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2016年8月9日火曜日

朝倉世界一 デボネアドライブ 3巻

そして、みんなの夏が終わる…。

危機また危機の連続で、デボネア一行大ピンチ…!遥かなる道の果て、終着の地“津軽”が近づき、ハラハラ、ドキドキ、マッタリ、トローンな、旅も終わる…の?オシャレでキュートで不思議で切ないロード・コミック唖然呆然断然ハッピーな、ラストシーンをお見逃しなく!




絶賛の嵐を呼ぶ当代唯一のファンキー・ラブリー・クレイジー・ロードコミック、ついにフィナーレ!!

文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品!!



登場人物がこの世界で活き活きとしていてるのが感じられる作品です。1巻、2巻と読んできたから3巻がより面白く感じるんだろうけど、人の繋がりが面白かったです。



エチゼンくんの寝言が笑えます。もうあの海の夢は見なくなりそうです。

旅が再会し、フカヒレを食べるためだけに危険を犯す一行。昔対立していた組の賭場に堂々と入っていきます。

サイコロを外しまくるモモヤマさんと純粋だから当たり続ける会長。

残念ながら、一行の正体がバレてしまい、あともう一息のところでフカヒレがおあずけになってしまいます。

モモヤマさんにツッコムエチゼンくん、しかめっ面のモモヤマさんが面白かったです。



浜辺で謎の追ってに挟み撃ちされ、ピンチに陥ったり、恩人に再会し、問題解決に協力したり、占いが当たっていなくて安堵したりして、なんとか無事に津軽に到着し、会長としょう子さんを別れます。目的地に到着し、マリちゃん、エチゼンくん、モモヤマさんも津軽で別れます。

ぬれもなかの秘密はモモヤマさんが知ったら失神するかな?楽しいロード・コミックでした。



朝倉世界一 デボネアドライブ 3巻
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2016年8月8日月曜日

朝倉世界一 デボネアドライブ 2巻

どこまでも、あの道の向こうへ!

遥かなる“津軽”を目指して、クラゲのエチゼンくんと、謎のサーファー美女マリちゃん、オカマのモモヤマさん…ユカイな仲間の、ハラハラ、ドキドキ、マッタリ、トローンな、旅は続きます。オシャレでキュートで不思議で切ないロード・コミック、待望熱望の第2巻!




こんなカッコイイ漫画最近見たことない。絵も世界も全てがカッコイイ。こんな絵、こんな漫画、逆立ちしても描けない。

江口寿史(公式サイトEguchi Hisashi KOTOBUKI-STUDIO 日々メモより)




絵も世界も全てがカッコイイ。そう思います。



ふらっとやって来た死神が鎌で「とん」と頭をこづき、「ほわーん」と身体から意識が抜け出し幽体離脱した会長が大活躍です。

幽体なのに会長は全盛期の顔つきで生命力があふれています。

死神の手助けと幽体の会長の尽力でマリちゃんを救出?脱獄?することに成功します。

その間、エチゼンくんは海の夢でうなされ、海からはクラゲが大量にやってくるし、モモヤマさんは新しい恋の妄想が加速したりします。



フラダンスを披露したり、大事なお金を盗まれたり、再び追われることになったり、会わずにおけるのなら、会いたくなかった人と再会したり、思い出すこともできない人からなんのことかもわからない決着をつけようと言われたりしつつ旅は続きます。

不思議な世界がここにはあります。



朝倉世界一 デボネアドライブ 2巻
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2016年8月7日日曜日

朝倉世界一 デボネアドライブ 1巻

目指すは、遥かなる“津軽”!

エチゼンくんとモモヤマさん、マリちゃんと会長さん…

不思議にアヤシく素敵な仲間が、不思議にアヤシく素敵な日本をドライブする、ファンタスティック・ロード・コミック。みんなが待っていた、誰も見たことのない、懐かしくて新しい、「旅」が始まります。




朝倉先生の全てが私のツボにはまりすぎる。私のかけがえのなかった子供時代にひっぱっていってくれる。もう大好きすぎてゲロ吐きそうだ!

よしもとばなな(公式サイト日記より)




エチゼンくんが居眠り運転をしてしまいました。モモヤマさんに起こされてようやく状況を把握したときにはもう手遅れで、地面やガードレールに車体をこすり、フェンスにぶつかりようやく停車します。

大暴れしたのに車はまったくの無傷でした。モモヤマさんが大量の鼻血を出しただけで済んみました。モモヤマさんとエチゼンくんはなんとか落ち着き、

「遅刻しちゃうわ。早く行きましょう」

車を走らせようとします。

エンジンをかけ出発しようとして前方を見ると、ひとりの女の子がボンネットにすずしげに座っています。

「あの、なにか?」

エチゼンくんが女の子にたずねます。

「あれ見て」

女の子の視線の先にぺっしゃんこになったホンダのバイクが横たわっています。笑顔で右のバックミラーをメリメリと踏んづける様子を縮こまって車内から眺めているふたり。

女の子はチゼンくんとモモヤマさんが約束の時間に遅れそうなのでバイクの修理を後回しにすることを了承し、モモヤマさんとエチゼンくんの車に同情します。



到着したのはあるお宅。

エチゼンくんとモモヤマさんはひだまり社という介護業社で、移動入浴サービスを提供しているのでした。

なんとなく手伝わされることになった女の子。おばあちゃんの入浴を手伝います。

女の子(マリちゃん)の行き届いた心くばりに大いに満足したおばあちゃん。

「ちょっと表の陽にあたってみたいわね」

気力を取り戻したのか、久しぶりにこんなこと言うのです。

それなら、とエチゼンくん。

彼はクラゲ拳の使い手で、術をおばあちゃんに施します。見るからに怪しさでいっぱいの準備運動をするエチゼンくんを不安と緊張でいっぱいの表情で眺めているおばあちゃん。ところが、施術後、支えられながらも自分の足で縁側までたどり着けたのです。

縁側で陽をあびるおばあちゃんの幸せそうな顔。帰り際に、

「マリちゃんまたね。ありがとう」

と、マリちゃんの手を取り感謝するおばあちゃん。

握った手の温もりと人に感謝されたことが心に残るマリちゃん。

エチゼンくんとモモヤマさんはマリちゃんにとって、いままで出会ったことのないタイプの人でした。



バイクが直るまで、マリちゃんはエチゼンくんとモモヤマさんの家に世話になることになりました。

大きなカバンを見て、家出だとエチゼンくんが勘ぐる場面では、エチゼンくんとモモヤマさんの仲の良さが伝わってきます。



お酒を用意し、飲み始めるとすぐに、エチゼンくんはマリちゃんに特製の創作和菓子を食べさせようとします。無理やり食べさせられ続けているモモヤマさんの、

「まさか、あんなものを食べさせるつもり?」

という露骨な拒否反応を遮りつつ、マリちゃんにすすめようとする和菓子は「ぬれもなか」というものです。新しいもの好きなのか、甘いもの好きなのか、マリちゃんはモモヤマさんの心配をよそに味見します。固いのか柔らかいのか、伸びるのか伸びないのか、未知の和菓子ぬれもなかをカプッと口に入れ、くにゅくにゅと怪しい音を立てながらじっくり味わいます。髪の毛が昆布のようになるほど汗をかいて、息が荒くなり、感想を待つエチゼンくん。これまでいい反応がなかったようで、心の中で、いい反応とよくない反応が入れ替わり、気持ちが揺れ動いています。

「この皮おいしいよ」

マリちゃんの思いもかけない感想にびっくりするエチゼンくんとモモヤマさん。なかの餡を改良し、より美味しいぬれもなかを目指すエチゼンくんでした。



バイクが直らなくて、マリちゃんはエチゼンくんとモモヤマさんと一緒に行動するようになりました。

その日は仕事が早めにすみ、それぞれ自分の時間を楽しみます。マリちゃんはサーフィン。エチゼンくんは浜で車に積んである組み立て式の風呂でのんびり湯に浸かっています。モモヤマさんは

「わたしは今超はまってるのがあるから」

とひとりどこかへ行ってしまいます。それぞれ時間を過ごし、エチゼンくんとマリちゃんが家に戻ると、モモヤマさんが超はまっているというものを目撃します。モモヤマさんの趣味が笑えます。



夜、電話がかかってきます。

千葉県の福祉課からのもので、どうやらエチゼンくんとモモヤマさんのひだまり社というのは県から指定事業所証書を受けておらず、偽装したモグリ業者だったのです。

慌てるモモヤマさんといつかバレる日が来るだろうと覚悟していたからなのか動揺することもないエチゼンくん。

再び電話がかかってきて、マリちゃんが出ます。

青ざめるモモヤマさん。

電話は県の福祉課ではなく、ひだまり社への依頼でした。

マリちゃんから依頼者の名前を訊いてエチゼンくんとモモヤマさんは同時反応します。どうやら昔世話になった人の名前だったのです。



依頼主は横村道也。横道会(おうどうかい)という暴力団の会長でエチゼンくんはそこで運転手をしていました。数コマにわたって横村道也会長のハードな生き様が回想されています。

屋敷に到着し、部屋にとおされると、ひとりの老人が背中を向けて立っています。

「ご無沙汰しております。エチゼンです」

挨拶をするエチゼンに、

「誰?」

会長は老化が進んでしまっていて誰のことも覚えていないのでした。会長の妻しょう子さんのひだまり社への依頼は、

「会長を老人ホームへ連れて行ってもらえないでしょうか」

というものでした。

老人ホームは津軽にあり、そこまで送ってほしいというものでした。

運転手をしていた頃、よく会長と話していたエチゼンくん。

昨夜の千葉県の福祉課からの電話で、ここではもう営業できないといことはわかっていたので、しょう子さんの依頼を引き受けます。

事情をまだ話していないので、ひだまり社の仕事を心配するマリちゃん。

「いいのいいの」

軽く受け流すエチゼンくんと後ろめたい表情のモモヤマさん。

しょう子さんに明日来ることを告げ、屋敷をあとにします。

帰りの車中で、マリちゃんは会長を津軽まで送るという依頼を引き受けた理由を知ります。

「この裏切り者」

おばあちゃんに感謝され、エチゼンくんとモモヤマさんはちょっと違うと思っていたから出た言葉だと思います。バイクの修理も終えていないので一緒行こうとマリちゃんを誘うのですが、返事をしないマリちゃん。



翌日、会長としょう子さんを迎えに行くと、屋敷に怪しげなふたりがこそこそと、なにかを嗅ぎまわっています。

エチゼンくんとモモヤマさんが会長を車に乗せ、マリちゃんがしょう子さんを呼びに行くと、しょう子さんが残って怪しげなふたりの気を引くので、その隙に出発するようマリちゃんに言います。軽い身のこなしで車に戻り、

「出して」

としょう子さんを置いて急いで出発します。

怪しげなふたり組みはエチゼンくん、モモヤマさん、マリちゃん、会長を乗せた車を見つけると、車で追いかけてきます。

前途多難な津軽までの旅はこうして始まります。



謎の追っ手を気にかけつつ、モモヤマさんの昔の友達が手助けしたり、カーチェイスして明智左馬助の湖水渡り顔負けのスゴ技が飛び出したり、仲間意識が芽生えたり、エチゼンくん、マリちゃんの過去が明かされたり、会長が幽体離脱してしまったり、モモヤマさんの過去が明かされたり、マリちゃんが謎の追っ手に逮捕されてしまったりします。



朝倉世界一 デボネアドライブ 1巻
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2016年8月6日土曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 23巻

最終巻です。やや駆け足気味だった気がします。



「いつの間にか一番大切なのはあいつといる未来になってる」

とようやく気づいた千秋真一と、ユニークな人生の分岐点に立って迷いに迷っている野田恵(のだめ)。

もじゃもじゃコースが4番目の選択肢として浮上しているのが面白かったです。

本気で集中した野田恵(のだめ)の演奏はやはり千秋真一の心を揺さぶり、自然と涙がでてしまうようなピアノで、このまま埋もれさせたくない気持ちでいっぱいになります。



黒木くんとターニャのふたりがいい関係になるのは、黒木くんにとってどうなんだ?と思わせつつの距離感で描き終えたのは、これはこれでいいかな思いました。



野田恵(のだめ)カンタービレは作中に演奏される曲を実際に聴いてみたり、聴きながら読んでいました。

コマから音がきこえてきそうな感覚になり、目から入ってくる情報で頭の中でいろんな音が鳴るという錯覚を覚える作品でした。



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2016年8月4日木曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 22巻

ついに野田恵(のだめ)がプロの舞台へ。

それを望む人とそうでない人。

シュトレーゼマンが野田恵(のだめ)に、

「なんて先生にならっているの」

ときいて、

「シャルル・オクレール先生」

という名を聞き驚いた顔、シャルル・オクレールとシュトレーゼマンの会話。

シュトレーゼマンは余計なことをしちゃったのかな。

エジプトで初めて入ったバーで、

「おやじ、いつもの」

という野田恵(のだめ)の精神状態はかなり不安定そうです。

野田恵(のだめ)はどういう決断をするのでしょうか。



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2016年8月2日火曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 21巻

野田恵(のだめ)が千秋真一と共演して感じてみたいと思っていたことを、Ruiは千秋真一との共演で見事にやってのけてしまい、目標を希望を失ってしまいます。

そんな野田恵(のだめ)にシュトレーゼマンが手を差し伸べます。

野田恵(のだめ)を大きく飛躍させようとするシュトレーゼマン。

年老いていくことで聴力が失われてしまう前に、なんとしても、野田恵(のだめ)をこの自分たちが見えている世界に連れて行ってあげたいんだ、という気持ちが伝わってきました。

ギャグはひとまず置いておいて、シリアスな展開になりました。

シュトレーゼマンとオクレールの関係も気になるところです。



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2016年7月30日土曜日

羽海野チカ 3月のライオン 11巻

川本家に自分勝手な提案を繰り出す彼女たちの父親・誠二郎に、一歩も引かずに渡り合う零。

あかり、ひなた、美咲、相米二、川本家の皆が彼の存在の大きさを感じていた…。

零が自分の幼年期から現在に至るまでを振り返ったスピンオフ・ファイターも収録。

様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



川本家3姉妹の前に突然音信不通だった父親が現れます。

父親は3姉妹に、また一緒に暮らそう、といい、あかりとひなたは戸惑います。

桐山零は3姉妹を守ろうと父親の前に立ちはだかります。


目的は? 意図は? 零は調べるほどに3人の父親という人物はダメな人間だと知ります。要は3姉妹の住む家を乗っ取ろうとしていたのでした。


父親は零に川本家の家族の話だ、他人である零は関係がないから会話に入ってくるなと言います。零の行動はその場にいた誰もが驚くものでした。ひなたは固まってしまいました。


みんなが驚いた一手。さすが棋士です。


3姉妹の父親にとって零のような人物はやりにくい相手のようです。思うように事が運ばず、時間も迫ってきていて、なりふり構わず3姉妹に接触してくる父親に、あかりは恐れずに拒絶します。

父親は思ってもみない長女あかりの拒絶に諦めざると得ませんでした。

長らく悩みを抱えていた川本3姉妹はようやく開放されます。

穏やかであったかい日常が戻ってきます。


零は守りたいものを守るために人生を設計しはじめます。突飛な行動すぎて笑いました。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 11巻
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2016年7月28日木曜日

羽海野チカ 3月のライオン 10巻

ひなたが同じ高校の一年生として入学。

零は高校三年生となり、学校も将棋の戦いも充実した生活を送っていたが――

その穏やかな日々に波乱が起こる。

川本家に現れた歓迎されぬ来訪者とは…?

少年の成長を実感する前進の第10巻。

様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



6月末。桐谷零は高校3年生になって3ヶ月が過ぎました。零は変わらず教室でひとりぼっちの学生生活を送っています。

学校生活で変わったことといえば、ひなた(川本ひなた)が零と同じ高校に入学したことで、時々学校内でひなの姿を見かけるようになったことでした。

零はひなが以前のように、明るい笑顔を取り戻せたことに満足しています。

欲を言えば、ひなが将棋部に入ってくれたらなという気持ちはあるようです。ひなを将棋部に誘うことはせず、零の心のなかだけでそう思っていたみたいです。

将棋部の現状を見ると、高校の部活の雰囲気はかけらもなく、ひなを誘わなくて正解だったと思います。


零は相変わらず、お昼は屋上で食べています。ひなちゃんが友達のつぐみちゃんとお昼をとっている場所がよく見える所で食べています。

零は笑顔でいるひなを見守るとだけでいい、なんて、大人ぶったことを林田先生に言います。

矢先に、ひなたちに見知らぬ男が近づいてくると、零は見たこともない速さでひなたちの元に駆けつけその男と張り合おうとします。零も少し変化してきています。


零にもたらした変化は、幸田家を訪れたことにも表れています。


零は島田と隈倉さんの対局の観戦に将棋会館にやってきました。棋士の将棋以外の仕事が描かれています。島田さんにやってきたスポンサーの話が面白かったです。


零と入江さんの対局。棋士たちの思考が描かれています。対局相手をどう見ているか。姿勢は過去対局した誰を頭をかすめるか。対局中に考える戦略、戦術以外に焦点を当てているのが面白かったです。



川本家3姉妹に災難がやってきます。

音信不通だった3姉妹の父親が登場します。

また一緒に暮らそう、と言う父親。戸惑う3姉妹。零が全力で3姉妹を守ろうとします。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 10巻
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2016年7月26日火曜日

羽海野チカ 3月のライオン 9巻

 中学3年生のひなたは自分の進路の事で悩んでいた。

やりたい事は分かっているのに手を出してはいけない気がして…

そんな彼女を暖かく見守るひなたの家族と零。

一方、名人戦では宗谷名人の幼い頃からのライバル土橋九段が宗谷と激闘を繰り広げていた。

いまだ宗谷に及ばない土橋を懸命に支える彼の家族…。

本当に大事な人って誰ですか?

この命題を問いかけます。

様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



川本ひなた(ヒナ)やまほちゃんをいじめていた高樹と学年主任の国分先生の話し合いは続いています。

国分先生の言葉に何か気づきがあればいいけれど、どうなっていくのでしょうか。


ヒナは進路について迷っています。息抜きもかねて零は、週末に学校で行う将科部の夏の自由研究の集大成のイベントに誘います。

ヒナだけじゃなくあかりとモモも一緒に零の学校の校庭に行くと、大きな装置で流しそうめんを行おうとしていました。


零は林田先生に3姉妹を紹介します。

林田先生はヒナのことは零から相談を受けていたので、実際に会ってみて、零が必死で守ってあげたいと思う気持ちが何なのかを知ります。あとは零の気持ちだけです。零は気づくのかな。


あかりが登場すると林田先生の表情は一変します。

一目惚れ? なのでしょうか。

流しそうめんは参加した全員が楽しんでいました。

笑っている零を見てあかりとヒナは零の高校を受験しようと決意します。


零の通う駒橋高校は偏差値が高く、ヒナが零に、

「橋校に行きたい」

というと、次の日には零は「学習プラン」を作成し、ヒナの勉強をサポートするようになります。

受験が近づいたある日、言わなくてもいいことを言って零は悔やみます。


受験直前にはヒナは風邪をひいてしまいます。

不安いっぱいで受験の日をむかえ、ダメだったのか、と思わせたけれど、無事合格します。

影で一番喜んだのは林田先生です。先生はあかりともう一度会えるのかな。



新たな棋士が登場します。


滑川臨也(なめりかわいざや)七段。棋界一番の疎まれ者です。

悪い人ではないのに、風貌から相手に苦手意識を植えつけ、自分のピンチのときに目の前にあらわれてそのまま飲み込まれてしまうので、疫病神と呼ばれてしまいます。なんかかわいそうな棋士です。本人はいたって将棋を楽しんでいるようですが。


土橋ケンジ九段。

真面目で誰よりも努力しているのに、なかなか結果に結びついていかない棋士です。宗谷名人という大きな壁が隠れてしまいがちです。

徹底的にあらゆる場面を想定し、深く潜った研究。宗谷名人をロボットと書いたけれど、土橋こそが将棋ロボットです。いつも決まった行動をとります。

宗谷の気づかい。

局面で会話する宗谷と土橋。

見守るしかない両親の思い。2人にしか分からない局面のドラマが面白かったです。

藤本棋竜の感想がよかったです。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 9巻
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2016年7月24日日曜日

羽海野チカ 3月のライオン 8巻

新人王となった零は様々な人々の期待を受け宗谷名人との記念対局に臨む。この対局をきっかけに零は宗谷の重大な秘密を知ることになる。一方、島田八段は棋匠戦で初タイトルをかけ柳原棋匠と死闘を繰り広げていた…お互いのすべてを出し尽くした勝負の行方は…?「戦い続ける事」その重さを読者の方に問いかけます。様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



静かで明るくて何もこわくない所


宗谷名人との対局は桐山零にとって、こういう世界があるんだと初めての感覚を体験させるものでした。

研究と経験を重ねて努力し続けることで、はかることさえできない宗谷名人との圧倒的な差は埋まるのか。嵐のまっただなかに自分は立っていると思っていたのに、嵐の渦はずっと先にあって、がむしゃらに走ってもたどりつけるのか、嵐の渦に飛び込んでいけるのかといろんな思いが交錯します。


対局を終え、帰りの新幹線に乗るため駅のホームに立っていると、同じ新幹線で戻ろうとする宗谷名人をみかけます。


そこで零は宗谷名人の秘密を知ります。日本将棋連盟会長神宮寺崇徳をはじめ、ごく限られた棋士たちにしか知られていない宗谷名人の秘密でした。ずいぶん前から宗谷名人の耳はきこえなくなっていたのです。


前夜祭でのかみ合わないインタビュー、不手際があっても平然と求められてもいないコメントをし周囲を沈黙させたふるまい、そのために将棋の鬼と呼ばれていること。零はすべて納得がいきました。それだけに、宗谷名人との対局したあの感覚をもう一度味わいたい思うのでした。


二階堂が復帰します。



順位戦は、一年をかけて10局を戦います。零や二階堂のいるC1は34名で、毎年その中のトップ2人が昇級し、5人に1人の割合で成績下位者に降級点がつき、その降級点が2つになると降級となる。



島田は零に二階堂はきっと気落ちしているだろうからのぞいてやってくれ、零の顔を見たら元気出るだろうと言い、数日後の玉将戦を観にいきます。

二階堂の相手は青野八段。二階堂が準決勝の山崎順慶と対局のとき倒れたとき、世話役の花岡さんをさがし、救急車を手配し、二階堂を看病した人です。

零が対局中の部屋をのぞくと、

「…負けました」

と声がきこえてきました。

二階堂が勝ちました。

島田や零が心配していたのに、二階堂は勝ったよろこびを満面の笑みでかみしめ、研究した成果が勝ちに結びついたことを心の底からよろこんでいます。零も二階堂の笑顔に自然とつられます。


棋匠戦。柳原棋匠と島田の対局です。

島田が勝つと、初のタイトルを手に入れることになり、何としても欲しいと意気込んでいます。

柳原棋匠はなんとしても棋匠を死守したいと、老いともたたかっています。今回の対局に勝つと通算十期達成で「永世棋匠」を獲得することになります。

長年守ってきたタイトルを奪おうとする棋士。死守しようとする保持者。柳原の身体の衰えとタイトルを失ったときの恐怖描いた場面は棋士の想像をはるかに超える重圧を感じます。


ひなた(ヒナ)はあかりとちほちゃんに会いに行きました。いじめた側はなんにもなかったかのように普段の生活を送っています。

ちほちゃんが受けた傷は簡単に癒えません。たぶん癒えることはありません。生涯心の傷を抱えたままです。



今でも中学生くらいの女の子を見ると動けなくなってしまうそうのだそうです



このコマのちほちゃんの表情を見ると切なくなります。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 8巻
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2016年7月22日金曜日

志村貴子 青い花 8巻

好きという気持ちが相手のものと同じかどうか不安になるあーちゃん(奥平あきら)とふみちゃん(万城目ふみ)。

ふみちゃんの想いにこたえたいけれど、どうこたえていいのかわからない。

自分の好きという気持ちと、ふみちゃんのそれとは何かが大きく違うと感じているあーちゃん。

あーちゃんに別れを告げられたとしても、絶望しないでいられるよう心に言い聞かせるふみちゃん。

ふたりとも終わりがあることがわかっていて、そこに進みつつ、今日ではなかった、と安堵しているように見えます。

藤が谷女学院高等部3年生の修学旅行の行き先はイギリスのロンドン。そこには先輩の杉本恭己(すぎもとやすこ)が留学しているので、あーちゃん、井汲京子、上田良子の三人は会う約束をしていたのでした。

杉本先輩はさらに綺麗になっていました。

その綺麗な杉本先輩に「きれいになった」といわれる井汲さん。

何か心の霧が晴れたのを感じたんだと思います。さすが、井汲さんをずっと見てきた杉本先輩です。

あーちゃんが杉本先輩とふたりきりで話し打ち明ける場面は、そうだったんだ、とあーちゃんがこれまで抱えていたもやもやしていた部分がはっきりしました。

修学旅行から帰ってきて、あーちゃんはふみちゃんに距離を置くことを告げます。

ふみちゃんは当然号泣してしまいます。何度もふみちゃんの泣き顔は見てきたのに、このときの涙はつきささるような深い悲しみを感じてたまらなくなりました。

拒まれたという感覚をうまく処理できないながらも、平静を保とう、少しずつ元気になろうとするふみちゃん。

そして、心のどこか大切なところが欠けてしまったような気持ちになるあーちゃん。

ふたりのそれぞれの時間が過ぎ、卒業式を迎えます。

卒業式を終え、帰り道、偶然再会したあーちゃんとふみちゃん。

砂浜で交わす会話で互いが背負ってしまう言葉の重み。

それは、後日、あーちゃんがふみちゃんを見かけたときに感じてしまいます。

そういえば、あーちゃんは他の人と楽しく過ごしているふみちゃんを見たことがなかったなと思いました。

心がざわざわしたあーちゃん。

そして出した答えは……。 最終巻です。

恋のこの字も知らなかったあーちゃん。高校の通学路でふみちゃんに再会し、ふみちゃんが女の人が好きだと知ってもあまりピンとこなかった女の子。

ふみちゃんの恋を元気いっぱいで応援し、破れたあとも慰めていると、ふみちゃんに対する気持ちが友達とは違うなにかなのかもを思い始め、ふたりの立ち位置から、ふみちゃんの心の隙間を埋めるのは私、とあーちゃんは思っていたのでしょうか、「つきあう」ことにします。

周りが恋ということに敏感になり、ノリや勢い、おしゃれっぽいという感覚から「つきあう」と言ってしまったのか、本当に相手のことを想っていった言葉なのか、関係が深くなるにつれ、もし違っていたらという怖さが先にたってしまいます。

これが恋なのかどうかを知るために距離を置くことにします。

ひとつずつ気持ちを確かめ、そうなんだ、これは恋なんだと、あーちゃん自身で確信できてよかったなと思いました。

小さな、すぐにでも消えてしまいそうな、淡い光をあきらめずに待ち続けたふみちゃんにも本当によかったと思いました。



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2016年7月20日水曜日

志村貴子 青い花 7巻

新学期が始まりました。

あーちゃん(奥平あきら)、ふみちゃん(万城目ふみ)にとって高校生最後の年です。

いろんなことが少しずつ変化していきます。

大野春花は2年生になり、後輩もできました。

彼女にとっての変化は姉の結婚。両親の知るところとなります。

井汲京子は母の心の病がより重くなり、どうしていいかわからず、康ちゃんに救いの手を求めてしまいます。

好きな人によそ見されたとき、母のように心が崩れてしまうかもしれない不安から、母に似ていることが活発だった女の子に影響を与え、そうではない生き方を選ぼうとします。

それでも、ひとりでは不安で、康ちゃんには全身で頼りたい気持ちのほうが大きくて、さみしさを抑えることができない母と同じ弱い面があることを認めたくない気持ちがせめぎあっているように感じます。

井汲さんは母親とは違うのに。

康ちゃんに依存してしまうことをそんなに極端に嫌わなくたっていいのにと思います。

康ちゃんの覚悟、京子への想い、それがなくなったときの不安。

これはいつまでもなくなりはしないだろうな。どうしたら乗り越えることができるんだろう。

揺れるあーちゃんはなにげない会話の中でミーハーなところのある自分の話題となり、その流れから、ふみちゃんとのことに重ねてしまいます。

恋に憧れていて、勢いとノリだけで続けてきた関係は深くなっていくにつれ、不安と戸惑いを抱えていきます。

あーちゃんはふみちゃんとの関係をどういうものにしたかったのか。

誰よりも気持ちが通い合い、楽しいことをたくさん共有していられる関係は欲しかったんだと思います。

今後、あーちゃんの心がどんな風に変わっていくのか、決心を待つことにします。



志村貴子 青い花 7巻
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2016年7月18日月曜日

志村貴子 青い花 6巻

杉本恭己の一時帰国、箱根への旅行、久しぶりのお泊まり、クリスマスが描かれています。

やっちゃん(杉本恭己)が帰ってきたのがうれしいのか、井汲京子や各務正則や和佐の反応を観察したいのか、姿子が楽しそうです。

恭己と京子の会話のあいだに入ってニコニコ、恭己と各務と和佐の会話に入ってニコニコ。恭己の行くところについてまわっています。

「…君たちは本当に仲がいいよね…」

各務正則のいうとおりだと思います。

箱根の一行も楽しそうです。

春ちゃん(大野春花)、あーちゃん(奥平あきら)、ふみちゃん(万城目ふみ)、ポンちゃん(本厚木洋子)、モギー(茂木美和)、やっさん(安田美沙子)の他に春ちゃんの姉の織江と、織江の友人?で藤が谷女学院の先生であーちゃんの担任の山科日向子という顔ぶれです。

春ちゃんは同学年を誰も連れてこなかったんですね。

ん?あれれ?演劇部に一年は春ちゃんひとりだったっけ?いたよね?演劇祭の受付は一年生だったはず。

同学年を連れてこないなんて春ちゃんはちょっと変わっている子だなと思います。

夕食を楽しみ、お風呂に行こうということになり、ここではやっさんが面白かったです。ふみちゃんに、

「あたしたちの体みて笑わないでね」

恥ずかしそうに言うのがかわいらしいです。

ふみちゃんとやっさんの会話をすこし離れたところで訊いていたあーちゃんが浴場でふみちゃんの体をじっと見つめます。

視線に気づき、あーちゃんと目が合うふみちゃん。

見とれていたことに照れるあーちゃん。

「きれいだから」

という、あーちゃんの言葉にうれしハズカシのふみちゃん。

ふたりのドキドキするやりとりの間に、バスタオルぐるぐる巻きで、静かにそっと浴場に現れる春ちゃん。

見逃すはずがないポンちゃん、モギー、やっさん。

心底旅行を楽しんでいる春ちゃんとポンちゃんとモギーとやっさん、ぎこちない感情が揺れ動いているあーちゃん、あーちゃんの言葉に舞い上がって湯あたりしてしまったふみちゃん。

読んでいてとても楽しいです。

あーちゃんなら想いにこたえてくれるかもしれない、というふみちゃんの思いはわからなくはないです。

杉本先輩(杉本恭己)とのときも拒否反応を示すこともなく相談に乗ってくれたし、ダメになったあとも、想いを告げたときも、過剰に意識することはあっても途切れることはなかったあーちゃんとの関係を思うと、期待してしまうのは無理ないかなと思います。

「つけこむ」はふみちゃんの中での大胆さと繊細さが大波となって交互にやってきているんだろうな思う台詞でした。

予定したものではなく、あーちゃんが母親とふみちゃんの家に遊びに来て、泊まることになったその夜、ふみちゃんが口に出して言ったのはつけこんでるなって思います。

「うん 知ってる」

あーちゃんの言葉のあと、起き上がり、ふみちゃんは言おうとしたのかな。言おうとしたけど、恐くなってやめたのかな。

一睡もせず朝を迎えたふみちゃんとあーちゃん。

話しはじめるあーちゃんに、やっぱりダメだと思ったふみちゃん。涙ぐみながら、なんとか友達としていられないかと、それすら無理なんじゃないかとどんどん落ち込んでいっている様子が伝わってきます。

なのに……。こんなときってどんな気持になるんだろう。これこそ「声にならない」なんだろうな。

ふみちゃんの無敵感と恐怖感が面白いです。

デートでは一歩前進します。先に動いたのはあーちゃん。

「あのさ」

いつ切り出そうか、なるべく自然に切り出そうとしているあーちゃんの表情がいいです。

ここではふみちゃんがよく頑張れました。コマごとにふみちゃんの心情を想像すると面白いです。

クリスマスをどうするか考える季節に入ります。

ポンちゃんとやっさんの会話や、とにかく平静を保とうとするふみちゃんとあーちゃんが面白かったです。

クリスマス。シャンパンを開けてからのふみちゃんがかわいらしいです。

頭ではわかっているけど、ふみちゃんの行動に緊張してしまうあーちゃん。

抱きしめることしかできないけれど、それでもふみちゃんにとっては最高の贈り物だったと思います。



●若草物語

知らない人たちが出てきました。



志村貴子 青い花 6巻
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2016年7月16日土曜日

志村貴子 青い花 5巻

藤が谷演劇公演、小学生のときふみちゃんがあーちゃんと離ればなれになってからの出来事などが描かれています。

自分が想像もしていなかった世界を、友人から知ったあーちゃんと、姉への手紙から知った大野春花。

多感な時期に揺れ動く感情が面白かったです。

藤が谷演劇祭「鹿鳴館」が上演されます。

あーちゃんの家族と横浜の恵子おばさんはちょこちょこ登場して楽しませてくれます。

井汲京子と上田良子の藤が谷演劇祭史上かつてないほどの演技力とともに芝居が進み、芝居に重ねるように井汲京子の家庭の事情が描かれます。

どうして井汲京子が杉本恭己を慕うようになったのかというところまで若草物語で描いてほしいです。

次は大野春花のおじいちゃんのところで打ち上げと称して団体旅行が始まります。

大野春花の、

「うわーん、楽しみすぎて眠れないよ!!」

その気持よくわかります。

それでも当日は寝不足でも興奮しているから元気なんですよね。



●若草物語―千恵さんと苑子さん―

あの子はあのときどう思っていた?訊けずじまいになってしまったなと振り返って思い起こすほどの記憶に残ることってどれくらいあるのだろう。訊いてみて、

「うぬぼれ屋!」

って一度でいいから言われてみたいです。



志村貴子 青い花 5巻
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2016年7月14日木曜日

志村貴子 青い花 4巻

進級したふみちゃん(万城目ふみ)とあーちゃん(奥平あきら)。

ふみちゃんと背格好がよく似た上田良子、あーちゃんと同じように活発で屈託のない後輩大野春花が登場し賑やかになってきました。

井汲京子を学校に送る澤乃井康。途中、ふみちゃんとあーちゃんを見つけ乗せてもらうことに。

車中、ふみちゃんがいることで松岡女子のバスケ部の話を持ち出し、井汲京子の反応を伺おうとする澤乃井康の京子を見つめる表情が何かを確信し決意した表情になった気がしました。

京子が澤乃井康を杉本恭己より好きになるのはもう少し時間がかかりそうです。

予期していなかったふみちゃんの言葉に動揺するあーちゃん。

今後のふたりの距離、関係が複雑な想いとともにどう展開していくのかこちらも楽しみです。

ふみちゃんはじわりじわり相手の反応を確かめつつ行動するということができないのか、直線的過ぎてるので、あーちゃんの戸惑いは当然です。

ふみちゃんは急ぎすぎだなと思いました。



●若草物語―姿子さんと薫子さん―

他の誰かでは育めない、いい関係を築けているように見える薫子と姿子。薫子の精一杯と姿子の言葉足らずの中に隠れている想いがいいなと思いました。高嶺の花と自分が釣り合っていないと考えてしまうと、相手のどんな言葉も耳に入ってこなくなりますね。くされ縁という言葉が姿子の口から発せら、薫子は誰もが憧れる女性になりそうな気配を残しつつという終り方もよかったです。



志村貴子 青い花 4巻
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2016年7月12日火曜日

志村貴子 青い花 3巻

怒って、笑って、食い意地が原因で立ち聞きしてしまったり、ふみちゃんの相談にのったり、といろんな表情のあーちゃんと、あーちゃんのスパイス要因のちょい役ではなくて、立派にあーちゃんの成長過程に影響する存在になりつつある兄が面白かったです。

毎年夏は許婚澤乃井康の家族とともに清里で過ごすという井汲京子に誘いで、あーちゃん、ふみちゃん、茂木美和、本厚木洋子、安田美沙子、おまけ?であーちゃんのお兄さんというメンバーで遊びに行くことになります。

清里に向かう途中、早速兄弟ゲンカを始めるあーちゃんと兄。なんだか様子がおかしいモギー(茂木美和)。

安田美沙子のあーちゃんの兄への絶妙な質問が面白かったです。

この時モギーはどんな顔してたんだろう。照れてうつむきながら、全神経を耳に集中していたのかな。

清里ではテニス、ゴルフ、ハイキング、野外でカレー作り、ロッジに宿泊と思い切りアウトドアを満喫します。澤乃井康があーちゃんに話した、

「俺はその人になりたい」

は前後の回想シーンとともに、康さんが心に決めたことをずっと守ろうとしているように感じました。

ふみちゃん、杉本恭己、井汲京子それぞれに思いを抱えつつ、杉本次女和佐と各務先生の結婚式が行われます。

四女の恭己だけでなく、三女の公理も各務先生が好きだったという挿話は若草物語で描いてほしいです。

祝福される新郎新婦をまだ素直に喜べないという表情を浮かべながら見つめる杉本恭己、杉本恭己のそんな表情を知っているかどうかは分からないけど、背中を見つめ、あきらめ切れないというような表情をする井汲京子。

そんな井汲京子のうつむく表情から何かを感じ取る澤乃井康。一方通行な視線がとても印象的な場面です。

杉本恭己が髪を短くした理由や井汲京子が自分とよく似ている点など、演じて生きてきたことが描かれています。

演じる何かが意図したとおり他の人に伝わればの話ですが、演じると他の人が自分が想像する自分そのままに感じてくれるので、自分のみっともない部分は自分にしか分からずにすんでしまうという思うは、誰にも持っているものなんじゃないかと思います。

ふみちゃんの気持ちがあーちゃんに向かい始めます。

清里からちょくちょく澤乃井康とあーちゃんがふたりきりで行動するところを見聞きするふみ。

ふみちゃんのこみ上げてくる嫉妬心の表現がよかったです。

心のどこかがズキッとするけど、この痛みは言い表しにくくて、ふみちゃんの言いようのない感情はこの表現でよく伝わってきました。



●若草物語―公理さんと駒子さん #1―

好きな人の苦手なものを知らなかった駒子さん。その日のために張りきっていただろうにがっくりしただろうと思います。



●若草物語―織江さんと日向子さん―

2巻の若草物語では好きになる前の話で今回はふたりの現在の話でした。相談に来る河久保さんの、

「私とうとう病気だっていわれたわ」

というちょっと荒れ気味な態度がなんか妙に現実感を感じました。



●若草物語―公理さんと駒子さん #2―

好きな人が好きという「好き」がどういう語感の好きか分かってしまう寂しさ。駒子さんは気持ちをしまったままにしたのかな。



志村貴子 青い花 3巻
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2016年7月10日日曜日

志村貴子 青い花 2巻

井汲京子の登場人物紹介に笑ってしまいました。

元気いっぱいに友人のために動き回るあーちゃん(奥平あきら)。

自分の好きな人の知りたい部分を知ることができなくて不安になるふみちゃん(万城目ふみ)。

普段から男役が似合う杉本先輩(杉本恭己)。

三人の距離感と感情の伝わりかたがよかったです。

杉本先輩とつき合っていることをふみから打ち明けられ、相談に乗ったり、杉本先輩の好きな人が誰なのかが分かり落ち込む井汲京子を気遣うあーちゃん。

好き合うふたりがいて、そのことで悲しむ人がいることを知ります。

自分のことはそっちのけで大忙しです。

あーちゃんのふみちゃんへのアドバイス、

「それがいいんじゃん乙女心じゃん」

「ガツンと言ってやんないと所かまわずモテないで下さい!って」

きっとあーちゃんがふみの立場ならふみと同じでなんにも言えないだろうなって思うセリフです。

だけど、ふみちゃんにアドバイスしているあーちゃんはとても楽しそうです。

すこしずつ杉本恭己の神秘性が少しずつ紐解かれていきます。

杉本恭己には上に三人姉がいて、それぞれに妖艶です。

そして、お母さんも妖艶です。

外では恭己はクールだけど、家の中では姉にからかわれる存在です。

自分の弱みをふみに見せることにした恭己。

各務先生と杉本家次女の和佐、そして恭己、ふみ。どういう物語になるのか楽しみです。

あーちゃんのお兄ちゃんがものすごい角度から妹を心配していたり、横浜の恵子おばさんの厳しそうなところが面白かったです。

150ページのあーちゃんと杉本先輩のコマのつくりが不思議と記憶に残ります。



●若草物語―織江さんと日向子さん―

そんなことだってあるよという話でした。続きが読みたいです。



志村貴子 青い花 2巻
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2016年7月8日金曜日

志村貴子 青い花 1巻

万城目ふみは泣き虫でイヤと言えない性格。奥平あきらは元気いっぱいのしっかり者。そんなふたりの物語です。

大の仲良しだった奥平あきらと万城目ふみ。

ふみが転校することになり、離ればなれになって10年の月日が流れます。

高校一年生の春を迎え、ふみが家族とともに鎌倉に戻ってきて再会するところから物語は始まります。

万城目ふみは松岡女子高等学校に、奥平あきらは藤が谷女学院高等部に入学し、このふたつの学校は近くにあって下車する駅も同じで、再会までにふたりは通学の電車で助け、助けられた出来事で面識があり、母親同士が連絡し合い、再会したときは互いにその日の出来事を思い出し、驚きと気恥ずかしさで面食らってしまいます。

大きな性格の変化はなくても、会っていない10年という空白の時間は万城目ふみと奥平あきらにはそれぞれ異なる経験を得ているので、突然の再会は、面倒見のよい奥平あきらにいつもくっつくようについてまわっていた万城目ふみといった仲の良かったあの頃のような関係をすぐに取り戻すことはできませんでした。

イトコのおねえちゃん千津が結婚をすることになったのを知った万城目ふみが、事実を知ったその日だけでなく、翌日登校するときになっても悲しみに暮れ、奥平あきらが泣きそうになる万城目ふみを見かけ、ハンカチを差し出し、思いもかけない言葉をかけられたことがきっかけで、ふたりは関係を取り戻していきます。

「ふみちゃんはすぐ泣くんだから……」

昔、奥平あきらの口から何度も聴いた言葉で、ふみは幼い頃の懐かしい記憶がわきあがり、あきらを心細くて頼りきっていた存在だったという感覚がよみがえります。

埋まることはないと思っていた空白の時間が奥平あきらの言葉で一瞬でつながったったのでした。

奥平あきらにしてみても、万城目ふみがうつむいて涙をためている光景を見ていると、昔の場面とデジャビュのように感じられて、自然と口から出たんだと思います。

その言葉は10年というふたりの空白の時間を埋めるのに充分な言葉でした。そしてふたりは幼い頃の関係を取り戻していきます。

学校の登下校で会うようになり、それぞれの学校で友人を作り、部活に入部し、高校生活を送ります。これまで考えたこともなかったことを考えるようになる奥平あきら、恋に気持ちが揺れる万城目ふみ、穏やかな雰囲気の中にフッと起こる感情の慌ただしさが面白い作品です。



志村貴子 青い花 1巻
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2016年7月6日水曜日

入江亜季 群青学舎 4巻

いろんな関係が描かれていました。



●橋の向こう側

宿屋を営む一家のお話。

その宿屋にライダーとマージがやって来ます。宿屋を営む側の、迎え入れてから去っていくまでと、宿泊するライダーとマージのふたりがあれからどうなったのかという両方から楽しめた話でした。

無愛想なライダーと大きくなって人当たりがよく明るくて、屈託のない表情をするようになったマージ。

ふたりに変化はあるのかな?と期待していると、相変わらずライダーはマージを心配させることばかりの男のようです。

マージにまとわりつかれると面倒くさそうにするのに、いなくなるとアーサーからの仕事を一切投げ出しかねないくらい大切に思っているライダーのひねくれ具合、なにがなんでもライダーのそばにいる一途なマージ。

いいコンビだなと思います。

ライダーとマージの関係がどんなのかはわからないけど、マージになんとなく好意を寄せるルカ。マージがやってきて宿屋の手伝いが楽しくなったようです。



●七色ピクニック

シャルル、ピエール、ミシェル。三人の息子に囲まれて母親のアースラがとても幸せそうです。



●七色ファミリア

夜になり、子どもたちを寝かしつけ、ようやく大人だけの時間が持てそうなところで、ひとりずつ子どもが目を覚まし、あれやこれやとハプニングを起こします。

手がかかるけれど、幸せそうな顔で子どもたちと眠るアースラを見るフレデリックもまた満たされた表情をしいます。



●七色トゥモロー

子どもたちが自立し、家を出ます。普段と変わることなくしゃべり、振舞うアースラ。

三人を送り出すまで、自分の感情を抑えて母親を演じたことを褒めるフレデリック。

静かになった家にふたりだけになってしまっても幸せに暮していけるだろうなと思いました。



●スパイ・アンド・スパイ

取り合って争っているあいだに奪われてしまう話。

ちいさなおっさんが狭い車内で争う姿が面白かったです。



●続々々ピンク・チョコレート、完ピンク・チョコレート

本物のピンク・チョコレートが完成したという話。

守屋捨松はどうやって三也子さんにピンク・チョコレートを飲ませたんだろう。素直に言われて飲むなんてことはしなさそうなのに。

心を奪われた三也子さん。

「私を…… 嫌いなの?……じゃあどうしてわたしにあれを飲ませたの?」

両想いになるため、捨松にピンク・チョコレートを飲ませようとするところがイメージする三也子さんらしいです。

そして、ワクチンを飲んだあとの捨松へのお仕置きが面白かったです。



●老楡

ジュリアンとエリオットがどんな関係なのかはわかりません。

樹齢何百年を超える老木にもしも意思があるなら、たくさんの人間の嘘と真実を見てきただろうなと思います。

エリオットがジュリアンの新しい人生に自分の財布を持たせることにはなにか思いが込められているのでしょうか。



●本日はお日柄も良く

こういう先生を恩師っていうんだろうな。



●四季

これまでの話の別のafter storyが描かれています。

山背くんはまだ大森君の前に現れています。教室をツルや草で覆ってからもう現れていないんじゃないかって思っていました。

秋丸ゆかりと一野恵はそれぞれに恩師の教えを守り日々を過ごしています。

小太刀茜先生は変わらずマイペースです。

ニノンとサミーの仲はあれからすこし進展しているようです。

待宵姫はマミジロに出会ってよかったと思っているんだろうな。

ブンタ先生とマコさんのお宅の野菜はさらに順調に育っているようです。

依子、和美、三津枝、ふた葉は言っていた通りハワイに来ているのかな。

静間一彦と一条漣子の仲は高校を卒業するまでは内緒だったんですね。同窓会というのを内緒で漣子を連れ出したのが、漣子の照れくさそうな表情からわかります。

青子はこれからもずっと万里雄に心の中で話しかけるんだろうな。

昼田さんと紺野くん?だと思うけど、紺野くんの服装が学ランじゃないのはなぜ?

ジルとジルの父親に挟まれて、いままでとはまた違った悩みを抱えていそうなハロルドでした。

ユリアナ姫は剣術もめきめき上達中です。

ミシェルは男の子に人気があるようです。シャルル、ピエールの頑張りに微笑むアースラとフレデリック。息子たちの活躍が楽しそうです。

ようやくマリオンを捕まえたクリス。彼女の名前を知るのはいつのことになるやら。

グゼニアは理由をつけて学院にくるのが楽しみで仕方ないはずです。

ティナさん、ブットシュテットがいくら鈍くても鍋の横に置いたものくらいわかると思うから、その優しさはそっとさりげなくのほうがいいですよ。

ライダーを待つマージ。マージが待っていると思っているライダー。雪が降っているなか待っていたんだから、マージが喜ぶようなことでもいってあげればいいのに。

春日くんと三也子さんの子どもたちもアースラ、フレデリックの子どもたちに負けないくらい好奇心旺盛で腕白そうな気がします。

小番くんはせっかく淹れた珈琲が冷めてしまうくらい、ラジオから流れる音楽に聞き入って、夢見心地の気分でいるようです。



入江亜季 群青学舎 4巻
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2016年7月4日月曜日

入江亜季 群青学舎 3巻

いろんな「気づき」が描かれていました。



●赤い屋根の家

愛されていないと誤解している父娘の話です。

主人の補佐と娘の世話を引き受けているハロルドがふたりの間を行き来し、双方にそのままきちんと見聞きしたことを伝達しているのに、なにひとつ信じていないところや、父娘のそれぞれの態度が互いの溝をさらに深くしてしまっているのが面白かったです。

ハロルドがもっと早く旦那様が慌てるようなことを仕組んでやれば、ジルはこんなにもさみしい思いをせずに済んだのになと思ってしまいます。

といいつつ、父親もジルも自分の考えが間違っていないと信じているところがそもそもの原因なんですけどね。似たもの親子です。



●続々ピンク・チョコレート

自由すぎる都三也子に春日くんがとうとう怒り爆発という話。

もうあとひと我慢、いえ、あと一晩こらえていられたら都さんのほうから謝ってきてくれたのに。

愚痴りつつも都さんを誰よりも大切に思っている春日くんでした。



●薄明

存在がなくなってしまい、関係できなくなってしまった話。

あの時、ああ言えばよかった。

そう悔やまなくてもいいように生きられればなと思いつつ、なかなかそうはいかなかったりします。


●メリー・ガーデン

心配や不安もあるけれど、同じものを楽しみにしているブンタ先生とマコさんがなんかいいなと思いました。


●待宵姫は籠の中

これほどまでに自分が知らなかった世界が広がっているなんてことを待宵姫(まつよいひめ)が知ることができてよかった、よかったと思う話でした。

待宵姫が自分で行動するまでじっと待っていたマミジロ。かっこいいです。


●雪降り積もる

大切なのは場所ではありません。

どこだっていいんです。

大切なのは全員が欠けることなく、その日を忘れずに、集まってバカ騒ぎすることです。そんな話でした。



入江亜季 群青学舎 3巻
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2016年7月2日土曜日

入江亜季 群青学舎 2巻

●ニノンの恋

ニノンの一所懸命さと、

「こちらこそありがとうございます」

の言葉に気持ちが温かくなります。

サミーのように、気づいてあげられる人にならないとなと思いました。



●時鐘

気持ちにまっすぐというか、屈託がないというか、

「殺さんでも人は死ぬよ」

に、そうかと行動する昼田さん。

時は止まらない、いつか自分もいなくなるというのはわかっているようでわかってないのかもしれません。



●北の十剣

グゼニアとルーサーの憎愛の物語。

互いが死んでしまわぬよう、それぞれのやり方で乗り越えていく姿が面白かったです。



●彼の音楽

好きだからやってこれた。やってきてよかったとしみじみと思いたいものです。



●続ピンク・チョコレート

1巻の春日くんと都は学生だったんですね。

そんなこともわかってませんでした。

そして、都三也子がこんな自由な人だとも思いませんでした。

あれ?ほれ薬は効いたのかな?効かなかったのかな?どうなんだろう。

「after story」も含めた春日くんと都さんの関係からすると、ふたりは初めから想い合っていたので、ほれ薬はきっかけづくりという教授の粋なはからいだったのかな。



入江亜季 群青学舎 2巻
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2016年6月30日木曜日

入江亜季 群青学舎 1巻

●異界の窓

まぼろしだったの?何だったの?という話でした。

隣りの席に座る山背(やましろ)くんという名前の男の子がいたはず。話しかけられたのも覚えている。だけど、クラスの誰も、先生さえも山背くんのことを知らない。どうも大森くんにだけ見えているようです。

きつねのしっぽに似たものが生えている少年は人間の世界に興味を持ち、からかいに来たもののけの類か。それとも、大森くんだけが見た幻想なのか。一面ツタで覆われた教室は違うのか、違わないのか。物語がもう少し長ければなと思いました。



●とりこの姫

心と態度は裏腹という話でした。

泣かされたと騒ぐ女の子がたくさんいる。

町で見かけるたびに違う女の子を連れている。

学校ではこんな噂で有名なクリス。

マリオンはそんなクリスを、あまりに人気がある彼が一体どんな人なのか気になって、見ているうちに好きになってしまいます。

いいかげんで、気をもたせるばかりなのに、クリスの誘いを断る女の子はいません。それなのに、どうして自分まで他の女の子のようにクリスを好きになってしまったんだろうと、マリオンは許せなさとくやしさとそれでもこみあげる好きだという気持ちがごちゃまぜになっています。

クリスのテンポになんか乗らない。あくまで強気にそして冷静に。言いたいことは言うんだ。と自分に言い聞かせてクリスと友人たちがいるカフェにマリオンは挑んだんだと思います。

クリスの相手を見透かしたような余裕を感じる態度に負けないというマリオンの強い態度気が面白かったです。

彼女の思惑は失敗したかもしれないけれど、いままでにない反応をする女の子に奇妙な感情が生まれ、クリスに変化が起こったので、「after story」以降のクリスとマリオンは学校でも有名なカップルになったんじゃないかなって思います。



●先生、僕は

さえないとか、若くて美人だったら言うこときいてやるのにとか言ってたのに、

「よかった」

と微笑む先生の表情に宇佐美くんがドキッとしまう話。

もう一度先生の微笑んだ表情が見たいと思う宇佐美くんはなんだか大人だなって思いました。



●花と騎士

ユリアナにとってはショックな話です。王族なのに姫なのに下女扱いされ、

「おぬしのことか どうりで」

と、女なのに男だと思われ、頭にきて、自らの手で相手をのしてしまいます。

侍従たちの策略が見事に成功したのに喜べない王女が面白かったです。



●ピンクチョコレート

ほれ薬を発明し、効果を試すため所員の男女がほれ薬を飲むという話。

作ったのはほれ薬ではなく、気持ちが素直になる薬だったのかな。都は何も覚えてないのに、春日くんははっきりと覚えているのは、都にはほれ薬が効いたということなのかなと思いました。



●森へ

静かな森を歩く老婆。自然の恵みをいただき、お地蔵様に感謝しお供えをします。

森が感情を持ったように雨を打ちつけ、雷が響くなか、抗うことなくただじっと待ち続けます。

再び森は静かさを取り戻し、そこに住むいのちが活動を始めます。

歩く老婆。別の場所にお地蔵様を見かけます。

よく見ると、お地蔵様の足元に先ほど老婆が供えたおむすびの笹だけがありました。

口元にはいくつかの米粒がついています。

静かに手を合わせる老婆。

森を守る神々に感謝の気持を捧げます。



●白い火

優等生一条漣子と問題児藤間一彦の話。

人に話せない事情を抱え、たびたび藤間にお金を借りる漣子。

壁をつくるような冷たい漣子の態度に、

「お前俺に会いに来てんの?金借りに来てんの?」

と、隠していることが何なのかわからず、つい、藤間は漣子に訊いてしまいます。

漣子には訊かれたくないこと、いいたくないことがあります。

借りようとしたお金を藤間につき返し、

「なんとかするから大丈夫」

笑顔で告げるが、すぐにどうにもできず藤間に頼ってしまいます。

自分がなんとかしていかなくてはいけない。だけど、誰かに頼りたい。そんな漣子の抱える事情を藤間が知ったときに漣子にいったセリフがよかったです。我慢しなきゃと自分に言い聞かせ、仕方ないとあきらめる。こらえるしか選択肢がないと思っていた漣子のどん底の思いに光がさします。

「なんで言わねえんだ ……お前はもっと賢いと思ってた」

はやく気づいてやれなかった藤間の気持ちが強く握っていた漣子の手首の痕から感じられます。事情を話そうと決意し、藤間の家を訪れ、中から女性が出てきたときのことを思い出す漣子。いろんな感情があふれだし、涙がこぼれます。

感情のままに涙し、甘えることができ、安らげる場所を見つけた漣子。これからずっと幸せでいてくれればいいなと思いました。



●アルベルティーナ

看板娘のわたしに何も感じないなんて許せない!という話。

父娘で営むカフェ、アルベルティーナ。

看板娘ティナはその指先にさえ視線を集めるほどの色気のある美しさで、彼女目当てに連日多くの男性客がこの店に訪れます。

客たちは飲み物を何杯もおかわりし、ティナが近くを通るたびにデートを申し込んだり、すこしだけでもおしゃべりしようと誘うのですが、どれもさらりとかわされてしまいます。

ティナにはひとつ気に食わないことがあります。それは男性客の中のひとり、ブットシュテットという先生のことです。

アルベルティーナにやってくる男性客はほぼティナ目当てでやって来て、ティナの振る舞いひとつひとつにそわそわし、魅了されているのに、ブットシュテット先生だけはティナを気にかける素振りも見せません。

新聞を読み、珈琲を一杯飲み終えると店をあとにします。

ティナのほうから話しかけてみても、素っ気ない短い言葉しか返ってきません。

カフェにやってくるありとあらゆる男性は自分を目当てにやって来ているというのに、ブットシュテットだけはまったく関心を示さないことが許せないティナ。

自分がモテないと店は終わってしまうと断言するティナはブットシュテット先生を自分に振り向かせようとします。

簡単なことだわ。

そう考えていたのに思ったようにいかないティナ。ブットシュテットの無関心な様子に、次第に彼を目で追うようになっていきます。

ブットシュテットの素っ気なさが気に入らないのは、ティナが彼のことを気に入っていたからなんだと思わせる、店にやってくる男性客の数が減っても構わないという、ティナの台詞が大胆でした。

この短編をブットシュテットの視点から想像するのも面白いです。

アルベルティーナは珈琲を飲んで新聞を読むためだけにやって来るにはにぎやか過ぎるはずなのに、常連だとわかるくらい来店しているのは、きっとティナがいるからなんだと思います。

ただ、他の男性客のようにティナに話しかけるのは苦手なようで、黙々と新聞を読んでいます。

いつものように新聞を読んでいる隣にティナが座ったのには驚いたはずです。

記事を追う目は固定して動かなくなり、全神経を隣りに座っているティナに集中していたと思います。

伸びてくる手にすぐ反応できたのもそのせいだと思います。

目が合ったとティナが感じたとき、ブットシュテットも彼女と同じように感じて、気恥ずかしくなってカフェに通うのをためらってしまったのが、ティナには逆の効果があったようです。

店の前を通ることはあるけど、閉店したあとじゃないと使わないことにしていたのか、たまたま忙しい日が続いて、通るときは店が閉まった遅い時間になっていたのか。

ふと振り返ると、傘を持ったティナが立っていたのは意外な出来事だったと思います。

約束を果たすという口実でアルベルティーナにやってきて、いつものように新聞を手にとり、席について広げて読もうとしたら、背中に気配を感じて、肩のあたりから手が伸びてきて新聞を取り上げられ、それだけでもドキッとするのに、その上ドキッとするような格好で話しかけられ、そのことを指摘すると、どぎまぎするようなことを言われるブットシュテット。

一体、なにが起こったんだろう?と思ったにちがいありません。

翌日、ブットシュテット先生はどんな顔でアルベルティーナにやって来るんだろう。面白い物語でした。



入江亜季 群青学舎 1巻
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2016年6月28日火曜日

しおやてるこ たまりば 1巻

多摩川の近くに住む、そうそう接点を持つ機会はなさそうな年の離れたふたりの恋物語です。




主人公の高校生中原美和と川崎春生の出会いのきっかけは、美和の弟たっくんです。たっくんが川で石投げをして一緒になって遊んでいるという大人に会いに行ったことからこの物語は始まります。



美和は平日の昼間に小学生と遊んでいるという大人を不審に思い、たっくんが危ない目に遭ったら大変だと、でも、ひとりじゃ心細いので仲のいい美和の友達のあやちゃんについて来てもらい、たっくんと約束した橋までやって来ます。

たっくんからは、

「ジョニー・デップ似」

と聞かされていて、美和からそれを聞いたあやちゃんは興味津々でやって来ます。

待ち合わせた橋の上で、たっくんのうしろでもじもじしながら立っている男は、

「ジョニー・デップです」

と恥ずかしそうに言います。

姿かたちどこも似てなさ過ぎて激怒するあやちゃん。

一方の美和は、なんだか放心したようにその男を見つめ、我に返って、自己紹介を始めます。



表現のしようがない感情が胸の中でぼんやりとふくらんでいき、これが恋というものなのかなと思い始めるのと同時にとめどなくあふれてくる好きだという気持ちが抑えられなくなっていく美和。

遊び半分で美和につき合っていたのに、美和の熱心さに次第に本気で応援するようになるあやちゃん。

プライベートがうまくいっていなくて気持ちが沈みがちになり、多摩川でたそがれていたとき、元気に遊んでいるたっくんと出会いいくらか気持ちが軽くなるのを感じ、美和たちと一歩引いたところから大人としての立場でおしゃべりを楽しんでいたのに、気持ちのコントロールができなくなっていくハルオ。

どんなことがあってもハルオがよそ見することはないと思っていたサチ。

この四人の人間模様が面白かったです。



しおやてるこ たまりば 1巻
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しおやてるこ たまりば 2巻
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2016年6月26日日曜日

高橋留美子 赤い花束 高橋留美子劇場3

 いろんな家のお父さんが描かれています。



●日帰りの夢

仕事を終え帰宅すると妻と息子は自分たちだけ寿司を出前して食べていた。

「やだっ、パパ早いじゃない、きょうは…」

寂しすぎるお父さん東雲が主人公です。

転校を繰り返していたため、クラスメイトもよく覚えていないけど、クラス会のお知らせのはがきが送られてきました。

幹事を見ると当時好きだった女の子の名前が書かれてあり、最後に交わした会話を思い出します。

退屈で居場所がないのも手伝ってクラス会に出席しようと思い立ちます。

妄想を膨らませ、胸の高鳴りを抑えつつ会場に到着すると、やはりそこにも自分の居場所がなく帰ろうとすると好きだった女の子が遅れて到着します。

しかし、妄想も過ちも何事もなく帰宅。

帰宅すると家族が慌てている様子で妻は涙目で心配していたのでした。無関心だと思っていた家族に対してすこし安心したような気持ちと、一人で食べるのを楽しみにしていた駅弁を家族三人で分け合うことになり残念な気持ちと交錯した終り方でした。

家族に邪魔にされ外に女がいると疑われてしまう日常で、初めて参加するクラス会にウキウキしてわきあがる妄想を抑えられない様子や、ふくよかな、ふくよか過ぎでツヤツヤな顔に和服姿で登場する憧れの女の子と同じ名前の女性をみて、妄想から何もかもを打ち砕かれてがっかりするお父さんが面白かったです。



●おやじグラフィティ

単身赴任から戻ると息子は成長していて無口になっているし、見たことのないペットは自分を警戒している居心地の悪い状況。

なのにある日、帰宅すると自宅の壁に落書きが…。

それがエスカレートし、怒りが頂点に達するお父さん。

話してみると分かるんだけどな、というごく単純な手段を使わずに分からなくなってることってあるなと思いました。



●義理のバカンス

お義母さんと旅行することになった奈美子さん。

親孝行をしてあげようと頑張り楽しい旅行になりそうだと思ったのもつかの間、鬱憤が溜まっていきます。

我慢しているのにお義母さんは、

「気を遣うわ、もう、やんなっちゃった」

などと電話で友人に話しているところを目撃してしまいます。

互いに限界に達しそうになったときに大きなしだれ桜を目にしてどうでもよくなってしまいます。

ただ旅行に来てよかったと素直に思えたのでした。桜を見たあとのオチが面白かったです。



●ヘルプ

介護が必要な実父を持つお父さん。介護は妻に任せっきりだったのですが骨折して入院してしまい、自分が看ることになってしまいました。

しっかりしていた父親を知っている息子、息子に介護してもらうのを快く思わないおじいちゃん。

家族にはそれぞれ役割があり、分担して生活していて、介護される側になった父親でさえ息子の心配をするところが面白かったです。



●赤い花束

こんな姿で死んじゃったら悔やんでも悔やみきれないと成仏できずに自分の葬式を眺める吉本一。

涙ひとつ流さない妻と息子。

死んでしまってから気がつく家族の気持ち。

冷めた対応の妻。

号泣してる息子のガールフレンド。

妻の気持ちを察することなくただ自分と一緒にいてほしいと思う気持ちを込めて贈った薔薇の花束。

面白さと取り戻せないけどお父さんが欲しかった幸福感で締めくくっている素敵な作品でした。



●パーマネント・ラブ

単身赴任のお父さんの定食屋たまたま見かけた美しい女性に恋をし誰にも知られぬまま終った話。

浮かれて自分一人だけがその気になって舞い上がり、あれよあれよと終る恋ってあるある、なんて思いながら楽しみました。



高橋留美子 赤い花束 高橋留美子劇場3
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2016年6月24日金曜日

高橋留美子 専務の犬 高橋留美子劇場2

●専務の犬

ここぞというときに男をみせる小暮、ゴージャスの主人を決める目、最初から最後までとても面白い作品です。



●迷走家族F

いつもなら起こるはずのない出来事が次々と起こり不安が高鳴るはずき。

一家心中しようとしている。はずきは確信します。

懸命に回避しようとするけど、大好きな先輩に彼女がいることがわかるとどうでもよくなってしまいます。

だけど、家に置いてきた先輩のことを綴った日記を思い出すと顔から火が出そうなくらいの恥ずかしさがこみ上げてきて、再び生きる情熱を取り戻したりするといったドタバタが繰り広げられる面白い作品でした。



●君がいるだけで

倒産した会社の重役だった男堂本の妻が病気になって、妻の代わりにパートにでるという話。

パート先は弁当屋で料理経験もサービス業の接客業の経験もなく店長を困らせるし、努力家なんだけど、努力が実を結ばない日々を送ります。

言い分は正しくてもサービス業において客は絶対であるので叱ったり、投げ飛ばす堂本の行為は店長にとって不要な存在以外のなにものでもないのですが、威圧する存在感に首を告げることができません。

変わろうと努力するのですが、そう簡単に変われない。全く縁のない人に話し涙したことで少しふっきれたのか、以前とは違った一面が顔を出します。

店長と堂本のやりとり、変わるきっかけになったアッチャラーさん。面白い作品でした。



●茶の間のラブソング

食あたりで妻が亡くなったはずが、仕事を終え、自宅に帰ると妻が座って普段通り会話しています。

なぜか成仏できずにいるらしく、自分以外は妻が見えない。成仏できない理由が分からず、幽霊になった妻と暮らしているという話。 部下の桃井さんが食事を作ってくれたり、自宅の周りをジョギングしたり、度々家に出入りしたりといった絶妙な距離で接してきます。ん?もしかして…、と思ってしまうのは仕方ないかもしれません。幽霊になって嫉妬する妻、何もみえてやしないウソつき住職がおかしく、ラストにしんみりしました。



●おやじローティーン

単身赴任を控えた古田年男。その直前に記憶を失ってしまい、妻のことも息子のことも分からなくなってしまい、自分は13歳だといいます。手がかりは財布の中にあった女子高生と撮ったプリクラ。

記憶を失っている間のこともしっかりと覚えているんだろうなと思いました。



●お礼にかえて

マンションの住人の対立を面白おかしく描いた作品。

九官鳥の九ちゃんが発する謎の言葉。その言葉は、いじわるする女王を大人しくさせる呪文だけどその秘密は分かりません。ドラマチックに展開し、わかりやすい攻守の争いが面白かったです。



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