2024年5月30日木曜日

新川直司 四月は君の嘘 Coda

有馬公生(ありまこうせい)のピアノに出会い心を打ち抜かれた人たちの短編集です。

それぞれ登場する人物たちがそれぞれの思いで自分い向き合う姿に感動します。

Coda1とCoda2は公生と幼なじみの澤部椿(さわべつばき)のお話しです。

Coda3は公生の演奏会でピアノを聴いて心が揺さぶられて号泣した井川絵見をピアノを弾いている同級生渡部章(わたべあきら)の視点で描いたお話しです。

Coda4はバイオリンを弾く三池俊也(みいけとしや)と伴奏をする茶代恵梨香(ちゃだいえりか)がくる学際の舞台にむけて練習するでお話しです。

Coda5は宮園かをりが公生のピアノに出会いバイオリンを始めるお話です。

どのお話も登場する人物の心情を想像して泣かされました。




●Coda1 夏の夕暮れ

幼少期の有馬公生が初めてピアノの演奏会に出たときのお話です。

公生はお風呂上りにピアノを弾いています。自作の即興曲で歌を歌います。瀬戸紘子が公生の母親に愚痴っている内容を聞き覚えた言葉を歌詞にして歌います。

紘子は公生のピアノを聴いて、

「公生 ピアノの演奏会に出てみない?」

と言います。

公生はピアノの練習を始めます。

紘子は公生ののみこみの早さ、解釈の面白さにただならぬものを感じ、公生を世に出したらきっと凄いことになると確信します。

椿に悲しい出来事が起こり、公生は元気を出してもらうためピアノを頑張ります。

ピアノの演奏会当日、公生は椿に、

「見てて 椿 僕 頑張るから」

と言います。

紘子は公生の姿を見て男の子になったと感じます。



●Coda2 夏のまぼろし

公生は控室に行きます。

控室では舞台に上がるのがこわくて泣きだしている子、奇声を上げる子、神経質に譜面を見ながらぶつぶつ呟いている子などがいます。

記念撮影をしている子もいます。

公生の出番がきて舞台に登場します。緊張しているのか椅子をお尻で倒してしまいます。

椅子に座り、公生は観客席にいる椿を見つけます。椿としっかり目が合ったのを確認して鍵盤に手を置きます。

演奏が始まります。

公生のピアノで寝ていた子が目を覚まします。

観客席の大人は公生の演奏を稚拙だとか粗さが目立つなどと心の中で評価します。しかし、演奏が進むにつれすぐに公生のピアノが歌っていて音がキラキラしていると感じ始めます。

渡亮太も椿も公生の演奏に浸っています。公生のピアノは聴いている人にいろんな情景を思い浮かばせます。

公生は椿に笑っていてほしいという思いを込めてピアノを弾きます。公生のピアノの旋律は椿に語りかけます。

控室のモニターで公生の母親と紘子は公生の演奏を聴いています。

紘子は公生の一番いいところが出ていて満足そうです。

公生の母親は、

「どうしよう 紘子 あの子天才だわ あの才能をキチンと世に出さなきゃ」

と言います。

紘子は不穏な感じを抱きます。

母親が公生を厳しく指導するきっかけはこの演奏からで、紘子が公生にピアノを弾かせなければとよかったと後悔しているのがわかります。

観客の誰もが公生のピアノに浸っています。

最後まで弾き終えると公生は、

「できた!! あっ」

とうまく演奏できたので声を出してしまいます。慌てて口を押さえる仕種がかわいいです。

皆聴き入っていたからか拍手することさえ忘れています。

ひとりの女の子が公生のピアノに感動して声を出して泣き出します。公生の演奏が始まる前は寝ていた女の子で、後の井川絵見です。その隣には宮園かをりがいます。

絵見の泣き声に観客はぷっと吹き出し、それをきっかけに会場が笑い声に包まれてしまいます。

公生は一生懸命弾いたのに笑い声は自分に向けたものだと思ってしまいしょんぼりして舞台を降ります。

でも、公生の椿に笑ってほしいという目的は達成します。椿は公生の思いをピアノを通じて受け取り泣き笑いの表情です。

公生は最初の演奏から誰かのためにピアノを弾いています。誰かのためにというのが公生のピアノの音を色づかせているのだろうなと思います。



●Coda3 秘密結社KKE

ピアノを弾く渡部章から見た井川絵見が描かれています。

中学3年生の絵見は学校で男子たちがファンクラブを作るほど人気があります。

渡部章はファンクラブで絵見を熱く語る男子を冷たい視線で見ています。

渡部の友達は絵見をなんとも思わないのかと言います。

渡部は学校で見かける絵見と別の顔の絵見を知っていてどちらが本当の絵見なのかわからずにいます。

渡部が視聴覚室でピアノの練習をしていると、絵見が話しかけてきます。

渡部は絵見が自分のことなど知らないのだろうなと思いつつ、絵見にどうしてピアノを弾いてるの? と訊きます。

渡部は絵見のピアノが好きではないようです。この頃の絵見のピアノが不機嫌で、けだるそうで、つまらなそうにしていると感じていて、ピアノさえなければ絵見は完璧な人なのにと思っています。

絵見は少しの沈黙の後口を開きます。絵見は渡部を知っています。渡部の問いに、

「君は何故ピアノを弾いてるの? 君は人生を変えられた瞬間がある? 私はあるわ 私はその瞬間を信じたい うん それが私がピアノを弾く理由」

と応えます。

毎報音楽コンクール。

絵見はキョロキョロと何かを探しています。

相座武士は絵見に、

「誰 探してんだよ」

と話しかけます。絵見は誰も探してないと動揺しつつ言います。

二人とも同じ人物がコンクールに戻ってくるのを待ち焦がれています。

ホールの入口から公生が入ってきます。

階段を上る公生の姿を絵見と武士が見つめます。

「あれって」

「うん」

絵見は待ち焦がれていた公生がやって来て武者震いします。

渡部が絵見を見かけます。

公生と絵見と武士が話しています。

渡部は絵見だけを見ています。

話している途中なのに絵見は早々に控室に向かいます。

渡部は絵見の表情を見て肌が粟立ちます。絵見はやる気をみなぎらせた表情です。

毎報音楽コンクールで演奏した絵見のピアノはこれまでとは全く別物でした。渡部はピアノを弾く絵見自身が輝いていているのを初めて目にします。ピアノさえなければと絵見を評価していたのにこの日を境にピアノで表現している時こそが一番輝いていると考えを改めます。

渡部は冷ややかな目で見ていた絵見のファンクラブに入ります。そして、絵見の魅力をふんだんに語ります。

公生のピアノに感動して号泣した絵見は自分も公生のようなピアノを弾けるように努力し、公生の心に何かを残せるようになりたくてピアノを弾いているんだと思うとその純粋な思いに胸が温かくなります。



●Coda4 2年後

本編から2年後、くる学祭でバイオリンを弾く三池俊也と伴奏をする茶代恵梨香の話しです。

茶代はくる学祭で公生と相座凪の連弾を聴いて心を打ち抜かれ、自分もくる学祭の舞台に立ちたいと思っている女の子です。

三池は伴奏をしてくれる人を探しています。しかし、三池の要求に応えられる伴奏を出来る生徒がいなくて、困っています。

三池は茶代に伴奏をしてほしいと誘います。

茶代はどうしてもくる学祭の舞台に立ちたいので引き受けます。

三池は練習中茶代に細かいミスも許さず、徹底的に指摘します。

茶代は心が折れそうになりながら必死に食らいついていくと三池の覚悟を知ります。

くる学祭当日。

相座凪が登場します。大人っぽくなっています。

茶代は憧れの相座凪に話しかけられて嬉しそうです。

相座凪は三池といつものように言い合いをして、客席に公生が来ていることを伝えます。

三池と茶代がステージに向かうところで終わります。

公生のピアノが好きな三池と、公生のよっていくつもの階段を一気に駆け上がった相座凪のピアノが好きな茶代のお話です。音楽に向き合う姿勢がいいなと思いました。



●Coda5 夏のなごり

宮園かをりがこの世に誕生し、すくすく育ち、友達のせっちゃんのピアノの演奏会を観に行ったお話です。

かをりは活発な女の子で興味を持っていろんなことを始めてはすぐ興味を失い他のものに興味を示します。両親も呆れてしまう速度で次々に新しいことを始めます。友人のせっちゃんのピアノの演奏会に行き公生のピアノに出会います。

公生にピアノを弾いてもらいたくてバイオリンを始めます。

かをりが演奏会の会場を出ていく公生を見つめ、君のいる場所に行くからと心に決めて、中学生になり夢が叶います。

公園で公生を見た時かをりが流した涙の理由がわかります。公生のピアノを聴いてから10年くらいの時間の経過があったと思います。その時間ずっと想っていたんだろうなと考えると切なくなります。ずっと想い続けて、すこしの嘘をついてやっと公生の視界に入ることができてどんなに嬉しかっただろうと想像すると泣けてきます。

かをりがせっちゃんと記念撮影をして、後日出来上がった写真を見て公生が写り込んでいたことで大喜びする様子や、写真をずっとずっと大切に持っていて、最終回に公生への手紙に同封した場面を思い起こして視界がボロボロになるほど泣きました。



四月は君の嘘という作品に出会えてよかったです。




新川直司 四月は君の嘘 Coda
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2024年5月28日火曜日

宇佐美真紀 夕暮れライト 5巻

最終巻です。

安藤ちなみは友達といい関係が築けません。一人になることが多くてさみしい思いをしてきました。父親が再婚する相手に娘がいて、桜井和音と友達であり姉妹である関係を望みます。和音を傷つけたくない思いで自分を抑えようとしたり、自分にウソをついてしまうちなみにどうして友達ができないのか不思議に思いました。

喜怒哀楽がはっきりしていて好かれない要素なんてないのになと思います。和音といい関係を持ちたい、家族というかたちを大事にしたい思いが感じられるのがこの作品の良かった点です。

相馬兄弟は苦手です。何がしたいのかわかりませんでした。




ちなみは雄大に告白されます。

奏多が戻ってきてちなみを連れて行きます。



ちなみは母親の所に行きます。雄大からの告白が嬉しくて、和音に合わせる顔がないと感じています。



和音は何があったのだろうと心配します。

お隣からものすごい物音がして行ってみると奏多と雄大がケンカをしています。

和音はダメッ、やめてと言います。

雄大に馬乗りになっていた奏多は和音を見て、立ち上がり家を出ていきます。

和音は雄大に事情を訊きます。

雄大はちなみに告白したと言います。



ちなみは母親の家にいます。母親とうまくコミュニケーションがとれません。

母親はちなみの気持ちを察していて、優しく語りかけます。



母親は父親に連絡し、ちなみをしばらく預かる言います。

和音は複雑な心境です。

ちなみは母親と出かけます。



奏多はちなみの携帯に連絡してみます。しかし、電源を切っていてつながりません。



雄大は和音のところへ行き、ちなみに謝っておいてほしいと言います。



ちなみは母親と買い物をしていても和音のことを考えます。



和音はちなみに会いに行こうと決めます。

ちなみに帰ってきてよと言います。

ちなみは帰ると言います。



帰り道ちなみは和音に思いを伝えます。

互いに思いを伝え合い家に帰ります。



夜、和音は雄大に気持ちを伝えるからちなみもちゃんと伝えてねと言います。

ちなみは言わないと言います。



和音は雄大に聞いてほしい話があると言います。



ちなみと奏多は河川敷にいます。

奏多はちなみが何を言いたいかわかっていて、ちなみの望むとおりにします。



和音はちなみが自分の気持ちをわかっていたから、雄大の告白に答えられなかったと言います。

雄大はだからと言って、もう一度告白できるわけがないと葛藤します。奏多からちなみを別れたと聞かされます。

河川敷で泣いているちなみを見つけます。声はかけず、和音を呼び出します。

雄大は気持ちを話します。

和音も気持ちを話します。



ちなみが帰宅すると泣きはらした和音がやって来ます。ちなみも泣いていて互いに抱きしめ合います。



学校でちなみは視線を感じ見ると、雄大が何か言いたげです。しかし、目を逸らします。

席替えが行われます。

ちなみと雄大は席が隣同士になります。

ちなみが教科書を忘れて見せてあげます。

雄大は教科書にまた一緒にライブ行こうぜと書きます。

ちなみは答えずうつむきます。

雄大が見るとちなみは泣いています。

ちなみを保健室に連れていきます。教室を出て雄大はオレたぶんずっとお前のこと好きだよ、だからいつかお前が付き合ってもいいてなったら… 一緒にライブ行こーな! と言います。



時が流れ高校生になります。

ちなみと和音と雄大は同じ高校に入ります。

和音は以前より前向きになって周りに人が集まるようになります。

ちなみは相変わらず友達がいません。

雄大はちなみをからかいます。

和音は自然に話す二人を見て嬉しそうにしています。



結婚式の準備をします。ウエルカムボードを作ろうと言います。

奏多と雄大も来て手伝い、夜はみんなで寝ます。

母親からメッセージが届きます。

ちなみは雄大に今度一緒にマルチー・ズのライブ行こうね! と言います。



結婚式を挙げる庭で雄大はちなみに昨夜の確認をします。互いに気持ちを確認して家族と奏多に祝福されます。

終わりです。




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2024年5月26日日曜日

宇佐美真紀 夕暮れライト 4巻

雄大はちなみと奏多の距離が近くなっていることに不安を覚えます。

奏多はそんな雄大の様子を読み取り、ちなみとベタベタします。

雄大はそれを見てイライラします。



ちなみの携帯に着信が入ります。母からのメールです。

ちなみは雄大に相談しようとします。しかし、雄大は奏多を気にして断ります。



雄大は和音と拾った貝殻でアクセサリーを作ります。ちなみのことが気になってアクセサリー作りに集中できません。和音に続きは明日にして走ってくると言います。



翌日、勉強会に雄大は来ません。

ちなみは母親への返事に困っています。



ちなみに母親から浴衣が届きます。

和音の母親はみんなで浴衣を着て花火をしようと言います。



和音はちなみに浴衣が似合っていると言い、自分もちなみにプレゼントがあると貝殻で作ったアクセサリーを贈ります。家族でお揃いしたと言います。貝殻には絵が描かれていて和音は雄大が描いたと言います。



ちなみは雄大に会いに行きます。和音から貝殻のアクセサリーをもらったこと、花火を一緒にしたいし、相談したいことがあったので会えないと困ると気持ちを話します。母親から今着ている浴衣が送られてきて返事をどうするべきか困っていると相談します。

雄大はちなみの携帯で写真を撮ります。写真を母親に送ればいいと言います。そんなことをしながら、イライラする気持ちはちなみがトクベツだからなんだということに気がつきます。



奏多は雄大に高校の文化祭の招待券を渡します。

雄大は奏多にちなみがトクベツな人だと言います。

奏多は知ってると言います。



ちなみと和音と雄大で奏多の高校の文化祭に行きます。

奏多は雄大に自分はちなみと行動するから、和音と回れと言います。

奏多は高校で人気があってちなみは周りに視線に居心地が悪そうです。



和音と雄大は写真館に行きます。

和音は衣装を着て、髪をアレンジしてもらいます。

雄大は可愛いと言います。

和音は雄大の携帯で自分の写真を見ます。ちなみと雄大が二人で撮った写真を見つけます。



ちなみが奏多にお化け屋敷に連れていかれそうになり拒否しているところに和音を雄大が出くわします。

入りたい人だけ入ればいいというちなみと雄大に和音はみんなで入りたいと言います。



お化け屋敷で和音はちなみと雄大の仲の良さに嫉妬してしまいます。

ちなみは和音を不安にさせないように雄大との仲を否定します。



夜、ちなみは雄大と撮った写真を削除します。



翌日ちなみは和音と一緒に学校に行こうと元気を出して家に行ったら和音はすでに学校へ行っていました。避けられているかもしれないと感じ涙がこみ上げます。



奏多が通りかかりちなみに学校休んじゃえばと言います。



フジタは雄大にちなみのことをどう思っているか訊きます。

雄大はちなみが好きだと認めます。



奏多はちなみと河川敷の橋の下に行き話します。そして、自分のことを好きになってよと言います。

ちなみは今は考えられないと言います。



和音はちなみと一緒に登校するのが気まずくてウソをついてしまいました。ちなみの気持ちを信じられずにいます。あれこれ考えているとちなみが学校にやって来る姿を見かけます。



雄大はちなみが教師に入って来て声をかけようとします。しかし、ちなみは話しかけられたくないので席に着くなり机に突っ伏します。

廊下から和音がちなみを伺っているのを雄大が見つけます。

ちなみは顔を上げ和音を見ます。

和音はちなみと目が合うと逃げていきます。

ちなみは落ち込みます。



ちなみはお昼ご飯を一緒に食べようと和音の所へ行きます。声をかけることができず、雄大がきっかけを作ってくれます。

ちなみは和音が話しかけてくれるので嬉しくなります。

和音は自分でも苦しい言い訳だと思いつつ、変なことを言ってしまって気にしないでと言います。



夕食時、父親はそろそろ一緒に住まないかと言います。

和音と母親の住む家に四人で住むことになります。

翌日から自分たちで荷物を運びます。

奏多と雄大も手伝います。

ちなみは奏多にこのあいだの返事をすると言います。雄大も聞いている前で、つきあうと言います。



夜、ちなみは和音に報告します。



ちなみは奏多と遊びに行きます。いろんな場面が雄大との記憶と重なります。



雄大はイライラします。河川敷にいるちなみを見つけ告白します。




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2024年5月24日金曜日

宇佐美真紀 夕暮れライト 3巻

雄大はちなみになんか行かせたくないんだけど、と言い引き止めます。

雨が降ってきます。ちなみは干していた洗濯物を取り込み雄大も手伝います。

雄大は兄貴に用事があったんだろうと言います。

ちなみは少し冷静になり、誰の幸せを願っているのか考え、結論が出ます。



ちなみは買い物に出かけます。奏多を見つけます。どこかで声をかけて話をしようと思ってついていったら、見知らぬ女子が奏多に声をかけ、腕を絡めてどこかへ行こうとします。

ちなみは怒りがこみ上げ、奏多を呼び止めます。奏多を睨みつけ、本気じゃないならあきらめろと言います。

奏多は女の子を帰らせ、ちなみと話しをして、わかったよと言います。

ちなみは間違ったことはしていないはずなのに、どこかスッキリしません。雄大をジョギングに誘います。



走り始めると、雨が降ってきて雨宿りします。

ちなみは雄大と話して奏多の言ったことをすこし理解します。家に戻ると奏多を見つけます。奏多に約束は守る、何があってもずっと守るよと言います。

奏多は目を丸くしてちなみを見ます。



雄大はちなみに約束って何? と訊きます。

ちなみはごめん言えない、それが約束なのと言い話しませんでした。



夕食の時父親はちなみと和音に期末テストも終わりいよいよ夏休みだね、せっかく夏休みなんだからどこか旅行とか海とか行こうかと言います。

ちなみはあまり乗り気を見せません。

和音は旅行を想像してワクワクしています。

ちなみは和音の様子を見て行ってもいいと言います。

父親はそう言ってくれると思ってすでに相馬兄弟も誘っておいたと言います。



ちなみと和音は水着を買いに行きます。いつも一人で行動していたので、ちなみも和音も誰かと買い物に行くのが楽しそうです。

和音はちなみと家族になれたら嬉しいと思うと言います。

ちなみも同じ気持ちだと言います。

和音は自分の父親のこと、奏多と雄大が側で守ってくれるようになった理由を話します。

ちなみは和音にとって雄大がどれだけ大事な存在か思い知ります。



和音は雄大のところへ行き、ちなみに父親のことを話したと言います。



奏多はちなみと約束について話します。

ちなみはあきらめることと、他の人の大事な人をずっと好きでいるのとどっちが辛いと訊きます。

奏多はどっちもすごく辛いと応えます。

ちなみが悲しそうな表情をするので、奏多は気晴らしに遊びに連れ出します。

ゲームセンターで遊び少し気分が晴れます。

奏多はちなみに気分が沈んだ時どうするのと訊きます。

ちなみは奏多を河川敷に連れて行きます。ここで日が落ちるのを見てると、ちょっとだけ気分が落ち着くと言います。

ちなみは奏多が気落ちしていることを察してずっとつき合ってくれていたことがわかりお礼を言い一緒に帰ります。



奏多は雄大にちなみと一緒に遊びに行っていたと言います。



ちなみは奏多がなぐさめてくれて、和音が家族になれて嬉しいと言ってくれてへこんでばかりはいられないと元気を出します。



海へ行きます。

ちなみは和音を気づかって雄大への気持ちを抑えようとします。気持ちが走り出したら辛くなるし戻れなくなると思っているからです。

ちなみは奏多と泳ぎ、雄大は和音と食べ物を買いに行きます。

和音は雄大への気持ちが走り出したらきっと止められないと考えます。



奏多はちなみに和音に遠慮せず雄大に言えばいいと言います。和音が雄大を好きだなんて聞いたことがないと言いながら、自覚していないだけで好きだろうけどと、期待させておいて突き落とすようなことを言います。あぶれ者同士くっつく? と訊くとちなみは、何それと言います。



ちなみは戻るとみんな食事を終えていて、自分の分がないのに怒ります。雄大と二人で食べ物を買いに行きます。焼そばを買いに行くと店主が雄大が先程と違う女の子を連れているでのこっちが彼女? と言います。

ちなみと雄大は全力で否定します。二人は照れてギクシャクしてしまいます。



その後も海で遊びます。

雄大は素っ気なくするちなみに苛立っています。

ちなみは和音と雄大の邪魔をしちゃ悪いと思い一人泳ぎます。考え事をしながら泳いだため水を飲んでしまい溺れそうになります。

雄大がちなみを気にかけていたのですぐ助けに入り大事には至りませんでした。



ちなみは部屋で休みます。



夜、ちなみは目が覚めベランダに出ます。

雄大もベランダに出て外を眺めていました。

ちなみは助けてくれてありがとうと言います。

雄大はちなみが寝ていたから花火できなかったと言います。

ちなみは帰ったら花火をしようと言います。

雄大は今から浜辺に行って花火をしようと言います。

二人で部屋を抜け出し花火をします。



和音の母親が二人だ出ていったのに気づいて、二人の後をついて行っていて、勝手に抜け出した事を叱ります。

奏多はベランダで三人の様子を見ています。



翌日、昼食をとりながら父親は恵子と籍を入れようと思うとみんなに発表します。

奏多はちなみの父親と、和音の母親におめでとうと言い、ちょっとその辺を散歩してくると席を立ちます。



ちなみは奏多を気にして奏多を追いかけます。

雨が降ります。

奏多を見つけ岩陰で雨宿りします。

奏多はなんでついてきたの? と言います。

ちなみは一人になりたくないんじゃないかなって思ったと言います。

奏多はちなみの言葉に心が動きます。しかし、悟られないように気持ち許し過ぎと注意します。



和音は雄大とお土産を選んでいます。

雄大は手作りがいいのではと、海に行って貝殻を拾います。



奏多はちなみに顔を近づけます。

ちなみは抵抗します。

奏多はからかっただけと言います。

ちなみは怒り、奏多を海に突き落とします。

奏多はちなみがあまりに真剣に怒るのでちなみを見て笑いながら海に引きずり込みます。

ちなみは奏多が笑うので少し安心します。



和音と雄大は貝殻を拾っていると、ずぶ濡れになったちなみと奏多を見つけます。

雄大は笑い合っている二人を見てショックを受けます。

続きます。




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2024年5月22日水曜日

宇佐美真紀 夕暮れライト 2巻

ちなみは雄大に一緒に帰ろうと言われて戸惑い、手をつながれてドギマギしていると満面の笑みで見つめられ顔を赤らめてしまうという夢を見ます。学校へ行き雄大に挨拶をされて素っ気なく返します。

雄大の友達フジタはちなみに今日は一緒に帰れる? 話してみたいんだと言います。

ちなみは用事があると断ります。

帰宅しちなみは雄大の家のポストにCDを入れます。

雄大もちょうど帰宅し、ちなみがCDをポストに入れるところをみかけます。ちなみにお礼とかないのかと言います。

ちなみは雄大を無視して歩き出します。

雄大はちなみを引き止めます。

ちなみの携帯が鳴ります。電話に出ると母親がマンションの前に来ています。

ちなみは母親の車に乗り話をします。

母親はちなみに再婚相手とうまくいかないと思うならママと暮らさない? と言います。

ちなみは無理と断ります。途中で降ろしてもらい一人考えます。



雄大はちなみに貸したCDを見つめため息をつきます。むしゃくしゃするのでランニングに行こうとします。

和音に出くわし、和音がちなみを知らないかと訊いてきます。

雄大は走るついでにいないか見てくると言います。

雄大はちなみを見つけます。

ちなみは雄大のひと言でこらえていた涙がこぼれます。

雄大は首に巻いていたタオルをちなみにかけて、横に座ります。少しして帰ろうと言います。

ちなみは学校からマンションのポストのことで嫌な態度をとったと謝り、泣きやむのを待ってくれてありがとうと言います。



ちなみはマンションに着き、和音の住む家に行きます。父親の再婚相手が慌てた様子でドアを開けます。ちなみが帰らなくて心配していたようです。

ちなみと和音、和音の母親で夕食を食べます。



翌日からちなみと雄大の関係に変化が起こります。

雄大がちなみをからかったりします。それを見ていたフジタが雄大に和音以外の女子に冷たかったのにちなみと仲がいいなと言います。

雄大は動揺を悟られないようにします。



席替えが行われます。ちなみの隣がフジタになります。

フジタはちなみに和音と仲がいいから雄大とすぐうちとけたんだねといいます。ちなみがうちとけてなんかいないと言おうとすると、フジタは和音と雄大はいいカンジだと言います。雄大は和音が大事だから和音の友達であるちなみと仲良くするのはよくわかると言います。

ちなみは雄大が優しくする理由がフジタの言う通りなのだと腑に落ちます。落ち込み気味になり川の土手に行きます。



奏多は雄大に野外フェスのチケットをあげます。

雄大の好きなマルチー・ズといいうバンドが出演するのでうれしそうです。二枚チケットを貰ったのでちなみとフジタどちらを誘おうか迷います。迷うのでランニングに出かけます。


エレベーターを待っていたらちなみと会います。雄大はちなみを野外フェスに誘います。

ちなみは行くと言います。



野外フェス当日。

マルチー・ズの音楽でちなみと雄大は思いきり盛り上がります。

帰り道、雄大は今日すごく楽しかったと言います。

ちなみはうん、と応えます。雄大に惹かれ始めます。



和音はもうすぐテストだから一緒に勉強しようと言います。雄大を呼びに行きます。

奏多もやって来て、和音と奏多は教える側、ちなみと雄大は教わる側になります。

勉強をしていると奏多は雄大にライブ誰と行ったと訊きます。

雄大はちなみとは言わずダチと応えます。


勉強を終え、ちなみは雄大にいつダチになったのと訊きます。

雄大は応えず、CDを貸したし、ライブのチケットあげたり、泣いている時暗くなるまで一緒にいてあげただろう、今日だってライブ楽しかったって言ってた、違うの? と訊き返します。

ちなみはちがわないと言います。

雄大はちなみの頬をつねります。

ちなみは痛いと騒ぎます。



雄大はちなみのことをちなみと呼びます。

和音はちなみにさっき痛いと騒いでいたのは何と訊きます。ちなみが雄大につねられたと言うと、和音は雄大がどんな人なのか説明します。



ちなみは父親と話します。

父親は再婚についてどう思うか訊きます。

ちなみは今現在思っていることを伝えます。



翌日、ちなみが帰宅すると和音の母親とばったり出会い、家で一緒に夕食を作る手伝いをします。

和音の母親は恵子といいます。

ちなみはお米を研ぎます。話していると恵子が突然倒れます。

ちなみは隣に走り、相馬兄弟に助けを求めます。

奏多が出てきて、恵子のところへ戻ると意識が戻っています。

恵子は疲れがたまっていたみたいと言います。

ごはんを作ろうとするので、ちなみは休んでて、と寝室に連れて行きます。

奏多は恵子を心配そうに見ています。

ちなみは炊飯の準備の途中だったので釜をセットしてスイッチを入れます。恵子の部屋に戻ると奏多が恵子に顔を近づけています。見てはいけないものを見てしまったとキッチンに戻ろうとしたら物音を立ててしまい、奏多に見つかります。

ちなみと奏多はご飯の準備をします。

ちなみは動揺して包丁で手を切ってしまいます。

奏多は止血しながらさっきのことを内緒にしてほしいと頼みます。

ちなみはうなずきます。

奏多は自分だけ秘密を握られているのは割に合わないとちなみにキスします。これでおあいこだと言い、知られたくない奴いるよねと言います。



ちなみは自分の家に走ります。

エレベーターで雄大に会っても何も言わず乗り込み家に帰り部屋にこもります。

雄大も和音も恵子が倒れた事を知ります。



翌日ちなみは学校を休みます。

雄大はちなみの家に行き差し入れをします。



翌日、ちなみは学校に行きます。

和音はもう調子はいいの? と言います。ちなみが心配かけてごめんと言うと、奏多も来てくれるし今日も勉強会しようと思っているんだけどどうかな? と言います。

ちなみは行くと言います。



勉強会。

ちなみはモヤモヤを抱えながら勉強します。時折り奏多を見ては考えを巡らせます。

奏多はちなみの視線を感じニコッと微笑みます。

ちなみはギロリと睨みます。テキストに、あたしは別にバラされても構わない。あんたのこともバラす、と書き奏多に見せます。

勉強会を終え解散します。

奏多はちなみに送ってくよ、と言います。

ちなみは、うん… じゃあお願いと言います。

雄大は黙って見送ります。

エレベーターの中でちなみは奏多に自分の父親の方が恵子を幸せにできると言います。

奏多は認めます。恵子が幸せになるならそれでいいと、ちなみに大切な人を傷つけないために秘密を共有しようと言います。



翌日、ちなみは父親が寝坊してバタバタとしている音で目覚めます。

父親は慌てて出ていって、カバンを忘れてしまいます。カバンから婚姻届けがチラッと見えます。

ちなみは婚姻届けの用紙にサインもしてあるので驚きます。

父親はカバンを忘れたことに気づき戻って来ます。

ちなみは婚姻届けを出すつもりなのかと思うと奏多の顔が浮かびます。

インターフォンが鳴ります。出ると雄大が来ています。

雄大は走りに行くって言っただろ? とパジャマ姿のちなみに言います。

ちなみは行くところがあるから走るのやめておくといい、家をでようとします。

雄大はパジャマのまま出ていこうとするちなみの腕を掴み、なんか行かせてたくないんだけど、と言います。

続きます。



宇佐美真紀 夕暮れライト 2巻
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2024年5月20日月曜日

宇佐美真紀 夕暮れライト 1巻

主人公は安藤ちなみという中学3年生の女の子です。父親と2人で暮らしています。父親が引っ越ししようと言い、転校することになります。

引っ越しした先で父親が再婚しようとする相手がいて、再婚するかどうかはちなみの判断に委ねると言います。

再婚相手は恵子と言い、恵子にはちなみと同じ年の和音という娘がいます。

ちなみは恵子と和音とうまくやっていけるか探ります。

和音には幼なじみがいます。相馬奏多と雄大です。

ちなみは相馬兄弟から警戒されます。次第に打ち解けあいます。ちなみは雄大を好きになります。しかし、和音も雄大のことが好きなようで、もし雄大と仲が深まれまば、和音を傷つけてしまうことになりかねないと葛藤するお話です。




安藤ちなみは中学3年生で父親と二人暮らしです。

父親は新しいマンションに引っ越ししようと言います。ただし、学校を転校することになると言います。

ちなみにはちょっとした事情があって父親の申し出を受け入れます。

父親も引っ越そうと言ったのには理由があります。再婚をするためです。再婚する相手が住んでいるマンションに引っ越してきたのでした。

ちなみは父親に再婚相手と娘が挨拶にくると言われ、会わないと言います。

ちなみ親子は10階に住み、再婚相手は5階に住んでいます。

再婚相手が挨拶にやって来てもちなみは自分の部屋から出ようとせず、父親は再婚相手に謝り帰ってもらいます。

父親は再婚について話さなかったことを謝り、ちなみがどうしてもダメだというなら、考えると言います。

ちなみは父親にあたしが決めていいの? と言い、再婚相手に会ってみることにします。

翌日、ちなみは一人で5階に住む再婚相手桜井に会いに行きます。インターフォンを鳴らすと男の子が出てきます。母と娘の二人で暮らしているはずなのになぜ? と思っていると男の子の方から大丈夫間違ってないよと言われます。

男の子は部屋にいる和音に来たよと伝えます。

部屋から和音が出てきます。和音はちなみに母が不在で夕方に帰るのでこちらから伺うと伝言されたと言います。

もう一人男の子が部屋から出てきます。

ちなみはどういう関係なのだろうと思っています。

二人の男の子は今日はこれで帰ると言います。

ちなみと和音ははじめましてと挨拶をします。

ちなみはさっきの男の子のことを訊きます。

和音はお隣の相馬兄弟で幼なじみだと言います。

ちなみは家を出ると廊下で相馬兄弟が待ち構えていました。隣に住んでいる幼なじみだそうですねと言います。

兄は相馬奏多で高校1年生、弟は雄大でちなみと同じ中学3年生だと自己紹介します。

相馬兄弟は桜井母娘が再婚することを知っていて、ちなみと再婚相手のちなみの父親がどんな人物なのか知りたいようです。

奏多は和音とは兄妹のように育ってきたので再婚のことで心配していると言い、仲良くやっていこうと言います。

夕方再婚相手と和音が挨拶にやって来ます。



転校初日。教室に入ると雄大と同じクラスで席が隣になりちなみは雄大への印象が悪いので警戒します。

先生は来週飯ごう炊さんを行うと言い、班分けを指示します。

それぞれ仲の良い者同士で班をつくります。

ちなみは転校初日に班をつくれと言われ、当然友達などいないので席でうつむいています。前の学校であった嫌な記憶が思い出されます。

声をかけてくれる優しい女子生徒がいて、ちなみによかったらあたしたちの班に入らない? と声をかけます。

ちなみはクラスメイトのおかげでなんとか班に入ることができてホッとして、ありがとうと応えます。



飯ごう炊さんではちなみは和音が一人で下ごしらえをしているのを見かけ声をかけます。

和音は黙っています。

ちなみは和音と一緒の班らしき人たちに声をかけます。状況がわかって和音をかばいます。

雄大も近くにいて周りの生徒を巻き込み、和音の班の人たちを非難するようなことを言います。

和音の班の人たちは劣勢に立たされたと感じ、下準備を始めます。

ちなみはまたやっちゃっと心の中で思います。

雄大はちなみの行動が意外だったようでちなみを見つめています。



翌日からちなみは転校早々、啖呵をきってしまい、怖い存在としてクラスで噂されます。班に誘ってくれた女子からも敬遠されます。うまく学校生活を送れるかどうか怪しくなってきました。学校帰り和音を見かけます。仲良くもないし一緒に帰るのは気まずいと感じ遠回りして帰ります。

道を変えると河川敷に出ました。川の向こうには前のマンションが見えます。ちなみはうまくやろうとするのが面倒くさくなります。



帰宅するとダイニングで声がします。家に和音、奏多、雄大が来ています。父親は和音が今晩一人だというので、うちに誘ったと言います。一人じゃ来にくそうだから相馬兄弟を誘ったとお言います。

みんなで夕食を食べます。

食事をしているとちなみがうつむいて、暗い表情なのに気がつき、父親は親睦を深めるため今度の祝日遊園地に行こうと提案します。

和音が最初におそるおそる手を挙げます。それなら奏多と雄大が行くと言い、ちなみは父親に懇願されて仕方なく行くことにします。



遊園地当日。

ちなみと父親、和音と母親、奏多と雄大6人で行きます。

ちなみは雄大に来ないんじゃなかったのかと言います。

雄大はちなみの父親がどうしてもというから来た、お前友達いなさそうだもんなといいます。

ちなみは雄大に和音だって友達いなさそうと言います。

雄大は和音に言ったら許さないからなと言います。

ちなみはきつい一言を言われしょげてしまいます。

和音の母が作った弁当を食べます。

ちなみは元気がありません。

ちなみの様子が気になり奏多は雄大にあまりいじめるなと言います。

父親はなにか乗り物に乗っておいで言います。

ちなみは相馬兄弟と和音の中に入れそうにないので、ジェットコースターに乗ると言いひとりで行動します。

ちなみは一人でアトラクションを楽しみます。うまく関係が築けないのはもしかしたら自分の責任なのでは? と落ち込んでいると、和音が追いかけて来ます。仲良くしようと和音は話しかけるけど、ちなみはうまく対応できません。

そこに偶然、先の学校で仲が良かった友達と会います。

前の友達は和音を見てちなみに友達ができたとからかいます。

ちなみは言わなくてもいい余計なことを言って雰囲気を悪くする

前の友達はそういうところがダメなんだといいます。

和音はちなみの手を引き前の友達と引き離します。観覧車に乗り、二人で話します。

和音はちなみを励まします。そこで交わされる会話はちなみの気持ちに変化を起こさせます。和音の言葉はちなみにとってとても響くもので、嬉しいものでした。ちなみはうれしくて涙がこぼれます。



翌日ちなみは学校で和音に会ったら恥ずかしくなってよそよそしい態度を取ってしまいます。和音を観察していると雄大がちなみを見かけ、和音にちょっかいを出すつもりじゃないだろうなと言われます。和音に話しかけようかと思っていたのに雄大に邪魔されてしまいます。その後も和音を観察します。いい子なのにどうして一人でいるのかわかりません。クラス女子に訊くと和音を守るように相馬兄弟がいつも側にいることで面白くないと感じる女子が多いと言うのです。相馬兄弟は学校でアイドル的な人気があり、ほとんどその二人を独占している和音は、クラスの女子から無視されていて一人でいるのだと言われます。相馬兄弟が人気があることを知ります。女子のほとんどが敵。ちなみの想像を軽く上まわってしまいます。和音が一人でいる原因が雄大にあることがわかり雄大を睨みます。雄大と騒いでいるとクラスの女子に冷たい目で見られてしまい雄大が本当に人気があることを知ります。



ちなみは雄大のどこにそんな人気になる要素があるのか、観察し始めます。

クラスで体育祭の競技に誰が出るか話し合われます。

雄大はクラス対抗リレーのアンカーを任されます。

雄大は陸上部です。

ちなみは走っている雄大をちょっとカッコイイと思ってしまいます。また和音が一人で片づけをしているのに気がつきます。体育倉庫に行き和音にやらされてるの? と訊きます。

和音はいやっ、そんなことは… あたしクラス委員だし… と言います。

ちなみはそれはやりたくて? と訊きます。

和音は黙ります。それほど嫌ってわけじゃないから… 大丈夫だよ、と言い走って行きます。

ちなみは黙って和音を見送りクラスの所に戻ります。ちなみの憎悪は雄大に向かいます。ずっと雄大をにらみつけていると、突然雄大の表情が変わり立ち上がります。

雄大は、和音!! と言い走り出します。

雄大の視線の先、グランドの真ん中で和音が倒れています。ちなみも駆けつけます。

雄大は和音を起こそうと触れると、女子たちがキャーという悲鳴と、えー! ヤダー と声が聞こえます。女子は雄大の行動に嫉妬しています。雄大はイラっとしつつ睨みます。

ちなみは、るっさいな!! コイツに運ばれたかったら そこで倒れて干からびてろ!! と女子に向かって啖呵を切ります。

雄大はちなみの言葉に意表を突かれ固まります。

雄大の行動に声を上げた女子は呆気にとられています。

ちなみは雄大に、早く!! 保健室! と指示します。

雄大は和音を抱えて保健室に走ります。



和音は軽い熱中症だと診断されます。

ちなみと雄大は安心します。

ちなみは雄大を睨みつけ、和音が一人なのは雄大と奏多の責任なんだからなんとかしなさいと言います。

雄大はちなみが怒っている理由に驚き、ちなみが和音と仲良くしたいのだと知ります。そして、和音と仲良くしたいの? と訊きます。

ちなみは顔を真っ赤にし、あんたが助けないんならあたしが助けると逃げるように走り去っていきます。

雄大はちなみの言動に笑い、警戒を解きます。



和音は目を覚まします。なんとか記憶をたどり、グランドで倒れて意識がとぎれとぎれの中でちなみが放った言葉が思い起こし、思わず吹き出してしまいます。ちなみの言葉で元気を取り戻します。



ちなみの放った言葉はちょっとした話題になり、冷やかしの対象になります。

雄大はそれを面白がってちなみをからかいます。

雄大とちなみがしゃべるのはさらに敵を作りそうです。

下校、ちなみが和音を一緒に帰ろうと誘えないのもからかわれてしまいます。



夕食時、パパがときどき遅くなるとき桜井さんの所で夕食を食べてはどうかとちなみに言います。

ちなみは引っ越したこと、夕食のこと、着実に再婚に向けて外堀を埋めにかかっていることに悪い気はしていないようです。

早速次の日パパは仕事が遅くなるとのことで手土産を持たされて506号室桜井宅に向かいます。



インターホンを押すのに手間取っているとドアが勢い良く開きます。

和音の方も夜、お母さんがいなくて、ちなみと和音の二人で夕食を食べなくてはならなくなっていたのでした。

和音は買い物に行ってくるから、ちなみに待っていてくれと出掛けようとします。

一緒に行くと言おうと、玄関に出ると声をかけられます。

相馬兄弟の母親です。

彼女はちなみのこと、ちなみの父親のことを知っていました。

この前、安藤宅で焼肉をごちそうになったので、今日はお返しに相馬宅でご飯をということになります。

相馬宅で、雄大の両親、雄大、和音、ちなみの5人での夕食になります。

ちなみにとっては完全に部外者で、居心地が悪そうです。

静かにおとなしくしているちなみを雄大がからかいます。

それをきいて和音が大笑いします。

奏多が帰宅します。奏多は和音が息もできないくらい笑っているのを見て安心します。



食事を終え、奏多は和音にテレビゲームをしようと誘い、ちなみも一緒にゲームをすることになります。

和音が好きだというゲームはホラーでちなみは苦手ですぐ部屋から立ち去ります。

行くとこがなく、雄大の部屋に行きます。

雄大もちなみと一緒でホラーが苦手でゲームをせず一人部屋に逃げていました。

ちなみと雄大は奏多の部屋から聞こえる呻き声や叫び声にびくつきます。

雄大は声を聞きたくないのでイヤホンをします。

ちなみは自分だけずるいというと雄大が片方だけイヤホンを渡します。

雄大の隣に座って流れている音楽を聴きます。ちなみの好きなマルチー・ズというバンドの新しいアルバムです。

ちなみと雄大は曲の好みが似ていて、曲の好きな箇所も似ています。

マルチー・ズの話で盛り上がり、ちなみは雄大とすごく近い距離で話していることに気がつきます。急いで距離を取ります。ちなみは立ち上がり、帰ると言います。



翌日、教室でちなみは席につくと、隣りで雄大にじっと見つめれます。なによ、と言うと、ちょっと外いいか? と言われます。

雄大はマルチー・ズのアルバムを貸してあげると言います。

ちなみはありがとうと言います。雄大のことをそんなにヤなやつじゃないのかもと思い始めます。

雄大は今日一緒に帰れるか? と訊きます。

ちなみはなんで? と驚きます。

雄大は帰りまでに考えとけよっ、と言います。



授業中ちなみはなんで雄大が一緒に帰ろうというのか考えます考えれば考えるほど意識してしまいます。



授業が終わり、雄大がどうなんだ? 帰り、と訊くとちなみは、ようじある、と言って誘いを断ります。急いで一人教室を出ていきます。

雄大の前の席の男の子がちなみが帰ってしまったので、雄大に誘ってくれるんじゃなかったのかよと文句を言います。

雄大は用事があるというんだから知らないよ、と言います。

続きます。




宇佐美真紀 夕暮れライト 1巻
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2024年5月18日土曜日

モリタイシ 中田永一 くちびるに歌を 3巻

最終巻です。

登場する人物のそれぞれが抱える事情の結末と合唱によって仲良くなっていく過程が面白かったです。



それぞれがそれぞれの思いを抱え合唱コンクール本番の舞台へ。

僕らの願いは、祈りは、そして歌声は、島にいるあの人に、届くのか…!?

今、この夏最大の奇跡が起きる。

青き季節の物語、感動の最終巻!




自分の人生をあきらめていたサトルは合唱部の歌声に衝撃を受け、合唱部に入部したことで光が射します。

一人ぼっちだったことを両親がどう思っていたかは描かれていません。しかし、サトルの表情が日に日に生き生きと変化していく姿を見てうれしかっただろうなと思います。

サトル本人も自分にこんな学校生活が送れるとは思っていなかったようでその変化していく様子が面白かったです。

コトミ、エリ、ケイスケ、はもっと深く描いて欲しかったなと思いました。




長谷川コトミが神木先輩の住む家に入っていき、しばらくして二階の窓ガラスが割れます。

桑原サトルはコトミが、何かあったら助けてね、と言った理由はわからず、ただコトミが出てくるのを待っていたら、窓ガラスが割れ、ドンッと音がしたので急いで家に入り二階に向かいます。階段を上がるとこの家の人が怯えている様子で部屋の外で立っています。飲み物を運んできたようで床に割れたコップが散乱しています。

サトルは部屋に入ります。コトミと神木先輩が揉めています。

コトミは神木先輩の手を振りほどき、机の上にあるパソコン本体を取り、サトルに向かって、これ壊してお願いと叫びます。

サトルは言っていることがよくわからず、えっ、と聞き返します。

神木先輩はパソコンを壊されてはたまらないと、コトミに蹴りを入れます。

コトミは吹っ飛ばされ、壁に衝突します。

サトルはコトミが蹴られて逆上し、神木先輩に殴りかかります。

神木先輩はパソコンが無事か確認していて、サトルを見ておらず、サトルの拳は背中にめり込みます。

神木先輩は振り返り、サトルを殴ります。

家の人がアナタ達何をしているのと大きな声をあげます。

神木先輩はコトミがいないことに気がつき探します。

サトルは神木先輩の背後からしがみつき、コトミに逃げろと叫びます。

コトミは部屋の窓から出て二階の屋根上にいます。パソコンを抱えています。パソコンを持ち上げて地面に放り投げます。パソコンは地面に叩きつけられます。コトミは無事目的を果たし屋根から飛び降ります。

サトルは窓から立っていたはずのコトミが見えなくなり慌てて名前を呼びます。



ナズナは部屋でため息をついています。

エリが戻って来ます。お土産を買ってきたとスタバの紙袋をナズナに手渡します。

ナズナは初めてのスタバを堪能します。

エリはナズナに何をしてたの? と訊きます。

ナズナはうつむいて、テレビ見てたと言います。



サトルは洗面所で顔を洗います。神木先輩がコトミが投げたパソコンを回収してきます。神木先輩になぜコトミはパソコンを壊そうとしなのか訊きます。

神木先輩は話すから部屋に来いと言います。

コトミは家の人から手当てをうけます。足をねんざしたようです。

家の人はなぜあんな危ないことをしたの? と訊きます。

コトミは事情を話します。



神木先輩はパソコンの電源を入れます。サトルに自分がちょっと部屋から出て戻ったらコトミがパソコンのケーブル全部引っこ抜いてたからこんなことになったと言います。

サトルはなぜそんなことをしたんですか? と訊きます。

神木先輩はこのパソコンの中に入っている写真を消したかったんだろうと言います。別れた男に持っていて欲しくなかったんだろうと言います。

サトルは写真に驚き、二人が別れたということに驚きます。

パソコンは正常に起動しました。

神木先輩は今日コトミは別れ話をしに来たのだと言います。サトルがどうして? と訊くと、コトミのことが気になるか? コトミが消したがっていた写真を見せてやろうか? と言います。

サトルはすばやく思考します。にやけた表情をして、写真を見るためマウスを操作します。サトルはコトミの写真のフォルダをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にするを選択しフォルダを消去してしまします。

神木先輩は何してんだよっ、とサトルを殴ります。

サトルは床に頭をつけ、お願いします、データの復元はしないであげてくれませんか、と言います。

神木先輩は、オイ、と言い困惑しています。

コトミと家の人が部屋にやって来ます。

コトミは神木先輩に頭を下げ謝り、全部弁償しますと言います。

神木先輩はため息を吐きます。



コトミとサトルは家を出て歩いて帰ります。

コトミの表情は晴れやかです。

サトルはコトミが歩きにくそうにしているから、おんぶしようかと言います。

コトミはナイスアイディアだと言います。



コトミはパソコン壊れなかったねと言います。

サトルは写真はちゃんと消してくれたから安心していいよと言います。コトミが本当? と訊くと、ホント確認したからと言います。

コトミは確認って写真を見たの? と訊きます。

サトルは見てないと言います。ウソだ、ホントだよと言い合います。

コトミは興味なかったの? と訊きます。

サトルはないといえばウソになるけど… と応えます。

コトミはサトルの耳もとで桑原君が想像してるよりはヘンな写真じゃないよと言います。



エリは柏木先生にコトミとサトルが戻っていないと言い、コトミの携帯に電話します。サトルは携帯を持っていないので連絡がつきません。

柏木先生は二人が一緒にいる可能性はないのかと訊くと、皆それはないかもと首をかしげます。



帰り道コトミは携帯の着信を確認しています。

サトルは出なくていいのと訊きます。

コトミはホテルに着いてからちゃんと事情を説明した方がいいからと、話をちゃんと合わせてねと言います。



部員みんなが心配しているとコトミとサトルはホテルに帰ってきます。

コトミはサトルの肩を借りて歩いてきて、サトルは顔に殴られた跡が見受けられます。

柏木先生は無事でよかった、今までどうしていたんだ? ずっと二人だったのか? と訊きます。

コトミの芝居は見事でした。涙をこぼし、親戚の家を訪ねようと出かけたら、車に乗った3人組に声をかけられて、強引に車に連れ込まれそうになって、そこに桑原君が通りかかって私を助けてくれようとしたんです。男の人に殴られながらも私を逃がそうと… と話をでっち上げます。迫真の演技です。

横で聞いているサトルは感心しています。自分だけが知っているコトミの別の顔がもう一つ増えます。



コトミのでっち上げた話で女子の間でサトルの評価が急上昇です。

夜、柏木先生は誰かと電話で話しています。深刻な表情です。



翌日のバス移動ではサトルは女子から痛めた傷の心配をされ、お菓子をもらったりします。

柏木先生の様子がおかしいのでエリは松山先生の心配をします。

諫早文化会館に到着します。NHK全国音楽コンクールの会場です。

合唱を行うホールを下見します。柏木先生は思っていたより大きいと感想をもらします。

ナズナは何があってもエリの指揮について行くからと言います。

エリは覚悟を決めます。



サトルは両親と兄に会います。

母親はホールの中に入ると言います。父親と兄はモニターで観てホールには入らないと言います。

サトルは今から発声練習があるから行くと言います。集合場所に急いで行こうとしたら柏木先生を見かけます。柏木先生は電話で話しています。話している内容は聞き取れず、ハルコ(松山先生)の容体は? という柏木先生の声だけ聞き取ります。

サトルは病院、容体と不安にさせるような言葉ばかりが聞こえてくるので松山先生に何かあったのかもしれないと考えます。

集合場所に行き、最後の練習をします。



ホールの座席で順番を待ちます。

係の人が呼びに来て控室へ移動します。

柏木先生がいません。ナズナが探しに走ります。

会場の外に柏木先生がいて、ナズナは急いでください、リハーサルが始まっちゃいますと言います。

リハーサルでは柏木先生がミスをします。

柏木先生は皆に謝り、本番では切り替えるからと言います。

エリは朝から様子がおかしいと言います。

柏木先生は何があったとかじゃなく緊張していてと言います。

ナズナは探しに行ったとき誰と電話していたんですかと訊きます。

柏木先生は電話なんかしていないと言います。

ナズナは電話の後表情がヘンでしたと言います。

エリは松山先生に何かあったんですかと訊きます。

柏木先生はそんなことない、松山先生のことは心配ないと言います。

サトルは電話しているところを聞いていました、全て話してくれた方がいいと思います。このままだと僕たちも柏木先生のピアノも一つになれない気がすると言います。

柏木先生は様子がおかしかった理由を話します。松山先生の妹から松山先生が分娩室に入ったと聞いたからでした。

ナズナは松山先生は大丈夫なんですか、体は耐えられるんですかと訊きます。

柏木先生はエリを見ます。

ナズナはエリから聞いたんじゃありません、みんなうすうすは知っています、と言います。

柏木先生は絶対に大丈夫だとは言えないと言います。

皆が沈黙します。

係の人がそろそろ移動をお願いします、と言いに来ます。

移動中、サトルはみんなの心が離れてしまったので全て話してほしいなんて言うんじゃなかったと思います。

柏木先生は一人で抱えてる心苦しさは消えて楽になった、とにかく本番は全力で絶対に失敗しないからと言います。

エリも松山先生の為にも恥ずかしくない演奏をしないと、と言い、緊張を集中力に変えるぞ、とみんなを鼓舞します。

ケイスケは手を挙げ、先生いいこと考えたと、松山先生に電話をかけようと言います。

エリとナズナは驚きます。

ケイスケが耳打ちすると、柏木先生は電話をかけます。

ケイスケはこのあとの本番に電話をかけたままステージに出て、松山先生に歌声を届けるぞと言います。



エリは松山先生とつながったままの携帯を隠し持って舞台に立ちます。

みんな奇跡のような神がかった演奏ができるようにと祈りながらできる限り歌います。

サトルは生まれてきた理由に向き合いながら歌います。

ナズナは母親の記憶を思いながら歌います。

部員全員がそれぞれの思いで歌います。



演奏を終え、控室に戻ります。

柏木先生と部員は松山先生の状況を見守ります。

松山先生は無事で赤ちゃんは元気な泣き声を上げて生まれてきて、みんなで喜びます。



ホールの外に出て記念撮影をします。

それぞれが個人的に写真を撮りあいます。

ナズナはエリにちょっと散歩しないかと誘います。

九州大会には進めませんでした。でもいい演奏が出来たと思っていると話します。

ナズナは階段を指差し登ってみようと言います。



サトルは家族に会います。

母親はいい演奏だったと言います。

父親はぶっきらぼうにちゃんと聴けたと言います。

サトルは兄がトイレに来たそうにしているのに気づき、連れて行きます。

両親がサトルを見る目が優しいです。



サトルと兄が歩く後ろをついてくる影があります。

サトルは振り返ります。コトミがついて来ていました。

コトミはきづかれたかと言います。

サトルはコトミがついて来ている気配をずっと感じていたようです。

コトミはサトルの兄に挨拶します。

兄に反応はありません。サトルは全部聞こえてるよと言います。

兄がトイレに入っている間サトルとコトミは話します。

コトミは自分の目から見たサトルの両親について話します。作文に書いてあったようには思わないよと言います。

サトルは笑顔でありがとうと言います。

コトミはさっきサトルが女子にモテモテだったねとからかいます。

サトルはコトミが話をでっち上げるからだよと言います。

コトミはウソではないよ、ピンチに助けてくれたもんと言います。

サトルはちょっと困った顔をしてどう言おうか、考えてピンチだったのは神木先輩だったよと逃げ腰で話します。

コトミは確かに… と言い俯きます。

グスッと聞こえてサトルはコトミを見ます。

コトミは泣いています。

サトルは慌てて、コトミにすごくこわい思いをして茶化したりしてと謝ります。

コトミは違うのと言います。バカなことに付き合わせて、怪我までさせたので、昨日のことちゃんとありがとうって言わなきゃいけないと言い、ありがとう、ごめんねと言います。

サトルは全然大丈夫気にしないで、力になれたのならよかったと言います。

コトミはどうしてそんなにやさしいのと言います。

サトルは勇気を出します。誰にだって… そういうわけじゃないよ、僕は長谷川さんのことが好… と言おうとしたところで兄が水栓の水を流す音が聞こえます。

コトミはプッと吹き出し、もう…ヤダ、こんなトイレの前で、ムード無さ過ぎと言います。

サトルは一生懸命勇気を出して汗だくで告白しようとしたのに失敗して、ゴメン… と言います。改めて言えるのかな。



ナズナとエリが上った階段の中腹にケイスケがいます。

ナズナはケイスケに二人だけで会わせるためにエリをここまでつれてきたのでした。

ナズナは一人引き返します。片想いは終わり、父親が原因で始まった男ギライも終わります。

ケイスケはエリに告白するつもりのようです。



ナズナは戻るとコトミからサトルの両親が来ていると言われ、挨拶します。兄だと紹介された人がホールの外にいたのを見かけていました。ホールの中に入らなかった理由を知り、コトミとサトルにお兄さんの為に歌おうと言います。

三人が歌い始めると周囲にいた他校の生徒たちが一緒になって歌ってくれます。

ナズナは彼らの歌声で失恋を乗り切れる勇気をもらいます。

ナズナとサトルの兄は以前教会の前で会ったことがありました。

サトルの兄はそのとき交わされた会話の一言一句を再現します。

ナズナはその時母親と一緒でした。サトルの兄の言葉で母親との記憶、父親と三人での楽しかった記憶がよみがえります。自分にも楽しい思い出があったと思い出し泣きます。



ナズナから少し離れたところにナズナの父親がいます。父親はナズナと同じ制服を着た女子生徒にナズナに手紙を渡してほしいとお願いします。

女子生徒はナズナに手紙を渡します。

ナズナは手紙を読みます。

島に戻ります。



卒業式。

サトルは表情が豊かになり、きちんと思っていることを伝えられる人に成長しています。コトミとはいい関係のようです。

松山先生がやって来て、部員全員と一緒に柏木先生に感謝の気持ちを込めて合唱を贈ります。

終わりです。



モリタイシ 中田永一 くちびるに歌を 3巻
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2024年5月16日木曜日

モリタイシ 中田永一 くちびるに歌を 2巻

中学最後の夏が来る。

合唱コンクール――――本番直前。

着々と迫る「その日」を目指し、練習に励む少年少女たち。

しかし両者の間の小さな亀裂は少しずつ不協和音を奏で始めて…

舞台はついに、五島から佐世保へ。

第二幕、青く切なく、鮮やかに。




柏木先生は合唱部部員にNコンの自由曲について話し合うように言います。待つ間ピアノを弾いています。

多数決がとられて柏木先生の未完成の曲に決まります。歌詞は仲村ナズナが担当します。



ナズナは屋上でひとり休んでいます。

辻エリがやって来てナズナに弱音を吐きます。

2年の福永リョウコが慌てた様子でやって来て、男子がケンカしていると言います。

向井ケイスケと篠崎が殴り合いをして窓ガラスを割ってしまいます。

長谷川コトミは割れたガラスを掃除します。

エリは限界かも知れんねと言います。



翌日ケイスケは桑原サトルを遊びに誘います。今度の日曜日三田村リクの柔道の試合があるので観に行こうと言います。

放課後サトルは部活のため音楽室に行きます。覚悟して音楽室に入ったのにケイスケと篠崎は仲良く談笑しています。それを見たサトルは安心したものの、合唱部の雰囲気の変化に気がつきます。女子が男子を見る視線に冷たいものを感じるし、ケイスケと篠崎のケンカの理由はわからないままです。



日曜日。サトルとケイスケはリクの柔道の試合を観に行きます。

リクの圧勝です。

試合を終え、サトルとケイスケとリクでラーメン屋に入ります。

三人は進路について話します。

リクは離れたところに住んでいて帰りのバスを待つ間、サトルはリクの帰る方向に長谷川コトミも住んでいることを知ります。

ケイスケは神木先輩も同じ地区だと言います。

サトルはどうして1年先輩の神木の名前が出るのか不思議そうです。

ケイスケはコトミと神木が付き合っていたと言います。今はどうか知らないとも言います。

サトルは驚きます。



家に帰りサトルは失恋でもしたかのように落ち込みます。進路の話をしたこともあって自分が何の為に生まれてきて、将来どのようになるのか考えます。そして、合唱部の宿題の作文にとりかかります。



翌日エリと女子部員は職員室に行き、柏木先生にケンカの話をして、Nコンには女声三部合唱に切り替えるべきだと言います。

柏木先生は混声合唱をがんばって得られる感動があるからと説得します。

エリは混声合唱を受け入れます。



ナズナの幼少期の出来事が描かれます。

ナズナは学校へ行き、柏木先生と曲の歌詞を考えます。

柏木先生の高校の思い出が語られます。

柏木先生は先日のケイスケと篠崎のケンカの原因を話します。

ナズナは驚きます。


サトルは図書室で自由曲の歌詞を考えています。パーテーション越しにコトミを見つけます。慌てて頭を伏せ隠れようとします。音がしたので見てみると、コトミが隣の席に来ていて、じっとサトルを見つめています。

サトルはビックリします。1年生の時コトミのつぶやきを聞いていたのに寝たフリをしていたことがバレていたこと、その時に言った誰にも言わないでというお願いを守って黙っていてくれたことに感謝してるといったことを話します。

コトミはサトルの書きかけの歌詞を見せてと言います。

サトルは目の前で読まれるのは恥ずかしいから離れたところで読んでほしいと言います。

すぐ読み終えそうなのにコトミがなかなか戻って来ません。サトルはどうしたのかなと考えていると昨夜原稿用紙をノートに挟んだことを思い出し、コトミのところへ急ぎます。

コトミは原稿用紙読んでいました。サトルが来たことに気づきます。申し訳ない表情で読んではいけないとわかっているのに読んでしまった、ごめんなさいと言います。

サトルは兄がいないなんてウソついてごめん、キモチ悪い文章だったでしょうと言います。

コトミは全力で否定します。

「誰にも…… 言わんけん…」

と言います。



空が暗くなってきて雨が降りそうだからとケイスケは部活をサボろうとします。

エリはケイスケが帰るのを引きとめます。

エリは男子と練習を始めます。すぐに雨が降りだします。

ケイスケは練習に集中しません。篠崎はケイタイばかり見ています。

エリはいい加減にしてと怒り、音楽室を出ていきます。

パート練習していた女子が戻ってきて、男子は柏木先生と女子に事情を説明します。

柏木先生はとりあえずエリを探そうといいます。

エリが戻ってきます。全身ずぶ濡れです。

柏木先生はドコ行ってたと訊きます。

エリはちょっと屋上で頭を冷やしてましたと応えます。

男子はエリに謝ります。

エリは怒っています。

全体練習をこなして部活が終了します。

翌日エリは風邪を引いて学校を休みます。



翌日の部活は散々なものでした。

男子と女子の溝は修復できないものになります。



翌日、ケイスケはナズナからエリが今日も休んでいる、戻ってきたら謝りなさいよと言われます。

ケイスケは職員室に行き、柏木先生にNコンは女子だけで出た方がいいと言います。

柏木先生は悪いと思っているなら今頑張りなさい、放り出すことが責任取ることだとか思ってたら、ロクな大人になれないぞと言います。

ケイスケは1組の教室に行きサトルとリクに昼休み奇跡の場所に集合と言います。



ナズナは昼休みサトルに会いに1組の教室に行きます。

柏木先生からナズナが埋められなかった歌詞の部分をサトルが書いた言葉を採用しようと思うと言われます。サトルに伝えておいてほしいと言われたのでした。

1組の教室に行くとサトルはいなくて、女子に訊ねるとケイスケとリクと何人かの男子で出ていったと言われます。

ナズナはサトルを探します。合唱部の男子を見つけます。海の方へ行こうとしているのであとをつけます。

ナズナはエリに電話します。男子は海で練習していました。その声をエリに聴かせます。

エリはうれしそうです。



翌日エリは学校に来ます。キーボードを持って音楽室に入ると男子が一列に並んでエリを待っていました。ケイスケは今まで迷惑をかけて悪かった、これからはまじめに練習するから指導をよろしくと頭を下げます。

エリは、はい、と言います。



休憩中はこれまで通り男子はじゃれ合って遊んでいます。

部活を終え帰り道、ナズナはケイスケを見つけます。

ナズナはどうして急にやる気になったの? と訊きます。

ケイスケは理由を話し、男子もエリの合唱に対する思いをしっかりわかっていると言います。



柏木先生は自由曲の曲名を決めようと言います。みんなに何かあるかと訊き、ないなら考えていた案があると言います。

「くちびるに歌を」

松山先生が言ってたやつを曲名にしようと言います。

エリとナズナは、あります、と言います。

柏木先生は世の中には同じタイトルの曲なんていっぱいあるから問題ないといいます。

自由曲の曲名は「くちびるに歌を!」になります。



6月に入り自由曲の練習に時間の多くが割かれます。

男子は自主練習を続けています。

課題曲と自由曲ともに完成度を高めていきあっという間に1か月が過ぎます。

7月に入ります。

2年生部員が職員室で不穏な噂を耳にします。松山先生が心臓が弱く出産が危険だというのです。

部員は驚きます。



松山先生がやって来ます。

松山先生の様子を見て元気そうだから大丈夫なんじゃないかと言います。

職員室で聞いた噂を心配していると、エリが心配ない、大丈夫だと言います。

ナズナはエリがずっと前からその噂を知っていたのだと確信します。でも黙っておくことにします。



コトミは一人廊下を歩いています。図書館の時のように悩み事が解決せずひとりになって考えたいようです。窓から顔を出しため息をつきます。外壁に体を預けて本を読んでいるサトルに気がつきます。こんな所で読書? と訊きます。

サトルはコトミが窓から覗いているのでびっくりします。日陰で涼しいからと応えます。

コトミは一学期終わったね、夏休みはどこか行くの? と訊きます。

サトルはNコンが終わったら何も… と応えます。

コトミはケイスケやリクとどこか出かけたりしないの? と訊きます。

サトルは二人とも仲のいい友達いるだろうから… と応えます。

コトミは三人はソテツの前辺りでよく見かけるからもっと仲がいいと思っていたと言います。

サトルは動揺します。

コトミは先輩からソテツの前を「奇跡の場所」と呼んでいると聞いています。

サトルはコトミが奇跡の場所を知っているという恥ずかしさより、先輩という言葉に感情を持っていかれていて、先輩っていうのは神木先輩のなのと訊きます。

コトミはサトルが神木先輩を知っているのが意外だという表情です。

サトルは踏み込んで、付き合っているの? と訊きます。

コトミはそうね、と応えます。サトルがどんな人? と訊くと、女たらしだと応えます。

サトルは聞き逃してしまい、もう一度聞き返します。立ち上がるとコトミはもういませんでした。



サトルは音楽室に行きます。コトミがいつもと変わらない様子で女子と会話しています。

終業式からNコンまであっという間に過ぎていきます。



柏木先生はNコン長崎県大会当日までの予定をプリントにして配ります。明日のフェリーの時間に遅れないようにと言います。



夜、サトルは準備をします。

母親は明後日のNコンを観に行くと言います。

サトルは兄はどうするの? と言います。

母親は連れて行くと言います。



ナズナの家には父親が電話をかけてきています。

ケイスケは緊張しているようです。

エリは松山先生の心配をしています。

ことみは宿題の作文を仕上げています。



翌日、フェリーに乗り佐世保に到着します。

ナズナは父親にバッタリ出会うかもしれないと心配しています。

ケイスケは元気がなさそうなナズナにちょっかいを出します。Nコンに向けて緊張していると思っているみたいです。

ナズナの父親らしき人物がナズナを見つけます。



ホテルに到着し、休憩した後練習をします。夕食までの時間は自由時間になりそれぞれやりたいことをします。

エリは何か目的がありそうで出掛けます。

リクは佐世保バーガーを食べに行きます。

サトルは部屋で本を読みます。

ケイスケは用があると一人で行動します。



ケイスケはナズナを呼び出します。

ナズナは告白かも知れないと思って待ち合わせ場所に行きます。

ケイスケは告白しよと思うと言います。

ナズナは話を聞いていると相手は自分ではないことがわかります。協力すると言います。



コトミはサトルの部屋に訪れます。行きたいところがあるから付き合って欲しいと言います。行き先を聞いても引き返さないでほしいと前置きし、神木先輩の所に行きたいと言います。

サトルは断りたいのに、コトミのすがるような表情を見て引き受けます。

道に迷い、神木先輩の住む家を見つけます。

コトミはインターフォンを鳴らします。

サトルは慌てて、じゃあ僕はこれでと立ち去ろうとします。

コトミはサトルにお願いもう少しだけ一緒にいてと言います。

サトルはあまりに切羽詰まった様子でお願いするので、ここで待ってると言います。

コトミは何かあったら助けてねと意味深なことを言って家に入ります。

サトルはコトミが出てくるのを待ちます。コトミと神木先輩が部屋の中で何をしているのか想像すると胸が苦しくてどうしようもなくなります。

コトミが入った家の2階の窓ガラスが割れます。神木先輩らしき声とドンッという音が聞こえます。サトルは家に急ぎます。




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2024年5月14日火曜日

モリタイシ 中田永一 くちびるに歌を 1巻

青く、切なく、鮮やかに、青春の歌声は、波風に乗って…

大きな海と広い空に囲まれた離島の中学校合唱部。三年生になった少年少女たちの最後の一年が始まる。それぞれに事情を抱えた彼らは今、一つの「目的」に向け、歩き出す。




長崎県西部の海にある島々を五島列島と呼びます。140ほどの島があり人が住んでいるのは30程度です。比較的大きな島にある城の跡地に建ち、かつての城門を校門として利用している中学校の合唱部がNコン(NHK全国学校音楽コンクール)で九州大会を目指す物語です。

登場する人物たちはそれぞれ悩みを抱えていて、合唱部で交流しながら練習して克服していきます。



桑原サトルは友達がいません。友達を作ろうとしません。

休み時間は寝たフリをして過ごしています。

3年生になり4月の始業式にクラス替えが行われ掲示板を見て1組だと自分のクラスを確認し教室に向かいます。


仲村ナズナはクラス替えの掲示板を見て1組だと確認し、仲のいい友達がいなくてがっかりします。第二音楽室に人影を見つけたので行ってみます。ピアノの音が聴こえ、知らない曲だと思い教室に入ります。知らない女性が座って演奏しています。ナズナは女性と目が合います。

女性は演奏を止め、今の曲あそこから先は存在しないからと言います。

ナズナは綺麗な人だなと女性を見つめます。

女性は何か用だった? と訊きます。

ナズナは合唱部の部員で教室に人影を見つけたので友達かと思い来たのだと言います。

女性はそうなんだ、よろしくね、と言います。

ナズナはどういうことかわからず、え…? と訊き返そうとしたらチャイムが鳴ります。

女性はチャイムが鳴ったから行かないとと言います。

ナズナは引き止めず、はい、と言います。教室を出てあの女性は誰なのか考えていると男子にぶつかります。

男子は幼なじみのケイスケです。ケイスケは美人の先生が来るらしいという情報をどこかで仕入れナズナに教えます。ケイスケは友達のリクを見つけ話します。

ナズナは美人の先生と言ったので、音楽室にいた女性のことなのかと思います。



桑原サトルは寝たフリをしています。

先生が始業式が始まるから体育館に集まれと教室にいる生徒に言います。

サトルは一番最後に体育館に向かいます。



校長からこの4月から産休の松山先生に代わって、音楽の授業を担当してもらうことになった柏木ユリ先生を紹介します。柏木先生には合唱部の顧問も務めていただくと言います。

ナズナはさっき音楽室で会った女性が合唱部の顧問になるからよろしくと言ったのだと思います。

男子生徒は柏木先生に心を奪われます。



サトルは他の男子生徒が柏木先生のことでざわざわしていても、机で寝たフリをしています。家庭の事情があってそうしているほうが都合がいいと考えているからです。

放課後帰ろうとしたら、校庭で合唱部が一列に並んで何かしようとしています。

柏木先生がラジカセのスイッチを押し、指揮をとります。

10人の合唱部の部員の歌声にサトルは圧倒され衝撃を受けます。

サトルは学校帰りに兄を迎えに行きます。サトルの兄はサトルの話を聞いて昔の記憶を思い出します。

夜、布団に入りサトルは長谷川コトミのことを思い出します。中学1年の2学期長谷川コトミの席はサトルの後ろで目が大きくて愛くるしい顔立ちの容姿、おだやかな口調でおっとりしていて、男子、女子、先生からも愛されている人柄、嫌がることも率先して行動し、誰の悪口を言うことも絶対にしなかい、すべてが完璧で、この世に天使というものいるなら彼女のような人のことを言うのではないかと考えています。ところがある日長谷川コトミの口から漏れ出た言葉に驚いてしまいます。その時もサトルは寝たフリをしていたのでコトミのつぶやきに反応せずにいます。サトルはコトミの言葉が信じられなかったようで無反応を装っていても背中からにじみ出る汗を止めることはできません。

コトミはサトルに、

「……聞こえとった…? ねえ… 聞こえとったとやろ…? 本当に寝とると…? 寝たフリじゃなかと…?」

と話しかけます。

サトルは寝たフリがバレてると思いながら、寝たフリを続けます。

コトミは、

「みんなには… 言わんでよ…? も、もし噂が広まったりしたら… 許さんけんね…」

と言います。

サトルは寝たフリを続けます。授業が始まり消しゴムを落とすとコトミが拾ってくれます。それからコトミのことが好きになります。



仲村ナズナは家で音楽を聴いています。電話が鳴り受話器を取ると聞いたことのある声だったので慌てて電話を切ります。

翌日合唱部の部室に行くと、三人の女子の見学者が来ています。昨日の校庭での練習風景を見て興味を持ったようです。

ナズナは2年の福永リョウコと打ち合わせていて、見学者が来た時に見せるネタを披露します。そして、合唱部に入部してくれたときの特典を挙げて勧誘します。

部長の辻エリは勝手な約束をするナズナとリョウコを叱ります。

柏木先生がやって来て練習が始まります。いつもなら準備運動から始めるところがいきなり発声練習から始めます。キツイ準備運動を見て見学者が入部をためらうといけないからです。発声練習を終え、各パートごとの練習を始めようとしたら産休に入った松山先生がやって来ます。

部員と柏木先生は松山先生と話します。柏木先生と松山先生は同級生で仲のいい友達です。

コトミは見学者に松山先生について話し、見学者の質問に答えます。

横峰カオルはナズナに混声合唱をやってみたいと言います。

ナズナは男子が入部するのは嫌だと言います。ナズナは父親が出ていったのがきっかけで男子嫌いになってしまったのです。

松山先生はそろそろ帰ると言います。練習頑張って、と言い、

「『くちびるに歌をもて』 『ほがらかな調子で』ってね それを忘れんでね」

と助言して帰っていきます。

柏木先生はエリにハルコ(松山先生)が言ってたのって何? と訊きます。

エリは、

「松山先生の好きな詩の一節です。 くちびるに歌をもて。 勇気を失うな。 心に太陽を持て。 そうすりゃ何だってふっ飛んでしまう! ってそんな感じの詩があるんです。」

と応えます。



翌日の昼休み。

ナズナは柏木先生を見かけ挨拶をします。

柏木先生は昨日見学に来た生徒3人が入部したこと、その他にも入部届を持ってきた生徒がいると入部届の用紙を見せます。

ナズナは入部届に書かれた氏名を見て顔色が変わり、その人物を探します。



サトルはトイレから教室に戻ると自分の席にケイスケが座ってリクと話しているので戻れず、仕方なく図書館で時間をつぶそうと教室を出ようとします。ナズナが勢いよく教室に入ってきてぶつかりそうになります。

サトルのことは視界に入っておらず、ナズナは、

「ケイスケェ!!」

と合唱部で鍛えた喉で全力で叫びます。

ナズナの声にケイスケはびっくりします。

ナズナは入部届を見せ、何なのよコレっ、と言います。

ケイスケはリクと合唱部に入ることにしたと言います。

ナズナはものすごい剣幕でケイスケに不純な動機での入部は絶対に認めないと言います。

エリがナズナを探し教室に入ってきます。

エリは向井ケイスケと三田村リクに真面目に活動してくれるのなら問題ないと言います。

ナズナは納得がいきません。

サトルはようやく自分の席につけます。



放課後サトルは兄を迎えに行こうとします。靴に履き替え、合唱部の歌声の美しさを思い出します。先生に呼び止められ、段ボールに入った荷物を合唱部に持って行ってほしいと頼まれます。断ることができず、段ボールを音楽室に持って行きます。

扉を開けると中にいた生徒が全員サトルを見るので、サトルは入るのを躊躇います。

柏木先生がやって来て、サトルに入部希望者? と声をかけます。

サトルは松山先生から荷物をとだけ言います。

柏木先生は音楽室に入ることをすすめ、入部届とペンを手渡します。

サトルは断り切れず、入部届とペンを受け取りどうしていいか迷っています。

長谷川コトミがサトルを見つけ声をかけます。コトミはサトルに入部するのか訊きます。

サトルは違うと言えず、用紙にクラスと指名を書きます。

ケイスケとリクがやって来ます。

リクはサトルを見つけ軽く会釈します。

サトルは目を逸らしてしまいます。そろそろ兄を迎えに行かなくてはいけない時間になったので音楽室を出ようと誰かに声をかけようとします。誰にも声をかけられず、黙って出ていこうとします。コトミが音楽室を出ていこうとするサトルを呼び止めます。

コトミが帰るの? と訊くと、サトルは今日は用事があってと言います。

コトミはちょっと待っててと言い、CDを渡します。今練習している曲だから聴いてみてと言います。

サトルはパソコンにコピーしたらすぐ返すからと言います。

コトミはパソコンに詳しいのと訊きます。

サトルは詳しいってほどじゃないと応えます。

コトミは今度パソコンのことで質問してもいいかなと言います。

サトルは僕でわかることだったらと言います。



サトルは兄を迎えに行きます。コトミと会話したことがうれしかったようです。合唱部に入ったらこんなふうにコトミと交流することが多くなるかもしれないと考えます。

サトルは兄と家までの帰り道歩きながら、合唱部に入るなんてできるわけがない。兄のために僕がいるのだからと合唱部に入ることをあきらめようとします。



サトルが音楽室を出ていったところにナズナがやって来ます。

ナズナは音楽室に男子がたくさんいるのでげんなりしています。



柏木先生は今後の活動について話し合おうと言います。

エリが予定を黒板に書き出します。7月末に開催されるNHK全国学校音楽コンクールに向けて練習していると新しく入ってきた部員に説明します。Nコンでは課題曲と自由曲を歌い、課題曲は「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」という曲で自由曲はまだ決まっていないと説明します。

柏木先生は忙しくて楽譜を注文し忘れていて、男子がたくさん入部したので逆によかった、女声楽譜を頼むところだったと言います。

ナズナは混声合唱をやるということですかと訊きます。

柏木先生はこれだけ男子が入部したのだから混声合唱にしたほうがいいだろうと言います。

ナズナは全員未経験だしやめておいたほうがと言います。

柏木先生はみんなで頑張ったほうがいい思い出になると、混声合唱の楽譜を注文すると言います。

ナズナはあきらめます。

柏木先生は松山先生から宿題を預かってきたと言います。「手紙」という曲をよく理解して歌うために未来の自分宛てに手紙を書くよう言います。

男子生徒は、えー、と嫌な顔をします。

柏木先生は提出はしなくていいから、できれば真剣に本心を書いて欲しいと言い部員に原稿用紙を配ります。

リクは2枚原稿用紙をもらいます。ケイスケはリクに原稿用紙を渡します。書かないつもりのようです。

柏木先生はケイスケがやる気になるように言葉をかけます。

ケイスケは簡単にやる気になります。



サトルは兄と帰宅します。

母親に合唱部に入りたいと言います。一日おきでいいから兄を迎えに行くのを休ませてほしいと言います。

父親が隣の部屋で聞いていて、頭ごなしに反対します。

サトルは駄目だって言われるのはわかっていたようです。明日柏木先生に行って辞めさせてもらおうと考えます。パソコンを起動し、コトミから渡されたCDを聴きます。じっくり歌詞を聴いていると涙がこぼれます。

翌日、サトルは父親にもう一度合唱部に入りたいと言います。

父親は反対します。

母親が間に入って、サトルにいいよ、と言います。

父親も勝手にしろと言います。

サトルは母親に感謝します。



サトルは教室の席に着くとリクから声をかけられます。

サトルは何を言わるのか怯えます。

リクは原稿用紙を手渡します。昨日宿題が出て15年後の自分宛に手紙を書くように言ってたと言います。リクが原稿用紙を2枚もらったのはサトルの分だったのでした。リクはケイスケのせいで後ろの席の男子に絡まれていたのを庇ってあげられなかったおわびだと言います。

サトルは何度も感謝します。この日からサトルの学校生活が少しずつ変わり始めます。



部活動が始まります。

発声練習から始まります。地味な練習です。ケイスケは適度に手を抜いています。

柏木先生が男子生徒のやる気を上げます。

男子生徒同士仲良くなります。

サトルはリクと仲良くなります。互いに読書が趣味でサトルは面白かった本をリクにすすめます。

ケイスケは友達になったサトルを自分の秘密の場所へ連れて行きます。

サトルは友達と過ごす時間を楽しんでいます。

コトミはサトルに部活に慣れた? と話しかけます。

サトルはコトミと会話できるようになってこんな学校生活を送れるなんてと舞い上がっています。

でも幸せな時間はそう長くは続きません。

男子と女子で対立が始まります。男子が柏木先生がいないと真面目に練習をしなくなります。

ナズナはケイスケを呼び出します。ナズナは策をめぐらせて辞めさせようとします。二人は幼なじみなのでケイスケはナズナが何かを仕掛けてくることはわかっていてどんな手段を使ってきても対抗策を持っていて撃退してしまいます。



サトルが音楽室に行くとまだ誰も来ていなくて荷物を置くと、コトミがやって来て声をかけます。サトルは緊張でコトミと二人きりで音楽室にいられず出ていこうとします。

コトミは呼び止め図書館に行くというサトルにここで時間をつぶせばいい、すこし話したいことがあると言います。

コトミは部員の男子と女子の対立について話します。そして家族の話になりサトルは父親に言われている通り嘘をつきます。

男子と女子の亀裂は広がっていきます。

Nコンの都府県地区コンクールまであと2か月ちょっとです。




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2024年5月12日日曜日

あだち充 SHORT GAME ~あだち充が短編で紡ぐ高校野球~

あだち充の短編集です。面白いです。

各短編に登場する人物の感情の置き場がとても好きです。あと、余韻というのか読後の男女のその後を想像して、頭の中で交わされるであろう会話を思い浮かべるのも楽しいです。




すべてのテーマは高校野球…読切の名手・あだち充が、スペリオール、スピリッツ、少年サンデー誌上に発表した作品を網羅。さらには1980年代発売の「少年サンデーグラフィック タッチ」に掲載された、まさに幻ともいえる超短編も一挙収録。




●リリーフ

中学の時右ヒジの違和感で検査したら投球禁止となったエースで4番の浜という人物の話です。

有名校から声がかかり高校で甲子園を目指すことしか考えていなかったのにヒジの手術をして野球をあきらめてしまいます。

高校の野球部の監督と監督の姪と中学からの一緒に野球をやって来たチームのエース益山がもう一度投げて欲しいと願う物語です。

益山は陸上部にいた浜を強引に野球部に誘います。

監督は中学時代の浜のピッチングに惚れこんでいて益山に浜を勧誘するよう指示します。

監督の姪は中学からずっと浜のピッチングを見ていて彼が初恋の人物で声すらかけられなくて悩んでいます。監督はそれを知って益山に指示し、益山は浜に監督の姪に試合を観にこさせろと命令します。

すべては浜にもう一度マウンドに立ってもらうためです。監督が監督の姪が益山が偽ってもう一度投げる舞台を用意するところが泣かせにかかっているなと感じて、展開が面白かったです。



●有限会社あだちプロ

あだち充の仕事風景です。



●同級生

控えの内野手田所公太と女子マネージャー中根百合子の恋愛話です。

堀宮高校野球部は甲子園初出場の切符をエラーで失ってしまいました。

エースだった高峰はプロをあきらめました。

エラーをしたセンターの安西はその後大学で頑張りプロに入りました。

居酒屋で高校野球部同球会があり集まります。当時ことを話し、懐かしさを共有します。

公太は安西が百合子にプロポーズしたことを知ります。

しかし、百合子には好きな人がいます。

手作りのタコと高校の思い出が重なります。

百合子は公太をずっと想っていて、康太の携帯に今でもグローブの修理紐で作ったアクセサリーがつけてあるのを見つけ、公太の行動を待っています。

百合子の気持ちを知った公太は安西からかかってきた電話に何と応えたのでしょう。自分のことだと言ったのでしょうか。



●名探偵ゴーページ

まんが家が手を抜くという作品です。



●フルカウント

怖い話なのでは? と思いました。

勝手に家に入りこんでクローゼットに隠れたことで困っていたことが解決し危険な目に遭わずに済んだという話しです。

本間は会社の金に手をつけその金を廣野に預けます。その金が戻って来ないので自宅を訪ねると不在でちょうど廣野に会いに来た人相の悪い人たちと知り合います。

本間は会社にバレるのも時間の問題だと腹をくくり街を出ようとします。町を出る前に好きだった北川久美子に会いに行こうとします。

インターフォンを鳴らしても誰も出て来ずドアノブを回すと鍵がかかっていません。本間は家に入ります。

久美子は廣野の彼女加奈から連絡を受け迎えに行き部屋に入れます。

部屋にいた本間はクローゼットに隠れます。久美子と加奈が話をしているのを聞いています。

どうやら久美子は宝くじが当たり、加奈はそれを狙っているようなのです。

加奈は廣野に連絡します。

クローゼットの中にいる本間は人相の悪い人たちに連絡します。

宝くじを強盗するする計画で目出し帽をかぶった廣野が久美子の家に来ます。

本間が連絡した人相の悪い人たちがやってきて、廣野と加奈を連れて行きます。

久美子は本間のことが好きで、クローゼットの中に隠れていた本間を見つけても今日の起こった出来事を瞬時に把握します。

久美子の宝くじで本間の会社の金を埋めます。

どういう話しなの? とちょっと困りました。結果的に廣野が本間と久美子の仲をつないだと考えればいいのかなと思いました。



●とりの市

鳥でまんがを書こうとして上手くいかなかった話です。



●浅丘高校野球部日誌 オーバーフェンス

3年生が全員辞めてしまい、2年の桜井章夫が新キャプテンになります。

2年の他のメンバーは父親が消防署長、市長、病院院長、大地主で、それぞれに実力もあるから3年は先輩面できなくて辞めていきます。

父親たちは野球部のOBで同期です。影ながら息子たちの活躍、野球部の勝利を願っています。

息子たちの性格をよく知る父親たちの計画が面白いです。



●ギャグタッチ

兄のあだち勉が描くギャグ漫画のタッチです。



●ゆく年くる年

土屋敬太郎、仙道タケシ、奈津子の三角関係の話です。

タケシは向かいの家に住む幼なじみ奈津子が好きです。感情を表に出さず、無表情な人物です。野球部のメンバーが大好きなようです。

奈津子はタケシに電話で高見明日香が家に訪ねてきてタケシとつき合いたいから仲を取り持ってくれないかと言われていると言います。

タケシは向かいに住む幼なじみのことが好きだから断ってくれと言います。

奈津子は明日香にダメみたいだと説明します。

明日香は傷ついた様子もなく帰っていきます。

奈津子はタケシに電話し敬太郎の電話番号を教えてと言います。

タケシは横に敬太郎がいるので電話をかわります。

奈津子は敬太郎に告白したようで、敬太郎はおれでよければ喜んでと返事します。

タケシは敬太郎に奈津子をとられて感情を爆発させます。

タケシの心の動きが面白かったです。



●雨にも負けズ

ページが足らなかったようで後半は停電まんがになります。



●ヨンペイジの未来

未来になっても手描きで紙にインクで描いています。




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2024年5月10日金曜日

稲井カオル うたかたダイアログ 3巻

取るに足らない青春にも終わりは来るのです。


徒然を弄ぶ日々も、遷り変わってゆくもので。恋のライバル(?)にショッピングモールの変化、受験に追われていたかと思えば、迫ってくるのは卒業式。実は2人の距離感も、変わらずのようでそうでもなくて――…。取るに足らない日々ゆえに、楽しい日々になっているような。

徒然と戯れまくる青春浪費ラブコメ、圧巻の完結巻!!




最終巻です。

宇多川と片野の掛け合いが面白かったです。

宇多川がからかってボケて、片野がツッコむスタイルから、片野が不意に放つ言葉に、宇多川がドギマギするところなど会話のやりとりが楽しい作品でした。



ドラッグストアに新しく加賀美という大学生が入ってきます。

片野は宇多川と加賀美が話しているとイライラします。宇多川が自分には当たりが強いのに加賀美にはやけに物腰の柔らかい対応をとるからです。しかし、よく観察してみると宇多川が単に気を遣っていただけなのだとわかります。

宇多川と片野は加賀美の電話の会話を聞いてしまいます。

加賀美は理想の大学生を演じているのだと察します。



宇多川と片野は公園でひとりベンチに座る加賀美をみつけます。

2人に声をかけられた加賀美は理想を演じようとするので先日の電話を聞いたと告げます。

あまり充実した生活を送っていないようで宇多川と片野と三人で写真を撮り、加賀美は実家に写真を送ります。



学校でメイクの話で盛り上がっている中、宇多川はまったく興味を示しません。黙って聞いているとメイクはアイブロウが一番重要だと言っていて、眉毛が濃いのを気にしている宇多川はバイト中、眉毛に関する化粧品の説明書きを真剣に読んでいます。片野に前髪を上げ、眉を見せてどう思うかと訊きます。

片野は普通だと言います。

宇多川は納得がいかないようで、自宅でカミソリを見つけ眉を整えようと思いつきます。

翌日、宇多川はコソコソとドラッグストアで商品を探しています。片野に見つかってしまいます。片方の眉毛を全部剃ってしまったので眉ペンを買いに来たと言います。

片野は顔の手入れ方法を注意します。

宇多川は真由ペンで眉を書こうとします。不器用なのか上手く書けずものすごく太い眉毛に仕上がります。

片野はさらに眉ペンの選び方にも注意をすると宇多川が言い返します。

コロッケ屋の百瀬が通りかかり、宇多川に化粧を教えます。

宇多川はメイクで変わった自分の顔に気分を良くします。

片野も百瀬に言われ、自宅で眉毛を整えます。

翌日、片野は宇多川に手入れについて注意していたのに眉を整えるのに失敗します。



夏休み、受験に向けて勉強に力を入れ始めます。

宇多川は受験が終わるまでバイトを一旦休止するようです。

片野は宇多川との接点がバイトだけなので宇多川がバイトを休止したら会えなくなると心配して震えます。この先会うための口実を作らなくてはと考えます。そこで今日は一緒に帰ろうと誘います。帰り道、どうするべきかあれこれ考えてみてもいい口実が思いつきません。宇多川の方から受験勉強で忙しくなってもたまにはこうやってブラブラ息抜きできると良いねと言われます。片野は言おうとしていたことを言ってくれてうれしくなります。

宇多川は片野の第一志望を訊くと、同じ大学なので、学力が同じレベルなのだとわかり、急に片野をライバル視します。



宇多川と片野は合格祈願に神社に行きます。

神社には片野の両親が来ていて、片野は鉢合わせしないように必死に隠れます。

母親は片野に気づいていて気づかぬふりをします。片野家は温かい家庭です。



宇多川は片野が出てくる夢を見ます。夢に出てくるくらいなのになんであんな夢を見たのかとため息をついています。片野と願書を郵便局に持って行く約束をしています。待ち合わせ場所やって来た片野は髪を黒に戻しています。

宇多川はかっこいいと思ってしまいます。

片野は宇多川の様子がいつもと違う気がしたので黒髪がダサいと思われたのだと勘違いします。



宇多川と片野は大学に合格します。

大学生活が始まります。

宇多川は片野が大事な人だと気がつきます。ずっとこんな無駄話ができるといいなと思っているみたいです。




●描きおろし「それから編」

片野が宇多川に告白しようとします。

宇多川はなんとなく気づいています。始めは自分のペースでしゃべります。話していくうちに照れて恥ずかしそうにします。

ボケてツッコんでの掛け合いで二人らしい、宇多川らしい、片野らしい告白になります。

面白かったです。

終わりです。



稲井カオル うたかたダイアログ 3巻
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2024年5月8日水曜日

稲井カオル うたかたダイアログ 2巻

ぱっとしてない青春がある。

相も変わらずドラマの起こらぬ日々ながら、二人でカラオケに行ってみたり、雑貨屋に行ってみたり、夏祭りに行ってみたり…

これってもはや付き合ってるのでは!? と片野の妄想は大爆発。気づいているのかいないのか、宇多川はもちろん華麗にスルー。ぱっとしてないからこそ楽しいってこともあるもので…

無駄口まみれの青春浪費ラブコメ、ますますハマる第2巻!!




ドラッグストアの店員岡本、100均の店員清水、片野の両親、宇多川の妹たまみと弟いつきなど登場人物が増え、宇多川と片野だけで交わされる会話に加わりにぎやかになります。

宇多川と片野の表情とは裏腹の胸の内、相手の気持ちを読み切れていない感情のすれ違いが面白いです。



片野は学校の友達からカラオケに誘われます。宇多川に相談するとあまり行かないと言われます。片野は歌うことに慣れていないのでカラオケでどうすればいいかわからないようです。

宇多川はバイト終わりに駅前のカラオケに行ってみようと言います。

片野はドリンクの選び方や選曲を教えてもらい、これで当日恥をかくことはないだろうと言います。

片野は友達に連れられカラオケに行きます。カラオケだと言っていたのに、他校の女子と待ち合わせていて、友達だけのカラオケではなく合コンに参加させられたと気づきます。運の悪いことに、女子と待ち合わせている場所に宇多川が居合わせていて、片野と女子がいるところを目撃されてしまいます。片野は魂が抜けかかっています。カラオケ店に入ってからは宇多川に何と言おうかとずっと落ち込んでいます。



翌日、片野はバイトで宇多川に会います。宇多川がなんとなく怖く感じてしまいます。言い訳も聞いてもらえず困ってしまいます。もしかしたら宇多川がやきもちを焼いているのかもと考えます。学校の友達に相談すると謝ってこいと言われ、お菓子を買ってドラッグストアに行きます。

宇多川はスタッフの岡本と話しています。

片野は宇多川と岡本の会話を聞いていると、自分が合コンでうまくいかなかったから傷つけないようにしようとしているのだとわかります。

本当は宇多川は片野が女子と知り合えなくてホッとしています。

片野は宇多川の気持ちに気づいていません。数日間、店長やスタッフに優しくされます。



宇多川は母親に女の子なんだからかわいくしないさと言われます。今の自分が気に入っていて必要ないと言います。

バイトで宇多川は片野に反かわいい主義者に生まれ変わると宣言します。

片野は何が変わったのかわからないようです。

店長から呼び出され、スタッフの岡本が引っ越すことになりドラッグストアを辞めることになったと言われます。せんべつとして皆でお金を出し合いプレゼントを贈ろうと思うので宇多川と片野に何かおしゃれでかわいいプレゼントを選んできてほしいと頼まれます。

反かわいい主義者になると言ったばかりでかわいいプレゼントを選びに雑貨屋で行きます。いろいろ見て回り考えてみた結果店員に選んでもらいます。

雑貨を見て同じことを思いつく宇多川と片野が面白いです。

岡本にプレゼントを渡す直前に贈るプレゼントがふさわしくないとわかります。

片野は宇多川に贈るために買ったものを岡本に渡します。

宇多川は反かわいい主義者を改め、すこしかわいいものを持つようになります。

片野はちょっとうれしいことがあり、仕事中も笑顔が多くなります。

笑顔の多くなった片野に客からの人気が上がります。

宇多川は自分より片野が人気があるのでライバル視します。

片野は宇多川にそっけなくされて戸惑います。



片野は家にいると宇多川から電話がかかってきて今週の土曜日は暇かな? と訊かれます。その日は隅田川で花火大会がある日で、宇多川から誘われたと舞い上がります。

当日、宇多川と会うと花火大会ではなくドラッグストアの福引のスタッフをすることになります。浮かれていた片野はよく考えると宇多川が花火大火に誘うはずがないなとあまりがっかりしないように自分に言い聞かせています。宇多川に夏休みを楽しむこともなく無駄に過ごして後悔するんじゃないかと不安になると言います。

宇多川はそれは心の熱中症だと言い、いい薬があると自分の夏休みの課題を渡します。

片野はふざけている宇多川に文句を言います。

宇多川は理不尽な文句を言い返します。

片野は圧倒されあやまります。

宇多川は片野の夏の課題は進んでいるのか訊きます。

片野は面倒なのが残っていると言います。夏の俳句を5つ考えろという課題です。

宇多川は手伝ってあげることにします。

もう上がってもらっていいと言われ、宇多川と片野はショッピングモール内の出店を見て回ります。二人の分析が面白いです。

100均の店員清水に会い、思いつきの俳句を作り、夏休み明け片野は5つの俳句を学校に提出します。思いつきだと思っていたのに一句は有名な俳句だったので驚きます。



片野は宇多川に両親への不満を言います。はしゃいでいる父親が嫌なのだと言います。

パンケーキの話題が出て宇多川はパンケーキ屋に行こうと言います。

パンケーキを食べた後、うどんを食べに行きます。

片野は宇多川とおいしいものを食べて、父親のはしゃいでいる理由をなんとなく理解します。



宇多川の妹たまみが職場体験でドラッグストアで働きます。

たまみは片野に会うのを楽しみにしています。片野が女の子だと思っていたみたいで会ってみて男の子だし金髪だし思っていたのと違って姉に苦情を言います。宇多川とたまみの会話が面白いです。

片野はイメージを良くしようと頑張ります。

弟のいつきもドラッグストアにやって来ます。

いつきが遊んでいるあやとりを見て宇多川家ではあやとりが流行っていると考え、片野はたまみにあやとりを披露します。

たまみは片野が何をしたいのかわかりません。しかし、日が経つにつれ片野の人柄への思い込みに変化が生じます。

宇多川の何か言おうとして終わるやり口が面白いです。

後日たまみは片野に親しみを感じていることを示すためあやとりを披露します。

片野はたまみのメッセージを間違って受け取ります。



片野がバイトを始めた理由と面接の時の話が描かれます。

宇多川が少しずつ片野に心を開いて話すようになっていきます。

宇多川は面接に落ちた黒髪の男の子のことを気にします。

片野はどんなやつだったのか気になります。

話していると焼きイモが1本消えるという事件が起こり犯人を探します。

犯人はいなくてスーパーの部長の優しさでした。

黒髪の男の子は片野でした。




宇多川と片野の掛け合いが面白い作品です。




稲井カオル うたかたダイアログ 2巻
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2024年5月6日月曜日

稲井カオル うたかたダイアログ 1巻

青春に憧れている方に、残念なお知らせです。


胸を焦がす恋をしたり、部活で全国を目指したり、超能力が発現したり、異世界に召喚されたり… そんな高校生活を送る人はほぼいません。

とあるドラッグストアでアルバイトをする宇多川と片野も、例に漏れずドラマとは無縁。基本的には無駄口を叩いているだけですが… それが、何だかとても楽しいんです。

中毒性NO.1の青春浪費ラブコメ、待望の第1巻!!




ドラッグストアでバイトをしている高校生男女の物語です。バイト中、バイト終わりに交わす会話が面白い作品です。

宇多川は真面目に働く女の子です。面白い切り口、変わった視点で話します。片野をからかうのを楽しんでいます。

片野は金髪で愛想がない男の子です。そのせいか接客態度が悪いと客から苦情が絶えません。フォローしてくれる宇多川に想いを寄せていて、彼女のボケにきちんとツッコミを入れます。

宇多川は片野の想いに一切気づいている様子はありません。片野と話していくうちに気持ちの変化が起こるのだろうなと思います。




片野は店長から接客態度が悪いと苦情が来ていると注意を受けます。

宇多川は叱責されている片野を助け、休憩時間に理由を訊ねます。からかった後、片野に手作りのリンゴジャムを持ってきたと言って渡します。

片野は宇多川とスーパーに行き、高めの食パンをお返しに渡します。

宇多川はジャムは先日困った客を追い払ってくれたお礼だったので食パンはもらえないと言います。

2人は話し合いお互いの恩を返し合う日を作り相殺しようということになります。

片野はどこか行きたい所はあるかと訊きます。宇多川は片野をからかいます。

結局一緒に餃子を作ろうことに決まります。

片野は妄想が暴走します。



片野は宇多川からワイロだと手紙と小包みの入った紙袋を渡されます。

片野は何のための贈り物か考えます。何ということはなく節分の豆まきのイベントで鬼役を依頼するためのものでした。

片野は宇多川のワイロを大事に食べます。



宇多川と片野はバイト先のドラッグストアが入っているモールをブラブラします。

100円ショップに入ります。ショップの店員清水と宇多川と片野の三人で話します。清水のからかいかたが面白いです。



片野は自分の服装について宇多川がどう思っているか訊ねます。

宇多川は始めは片野が傷つかないように思ったことを言わず飲み込みます。しかし、正直に言ってくれると言われ、厳しい評価をします。

片野はショップに行き服を買いに行きます。

服を見に来ていた宇多川に見つかり、一緒に服を選びます。結局何も選ばずに店を出ます。

宇多川は片野の服の好みは苦手なようです。



春のセールの広告の準備をしていると、清水がやって来ます。

清水は宇多川と片野の仲がいいので、宇多川に片野に彼女ができたらどうする? 意外と遠くから見つめてる子がいるかもよと言います。

宇多川は笑って気にも留めない様子です。

本当に片野をじっと見つめる女の子が登場します。コロッケ屋を営む百瀬という人物です。

百瀬は片野に頼みごとがあって来ました。コロッケ店の写真広告のモデルになってほしいというものです。一度コロッケ屋に来て試食してみてから考えて欲しいと言います。

片野はコロッケ屋に行ってみます。宇多川は片野について行きます。

宇多川は百瀬が片野に気があるのではないかと考えて、元気がなくなります。片野の夢を見て片野を意識していることに気がつきます。片野を百瀬の邪魔をしようとしたりします。しかし、百瀬が結婚していることが分かると警戒を解き元気が戻ります。



清水からモール内で料理教室が開かれるから行ってみてはどうかと言われます。

宇多川と片野は場違いな料理教室に参加します。作るのはオムライスです。

出来上がったのは卵かけご飯です。




それぞれのエピソードの中で交わされるやりとりがクスッと笑えて面白いです。




稲井カオル うたかたダイアログ 1巻
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2024年5月4日土曜日

山川あいじ 河原和音 友だちの話

なんでもない言葉に心が揺れ動き、必ず感情を動かせるはずと確信した言葉は宙に浮く。

相手の心にかすりもしない。

そんな男女の交わされる会話が面白い作品です。




英子(えいこ)は地味な外見で弱気な性格、逆に親友のもえは誰もが振り返る美少女。お互い全然違うタイプなのに、2人の絆はとてつもなく固い。

色んな男子から告白されるもえだけど、付き合う条件は「自分より英子を大事にすること」!?

しかし、そんな条件を満たす男子・土田(つちだ)が現れる。変化し始める親友との関係に英子がとった行動は?




三話構成の短編が登場する三人の視点で描かれています。

思ったことが言えない女の子。

友人のために怒る男の子。

気が強い女の子。

三人が大切な人を思いやるところに胸が熱くなって泣きそうになります。



彼氏(土田)よりも親友(英子)を何よりも優先しようとする女の子(もえ)に戸惑う英子。

友人(土田)の彼女(もえ)の親友(英子)に嫌がらせをする男の子(鳴神・なるがみ)。

鳴神は嫌がらせをしていた英子を好きになり、英子ために鳴神がふさわしいか男の審査するもえ。

この三人の物語です。



●友だちの話

一部は英子の視点で描かれます。

英子はもえを待ち合わせをしています。待っていると道を聞くのをきっかけにしたキャッチの勧誘を受けます。嫌なのに断ることができない性格です。キャッチも気が弱そうなことを見抜いていてぐいぐい話しかけてきます。困っているともえがやって来ます。

もえは英子の手を引き、キャッチの存在を無視してその場を去ります。

英子は、

「最初からキャッチってわかってたらムシしたのにー」

と言います。

もえは、

「ズルイよね 道聞くフリするなんて」

と言います。

英子が、

「いや 結局ハッキリ言えない私が悪いんだけど」

と言うと、もえは、

「英子は気が優しいね」

と言います。

英子はきがやさしいという言葉の意味をもえがほめたのだと理解し、

「いや 単に優柔不断で外ヅラが良いだけっていうか…」

と否定するようなことを言います。

もえは英子にしがみついて、

「あはっ やっぱ英子好きだ」

と言います。

英子はなんでそうなるのかわかりません。


英子は弟にもえが可愛くてフワっとした外見なのにハッキリしている、かっこいい、男だったら絶対好きになってると力説します。

弟はそんなに可愛いくてモテるのになんでカレシがいないとの訊きます。

英子は、

「もえはさ… 告白されると必ず 言うんだよねぇ 『いいけど もえをつきあうってことは 英子とつきあうって事だから 英子をもえよりだいじにしてね』」

と言います。

弟は英子のどこがそんなに好きなのと訊くと、英子は答えることができません。


学校では女子たちがカレシができたと盛り上がっています。

英子はもえにカレシがいないのうちらだけと言うと、もえは、

「英子はカレシできるよ 英子がどういう人かわかれば すごい好きになるよ」

と言います。

英子はもえにそう言われても自分のことが好きではありません。どうしてもえは自分のことが好きなのかわかりません。


数日後、もえは英子にカレシができたと土田を紹介します。もえは、

「英子の事ももえ以上に大事にしてくれるんだって」

と言います。

英子は驚きます。

もえは土田に、

「じゃあ 英子と帰るから」

と言うと土田は、

「うん じゃあ またね」

と言い別れます。

英子は慌てて土田を引きとめ一緒にいなくていいの? つきあってるなら一緒に帰らなくていいのと言います。

土田は、

「もともと2人が仲良かったとこにオレが後から来ちゃったし全然いいよ」

と言います。

英子は釈然としません。

土田と別れ、もえは、

「クリスマスもお正月もバレンタインも英子と一緒にいるんだ」

と言います。

英子はカレシに悪いと言います。

もえは、

「こんな事で嫌だなんていうカレシ 別にいらない」

と言います。

英子はカレシよりも親友を優先し、カレシができても、親友と遊ぶことを優先する理由がわかりません。


土田は遊びに行ってきたと、もえと英子におみやげを買ってきます。

デートも三人で行きます。

英子は自分が中心になっているので居心地が悪そうです。

土田は次の日曜日も三人でデートしようと言います。


英子はこのままではいけないと思い、日曜日の約束をドタキャンします。


翌日、英子はもえに謝ります。

もえは今度は絶対一緒に行こうねと言います。

土田は今日は3人で帰ろうと言います。

英子は先生に呼ばれているから先に帰っててと嘘をつきます。いつまでももえにくっついているのは悪いと思っています。

もえは英子の嘘に気づいていて、英子を追いかけ探します。

もえは心当たりのある場所に行ってみます。けれど、英子は見当たりません。

英子はもえが来たので息を殺して隠れています。その場所はふたりで授業をサボってずっと話していたい思い出があって、もえが土田にそのことを話しているのを聞いています。英子もその思い出の場所に同じ理由でいたのでもえと通じているとよろこびを感じています。

土田はもえに英子と本当に仲が良いいね、友達は大事だよねと言います。でも自分はもえを二人きりになってちょっと嬉しいと言い手を握り顔を近づけます。

するともえは、

「小さい男だね」

と思っていることをぶちまけます。

土田はもえに、

「…なんかもえちゃんて思ってたのと違うかも… 案外… キツイよね」

と言います。

もえはイヤならつきあうのやめようと言います。

土田はもえに背を向け去っていきます。

隠れて聞いていた英子は自分を好きなもえが本当に幸せになることを願っていて、大事にされたいと願っていることをもえにわかってほしいと思う自分がちょっと嫌になります。

もえが英子を見つけます。

英子は、

「私 もえがすごい好きだ もえとは一生友達でいたいよ」

と言います。

もえは英子のこと好きだな、友達になりたいと思った理由を話します。

英子はもえが自分を好きでいる理由を知ります。

英子ともえは泣きながら抱きしめ合います。互いに出会えたことに感謝しています。



●友だちの話 2nd

土田の友達鳴神の視点で描かれます。

鳴神は友達の土田がずっと片想いしてきたもえと付き合うことになったのに一週間で別れてしまったことに腹を立てています。女子は恐ろしい本性を隠し持っていると思っています。土田によるともえから友達の英子の方が大事だと言われ別れることになったらしく英子にイヤガラセをすることにします。ちびちびとイヤガラセをして英子にわからせようとします。そして、行き過ぎた嫌がらせをしてしまいます。

英子は行き過ぎたイヤガラセに対してもすみませんと謝ります。

鳴神はさらにいやがらせをします。

英子は鳴神に土田の件でイヤガラセしていることはわかる、そうされるのは仕方ないと思うと言います。でも、イヤガラセはヘコみますと謝ります。

鳴神はてっきり逆上してくると思っていたようです。英子が自分の意図する伝えたかったことをちゃんと理解していたことで英子について考えを改め、英子に話しかけてみます。鳴神の女子に対して抱いている想いが変化し、英子のことがふうつにイイ子だとわかります。




●友だちの話 Final

もえの視点で描かれます。

もえは思ってることを言うと友人関係が壊れてしまいずっとこのまま友達と呼べる人はできないだろうと思っていました。英子に出会い、自分を肯定してくれる初めての人物をずっと大事にしていこう考えています。英子に鳴神が接触していて、イヤガラセをしていることに気づきます。鳴神に英子に近づくなと文句を言います。

鳴神は、

「嫌がらせじゃなくて 気ぃひこうとしてんだよ 話したいんだよ 今までの印象悪いから よくしよーとしてんだよ 邪魔すんな」

と言います。

もえは鳴神が英子のことを好きって意味のことを言ったと驚きます。本当に英子のことをわかっているか見極めようとします。

鳴神は英子と話せば話すほど魅力がわかってきます。

もえは自分に出来ないことだから英子に幸せになってほしい、カレシになる人はさみしい顔や悲しませない人を望みます。鳴神を観察し、英子のことが本当に好きなんだとわかります。

鳴神ともえが話します。もえにとって英子はどういう存在なのか話します。

もえは鳴神に告白してもいいよと言います。

鳴神も英子ともえの関係を知りもえに言葉をかけます。

もえは英子を好きになる人なんだから見る目はあることはわかっていたようです。

鳴神は英子をい呼び出し告白します。

英子は、

「私とつきあうってことは… もえをつきあうってことだから もえを大事にしてくれるんなら!!」

と言います。

鳴神は、

「わー それはキツイもんがあるな…」

と言います。

もえが割り込んできて、

「英子はいいんだって 英子のカレシになる男は!! 私以上に英子を大事にるる男じゃないと許さない!! 大事にしやがれ!!」

と言います。

鳴神は英子に友達からでいい、帰りももえがいてもいいからと言います。


帰り道、鳴神ともえが話します。

鳴神は男だって好きな人に必死なんだからうっかり思ってもないこという時だってあると言います。

もえはうすっぺらいと言います。

鳴神は土田はもう無理なんだんと諦めます。

もえは英子の好感度において鳴神に勝ってると言います。

鳴神は今は負けてるけどそのうちひっくり返すからと言います。

もえは絶対ムリと言います。

友だちの話はこれで終わりです。



●その彼調べます。

短編です。

実和子は人の言動や感情を観察するのが好きな女の子です。

友達のみどりがカレシの浮気を疑っていて、実和子はみどりに証拠写真を撮ってきてほしいとお願いされ、引き受けます。


実和子はみどりのカレシのコウキの高校で待ち伏せます。出てきたので後を追いかけようとしたら、声をかけられます。記憶にない男子です。当然名前もわかりません。

男子は実和子にコウキに用事? と訊きます。

実和子はコウキの友達なんだろうと推測します。みどりから頼まれて浮気現場の写真を撮るためにコウキを追っていると言います。

男子は協力すると言い、コウキがいそうなところへ案内します。

コウキを見つけます。本当に浮気していました。女子と二人で歩くコウキの写真を取り、みどりに送ります。

みどりからメッセージが届きます。

(言い逃れできないような!! 最低でも手をつないでるくらいの)

という内容です。みどりの要求が増していて実和子は煩わしいと思いながらもコウキを張り込みます。

公園でコウキが女子とボートに乗っています。

実和子はバッチリ言い逃れ出来ない写真を撮ることに成功します。

ボートの上からコウキが写真を撮っている実和子を見つけます。コウキは急いでボートから降りて実和子を追いかけます。コウキは怒り狂っています。

男子は実和子に逃げるように言います。

コウキは男子に話しかけます。男子はトモヤと言い、トモヤは実和子を守ります。トモヤはコウキに横にいる女子とつきあってんの? と訊きます。

コウキはトモヤに関係ないだろうと小突きます。

トモヤは関係ないけどみどりちゃん泣かされると困ると言います。

コウキはしらねーよ、と語気を強めます。

トモヤは知らないってころはないだろうと言います。

後期はもういいからだまれよと言うと、背後からやって来たみどりに張り手を食らいます。

みどりは実和子の近くでコウキを張り込んでいたようです。

実和子はみどりとコウキがケンカを始めると思ったのに、みどりがコウキを許したから今日の尾行はなんだったのかと思います。トモヤには協力してくれてありがとうと言い帰ろうとします。

トモヤは実和子にみどりから何も聞いていない? と訊きます。みどりとコウキが知り合った合コンで実和子もいて、トモヤもいたのでした。トモヤは実和子にもう一度会いたくてコウキにみどりから伝えて欲しいと言っていたのに何も伝えていなかったことを知ります。

実和子はトモヤの話を聞くと笑顔になります。

実和子とトモヤは連絡先を交換します。

みどりの大問題が実和子とトモヤを近づけてくれたというお話でした。

終わりです。



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2024年5月2日木曜日

ろびこ となりの怪物くん 13巻

「時間は降り積もる。誰にも同じように――。」

それぞれに新しい時が経ち… そして、誰にもまた新しい物語が待っている。

大人気青春ラブストーリー、その後の日々を描いた番外編がつながっていく、完結巻!




最終巻です。

本編は12巻で終わりです。

13巻は雫とハル以外の人物の物語が描かれます。

夏目とササヤンの恋の進展の話、山口伊代と優山の話、優山と雫の弟隆也の話、隆也と大島の話などが描かれます。

隆也と大島の話がよかったです。




夏目とササヤンの話は、ササヤンの視点で高校3年間の心情が描かれています。



山口伊代と優山の話は、優山ってハルとよく似ていてどこかズレている気がします。そして、山口伊代もズレていて互いのズレがかみ合うというような話しなのかなと思いました。



優山と隆也の話は、優山の歪みは母親によるものなのだとわかります。優山と隆也がたまたま甘いもの好きで意気投合するのがちょっと面白かったです。



隆也と大島の話は、隆也がずっと思いを秘めていた大島に告白する話です。

隆也と大島は高校で再会します。大島は教師になるため教育実習で高校にやって来ます。

教育実習が終了し、隆也は大島が雫とハルの結婚式の招待状の出席の返事を自宅まで持ってきた時告白します。

雫とハルの結婚式の日、隆也が大島に話した招待状を持ってきたあの日、大島が腕時計をしていないことを確認して告白したと言います。

腕時計をしていなかったからという理由で大島に口づけした隆也がすごいなと思います。

大島は拒否できたはずなのに隆也だから許したのであれば、あの日、返事をしなかったのはなぜだろう。優柔不断で勇気が出なかったのはそう簡単には治らないのかなと思いました。

雫とハルの結婚式の日も大島は隆也への返事に困っていて、大島らしいなっと笑顔になりました。



登場する人物それぞれがいろんな考えを持ち物語ができていくのが面白かったです。

終わりです。



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