2024年5月12日日曜日

あだち充 SHORT GAME ~あだち充が短編で紡ぐ高校野球~

あだち充の短編集です。面白いです。

各短編に登場する人物の感情の置き場がとても好きです。あと、余韻というのか読後の男女のその後を想像して、頭の中で交わされるであろう会話を思い浮かべるのも楽しいです。




すべてのテーマは高校野球…読切の名手・あだち充が、スペリオール、スピリッツ、少年サンデー誌上に発表した作品を網羅。さらには1980年代発売の「少年サンデーグラフィック タッチ」に掲載された、まさに幻ともいえる超短編も一挙収録。




●リリーフ

中学の時右ヒジの違和感で検査したら投球禁止となったエースで4番の浜という人物の話です。

有名校から声がかかり高校で甲子園を目指すことしか考えていなかったのにヒジの手術をして野球をあきらめてしまいます。

高校の野球部の監督と監督の姪と中学からの一緒に野球をやって来たチームのエース益山がもう一度投げて欲しいと願う物語です。

益山は陸上部にいた浜を強引に野球部に誘います。

監督は中学時代の浜のピッチングに惚れこんでいて益山に浜を勧誘するよう指示します。

監督の姪は中学からずっと浜のピッチングを見ていて彼が初恋の人物で声すらかけられなくて悩んでいます。監督はそれを知って益山に指示し、益山は浜に監督の姪に試合を観にこさせろと命令します。

すべては浜にもう一度マウンドに立ってもらうためです。監督が監督の姪が益山が偽ってもう一度投げる舞台を用意するところが泣かせにかかっているなと感じて、展開が面白かったです。



●有限会社あだちプロ

あだち充の仕事風景です。



●同級生

控えの内野手田所公太と女子マネージャー中根百合子の恋愛話です。

堀宮高校野球部は甲子園初出場の切符をエラーで失ってしまいました。

エースだった高峰はプロをあきらめました。

エラーをしたセンターの安西はその後大学で頑張りプロに入りました。

居酒屋で高校野球部同球会があり集まります。当時ことを話し、懐かしさを共有します。

公太は安西が百合子にプロポーズしたことを知ります。

しかし、百合子には好きな人がいます。

手作りのタコと高校の思い出が重なります。

百合子は公太をずっと想っていて、康太の携帯に今でもグローブの修理紐で作ったアクセサリーがつけてあるのを見つけ、公太の行動を待っています。

百合子の気持ちを知った公太は安西からかかってきた電話に何と応えたのでしょう。自分のことだと言ったのでしょうか。



●名探偵ゴーページ

まんが家が手を抜くという作品です。



●フルカウント

怖い話なのでは? と思いました。

勝手に家に入りこんでクローゼットに隠れたことで困っていたことが解決し危険な目に遭わずに済んだという話しです。

本間は会社の金に手をつけその金を廣野に預けます。その金が戻って来ないので自宅を訪ねると不在でちょうど廣野に会いに来た人相の悪い人たちと知り合います。

本間は会社にバレるのも時間の問題だと腹をくくり街を出ようとします。町を出る前に好きだった北川久美子に会いに行こうとします。

インターフォンを鳴らしても誰も出て来ずドアノブを回すと鍵がかかっていません。本間は家に入ります。

久美子は廣野の彼女加奈から連絡を受け迎えに行き部屋に入れます。

部屋にいた本間はクローゼットに隠れます。久美子と加奈が話をしているのを聞いています。

どうやら久美子は宝くじが当たり、加奈はそれを狙っているようなのです。

加奈は廣野に連絡します。

クローゼットの中にいる本間は人相の悪い人たちに連絡します。

宝くじを強盗するする計画で目出し帽をかぶった廣野が久美子の家に来ます。

本間が連絡した人相の悪い人たちがやってきて、廣野と加奈を連れて行きます。

久美子は本間のことが好きで、クローゼットの中に隠れていた本間を見つけても今日の起こった出来事を瞬時に把握します。

久美子の宝くじで本間の会社の金を埋めます。

どういう話しなの? とちょっと困りました。結果的に廣野が本間と久美子の仲をつないだと考えればいいのかなと思いました。



●とりの市

鳥でまんがを書こうとして上手くいかなかった話です。



●浅丘高校野球部日誌 オーバーフェンス

3年生が全員辞めてしまい、2年の桜井章夫が新キャプテンになります。

2年の他のメンバーは父親が消防署長、市長、病院院長、大地主で、それぞれに実力もあるから3年は先輩面できなくて辞めていきます。

父親たちは野球部のOBで同期です。影ながら息子たちの活躍、野球部の勝利を願っています。

息子たちの性格をよく知る父親たちの計画が面白いです。



●ギャグタッチ

兄のあだち勉が描くギャグ漫画のタッチです。



●ゆく年くる年

土屋敬太郎、仙道タケシ、奈津子の三角関係の話です。

タケシは向かいの家に住む幼なじみ奈津子が好きです。感情を表に出さず、無表情な人物です。野球部のメンバーが大好きなようです。

奈津子はタケシに電話で高見明日香が家に訪ねてきてタケシとつき合いたいから仲を取り持ってくれないかと言われていると言います。

タケシは向かいに住む幼なじみのことが好きだから断ってくれと言います。

奈津子は明日香にダメみたいだと説明します。

明日香は傷ついた様子もなく帰っていきます。

奈津子はタケシに電話し敬太郎の電話番号を教えてと言います。

タケシは横に敬太郎がいるので電話をかわります。

奈津子は敬太郎に告白したようで、敬太郎はおれでよければ喜んでと返事します。

タケシは敬太郎に奈津子をとられて感情を爆発させます。

タケシの心の動きが面白かったです。



●雨にも負けズ

ページが足らなかったようで後半は停電まんがになります。



●ヨンペイジの未来

未来になっても手描きで紙にインクで描いています。




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●関連リンク
小学館eコミックストア あだち充 SHORT GAME

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