最終巻です。
登場する人物のそれぞれが抱える事情の結末と合唱によって仲良くなっていく過程が面白かったです。
それぞれがそれぞれの思いを抱え合唱コンクール本番の舞台へ。
僕らの願いは、祈りは、そして歌声は、島にいるあの人に、届くのか…!?
今、この夏最大の奇跡が起きる。
青き季節の物語、感動の最終巻!
自分の人生をあきらめていたサトルは合唱部の歌声に衝撃を受け、合唱部に入部したことで光が射します。
一人ぼっちだったことを両親がどう思っていたかは描かれていません。しかし、サトルの表情が日に日に生き生きと変化していく姿を見てうれしかっただろうなと思います。
サトル本人も自分にこんな学校生活が送れるとは思っていなかったようでその変化していく様子が面白かったです。
コトミ、エリ、ケイスケ、はもっと深く描いて欲しかったなと思いました。
長谷川コトミが神木先輩の住む家に入っていき、しばらくして二階の窓ガラスが割れます。
桑原サトルはコトミが、何かあったら助けてね、と言った理由はわからず、ただコトミが出てくるのを待っていたら、窓ガラスが割れ、ドンッと音がしたので急いで家に入り二階に向かいます。階段を上がるとこの家の人が怯えている様子で部屋の外で立っています。飲み物を運んできたようで床に割れたコップが散乱しています。
サトルは部屋に入ります。コトミと神木先輩が揉めています。
コトミは神木先輩の手を振りほどき、机の上にあるパソコン本体を取り、サトルに向かって、これ壊してお願いと叫びます。
サトルは言っていることがよくわからず、えっ、と聞き返します。
神木先輩はパソコンを壊されてはたまらないと、コトミに蹴りを入れます。
コトミは吹っ飛ばされ、壁に衝突します。
サトルはコトミが蹴られて逆上し、神木先輩に殴りかかります。
神木先輩はパソコンが無事か確認していて、サトルを見ておらず、サトルの拳は背中にめり込みます。
神木先輩は振り返り、サトルを殴ります。
家の人がアナタ達何をしているのと大きな声をあげます。
神木先輩はコトミがいないことに気がつき探します。
サトルは神木先輩の背後からしがみつき、コトミに逃げろと叫びます。
コトミは部屋の窓から出て二階の屋根上にいます。パソコンを抱えています。パソコンを持ち上げて地面に放り投げます。パソコンは地面に叩きつけられます。コトミは無事目的を果たし屋根から飛び降ります。
サトルは窓から立っていたはずのコトミが見えなくなり慌てて名前を呼びます。
ナズナは部屋でため息をついています。
エリが戻って来ます。お土産を買ってきたとスタバの紙袋をナズナに手渡します。
ナズナは初めてのスタバを堪能します。
エリはナズナに何をしてたの? と訊きます。
ナズナはうつむいて、テレビ見てたと言います。
サトルは洗面所で顔を洗います。神木先輩がコトミが投げたパソコンを回収してきます。神木先輩になぜコトミはパソコンを壊そうとしなのか訊きます。
神木先輩は話すから部屋に来いと言います。
コトミは家の人から手当てをうけます。足をねんざしたようです。
家の人はなぜあんな危ないことをしたの? と訊きます。
コトミは事情を話します。
神木先輩はパソコンの電源を入れます。サトルに自分がちょっと部屋から出て戻ったらコトミがパソコンのケーブル全部引っこ抜いてたからこんなことになったと言います。
サトルはなぜそんなことをしたんですか? と訊きます。
神木先輩はこのパソコンの中に入っている写真を消したかったんだろうと言います。別れた男に持っていて欲しくなかったんだろうと言います。
サトルは写真に驚き、二人が別れたということに驚きます。
パソコンは正常に起動しました。
神木先輩は今日コトミは別れ話をしに来たのだと言います。サトルがどうして? と訊くと、コトミのことが気になるか? コトミが消したがっていた写真を見せてやろうか? と言います。
サトルはすばやく思考します。にやけた表情をして、写真を見るためマウスを操作します。サトルはコトミの写真のフォルダをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にするを選択しフォルダを消去してしまします。
神木先輩は何してんだよっ、とサトルを殴ります。
サトルは床に頭をつけ、お願いします、データの復元はしないであげてくれませんか、と言います。
神木先輩は、オイ、と言い困惑しています。
コトミと家の人が部屋にやって来ます。
コトミは神木先輩に頭を下げ謝り、全部弁償しますと言います。
神木先輩はため息を吐きます。
コトミとサトルは家を出て歩いて帰ります。
コトミの表情は晴れやかです。
サトルはコトミが歩きにくそうにしているから、おんぶしようかと言います。
コトミはナイスアイディアだと言います。
コトミはパソコン壊れなかったねと言います。
サトルは写真はちゃんと消してくれたから安心していいよと言います。コトミが本当? と訊くと、ホント確認したからと言います。
コトミは確認って写真を見たの? と訊きます。
サトルは見てないと言います。ウソだ、ホントだよと言い合います。
コトミは興味なかったの? と訊きます。
サトルはないといえばウソになるけど… と応えます。
コトミはサトルの耳もとで桑原君が想像してるよりはヘンな写真じゃないよと言います。
エリは柏木先生にコトミとサトルが戻っていないと言い、コトミの携帯に電話します。サトルは携帯を持っていないので連絡がつきません。
柏木先生は二人が一緒にいる可能性はないのかと訊くと、皆それはないかもと首をかしげます。
帰り道コトミは携帯の着信を確認しています。
サトルは出なくていいのと訊きます。
コトミはホテルに着いてからちゃんと事情を説明した方がいいからと、話をちゃんと合わせてねと言います。
部員みんなが心配しているとコトミとサトルはホテルに帰ってきます。
コトミはサトルの肩を借りて歩いてきて、サトルは顔に殴られた跡が見受けられます。
柏木先生は無事でよかった、今までどうしていたんだ? ずっと二人だったのか? と訊きます。
コトミの芝居は見事でした。涙をこぼし、親戚の家を訪ねようと出かけたら、車に乗った3人組に声をかけられて、強引に車に連れ込まれそうになって、そこに桑原君が通りかかって私を助けてくれようとしたんです。男の人に殴られながらも私を逃がそうと… と話をでっち上げます。迫真の演技です。
横で聞いているサトルは感心しています。自分だけが知っているコトミの別の顔がもう一つ増えます。
コトミのでっち上げた話で女子の間でサトルの評価が急上昇です。
夜、柏木先生は誰かと電話で話しています。深刻な表情です。
翌日のバス移動ではサトルは女子から痛めた傷の心配をされ、お菓子をもらったりします。
柏木先生の様子がおかしいのでエリは松山先生の心配をします。
諫早文化会館に到着します。NHK全国音楽コンクールの会場です。
合唱を行うホールを下見します。柏木先生は思っていたより大きいと感想をもらします。
ナズナは何があってもエリの指揮について行くからと言います。
エリは覚悟を決めます。
サトルは両親と兄に会います。
母親はホールの中に入ると言います。父親と兄はモニターで観てホールには入らないと言います。
サトルは今から発声練習があるから行くと言います。集合場所に急いで行こうとしたら柏木先生を見かけます。柏木先生は電話で話しています。話している内容は聞き取れず、ハルコ(松山先生)の容体は? という柏木先生の声だけ聞き取ります。
サトルは病院、容体と不安にさせるような言葉ばかりが聞こえてくるので松山先生に何かあったのかもしれないと考えます。
集合場所に行き、最後の練習をします。
ホールの座席で順番を待ちます。
係の人が呼びに来て控室へ移動します。
柏木先生がいません。ナズナが探しに走ります。
会場の外に柏木先生がいて、ナズナは急いでください、リハーサルが始まっちゃいますと言います。
リハーサルでは柏木先生がミスをします。
柏木先生は皆に謝り、本番では切り替えるからと言います。
エリは朝から様子がおかしいと言います。
柏木先生は何があったとかじゃなく緊張していてと言います。
ナズナは探しに行ったとき誰と電話していたんですかと訊きます。
柏木先生は電話なんかしていないと言います。
ナズナは電話の後表情がヘンでしたと言います。
エリは松山先生に何かあったんですかと訊きます。
柏木先生はそんなことない、松山先生のことは心配ないと言います。
サトルは電話しているところを聞いていました、全て話してくれた方がいいと思います。このままだと僕たちも柏木先生のピアノも一つになれない気がすると言います。
柏木先生は様子がおかしかった理由を話します。松山先生の妹から松山先生が分娩室に入ったと聞いたからでした。
ナズナは松山先生は大丈夫なんですか、体は耐えられるんですかと訊きます。
柏木先生はエリを見ます。
ナズナはエリから聞いたんじゃありません、みんなうすうすは知っています、と言います。
柏木先生は絶対に大丈夫だとは言えないと言います。
皆が沈黙します。
係の人がそろそろ移動をお願いします、と言いに来ます。
移動中、サトルはみんなの心が離れてしまったので全て話してほしいなんて言うんじゃなかったと思います。
柏木先生は一人で抱えてる心苦しさは消えて楽になった、とにかく本番は全力で絶対に失敗しないからと言います。
エリも松山先生の為にも恥ずかしくない演奏をしないと、と言い、緊張を集中力に変えるぞ、とみんなを鼓舞します。
ケイスケは手を挙げ、先生いいこと考えたと、松山先生に電話をかけようと言います。
エリとナズナは驚きます。
ケイスケが耳打ちすると、柏木先生は電話をかけます。
ケイスケはこのあとの本番に電話をかけたままステージに出て、松山先生に歌声を届けるぞと言います。
エリは松山先生とつながったままの携帯を隠し持って舞台に立ちます。
みんな奇跡のような神がかった演奏ができるようにと祈りながらできる限り歌います。
サトルは生まれてきた理由に向き合いながら歌います。
ナズナは母親の記憶を思いながら歌います。
部員全員がそれぞれの思いで歌います。
演奏を終え、控室に戻ります。
柏木先生と部員は松山先生の状況を見守ります。
松山先生は無事で赤ちゃんは元気な泣き声を上げて生まれてきて、みんなで喜びます。
ホールの外に出て記念撮影をします。
それぞれが個人的に写真を撮りあいます。
ナズナはエリにちょっと散歩しないかと誘います。
九州大会には進めませんでした。でもいい演奏が出来たと思っていると話します。
ナズナは階段を指差し登ってみようと言います。
サトルは家族に会います。
母親はいい演奏だったと言います。
父親はぶっきらぼうにちゃんと聴けたと言います。
サトルは兄がトイレに来たそうにしているのに気づき、連れて行きます。
両親がサトルを見る目が優しいです。
サトルと兄が歩く後ろをついてくる影があります。
サトルは振り返ります。コトミがついて来ていました。
コトミはきづかれたかと言います。
サトルはコトミがついて来ている気配をずっと感じていたようです。
コトミはサトルの兄に挨拶します。
兄に反応はありません。サトルは全部聞こえてるよと言います。
兄がトイレに入っている間サトルとコトミは話します。
コトミは自分の目から見たサトルの両親について話します。作文に書いてあったようには思わないよと言います。
サトルは笑顔でありがとうと言います。
コトミはさっきサトルが女子にモテモテだったねとからかいます。
サトルはコトミが話をでっち上げるからだよと言います。
コトミはウソではないよ、ピンチに助けてくれたもんと言います。
サトルはちょっと困った顔をしてどう言おうか、考えてピンチだったのは神木先輩だったよと逃げ腰で話します。
コトミは確かに… と言い俯きます。
グスッと聞こえてサトルはコトミを見ます。
コトミは泣いています。
サトルは慌てて、コトミにすごくこわい思いをして茶化したりしてと謝ります。
コトミは違うのと言います。バカなことに付き合わせて、怪我までさせたので、昨日のことちゃんとありがとうって言わなきゃいけないと言い、ありがとう、ごめんねと言います。
サトルは全然大丈夫気にしないで、力になれたのならよかったと言います。
コトミはどうしてそんなにやさしいのと言います。
サトルは勇気を出します。誰にだって… そういうわけじゃないよ、僕は長谷川さんのことが好… と言おうとしたところで兄が水栓の水を流す音が聞こえます。
コトミはプッと吹き出し、もう…ヤダ、こんなトイレの前で、ムード無さ過ぎと言います。
サトルは一生懸命勇気を出して汗だくで告白しようとしたのに失敗して、ゴメン… と言います。改めて言えるのかな。
ナズナとエリが上った階段の中腹にケイスケがいます。
ナズナはケイスケに二人だけで会わせるためにエリをここまでつれてきたのでした。
ナズナは一人引き返します。片想いは終わり、父親が原因で始まった男ギライも終わります。
ケイスケはエリに告白するつもりのようです。
ナズナは戻るとコトミからサトルの両親が来ていると言われ、挨拶します。兄だと紹介された人がホールの外にいたのを見かけていました。ホールの中に入らなかった理由を知り、コトミとサトルにお兄さんの為に歌おうと言います。
三人が歌い始めると周囲にいた他校の生徒たちが一緒になって歌ってくれます。
ナズナは彼らの歌声で失恋を乗り切れる勇気をもらいます。
ナズナとサトルの兄は以前教会の前で会ったことがありました。
サトルの兄はそのとき交わされた会話の一言一句を再現します。
ナズナはその時母親と一緒でした。サトルの兄の言葉で母親との記憶、父親と三人での楽しかった記憶がよみがえります。自分にも楽しい思い出があったと思い出し泣きます。
ナズナから少し離れたところにナズナの父親がいます。父親はナズナと同じ制服を着た女子生徒にナズナに手紙を渡してほしいとお願いします。
女子生徒はナズナに手紙を渡します。
ナズナは手紙を読みます。
島に戻ります。
卒業式。
サトルは表情が豊かになり、きちんと思っていることを伝えられる人に成長しています。コトミとはいい関係のようです。
松山先生がやって来て、部員全員と一緒に柏木先生に感謝の気持ちを込めて合唱を贈ります。
終わりです。
モリタイシ 中田永一 くちびるに歌を 3巻
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