2024年5月4日土曜日

山川あいじ 河原和音 友だちの話

なんでもない言葉に心が揺れ動き、必ず感情を動かせるはずと確信した言葉は宙に浮く。

相手の心にかすりもしない。

そんな男女の交わされる会話が面白い作品です。




英子(えいこ)は地味な外見で弱気な性格、逆に親友のもえは誰もが振り返る美少女。お互い全然違うタイプなのに、2人の絆はとてつもなく固い。

色んな男子から告白されるもえだけど、付き合う条件は「自分より英子を大事にすること」!?

しかし、そんな条件を満たす男子・土田(つちだ)が現れる。変化し始める親友との関係に英子がとった行動は?




三話構成の短編が登場する三人の視点で描かれています。

思ったことが言えない女の子。

友人のために怒る男の子。

気が強い女の子。

三人が大切な人を思いやるところに胸が熱くなって泣きそうになります。



彼氏(土田)よりも親友(英子)を何よりも優先しようとする女の子(もえ)に戸惑う英子。

友人(土田)の彼女(もえ)の親友(英子)に嫌がらせをする男の子(鳴神・なるがみ)。

鳴神は嫌がらせをしていた英子を好きになり、英子ために鳴神がふさわしいか男の審査するもえ。

この三人の物語です。



●友だちの話

一部は英子の視点で描かれます。

英子はもえを待ち合わせをしています。待っていると道を聞くのをきっかけにしたキャッチの勧誘を受けます。嫌なのに断ることができない性格です。キャッチも気が弱そうなことを見抜いていてぐいぐい話しかけてきます。困っているともえがやって来ます。

もえは英子の手を引き、キャッチの存在を無視してその場を去ります。

英子は、

「最初からキャッチってわかってたらムシしたのにー」

と言います。

もえは、

「ズルイよね 道聞くフリするなんて」

と言います。

英子が、

「いや 結局ハッキリ言えない私が悪いんだけど」

と言うと、もえは、

「英子は気が優しいね」

と言います。

英子はきがやさしいという言葉の意味をもえがほめたのだと理解し、

「いや 単に優柔不断で外ヅラが良いだけっていうか…」

と否定するようなことを言います。

もえは英子にしがみついて、

「あはっ やっぱ英子好きだ」

と言います。

英子はなんでそうなるのかわかりません。


英子は弟にもえが可愛くてフワっとした外見なのにハッキリしている、かっこいい、男だったら絶対好きになってると力説します。

弟はそんなに可愛いくてモテるのになんでカレシがいないとの訊きます。

英子は、

「もえはさ… 告白されると必ず 言うんだよねぇ 『いいけど もえをつきあうってことは 英子とつきあうって事だから 英子をもえよりだいじにしてね』」

と言います。

弟は英子のどこがそんなに好きなのと訊くと、英子は答えることができません。


学校では女子たちがカレシができたと盛り上がっています。

英子はもえにカレシがいないのうちらだけと言うと、もえは、

「英子はカレシできるよ 英子がどういう人かわかれば すごい好きになるよ」

と言います。

英子はもえにそう言われても自分のことが好きではありません。どうしてもえは自分のことが好きなのかわかりません。


数日後、もえは英子にカレシができたと土田を紹介します。もえは、

「英子の事ももえ以上に大事にしてくれるんだって」

と言います。

英子は驚きます。

もえは土田に、

「じゃあ 英子と帰るから」

と言うと土田は、

「うん じゃあ またね」

と言い別れます。

英子は慌てて土田を引きとめ一緒にいなくていいの? つきあってるなら一緒に帰らなくていいのと言います。

土田は、

「もともと2人が仲良かったとこにオレが後から来ちゃったし全然いいよ」

と言います。

英子は釈然としません。

土田と別れ、もえは、

「クリスマスもお正月もバレンタインも英子と一緒にいるんだ」

と言います。

英子はカレシに悪いと言います。

もえは、

「こんな事で嫌だなんていうカレシ 別にいらない」

と言います。

英子はカレシよりも親友を優先し、カレシができても、親友と遊ぶことを優先する理由がわかりません。


土田は遊びに行ってきたと、もえと英子におみやげを買ってきます。

デートも三人で行きます。

英子は自分が中心になっているので居心地が悪そうです。

土田は次の日曜日も三人でデートしようと言います。


英子はこのままではいけないと思い、日曜日の約束をドタキャンします。


翌日、英子はもえに謝ります。

もえは今度は絶対一緒に行こうねと言います。

土田は今日は3人で帰ろうと言います。

英子は先生に呼ばれているから先に帰っててと嘘をつきます。いつまでももえにくっついているのは悪いと思っています。

もえは英子の嘘に気づいていて、英子を追いかけ探します。

もえは心当たりのある場所に行ってみます。けれど、英子は見当たりません。

英子はもえが来たので息を殺して隠れています。その場所はふたりで授業をサボってずっと話していたい思い出があって、もえが土田にそのことを話しているのを聞いています。英子もその思い出の場所に同じ理由でいたのでもえと通じているとよろこびを感じています。

土田はもえに英子と本当に仲が良いいね、友達は大事だよねと言います。でも自分はもえを二人きりになってちょっと嬉しいと言い手を握り顔を近づけます。

するともえは、

「小さい男だね」

と思っていることをぶちまけます。

土田はもえに、

「…なんかもえちゃんて思ってたのと違うかも… 案外… キツイよね」

と言います。

もえはイヤならつきあうのやめようと言います。

土田はもえに背を向け去っていきます。

隠れて聞いていた英子は自分を好きなもえが本当に幸せになることを願っていて、大事にされたいと願っていることをもえにわかってほしいと思う自分がちょっと嫌になります。

もえが英子を見つけます。

英子は、

「私 もえがすごい好きだ もえとは一生友達でいたいよ」

と言います。

もえは英子のこと好きだな、友達になりたいと思った理由を話します。

英子はもえが自分を好きでいる理由を知ります。

英子ともえは泣きながら抱きしめ合います。互いに出会えたことに感謝しています。



●友だちの話 2nd

土田の友達鳴神の視点で描かれます。

鳴神は友達の土田がずっと片想いしてきたもえと付き合うことになったのに一週間で別れてしまったことに腹を立てています。女子は恐ろしい本性を隠し持っていると思っています。土田によるともえから友達の英子の方が大事だと言われ別れることになったらしく英子にイヤガラセをすることにします。ちびちびとイヤガラセをして英子にわからせようとします。そして、行き過ぎた嫌がらせをしてしまいます。

英子は行き過ぎたイヤガラセに対してもすみませんと謝ります。

鳴神はさらにいやがらせをします。

英子は鳴神に土田の件でイヤガラセしていることはわかる、そうされるのは仕方ないと思うと言います。でも、イヤガラセはヘコみますと謝ります。

鳴神はてっきり逆上してくると思っていたようです。英子が自分の意図する伝えたかったことをちゃんと理解していたことで英子について考えを改め、英子に話しかけてみます。鳴神の女子に対して抱いている想いが変化し、英子のことがふうつにイイ子だとわかります。




●友だちの話 Final

もえの視点で描かれます。

もえは思ってることを言うと友人関係が壊れてしまいずっとこのまま友達と呼べる人はできないだろうと思っていました。英子に出会い、自分を肯定してくれる初めての人物をずっと大事にしていこう考えています。英子に鳴神が接触していて、イヤガラセをしていることに気づきます。鳴神に英子に近づくなと文句を言います。

鳴神は、

「嫌がらせじゃなくて 気ぃひこうとしてんだよ 話したいんだよ 今までの印象悪いから よくしよーとしてんだよ 邪魔すんな」

と言います。

もえは鳴神が英子のことを好きって意味のことを言ったと驚きます。本当に英子のことをわかっているか見極めようとします。

鳴神は英子と話せば話すほど魅力がわかってきます。

もえは自分に出来ないことだから英子に幸せになってほしい、カレシになる人はさみしい顔や悲しませない人を望みます。鳴神を観察し、英子のことが本当に好きなんだとわかります。

鳴神ともえが話します。もえにとって英子はどういう存在なのか話します。

もえは鳴神に告白してもいいよと言います。

鳴神も英子ともえの関係を知りもえに言葉をかけます。

もえは英子を好きになる人なんだから見る目はあることはわかっていたようです。

鳴神は英子をい呼び出し告白します。

英子は、

「私とつきあうってことは… もえをつきあうってことだから もえを大事にしてくれるんなら!!」

と言います。

鳴神は、

「わー それはキツイもんがあるな…」

と言います。

もえが割り込んできて、

「英子はいいんだって 英子のカレシになる男は!! 私以上に英子を大事にるる男じゃないと許さない!! 大事にしやがれ!!」

と言います。

鳴神は英子に友達からでいい、帰りももえがいてもいいからと言います。


帰り道、鳴神ともえが話します。

鳴神は男だって好きな人に必死なんだからうっかり思ってもないこという時だってあると言います。

もえはうすっぺらいと言います。

鳴神は土田はもう無理なんだんと諦めます。

もえは英子の好感度において鳴神に勝ってると言います。

鳴神は今は負けてるけどそのうちひっくり返すからと言います。

もえは絶対ムリと言います。

友だちの話はこれで終わりです。



●その彼調べます。

短編です。

実和子は人の言動や感情を観察するのが好きな女の子です。

友達のみどりがカレシの浮気を疑っていて、実和子はみどりに証拠写真を撮ってきてほしいとお願いされ、引き受けます。


実和子はみどりのカレシのコウキの高校で待ち伏せます。出てきたので後を追いかけようとしたら、声をかけられます。記憶にない男子です。当然名前もわかりません。

男子は実和子にコウキに用事? と訊きます。

実和子はコウキの友達なんだろうと推測します。みどりから頼まれて浮気現場の写真を撮るためにコウキを追っていると言います。

男子は協力すると言い、コウキがいそうなところへ案内します。

コウキを見つけます。本当に浮気していました。女子と二人で歩くコウキの写真を取り、みどりに送ります。

みどりからメッセージが届きます。

(言い逃れできないような!! 最低でも手をつないでるくらいの)

という内容です。みどりの要求が増していて実和子は煩わしいと思いながらもコウキを張り込みます。

公園でコウキが女子とボートに乗っています。

実和子はバッチリ言い逃れ出来ない写真を撮ることに成功します。

ボートの上からコウキが写真を撮っている実和子を見つけます。コウキは急いでボートから降りて実和子を追いかけます。コウキは怒り狂っています。

男子は実和子に逃げるように言います。

コウキは男子に話しかけます。男子はトモヤと言い、トモヤは実和子を守ります。トモヤはコウキに横にいる女子とつきあってんの? と訊きます。

コウキはトモヤに関係ないだろうと小突きます。

トモヤは関係ないけどみどりちゃん泣かされると困ると言います。

コウキはしらねーよ、と語気を強めます。

トモヤは知らないってころはないだろうと言います。

後期はもういいからだまれよと言うと、背後からやって来たみどりに張り手を食らいます。

みどりは実和子の近くでコウキを張り込んでいたようです。

実和子はみどりとコウキがケンカを始めると思ったのに、みどりがコウキを許したから今日の尾行はなんだったのかと思います。トモヤには協力してくれてありがとうと言い帰ろうとします。

トモヤは実和子にみどりから何も聞いていない? と訊きます。みどりとコウキが知り合った合コンで実和子もいて、トモヤもいたのでした。トモヤは実和子にもう一度会いたくてコウキにみどりから伝えて欲しいと言っていたのに何も伝えていなかったことを知ります。

実和子はトモヤの話を聞くと笑顔になります。

実和子とトモヤは連絡先を交換します。

みどりの大問題が実和子とトモヤを近づけてくれたというお話でした。

終わりです。



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●関連リンク
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