2016年1月9日土曜日

新谷かおる クリスティ・ハイテンション 1巻

霧深き19世紀ロンドン。わずか数平方マイルに数百万人もの人々がひしめき、彼等が望み、企み、絶望するがゆえ起こる幾つもの難事件。名探偵と名高きシャーロック・ホームズの姪クリスティがつまびらかにする真実が人々を救い導いていく。そして彼女は事件と出会う…。



クリスティが叔父であるシャーロック・ホームズとともに事件を解決する推理作品です。

クリスティ(クリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープ)は10歳の女の子で、ホープ家という貴族のお嬢様です。
知識の習得や蓄積を好み、勉強をするための教師は必要ではない、邸の中にある図書館、父親の書斎にある公文書がすばらしい教師であるといい、執事のベイスン、ハウスキーパーのコネリー夫人、メイド長のアンヌマリー・ホプキンスといった人達を困らせます。

専属の家庭教師グレース・ダンバーによるとクリスティの学力は基礎的な学力はもちろん数学、物理学、幾何学、自然科学、地学は10歳のレベルではなく、ラテン語の読み書きもできるという頭の良さで、もしすぐにでもオックスフォードやケンブリッジの入学試験があれば合格する学力を持つと言い切ります。
反面、音楽や歌、ピアノ、ダンス、刺繍、装飾はどうしようもなく、数年後に控えた社交界デビューが危なく、貴族のお嬢様としては心配が尽きないレディーです。

クリスティは母親の兄にあたるベーカー街に住むウィリアム・シャーロック・ホームズの家を訪ねるのが楽しみで、とくに伯父の仕事に関心を持っています。
伯父のシャーロック・ホームズはあの有名な探偵です。
叔父の家では依頼人と話している会話、依頼人の名前から浮かぶ経歴をもとに、相棒のジョン・ヘイミッシュ・ワトソン博士の調査結果の報告、毎日目を通している新聞の情報から依頼の内容を推測し、事件に絡む人物と手懸かりを元に解決の糸口までをホームズとワトソン博士と一緒に分析していきます。
推理はほぼホームズのものと一致し、ホームズを困らせ、ワトソン博士を驚かせます。

クリスティがそんじょそこらのお嬢様と違えば、仕えるメイドたちもひと味違います。
ノーラはどういう経緯でホープ家のメイドになったのかは不明ですが、蛇の舌(スネークタン)という鞭を自在に操る技術を持ち、常にそれを身につけていて、いざ危険が迫ったとき心強い味方となります。
メイド長のアンヌマリー・ホプキンスも違います。
普段は清楚な装いなのに、いざというとき2丁拳銃と凄みのある啖呵でクリスティを守ります。

スーパーメイドのふたり、クリスティの子供っぽいところや恥じらいと大人顔負けの推理力のギャップ、伯父のホームズのまだまだ姪っ子に負けるわけがなどないという余裕の姿勢と、ワトソン博士のクリスティが自分よりも一枚上手かもしれないと落ち込む姿などが楽しめ、クリスティが推理していく過程と解決に向かう物語が面白いです。マザランのダイヤの行方、ソアプレースにあるギブソン家の殺人、赤髪同盟の企みといった事件が収録されています。


新谷かおる クリスティ・ハイテンション 1巻
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