2016年7月30日土曜日

羽海野チカ 3月のライオン 11巻

川本家に自分勝手な提案を繰り出す彼女たちの父親・誠二郎に、一歩も引かずに渡り合う零。

あかり、ひなた、美咲、相米二、川本家の皆が彼の存在の大きさを感じていた…。

零が自分の幼年期から現在に至るまでを振り返ったスピンオフ・ファイターも収録。

様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



川本家3姉妹の前に突然音信不通だった父親が現れます。

父親は3姉妹に、また一緒に暮らそう、といい、あかりとひなたは戸惑います。

桐山零は3姉妹を守ろうと父親の前に立ちはだかります。


目的は? 意図は? 零は調べるほどに3人の父親という人物はダメな人間だと知ります。要は3姉妹の住む家を乗っ取ろうとしていたのでした。


父親は零に川本家の家族の話だ、他人である零は関係がないから会話に入ってくるなと言います。零の行動はその場にいた誰もが驚くものでした。ひなたは固まってしまいました。


みんなが驚いた一手。さすが棋士です。


3姉妹の父親にとって零のような人物はやりにくい相手のようです。思うように事が運ばず、時間も迫ってきていて、なりふり構わず3姉妹に接触してくる父親に、あかりは恐れずに拒絶します。

父親は思ってもみない長女あかりの拒絶に諦めざると得ませんでした。

長らく悩みを抱えていた川本3姉妹はようやく開放されます。

穏やかであったかい日常が戻ってきます。


零は守りたいものを守るために人生を設計しはじめます。突飛な行動すぎて笑いました。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 11巻
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2016年7月28日木曜日

羽海野チカ 3月のライオン 10巻

ひなたが同じ高校の一年生として入学。

零は高校三年生となり、学校も将棋の戦いも充実した生活を送っていたが――

その穏やかな日々に波乱が起こる。

川本家に現れた歓迎されぬ来訪者とは…?

少年の成長を実感する前進の第10巻。

様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



6月末。桐谷零は高校3年生になって3ヶ月が過ぎました。零は変わらず教室でひとりぼっちの学生生活を送っています。

学校生活で変わったことといえば、ひなた(川本ひなた)が零と同じ高校に入学したことで、時々学校内でひなの姿を見かけるようになったことでした。

零はひなが以前のように、明るい笑顔を取り戻せたことに満足しています。

欲を言えば、ひなが将棋部に入ってくれたらなという気持ちはあるようです。ひなを将棋部に誘うことはせず、零の心のなかだけでそう思っていたみたいです。

将棋部の現状を見ると、高校の部活の雰囲気はかけらもなく、ひなを誘わなくて正解だったと思います。


零は相変わらず、お昼は屋上で食べています。ひなちゃんが友達のつぐみちゃんとお昼をとっている場所がよく見える所で食べています。

零は笑顔でいるひなを見守るとだけでいい、なんて、大人ぶったことを林田先生に言います。

矢先に、ひなたちに見知らぬ男が近づいてくると、零は見たこともない速さでひなたちの元に駆けつけその男と張り合おうとします。零も少し変化してきています。


零にもたらした変化は、幸田家を訪れたことにも表れています。


零は島田と隈倉さんの対局の観戦に将棋会館にやってきました。棋士の将棋以外の仕事が描かれています。島田さんにやってきたスポンサーの話が面白かったです。


零と入江さんの対局。棋士たちの思考が描かれています。対局相手をどう見ているか。姿勢は過去対局した誰を頭をかすめるか。対局中に考える戦略、戦術以外に焦点を当てているのが面白かったです。



川本家3姉妹に災難がやってきます。

音信不通だった3姉妹の父親が登場します。

また一緒に暮らそう、と言う父親。戸惑う3姉妹。零が全力で3姉妹を守ろうとします。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 10巻
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2016年7月26日火曜日

羽海野チカ 3月のライオン 9巻

 中学3年生のひなたは自分の進路の事で悩んでいた。

やりたい事は分かっているのに手を出してはいけない気がして…

そんな彼女を暖かく見守るひなたの家族と零。

一方、名人戦では宗谷名人の幼い頃からのライバル土橋九段が宗谷と激闘を繰り広げていた。

いまだ宗谷に及ばない土橋を懸命に支える彼の家族…。

本当に大事な人って誰ですか?

この命題を問いかけます。

様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



川本ひなた(ヒナ)やまほちゃんをいじめていた高樹と学年主任の国分先生の話し合いは続いています。

国分先生の言葉に何か気づきがあればいいけれど、どうなっていくのでしょうか。


ヒナは進路について迷っています。息抜きもかねて零は、週末に学校で行う将科部の夏の自由研究の集大成のイベントに誘います。

ヒナだけじゃなくあかりとモモも一緒に零の学校の校庭に行くと、大きな装置で流しそうめんを行おうとしていました。


零は林田先生に3姉妹を紹介します。

林田先生はヒナのことは零から相談を受けていたので、実際に会ってみて、零が必死で守ってあげたいと思う気持ちが何なのかを知ります。あとは零の気持ちだけです。零は気づくのかな。


あかりが登場すると林田先生の表情は一変します。

一目惚れ? なのでしょうか。

流しそうめんは参加した全員が楽しんでいました。

笑っている零を見てあかりとヒナは零の高校を受験しようと決意します。


零の通う駒橋高校は偏差値が高く、ヒナが零に、

「橋校に行きたい」

というと、次の日には零は「学習プラン」を作成し、ヒナの勉強をサポートするようになります。

受験が近づいたある日、言わなくてもいいことを言って零は悔やみます。


受験直前にはヒナは風邪をひいてしまいます。

不安いっぱいで受験の日をむかえ、ダメだったのか、と思わせたけれど、無事合格します。

影で一番喜んだのは林田先生です。先生はあかりともう一度会えるのかな。



新たな棋士が登場します。


滑川臨也(なめりかわいざや)七段。棋界一番の疎まれ者です。

悪い人ではないのに、風貌から相手に苦手意識を植えつけ、自分のピンチのときに目の前にあらわれてそのまま飲み込まれてしまうので、疫病神と呼ばれてしまいます。なんかかわいそうな棋士です。本人はいたって将棋を楽しんでいるようですが。


土橋ケンジ九段。

真面目で誰よりも努力しているのに、なかなか結果に結びついていかない棋士です。宗谷名人という大きな壁が隠れてしまいがちです。

徹底的にあらゆる場面を想定し、深く潜った研究。宗谷名人をロボットと書いたけれど、土橋こそが将棋ロボットです。いつも決まった行動をとります。

宗谷の気づかい。

局面で会話する宗谷と土橋。

見守るしかない両親の思い。2人にしか分からない局面のドラマが面白かったです。

藤本棋竜の感想がよかったです。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 9巻
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2016年7月24日日曜日

羽海野チカ 3月のライオン 8巻

新人王となった零は様々な人々の期待を受け宗谷名人との記念対局に臨む。この対局をきっかけに零は宗谷の重大な秘密を知ることになる。一方、島田八段は棋匠戦で初タイトルをかけ柳原棋匠と死闘を繰り広げていた…お互いのすべてを出し尽くした勝負の行方は…?「戦い続ける事」その重さを読者の方に問いかけます。様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。



静かで明るくて何もこわくない所


宗谷名人との対局は桐山零にとって、こういう世界があるんだと初めての感覚を体験させるものでした。

研究と経験を重ねて努力し続けることで、はかることさえできない宗谷名人との圧倒的な差は埋まるのか。嵐のまっただなかに自分は立っていると思っていたのに、嵐の渦はずっと先にあって、がむしゃらに走ってもたどりつけるのか、嵐の渦に飛び込んでいけるのかといろんな思いが交錯します。


対局を終え、帰りの新幹線に乗るため駅のホームに立っていると、同じ新幹線で戻ろうとする宗谷名人をみかけます。


そこで零は宗谷名人の秘密を知ります。日本将棋連盟会長神宮寺崇徳をはじめ、ごく限られた棋士たちにしか知られていない宗谷名人の秘密でした。ずいぶん前から宗谷名人の耳はきこえなくなっていたのです。


前夜祭でのかみ合わないインタビュー、不手際があっても平然と求められてもいないコメントをし周囲を沈黙させたふるまい、そのために将棋の鬼と呼ばれていること。零はすべて納得がいきました。それだけに、宗谷名人との対局したあの感覚をもう一度味わいたい思うのでした。


二階堂が復帰します。



順位戦は、一年をかけて10局を戦います。零や二階堂のいるC1は34名で、毎年その中のトップ2人が昇級し、5人に1人の割合で成績下位者に降級点がつき、その降級点が2つになると降級となる。



島田は零に二階堂はきっと気落ちしているだろうからのぞいてやってくれ、零の顔を見たら元気出るだろうと言い、数日後の玉将戦を観にいきます。

二階堂の相手は青野八段。二階堂が準決勝の山崎順慶と対局のとき倒れたとき、世話役の花岡さんをさがし、救急車を手配し、二階堂を看病した人です。

零が対局中の部屋をのぞくと、

「…負けました」

と声がきこえてきました。

二階堂が勝ちました。

島田や零が心配していたのに、二階堂は勝ったよろこびを満面の笑みでかみしめ、研究した成果が勝ちに結びついたことを心の底からよろこんでいます。零も二階堂の笑顔に自然とつられます。


棋匠戦。柳原棋匠と島田の対局です。

島田が勝つと、初のタイトルを手に入れることになり、何としても欲しいと意気込んでいます。

柳原棋匠はなんとしても棋匠を死守したいと、老いともたたかっています。今回の対局に勝つと通算十期達成で「永世棋匠」を獲得することになります。

長年守ってきたタイトルを奪おうとする棋士。死守しようとする保持者。柳原の身体の衰えとタイトルを失ったときの恐怖描いた場面は棋士の想像をはるかに超える重圧を感じます。


ひなた(ヒナ)はあかりとちほちゃんに会いに行きました。いじめた側はなんにもなかったかのように普段の生活を送っています。

ちほちゃんが受けた傷は簡単に癒えません。たぶん癒えることはありません。生涯心の傷を抱えたままです。



今でも中学生くらいの女の子を見ると動けなくなってしまうそうのだそうです



このコマのちほちゃんの表情を見ると切なくなります。

続きます。



羽海野チカ 3月のライオン 8巻
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2016年7月22日金曜日

志村貴子 青い花 8巻

好きという気持ちが相手のものと同じかどうか不安になるあーちゃん(奥平あきら)とふみちゃん(万城目ふみ)。

ふみちゃんの想いにこたえたいけれど、どうこたえていいのかわからない。

自分の好きという気持ちと、ふみちゃんのそれとは何かが大きく違うと感じているあーちゃん。

あーちゃんに別れを告げられたとしても、絶望しないでいられるよう心に言い聞かせるふみちゃん。

ふたりとも終わりがあることがわかっていて、そこに進みつつ、今日ではなかった、と安堵しているように見えます。

藤が谷女学院高等部3年生の修学旅行の行き先はイギリスのロンドン。そこには先輩の杉本恭己(すぎもとやすこ)が留学しているので、あーちゃん、井汲京子、上田良子の三人は会う約束をしていたのでした。

杉本先輩はさらに綺麗になっていました。

その綺麗な杉本先輩に「きれいになった」といわれる井汲さん。

何か心の霧が晴れたのを感じたんだと思います。さすが、井汲さんをずっと見てきた杉本先輩です。

あーちゃんが杉本先輩とふたりきりで話し打ち明ける場面は、そうだったんだ、とあーちゃんがこれまで抱えていたもやもやしていた部分がはっきりしました。

修学旅行から帰ってきて、あーちゃんはふみちゃんに距離を置くことを告げます。

ふみちゃんは当然号泣してしまいます。何度もふみちゃんの泣き顔は見てきたのに、このときの涙はつきささるような深い悲しみを感じてたまらなくなりました。

拒まれたという感覚をうまく処理できないながらも、平静を保とう、少しずつ元気になろうとするふみちゃん。

そして、心のどこか大切なところが欠けてしまったような気持ちになるあーちゃん。

ふたりのそれぞれの時間が過ぎ、卒業式を迎えます。

卒業式を終え、帰り道、偶然再会したあーちゃんとふみちゃん。

砂浜で交わす会話で互いが背負ってしまう言葉の重み。

それは、後日、あーちゃんがふみちゃんを見かけたときに感じてしまいます。

そういえば、あーちゃんは他の人と楽しく過ごしているふみちゃんを見たことがなかったなと思いました。

心がざわざわしたあーちゃん。

そして出した答えは……。 最終巻です。

恋のこの字も知らなかったあーちゃん。高校の通学路でふみちゃんに再会し、ふみちゃんが女の人が好きだと知ってもあまりピンとこなかった女の子。

ふみちゃんの恋を元気いっぱいで応援し、破れたあとも慰めていると、ふみちゃんに対する気持ちが友達とは違うなにかなのかもを思い始め、ふたりの立ち位置から、ふみちゃんの心の隙間を埋めるのは私、とあーちゃんは思っていたのでしょうか、「つきあう」ことにします。

周りが恋ということに敏感になり、ノリや勢い、おしゃれっぽいという感覚から「つきあう」と言ってしまったのか、本当に相手のことを想っていった言葉なのか、関係が深くなるにつれ、もし違っていたらという怖さが先にたってしまいます。

これが恋なのかどうかを知るために距離を置くことにします。

ひとつずつ気持ちを確かめ、そうなんだ、これは恋なんだと、あーちゃん自身で確信できてよかったなと思いました。

小さな、すぐにでも消えてしまいそうな、淡い光をあきらめずに待ち続けたふみちゃんにも本当によかったと思いました。



志村貴子 青い花 8巻
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2016年7月20日水曜日

志村貴子 青い花 7巻

新学期が始まりました。

あーちゃん(奥平あきら)、ふみちゃん(万城目ふみ)にとって高校生最後の年です。

いろんなことが少しずつ変化していきます。

大野春花は2年生になり、後輩もできました。

彼女にとっての変化は姉の結婚。両親の知るところとなります。

井汲京子は母の心の病がより重くなり、どうしていいかわからず、康ちゃんに救いの手を求めてしまいます。

好きな人によそ見されたとき、母のように心が崩れてしまうかもしれない不安から、母に似ていることが活発だった女の子に影響を与え、そうではない生き方を選ぼうとします。

それでも、ひとりでは不安で、康ちゃんには全身で頼りたい気持ちのほうが大きくて、さみしさを抑えることができない母と同じ弱い面があることを認めたくない気持ちがせめぎあっているように感じます。

井汲さんは母親とは違うのに。

康ちゃんに依存してしまうことをそんなに極端に嫌わなくたっていいのにと思います。

康ちゃんの覚悟、京子への想い、それがなくなったときの不安。

これはいつまでもなくなりはしないだろうな。どうしたら乗り越えることができるんだろう。

揺れるあーちゃんはなにげない会話の中でミーハーなところのある自分の話題となり、その流れから、ふみちゃんとのことに重ねてしまいます。

恋に憧れていて、勢いとノリだけで続けてきた関係は深くなっていくにつれ、不安と戸惑いを抱えていきます。

あーちゃんはふみちゃんとの関係をどういうものにしたかったのか。

誰よりも気持ちが通い合い、楽しいことをたくさん共有していられる関係は欲しかったんだと思います。

今後、あーちゃんの心がどんな風に変わっていくのか、決心を待つことにします。



志村貴子 青い花 7巻
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2016年7月18日月曜日

志村貴子 青い花 6巻

杉本恭己の一時帰国、箱根への旅行、久しぶりのお泊まり、クリスマスが描かれています。

やっちゃん(杉本恭己)が帰ってきたのがうれしいのか、井汲京子や各務正則や和佐の反応を観察したいのか、姿子が楽しそうです。

恭己と京子の会話のあいだに入ってニコニコ、恭己と各務と和佐の会話に入ってニコニコ。恭己の行くところについてまわっています。

「…君たちは本当に仲がいいよね…」

各務正則のいうとおりだと思います。

箱根の一行も楽しそうです。

春ちゃん(大野春花)、あーちゃん(奥平あきら)、ふみちゃん(万城目ふみ)、ポンちゃん(本厚木洋子)、モギー(茂木美和)、やっさん(安田美沙子)の他に春ちゃんの姉の織江と、織江の友人?で藤が谷女学院の先生であーちゃんの担任の山科日向子という顔ぶれです。

春ちゃんは同学年を誰も連れてこなかったんですね。

ん?あれれ?演劇部に一年は春ちゃんひとりだったっけ?いたよね?演劇祭の受付は一年生だったはず。

同学年を連れてこないなんて春ちゃんはちょっと変わっている子だなと思います。

夕食を楽しみ、お風呂に行こうということになり、ここではやっさんが面白かったです。ふみちゃんに、

「あたしたちの体みて笑わないでね」

恥ずかしそうに言うのがかわいらしいです。

ふみちゃんとやっさんの会話をすこし離れたところで訊いていたあーちゃんが浴場でふみちゃんの体をじっと見つめます。

視線に気づき、あーちゃんと目が合うふみちゃん。

見とれていたことに照れるあーちゃん。

「きれいだから」

という、あーちゃんの言葉にうれしハズカシのふみちゃん。

ふたりのドキドキするやりとりの間に、バスタオルぐるぐる巻きで、静かにそっと浴場に現れる春ちゃん。

見逃すはずがないポンちゃん、モギー、やっさん。

心底旅行を楽しんでいる春ちゃんとポンちゃんとモギーとやっさん、ぎこちない感情が揺れ動いているあーちゃん、あーちゃんの言葉に舞い上がって湯あたりしてしまったふみちゃん。

読んでいてとても楽しいです。

あーちゃんなら想いにこたえてくれるかもしれない、というふみちゃんの思いはわからなくはないです。

杉本先輩(杉本恭己)とのときも拒否反応を示すこともなく相談に乗ってくれたし、ダメになったあとも、想いを告げたときも、過剰に意識することはあっても途切れることはなかったあーちゃんとの関係を思うと、期待してしまうのは無理ないかなと思います。

「つけこむ」はふみちゃんの中での大胆さと繊細さが大波となって交互にやってきているんだろうな思う台詞でした。

予定したものではなく、あーちゃんが母親とふみちゃんの家に遊びに来て、泊まることになったその夜、ふみちゃんが口に出して言ったのはつけこんでるなって思います。

「うん 知ってる」

あーちゃんの言葉のあと、起き上がり、ふみちゃんは言おうとしたのかな。言おうとしたけど、恐くなってやめたのかな。

一睡もせず朝を迎えたふみちゃんとあーちゃん。

話しはじめるあーちゃんに、やっぱりダメだと思ったふみちゃん。涙ぐみながら、なんとか友達としていられないかと、それすら無理なんじゃないかとどんどん落ち込んでいっている様子が伝わってきます。

なのに……。こんなときってどんな気持になるんだろう。これこそ「声にならない」なんだろうな。

ふみちゃんの無敵感と恐怖感が面白いです。

デートでは一歩前進します。先に動いたのはあーちゃん。

「あのさ」

いつ切り出そうか、なるべく自然に切り出そうとしているあーちゃんの表情がいいです。

ここではふみちゃんがよく頑張れました。コマごとにふみちゃんの心情を想像すると面白いです。

クリスマスをどうするか考える季節に入ります。

ポンちゃんとやっさんの会話や、とにかく平静を保とうとするふみちゃんとあーちゃんが面白かったです。

クリスマス。シャンパンを開けてからのふみちゃんがかわいらしいです。

頭ではわかっているけど、ふみちゃんの行動に緊張してしまうあーちゃん。

抱きしめることしかできないけれど、それでもふみちゃんにとっては最高の贈り物だったと思います。



●若草物語

知らない人たちが出てきました。



志村貴子 青い花 6巻
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2016年7月16日土曜日

志村貴子 青い花 5巻

藤が谷演劇公演、小学生のときふみちゃんがあーちゃんと離ればなれになってからの出来事などが描かれています。

自分が想像もしていなかった世界を、友人から知ったあーちゃんと、姉への手紙から知った大野春花。

多感な時期に揺れ動く感情が面白かったです。

藤が谷演劇祭「鹿鳴館」が上演されます。

あーちゃんの家族と横浜の恵子おばさんはちょこちょこ登場して楽しませてくれます。

井汲京子と上田良子の藤が谷演劇祭史上かつてないほどの演技力とともに芝居が進み、芝居に重ねるように井汲京子の家庭の事情が描かれます。

どうして井汲京子が杉本恭己を慕うようになったのかというところまで若草物語で描いてほしいです。

次は大野春花のおじいちゃんのところで打ち上げと称して団体旅行が始まります。

大野春花の、

「うわーん、楽しみすぎて眠れないよ!!」

その気持よくわかります。

それでも当日は寝不足でも興奮しているから元気なんですよね。



●若草物語―千恵さんと苑子さん―

あの子はあのときどう思っていた?訊けずじまいになってしまったなと振り返って思い起こすほどの記憶に残ることってどれくらいあるのだろう。訊いてみて、

「うぬぼれ屋!」

って一度でいいから言われてみたいです。



志村貴子 青い花 5巻
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2016年7月14日木曜日

志村貴子 青い花 4巻

進級したふみちゃん(万城目ふみ)とあーちゃん(奥平あきら)。

ふみちゃんと背格好がよく似た上田良子、あーちゃんと同じように活発で屈託のない後輩大野春花が登場し賑やかになってきました。

井汲京子を学校に送る澤乃井康。途中、ふみちゃんとあーちゃんを見つけ乗せてもらうことに。

車中、ふみちゃんがいることで松岡女子のバスケ部の話を持ち出し、井汲京子の反応を伺おうとする澤乃井康の京子を見つめる表情が何かを確信し決意した表情になった気がしました。

京子が澤乃井康を杉本恭己より好きになるのはもう少し時間がかかりそうです。

予期していなかったふみちゃんの言葉に動揺するあーちゃん。

今後のふたりの距離、関係が複雑な想いとともにどう展開していくのかこちらも楽しみです。

ふみちゃんはじわりじわり相手の反応を確かめつつ行動するということができないのか、直線的過ぎてるので、あーちゃんの戸惑いは当然です。

ふみちゃんは急ぎすぎだなと思いました。



●若草物語―姿子さんと薫子さん―

他の誰かでは育めない、いい関係を築けているように見える薫子と姿子。薫子の精一杯と姿子の言葉足らずの中に隠れている想いがいいなと思いました。高嶺の花と自分が釣り合っていないと考えてしまうと、相手のどんな言葉も耳に入ってこなくなりますね。くされ縁という言葉が姿子の口から発せら、薫子は誰もが憧れる女性になりそうな気配を残しつつという終り方もよかったです。



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2016年7月12日火曜日

志村貴子 青い花 3巻

怒って、笑って、食い意地が原因で立ち聞きしてしまったり、ふみちゃんの相談にのったり、といろんな表情のあーちゃんと、あーちゃんのスパイス要因のちょい役ではなくて、立派にあーちゃんの成長過程に影響する存在になりつつある兄が面白かったです。

毎年夏は許婚澤乃井康の家族とともに清里で過ごすという井汲京子に誘いで、あーちゃん、ふみちゃん、茂木美和、本厚木洋子、安田美沙子、おまけ?であーちゃんのお兄さんというメンバーで遊びに行くことになります。

清里に向かう途中、早速兄弟ゲンカを始めるあーちゃんと兄。なんだか様子がおかしいモギー(茂木美和)。

安田美沙子のあーちゃんの兄への絶妙な質問が面白かったです。

この時モギーはどんな顔してたんだろう。照れてうつむきながら、全神経を耳に集中していたのかな。

清里ではテニス、ゴルフ、ハイキング、野外でカレー作り、ロッジに宿泊と思い切りアウトドアを満喫します。澤乃井康があーちゃんに話した、

「俺はその人になりたい」

は前後の回想シーンとともに、康さんが心に決めたことをずっと守ろうとしているように感じました。

ふみちゃん、杉本恭己、井汲京子それぞれに思いを抱えつつ、杉本次女和佐と各務先生の結婚式が行われます。

四女の恭己だけでなく、三女の公理も各務先生が好きだったという挿話は若草物語で描いてほしいです。

祝福される新郎新婦をまだ素直に喜べないという表情を浮かべながら見つめる杉本恭己、杉本恭己のそんな表情を知っているかどうかは分からないけど、背中を見つめ、あきらめ切れないというような表情をする井汲京子。

そんな井汲京子のうつむく表情から何かを感じ取る澤乃井康。一方通行な視線がとても印象的な場面です。

杉本恭己が髪を短くした理由や井汲京子が自分とよく似ている点など、演じて生きてきたことが描かれています。

演じる何かが意図したとおり他の人に伝わればの話ですが、演じると他の人が自分が想像する自分そのままに感じてくれるので、自分のみっともない部分は自分にしか分からずにすんでしまうという思うは、誰にも持っているものなんじゃないかと思います。

ふみちゃんの気持ちがあーちゃんに向かい始めます。

清里からちょくちょく澤乃井康とあーちゃんがふたりきりで行動するところを見聞きするふみ。

ふみちゃんのこみ上げてくる嫉妬心の表現がよかったです。

心のどこかがズキッとするけど、この痛みは言い表しにくくて、ふみちゃんの言いようのない感情はこの表現でよく伝わってきました。



●若草物語―公理さんと駒子さん #1―

好きな人の苦手なものを知らなかった駒子さん。その日のために張りきっていただろうにがっくりしただろうと思います。



●若草物語―織江さんと日向子さん―

2巻の若草物語では好きになる前の話で今回はふたりの現在の話でした。相談に来る河久保さんの、

「私とうとう病気だっていわれたわ」

というちょっと荒れ気味な態度がなんか妙に現実感を感じました。



●若草物語―公理さんと駒子さん #2―

好きな人が好きという「好き」がどういう語感の好きか分かってしまう寂しさ。駒子さんは気持ちをしまったままにしたのかな。



志村貴子 青い花 3巻
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2016年7月10日日曜日

志村貴子 青い花 2巻

井汲京子の登場人物紹介に笑ってしまいました。

元気いっぱいに友人のために動き回るあーちゃん(奥平あきら)。

自分の好きな人の知りたい部分を知ることができなくて不安になるふみちゃん(万城目ふみ)。

普段から男役が似合う杉本先輩(杉本恭己)。

三人の距離感と感情の伝わりかたがよかったです。

杉本先輩とつき合っていることをふみから打ち明けられ、相談に乗ったり、杉本先輩の好きな人が誰なのかが分かり落ち込む井汲京子を気遣うあーちゃん。

好き合うふたりがいて、そのことで悲しむ人がいることを知ります。

自分のことはそっちのけで大忙しです。

あーちゃんのふみちゃんへのアドバイス、

「それがいいんじゃん乙女心じゃん」

「ガツンと言ってやんないと所かまわずモテないで下さい!って」

きっとあーちゃんがふみの立場ならふみと同じでなんにも言えないだろうなって思うセリフです。

だけど、ふみちゃんにアドバイスしているあーちゃんはとても楽しそうです。

すこしずつ杉本恭己の神秘性が少しずつ紐解かれていきます。

杉本恭己には上に三人姉がいて、それぞれに妖艶です。

そして、お母さんも妖艶です。

外では恭己はクールだけど、家の中では姉にからかわれる存在です。

自分の弱みをふみに見せることにした恭己。

各務先生と杉本家次女の和佐、そして恭己、ふみ。どういう物語になるのか楽しみです。

あーちゃんのお兄ちゃんがものすごい角度から妹を心配していたり、横浜の恵子おばさんの厳しそうなところが面白かったです。

150ページのあーちゃんと杉本先輩のコマのつくりが不思議と記憶に残ります。



●若草物語―織江さんと日向子さん―

そんなことだってあるよという話でした。続きが読みたいです。



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2016年7月8日金曜日

志村貴子 青い花 1巻

万城目ふみは泣き虫でイヤと言えない性格。奥平あきらは元気いっぱいのしっかり者。そんなふたりの物語です。

大の仲良しだった奥平あきらと万城目ふみ。

ふみが転校することになり、離ればなれになって10年の月日が流れます。

高校一年生の春を迎え、ふみが家族とともに鎌倉に戻ってきて再会するところから物語は始まります。

万城目ふみは松岡女子高等学校に、奥平あきらは藤が谷女学院高等部に入学し、このふたつの学校は近くにあって下車する駅も同じで、再会までにふたりは通学の電車で助け、助けられた出来事で面識があり、母親同士が連絡し合い、再会したときは互いにその日の出来事を思い出し、驚きと気恥ずかしさで面食らってしまいます。

大きな性格の変化はなくても、会っていない10年という空白の時間は万城目ふみと奥平あきらにはそれぞれ異なる経験を得ているので、突然の再会は、面倒見のよい奥平あきらにいつもくっつくようについてまわっていた万城目ふみといった仲の良かったあの頃のような関係をすぐに取り戻すことはできませんでした。

イトコのおねえちゃん千津が結婚をすることになったのを知った万城目ふみが、事実を知ったその日だけでなく、翌日登校するときになっても悲しみに暮れ、奥平あきらが泣きそうになる万城目ふみを見かけ、ハンカチを差し出し、思いもかけない言葉をかけられたことがきっかけで、ふたりは関係を取り戻していきます。

「ふみちゃんはすぐ泣くんだから……」

昔、奥平あきらの口から何度も聴いた言葉で、ふみは幼い頃の懐かしい記憶がわきあがり、あきらを心細くて頼りきっていた存在だったという感覚がよみがえります。

埋まることはないと思っていた空白の時間が奥平あきらの言葉で一瞬でつながったったのでした。

奥平あきらにしてみても、万城目ふみがうつむいて涙をためている光景を見ていると、昔の場面とデジャビュのように感じられて、自然と口から出たんだと思います。

その言葉は10年というふたりの空白の時間を埋めるのに充分な言葉でした。そしてふたりは幼い頃の関係を取り戻していきます。

学校の登下校で会うようになり、それぞれの学校で友人を作り、部活に入部し、高校生活を送ります。これまで考えたこともなかったことを考えるようになる奥平あきら、恋に気持ちが揺れる万城目ふみ、穏やかな雰囲気の中にフッと起こる感情の慌ただしさが面白い作品です。



志村貴子 青い花 1巻
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2016年7月6日水曜日

入江亜季 群青学舎 4巻

いろんな関係が描かれていました。



●橋の向こう側

宿屋を営む一家のお話。

その宿屋にライダーとマージがやって来ます。宿屋を営む側の、迎え入れてから去っていくまでと、宿泊するライダーとマージのふたりがあれからどうなったのかという両方から楽しめた話でした。

無愛想なライダーと大きくなって人当たりがよく明るくて、屈託のない表情をするようになったマージ。

ふたりに変化はあるのかな?と期待していると、相変わらずライダーはマージを心配させることばかりの男のようです。

マージにまとわりつかれると面倒くさそうにするのに、いなくなるとアーサーからの仕事を一切投げ出しかねないくらい大切に思っているライダーのひねくれ具合、なにがなんでもライダーのそばにいる一途なマージ。

いいコンビだなと思います。

ライダーとマージの関係がどんなのかはわからないけど、マージになんとなく好意を寄せるルカ。マージがやってきて宿屋の手伝いが楽しくなったようです。



●七色ピクニック

シャルル、ピエール、ミシェル。三人の息子に囲まれて母親のアースラがとても幸せそうです。



●七色ファミリア

夜になり、子どもたちを寝かしつけ、ようやく大人だけの時間が持てそうなところで、ひとりずつ子どもが目を覚まし、あれやこれやとハプニングを起こします。

手がかかるけれど、幸せそうな顔で子どもたちと眠るアースラを見るフレデリックもまた満たされた表情をしいます。



●七色トゥモロー

子どもたちが自立し、家を出ます。普段と変わることなくしゃべり、振舞うアースラ。

三人を送り出すまで、自分の感情を抑えて母親を演じたことを褒めるフレデリック。

静かになった家にふたりだけになってしまっても幸せに暮していけるだろうなと思いました。



●スパイ・アンド・スパイ

取り合って争っているあいだに奪われてしまう話。

ちいさなおっさんが狭い車内で争う姿が面白かったです。



●続々々ピンク・チョコレート、完ピンク・チョコレート

本物のピンク・チョコレートが完成したという話。

守屋捨松はどうやって三也子さんにピンク・チョコレートを飲ませたんだろう。素直に言われて飲むなんてことはしなさそうなのに。

心を奪われた三也子さん。

「私を…… 嫌いなの?……じゃあどうしてわたしにあれを飲ませたの?」

両想いになるため、捨松にピンク・チョコレートを飲ませようとするところがイメージする三也子さんらしいです。

そして、ワクチンを飲んだあとの捨松へのお仕置きが面白かったです。



●老楡

ジュリアンとエリオットがどんな関係なのかはわかりません。

樹齢何百年を超える老木にもしも意思があるなら、たくさんの人間の嘘と真実を見てきただろうなと思います。

エリオットがジュリアンの新しい人生に自分の財布を持たせることにはなにか思いが込められているのでしょうか。



●本日はお日柄も良く

こういう先生を恩師っていうんだろうな。



●四季

これまでの話の別のafter storyが描かれています。

山背くんはまだ大森君の前に現れています。教室をツルや草で覆ってからもう現れていないんじゃないかって思っていました。

秋丸ゆかりと一野恵はそれぞれに恩師の教えを守り日々を過ごしています。

小太刀茜先生は変わらずマイペースです。

ニノンとサミーの仲はあれからすこし進展しているようです。

待宵姫はマミジロに出会ってよかったと思っているんだろうな。

ブンタ先生とマコさんのお宅の野菜はさらに順調に育っているようです。

依子、和美、三津枝、ふた葉は言っていた通りハワイに来ているのかな。

静間一彦と一条漣子の仲は高校を卒業するまでは内緒だったんですね。同窓会というのを内緒で漣子を連れ出したのが、漣子の照れくさそうな表情からわかります。

青子はこれからもずっと万里雄に心の中で話しかけるんだろうな。

昼田さんと紺野くん?だと思うけど、紺野くんの服装が学ランじゃないのはなぜ?

ジルとジルの父親に挟まれて、いままでとはまた違った悩みを抱えていそうなハロルドでした。

ユリアナ姫は剣術もめきめき上達中です。

ミシェルは男の子に人気があるようです。シャルル、ピエールの頑張りに微笑むアースラとフレデリック。息子たちの活躍が楽しそうです。

ようやくマリオンを捕まえたクリス。彼女の名前を知るのはいつのことになるやら。

グゼニアは理由をつけて学院にくるのが楽しみで仕方ないはずです。

ティナさん、ブットシュテットがいくら鈍くても鍋の横に置いたものくらいわかると思うから、その優しさはそっとさりげなくのほうがいいですよ。

ライダーを待つマージ。マージが待っていると思っているライダー。雪が降っているなか待っていたんだから、マージが喜ぶようなことでもいってあげればいいのに。

春日くんと三也子さんの子どもたちもアースラ、フレデリックの子どもたちに負けないくらい好奇心旺盛で腕白そうな気がします。

小番くんはせっかく淹れた珈琲が冷めてしまうくらい、ラジオから流れる音楽に聞き入って、夢見心地の気分でいるようです。



入江亜季 群青学舎 4巻
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2016年7月4日月曜日

入江亜季 群青学舎 3巻

いろんな「気づき」が描かれていました。



●赤い屋根の家

愛されていないと誤解している父娘の話です。

主人の補佐と娘の世話を引き受けているハロルドがふたりの間を行き来し、双方にそのままきちんと見聞きしたことを伝達しているのに、なにひとつ信じていないところや、父娘のそれぞれの態度が互いの溝をさらに深くしてしまっているのが面白かったです。

ハロルドがもっと早く旦那様が慌てるようなことを仕組んでやれば、ジルはこんなにもさみしい思いをせずに済んだのになと思ってしまいます。

といいつつ、父親もジルも自分の考えが間違っていないと信じているところがそもそもの原因なんですけどね。似たもの親子です。



●続々ピンク・チョコレート

自由すぎる都三也子に春日くんがとうとう怒り爆発という話。

もうあとひと我慢、いえ、あと一晩こらえていられたら都さんのほうから謝ってきてくれたのに。

愚痴りつつも都さんを誰よりも大切に思っている春日くんでした。



●薄明

存在がなくなってしまい、関係できなくなってしまった話。

あの時、ああ言えばよかった。

そう悔やまなくてもいいように生きられればなと思いつつ、なかなかそうはいかなかったりします。


●メリー・ガーデン

心配や不安もあるけれど、同じものを楽しみにしているブンタ先生とマコさんがなんかいいなと思いました。


●待宵姫は籠の中

これほどまでに自分が知らなかった世界が広がっているなんてことを待宵姫(まつよいひめ)が知ることができてよかった、よかったと思う話でした。

待宵姫が自分で行動するまでじっと待っていたマミジロ。かっこいいです。


●雪降り積もる

大切なのは場所ではありません。

どこだっていいんです。

大切なのは全員が欠けることなく、その日を忘れずに、集まってバカ騒ぎすることです。そんな話でした。



入江亜季 群青学舎 3巻
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2016年7月2日土曜日

入江亜季 群青学舎 2巻

●ニノンの恋

ニノンの一所懸命さと、

「こちらこそありがとうございます」

の言葉に気持ちが温かくなります。

サミーのように、気づいてあげられる人にならないとなと思いました。



●時鐘

気持ちにまっすぐというか、屈託がないというか、

「殺さんでも人は死ぬよ」

に、そうかと行動する昼田さん。

時は止まらない、いつか自分もいなくなるというのはわかっているようでわかってないのかもしれません。



●北の十剣

グゼニアとルーサーの憎愛の物語。

互いが死んでしまわぬよう、それぞれのやり方で乗り越えていく姿が面白かったです。



●彼の音楽

好きだからやってこれた。やってきてよかったとしみじみと思いたいものです。



●続ピンク・チョコレート

1巻の春日くんと都は学生だったんですね。

そんなこともわかってませんでした。

そして、都三也子がこんな自由な人だとも思いませんでした。

あれ?ほれ薬は効いたのかな?効かなかったのかな?どうなんだろう。

「after story」も含めた春日くんと都さんの関係からすると、ふたりは初めから想い合っていたので、ほれ薬はきっかけづくりという教授の粋なはからいだったのかな。



入江亜季 群青学舎 2巻
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