2016年1月30日土曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 7巻

 野田恵(のだめ)の福岡弁が炸裂。九州出身だったんですね。

新しいのオケでの飲み会が始めは落ち着いてて、大人な雰囲気だったのに、たった30分で見慣れた光景に変わってしまうところ、いぶし銀のモーツァルトだった黒木くんオーボエの音色がのだめを一目見たとたんピンクのモーツァルトに変身したところが面白かったです。



二ノ宮知子 のだめカンタービレ 7巻
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2016年1月29日金曜日

咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 5巻

安藤が仁菜子に言っていた、
「苦しくて限界がくる」
という言葉。
仁菜子はそれを現実に感じるようになってきました。
蓮を離れたところから見ているだけの状況に耐えられそうになくなってきた仁菜子を揺さぶる安藤。
ふっきる努力をするより、なんとも思っていないフリをし続ける努力をすると安藤に告げる仁菜子。
この場面の二人のやりとりがよかったです。
相手を思いやる優しさが温かいです。


咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 5巻
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2016年1月28日木曜日

星里もちる ルナハイツ 4巻

南條は生真面目。融通がきかない。いい加減さが許せない。しかし、窓明のことに関しては南條は頑固になりすぎています。


大月窓明(おおつきまどり)は大久保を男性として見ているわけではないのに、なぜか南條は窓明に対して怒っています。


茅ヶ崎裕子(ちがさきゆうこ)が窓明にいいこと言います。高橋留美子の「めぞん一刻」の六本木朱美(ろっぽんぎあけみ)が音無響子(おとなしきょうこ)に言ったことくらいいいこと言います。


南條と窓明のすれ違いはどういう着陸を見せるのかなと思っていると、部長と裕子の関係を知った南條が部長と決闘します。


南條は窓明のことで新居を寮にしてしまったことを悔やんでいたし、部長になにかしら抵抗したかったのでしょうか。とんとんと戦うことになり、決着がつきます。


どういうエンディングだとよかったのかと考えればこの終わり方はいいなとは思います。だけど、そこに向かうプロセスがすこし手から離れていったような気になりました。ここに来るまでが面白かったからいいかと思いました。
終わり。


星里もちる ルナハイツ 4巻
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2016年1月27日水曜日

咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 4巻

仁菜子に対してのみゆるむ蓮の表情。蓮の友人のあいだでは蓮と仁菜子をどうにかしてあげたいという者と、構わないほうがいいという者に分かれます。
この時点で蓮が自分の気持ちの変化に気づいていない(気づかない)のが歯がゆいです。
蓮にとって飛んできたボールのアクシデント、安藤のマフラーのエピソードはどんな気持ちにさせるものだったんだろう。
帰宅する電車の中で蓮の隣でうたた寝する仁菜子。
蓮が見ているであろうななめから見下ろす角度の仁菜子の寝顔に蓮は何を思ったんだろう。

危なかしくておっちょこちょいで、脆そうなのにしっかりとしていて、まっすぐな笑顔で小さな変化を見逃さない、といった知り合ってからこれまでの仁菜子という女の子が、蓮の中で大きな存在になっていることは分かるようになってきました。


咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 4巻
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2016年1月26日火曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 6巻

裏軒で千秋真一とクラシック・ライフの編集者河野さんと音楽評論家であり引用の詩人、佐久間学の取材で、君のような人間が日本にいてはいけない、はやくヨーロッパに行くべきだとそれはもう大層な詩にのせて説得します。

千秋真一は飛び立てない理由に腹が立ち、クラシック・ライフの二人は詩がいけなかったと反省するところが面白かったです。

野田恵(のだめ)が千秋真一の家族から千秋真一が飛行機に乗れないこと、本当はいますぐにでも海外に行きたがっていることを知ります。

日本でできることに悩む千秋真一と演奏家として進むことを拒むのだめ。

今回はゆっくり展開していきます。118ページののだめ、120ページの由衣子のような絵がとても好きです。



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2016年1月25日月曜日

咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 3巻

可愛らしいのに三枚目の立ち位置の主人公木下仁菜子。
蓮に告白して上手くいかなかったけれど、これまでのように普通にしゃべりたいと思っていたのに、ある時から蓮は急に冷たくなり、側にいるのが迷惑だといわれ、仁菜子は落ち込みます。
原因は蓮が交際を断った女の子たちによる仁菜子へのいじわるでした。
蓮は自分と仲良くしゃべっていると他の女の子からいじわるされてしまう仁菜子をなんとかしたいという思いから突き放したのでした。
一方で、嫌われてしまったと悲しむ仁菜子のまっすぐに蓮に向かう気持ちをみて蓮に嫉妬し、仁菜子を好きだと思う気持ちが膨らむ安藤。

三人の気持ちの向かう方向に意中の人がいないというバランスが面白いです。カフェでのバイトで人が気がつきにくいところから仁菜子の良さを発見する蓮の描き方がよかったです。


咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 3巻
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2016年1月24日日曜日

星里もちる ルナハイツ 3巻

南條の元を離れる原因となった友美の好きになった有森と南條の対面です。
昔のドラマでもなかなか見ることがないような熱い、とても熱いドラマが繰り広げられます。
南條らしさってこういうところかもと思える面白い展開でした。



同僚の田代が南條に似た境遇になり、南條は放っておけず飲みに行って愚痴なんかをきいてあげていると、どういう流れなのか、南條の家に行きたいとせがみます。
南條はうまく切り抜けることができず、家までついてこられた田代にルナハイツの秘密を知られてしまいます。


南條がハーレムをつくって生活していると誤解した田代は、自分と境遇が似ていると思っていたのに、差がつきすぎている現状に腹を立て、社内で南條の秘密を暴露しようと画策します。
しかし、南條を窮地に陥れようと手を尽くしているのに、思う成果が得られず、さらにエスカレートして上層部にまで暴露しようとします。
そもそも、南條の立場が悪くなるはずはなく、仕掛けてもまったくあたりがないので、どこからそんな行動意欲がわいてくるのかはわかりませんが、南條の自宅の鍵を盗み、ルナハイツに忍び込み、部屋の様子を記録しようとします。



田代は勝手に自滅し、なんだったんだこの話はという展開でした。



ルナハイツにお化けが出る。お化けを見てしまった日高りんは一人で部屋で寝られなくなり、お化け騒動でルナハイツはちょっとした混乱状態です。
土屋重子(つちやしげこ)のこれまで隠していた大きな秘密が明かされます。びっくり仰天です。父娘が誰にも知られず、ルナハイツで暮らしていました。


ルナハイツに二人住人が増えた…いや、新たに確認された。


新人研修に総務からは南條が行くことになり、開発部からは大月窓明(おおつきまどり)が行くことになりました。
大久保という新入社員が窓明に近づき、親しそうに話しているのを見かけた南條。大久保は難なく窓明の隣に座り、窓明は大久保をかわいいといい、南條はいらだち、ムカつきを感じます。
その感情が何なのかはわかっているだけに、余計に大久保に嫉妬してしまいます。
何かと大久保に張り合おうとする南條と、どうして南條が大久保という新人にそこまでカリカリしているのかがわからない窓明。
二人のすれ違いが続きます。


星里もちる ルナハイツ 3巻
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2016年1月23日土曜日

咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 2巻

仁菜子が蓮に思い切って告白します。
だけど、つきあっている人がいるといわれ断られてしまいます。
それでもこれまでのように友達として話をしてほしいと、仁菜子は気さくに振舞おうとするけど、なかなかうまくいきません。
その仁菜子の気持ちを見透かし、冷やかしに近い態度で接してくる蓮の友人安藤が登場します。
おせっかいなのか、初めはいじり甲斐のある子だと面白がっていた安藤だけど次第に気持ちの真っ直ぐな仁菜子に惹かれていきます。
蓮と安藤と仁菜子の三人のそれぞれの思いが描かれていき面白くなってきました。


咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 2巻
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2016年1月22日金曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 5巻

シュトレーゼマンの指揮と千秋真一のピアノによるラフマニノフ ピアノ・コンチェルト。

シュトレーゼマンからすると千秋真一のピアノに関して特に指導するところもなく、ほぼ出来上がっていて自分なりの表現を高めていくほうがいいと考えているようです。



二ノ宮知子 のだめカンタービレ 5巻
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2016年1月21日木曜日

咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 1巻

好きになるという気持ちがいまいちどういうものか分からない高校一年生の木下仁菜子(きのしたになこ)。
学校で一番人気の一ノ瀬蓮(いちのせれん)を友人たちが勝手にあれこれと評価するのを側で聞いたり、憧れの的の蓮をただ遠くから眺めているだけの女の子です。

ある事をきっかけに蓮と言葉を交わすようになることで、仁菜子の中で変化が起こります。
視線が合うだけでドキドキ、通学途中の電車の座席で肩が触れそうなくらいの近さで座ってドキドキ。
なんだ? この感じは? 仁菜子はこれまで感じたことのない胸の痛みを覚えます。
蓮のさりげない優しさに触れ、いつしか学校ではいつも蓮の姿を探してしまう仁菜子はこの気持ちこそが恋なんだと気づきます。

些細な面を見つけることでさらに昂る気持ちの揺れがよく伝わってくる作品です。


咲坂伊緒 ストロボ・エッジ 1巻
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2016年1月20日水曜日

星里もちる ルナハイツ 2巻

南條と大月窓明(おおつきまどり)が仲良くしているのを、茅ヶ崎裕子(ちがさきゆうこ)が反応し、冷やかしと事実関係知りたさに窓明にたずねます。


ルナハイツでただ一人の男性南條について好きだとかいうのは、今後暮らしにくくなるからやめてという日高りん。
そういっていたのに、裕子が主催する合コンの数合わせに渋々参加させられ、その場にいた南條が外ではルナハイツとは異なる一面を持っていることに気づくと、態度が180度変わってしまいます。
誰と誰がくっついても構わなく、その様子を観察したい裕子にとってはようやくお待ちかねの状況がやってきて楽しそうです。


キモい、キモい、事あるごとに言っていていたりんの急な態度の変化が面白いです。
嫌われているものとばかり思っていた南條は日高りんの不可解な行動に混乱します。
南條、裕子、窓明、りんの繰りひろげるやりとりを離れたところで眺めている土屋重子がぼそっとつぶやく偉人の名言が面白いです。


窓明は若干感覚がズレていて男性を好きになってドキドキしたことがなく、嫌いだといっていた南條にドキッとしたりんがうらやましいといいます。
りんがドキッとしたという南條の言葉を自分もきいてみたい、ルナハイツとは異なる一面を見てみたいと、とった行動が激しいです。


窓明は極端な行動の末、足を挫いてしまい、南條に背負われて帰宅します。
りんは南條の帰りを待っていました。彼に告白するためです。なのに、南條は窓明を背負って帰ってきました。
妙な三角関係に裕子ははしゃぐのかと思っていると、そうではなく、このかたちはダメだと意外な反応をします。
窓明は南條を何とも思っていない、南條はりんとは付き合えないと言います。しかし、南條は窓明についてはなんとも思ってなくはないと言います。
この騒動はりんが一旦諦めることで落ちつき、これまでのルナハイツに戻ります。
強風が吹き荒れるかと思われた三角関係の展開は、穏やかになり、風は止むのかと思いきや、強風どころか嵐がルナハイツにやってきます。
開発部からの要請で、物品を病院に運搬することになった南條。開発部からは窓明がやってきて、窓明が納品しているあいだ待っているときに事件は起こります。


南條の目の前にタクシーが止まります。中から出てきたのは結婚するはずだった友美でした。
検診にやって来たという友美のお腹はずいぶん大きく、名前は旧姓のままでした。混乱する南條。その夜、友美はルナハイツ、南條と友美2人の新生活を送るはずの家にやって来ます。
勝手な言い分でルナハイツにとどまることになった友美。
一番ザワザワしているのはりんです。思いと実行力が比例しないところがかわいらしいです。


友美の男をたてる振る舞いに感心しつつ、心のどこかでイライラする窓明。ルナハイツで生活する上で約束したことについて、南條、裕子、窓明、りん、そして友美加わり話し合います。会話は次第に熱をおびていきます。そんな中、友美が腹痛を訴えます。


ルナハイツでも病院でも南條は理解しがたいことばかり言っているのに、友美の出産に居合わせて、特別な気分になり、友美の赤ちゃんを自分が育ててもいいかという気持ちになっていたのが、生まれてきた赤ちゃんを見るなり、現実に引き戻されてしまうのが面白かったです。
友美のために行動する南條をなかなか理解することができません。
続きます。


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2016年1月19日火曜日

新谷かおる クリスティ・ハイテンション 6巻

名探偵シャーロックホームズの姪クリスティ。ある日街に現れたのはサーカス団。少女らしくはしゃぐクリスティだが機を同じくして老婆が非業の死を遂げる。その密室の謎とは…(『空飛ぶ踊り子』) ホームズの正典で名のみを残した事件『名うてのカナリア教練師』にクリスティと巨匠新谷かおるが挑む第6集。




●空飛ぶ踊り子
サーカスを冷やかな目で見るノーラ。
ノーラの影響で地がでているアンヌマリー。
二人の身のこなしの助けを借り、思い出話をヒントに事件を解決するクリスティ。
謎を解き、真相を知ったことで満足し、経営のアドバイスをしサーカスの財務を立て直したのがクリスティらしいなと思いました。


●名うてのカナリア教練師
ホームズ、クリスティ、それぞれの依頼と謎がひとつの大きなかたまりになって、ホームズの手がかりの決定打をクリスティによってもたらされ無事解決します。
複雑な物語でした。


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2016年1月18日月曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 4巻

 シュトレーゼマンと千秋真一の間に師弟関係が芽生え始めたのもつかの間、秘書のエリーゼが来日し、ドイツに強制送還されてしまいます。

2日後、千秋真一が大学へ行くと、何もなかったようにシュトレーゼマンが再登場します。

千秋真一は忙しいスケジュールのなか、日本にこだわる理由をこちらも再び来日したエリーゼに尋ねると原因は自分にあることがわかり、弟子をとらないシュトレーゼマンを本気にさせた人物としてエリーゼからも目をつけられます。

野田恵(のだめ)のピアノは光るものがあるけど、機会がなく、なかなか認めてもらえません。



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2016年1月17日日曜日

新谷かおる クリスティ・ハイテンション 5巻

名探偵シャーロックホームズの姪クリスティ。彼女の元に家庭教師グレースの友人からの奇妙な依頼が舞い込んで来る。彼女を付回す影の狙いとは?そしてホームズの姪であるクリスティの隠された出自もついに明らかに。クリスティの思い描く理想の未来が彼女の口から語られる感動の第5集。



●孤独な自転車乗り
今回の依頼人はグレース先生の友人ヴァイオレット・スミス。
ホームズのもとに、見知らぬ男に狙われ、つけ廻されているという相談でやって来ました。

物語の冒頭は、クリスティがエイミー料理長から教わりながら、生地をこねてパイを作っているいるところから始まります。
クリスティが見当たらず、アンヌマリーに居場所を訊ね調理場にいることを知ると、
「主人が調理場に入り、使用人の食事を作るなんて!」
と目くじらをたててクリスティを叱るコネリー夫人。
コネリー夫人に見つかると当然こうなることを予期していたクリスティ。
焼きあがったミートパイを、
「いつものお礼」
といって笑顔をそえてコネリー夫人に差し出します。
クリスティの人の心を鷲掴みする方法が可愛らしいです。
自分が焼いたミートパイを食べさせたい人物が館の外にも居ます。
伯父のホームズです。
ヴァイオレット・スミスがホームズに相談しようとしているところに、クリスティは意気揚々とミートパイを持って参上し、彼女とグレース先生に出くわしたのでした。

別のどうしても外せない事件があるホームズに代わり、ワトソン博士と当たり前のようにクリスティがヴァイオレット・スミスの事情を訊きます。
ワトソン博士が言うべきセリフをクリスティが奪ってしまったり、その夜のグレース先生との会話やクリスティがウィル伯父(ホームズ)を真似て言う、
「面白い…これは面白いかもしれんジョン。気が付かなかったかい?不自然がいくつか連なると事件の匂いがしてくるもんだよ」
というセリフ。クリスティはいつか言ってみたいと思っていたんだと思うと面白いです。

さっそく事件の解明に乗りだし行動するかと思いきや、ウィル伯父さまとワトソン博士がどう動くか推測し、のんびりと私用を片付けるクリスティ。
なんだか貫禄が出てきたように感じました。
ホームズ探偵事務所では、クリスティの考えどおり、ワトソン博士がファーナムに向かいます。
ワトソン博士からヴァイオレット・スミスの報告を受けホームズがクリスティが真似たセリフと同じニュアンスで語りだしたところには顔が綻んでしまいました。

自分で料理をしようとするし、ショッピングの代金も自分で支払うクリスティをコネリー夫人はどうして伯爵令嬢がこういう振る舞いをし、考え、行動し、興味を示す対象が他のお嬢様と違うのか不思議に思います。
グレース先生も同様にクリスティに努力を傾ける方向が違うことを意見します。
クリスティはレディーとして社交界にデビューすること以上に大切だと思っていること、その目的のために頑張っているのですが、今回の事件解決後にそれらが明らかになります。
見据えているものがしっかりしています。

事件のクリスティの推理はホームズのものとは過程が異なりますが、同じ結論に達し見事に解決します。
クリスティは次第にウィル伯父さまと肩を並べ、近い将来ホームズがてこずる難事件を手助けできるようになるかもしれません。
そんな話もいつか読めるといいなと思います。
グレース先生とクリスティがこれからについて話していると、ノーラが一通の手紙を持ってきます。「V」の刻印が刻まれた赤い封蝋。
それは呼び出しの合図で、夜、クリスティはグレース先生とともに、祖母と呼ぶ人物に会いに行きます。
通された部屋で待っていたクリスティが祖母と呼ぶ人物を見て驚くグレース先生。
こんな人物がいたらそりゃあビックリします。
クリスティの推理好きはどうやら祖母の影響が大きいようです。
ベイスン、アンヌマリーしか知らない重大な秘密。
この秘密をグレース先生も共有することになりました。


新谷かおる クリスティ・ハイテンション 5巻
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2016年1月16日土曜日

星里もちる ルナハイツ 1巻

南條隼人は結婚を控え、披露宴の準備や招待状の送付、新居も建て引渡しも完了し、新婚生活が待ち遠しい男です。


妻になる友美から一本の電話がかかってきます。
「ごめんなさい。あなたとはもう会いたくありません。だから、家も見に行けない…」
盟王製紙株式会社に勤める南條は上司八木課長に結婚がなくなったことを伝えます。


八木は落ち込んでいる南條を見かねて飲みに誘い、慰めます。酔っぱらった南條はどうしても八木課長に新居を見てもらいたくなり、新居に強引に誘います。


一人で住むには広すぎる新居を見た八木は総務課での懸案事項を思い出します。それは福利厚生施設の経費削減です。
会社が所有している独身寮の維持が困難になっていて、条件のいい代替物件を探していたのでした。


八木課長は南條に新居を女子寮にしようと提案します。
一人じゃなくなるぞ、いい話じゃないか、と持ちかけます。酔っぱらっている南條はあまりよく考えず、了承してしまいます。


後日、八木課長は着々と女子寮の件をすすめていて、会社から承認されたという事実を南條に告げます。
ささやかな抵抗を試みる南條。なんの効果もあげず、4人の女子社員とともに暮らすこととなりました。


日高りん(ひだかりん)は営業部に配属し、ネットオークションに夢中です。その他のことにはあまり関心がないようです。


茅ヶ崎裕子(ちがさきゆうこ)は秘書課に配属し、合コンをセッティングして、カップルを成立させることに情熱を注いでいます。


土屋重子(つちやしげこ)は経理課に配属しています。控え目な性格で、多くを語りません。


大月窓明(おおつきまどり)は商品開発部に配属しています。オープンな性格でなんでも話せそうです。


新居は、窓明が「ルナハイツ」と命名し、4人の女子社員と南條で生活が始まります。トラブルやすれ違い、何か一体感が欲しい南條の空回りなどありつつ、少しずつ進んでいきます。
続きます。


星里もちる ルナハイツ 1巻
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2016年1月15日金曜日

新谷かおる クリスティ・ハイテンション 4巻

名探偵シャーロック・ホームズの姪クリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープ。伯父勝りの知力と少女らしい奔放な行動力で様々な事件に立ち向かっていく!クリスティを支えるスーパーメイドムチ使いのノーラ二丁拳銃の使いのアンヌマリーそれぞれの過去が紐解かれる第4集!


ナポレオンの胸像事件、ノラの生い立ち、5個のオレンジの種の事件と関係するアンヌマリーの悪夢のような過去の記憶が収録されています。

無事事件を解決したクリスティに、嫉妬ような、姪っ子の頑張りを誉めたいようなどっちともとれない表情をする叔父のホームズが微笑ましいです。
まだ自分を頼ってほしいという気持ちがありそうな顔でした。
ノーラもアンヌマリーも過酷な生い立ちと過去が描かれていました。これも19世紀の欧米なんだなと思いながら読みました。


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2016年1月14日木曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 3巻

泣きながら試験を受ける野田恵(のだめ)。

留年を逃れるためにのだめと峰龍太郎は千秋真一に助けを求めます。

救いの手を差し伸べると、二人の勉強不足を思い知る千秋真一は一晩中勉強に付き合ったあげく自分の実技試験を欠席してしまいます。

クラブで自分を差し置いて女性を独占する千秋真一にシュトレーゼマンは宣戦布告。

Sオケの指揮を放棄しAオケに専念すると宣言し、千秋真一にSオケの指揮を振るチャンスが巡ってきます。

千秋真一が指揮者デビューします。

初舞台のヴァイオリンの演出により笑い混じりの拍手を浴びますが評価は上々。

シュトレーゼマンと千秋真一はどうなっていくのでしょう。シュトレーゼマンのキャラクターが面白いです。



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2016年1月13日水曜日

新谷かおる クリスティ・ハイテンション 3巻

デヴォンシャーで起こった謎の怪死事件。そこには旧バスカヴィル家に伝わる魔犬伝説が関わっているというのだが…。真実に迫るのはホームズかクリスティか!?



しっかり読ませてくれる事件でした。
たまたま事件に巻込まれてしまった者、偶然を装う殺人、魔犬伝説、血のつながり、クリスティの推理、手懸かりの断片のひとつずつがつながりを持ち、解決に向かっていく気持ちよさを感じながら、こうじゃないか、ああじゃないかと手口を推測し、謎解きに参加しながら読みました。

グレグスン警部やロンドン警視庁刑事課のアーサー・デクスター刑事にさらっと大人顔負けの意見や話し方をするところは子供にみられたくないようなのに、寝室でアンヌマリーと一緒に寝るときは等身大の小さな女の子のように振舞うクリスティの仕草のギャップが可愛らしいです。

叔父のホームズにはどうみられたいんだろう。
事件についてしゃべりったり、椅子に蹲って考え事をするしぐさ、手懸かりから得られる情報の分析力などはホームズそっくりになってきました。
やっぱりクリスティの憧れはホームズなんですね。


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2016年1月12日火曜日

星里もちる あっちもこっちも

 ここには笑顔が詰まってる。喜び、嫉妬、安堵、恥じらい、哀しみ…

様々な感情が生んだ「笑顔」たち。短編の名手が二十年に渡り描き続けた物語を一冊にまとめた珠玉の短編集。




いろんなかたちの笑顔が描かれています。

その他に、笑顔になってもらいたくてなんとか事態が良くなるように動いてみても上手くいかなかったという話も描かれています。




●スイーツメモリーズ

作者巻末コメント

すでに次回連載「光速シスター」のネームを完成させ連載のタイミングを待っている状況にあったので、同テイストのSFコメディで行こうという打ち合わせになりました。タイムトラベル物は一度やってみたかったし。「スイーツ」が女性を揶揄する言葉として定着し始めた頃だったのでタイトルはすぐ決定した覚えがあります。何かから捩ったタイトルを付ける事が多いですが、コメディ作品ではよくあることです。



麻丘翔子に別れをきりだしたい原和樹。彼女のいいところ、好きだと思ったところが時間が経つにつれ嫌になったといいます。

話を聞いてくれない彼女になんとか別れ話をしたいと思っているところに、巻き込まれるかたちで、未来からやってきたという男が目的を果たす手助けしてほしいと言われます。

本当に未来から来たのか確かめるために、二人はタイムマシンで希望する時間に行ってみることします。それぞれが記憶に残っている一番の思い出の日に移動し、そのときの自分たちを眺めます。

和樹は自分が記憶している思い出が違っていることに気づきます。自身が変わってしまい、翔子との距離が大きくなってしまったのに、彼女に責任を押しつけて関係を終わらせようとしてしまったことに後ろめたさを感じているように感じました。

翔子はそんな和樹の気持ちに気づいていて、和樹の思うようにしようと言います。 最後に粋な未来人の贈り物。未来の思い出を知ることになり、ふたりで確認するために関係は修復されます。




●道草探検隊

作者巻末コメント

復帰第2作。猫と散歩が好きな私が、猫と散歩をヒントに描きあげた一本。当初ネームは母親と息子設定で描き始めましたが上手く行かず、逆にしてみたらすんなりドラマが出来上がりました。ボケとツッコミを入れ替えたら売れた漫才コンビみたいな。違うか。



友香は七歳。1年ほど前に飼っていた猫ちゃぼが死んでしまい、ママも亡くなってしまって、パパとふたりで暮らしています。ママがいなくなって、父娘の間にはいくつかの約束事をつくりました。

互いに約束を守っていたある日の学校帰り、友香はちゃぼによく似た猫をみかけます。父に、ちゃぼがいた、といってから約束事が徐々に破られてしまいます。

パパもママを思い出してしまうから、ちゃぼやママの話しは楽しかったことだけにするという約束でした。

しかし、七歳の友香には守れそうにない約束でした。その気持ちを察してパパもちゃぼに似た猫がどこの飼い猫か探すのに協力することになります。

知らずにいたママの思い出を知り、写真を撮る側が多かったので、被写体になることが少なかったママの笑顔の写真が見つかり、ちょぼ似の猫を追跡して父娘にとって貴重な思い出が増えました。




●パパと呼ばれたい

作者巻末コメント

「怪獣の家」連載終了後しばらく休載してた時期があり、復帰第1作で執筆したのが本作です。ネームも作画もじっくりじっくり大切に描き上げました。タイトルはドラマ「パパと呼ばないで」から拝借。劇中の「ドリーミィルル」は私がアマチュア時代に描いた漫画作品を転用。元ネタはもちろんアニメ「魔法の天使クリィミーマミ」。

自分のよく知る80年代アニメ業界を再現する作業はとても楽しかったです。



アニメーション制作会社で演出を担当している芝田。二人暮らしの沙織と明菜の母娘に気に入れれて一緒になりたいというお話しです。

もっとがんばって二人のパパになります。 最後のページを見ると、言葉どおり、明菜にとってしばちゃん(芝田)はいい父親になっているようです。




●パパ!あっちもこっちも

作者巻末コメント

「ルナハイツ」連載中に平行してビッグコミック増刊で執筆。実在する(笑)二人の娘をモデルにしてユルく長い連載が続けられればなと思いましたが、大人の事情により4話で終了。今では実在モデルの娘達もすっかり成長して劇中の様なモテモテお父さんはどこにもいなくなりました(笑)。この作品の発展系が月刊COMICリュウ(徳間書店)の「ちゃんと描いてますからっ!」になります。本短編集のタイトル元になりましたし色々実りの多い作品ですね。



秋実(6歳)と小夏(4歳)の姉妹が父にかまってもらいたいと奮闘する様子が描かれています。

父はそう遠くない日に娘たちが自分から離れていくだろうと、現状を楽しみながら、その日が来たときの覚悟は決めているようです。親は大変です。




●最も危険な人事

作者巻末コメント

シリアス作品「本気のしるし」の連載終了直後に描いたため、絵が暗いですね。作品世界には合ってましたが次回連載作「ハルナイツ」では元のコメディ調の絵に戻すのに少し時間がかかりました。



人事異動で小笠原に転勤になることを部長の前畑に告げられる藤木拓郎。同じ会社で働く彼女池田裕子に小笠原に転勤になることを言えず、結婚の申し込みをします。

裕子は話を取り違え、小笠原に転勤するのは藤木ではなく前畑部長だと思い、大喜びします。なぜなら、裕子は前畑の愛人だったからです。藤木は裕子と前畑の関係には知りません。嘘をつけない藤木は裕子を失い、単身小笠原に転勤してしまうのかというお話です。

藤木がバカを見なくてよかったです。




●カントリーロード

作者巻末コメント

ビッグコミックスペリオールで「夢かもしんない」を連載中にスピリッツ増刊で描いた作品。ロードムービー的な事がやりたかった。登場人物の背景の説明を可能な限りオミットしシンプルな物語を心がけました。主人公達が喋ってる言葉は島根弁です。「りびんぐゲーム」のヒロインが島根出身だったにも拘わらず方言にまで気を回せず心残りがあったため、リベンジしたかった。編集部の島根出身の方に翻訳して頂きました。島根弁の響きが気に入り、後の連載作品「オムライス」でも採用する事に。

劇中に公衆電話が出てきますね。ケータイやスマホが普及した現在なら別の展開になってたのでしょうか。「電波が悪い」とか言って車の外に出されたかもしれませんね。そういう事考えるのも楽しいです。



毎年行われている同窓会に参加する上野。8年ぶりに帰郷してみるとガラリと景観が変わっていました。8年という時間に変化することはあっても、前を向いて歩かなきゃいけないと思います。




●朝まで待てない

作者巻末コメント

「りびんぐゲーム」終了後、次の週間連載「結婚しようよ」までの間に描いた作品。サスペンス導入でドラマに転換している構成が気に入ってます。劇中に出てくる「とう道」の資料がなくて担当さんがNTTの内部資料を手に入れてくれました。



ことごとくお見合いに失敗している長谷晴彦32歳。

仕事は忙しく、毎日終電ぎりぎりまで働いています。最寄り駅のタクシー乗り場で見かけた女性が気になっていて、タクシーで後をつけても、いつも同じあたりの場所で彼女を見失ってしまいます。

姿を消してしまう駅で見かける女性に声をかけることができるのかというお話です。

タクシーでの尾行を断念し、彼女を見失う場所でヤケになって酔っ払って座り込むと、思いがけない再開ができて、これも縁があったからなんだろうなと思います。




●テールライト

作者巻末コメント

ビッグコミックスピリッツで「りびんぐゲーム」を週間連載中に描いた作品す。当時スピリッツには週間連載+αくらいの量をこなして普通みたいな雰囲気があって、休載なんて許されない恐ろしい状況でした。しかし私も若かったし違うテイストの作品を描いてみたいという野心もあって、まぁ増刊号連載なら大丈夫かと始めてみました。結果、無理でした。いや、週間+αをこなしてらっしゃる作家さんもたくさんおりますが、それは超人な人が出来るのだと自分の力不足を知る結果になりました。



過疎化の進んだ町、田上市。

畑山はレジャーランド建設委員会事業部から遊園地やレジャーランドを建設するにあたって調査するコンサルタントです。

どう頑張って計画を見積もっても、

「費用構成に難あり」

「建設は実質的に実現不可能」

で、開業してもおそらく1年半でつぶれるという報告書しか書けなくて、部長を困らせています。

炭鉱の閉山と共に産業を失ってしまった町。高度成長から取り残された滅んでゆくだけの町。しかし、畑山はこの町になくなってほしくないもののために全力で町の活性に尽力する話です。

畑山は彼女の笑顔が見たかったんだろうな。彼女がいなくなってしまったこの町を好きになれる他の何かはなさそうです。だけど、好きになれたらいいなと思います。




作者まとめ

コミックス化に当たり、古く作画がアレな原稿を全部描き直したい衝動に駆られましたが、執筆当時の状況をそのまま残す事を優先し修正は最低限に留めました。タイムトラベル物を先頭に過去に遡る構成の掲載順は、このタイミングでの出版だからこそ出来た事なので結果良かったと考えます。いやー、ずいぶんと長いこと漫画家やってますねー(笑)。

最後に、歴代担当編集さん、変わらずお世話になってるデザイナーの関さん。各作品及び短編集の為にご尽力下さった皆様、長く応援いただいてる読者様に感謝です。

2013年1月 星里もちる



星里もちる あっちもこっちも
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2016年1月11日月曜日

新谷かおる クリスティ・ハイテンション 2巻

サセックスの吸血鬼と踊る人形の事件が収録されています。
現代と違う時間の流れと物語が面白いです。


●サセックスの吸血鬼
グレース・ダンバーはクリスティにとって最適の家庭教師だなと思う場面が何度もありました。
レディ ミナ・ヴラドがパーティ来たのはクリスティに会うためだとしたなら、どこでクリスティを知ったのか。
その話もいつか描いてほしいです。
ロバート・ファーガソン、彼の姪のレディ コニーがホームズ、クリスティそれぞれにチーズマン屋敷で起こった事件の相談を持っていったけど、事件そのものよりレディミナとクリスティが面白かったです。
チーズマン屋敷でのクリスティの無邪気な子供を装った芝居にワトソン博士が、
「この娘には敵わんよ」
というときにする仕草を、ホームズが先取りして壁にうなだれていたのと、ホームズとクリスティが同じ目線で駆け引きするところ、クリスティが推理力で完敗したり、体重を気にする女の子らしいところが面白く、レディ ミナとクリスティの対決が可愛らしかったです。

今回の事件をうまい落としどころによって解決したのはホームズではなく、クリスティでもなく伝説の一族だったのでした。
真実を明かさず角の立たない方法を一晩かけて探ってはみたど、よい解決策はみつからず、どうすべきか迷っているところに、幸か不幸か良い落としどころが向こうからやってきて誰も傷つくことがないという最良の結末になったのはよかったけど、ホームズとワトソン博士の複雑な表情がいいオチになりました。


●踊る人形
ホームズは不在で、ワトソン博士とクリスティが会話しているところにグレグスン警部がやってきて、不気味な記号をみて苦しむ妻エルシーを助けてほしいというヒルトン・キュビットの依頼がやってきました。
記号が何かの暗号文であり依頼人の妻への不吉な伝言であると推理するクリスティが解決に導きます。
叔父のホームズに褒められて一件落着。
クリスティが仮定し、グレース・ダンバーが記号が文字なら頻繁に使われるアルファベットを一番多くでてくる記号に当てはめるといった知識の助言をし、ノーラが単語の区切りを示す記号を習ったことを応用して発見するという3人の連携によってトントンと進む会話がとても好きです。
クリスティのひ孫が登場し、時間を超えてレディ ミナに再会するショートストーリーがひ孫のクリスティがミナに言ったセリフがよかったです。


新谷かおる クリスティ・ハイテンション 2巻
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2016年1月10日日曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 2巻

情熱的なティンパニーを奏でる、打楽器の女王?である奥山真澄(男性)が登場します。

千秋(千秋真一)さまを慕い憧れていていつも遠くから眺めています。

ある日、いつものように真澄ちゃんは千秋さまを眺めていると、野田恵(のだめ)が千秋真一と腕を組んでいるのを目撃してしまいます。真澄ちゃんは野田恵(のだめ)を恋のライバルとし、小さないたずらを繰り返します。



野田恵(のだめ)は峰龍太郎に協力をお願いし、犯人を探し出します。

見つかった真澄ちゃんは野田恵(のだめ)に宣戦布告、クリスマスイブにどちらが千秋さまをデートに誘えるか勝負します。



シュトレーゼマンという世界で超有名な指揮者が登場します。

そんな彼の眼にも千秋真一は特別に映るようで、直接指導はしませんが自分の指揮を千秋真一に披露します。

シュトレーゼマンの演奏は千秋真一の指揮者としての考え方に大きな影響を与えるようになります。シュトレーゼマンとヴィエラの出会いが面白かったです。



二ノ宮知子 のだめカンタービレ 2巻
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2016年1月9日土曜日

新谷かおる クリスティ・ハイテンション 1巻

霧深き19世紀ロンドン。わずか数平方マイルに数百万人もの人々がひしめき、彼等が望み、企み、絶望するがゆえ起こる幾つもの難事件。名探偵と名高きシャーロック・ホームズの姪クリスティがつまびらかにする真実が人々を救い導いていく。そして彼女は事件と出会う…。



クリスティが叔父であるシャーロック・ホームズとともに事件を解決する推理作品です。

クリスティ(クリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープ)は10歳の女の子で、ホープ家という貴族のお嬢様です。
知識の習得や蓄積を好み、勉強をするための教師は必要ではない、邸の中にある図書館、父親の書斎にある公文書がすばらしい教師であるといい、執事のベイスン、ハウスキーパーのコネリー夫人、メイド長のアンヌマリー・ホプキンスといった人達を困らせます。

専属の家庭教師グレース・ダンバーによるとクリスティの学力は基礎的な学力はもちろん数学、物理学、幾何学、自然科学、地学は10歳のレベルではなく、ラテン語の読み書きもできるという頭の良さで、もしすぐにでもオックスフォードやケンブリッジの入学試験があれば合格する学力を持つと言い切ります。
反面、音楽や歌、ピアノ、ダンス、刺繍、装飾はどうしようもなく、数年後に控えた社交界デビューが危なく、貴族のお嬢様としては心配が尽きないレディーです。

クリスティは母親の兄にあたるベーカー街に住むウィリアム・シャーロック・ホームズの家を訪ねるのが楽しみで、とくに伯父の仕事に関心を持っています。
伯父のシャーロック・ホームズはあの有名な探偵です。
叔父の家では依頼人と話している会話、依頼人の名前から浮かぶ経歴をもとに、相棒のジョン・ヘイミッシュ・ワトソン博士の調査結果の報告、毎日目を通している新聞の情報から依頼の内容を推測し、事件に絡む人物と手懸かりを元に解決の糸口までをホームズとワトソン博士と一緒に分析していきます。
推理はほぼホームズのものと一致し、ホームズを困らせ、ワトソン博士を驚かせます。

クリスティがそんじょそこらのお嬢様と違えば、仕えるメイドたちもひと味違います。
ノーラはどういう経緯でホープ家のメイドになったのかは不明ですが、蛇の舌(スネークタン)という鞭を自在に操る技術を持ち、常にそれを身につけていて、いざ危険が迫ったとき心強い味方となります。
メイド長のアンヌマリー・ホプキンスも違います。
普段は清楚な装いなのに、いざというとき2丁拳銃と凄みのある啖呵でクリスティを守ります。

スーパーメイドのふたり、クリスティの子供っぽいところや恥じらいと大人顔負けの推理力のギャップ、伯父のホームズのまだまだ姪っ子に負けるわけがなどないという余裕の姿勢と、ワトソン博士のクリスティが自分よりも一枚上手かもしれないと落ち込む姿などが楽しめ、クリスティが推理していく過程と解決に向かう物語が面白いです。マザランのダイヤの行方、ソアプレースにあるギブソン家の殺人、赤髪同盟の企みといった事件が収録されています。


新谷かおる クリスティ・ハイテンション 1巻
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2016年1月8日金曜日

矢沢あい 下弦の月 下

記憶を失くし、古びた洋館に閉じ込められたイヴ。彼女を発見した蛍たちはイヴの記憶を頼りに真相を探る。アダムに会うことは出来るのか。だけどそこには衝撃の事実が…! 魂が呼び合う純愛。

病院で意識が戻らないまま眠り続けている望月美月の姿は古びた洋風の建物で白石蛍だけに見えているイブという女の人そのものでした。杉崎哲、三浦正輝、香山沙絵が見えない、蛍の左手中指の指輪も病室で見ることができました。
白川蛍、杉崎哲、三浦正輝、香山沙絵たちは古びた洋風の建物の中に閉じ込められたイヴが、病院で意識がないまま眠り続けている望月美月だと確信します。
美月の意識が戻らないのは、彼女の魂がなんらかの理由で身体から抜け出てしまい戻れなくなってしまったと考えがまとまります。
アダムがイヴにどのように関係してくるのかを突き止めるために、アダムの所在を探し出そうとします。
蛍が病院でみた音楽番組で流れていたう曲とイヴがピアノで弾くアダムの曲だという曲が同じ曲なのを頼りに、蛍がピアノで弾いたものを録音したカセットテープをたくさん作り、CDショップやレンタルCDショップなどに持ち込んで聴いてもらいタイトルとバンド名を探し当てようとします。
蛍は病院で見たとき、Evil Eyeの「Last Quarter」というテロップは流れていたけれど、後に重要な手がかりとなることまでは知りようがなく、ぼんやりと画面を見つめ、音楽を聴いていただけなので、探しているうちに蛍は夢の中の出来事で、アダムの曲は存在しないのではと思い始めます。
アダムの曲を知る人を見つけられず、あきらめそうになったとき奇跡が起こります。背中がゾクゾクとしました。 曲のタイトルもバンド名も分かり、アダムがいまどこにいるのかを探すと、蛍たちに残酷な現実が突きつけられてしまいます。
イヴ(望月美月)は上條さやかの生まれ変わりなのでしょうか。たまたま手にした指輪は偶然ではなかったのでしょうか。指輪にこめられた念で美月が変ったのではなく、指輪が鍵となり前世のさやかの記憶がよみがえったのでしょうか。いずれにせよ、想いが時空を超えて残り続けているっていうのがロマンティックだなと思いました。
また、イヴ(望月美月)はS.Kという刻印が刻まれた指輪を手にしてしまったため、巻き込まれてしまった出来事と考えられます。言ってみれば、呪いの指輪です。意識が戻ってからの美月が描かれていますが、別人のような笑顔をみせています。そして、蛍たちのことをまったく覚えていないのもイヴがさやかの生まれ変わりではないということにもつながるような気がしています。
上條さやかの未練が指輪に残っていて、その思いを求めるアダムが指輪の持ち主の美月をを引き寄せてしまいました。蛍はルルに案内されイヴと出会います。イブは他の人には見えなくて、見えないのに三浦正輝は天国にいけるよう手助けしようと言い、香山沙絵、杉浦哲は協力します。小学生たちだけでよくここまでたどり着けたなと思います。

物語の展開と余韻に思い巡らせることがたくさんある作品です。


矢沢あい 下弦の月 下
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2016年1月7日木曜日

新谷かおる QUO VADIS クオ・ヴァディス 8巻

フレイアとオーディンが探している分岐点とイエスのいう「最後の審判」が重なりそうな展開で緊迫感が帯びてきました。


-End of the world-
“まるで…普通の人間みたいだ…この私が…死ぬなんて…”
教授とオーディンの行く先々で見え隠れする、イエスの存在。その思惑に、導かれるようにして明かされた、教授<幼体化>の謎に迫る重大な事実とは――!?滅びゆく体を超えて、心が交差していく、ファンタジック・サーガ待望の第8巻!!


オーディンとフレイアに姿を見せたイエス、ロンドンでの会議の議題、ドイツフランクフルトの結果報告、ヴァチカンの見解が描かれています。


オーディンとフレイアに存在を明らかにしたイエス。
「始まるよ最後の審判…が」
オーディンの棺をスピニチュウムで紅くしたのはいらずらなのか、何かの意図か。
イエスの行動が謎めいています。
オーディンがモニタに映るイエスの姿が小さいことを特に意識する様子もなく、フレイアがそれを指摘すると動揺するも何も言わなかったのが気になります。
フレイアが腑に落ちないまま話を折ってしまうのは何かわかったことがあったからなのでしょうか。
まさかイエスが復活したのはオーディンによるものなのでしょうか。
オーディンとイエスがいわゆる敵対していないようなので、この二人の間で秘められているものが何なのか知りたいです。

アルゼンハイムへ向かう列車の中でのフレイアとオーディンの会話が面白かったです。
何千年もの時間の流れを一人の人物の記憶で話されることに興奮します。
オーディンは研究所(ラボ)からジャンプし着地(ランディング)したのは、南仏あたりの紀元前6000年前後先史時代、新石器時代入口あたりで、組織としての集団ができつつあり言語も文字もなく金属さえない時代でした。
そして、オーディンは文明発祥の地を目指しエジプトへ行ったとフレイアに話します。
他の研究員は無事に着地したのかは明らかになるのでしょうか。

ソフィアがエイミーと名乗っていた頃を思い出す場面では、大人の姿のフレイアと出くわした出来事が描かれています。
フレイアとソフィアはいずれ再び出会うのだろうけど、そのときソフィアはどんな反応するのだろう。
ソフィアは幼い頃体験した奇跡のような出来事を、現在オーディンやアテナに出会い目の当たりにすることで振り返ることはないのだろうかと思います。
ソフィアがヴァチカンの洗礼を受けられたのは、アルゼンハイムの深い森の中に住んでいたフレイアと出会っていたからなのかなとも思いました。

フレイアが幼体化した謎が明らかになります。
驚きの展開でした。
フレイアの謎が明らかになると同時にイエスの幼体化も同じ工程でなされたことが想像できます。
ジョシュアの棺を使いこなし、さらに改良を加え、フレイアの棺と同じように機能する棺を開発したようです。

自由に空間を行き来できるイエス。
フレイアの灰を持ち帰り何かを企んでいます。
もしかして、灰を使い大人のフレイアを復活させて、オリジナルとコピーの生命体を同一の時間軸に存在させようとしているのでしょうか。
小さなフレイアの前に大人の姿のフレイアが現れたらそれこそ神の領域に手を出してしまったことになり、人類は終末に向かっていくことになると思います。


新谷かおる QUO VADIS 8巻
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2016年1月6日水曜日

二ノ宮知子 のだめカンタービレ 1巻

千秋真一は有名なピアニストである千秋雅之を父に持つ、桃ヶ丘音楽大学のピアノ科3年の学生です。

彼は指揮者になるためにヨーロッパへ今すぐにでも飛んでいきたい気持ちでいっぱいです。

だけど、飛行機恐怖症で、しかも水が怖くて船にも乗ることもできなくて、渡欧を諦めていました。

にとって日本の学生の演奏は、

「へたくそ」

で、

「平凡」

なやつばかりで毎日が退屈で、自分より劣る指揮者志望の学生がドイツに留学することも、エリート専門「江藤塾」というカリスマ教師のハリセンを使ったわけのわからないレッスンにもイライラし、やりきれない思いを抱えながら悶々としているのでした。



千秋真一はたまたま通りかかったレッスン室から流れてくるベートーヴェンのピアノ・ソナタ<悲愴>を耳にします。デタラメなのに、心に響いて耳にとまります。

演奏していたのはピアノ科2年の野田恵(のだめ)。彼女は素晴らしい才能を持っていながら、音楽に対して情熱がありません。

彼女は楽譜を見ながらピアノを弾く習慣がなく、耳で聴いて自分流に自由にそのときの気分でアレンジします。一度聴いたフレーズはどんなに難しくても難なく弾きこなせるタイプのピアニストなのでした。

千秋真一は、ゴミ溜めの部屋で生活していようが、風呂に何日も入らないでいようが、野田恵(のだめ)のピアノのセンスに惹かれていきます。



大学の裏にある、学生にも人気の中華料理屋「裏軒」の息子、ヴァイオリン科2年の峰龍太郎は試験のピアノ伴奏を千秋真一にお願いしたけど、演奏を聴いて、

「へたくそ」

「不愉快だ。帰る」

と言われ断られます。

自尊心を傷つけられた峰龍太郎は偶然出会った野田恵(のだめ)にピアノ伴奏を依頼します。

千秋真一は毎晩、ご飯をねだりに来ていた野田恵(のだめ)が突然来なくなったので、理由を探ると峰龍太郎の伴奏を引き受けていたのでくやしさが爆発します。

その展開の中の130ページ、145ページの野田恵(のだめ)は笑ってしまいます。



峰龍太郎の試験は無事パスします。ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調 作品24<春>の演奏は春なのに……と、試験官を困惑させる演奏はどんな音だったんでしょう。



作者のコメントでピアノを描いていると憎しみを覚えるというのには笑いました。頻繁に描かないといけないので大変だろうな。



二ノ宮知子 のだめカンタービレ 1巻
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2016年1月5日火曜日

新谷かおる QUO VADIS クオ・ヴァディス 7巻

自動車事故、研究所(ラボ)から脱出(ジャンプ)、見つかったカプセルの持ち主。姿を現したイエス。ドキドキ興奮する展開です。


-End of the world-
“本当は…あなたと二人で行きたかったまだ人類が愛というものに縋って未来を信じた時代に”人類存亡の世界を知る教授とオーディン。研究者として志を共にし、未来を切り拓くことを諦めず<過去>へとジャンプしたその瞬間と経緯が明かされる!!すべてが複雑に連鎖していくファンタジック・サーガ待望の第七巻!!


●あらすじ
オーディンの仮説、バートリーへの質問。
樽の流れ着いた場所へ向かうフレイアとオーディン。
アクシデント。
終末の世界にある研究所(ラボ)から脱出(ジャンプ)するフレイアとオーディン、ジョシュアとほかのメンバー。
見つかった棺を懸命に引き上げるサラ。
カプセルにダイブするフレイア。
赤いがフレイアのカプセルでないことが判明。
ジョシュアの記憶。
イエスのことを回想するオーディン。
サラに正体を打ち明けるフレイア。
イエスとアテナの初めて出会い。
オーディンが提案、再びバートリー城へ。
ロンドンの自宅へ戻るフレイアとオーディン。
自宅にだれかが侵入した痕跡。監視カメラを見る。


オーディンとフレイアより一歩先にいるイエス。
「そしてぼくは光になる」
アテナに話した言葉に込められた思いは?面白い展開です。

ポンペイにも姿を見せたイエス。
ジョシュアの何かを手に入れたのかもしれないという可能性も出てきました。
カプセルを自在に操れるし、フレイアとオーディンにも接触してきて続きが待ち遠しいです。
研究所(ラボ)から脱出(ジャンプ)したあと残り5人の行方。
これもイエスが握っているのかな。

サラ・ブライトンはものわかりがよく探究心があり、アーサー・ジェニングスは自身の理解を超えることはあまり気にならないという性格も今後の物語にどうかかわってくるか楽しみです。


新谷かおる QUO VADIS 7巻
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2016年1月4日月曜日

矢沢あい 下弦の月 上

父親が再婚し、新しい母とその連れ子との生活に馴染めない美月。渋谷のストリートでギターを爪弾くアダムという青い瞳の男性と出会い、強く惹かれた。彼にもう一度会いたい美月は…? 時空を超えた魂の愛!



高校生の望月美月は路上で弾き語りをしているアダムに魅了されます。アダムについて行こうと決め、待ち合わせた場所で交通事故に遭ってしまいます。意識が遠のいている間に夢を見ます。



自分が誰なのか。どこへ行こうとしていたのか。どこへ行けばいいのか。何も思い出せません。目の前にひとりの少女が立っています。いなくなった猫を探してます。探していた根が見つかったとたんその少女は美月の目の前から忽然と姿を消します。



小学生の白石蛍は入院しています。いなくなった飼い猫ルルを探して交通事故に遭ってしまいました。入院中テレビの音楽番組を見ていると、EVIL EYE(イーブルアイ)の「Last Quarter(ラスト・クオーター)」という曲が流れていました。蛍はこの曲がどの曲よりもかっこよく感じ、ピアノを習っているからなのか、曲は頭に残っています。だけど、誰が歌っている、何ていう曲かまではしっかり見ていませんでした。



蛍は事故に遭ってから夢を見るようになりました。ルルを見つけたかと思うと、ルルが女の人に変り、その女の人は悲しそうに泣いている、という夢です。

夢で見る女の人は知らない人なのに蛍は鮮明にその顔を覚えています。



退院してからも同じ夢を見続けます。

美月同様、蛍も家庭が温かいとはいえず、蛍の支えとなったのは飼い猫のルルでした。ルルのことが忘れられず、探しに行く蛍。ルルに似た猫を見つけ、ついて行くと、立ち入り禁止と立札がかけられた傷みのひどい洋風の建物の中に入っていったので、入れそうなところを見つけ蛍も建物の中に入っていきました。



いまにもお化けが出てきそうな雰囲気の中、猫を探す蛍。誰もいないはずなのにピアノの音が聴こえてきます。蛍は人がいたことにびっくりし、あわてて建物から出て行こうとするが、耳がピアノの旋律をとらえます。それは入院中テレビから流れていたEVIL EYEのLast Quarterだったのでした。

逃げ出すことも忘れ、誰が弾いているの知りたくなって、ピアノが聴こえる部屋をのぞくと、女の人がピアノを弾いていました。猫が鳴く声でピアノはとまり、蛍の存在に気づき、

「誰?」

と女の人は蛍に声をかけます。

蛍は勝手に家に入ってきたことを謝りながら、女の人の顔を見ると、夢の中で見る女の人なのでびっくりします。

わかっていはいるけれど、自分の夢の話を女の人に話し、覚えていますか? と問いかけると、女の人は、

「覚えてる…猫を探してた女の子…うれしい…もう一度あんたに会いたかった」

と答えます。

蛍は夢じゃなかったと知ります。

蛍は不思議なことに遭遇します。女の人はこの建物から出ることができず、名前、年、住所、家族の顔、友達の顔、なにも思い出せないと泣き出します。

蛍はどうしていいかわからず、自分より大きな身体を抱きしめてあげることしかできませんでした。

蛍は女の人に明日も来ると約束し、女の人は蛍に友達のしるしに指輪をプレゼントしました。

翌朝、蛍は自分の左の中指の指輪を見て、もう一度夢じゃないことを確認しました。

古びた建物に閉じ込められた女の人を蛍は友達に協力してもらって救おうとします。



蛍にしか見えない女の人は誰なのか。小学生の推理と行動でハラハラドキドキする展開が面白いです。



矢沢あい 下弦の月 上
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