最終巻です。
クインタはなぜ悪名を欲しがったのか、秘密が描かれてから大魔女として一生懸命背伸びしていたことがわかり、親しみが持てました。
フィーヨはエマがクインタになることについてどうして容易に受け入れることができたのだろう。クインタとフィーヨの仲について描いて欲しかったな思いました。
ギルロイ教授は人に関心がなく、研究しか興味を示してこなかったのにクインタに出会い接するようになって次第に心を開き、向き合い人間に興味を示していきます。ギルロイ教授の変化が面白かったです。
ジュードはよくわかりませんでした。いろんな人に愛情深い人物なのはわかりました。
ニコル=ニコルはものすごくギルロイ教授に執着していると思っていたら、ダメなら次の恋だとさらっとしていたのが面白かったです。
パメラは先代クインタが自らの命でエマを救ったことがものすごく残念だったんだなと思います。戦ったこともあったと思います。戦いながらいろんな会話を交わした仲なのだろうなと思います。名を上げようと戦いを挑んでくる魔法使いを相手にするのに疲れた先代クインタと挑んでくる魔法使いをことごとく消して、日々の喜びや驚きが少なからずあると生きることを楽しむパメラという二人の魔女を見て300年生きても考えは異なるんだなと思いました。パメラは同じ時間を生きた者としてまだ知らない楽しいことに触れる機会を放棄するのはおかしいと伝えたかったんだろうなと思います。
魔女と研究者が目的地まで旅する物語は信頼できる仲間に出会う面白い作品でした。
行く先々で固定した考えが柔らかくなっていく過程が面白かったです。最後は駆け足で締めくくってしまったのがもったいないです。もう一冊描いて完結してほしかったなと思いました。
クインタはニコル=ニコルに精霊で伝言を送っていてその返事がきます。ギルロイ教授がニコル=ニコルはどこにいるのか訊くと、この近くで医者の世話になっていると言います。
行ってみるとニコル=ニコルはベッドの上でリンゴを食べていました。
肋骨が折れていて、アンブローズとリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドはパメラとやり合って怪我をしたのかと言います。ギルロイ教授がニコルはできる魔女だから大丈夫って言ってたのに全然大丈夫じゃなかったからギルロイ教授に冷たい視線を送ります。
ニコルは私はできる魔女と言い、ジュードに奪われた推薦状を奪い返したとギルロイ教授に見せます。まだ賢者の図書館に行く気はあるのか訊きます。
ギルロイ教授はあると言い、これのために無理をしたニコルに感動しています。ニコルがごほうびにチューしてくれる!? 催促すると、みんなに部屋から出て欲しい、二人で話したいと言います。二人きりになると、俺はクインタが好きだ、と言います。今まで適当にあしらって悪かったと詫びます。ニコルの手の甲にキスします。親愛なるニコル、君の親友にしてくれと言います。
ニコルはずるいと言い仕方ないから友達になってあげると言います。
ギルロイ教授が部屋を出て今度はクインタとニコルで話します。
ニコルは教授をどう思っているのと訊きます。
クインタは別になんともと言おうとして、思い直して、実は好きだと言います。
ニコルは教授を守ってよねと言います。
みんなと部屋に入れて、スコットとロザムンドにパメラがしたことを話します。
クインタは外で一人考えに耽っています。リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドが夕ごはんを食べに行こうと知らせにきます。
クインタは二人にアンブローズとあぶないから帰れ、ここからは全員は守れないからギルロイ教授と私だけで行くと言います。
リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドは即答で断ります。アンブローズとも話して決めたことだと言います。
クインタは旅に出て知らない人に触れ今まで気がつかなかったことに気づかされます。
みんなで最後まで旅をすることになります。
賢者の図書館に到着します。建物の前に大勢の魔法使いがいます。
アンブローズは何があったんですかと訊ねると、大魔女パメラが図書館に立てこもっていると言われます。
ニコル=ニコルは待ち伏せさかと言います。
リンゼイ=オズワルドは登録はできないか訊くと、魔法使いは登録業務なんかやれないと言います。
クインタはパメラと決着をつけるため中に入ると言います。
ギルロイ教授は俺の魔女が勝つとこを特等席で見なくちゃと一緒に行くと言います。
クインタは扉に手をかけます。他の人では開かないよう魔法が施されていたようです。クインタは難なく扉を開きます。
クインタとギルロイ教授とアンブローズとリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドとニコル=ニコルは中に入ります。職員が倒れているのを発見します。外に運び出そうとします。
ギルロイ教授は床が消え階下に落下します。パメラを見つけます。
パメラはギルロイ教授にメモやノートを漁っても研究の核心にたどりつけなくてジュードが困っていると言います。
ギルロイ教授は図書館にたどり着いてたら書きあげるつもりだったと言います。
パメラはジュードはあなたの大事な研究を欲しがっているから頭の中にある秘密を引き出すお手伝いをしてあげると言います。
静かにギルロイ教授に忍びよったジュードが腿に注射します。薬液が半分だけ入ります。
ギルロイ教授は自白剤のようなものかと言います。
ジュードは自白剤ではなく知性をバラバラに壊す薬だと言います。
ギルロイ教授はジュードに蹴りを入れ逃げます。クインタを探します。
クインタは消えたギルロイ教授を探します。広い図書館をどう探せばいいか困惑します。
ギルロイ教授は薬が作用し始めていて思考が落ちていきます。
ジュードがギルロイ教授を見つけます。注射器に残った薬液を打とうとします。
ギルロイ教授はジュードが握っていた注射器をジュードの身体に刺し、残りの液体を全部注入します。
ジュードはパメラの名を叫びます。
クインタはパメラに会います。2人きりで話します。
ジュードは宿でパメラから飲まされた薬とギルロイ教授に打たれた注射が中和して、本来の自分を取り戻します。ポケットに薬液の解毒剤を持っていることを思い出します。ギルロイ教授のところに戻ります。
ギルロイ教授はもうジュードのことも誰だかわからないようです。
ジュードは解毒剤をギルロイ教授に飲ませようとします。
ギルロイ教授は拒みます。
アンブローズとリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドとニコル=ニコルがギルロイ教授を見つけます。
ギルロイ教授はリンゼイ=オズワルドのことがわかりません。
リンゼイはジュードに何を飲ませたのか訊きます。
パメラの命令に従う魔法使いがリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドとニコル=ニコルを攻撃します。
魔法の応酬に本棚が倒れます。ジュードが本の下敷きなります。
ジュードはアンブローズにこの薬を飲ませて欲しいと言います。
アンブローズは疑いの目を向けます。
ジュードはもう1度だけ僕の良心を信じてくれないかと言います。
アンブローズがギルロイ教授を押さえ込んでジュードが解毒剤を飲ませます。
解毒したギルロイ教授は元の状態に戻ります。ジュードと和解します。
ニコル=ニコルはパメラ側につく図書館の警備の魔法使いたちに一緒にパメラを倒さない? と言います。
魔法使いはパメラが恐ろしいからギルロイ教授とジュードを閉架書庫に戻すよう言います。
警備の魔法使いは腕の立つ者ばかりで苦戦しています。
リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドと服を脱ぎだします。囮に使うと言います。
ニコル=ニコルも服を脱ぎます。
フィーヨとツィギーは激しくぶつかり合っています。
パメラは本棚の本が傷みそうなので外でやりなさいと言います。二頭は窓から出て行き、外で暴れます。
クインタはフィーヨがなんであんなにツィギーを嫌ってる? と訊きます。
パメラはだいぶ昔にツィギーがフィーヨの魔角類友達を食べちゃったのよと説明します。
クインタはそんなことがあったのかと言います。
パメラはクインタが何も知らないから教えてあげようと言います。これからゲームをして勝てたら、フィーヨのことか先代「クインタ」のことを1つ教えてあげると言います。
クインタは遊びじゃないと言います。
パメラは成長の見込みがあるから遊んであげるのよと言い返します。クインタの話は聞かず日が暮れるまで館内で鬼ごっこをしようと、自分が鬼で10数えるから逃げなさいと言います。
クインタはパメラの言い方に背筋をゾクッとさせます。正面から戦うよりずっといいとパメラの遊びにつき合います。
パメラは10まで数えると窓から外で暴れているツィギーとフィーヨを眺めます。
クインタは魔法の回数が限られれいるのでパメラの出方を見ています。
パメラは風の精霊を呼び出します。
「この部屋にひそむ者あれば息の根を断て」
笑顔でおそろしい魔法を使います。窓の外から蝶々が入って来ます。室内に入った途端床に落ちてしまいます。
クインタは自身に護身の魔法をかけていて回避します。パメラの呪文になびいてる精霊がいて、クインタになついてた精霊もパメラの呪文に動かされてしまうのを見てパメラの呪文に力があることを知ります。先代クインタから魔力を受け継いで2年間森に隠れ住んで魔法を練習していました。指南書を読むことでしか魔法を学ぶ術がなくて、旅に出てからは他の魔法使いに会い手探りで呪文を身につけてきました。だからパメラの呪文からは学ぶことが多いようです。精霊が聞き惚れるような詠唱はとくに抑揚、息つぎ、朗々と歯ぎれよく、指南書を読んでいてもよく理解できなかったことが、パメラによってはっきりわかるようになります。魔法が楽しくて仕方がなくなります。
リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドは脱いだ服を燃やします。エルマーは燃えている服を踊らせ、リンゼイは燃える服をビリビリに細かくなってあちらこちらに飛ばしていきます。
警備の魔法使いは火が本に移ったら大変だと消火にあたります。水を使うと本が濡れてダメになってしまうので戦うのをやめて消火に専念します。
その隙にギルロイ教授はスペアミントの背に乗り、クインタの所へ行こうとします。
警備の魔法使い全員が消火にあたると思っていたのに、ギルロイ教授を行かせまいとする魔法使いもまだいます。魔法を使って足止めしようとします。
ギルロイ教授はクインタから護身の魔法をかけられているので効きません。クインタを探しに行きます。
クインタはテーブルの下に小さくなって隠れています。
ギルロイ教授はクインタを見つけます。スペアミントに礼を言って、自分もテーブルの下に入りクインタの隣に座ります。ジュードと和解したことを話し、今の状況を訊きます。
クインタはパメラが自分を育てて先代クインタの魔力を自在に扱えるようになって再戦したいみたいで、日没まで鬼ごっこをしていると言います。パメラが大魔女を言われる理由を改めて思い知った、魔法がやっとわかってきた、パメラが魔法に関してたくさんのヒントを持っててすべてが手本になる、そうしたら先代の魔法も見てみたかったと楽しそうに話します。
クインタとギルロイ教授がいい雰囲気になったところでパメラに見つかります。
パメラは風の精霊を呼び出しギルロイ教授を吹っ飛ばします。ギルロイ教授は本棚に背中をぶつけます。
クインタは風の精霊を呼び出します。今までとは違い力に厚みを感じます。
パメラもクインタの魔法の力と質が変わったのを感じます。
フィーヨが図書館に中に戻って来ます。フィーヨはパメラに突進します。
パメラは吹っ飛ばされてしまいます。
クインタはフィーヨの角が折れてなくて安心します。ツィギーはどうなっているのか気になって窓から外を覗いてみます。
ツィギーはフラフラしています。
パメラは、
「フィーヨ あなた ツィギーの角を喰らったわね…?」
と言います。
クインタはフィーヨが角を食べたと言ったので驚きます。もう一度ツィギーをよく見ると、片方の角が折れています。
ツィギーは魔法使いが連れているホラントラーに襲われます。
ギルロイ教授は魔角類の研究家として興味が出て、魔角類が魔法使いと組んでいれば共喰いしないのにとつぶやくと、パメラがツィギーはあちこちで恨みを買いがちな子なのよと言います。
パメラは鬼ごっこを終わりにしてお開きにしましょうかと魔法を発動します。
クインタはパメラが遊ぼうと言ったり、お開きにすると言ったりする勝手さに文句を言います。魔法でパメラの魔法を無効にします。フィーヨがツィギーの角を食べたからかどうかは不明です。はっきりと魔法が調子いいと感じます。
パメラはジュードからの情報ではクインタが使える魔法は1日3回だったはずなのに4回目の魔法なのでいつのまにか上限を増やしているのでのびしろがあるのは気持ちがいいと言います。何回使えるようになったのかしらと魔法を発動します。
クインタは対抗します。フィーヨが再びパメラに突進します。
パメラは何度もくらわないわ、とフィーヨを魔法で動けなくします。同じようにクインタも動けなくします。今日はここまでねと言うと、リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドとニコル=ニコルが魔法を発動し、クインタとフィーヨがいる床をくり抜き階下に落とします。
パメラはニコリと微笑みます。
パメラの表情を見たアンブローズはリンゼイとエルマーの双子の前に立ち、そこまで、約束の離脱と言います。そして、ニコルの腕をつかみ折れたアバラでここまでやれば十分だろうと言い、ギルロイ教授を連れて逃げようとします。
パメラはくり抜かれた床から階下に降ります。
ギルロイ教授はアンブローズの手を離し、俺はここに残ると言い、みんなにありがとうと感謝を伝えます。
アンブローズは大魔女同士の間に入って何かできるとは思えないと言います。
ギルロイ教授はそれでもクインタのところへ急ぎます。途中ジュードに会います。ジュードにクインタとパメラは日没の鐘が鳴るまで鬼ごっこをしていると言います。
ジュードは日没まで聞いて、パメラがいつでも切り上げられると思って余裕があるなと言います。余裕なんて本当はなくて、日没の時間までいられないくせにと言います。パメラには300歳という年齢から活動の限界があって、起きている時間が短く、大量の睡眠を必要とするとギルロイ教授に教えます。今日の起床時間からして日没はギリギリなはずだと言います。
ツィギーが窓のガラスを破って図書館内に入って来ます。
ジュードはツィギーの角が折れていてびっくりしています。
ギルロイ教授はフィーヨが食べたと言います。
ツィギーは他のホラントラーに追われています。若干苦戦しています。
ギルロイ教授は気になるけど行こうと言います。
ジュードはネスター悪い、先に行っててと言います。棒切れを持ってツィギーを襲うホラントラーに振り回し、ツィギーを守ろうとします。しかし、簡単にホラントラーに体当たりされ倒れてしまいます。
ツィギーはジュードを守るように側に立ちます。
ギルロイ教授は大きな音がするほうへ向かいます。
クインタの使える魔法はあと1回なので隠れています。
パメラに見つかり、最後の魔法を使おうか迷っていると、ギルロイ教授が現れ、クインタに魔法を発動しようとするパメラの邪魔をします。
パメラはギルロイ教授を空中高く持ち上げ、床に叩きつけます。
クインタは風の精霊を呼び出し、図書館の本で自分とギルロイ教授を繭のように包み込ませます。ギルロイ教授に声をかけます。
ギルロイ教授はなんとか応答はできるようで、クインタに今の魔法は何回目? と訊きます。
クインタは7回目最後だと言います。本で囲いを作ったのはパメラが本を一切破損させていないから少し時間を稼げるかもしれないと思ったからだと言います。
本の囲いの外でクインタとギルロイ教授の会話を聞いているパメラはため息をつきます。
ギルロイ教授はジャケットのポケットを探ってほしいと言います。
クインタは瓶を見つけます。そこにはロリ―の実が入っています。自分もギルロイ教授にわけてもらったロリーの実を持っていて使おうと思っていたと言います。
ギルロイ教授は気が合うなと言います。
パメラは風の精霊を呼び出し、本で作った繭を壊しにかかります。
クインタはロリ―の実の精霊を呼び出し、
「ロリーの精霊よ! 陶酔と甘く痺れる歌声をパメラに捧げよ!」
と魔法を発動します。
パメラはロリーの実に含まれる麻酔成分を吸いこみます。頭がクラッとして、そのままガクンとしゃがみ込みます。
図書館の外ではアンブローズとリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドとニコル=ニコルが心配そうに図書館を見つめています。
日没の鐘が鳴ります。
パメラはまだ意識があります。ロリーの実で眠りに落ちませんでした。ただ身体が起きていられない状態になります。
「やるじゃない エマちゃん …ほらね 長く生きたら生きたで… いろんな楽しみがあるわけ… なんでクインタには 伝わらなかったのかしらねえ…」
と言い眠りに落ちます。
クインタも倒れる覚悟の1回の魔法を使ったのでそのまま床に力尽きます。クインタはギルロイ教授の前で涙を流します。
ギルロイ教授は、
「…はは 君 やっと俺の前で泣いたな」
と言います。
時が過ぎます。
ギルロイ教授の怪我も完治したようで、クインタとピクニックに出かけています。
皆の近況を話します。
ニコル=ニコルは次の恋に生きると言っています。
アンブローズはマダム=ベルモンドの手伝いをしています。
エルマーはクインタに押し花の栞を送ります。
ジュードは眠り続けるパメラの世話をしています。
ギルロイ教授はクインタに契約の延長を頼みます。ボディーガードというよりもただ一緒にいたい口実のようなものです。
クインタは照れて嬉しそうです。
ギルロイ教授の研究は賢者の図書館に登録されて、どんな魔法使いでも大型化した魔角類に乗ることができるようになります。
フィーヨは手のひらサイズの大きさが気に入っているようです。
終わり。
草川為 世界で一番悪い魔女 7巻
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