2023年4月8日土曜日

音久無 黒伯爵は星を愛でる 3巻

レオンがようやくエスターとの出会いを説明してくれました。

エスターはレオンとの大切な思い出を忘れてしまっていて、早く思い出してあげてと思うばかりです。

巻末にも描かれているように、レオンは下町の街角でエスターに声を掛けた時、エスターがすぐに誰なのかわかってくれると思っていたに違いありません。そりゃ、覚えていないのならレオンはエスターに意地悪のひとつでもしてやりたくなるというものです。

たまたま街角で見つけたエスターではなく、ずっと探し続けていたエスターだったのだと思うと、レオンのエスターに対する強い思いは理解できます。すごく面白い展開でした。




吸血鬼とのたたかいで負傷したレオンは2日眠り続けました。目が覚めると泣きじゃくったエスターが視界に入ります。

エスターはレオンが目覚めて安堵します。


ウィンターソン家では毎年恒例行事としてクリスマスパーティーが行われます。今年はレオンが負傷しているので、執事のノアが中止すべきと言います。レオンが行うと言うと、エスターは準備は私に任せて欲しい言います。レオンはエスターにクリスマスパーティーの準備を任せます。


クリスマスパーティーの準備とレオンの世話をするエスターは毎日楽しそうです。

レオンも毎日エスターがそばにいてくれるのでご機嫌です。

エスターはパーラーメイドのジニーからハーブティーの淹れ方を教わり、レオンにカップを手渡そうとしたところでよろけて、ハーブティーをレオンにかけてしまします。慌てて火傷してはとレオンの寝具を脱がせようとすると、

「さわるなっ」

とレオンはエスターの手を払います。

エスターはびっくりしてしまいます。何か理由があってレオンには踏み込まれたくないものがあるのか、自分は偽物の妻だからある程度のところまでしか入っていけないと感じてしまいます。



翌日、執事のノアはレオンに届いた手紙を持ってきます。一通気になる手紙があるとレオンに手渡します。

レオンが宛名を見るとエルマーと書かれていて、封蝋印はギルバート公爵の紋章です。

エスターを呼びます。

レオンはギルバート公爵からエスターへ手紙が来たので開封して読んだと言います。

エスターはレオンが勝手に手紙を読んだとこにやりすぎたと言います。

レオンの嫉妬は大きくなります。エスターに詰め寄り、

「あなたは私のものだ」

と言います。

エスターは、

「私は物じゃありません そんなふうに扱われるのはいやです」

とはっきり抗議します。

レオンは、

「あなただけは あんな男に奪わせない」

とエスターに口づけします。

エスターはレオンの頬を打ち、部屋を走って出ていきます。

レオンのギルバート公爵の手紙による動揺は相当なものでした。わかっていても抑えきれない。エスターが部屋を去ったあと、ノアに自分の愚かさを吐きだします。



ノアは外出する準備を整えます。

エスターも外出着に着替えていて、ノアに、

「ロンドンへ行くのですよね? 私もご一緒したいのですが」

と言います。

「ダメですね」

ノアは即答で断ります。

エスターは引き下がらず、懸命にお願いをします。

ノアは折れて、エスターをロンドンに連れて行きます。

ロンドンではクリスマスパーティーの子供たちへの贈り物を購入します。

すべて終わり、ノアは少し休憩しましょうと店に入ります。

エスターはノアにレオンのことを話します。

ノアは余計なことは言わず、それとなくエスターの気持ちを探ります。

話していると、エスターの頭にキンと耳鳴りが響きます。近くに吸血鬼がいるようです。

エスターは気配を探ります。背後に吸血鬼の気配を感じます。吸血鬼は立ち上がり、エスターのほうに歩いて来ます。

「やぁ こんばんは エルマー」

声がして見あげると、ギルバート公爵(クリス)でした。

エスターは焦りを隠し、

「ひっ 人違いでは!? 私は女ですよ」

と言います。

クリスは、ぷっ、と吹き出し、

「また それかいエルマー ああ 今夜は『エスター』か」

と言います。

エスターは全部バレていることに驚きます。

エスターはクリスと話します。クリスは女性を連れていて、エスターは、

「…あの 良いのですか? ご一緒の女性がいらっしゃるのでしょう?」

と尋ねると、クリスは女性をアリスと言いエスターに紹介します。女装したアルジャーノンです。アルジャーノンはクリスにそそのかされて、女装して、エスターに会わされてようです。

クリスはぐいぐいエスターを誘惑します。

エスターは驚きます。

アリス(アルジャーノン)は立ち上がり、大きな声で、

「くだらないこと言ってないで もう帰ろうクリス」

と言います。

クリスのことよりもエスターはアリスの声がアルジャーノンに似ていたので注意がすべてアリスに向きます。

アリスは、エスターに「アル」と呼ばれて、ハッとします。

エスターはアリスに話したそうです。

しかし、アリスはエスターを突き放し、店を出ていきます。

エスターはアリスの言葉をもう一度思い返します。

店の外で悲鳴が上がります。どうやら吸血鬼がでたようでクリスはため息をつきながら現場を見に行きます。



クリスは店に戻ってくると、

「うーん まいったね どうやらまた我が同胞がの仕業のようだ」

と言います。そして、エスターに一緒に犯人の吸血鬼を探そうと誘うと、エスターは当然のように付き合おうとします。

ノアがエスターを引き留めます

エスターは、

「このままじゃまた犠牲者が出るかもしれない… やっぱり見過ごすわけにはいかないわ 私が協力できることならやるべきよ」

クリスと共に犯人捜しを始めます。

エスターは集中して能力が発動するのを待ちます。路地に気配を感じ、エスターが入ると気配は感じるのに吸血鬼がいません。

吸血鬼は隠れていました。エスターを狙っています。エスターに飛びかかろうとする寸前で吸血鬼の首が飛びます。

レオンが吸血鬼をやっつけます。レオンがロンドンに来ていました。

「怪我は無いか? エスター」

と手を差し出します。

「立てるか?」

エスターはレオンの手を取らず、胸に飛び込みます。

路地の入口ではノアがピストル、クリスも同胞を始末する体勢を整えていました。

クリスはレオンが現れて予定外だと言います。

レオンはギルバート公爵(クリス)がロンドンに何故いるのかと言うと倒れてしまいます。

ノアはレオンを支え、

「傷も癒えていないのに、ロンドンまで来て剣を振るなど… エスター様のことは私にお任せ下さいと申し上げた筈」

と小言を言います。

レオンは、

「ずっとベッドの上で退屈だったから気分転換だ たまたまロンドンに来たくなって たまたま通りかかっただけだ 勘違いをするな」

とよく分からないことを言います。

ノアはレオンを馬車に運びます。クリスがレオンに触れようとすると振り払われてしまいます。

その様子を見て、エスターはクリスに何か怒らせるようなことをしたのかと聞きます。

クリスはエスターが思いもしなかったことを言います。



クリスは自分の場所に戻ると、馬車の中にいたアルジャーノンはエスターに言い寄るなと言います。

クリスは、エスターを本気で欲しいと思っていると言います。

アルジャーノンはクリスの胸ぐらを掴み、エスターには手を出さない約束じゃないのかと迫ります。

クリスははぐらかすように、返事を避けます。



レオンは目を覚ますとホテルのベッドにいました。

エスターはレオンが目を覚ましてくれたのでうれしくて涙を流します。

レオンはエスターに手を握っていてくれてとお願いします。

エスターは言われた通り手を握り、再び眠りにつくレオンを見ながら、クリスの言ったことを思い出します。そして、レオンがこれまでどんな思いで吸血鬼と対峙してきたかを想像します。


レオンはエスターの手から伝わるあたたかい感触から、遠い昔の記憶を回想します。

両親が吸血鬼に襲われ、邸は火をかけられ、レオンは肩を火傷しつつも使用人達によってロンドンへ逃れます。馬車も恐れ、ロンドンをあてもなく逃げ回ります。力も尽き、あまりの絶望に命を投げ出そうとしていました。

倒れていたレオンを幼いエスターが見つけ家に運びます。


レオンは両親を襲った吸血鬼の顔を見ています。その吸血鬼はギルバート公爵でした。

レオンは目を覚ますとベッドの上にいます。

エスターとアルジャーノンがレオンをじっと見つめています。

エスターは母メグにレオンが目を覚ましたと伝えます。

レオンは吸血鬼に襲われた日、エスター親子に助けられていたのでした。


エスターはレオンが元気になるように気に掛け、励まします。肩の火傷を見て自分のことのように心配します。震えながらレオンを守ろうとします。

レオンはエスターが雷が恐いのもこの時知ります。

ノアがレオンを迎えに来て別れの時、レオンはエスターに、

「また 会いに来るよ きっと君を迎えに来るから そのときはきっと 俺の本当の名を呼んで」

と言います。


レオンはヴァレンタイン伯爵家を建て直し、エスター親子に会いに行くと、部屋は誰も済んでいなくて、行方が分からなくなってしまいました。捜しても見つからず10年以上過ぎてしまします。ある日知らせが入り下町に向かうと、街角で花を売る成長したエスターを見つけます。調べるとエスターは一人で生活していて、レオンは放っておけなくなり、エスターを邸に連れ帰ります。

レオンはエスターがくれたものを今度はあげたいと思って日々エスターと暮らしています。

エスターはレオンの世話を出来る限り自分がするつもりでいます。レオンの身体を拭くのも自分がすると言います。素肌に触れられたくない理由を知りたいようです。

レオンは内緒にしているわけではない、古傷を見てエスターが恐がるといけないからだと説明します。

エスターはこれも自分のためにしてくれたことなのだと知ります。レオンの古傷は見覚えがあるような気がします。しかし、幼い頃の記憶とつながりませんでした。



レオンの傷は癒え、クリスマスパーティーが催されます。無事に楽しい時間が過ぎていきます。

レオンはエスターに感謝し、互いが喜びをかみしめ口づけをします。

続きます。



音久無 黒伯爵は星を愛でる 3巻
(アマゾンのサイトに移動します)

0 件のコメント:

コメントを投稿