レオンの従兄弟ゲイリー(ルーク男爵、赤薔薇)が登場します。
ゲイリーはレオンの叔父リチャードの息子です。父と子で雰囲気が全く違います。
エスターの双子の兄アルジャーノンが登場します。
レオンが探してみても見つからないのは、アルジャーノンが養子となった貴族とは吸血鬼の頂点に立つ、吸血鬼の王と呼ばれる、クリスティアン・V・A・ギルバート(ギルバート公爵)の所へ行ったからなのでした。
クリスティアンを嫌悪するレオンとなぜか気になって目が離せなくなるエスター。
三人を軸に物語が展開していきそうで楽しみです。
レオンの邸にゲイリーがやって来ます。
ゲイリーは見知らぬ女の子が邸にいることに驚きます。
ゲイリーはエスターがダンピール(人間と吸血鬼の混血)の女の子であると知り、レオンとエスターのやりとりを見て、レオンの報われない姿は貴重なので面白がっています。
レオンはエスターにゲイリーを紹介すると、仕事で外出します。
日が暮れ、夕食の時間になってもレオンは戻って来ません。就寝の時間になっても戻ってこず、エスターはレオンの役に立っていないことに気をかけます。
物音がして部屋を出ると、執事のノアがいて、レオンが帰って来た事を知ります。
ノアはレオンはソファで眠っていると言い、エスターはレオンの寝顔を見に行きます。
レオンは人の気配で目を覚まし、エスターだとわかるとそっと引き寄せ、甘い言葉を囁きます。レオンはエスターの手が冷たいので、起きて待っていなくていい、そんな義務はない、睡眠をしっかりとってくれ、と言います。
エスターは、義務、という言葉に引っ掛かりを感じます。務めとして起きていたわけではなく、ただレオンの帰りを待っていたのに、何か心にささくれを感じてしまいます。
翌日もゲイリーはやって来て、養子をとった貴族のリストのうちのひとりに会えるから息子を確認しに行こうと言います。
エスターは養子をとった息子がアルジャーノンかもしれないと期待をふくらませます。
レオンは仕事がつまっていて片付けてから出たいから、エスターに少し待ってくれと言います。
エスターはレオンの仕事の邪魔をしたくなくて、
「いいえっ レオンはどうぞお仕事を!」
と言います。
レオンはエスターの言葉に固まってしまいます。
エスターはゲイリーに、
「私だけ連れて行って貰ってもいいですか?」
と言います。
レオンは不機嫌です。しかし、エスターは、
「ゲイリーも一緒だし ぜんっぜん大丈夫ですっ」
と言います。
レオンは必要とされていない虚しさで少々立腹です。レディーズメイドを同行させることで外出を渋々承諾します。
エスターとゲイリーはロイ男爵主催のバザーに向かいます。
ゲイリーはエスターがレオンと気持ちがうまく通じ合わないことに涙するのを見て、エスターの心情を言葉にしてみせます。
エスターは自分の感情が一体どういうものなのか、わからなかったでのゲイリーの言葉は自分の心情を整理するきっかけとなります。
休憩しようと、ゲイリーはお茶の手配に、エスターとレディーズメイドは四阿に向かいます。
ゲイリーは軽い食事を提供する店を探します。そこでロイ男爵に偶然出くわします。ロイ男爵はゲイリーに新しい息子を紹介します。ゲイリーは探していた息子に会えたのに、アルジャーノンの顔を知らないから、ロイ男爵の息子がアルジャーノンかどうかは判断できません。
ゲイリーはせっかく会えたのに何でもない挨拶をします。
エスターとレディーズメイドは道を間違えたのか、四阿を通り過ぎてしまったのか、旧聖堂に来てしまいました。エスターはせっかくだから礼拝をしようかと中に入ります。
聖堂の中には吸血鬼が潜んでいました。
吸血鬼はエスターとメイドを気絶させます。
意識が戻ったエスターは手足を縛られ、身動きが取れません。
レディーズメイドのアンナはまだ気を失っています。
エスターはなんとかしなくてはと、手首のロープを吸血鬼に気づかれないように切ろうとします。
ゲイリーはお茶の用意を整え、ロイ男爵にも手伝ってもらい、四阿へ向かおうとします。
ゲイリーとロイ男爵がこの辺りは物騒で昔から行方不明事件が頻発していると話していると、会話に入ってくる男性が現れます。
エスターはアンナをかばって吸血鬼に齧られそうになります。その時、聖堂の窓が破られ、扉が蹴り破られます。
レオンとゲイリーが中に入って来ます。ゲイリーとロイ男爵の会話に入ってきたのがレオンでした。旧聖堂の前にエスターのバッグが落ちていたのですぐに事件に巻き込まれてるとわかったようです。
「レオン」
エスターは涙混じりで名を呼びます。
レオンはエスターの手首が縄で縛られているのを見つけます。吸血鬼に対しての怒りの温度が上がります。
破られた窓から陽の光が射しこみ、吸血鬼の肌は光に触れ焼けていきます。
レオンは剣を抜き吸血鬼に迫ります。エスターを縛ったことに激高したレオンは吸血鬼を成敗します。
レオンはエスターを抱きかかえ、四阿へ行き、話しをします。
エスターが話すことにレオンはエスターの思いに変化があったと嬉しそうです。
ロイ男爵の養子はアルジャーノンではありませんでした。
残る一人はシンプソン子爵の養子のみとなりました。シンプソン子爵もロイ男爵主催のバザーに来ていて、エスターは息子を確認出来て、アルジャーノンではないことがわかりました。
リストの中にアルジャーノンはおらず、次の手を考えなくてはいけなくなりました。
エスターは舞踏会に出るためダンス練習に励んでいます。
エスターがアルジャーノンの捜索の手がかりがなくなり、気落ちしているかと、ゲイリーが誘ったのです。
しかし、ゲイリーはエスターに舞踏会当日に着る衣装についてある提案をします。
舞踏会当日。
レオンは仕度が出来たエスターの部屋に行くと驚いてしまいます。
エスターはウィッグをかぶり、男装で立っています。
エスターは鏡で見て、
「なんか… アルにそっくりになりました…」
とつぶやいています。
レオンは不貞腐れています。エスターと舞踏会で踊る気満々だったようです。
舞踏会が開かれる邸に到着します。
レオンとゲイリーはすぐに参加者の目に留まり、各々が賛辞を送っています。
エスターは初めての雰囲気に辺りをキョロキョロ見回しています。
どこからか、
「きゃあっっ 黒薔薇様よ!」
という声が聞こえてきます。レオンの表情は一気に不快になります。
エスターの頭にキーンという耳鳴りが響きます。
現れたのは吸血鬼です。エスターはレオンに知らせようとします。
レオンはわかっていると、エスターを隠すように立ちます。
吸血鬼はまっすぐレオンに向かって歩いて来ます。
レオンは吸血鬼を公爵閣下と呼びます。
吸血鬼はレオンと話したいというより、エスターに興味があるようです。
吸血鬼がエスターに話しかけようとすると、レオンとゲイリーがエスターの前に立ち遮ります。
「ははっ そんなに睨まないでよ じゃ またあとでね」
と言い吸血鬼はその場を去ります。
ゲイリーは大きく息を吐き、レオンに吹っ掛けてくれるな、と言います。
エスターはレオンに吸血鬼なのに放っておくのですかと尋ねます。
レオンは協定があるからと応えます。吸血鬼の名はクリスティアン・V・A・ギルバート(ギルバート公爵)と言います。そして、
「この世に蔓延る吸血鬼の頂点に立つ者… いわば 吸血鬼の王だ」
と説明します。だから無闇に近づくなと言います。
しかし、エスターの視線はギルバート公爵閣下に釘づけです。
ダンスが始まります。
エスターはただ見てるだけで、参加できず、レオンが他の女性と踊るのを見ていると気持ちが滅入ってきて外に出ていきます。
エスターは胸が痛くなるような、苦しいような気持ちになるのかわからなくて落ち込みます。
悲鳴がきこえてきます。聞こえて来た方に行ってみると、ギルバート公爵がいました。
レオンはエスターがいないことに気がつき、ゲイリーとともにエスターを探そうとします。そこに、
「失礼します ヴァレンタイン伯爵 お連れのエルマー様が体調を崩されたご様子でして 只今別室でお休みなのですが…」
と言われ、レオンはエスターのところまで案内するように言います。
エスターはギルバート公爵と話していると、この舞踏会の会場に吸血鬼ハンター一族当主の襲撃計画があると知らされます。
エスターはすぐにレオンを探しに行きます。
案内された部屋は吸血鬼でいっぱいで、レオンとゲイリーは罠にはめられたと気がつきます。
エスターは能力を使って懸命にレオンを探します。
なんとか吸血鬼を探り当て、部屋に入ると、レオンとゲイリーは息が乱れつつも吸血鬼をやっつけていました。
レオンはギルバート公爵に怒りを隠さず罵ります。エスターの無事を確認すると馬車に乗り邸に戻ります。
ギルバート公爵は執事に後の処理を任せ、馬車に戻ります。
馬車の中ではアルジャーノンがギルバートが戻るのを待っていました。
レオンは邸に戻ると、エスターを着替えさせます。
着替えて、レオンのところに行くと、
「私と 踊って頂けませんか?」
とレオンはエスターをダンスに誘います。
エスターはレオンとは上手く踊れません。ギルバート公爵とは上手く踊れたのにどうして? と涙をこぼします。
レオンがエスターを抱きしめ、キスしようと唇が触れる直前で倒れてしまいます。
びっくりするエスターのところに執事のノアがやって来て、
「そろそろ限界のようですね」
と吸血鬼に刺されたことを明かします。
限界のはずなのに、レオンはエスターがギルバート公爵と何をしていたのかまだ聞いていないと意識が途切れないように頑張っています。
続きます。
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