中学最後の夏が来る。
合唱コンクール――――本番直前。
着々と迫る「その日」を目指し、練習に励む少年少女たち。
しかし両者の間の小さな亀裂は少しずつ不協和音を奏で始めて…
舞台はついに、五島から佐世保へ。
第二幕、青く切なく、鮮やかに。
柏木先生は合唱部部員にNコンの自由曲について話し合うように言います。待つ間ピアノを弾いています。
多数決がとられて柏木先生の未完成の曲に決まります。歌詞は仲村ナズナが担当します。
ナズナは屋上でひとり休んでいます。
辻エリがやって来てナズナに弱音を吐きます。
2年の福永リョウコが慌てた様子でやって来て、男子がケンカしていると言います。
向井ケイスケと篠崎が殴り合いをして窓ガラスを割ってしまいます。
長谷川コトミは割れたガラスを掃除します。
エリは限界かも知れんねと言います。
翌日ケイスケは桑原サトルを遊びに誘います。今度の日曜日三田村リクの柔道の試合があるので観に行こうと言います。
放課後サトルは部活のため音楽室に行きます。覚悟して音楽室に入ったのにケイスケと篠崎は仲良く談笑しています。それを見たサトルは安心したものの、合唱部の雰囲気の変化に気がつきます。女子が男子を見る視線に冷たいものを感じるし、ケイスケと篠崎のケンカの理由はわからないままです。
日曜日。サトルとケイスケはリクの柔道の試合を観に行きます。
リクの圧勝です。
試合を終え、サトルとケイスケとリクでラーメン屋に入ります。
三人は進路について話します。
リクは離れたところに住んでいて帰りのバスを待つ間、サトルはリクの帰る方向に長谷川コトミも住んでいることを知ります。
ケイスケは神木先輩も同じ地区だと言います。
サトルはどうして1年先輩の神木の名前が出るのか不思議そうです。
ケイスケはコトミと神木が付き合っていたと言います。今はどうか知らないとも言います。
サトルは驚きます。
家に帰りサトルは失恋でもしたかのように落ち込みます。進路の話をしたこともあって自分が何の為に生まれてきて、将来どのようになるのか考えます。そして、合唱部の宿題の作文にとりかかります。
翌日エリと女子部員は職員室に行き、柏木先生にケンカの話をして、Nコンには女声三部合唱に切り替えるべきだと言います。
柏木先生は混声合唱をがんばって得られる感動があるからと説得します。
エリは混声合唱を受け入れます。
ナズナの幼少期の出来事が描かれます。
ナズナは学校へ行き、柏木先生と曲の歌詞を考えます。
柏木先生の高校の思い出が語られます。
柏木先生は先日のケイスケと篠崎のケンカの原因を話します。
ナズナは驚きます。
サトルは図書室で自由曲の歌詞を考えています。パーテーション越しにコトミを見つけます。慌てて頭を伏せ隠れようとします。音がしたので見てみると、コトミが隣の席に来ていて、じっとサトルを見つめています。
サトルはビックリします。1年生の時コトミのつぶやきを聞いていたのに寝たフリをしていたことがバレていたこと、その時に言った誰にも言わないでというお願いを守って黙っていてくれたことに感謝してるといったことを話します。
コトミはサトルの書きかけの歌詞を見せてと言います。
サトルは目の前で読まれるのは恥ずかしいから離れたところで読んでほしいと言います。
すぐ読み終えそうなのにコトミがなかなか戻って来ません。サトルはどうしたのかなと考えていると昨夜原稿用紙をノートに挟んだことを思い出し、コトミのところへ急ぎます。
コトミは原稿用紙読んでいました。サトルが来たことに気づきます。申し訳ない表情で読んではいけないとわかっているのに読んでしまった、ごめんなさいと言います。
サトルは兄がいないなんてウソついてごめん、キモチ悪い文章だったでしょうと言います。
コトミは全力で否定します。
「誰にも…… 言わんけん…」
と言います。
空が暗くなってきて雨が降りそうだからとケイスケは部活をサボろうとします。
エリはケイスケが帰るのを引きとめます。
エリは男子と練習を始めます。すぐに雨が降りだします。
ケイスケは練習に集中しません。篠崎はケイタイばかり見ています。
エリはいい加減にしてと怒り、音楽室を出ていきます。
パート練習していた女子が戻ってきて、男子は柏木先生と女子に事情を説明します。
柏木先生はとりあえずエリを探そうといいます。
エリが戻ってきます。全身ずぶ濡れです。
柏木先生はドコ行ってたと訊きます。
エリはちょっと屋上で頭を冷やしてましたと応えます。
男子はエリに謝ります。
エリは怒っています。
全体練習をこなして部活が終了します。
翌日エリは風邪を引いて学校を休みます。
翌日の部活は散々なものでした。
男子と女子の溝は修復できないものになります。
翌日、ケイスケはナズナからエリが今日も休んでいる、戻ってきたら謝りなさいよと言われます。
ケイスケは職員室に行き、柏木先生にNコンは女子だけで出た方がいいと言います。
柏木先生は悪いと思っているなら今頑張りなさい、放り出すことが責任取ることだとか思ってたら、ロクな大人になれないぞと言います。
ケイスケは1組の教室に行きサトルとリクに昼休み奇跡の場所に集合と言います。
ナズナは昼休みサトルに会いに1組の教室に行きます。
柏木先生からナズナが埋められなかった歌詞の部分をサトルが書いた言葉を採用しようと思うと言われます。サトルに伝えておいてほしいと言われたのでした。
1組の教室に行くとサトルはいなくて、女子に訊ねるとケイスケとリクと何人かの男子で出ていったと言われます。
ナズナはサトルを探します。合唱部の男子を見つけます。海の方へ行こうとしているのであとをつけます。
ナズナはエリに電話します。男子は海で練習していました。その声をエリに聴かせます。
エリはうれしそうです。
翌日エリは学校に来ます。キーボードを持って音楽室に入ると男子が一列に並んでエリを待っていました。ケイスケは今まで迷惑をかけて悪かった、これからはまじめに練習するから指導をよろしくと頭を下げます。
エリは、はい、と言います。
休憩中はこれまで通り男子はじゃれ合って遊んでいます。
部活を終え帰り道、ナズナはケイスケを見つけます。
ナズナはどうして急にやる気になったの? と訊きます。
ケイスケは理由を話し、男子もエリの合唱に対する思いをしっかりわかっていると言います。
柏木先生は自由曲の曲名を決めようと言います。みんなに何かあるかと訊き、ないなら考えていた案があると言います。
「くちびるに歌を」
松山先生が言ってたやつを曲名にしようと言います。
エリとナズナは、あります、と言います。
柏木先生は世の中には同じタイトルの曲なんていっぱいあるから問題ないといいます。
自由曲の曲名は「くちびるに歌を!」になります。
6月に入り自由曲の練習に時間の多くが割かれます。
男子は自主練習を続けています。
課題曲と自由曲ともに完成度を高めていきあっという間に1か月が過ぎます。
7月に入ります。
2年生部員が職員室で不穏な噂を耳にします。松山先生が心臓が弱く出産が危険だというのです。
部員は驚きます。
松山先生がやって来ます。
松山先生の様子を見て元気そうだから大丈夫なんじゃないかと言います。
職員室で聞いた噂を心配していると、エリが心配ない、大丈夫だと言います。
ナズナはエリがずっと前からその噂を知っていたのだと確信します。でも黙っておくことにします。
コトミは一人廊下を歩いています。図書館の時のように悩み事が解決せずひとりになって考えたいようです。窓から顔を出しため息をつきます。外壁に体を預けて本を読んでいるサトルに気がつきます。こんな所で読書? と訊きます。
サトルはコトミが窓から覗いているのでびっくりします。日陰で涼しいからと応えます。
コトミは一学期終わったね、夏休みはどこか行くの? と訊きます。
サトルはNコンが終わったら何も… と応えます。
コトミはケイスケやリクとどこか出かけたりしないの? と訊きます。
サトルは二人とも仲のいい友達いるだろうから… と応えます。
コトミは三人はソテツの前辺りでよく見かけるからもっと仲がいいと思っていたと言います。
サトルは動揺します。
コトミは先輩からソテツの前を「奇跡の場所」と呼んでいると聞いています。
サトルはコトミが奇跡の場所を知っているという恥ずかしさより、先輩という言葉に感情を持っていかれていて、先輩っていうのは神木先輩のなのと訊きます。
コトミはサトルが神木先輩を知っているのが意外だという表情です。
サトルは踏み込んで、付き合っているの? と訊きます。
コトミはそうね、と応えます。サトルがどんな人? と訊くと、女たらしだと応えます。
サトルは聞き逃してしまい、もう一度聞き返します。立ち上がるとコトミはもういませんでした。
サトルは音楽室に行きます。コトミがいつもと変わらない様子で女子と会話しています。
終業式からNコンまであっという間に過ぎていきます。
柏木先生はNコン長崎県大会当日までの予定をプリントにして配ります。明日のフェリーの時間に遅れないようにと言います。
夜、サトルは準備をします。
母親は明後日のNコンを観に行くと言います。
サトルは兄はどうするの? と言います。
母親は連れて行くと言います。
ナズナの家には父親が電話をかけてきています。
ケイスケは緊張しているようです。
エリは松山先生の心配をしています。
ことみは宿題の作文を仕上げています。
翌日、フェリーに乗り佐世保に到着します。
ナズナは父親にバッタリ出会うかもしれないと心配しています。
ケイスケは元気がなさそうなナズナにちょっかいを出します。Nコンに向けて緊張していると思っているみたいです。
ナズナの父親らしき人物がナズナを見つけます。
ホテルに到着し、休憩した後練習をします。夕食までの時間は自由時間になりそれぞれやりたいことをします。
エリは何か目的がありそうで出掛けます。
リクは佐世保バーガーを食べに行きます。
サトルは部屋で本を読みます。
ケイスケは用があると一人で行動します。
ケイスケはナズナを呼び出します。
ナズナは告白かも知れないと思って待ち合わせ場所に行きます。
ケイスケは告白しよと思うと言います。
ナズナは話を聞いていると相手は自分ではないことがわかります。協力すると言います。
コトミはサトルの部屋に訪れます。行きたいところがあるから付き合って欲しいと言います。行き先を聞いても引き返さないでほしいと前置きし、神木先輩の所に行きたいと言います。
サトルは断りたいのに、コトミのすがるような表情を見て引き受けます。
道に迷い、神木先輩の住む家を見つけます。
コトミはインターフォンを鳴らします。
サトルは慌てて、じゃあ僕はこれでと立ち去ろうとします。
コトミはサトルにお願いもう少しだけ一緒にいてと言います。
サトルはあまりに切羽詰まった様子でお願いするので、ここで待ってると言います。
コトミは何かあったら助けてねと意味深なことを言って家に入ります。
サトルはコトミが出てくるのを待ちます。コトミと神木先輩が部屋の中で何をしているのか想像すると胸が苦しくてどうしようもなくなります。
コトミが入った家の2階の窓ガラスが割れます。神木先輩らしき声とドンッという音が聞こえます。サトルは家に急ぎます。
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