2024年3月14日木曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 14巻

最終巻です。

墨の濃淡や、かすれ、行間やリズムで書を見る人に書き手の思いを伝えることが心が震えるほど感動するなんて思いもしませんでした。

言葉と同じくらい字に感情が込められていることもこの作品を通じて知ることができました。

前衛書はよくわかりませんでした。衝動を表現しているのかな、再現性はあるのかな、ぼんやりしている書だなと思いました。

望月結希は大江縁の気持ちに高校生の間に気づくのかな、気づかないだろうな。ただずっと張り合っているんだろうな、縁はそんな望月が好きなんだろうな、二人の仲は当分そういう関係が続きそうです。

面白い作品でした。




鈴里高校と鵠沼学園の合同夏合宿最後の夜、二度めの「書の甲子園」の作品に徹夜で挑むユカリ!!

そして、この夏合宿で書き上げた作品を最後に、書道部を辞めて柔道部に専念することになる結希の本心は…!?

文科系青春コメディー、これにて完結!!!!




望月はずっと同じ姿勢で書き続けて疲れを感じます。少し手を休め、肩を回しながら、気になる縁を見ます。

縁は影山先生と構成について話しています。

望月は縁が昨夜の状態を引きずらず、やる気になっているので、少し安心します。席を立ち部屋を出るのに縁の近くを通ると、縁は望月が近づいてきたので、慌てて作品に書く言葉を隠します。

望月は縁が文章を隠すので、なんで見せたくないのかわからず、怒りを感じます。

影山先生も縁が文章を隠そうとしているのがわかり、サプライズっぽく完成してから皆に見せたいのかと訊きます。

縁は曖昧に返事をします。



三浦清風先生は生徒に出来上がった者から作品を持ってきなさいと言います。

鵠沼学園の日野よしみと見城美弥子は一緒に持っていきます。

三浦先生はいい出来だとほめて、二人とも書の甲子園でもいい評価を得るだろうと言います。

続いて、日野ひろみが作品を持ってきます。

三浦先生はひろみの作品もいい出来だとほめます。

見城もひろみの作品を素敵だと言います。

日野ひろみと見城美弥子の会話に笠置亜紀子も縁のおばあちゃん大江英子と良い影響を与え合う関係だったと昔の記憶を思い起こします。



望月は作品を書き上げ手応えを感じます。

三輪と加茂はこの合宿中に書き上げられそうにないから、学校で完成させるつもりだと言います。縁も完成できないだろうと言います。

望月は縁を見ます。

縁は望月に声をかけられると急いで文章を隠します。

望月は縁がいちいち文章を隠すので、少しトゲトゲしいものの言い方で、合宿中に完成させるのをあきらめてるんでしょうと説教っぽく言います。自分は書き上げてこれから三浦先生に見せに行くと言うと、縁に見せてほしいと言われます。望月は先に三浦先生に見てもらってからといい、部屋を出ていきます。



宮田は縁と望月の会話を聞いていました。部屋を出た望月を呼び止めます。縁がなぜあんなに時間をかけているのか、その理由を明かします。

望月は驚きます。



縁は構成を決めます。あとはどんな字にするかです。



望月が作品をもって三浦先生のいある部屋に行くと、ちょうど勅使河原が書き上げた作品を三浦先生に見てもらっていました。

続いて三浦先生は望月の作品を見ます。なかなかよく書けていると言います。楷書がここまで書けたらどこへ行っても自分は書を学んでいたと胸を張って言えるとほめます。

望月は三浦先生の言葉に涙ぐみます。ありがとうごさいました、と感謝の気持ちを伝えます。



三浦先生は11時になるので広間にいる生徒たちに片付けをさせないとと言います。

影山先生がやって来ます。大江縁が徹夜で作品を書きたいと言っていると許可を求めに来ました。



広間では片付けが始まります。

縁にはこのまま引き続き書いていていいという許可がおります。

三浦先生は縁に助言をします。

縁は作意ではない純粋な気持ちで書くことを目指します。望月の書いた作品を見せてもらいます。全体的にはきれいで、一字一字とても力強いし生き生きしてると感想を言います。

皆広間から出ていき、縁は影山先生に見守られ書に向かいます。



望月は縁が気になって眠れません。縁が自分に見せたい全力を込めた書はいったいどんなものかずっと考えています。



縁は書く姿勢、気持ちについて影山先生に訊ねます。

影山先生は縁が学んだ一年と四ヶ月の全てを込めればいいと助言します。

縁は素直な気持ちで一筆一筆で意味を噛みしめながら書きます。



望月は目を覚ますと外が明るくなっているので、縁が書いている広間へ行きます。

縁は眠っています。

望月は作品を探します。




迷いながら

ぶつかりながら

揺れながら

過ごした日々を

いとしく思う




文章はこのように書かれています。



日野、加茂、三輪も目を覚まし縁のいる広間に向かいます。途中、三浦先生と会い四人で向かいます。

部屋のふすまを開けると望月が立っています。

日野と加茂が望月と呼ぶと、望月はシッ!と言い縁が寝ていることを知らせます。

加茂が作品は? と言うと、望月はアレです、と作品を示します。

日野と加茂と三輪は作品を見ます。

縁の完成した書を見たとたん、これまでの高校生活の記憶がよみがえり、感情がこみ上げてきて、涙がこぼれます。

日野と加茂と三輪は、初めは三人だけだった書道部の部活、それはそれで楽しかったみたいです。それから、縁と望月が入部してからさらに活動が面白くなっていったひとつひとつの出来事を思い出しているようです。



三浦先生はついにやったか、ともう少しだけ寝かせておいてやろうと言います。

望月は三浦先生に質問します。この作品はなぜ横書きにしたのかという疑問です。

三浦先生は、「ながら」なのだろうと答えます。

日野は望月を見てうれしそうにしています。



広間を出て、三輪は三浦先生の言葉について話します。

「ついにやったか」

って最高のほめ言葉なんじゃない? って皆に問いかけます。

日野はそうかもれない、それよりも私はさっきの望月さんにもっと驚いた、と言います。望月に書に対する観察力が身についていることがうれしいようです。



朝の座禅、大掃除を終え、合宿が終了となり解散します。

縁は勅使河原と話しをして別れ、鈴里高校書道部の皆と最寄り駅まで歩いて行きます。

望月は合宿所から自宅が近いのでここから歩いて帰ると言います。それではと礼をして、縁を強い視線で見つめてから犬のピースと帰っていきます。

縁は皆に望月の書道部の活動はこれが最後になるから何も言わなくていいんですかと言います。

加茂が望月を呼びます。しかし、望月に声は届かず行ってしまいます。



望月は軽く走りながら、縁の書の文章を口ずさみます。急に立ち止まります。ピースが望月の顔を見上げます。望月の目から涙が流れています。

あれ? なんだ? これ? と自然とこぼれる涙の意味が何なのかわからないでいます。



望月は柔道部で練習に励んでいます。

柔道場に加茂と三輪がやって来て、望月に書いた「楽毅論(がくきろん)」をそのまま書の甲子園に出す気なのか? と訊きます。

三輪も締め切りは9月15日でまだ時間があり、ホントにあの「楽毅論」でいいの、後悔しない? と書道部の活動への未練をくすぐろうとします。

望月は後悔なんてしません! 自信作ですと言います。

日野部長と縁がやって来て、加茂と三輪に望月を困らせるなと叱ります。望月に練習の邪魔をしてごめんなさいと謝って柔道場を出て行きます。

縁は望月と目が合ったので、笑顔を作って見つめます。

望月はすぐに縁に背を向けてしまいます。

縁は何か反応してほしかったのに無視されたように感じ落胆します。



書道部の教室に戻ります。

加茂と三輪はやる気がおこらなくて、ダラダラしています。

島と羽生は書の甲子園に出す作品を書いています。

日野は加茂と三輪に一年生が頑張っているから、二人よりいい作品ができちゃったりしてとからかいます。

縁は望月がいない書道部はどこか活気がなくさみしく感じています。



夏休みが終わります。

加茂と三輪と島と羽生は作品を書き上げます。

望月は書道部に顔を出すことはありません。



二学期。

三輪の教室に望月がやって来ます。

望月は相談したいことがあると言います。



書道部部活

出来上がった作品を皆で見ます。

縁のおばあちゃん大江英子先生も来て、加茂と三輪の作品を見てとてもよく書けてるとほめます。

三年生の日野と加茂と三輪はこれで書道部の活動は終わりです。

縁と島と羽生の三人だけになってしまいます。縁が次の部長になります。部員集めをしないといけないと言います。



一週間後、望月の柔道の試合が行われます。

決勝戦、望月は顧問の島田先生にこの試合に勝ったら柔道部と書道部のかけもちをもう一度認めると約束してほしいと言います。

島田先生は柔道に専念すると約束したはずだと言います。

望月は三輪から教わった交渉術で試合に勝てば認めると言わせます。

試合に勝ち、望月は柔道部と書道部のかけもち勝ち取ります。



理事長と校長が話しをして、柔道部部員の希望者に書道部の活動を認めます。

急に書道部の部員が増え、廃部の危機を逃れ部員集めをする必要がなくなります。

縁は入ってきた柔道部の人達に書道のおもしろさを知ってもらえるよう工夫しなくてはと影山先生と話します。



11月下旬。

書道部の教室に久しぶりに日野と加茂と三輪が姿を見せます。

影山先生から書の甲子園の結果の通知が来たと連絡があったと言います。

影山先生が教室に入って来ます。ため息をひとつして、部員7人全員が入選したと報告します。信じられないことに鈴里高校書道部が県内トップの成績になったと言います。

縁の作品が大賞を、日野の作品が準大賞、島の作品が優秀賞、望月の作品が秀作賞、加茂と三輪と羽生が入選したと言います。



影山先生が新聞社の取材に困っているのは、書道部部員全員が入選するための指導方法について質問されたときだと思います。

生徒が成長したのは縁のおばあちゃんと三浦先生の指導、他校の書道部との交流よるものが大きいから、何と答えればいいか迷っているはずです。



鈴里高校書道部は書の甲子園の入選した作品を展示している大阪市立美術館に行きます。

場所を移動して表彰式があり、席上揮毫が行われます。

望月は一条毅を見つけ話をします。合宿で話しかけてやめたことについてです。そして、書道部をやめて柔道に専念する予定だったのに縁の作品を見て感動したことがくやしくて、書道を続けたいと思ったことなどについて話します。



席上揮毫に縁が出るのに望月も一緒に登場し、二人で合作することになります。

書き上げたのち、インタビューが行われ、縁、望月それぞれが応えます。

続いて一条が登場します。

表彰式が終了します。

縁は一条と握手し、別れます。



春。

3年生が卒業します。

日野は縁に自分と同じ東都文化大の書道科に進まないかと誘います。

縁は考えてみます、と応えます。

日野は考えてみて、縁の書く書がとっても大好きだから! と言います。

望月が反応します。私も東都文化大に入れますから! と急に言います。

加茂と三輪と島と羽生が望月をからかいます。



エピローグ

鈴里高校書道部が書道パフォーマンス甲子園に参加します。

終わりです。



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