2024年3月30日土曜日

草川為 世界で一番悪い魔女 5巻

ジュードはギルロイ教授の研究チームの一員として協力していたのに、ある日突然ギルロイ教授が姿を消してしまったことで彼にとっての自分の存在はこの程度なのかと失望してしまいます。

ジュードが何をしたいのかまだわかりません。ただギルロイ教授の邪魔をしてやりたいだけのようにも見えます。

ジュードは優しい人間で、悪人になりきれないから決断に勢いが足りないなと感じます。




3人目の推薦人の家に到着します。

ギルロイ教授は張り紙を見つけ、嘆きます。




ギルロイ教授へ

私に用があるとしてもお断りだ 君と関わって2人住居を失ったと聞く 私はコレクターだ 家には大切なコレクションがある 帰れ!




アンブローズとマダム=ベルモンドの館の件が伝わっていたのでした。

クインタは他を当たるしかないんじゃないかと言います。

ギルロイ教授は自分には羨望はあっても人望はないと他に推薦状を書いてくれる人物はいないと言います。

マダム=ベルモンドの館に戻ります。



グレイは館を元の場所に戻すため大人数の魔法使いと共に作業にあたっています。

クインタとギルロイ教授とジュードが戻ります。

アンブローズはギルロイ教授にマダム=ベルモンドから預かっている推薦状を渡します。

ギルロイ教授は気持ちが沈んでいます。

アンブローズは喜べよ、これで残るはあと1通だろと言います。

ギルロイ教授は3人目から推薦を断られたから誰か紹介してほしいと言います。

アンブローズはこれ以上は力になれないと言います。

ニコル=ニコルは友達に頼んでようかと言います。風の精霊を呼び出し友達に使いを送ります。

ニコル=ニコルの友達に心当たりがあるアンブローズはリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドにやっぱりギルロイ教授に同行すると言います。



ニコル=ニコルの友達に会うために待ち合わせ場所に行きます。

待ち合わせ場所に来たのはニコル=ニコルの友達タルラとその恋人ジーン=パリーです。

アンブローズの予感は当たります。待ち合わせ場所に来たのがジーンなので挨拶します。ジーンは親が決めた婚約者です。

ギルロイ教授はジーンに推薦状書いて欲しいと言います。

ジーンは交換条件を飲めば推薦状を書くといいます。条件とはアンブローズとの婚約を破棄するというものです。

アンブローズとジーンは明日会うときに返事をすると言い別れます。

クインタはタルラと話し、ギルロイ教授に恋していることをはっきりと認識します。



夜、宿に泊まります。

クインタとギルロイ教授は推薦状が手に入るかどうかはアンブローズ次第だからできることはなく、明日に備えてよく寝ることくらいだと言って、部屋に向かいます。

クインタとギルロイ教授の部屋にはすでにニコル=ニコルが待機していて今夜は男女別々になったと言います。

ギルロイ教授は鍵を受け取り部屋を出ます。別れ際のクインタとギルロイ教授の会話が面白いです。



ギルロイ教授は部屋に行くとまず自分の荷物を調べます。ジュードを疑っていて資料などを荒らされていないか確かめます。荒らされた形跡が見つからず、疑心暗鬼になりすぎているかもしれないと思います。

ジュードはギルロイ教授に疑われることをしています。ギルロイ教授の資料をあさり完璧に戻しておいたようです。どうしてもギルロイ教授の発見である魔角類を人為的に巨大化させるその具体的な方法を知りたいようです。宿内の食堂にいるアンブローズを見つけ一緒に飲みます。発見の中身を知るにはもう少し時間が必要で、ギルロイ教授が推薦状をそろえるのは困るのでアンブローズに仕掛けます。



翌朝、リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドがクインタとニコル=ニコルの部屋にやって来ます。

リンゼイ=オズワルドはアンブローズがいなくなったと言います。

クインタはどこか遊びに行っているんじゃないかと言います。

ニコル=ニコルはめんどくさくなって逃げたんじゃないかと言います。

リンゼイ=オズワルドはぷんぷん怒ります。絶対何かあるから一緒に探して欲しいと言います。



クインタはギルロイ教授に事情を説明しアンブローズを探しに出かけます。



アンブローズは目を覚ますと森の中にいるのでびっくりしています。食堂での記憶を探ります。しかしうまく思い出せません。リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドが心配しているだろうから早く宿に戻ろうとします。

歩くと道に出て人に、宿の場所を訊ねます。

宿に行くと、正面の外観が昨日見た建物とは違います。ここじゃないと言うと、この村の宿はここ一軒だよと言われます。一応中に入り台帳を調べ名前がないことを確認します。地図を見つけます。見てみると昨日いたところと全然違う場所にいることがわかります。



クインタとリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドはアンブローズを探しています。

ギルロイ教授はアンブローズの行方を探るため聞き込みに行きます。



アンブローズはどうあがいても今いる場所から昨日までいた村に行くには遠すぎてジーンとの交渉まで間に合わないと考えます。しかし、行けるだけ行こうと歩き始めます。リンゼイ=オズワルドが困ったときのためにネクタイの中にお金を仕込んでくれていたことを思い出し、そのお金で馬車に乗ろうとします。



ギルロイ教授は宿の食堂に行き聞き込みをします。食堂にパメラらしき魔女がいたことをつかみます。



アンブローズは馬車の値段交渉をします。足元を見られ高値を吹っ掛けられます。



ギルロイ教授はクインタに会い、宿にパメラかもしれない魔女がいて、アンブローズは魔女にさらわれたかもしれないと言います。



アンブローズは魔女に出会い、みんながいる村に連れて行ってもらいます。途中魔女に落下防止の魔法をかけてもらった拍子に昨夜の記憶を思い出します。食堂にパメラがいました。ジュードとパメラは知った仲のように見え二人の関係を考えます。



クインタはホラントラー(魔角類)の脚を見つけます。

ギルロイ教授は脚を見て、このホラントラーを連れていた魔女について考えます。

アンブローズが帰ってきます。アンブローズはジーンとの待ち合わせ場所に急ごうと言います。



宿に戻ってきたアンブローズを見てジュードは驚きます。

アンブローズはジュードにあとで話そうと言います。



アンブローズはジーンに会い交換条件を受けると言います。

ギルロイ教授はジーンから推薦状を受け取ります。

アンブローズとジーンは婚約破棄についての相談をします。ガーデンパーティーに参加して両親の前でアンブローズといい仲の女の子に乱入してもらいに修羅場を演じようということになり、恋人役はクインタに任せられます。



翌日、ガーデンパーティーでクインタは自分の思いを絡めて見事に恋人役を演じます。

ジュードが裏切ります。ギルロイ教授の持っていた推薦状を奪います。ます。

パメラが現れます。パメラはギルロイ教授を守ろうとするクインタを妨害します。動けなくしたクインタにプレゼントだと小さな箱を置いて、ジュードと去ります。



草川為 世界で一番悪い魔女 5巻
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2024年3月28日木曜日

草川為 世界で一番悪い魔女 4巻


クインタと同格のパメラが再び登場してクインタやギルロイ教授に接触するのかと思っていたら、4巻はクインタの秘密がすべて明らかになりました。

ギルロイ教授の研究が明らかになったから、次はクインタの秘密が明かされます。

クインタは魔女歴2年の16歳の女の子でした。びっくりしました。どんな魔法も1日3回だけ使えるという制限は魔女になって2年というところからくるものでした。フライパンが魔法使いの杖の役割を果たしている理由も明らかになります。クインタであることは確かでクインタと同じ魔力になるにはまだ経験が足りないようです。

ギルロイ教授はクインタにずいぶん心を開いています。クインタの秘密が自分にとってどうしようもないことではないことがわかり安心したのではないでしょうか

一番最後にパメラが登場します。ジュードはパメラと契約しています。ギルロイ教授の唯一の友は何を考えているんだろう、ギルロイ教授の味方のフリをしているのでしょうか、ドキドキする展開です。




クインタは丘の上に建っていたはずのマダム=ベルモンドの館が海辺に移動していて、なんでこんなことにと状況が飲み込めず混乱しています。ギルロイ教授に目にした光景を話そうとしたら、ギルロイ教授は意識が途切れかけています。医者に診てもらうため館を出ます。魔女を警戒していたものの姿が見えず、一応安心します。館にいた人たち全員いなくてどこに行ったのか心配します。



魔女が呼び出した風の精霊はマダム=ベルモンドにいる人たち全員を館の外に出し、館を空に持ち上げ、どこかへ飛ばしていました。

マダム=ベルモンドは自分の館が飛んでったと怒っています。

魔女は館が飛んでいったのを見届けて去っていきます。

アンブローズは魔女がフィーヨと同格のホラントラー(魔角類)”黒洞々の罅(こくとうとうのひびり)”を連れているので大魔女パメラだと言います。



ギルロイ教授は夢の中でもう一人の自分と討論しています。

ギルロイ教授は目を覚まします。クインタが医者を見つけ手当てをして無事のようです。

クインタはギルロイ教授が眠っている間に館に荷物を取りに戻りこの辺の地図を手に入れていました。目覚めたギルロイ教授にマダム=ベルモンドの館があった場所と今いる場所を示し、魔女の魔力がとんでもないと言います。

ギルロイ教授はパメラか、と言います。

クインタは知ってるのか? と訊くと、ギルロイ教授はまさか知らないの…? と聞き返されてしまいます。

知らないはずはないという言い方に、クインタはなるべく冷静に、

「え いや おまえが知ってるのかってことだ」

内心汗が止まらない状態なのに捉え方が違うと装って言います。

ギルロイ教授はホラントラーの研究をしてたら当然知ってる、クインタと同じで悪名高い魔女だ、もしかして因縁の仲だったりする? と訊きます。

クインタは間を置かず、さあ、どうだろうな! とこの話を続けると不利になると思い終えるために大きな声で応えます。ここのクインタとギルロイ教授のやりとりが面白いです。クインタがそんな言い方をすればギルロイ教授がより興味を持ちそうなのにまず逃げるのを優先したくて切羽詰まっていたのかなって想像します。



クインタは部屋を出ると、パメラと知り合いなら今後困ったころになりそうだと考えます。病院にいる患者から、この建物の裏に温泉が湧いていると教えてもらいギルロイ教授と行ってみます。

ギルロイ教授は温泉がはじめてでわくわくしています。

クインタは足だけつけて温泉を楽しみます。

ギルロイ教授は先に入っている男性にこの温泉は昔から人気なんですかと話しかけます。

男性は大昔クインタっている大魔女がここいらで暴れた結果地形が変わって湧き出たそうだと教えます。

クインタは表情を変えず聞いています。まさか自分が作った温泉だなんて思いもしなかったという雰囲気です。

客がいなくなり、クインタとギルロイ教授が二人になります。

ギルロイ教授はこんな温泉を作っておいてまったく覚えてなかったみたいじゃないかと言います。

クインタは、あ…、暴れたあとどうなったかまでいちいち知らないからなと言います。

ギルロイ教授はふーん、と何か言いたそうです。なんだって大暴れを? と訊きます。

クインタは流れで… と応えます。多分クインタはドキドキしながら応えているはずです。

雨が降ってきたので館に戻ることにします。



館に戻る頃には雨は激しくなっています。

クインタは風の精霊を呼び出し、グレイかリンゼイ=オズワルドかエルマー=オズワルドに館の場所を知らせるため魔法を使います。

ギルロイ教授はクインタの様子を眺めながら、きらきらしたものが見えると言います。

クインタは呼びかけに応じてくれた精霊だと言います。魔法使いじゃないのに見えるとは温泉の効能かなと言います。

ギルロイ教授は魔法使いにはいつもこんなのが見えているのか、いいなとてもいいと言います。

クインタが夕食を作り、食べて、今日はもう休むことにします。

館に誰もいないはずなのに物音がします。

クインタが見に行くと、ずぶ濡れのジュードが立っていました。

ジュードは誰かいないか館の中を探して、外も探してみて誰も見つからず雨の降られ館に戻ってみるとクインタとギルロイ教授がいて、なんかいい感じになっていると腹を立てています。

ジュードはギルロイ教授と話します。



三人で眠ることになります。

翌日、ギルロイ教授は3人目の推薦を頼もうと思っている人物について話します。その人物はおそらく自分のことが好きではないので、なにかみやげを用意しようと思うと話します。

彼は石のコレクターでと言い、地図のある場所を指し、ここから少し行ったところはちょっと面白い石の採れる地域だと説明します。

クインタの表情が変わります。コレクターならその石ももう持ってるんじゃないかと言います。

ギルロイ教授は数も欲しがるタイプだから問題ないと言います。

クインタは留守番した方がいいと思うと言います。精霊が返事を持って戻って来ます。マダムたちは2日くらいでここに来ると言います。

ギルロイ教授は2日遊んで待つのはもったいないと言います。

クインタは2日で目当ての石が採れるとは限らないと言います。

ジュードはクインタにずいぶんしぶるじゃないか、乗り気じゃない理由が他にも? と言います。

ギルロイ教授もあるのかクインタ、と訊きます。

何かあるみたいです。ただ、言いたくないようでクインタはべ、別にない…! と了承します。



訪れたのは小さな村です。

クインタはなぜか仮面をつけ髪を布で覆い、フードを被っています。

あまりに不自然な格好のクインタにギルロイ教授は、ずいぶんめかしこんだなと言います。

クインタは自分の名前を「Q」と呼ぶようにと言います。

ギルロイ教授はクインタを気にしつつも、今夜の宿を決めようと言います。

ジュードも賛成し、宿で採掘について聞こうと言います。

2人の会話を聞いていたクインタは何を言っているんだという感じでこんな小さな村で宿なんかあるわけがないだろう、ギルドに行かなくてはと言います。ギルドが宿を世話してくれると言います。

ギルドの人間に会うとガイドの長がいるからと案内されます。

ガイドの長のウルコットに会います。ウルコットはお墓参りをしていました。

ギルロイ教授は森に行きたいからとガイドをお願いします。

ウルコットはピカピカ光る魔角類の化け物が出るから危険なんだと言います。

ギルロイ教授は魔角類と聞いてウルコットが花を供えたお墓を見ます。

ウルコットはギルロイ教授の考えを読み取り家族は魔角類にやられたわけじゃなく娘と婿はやり病で孫娘は森で足を滑らせて命を落としたんだと説明します。

ウルコットは後ろにいるクインタを見て魔女かい? と訊きます。

クインタはコクッとうなずきます。

ウルコットは小さな魔角類を連れているから見習いの魔女だと考え、森にいる魔角類には勝てないのではないかと言います。

ギルロイ教授は発掘はひとまず置いといて、魔角類の研究者なので詳しい話を聞かせてくださいとお願いします。

ウルコットはギルロイ教授とジュードを見て身体が細いから体力の面で心配だ、一日同じ生活をしてみて森へ行くか判断すると言います。



ギルロイ教授とジュードは薪割り、雑草むしり、魚獲りに挑戦します。

クインタはどれも簡単にやってのけます。

ウルコットはクインタを誉めます。

クインタは仮面越しなのに嬉しそうにしているのが伝わって来ます。

ギルロイ教授はクインタとウルコットになんらかの関係があるのではと勘ぐります。クインタに元彼? と訊きます。

クインタは詮索無用と言います。



夕食、クインタは仮面をつけたままなので、皿を持って出て行きます。外で一人でスープを口にします。

「…なつかしい味 おじいちゃん元気そうでよかった この家も変わらないな フィーヨ 今夜は教授のボディガード代わってくれる? 私 夜中にこっそりおじいちゃんと話してくる」

と言います。

この小さな村はクインタの故郷なのでした。



夜クインタは寝室から出て行きます。

ジュードはクインタが出て行ったのに気づきます。後を追って部屋を出ようとしたらフィーヨに止められます。隙をついて部屋を出るのに成功し、クインタを追います。クインタがウルコットの寝室に入ろうとしているので、何してるのかなと仮面もつけずにと声をかけます。

クインタは気まずそうにして黙っています。

ジュードはネスター起こしてこようか? とクインタを脅します。

クインタは降参し説明します。二人で外に出ます。



ジュードはクインタに朝からずっとおかしかったね、ウルコットさんに関係してる? と言います。

クインタは何と言っていいか困っています。

ジュードの頭に何か落ちてきます。見るとピカピカ光る石です。家の屋根に目をやると、ウルコットが言っていた魔角類の化け物がクインタとジュードを見ています。



フィーヨはギルロイ教授の顔を一生懸命踏んで起こそうとしています。

ギルロイ教授は昼間慣れないことをして疲れていて眠りたいのに、フィーヨが起こそうとするので、嫌々起きます。クインタとジュードがいません。

フィーヨはクインタの仮面とフライパンがあることを知らせます。

ギルロイ教授はフィーヨがめずらしく焦っているので状況を整理します。



クインタとジュードは魔角類の化け物に捕まえられて森に連れていかれます。



ギルロイ教授は外に出ます。ピカピカ光る石を見つけます。フィーヨに他の魔角類の気配を感じなかった? 誰かの魔法の匂いはなかった? と訊きます。

フィーヨはどっちもないと首を横に振っています。

あらゆる可能性を考えていると、ウルコットが起きてきてギルロイ教授にどうした? と訊ねます。

ギルロイ教授は緊急事態なので森に連れて行ってくださいと言います。そして、フィーヨに大きくなってと言います。

フィーヨは動きません。

ギルロイ教授はクインタに止められている? と訊き、だったら間違いなく今、必要なことだと言います。

フィーヨは本来の姿になります。

ウルコットはフィーヨを見てこの魔角類はあの時の…! と言います。

ギルロイ教授はウルコットがフィーヨを知っていることを確認します。



クインタはこの村で生まれ育ったエマ=ウルコットという少女です。

ウルコットはクインタの祖父で両親がおらず、二人で暮らしていました。



クインタとジュードは森に連れていかれ魔角類の化け物に採掘でできた穴に投げ入れられます。

ジュードはクインタに魔法で穴から出ようといいます。

しかし、クインタは精霊を指揮するフライパンを持っていないから上手くいくか自信がありません。落ちていた木の枝を使い風の精霊を呼び出そうとします。風の精霊は頼りなく地上を彷徨い呼び出した魔法使いを探しています。やはり木の枝では精霊がわからないようです。風の精霊は主がわからずふらふらしていると魔角類の化け物に食べられてしまいます。

ジュードはクインタに魔法がひどすぎる、本気なんだよね? 本気であれ? と魔法のあまりの貧弱さにがっかりしています。

クインタはフィーヨの助けも期待できなくてどうすべきか迷っています。

ジュードはクインタに君は一体何者なんだと、実力を知れば脱出案をひらめくことができるかもと言います。



ギルロイ教授はウルコットにクインタのことを訊きます。

ジュードはクインタからどうしてクインタと名乗っているのか訊きます。

ギルロイ教授はクインタがこの村に来て明らかに挙動がおかしかった理由がわかります。理由がわかりどこか安心しているようです。

ジュードはクインタが1日に3回しか魔法が使えなくてギルロイ教授のボディガードを引き受けたことに驚きを隠せません。クインタの話を全部聞いて絶望しかなくてそれでも脱出する方法を考えます。



クインタは風の精霊を呼び出し魔角類の化け物が風の精霊を追いかけている間に、木の精霊を呼び出し、根をのばし魔角類の化け物を少しの間動けなくして、根をつたって地上にはい上がります。

ジュードはクインタに地上に出たら大声を出しながら走るように言います。そうすればギルロイ教授が見つけてくれ、フィーヨもいるから自分を助けに来てくれと言います。

魔角類の化け物はすぐに根をちぎり出てきます。

「クインタ!」

ギルロイ教授が叫びます。声のする方を見るとフィーヨにギルロイ教授が乗っています。ウルコットも乗っています。

ギルロイ教授はクインタにフライパンを渡します。

ウルコットは、久しぶり、上がった腕前見せてくれよ「クインタ」と言います。

クインタは状況がうまく理解できません。

ギルロイ教授は全部聞かせてもらった、エマ、と言います。

クインタは秘密が全てギルロイ教授にバレてしまったのだと悟ります。ギルロイ教授のボディガードはこれで終わりだと思います。



ギルロイ教授は小声でクインタに今夜何回魔法を使った? と訊きます。

ウルコットは1日1回しか魔法が使えなかった頃を知っているので成長したなと嬉しそうです。

クインタは小声で話さなくてもジュードに過去話は全部すませたから聞かれてもかまわないと言います。

ギルロイ教授はクインタが頑なに秘密にしていたことをあっさりとジュードに話していたので心の動揺が激しいです。

魔角類の化け物はクインタ腕にかみつき、咥えたまま空に飛び立ちます。ギルロイ教授も魔角類の化け物の角にしがみつき、クインタと二人連れ去られます。

魔角類の化け物はギルロイ教授はいらないようで頭を振り、ギルロイ教授を振り落とそうとします。

ギルロイ教授はなんとか魔角類の化け物の背にしがみつきます。安定した場所に移動できたのでクインタに魔法はまだ使うなクインタと言います。

クインタはギルロイ教授が自分ことをまだクインタと呼ぶことが何を意味するのか分かりかねています。

魔角類の化け物はギルロイ教授を振り落とそうと川に潜ったり、空中で体をばたつかせたりします。

ギルロイ教授は魔角類の化け物にしがみつき、クインタをしっかりと見据えます。

クインタはギルロイ教授が無事ならいいと蹴りを入れて落とそうとします。

ギルロイ教授はクインタの蹴りに耐え、なんで蹴るんだと抗議します。

魔角類の化け物はイライラして体をばたばたと振るとギルロイ教授は空中に投げ出されます。

ギルロイ教授は魔角類の化け物の下あごを掴みます。口が開き咥えていたクインタが解放され落下します。クインタを掴みます。下あごが外れ、ギルロイ教授とクインタは落下していきます。持っていた下あごは目一杯の力で投げます。

魔角類の化け物は投げられた下あごを追います。

クインタとギルロイ教授が落下した場所には高い木が生えていて枝に助けられます。

ギルロイ教授はウルコットから借りた時計を見ます。水に浸かってしまったから針が止まっています。クインタに夜明けを待つと言います。



ジュードは穴から助けられ、ウルコットと話します。

ウルコットは時計を貸して、ここしばらくの夜明けの時間を教えたと言います。

ジュードはギルロイ教授が何を考えているかわかったと言います。



すぐに戻ってくると思われた魔角類の化け物はまだ来ません。

クインタとギルロイ教授は話しをします。

ギルロイ教授は発掘の穴に落ちていたのが俺だったら秘密を話していたかと訊きます。

クインタはクビにされたくないから話すまでに時間がかかっていたかもしれないと言います。

ギルロイ教授はクインタが今まで会った中で一番の魔女だと言います。

クインタは契約を切らないのかと訊きます。

ギルロイ教授はそんなにクビを気にするならジュードに話して俺にバレるとは考えなかったのかと言います。

クインタはジュードには自分がオリジナルのクインタではないってことはアンブローズの館にいた時にバレていたと言います。

ギルロイ教授はクインタがジュードに秘密を知られたのを黙っていた理由を訊きます。

クインタはごにょごにょと言葉を濁します。



夜が明けます。

魔角類の化け物が下あごを見つけて戻って来ました。

ギルロイ教授はクインタに4回目の魔法を使うように言います。

クインタは指示された通り光の精霊を呼び出し、

「光の精霊 朝陽のつぶて きらめく石の角に集え この一瞬は積日の日輪 破砕せよ!」

と魔法を発動します。

魔角類の化け物は砕け散ります。

クインタは4回目の魔法を使い力を使い果たし枝から落ちます。

ギルロイ教授はクインタの手を掴みます。ギルロイ教授は片手では支えきれず、一緒に落下します。

砕け散った魔角類の化け物の欠片がクインタに降り注ぎます。クインタの身体に気力が戻ります。地面の直前で風の精霊を呼び出し、クッションをつくり、クインタとギルロイ教授は地面に衝突することなく安全に着地します。

ギルロイ教授はクインタが5回目の魔法を使えたことに驚きます。

クインタは急に使えたなんでだ… と言います。

ギルロイ教授はクインタの表情を見てまだ余力がありそうに見えるとと言います。

クインタはある、なんでだ…!? と言います。

ギルロイ教授は仮定の話で魔角類の化け物の砕け散った角欠片に濃縮されてた先代の魔力で君の何かが活性化したのではないかと言い、魔法が何回使えるようになったのか調べようと言います。

クインタは6回目の魔法を使います。

ギルロイ教授はこれが一過性のものか、これからはこれが基本スペックになるのかも知りたいと言います。

クインタはギルロイ教授のこれからという言葉に引っ掛かります。

ギルロイ教授は君との契約を終了するつもりはないと言います。2代目、俺の興味は最初から君にあると言います。

クインタは7回目の魔法を使います。風の精霊にありったけの木の葉を巻きあげろ! と指示します。木の葉に隠れているクインタはの表情は喜びにあふれています。7回目の魔法で倒れてしまいます。

ギルロイ教授は6回が限界なのかと言います。そして、魔法の回数が増えたことはここだけの秘密にしよう、人には言うなよと言います。

クインタは人ってジュードのことかなと思いながら眠りにつきます。



フィーヨとウルコットとジュードが来て家に帰り、クインタはベッドで丸一日眠り、おじいちゃんと木の実を食べ、もう一度と魔法が7回に増えたことを確認して過ごします。7回魔法を使ったからまた倒れてしまいます。



ジュードはギルロイ教授にクインタが使える魔法の回数が増えたことを知らないからまだ体調が悪いのかと訊きます。

ギルロイ教授は久々の実家で気がゆるんだんじゃないか、よく眠っていると言います。

ジュードは雑貨屋に買い出しに行くと言います。雑貨屋で商品を見ていると、

「おつかいごくろうさま」

と声をかけられます。声を聞いて、

「なんで相談もなく僕までここへ飛ばした 君は僕の魔女だろパメラ」

と言います。

大魔女パメラがいます。パメラはジュードの魔女であることは認め、契約したのは失敗だったかもって思ってねと言います。

ジュードは”黒洞々の罅(こくとうとうのひびり)”はどこ? と訊きます。

パメラはその通り名好きじゃない、ツィギーなら村の外よと言います。クインタについて訊ねます。

ジュードはクインタは先代の力を継承した2代目だったと言います。君はどうするんだと訊きます。

パメラは私のことより自分のことでしょ、と言います。

ジュードは何か抱えていることがありそうです。



草川為 世界で一番悪い魔女 4巻
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2024年3月26日火曜日

草川為 世界で一番悪い魔女 3巻

ジュードがクインタに接触すればするほどギルロイ教授は自分らしさというか余裕がなくなり冷静さを欠いてしまいます。

クインタはギルロイ教授の友達だからジュードからギルロイ教授についていろいろ知りたいと思い接しているのにギルロイ教授は嫌みたいです。

クインタとギルロイ教授の気持ちのすれ違いが面白いです。




洞窟を出たクインタとギルロイ教授の一行はある村に立ち寄ります。

アンブローズは村のどこかで推薦状を仕上げるつもりでした。でもこの村はどうやら祭りの最中でゆっくりできそうなところが見当たりません。

洞窟で書けばよかったというジュードにリンゼイ=オズワルドは魔術協会の魔法使いがまた追ってくるかもしれないから洞窟はやめておいた方がよかったと言います。

クインタは絞め殺しの樹で動けなくしていた魔術協会の魔法使いたちが洞窟から出てくるといなくなっていたので、魔法使いの魔力を見くびっていたと言います。

「角祭りおめでとう!」

「おめでとう!」

と声が聞こえます。と同時に水をかけられます。

村の人は角祭りだから泉の水をかけたと言います。祭りの説明をしていると、ホラントラーのフィーヨとアップルピースとスペアミントが人間の姿に変身します。

村の人は人間に変身したホラントラーを見て聖人様だと大騒ぎします。

ギルロイ教授とアンブローズとジュードは急いでメモをとります。

クインタはギルロイ教授たちと村の人の間に立ち、落ちつくよう言います。

村の人は言い伝えは本当だったんだと興奮し、他の皆を呼んで来ようとします。

クインタは聖人じゃないと否定します。

村の人はフィーヨを泉のある広場に連れて行こうと手を引きます。

リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドは魔法を使い周囲を霧で覆います。



霧によって見えなくしてその隙に逃げます。

村の人がいないところまで移動すると、ギルロイ教授人間に変身したホラントラーを触れて観察してとにかく興奮しています。

アンブローズはホラントラーが本当に泉の水で人間に変身したのか原因を考えています。

ジュードはフィーヨに飛べるのか訊きます。

フィーヨはジャンプはするものの空に浮くことはありません。前脚が手になったので握って指が動くのを確認しクインタの頭をなでます。

クインタはフィーヨを見て可愛いけどまずいな、長距離移動できないし目立つと言います。

村の人が大勢で聖人様が現れたと聞きつけクインタたちを探し当て押し寄せます。

リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドがまた霧の魔法をかけ見えなくさせます。

クインタとギルロイ教授とフィーヨ、リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドとアップルピースとスペアミントとアンブローズとジュードに分かれてしまいます。



ギルロイ教授はここからは大きな川があって村を出ることができないから他の方法を考えています。

村の人たちが聖人様を探しているので、クインタとギルロイ教授とフィーヨは隠れます。

フィーヨがクインタの頭をなで、ニコッ微笑むと、クインタとギルロイ教授を隠したまま、村の人たちに姿を見せます。

村の人はフィーヨの姿にうっとりします。

フィーヨはその隙に村の人を縄で縛りあげ動けなくします。

クインタはいつも助けてくれるとフィーヨに笑顔を見せます。

ギルロイ教授はほっとした時のクインタの笑顔を見て、いつか自分にも自然な笑顔を向けてくれるのかなと考えているようです。



アンブローズとジュードは泉の水がどうしてもほしくて広場にやって来ます。

アンブローズは泉の水を手に入れて研究してギルロイ教授を追い越すきっかけになればと考えています。

ジュードは泉の水をギルロイ教授にあげようと思っているようです。

後方から村の人たちが忍び足で近づいてきて、アップルピースとスペアミント以外のリンゼイとエルマーとアンブローズとジュードを捕えます。

四人は舟に乗せられます。

村の人はかつて村の危機を救ったのが聖人様で、今村が困っている問題を聖人様が解決しするためにやって来たと信じています。

大きな川の下流に腐って落ちた橋があります。そのせいで行き来出来ず困っています。



クインタとギルロイ教授とフィーヨは四人が舟に乗せられたのを隠れて見ています。

フィーヨが活躍します。

クインタとギルロイ教授とフィーヨは舟に乗り、アンブローズたちを救います。

クインタはギルロイ教授にこの後どうするか訊ねます。

ギルロイ教授はクインタに四回目の魔法を要求します。村の人にホラントラーが聖人様なんかじゃないとわかるくらいの大きな魔法を使って欲しいと言います。

クインタは四回目の魔法を使うと倒れるのがわかっていて、村の人が震えるほどの魔法を使います。木の精霊を呼び出し腐って落ちた橋を完全に破壊してしまいます。

クインタは倒れてしまいフィーヨの腕でぐったりします。

村の人は橋が爆発でも起こしたように橋の残骸を空に巻き上げ、崩れ沈んでいく様子を目の当たりにします。聖人様は聖人ではなくて魔女の下僕なのだと理解します。

村は問題が解決されたものの魔女の怖さが身に染みているようです。



クインタたちは次の州に入ります。

2通目の推薦状はこの州にある街にいる人物に書いてもらう予定です。

ニコル=ニコルがやって来ます。

ギルロイ教授は推薦状を書いてもらうマダム=ベルモンドはどうだったか訊きます。

ニコル=ニコルはまだ魔術協会の魔法使いは来ていないと言います。マダム=ベルモンドが推薦状を書いて欲しいなら条件を飲めと言っていたと言います。

マダム=ベルモンドの屋敷に到着します。

マダム=ベルモンドはギルロイ教授に来週行う夜会に出て私とダンスをしなさい、そうすれば推薦状を書いてあげると言います。

ギルロイ教授は夜会に出たくないし、踊りたくないし、正装したくないようです。

マダム=ベルモンドの筆頭魔法使いグレイはギルロイ教授だけではなく全員夜会に出席を望んでいると言います。

クインタは踊れないと言います。

グレイは経験者は? と訊くとギルロイ教授、アンブローズ、ジュード、ニコル=ニコルが手を挙げます。

リンゼイ=オズワルドはアンブローズに習いたいと言い、アンブローズはいいよと言います。

エルマー=オズワルドはクインタと踊りたいと言います。

クインタは踊れない者同士で何をするんだと言います。

エルマーにはジュードが、クインタにはグレイが踊りを教えます。



グレイはクインタに本当にかの悪名高き大魔女なのですか、可愛らしいホラントラーが”死神の襲羽”なのですか? と訊きます。

クインタはまあなと応えます。

グレイは証拠を見せて欲しいと言います。

クインタはフィーヨに声をかけます。

フィーヨは本来の姿になります。

グレイはフィーヨの首元に抱きつき、マダムにくださいと言います。

クインタは私の悪名はそういう奴を殺しまくって得たんだが…? と言います。面白いやり取りでした。



クインタはグレイと踊りの練習をします。周りを見ると、リンゼイ=オズワルドはアンブローズと踊れて幸せそうです。ニコル=ニコルはギルロイ教授と踊れて笑顔です。他の人に見とれて裾を踏み転びそうになります。グレイが腰に手を回して回避します。

グレイはギルロイ教授が気になりますか? と訊きます。

クインタは別にと言います。

グレイはボディガードとしてはこんな寄り道したくないでしょうねといいます。

クインタの考えていることとグレイの考えていることにズレがあります。

グレイは続けて安心してください、マダムは言ったことを違える方ではないと言います。残り1通ですと言います。

クインタは順調にいけばこの旅はもうすぐ終わり、解散することになる、皆はどこかで繋がっているのに、自分はギルロイ教授と契約以外のつながりがないことにさみしさを覚えています。

リンゼイとエルマーの踊りはそれなりに形にはなっています。しかし、クインタはまったく進歩していないようです。

クインタは疲れたのでフィーヨと木陰で休みます。



クインタはすこし休むつもりが眠ってしまったようで目が覚めるとあたりは暗くなっています。屋敷の明かりが遠くて、なんだかギルロイ教授との距離に似ているなと感じて感傷的になってしまいます。

ギルロイ教授はクインタを探しています。見つからないから望遠鏡で石の観察を始めます。望遠鏡を覗くとクインタを見つけます。クインタはフィーヨ相手に踊りの練習をしています。

クインタは踊りが下手で裾を踏んで転んだり、石につまずいて転んだりします。

ギルロイ教授がやって来ます。ギルロイ教授は踊りの練習につきあおうかと言います。そんなことよりもクインタの表情が翳っているいるように見える理由を知りたがっています。しかし言葉にはしません。

クインタは踊りの練習の相手をしてほしいと言います。

ギルロイ教授は練習中至近距離でクインタを見つめ表情が翳る理由を探します。



クインタとギルロイ教授は部屋に戻ります。

ニコル=ニコルがベッドに潜り込んでギルロイ教授が戻ってくるのを待っていました。2人が同じ部屋に泊まることが納得いかない様子で、自分もここで寝ると言い張ります。

ギルロイ教授はロリ―という植物の種子をしみ込ませたハンカチをニコル=ニコルに押しつけます。この匂いを嗅ぐと眠くなります。ニコル=ニコルはあっという間に眠りにつきます。ニコル=ニコルを部屋からつまみ出し、クインタと二人きりになります。

クインタはギルロイ教授が気になってきています。ときめきたくない、心を傾かせたくもない、好きになってもどうしよもないと思いつつも、気持ちを抑えきれずにいます。



クインタはギルロイ教授とは別々の部屋で休みます。



夜会当日。

アンブローズはギルロイ教授に推薦状を渡します。マダム=ベルモンドのところに居候するつもりなので夜会が終わるとお別れだと言います。

クインタは夜会用にシャンデリアに飾り石をつける手伝いをしています。

ギルロイ教授がクインタに石を見せてもらいます。

グレイがギルロイ教授を見つけて連れて行きます。

入れ違いにジュードがやって来ます。ジュードはギルロイ教授を探していたでの、クインタがグレイに連れて行かれたと教えてあげます。

クインタがジュードに話しをします。どうして自分の秘密をギルロイ教授に話さないのかと訊きます。

ジュードはそんなことを言えばますますギルロイ教授がクインタに興味をもってしまう、それは望ましくないと応えます。君は一体何者なんだと言います。

クインタはおまえには関係ない私はギルロイ教授と契約していると言います。

ニコル=ニコルがクインタとジュードが話しているところにやって来ます。ニコル=ニコルはクインタにギルロイ教授よりジュードのほうがお似合いだと願望を込めて言います。



夜会が始まります。

マダム=ベルモンドはギルロイ教授に開始の挨拶をしてからダンスをすると言います。

クインタはギルロイ教授を呼び止め、シャンデリアにつけていた飾り石を手渡します。ギルロイ教授が石に興味をしていたように見えたのでこそっと一つ外して持ってきたのでした。喜んでくれるといいなという思いで飾り石を渡します。

ギルロイ教授はわざわざ持って来てくれたってこと? 自分のためにクインタが何かをしてくれたことがちょっとうれしいようで、わざとひっかかるような言い方をします。

クインタはついでだついでと誤魔化します。ギルロイ教授のどんな反応を期待していたのでしょうか。はっきりとうれしいとわかる反応を期待していたのかな、クインタはギルロイ教授が行ってしまった後でもついでだとひとりつぶやいています。

ギルロイ教授は研究者の間で有名で夜会に参加している研究者から声をかけられます

ギルロイ教授がマダム=ベルモンドとダンスを踊らなければ他が踊れないので、リンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドはそわそわしています。

ジュードが大広間から出て行きます。それを見たクインタがジュードの後を追います。

ギルロイ教授はジュードを追って部屋を出て行くクインタを見ています。

クインタとジュードは歩きながら話をします。クインタはジュードとギルロイ教授の関係を少し知ります。



大広間ではギルロイ教授の近くにいた研究者がふらつき、床に膝をつきます。

周囲にいる研究者たちも同じように崩れ落ち意識を失っていきます。

ギルロイ教授はシャンデリアにつけた飾り石の石の名前を思い出します。酒精石(しゅせいせき)。一定の時間熱を与えると人を酩酊させるガスを出す石です。

ギルロイ教授も知らずにガスを吸いこんでいるので、意識が遠のきそうになります。近くに割れたボトルを見つけ太腿に刺し、痛みによって意識を失うのを防ごうとします。グレイにシャンデリアの火を消し換気するように言います。魔術協会の仕業だと考えます。



廊下にいたクインタは明かりが消えたので何か異変を察知します。

グレイはギルロイ教授にガスによる影響を訊ねます。

ギルロイ教授はガスが体内から抜けるには数時間かかると言います。

グレイは意識が飛びそうだと言います。

ギルロイ教授はクインタに貰った飾り石を粉々に砕きます。そして小さくなった欠片を口に含みます。酒精石は温める前なら症状を中和する成分を含んでいると説明し、砕いた欠片をグレイに渡します。俺のことはクインタが守るからあなたは俺以外を守ってくれと言います。



クインタは屋敷全ての明かりが消えているのでギルロイ教授を探します。グレイを見つけます。

グレイはマダム=ベルモンドを介抱しています。

マダム=ベルモンドはクインタに魔術協会の仕業よ、すでに館に侵入しているかもしれないと言います。

グレイは教授は別の部屋へ向かった、早く探してくださいと言います。



ギルロイ教授が魔術協会の魔法使いに襲われそうになるところにクインタが駆けつけ、フィーヨが魔法使いをやっつけます。

クインタは待たせたな! と言います。

ギルロイ教授は遅い、ジュードの所へ行き、自分を放置したと言います。そして、君と契約しているのは俺だ、君は俺の魔女だと言います。

フィーヨがギルロイ教授が怪我しているのを見つけます。クインタも気がつきます。



魔術協会の魔法使いがぞくぞくと屋敷の中へ入ってきます。

フィーヨがどこか遠くをこわい顔で見つめています。



クインタとギルロイ教授は魔術協会の魔法使いから隠れています。

ギルロイ教授は出血がひどくつらそうです。

クインタはフィーヨを見ます。

フィーヨはまだこわい顔をしています。



マダム=ベルモンドとグレイのもとに魔術協会の魔法使いが来ます。

魔法使いは目的はギルロイ教授のみでムダな血を流すつもりはないと言います。

グレイはわかり合えないと悟り、魔法で攻撃しようとします。しかし、呼び出した精霊に指示をしようとしたら声が出なくなります。

魔術協会の魔法使いはギルロイ教授を探しに行きます。



アンブローズはリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドとニコル=ニコルと共に行動しています。

ニコル=ニコルは魔術協会の魔法使いを見つけると、石の精霊を呼び出し魔法使いの杖を封じて魔法を使えないようにして、風の精霊を呼び出し魔術協会の魔法使いをどこか遠くへと指示し窓から風に運ばれて飛んで行ってしまいます。

アンブローズはマダム=ベルモンドから推薦状を預かっていて早くギルロイ教授に渡したいようです。



クインタとギルロイ教授は移動しています。

フィーヨはずっとこわい顔で周囲を警戒しています。

魔術協会の魔法使いを見つけます。

クインタは精霊を呼び出し呪文を唱えようとします。声が出なくて魔法が発動しません。

魔術協会の魔法使いは雷で攻撃してきます。

クインタをかばいフィーヨが雷を受けます。

魔術協会の魔法使いは死神の襲羽がいるからギルロイ教授がいると判断します。

ギルロイ教授は黙ってクインタの様子を見ていました。そして聖霊よ、と言います。

魔術協会の魔法使いの一人が何かします。

するとギルロイ教授は声が出なくなります。声が出なくなる時間を計測し、クインタに教えます。肩をたたくタイミングで呪文を唱えろと言います。

ギルロイ教授の合図でクインタは魔法を唱え魔術協会の魔法使いをやっつけます。



グレイもマダム=ベルモンドが声が出なくなる秘密を解き明かし、魔法を使えるようになり魔術協会の魔法使いをやっつけます。



一人仕留め損ねた魔術協会の魔法使いがギルロイ教授をさらいます。連れ去られそうになるところで、魔女が現れます。魔女は大きなホラントラーを連れています。

クインタは魔女が連れているホラントラーがフィーヨと同等の大きさなので相当な魔力を持っていると考えます。

クインタは魔術協会の魔法使いからギルロイ教授を取り返し、魔法使いを風の精霊で彼方まで吹き飛ばします。

一緒に魔女も吹き飛ばすはずだったのに、魔女はクインタの魔法を回避します。

魔女はふーんまだまだねと言うと、風の精霊を呼び出し、つむじ風、黒風、舞風、浚いの風と様々な種類の風に変化させそれぞれに指示をだし魔法を発動します。



クインタとギルロイ教授はフィーヨの背に乗って逃げています。

ギルロイ教授は意識が朦朧としているのにメモをとっています。魔女の連れているホラントラーを”黒洞々の罅(こくとうとうのひびり)”と呼びます。

クインタは魔女が「クインタ」と同格なので勝てる見込みがないと考えます。

キッチンに隠れます。

ギルロイ教授はクインタに何か話してくれと言います。

クインタはすこし考えて、おまえの研究って一体なんなんだ? と言います。言ってから答えられない質問だったなと言います。

ギルロイ教授はいいよと言います。




「俺が発見したのは魔角類を人為的に巨大化させる方法なんだ」




とさらっと言ってしまいます。

クインタはギルロイ教授が秘密にしていたのにあまりに簡単に言ってしまったのでびっくりしています。

ギルロイ教授は君にならいいと言います。そして誰もがフィーヨや罅クラスの魔角類を手にできるとしたら君はどうすると訊きます。

クインタはフィーヨが狙われなくなっていい感じになると笑顔で応えます。

ギルロイ教授はそうなると大魔女の地位が揺らぐからこれまでクインタに秘密にしていた、今は信用しているから話しても心配ないと言います。

フィーヨは元の表情に戻っています。魔女と黒洞々の罅が去ったのだとわかります。

とてつもない轟音が響きます。

クインタはやっぱり魔女は去っていないのではと戦おうとします。

波の音が聞こえます。

クインタは窓から外を見ます。目の前に海が見えます。ここどこ? クインタは混乱します。




ホラントラー(魔角類)フィーヨ”死神の襲羽(しにがみのおそいば)”と同じ大きさのホラントラー”黒洞々の罅(こくとうとうのひびり)”が登場します。ということは”黒洞々の罅”を連れている魔女は大魔女クインタと同格の魔女です。今のクインタの魔力では到底対抗することはできません。

フィーヨも”黒洞々の罅”を感じるとこわい顔になるので、何か因縁のある関係なのだと思います。



草川為 世界で一番悪い魔女 3巻
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●関連リンク
白泉社公式サイト 世界で一番悪い魔女

2024年3月24日日曜日

草川為 世界で一番悪い魔女 2巻

クインタとギルロイ教授とニコル=ニコルは推薦状を書いてもらうためある人物の屋敷にやって来ました。しかし、建物全体が絞め殺しの樹に覆われてしまって出入りすることができません。魔術協会はギルロイ教授が推薦状を手に出来ないように手を回しているようです。

クインタは屋敷の主人は無事なのかと訊きます。

ギルロイ教授はこの屋敷の主人はアンブローズといって良い魔法使いを連れてるからちゃんと逃げいていると言います。

ニコル=ニコルはアンブローズなら心配じゃないわと言います。

クインタはどうせ訊いても教えてくれないから、心の中でアンブローズって誰だ? と思います。気になっていても口には出しません。

ギルロイ教授はクインタの表情を見て、気になる? と訊きます。

クインタは別に、どうせこれから分かることだろ、と表情を読み取られるのが嫌で顔を見るなとけん制します。

ギルロイ教授はアンブローズが避難先に選びそうな別荘を知っていると言います。

クインタはじゃあさっさと移動するぞと動き出します。

ギルロイ教授はニコル=ニコルには他に行って欲しい所があると言います。

ニコル=ニコルはギルロイ教授とクインタを二人きりにさせたくないので騒ごうとします。

ギルロイ教授はメモを手渡します。次の州で推薦を頼みたい人物でアンブローズの屋敷のように変わったことが起きてないか偵察してきてもらいたい、ニコルの実力を見込んで、と機嫌を取ります。

ニコル=ニコルはギルロイ教授の言葉に気分を良くして、行ってきてあげるわネスターと言います。

クインタはニコル=ニコルがネスターと言ったので、誰? と訊きます。

ギルロイ教授は俺だよ、興味薄いなと言います。

ニコル=ニコルはそんな二人の様子を見て安心し出発します。

クインタは恋心を利用してニコル=ニコルを動かすギルロイ教授のやり方に引いています。

ギルロイ教授はニコル=ニコルの恋心なんてほんの2ヶ月前からだから気にすることはない、アンブローズの別荘に向かおうと言います。



アンブローズと魔法使いはギルロイ教授の考える通り別荘に隠れています。

アンブローズと魔法使いは誰かが自分たちの居場所に気がついたと察知します。思っていたより早く見つかったので、相当良い魔法使いを連れていると言い、窓から外を見るとホラントラー(魔角類)が”死神の襲羽(しにがみのおそいば)”なので驚いています。



ギルロイ教授は空からアンブローズの別荘を探します。別荘のあたりに来たのに見つけられなくて変だなと思っています。

クインタはめくらましの魔法がかけられているからわからないんだと言います。挨拶して入れてもらえないのか? と訊きます。

ギルロイ教授は友達ってわけじゃないから無理だろうと言います。

クインタは魔法を使います。風の精霊を呼び出しアンブローズの別荘を隠しているめくらましの魔法を切り落とします。ちょうど視線の先に探しているアンブローズの別荘を見つけます。

特定されたと察知したアンブローズの魔法使いが水の精霊でクインタとギルロイ教授を攻撃してきます。

クインタはフィーヨ(死神の襲羽)に魔法の匂いをたどれる? と訊きます。

フィーヨは鼻先で2か所示します。

クインタは柱の陰にいるだろうと考え、ギルロイ教授に建物が壊れるかもしれないぞと言います。

ギルロイ教授はどうぞと言います。

クインタは推薦状を書いてもらう相手なのにいいのか? と思っています。

水の精霊の攻撃がまた来ます。

クインタはその水の精霊のまわりにいる水の精霊に指揮している魔法使いのもとへ戻れと魔法を使います。

大きな水の塊がアンブローズと魔法使いに向かってきます。危険なので魔法使いは水の精霊に元の水に戻るよう指示します。大きな水の塊は力を失い重力に従い落下し、アンブローズと、魔法使いはしぶき程度の水を浴びるだけで回避します。



ギルロイ教授はアンブローズに挨拶します。

アンブローズはギルロイ教授らしい挨拶の仕方に呆れています。そして、とんでもない魔女を連れているなと言います。

アンブローズは自己紹介を始めます。クインタにでもギルロイ教授にでもなくフィーヨに挨拶します。アンブローズもギルロイ教授と同じく魔角類の研究者で興味に忠実です。

フィーヨに挨拶してようやくクインタに挨拶します。

クインタは仮面をかぶっています。

ギルロイ教授はクインタは仮面をかぶる基準に興味を持っています。

クインタはアンブローズに仮面を取られ素顔をさらします。

アンブローズは雇っている双子の魔法使いを紹介します。

リンゼイ=オズワルドという女の子とエルマー=オズワルドという男の子です。

エルマー=オズワルドはクインタを見て顔を赤らめます。

クインタもつられて顔を赤らめます。

リンゼイ=オズワルドはエルマー=オズワルドに相手がクインタだってわかっているの? と言います。

エルマー=オズワルドはリンゼイ=オズワルドに誰を好きかに口挟んだことないと言い返します。

アンブローズはギルロイ教授がここに来たということは絞め殺しの樹の覆われた屋敷を見たんだなと言います。魔術協会はずいぶん横暴で君に手を貸すのなら見せしめだと言われた、何が起こっているのか説明してほしいと言います。



ギルロイ教授はアンブローズと話している間、クインタは席を外します。

クインタはリンゼイ=オズワルドとエルマー=オズワルドと少しだけ話します。

リンゼイ=オズワルドは魔角類にごはんをあげる時間だと行ってしまいます。

エルマー=オズワルドはソファーに座りクインタに話しかけます。

クインタはギルロイ教授が19歳だということを知ります。

エルマー=オズワルドはどうやってそんなに強くなったの? と訊きます。

クインタは微笑んで、フィーヨに聞いてみなと言います。



ギルロイ教授はアンブローズと話します。

ギルロイ教授は前置きも、屋敷を絞め殺しの樹で覆ったことについても話さず、推薦状を書いてくれと言います。

アンブローズはどうして協力しなければならないのか、ライバルで君の功績を妬んだとしてもおかしくないと思うと言います。

ギルロイ教授は急に震えだし、ソファーに倒れ込みます。何を入れた? と言います。

アンブローズは何もと言います。

ギルロイ教授はではあの双子の仕業かと言います。

アンブローズはいやそんなはずはない、可能性としては魔術協会かもしれないと言います。

ギルロイ教授はそれなら盛られたものが何かは予想がつくと言います。

アンブローズは自白剤かと言い、クッションでギルロイ教授を口を抑えつけ、聞かせるな、誰にも、僕にも! と強い口調で言います。

ギルロイ教授は二ッと微笑みます。

アンブローズは自分を試すためのギルロイ教授の芝居だったとわかります。

ギルロイ教授はアンブローズがどういう人間か知りたかったと言い、君の推薦状が欲しいと言います。

アンブローズはちょっと問題があると言います。



ギルロイ教授はクインタに意見を求めます。意見を求めに来たのにクインタと人間関係の話ばかりします。教授はクインタに興味を持っているのにクインタが自分に興味を示そうとしないので存在がないような感覚を感じます。ところがクインタが少しだけ親近感を覚えてたと言うので、興味とは異なる親近感という言葉のニュアンスを聞き出そうとします。なんにしろ自分は存在していてクインタの何かしら感情が動いていることがわかり安心します。

フィーヨがじっと窓の外を見ています。睨んでいるようにも見えます。フィーヨの視線の先にホラントラーがいます。

リンゼイ=オズワルドがギルロイ教授を呼び、来客を告げます。客は具合が悪そうなんですと言います。

ギルロイ教授はジュードと名乗った? と訊きます。

リンゼイ=オズワルドはよくわかったねと言います。

クインタはフィーヨを呼び肩に乗せギルロイ教授について行きます。フィーヨはクインタの肩に乗っても窓の外のホラントラーを見ています。



アンブローズは魔法がかけてあるのにこの建物によくたどりついたものだと言います。

ギルロイ教授は神妙そうな顔でジュードを見ています。

アンブローズはクインタに面識は? と訊き、クインタはないと応えます。

アンブローズはジュードについて、ギルロイ教授の研究チームの1人だと、彼はジュード=ギルロイでギルロイ教授の唯一の友だと言います。



ジュードが目を覚まします。

ギルロイ教授はジュードにこの屋敷の外で倒れてたと言います。

ジュードはギルロイ教授が無事だったこと、魔術協会に狙われていると聞いて心配した、困っているなら何か手伝いたくて会えるか賭けてみたと言います。

ギルロイ教授は研究チームの他のメンバーに責められ、お前にも愛想をつかされたと思ったっと言います。

ジュードはギルロイ教授を抱きしめ違うと言います。

ギルロイ教授の表情は感情がなく硬い表情です。

ジュードはギルロイ教授のうしろにいる魔女について訊きます。

ギルロイ教授はボディガードとして雇っている「Q」だと紹介します。

紹介されたクインタはギルロイ教授がなぜ名前を伏せるのか疑問に思います。

ジュードは魔女が連れているホラントラーが小さいので、見習いなのかと訊きます。

ギルロイ教授は魔術協会と縁がないから助かってると言います。

ジュードはクインタによろしくと握手を求めます。

クインタは応じます。



アンブローズが部屋に入って来ます。

ギルロイ教授はクインタをQと呼び、アンブローズとエルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドを困惑させます。推薦状の相談についてジュードも参加させていいかなと言います。

アンブローズはかまわないと言います。

ギルロイ教授はじゃあ明日の朝にと部屋を出て行こうとします。

アンブローズはクインタに、ところで君の名前と訊くと、クインタはQだよろしくなと理由はわからず応えます。



二人きりになるとクインタはギルロイ教授にジュードが感じいいやつなのに偽名を使ったのか訊きます。

ギルロイ教授はジュードは誰かに雇われたんじゃないかと思っているから念のためだと応えます。

クインタはフィーヨと風呂に入ると言います。

風呂の間ギルロイ教授は扉越しにジュードとの関係を話します。

クインタはジュードが大事な友達なんだなと言います。

ギルロイ教授はクインタといつもの立場が逆になってしまったから話題を変え、元の立場に戻ろうとします。少し本当の気持ちを明かします。



クインタはどうしてもギルロイ教授にいいように転がされるのがくやしいようで考えると眠れなくなります。窓を開けるとジュードを見つけます。フィーヨに乗ってジュードに声をかけます。

ジュードはホラントラーが”死神の襲羽”なので驚きます。そしてQはクインタだと知ります。

クインタはジュードが信用できるかわからないから私が偽名を使わせたと言います。



ギルロイ教授は目が覚めます。クインタもフィーヨもいないことに気づきます。窓が開いているので外を見ると、クインタがジュードと話しているのを見つけます。フィーヨが本来の姿になっていて、クインタが正体をバラしたことがわかります。自分にはガードを下げないのに、ジュードにあっさり正体をバラしたのが気に障るようです。クインタとジュードが何を話しているのか気になって急いで部屋から出て行きます。

クインタとジュードの会話はギルロイ教授にとって大した内容ではありませんでした。

ギルロイ教授はジュードから去ったクインタを捕まえます。今までとアプローチを変え、クインタが自分じゃないやつに守りが甘くなるのを正直面白くないと言います。

クインタは顔を真っ赤にしてギルロイ教授を突き放しその場から逃げ出します。

走りながらギルロイ教授と契約したのは間違いだった、秘密がバレてしまうのも時間の問題だと思います。クインタの秘密が明かされます。




「…私にはムリかも 魔力はそっくり受け継いだけど 300年分の経験値なんか簡単には埋められないな 16年しか生きてないし 見習いレベルなのもある意味当たりだし フィーヨと頑張りたいのに 別人になりきるのはやっぱり難しい 教授はどうするんだろう 私がオリジナルのクインタじゃないと知ったら」




枝を踏む音が聞こえます。誰かが近くにいたようです。

クインタは今のひとりごとを聞かれてしまったと焦ります。魔法で木々の精霊を呼び出します。確かに人がいたことは確認できます。誰なのかは見当もつきません。大きさから想像すると、ギルロイ教授かアンブローズかジュードの誰かということになります。



クインタは一睡もせず誰かに秘密を聞かれてしまったことについて考えています。

朝食を摂りながらアンブローズは話します。賢者の図書館への推薦状には推薦人のサインと推薦人の家の紋章印が必要だと言います。しかし、実家に没収されていて紋章印を持っていないとクインタに力を借りたいと言います。洞窟に紋章印がひとつ眠っているはずで手に入れるために協力してほしいと言います。

クインタはなんで洞窟にあるのか訊きます。

アンブローズは曾祖父の時代に少々の宝とともに避難させたのだそうで、洞窟が崩れやすく回収せずに今日に至るのだと説明します。

ジュードは危険すぎる他に方法は? と訊きクインタに意見を訊きます。

クインタは洞窟に入った盗人はなんで今まで魔法を使わなかったのか、魔法使いも失敗する何かがあるのかと言います。

アンブローズは何かがあってもクインタは凡百の魔女とは違うから洞窟を突破できると考えていると言います。

ギルロイ教授はクインタにつきあってくれるかと訊きます。

クインタはこれこそボディガードの仕事だと言います。

エルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドは土と岩の精霊を呼び出して洞窟の崩れはなんとかすると言います。

クインタはもう少しラクできると思うと言うと、ギルロイ教授と同時に絞め殺しの樹と言い、エルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドに取って来るよう言います。



洞窟に向かいます。

クインタとギルロイ教授は周囲を観察します。

ギルロイ教授は洞窟の中に何があるか見当がついているようです。

エルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドは絞め殺しの樹を持って来ます。

ついでに魔術協会の魔法使いも連れてきてしまいました。ギルロイ教授の研究チームの一人ロザムンドがいます。

アンブローズとジュードとロザムンドが話していると山が崩れます。

エルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドは絞め殺しの樹をに魔法をかけます。絞め殺しの樹は急成長し落石と魔術協会の魔法使いを絡め取ります。

クインタとギルロイ教授がやって来ます。

ギルロイ教授は身動きの取れないロザムンドに話しかけ洞窟に入ります。

エルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドの魔法で洞窟内も絞め殺しの樹で天井も壁面もしっかり張り巡らされ落石の心配はなさそうです。



奥に進みます。

カツン。

何か音がします。

さらに進むと、地下水があります。

リンゼイ=オズワルドはアップルピース(ホラントラー)に地下水の水深を見てくるよう言います。

アップルピースはチャプチャプと地下水を歩きます。深くはないようです。突然アップルピースが体勢を崩します。急いでリンゼイ=オズワルドの所に逃げてきます。見ると脚がなくなっています。

今度はクインタとフィーヨが地下水に入ります。アップルピースが体勢を崩したあたりでフィーヨが鳴き、クインタが脚を見つけます。脚に噛み痕を見つけます。

ギルロイ教授はクインタから脚を受け取り、洞窟の中に魔角類がいると言います。



リンゼイ=オズワルドはアップルピースの脚を魔法で治します。

ギルロイ教授とアンブローズとジュードはその工程に興味津々です。

脚が治り、リンゼイ=オズワルドはホッとします。

ギルロイ教授はアップルピースにためしにそのへんを歩いてみようと言います。

クインタはムチャを言うなまだ怖がってるだろと言います。

フィーヨがアップルピースに何か話しかけたようでエルマー=オズワルドのホラントラー、スペアミントと三頭が並んで歩きます。

アンブローズは気づかいだ、ジュードは親和行動、ギルロイ教授は仲間と見なしたかとその様子を見てメモを走らせます。

リンゼイ=オズワルドは洞窟の中にいるホラントラーはどうしてアップルピースにの脚をかじったの、と言います。

クインタは洞窟の中にいる魔角類に仮の名前をカジルと名付けます。

ギルロイ教授は野生のホラントラーの説明をします。

リンゼイ=オズワルドはこの洞窟内に野生の魔角類が他にもいるのではないかと言います。

ギルロイ教授は魔角類は一頭しかいないと言い切ります。魔角類の生態がひとつ明らかになります。ホラントラーは共喰いすると言います。

エルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドは驚きます。クインタも驚きます。

エルマー=オズワルドとリンゼイ=オズワルドはえ? なんでというような視線をクインタに送ります。

クインタはつられただけ、知ってたさ、と言います。

リンゼイ=オズワルドはこの先に進むのは危険じゃないかと言います。

ギルロイ教授はなんとかなると考えていると言います。

リンゼイ=オズワルドはギルロイ教授に従うと言います。

クインタはジュードに大丈夫だ、なんとかすると言います。

ジュードは本当に? と訊きます。

クインタは自分の秘密を聞いたのはジュードだとわかります。見くびってもらっては困ると言います。



カジルは俊敏で頭がよく、クインタに狙いを定めます。

クインタとカジルが戦います。

クインタはギルロイ教授の知恵を借りながらカジルと戦います。ギルロイ教授が面白いです。特にメモをする音が面白いです。

ギルロイ教授の指示通りにクインタは魔法を展開し、カジルを動けなくします。

フィーヨが怒ってカジルに制裁を加えます。序列が決定しカジルは大人しくなります。

アンブローズは紋章印を手に入れます。

ようやくこれで一つめの推薦状が出来上がります。

残りはあと2通。クインタは魔法の腕を上げなくてはと心に誓います。



洞窟の外ではどうやったのかロザムンドたちが絞め殺しの樹から解放されています。

魔女が魔術協会の魔法使いを助けたようです。魔女は助けたのに魔法使いたちの息の根を止めます。




ギルロイ教授はクインタの秘密、一日に使える魔法の回数についてはもうわかっていて、ではどうして大魔女なのに回数制限があるのかについて考えているのだろうなと思います。自分の研究以外に興味を示さなくて、特に人間についてはジュード以外は関心すらなかったのに、クインタには興味を示します。興味があるクインタが自分以外の男性にはガードが低く、自分には拒絶に似た態度を取るので言葉に言い表せられないような感情が渦巻いているようです。

クインタのギルロイ教授への拒絶は感情を読み取られるのが怖いからというだけで他には何もありません。

クインタも感じの悪いギルロイ教授に感情が動き始めています。まだ感情が何なのか気づかないようにしています。

推薦状を書いてもらう。賢者の図書館へ行って研究を登録する。その間にクインタとギルロイ教授に何が起こるのか楽しみです。



草川為 世界で一番悪い魔女 2巻
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2024年3月22日金曜日

草川為 世界で一番悪い魔女 1巻

天才博士と悪名高い魔女が目的地を目指して旅する物語です。




魔女は小さな獣と木の実を炒ってご飯を作っています。

人が空から降って来たので魔法で助けてあげます。

助けられた人は礼も言わず、

「落下したのは3時の方向からの突風が原因だが それも君の魔法か? 君も俺を狙う魔女かと聞いているんだ」

と横柄な態度で言います。彼は手枷をつけられています。

魔女は、

「お前など知るか 礼くらい言ったらどうだ」

と男の態度の悪さに助けたことを後悔し腹を立てています。

男はどうも、と言い、手を差し出し手枷を外してくれると嬉しいと言います。

魔女は怒りをこらえて知らん、と立ち去ろうとします。抱えている小型犬くらいの大きさの鹿に似た四足動物をポイッと放すと、ボンッと象くらいの大きさに姿を変えます。

魔女はその動物の背に乗り、

「森の中を低く飛んで フィーヨ」

と言います。

男は象くらいの大きさに変化した鹿のような獣を見て驚いているのかと思ったら、魔女と一緒に鹿の背に乗ります。態度を豹変し少し興奮した様子で、

「観察史上最大級のひとつ 通称 “死神の襲羽(しにがみのおそいば)” この目で見られる日が来るなんて!! お会いあできて光栄です 俺はネスター=ギルロイ 魔法使いと共生する君達 魔角類(ホラントラー)を研究している学者です!」

とホラントラーと呼ぶ大きな鹿に自己紹介を始めます。魔女に対する態度とは別人のようです。

立派な角をほめ、魔女がホラントラーをフィーヨと呼んでいたので、フィーヨどうぞよろしくと話しかけます。



ギルロイ教授を空から落としてしまった三人の魔法使いは彼を見つけます。

ギルロイを助けた魔女は三人の魔法使いに気づかれたので逃げようとします。

三人の魔法使いはホラントラーが“死神の襲羽”だとわかり、彼らもびっくりします。“死神の襲羽”を連れている魔女は300年生きてるクインタという大魔女で同業殺しで悪名高い人物として知れ渡っているからです。わかっていながら、三人の魔法使いはギルロイ教授を取り返そうとクインタたちを追います。



ギルロイ教授もフィーヨ“死神の襲羽”を連れている大魔女がクインタだと知っています。しかし、ギルロイ教授は魔女には関心がなく、フィーヨには丁寧に挨拶をしたのに、助けてくれたクインタには無礼な態度を改めようとしません。

クインタは怒り抑えつつなぜ捕らわれているのか訊きます。

ギルロイ教授は追いかけてくる三人の魔法使いは自分の研究に協力してもらっていた、けれど、まだ世に出ていない自分の発見を奪って独占するつもりでいるのだと説明します。

三人の魔法使いは魔法で攻撃を仕掛けてきます。

魔法はクインタの顔を覆う仮面をかすり、仮面が外れてしまいます。素顔が露わになります。

クインタは魔法を詠唱します。大地の精霊を呼び出し強い魔法で応戦しようと石で反撃しようとしたら、ギルロイ教授が、

「あ 待っ」

とクインタに言おうとします。

ギルロイ教授が言い終わるまでにクインタは石だと攻撃力が強すぎると思い直し、ずっと攻撃力の低い精霊土くれの子らよ、と呼び出し、

「天駆ける星のように 飛べ!」

と魔法を発動します。

クインタの魔法は三人の魔法使いに追跡を諦めさせる程度の痛みを負わせます。



クインタとギルロイ教授は逃げ切ります。

休憩をとり、クインタは、

「さてと お別れだ 教授」

と言います。

ギルロイ教授は、噂にきくクインタと今目にしているクインタに落差がある

観察を始めます。クインタの見た目がどう見ても10代で、完璧に若作りに成功していると感じています。

大魔女クインタには秘密があります。若作りではなく本当に若くて年齢は16歳です。大魔女と知られているのに魔法は1日3回しか使えません。

ギルロイ教授は、

「お別れなんてとんでもない 俺のボディガードになってくれ」

と交渉を始めます。

クインタは即いやだ、と断ります。

旅の目的は国の中央にある賢者の図書館に行くことで、そこに研究成果を登録すれば皆に等しく公開できるからそこまでボディガードをしてほしいと言います。

クインタはそこまで大事な研究なのか、どんな内容なんだと尋ねます。

ギルロイ教授は言えないと言います。

クインタは先ほどの三人の魔法使いの他に敵がいるのかと訊きます。

ギルロイ教授はなんとも言えないと応えます。

クインタはギルロイ教授の秘密主義に呆れ、それなら報酬はどれくらいだと訊きます。

ギルロイ教授はクインタの耳もとで報酬を提示します。

クインタは、

「え… そんなに…?」

と引くくらいの報酬の提示に驚きます。少し考えて、

「…おまえとの仕事で このクインタの悪名は高まる?」

と訊きます。

クインタにも目的があります。クインタの目的は世界一の魔女でいることです。

ギルロイ教授は少なくとも一部には悪くなると思うと応えます。

クインタは了承し交渉成立のサインを交わします。



三人の魔法使いはギルロイ教授を拾ったのが大魔女クインタなのでこれからどうするか話し合っています。



クインタとギルロイ教授は空を移動します。

ギルロイ教授は手枷を外してほしいと言います。

クインタは道具がないと言います。

ギルロイ教授は魔法で外してくれと言います。

クインタは契約にないことはしないと言います。



三人の魔法使いはギルロイ教授を見つけ、取り返すべくクインタとフィーヨに再び攻撃しようとします。

ギルロイ教授は三人の魔法使いにクインタをボディガードに雇った、手を出すとどうなるかわかるな? と言います。

三人の魔法使いは今さら退けないと魔法で攻撃をします。

クインタが使える魔法はあと1回です。魔法の攻撃が飛んできて、クインタはフィーヨに旋回するよう言ってかわします。かわすと同時に別の方向から魔法使いがクインタを狙って攻撃魔法を放ちます。

クインタはかわしきれないと魔法の攻撃を受ける覚悟をします。

ギルロイ教授が盾になってクインタを守ります。クインタの仮面が取れます。魔法攻撃はギルロイ教授に命中し衝撃でフィーヨから落ちてしまいます。

落下するギルロイ教授を魔法使いの一人が捕らえます。

ギルロイ教授にかばわれたクインタは、

「なんで……!」

とギルロイ教授を見ます。クインタにもう一発魔法攻撃が飛んできて命中します。クインタはフィーヨから投げ出され、川に落ちます。

フィーヨがクインタを救出します。フィーヨは乱暴にクインタを背に乗せます。クインタをくわえて空に投げ、ストンと背中に乗せるからちょっと面白いです。

クインタはギルロイ教授との契約を履行するためギルロイ教授を連れ去った三人の魔法使いを追いかけます。



三人の魔法使いはギルロイ教授を動けないように縛り、クインタに見つからないように森の中を走ります。

ギルロイ教授は自分たちと何かが一緒に移動しているのに気がつき、三人の魔法使いの一人に話しかけます。

同じ速度で移動しているのは狼だとわかります。

一人が狼を追い払おうと魔法を使おうとしたら、もう一人がクインタのホラントラーに存在を特定されてしまうから魔法を使うなと言います。

ギルロイ教授は狼に襲われるから空に上がれと言います。

三人の魔法使いは空に上がればクインタに見つかるからこのまま行くと言い張ります。

ギルロイ教授の言った通り狼に囲まれてしまいます。

狼が飛びかかって来ます。魔法が飛んできて狼は気を失います。

クインタが現れます。

「手を出すとどうなるか予想はしてるだろ 答え合わせをしようじゃないか」

悪魔のような台詞を三人の魔法使いに放ちます。表情も悪名高い大魔女そのものです。

三人の魔法使いは戦おうとします。風の精霊を呼び出し、クインタの炎を吹き飛ばそうとします。渾身の魔法はクインタとフィーヨに届きもしません。

クインタは逃げ出す狼を見て、

「狼はおまえ達より利口だ」

と三人を攻撃するための魔法の準備に入ろうとします。

「クインタ もういい そのへんで…」

ギルロイ教授がいクインタに言います。

三人の魔法使いはギルロイ教授を見ます。

「魔角類ホラントラーが焼けてしまう」

とギルロイ教授は続けます。

三人の魔法使いより魔角類(ホラントラー)が大事だというギルロイ教授を三人の魔法使いは残念そうに見つめます。



ギルロイ教授は解放され、三人の魔法使いは去っていきます。クインタがギルロイ教授に意外に三人の魔法使いを大切に思っているんだなと言おうとしたら、ギルロイ教授はその手の自分の考えを読まれることを好まないらしく、話題をすり替えます。

ギルロイ教授はクインタに仮面を渡します。外れた仮面を拾っていたようです。



三人の魔法使いはギルロイ教授を逃してしまい悔しがっています。

三人の内の一人がギルロイ教授の発見が手に入れられなければむちゃくちゃにしてやると言い残し、二人と別行動します。



クインタはようやくご飯にありつきます。

ギルロイはいつ借りを返してくれるんだ? と訊きます。

クインタは魔法でギルロイ教授の手枷を破壊します。

ギルロイ教授はあまりに簡単にやってのけるのでなぜもったいぶってと苦情を言います。クインタに目をやるとクインタはぐったりしています。

クインタは今日四回目の魔法を使ってしまったので起きていられなくなります。

ギルロイ教授はクインタを心配し、近寄り声をかけます。状況から考えると手枷を破壊するために魔法を使ったからだと推測できます。クインタがわかっていて魔法を使ってくれたのがわかり、クインタへの見方が少し変化します。クインタに外套をかけてあげて、ギルロイ教授とフィーヨは眠りにつきます。




クインタはギルロイ教授の目的地、国の中央にある賢者の図書館までフィーヨで直線ルートで飛んで行けるのに、ギルロイ教授がわざわざ街に寄って、隣の州の地図を手に入れようとするので理由を訊ねます。

ギルロイ教授は賢者の図書館に登録するには推薦状が要るのでそれを手に入れてから図書館に向かうと言います。

クインタの肩に小さくなった姿のフィーヨが乗っていて、街の人々は可愛らしいサイズの魔角類を見て楽しんでいます。

この街にも魔法使いが一人いると誰かが言い、すぐ近くで観光客に魔法を使った芸を披露していると教えてもらいます。

芸を披露していた魔法使いはギルロイ教授を知っていて話しかけてきます。

魔法使いはワートンと名乗り、この地域の領主に仕える魔法使いだと自己紹介します。そして、宿がないなら領主の館にいらしてはどうかと誘います。

クインタとギルロイ教授は領主の館に向かいます。領主と食事をしてクインタは領主と話し、ギルロイ教授はワートンと庭や資料室を見学に行きます。



ワートンはギルロイ教授の研究成果を狙っていました。

クインタは用心してギルロイ教授に魔法をかけていて、無事です。

クインタがギルロイ教授の元に駆けつけ、ワートンを懲らしめます。

クインタはワートンにギルロイ教授の研究成果のことをどこで聞いたと訊ねます。

ワートンは魔術協会のネットワークだと応えます。

ギルロイ教授はあの三人の魔法使いの誰かが情報を流したのだと言います。

クインタはこれで敵が一気に増えそうだなと言います。

ギルロイ教授は三人の魔法使いがそんな行動に出るとは思わなかった、嫌われてたな、とがっかりします。

ワートンは反撃に出ます。クインタの魔法を真似してクインタを動けなくします。

クインタはギルロイ教授のアドバイスでワートンの意識を奪います。縛って資料室に閉じ込めます。

ワートンというこの街に一人しかいない魔法使いを動けなくしたので、クインタとギルロイ教授は安心して、ベッドで眠ります。




クインタとギルロイ教授は隣りの州に向かいます。

雪山を通ってもクインタの魔法のお陰で寒さ知らずで、和気あいあいと向かいます。

愉しそうにしているクインタとギルロイ教授を見ている者がいます。三人の魔法使いの一人です。魔法使いは雪を矢に変えてクインタを狙います。

事前に気配を感じたクインタは矢が届く前に魔法使いを見つけます。氷の精霊を呼び出し、魔法使いを凍らせようとします。

クインタは凍らせた魔法使いを見ます。ギルロイ教授に協力していた三人の魔法使いの一人だとわかります。勝てないと分かっていてなんでまだ追ってくるのか不思議そうにしています。

ギルロイ教授はあの魔法使いは自分に片想いをしているからだと言います。魔法使いはニコル=ニコルと言い、彼女に魔術協会について訊ねます。

ニコル=ニコルはギルロイ教授に領主の館で2人が同じ部屋で泊まったのは本当かと訊ね返します。それから矢継ぎ早に質問します。どれも恋がらみのことばかりです。

クインタはニコル=ニコルをロープで縛ってクレバスに吊るします。

ギルロイ教授は魔術協会について訊きます。

ニコル=ニコルは三人の魔法使いの一人ロザムンドの仕業かもと言います。

クインタとギルロイ教授はニコル=ニコルを連れて移動します。

途中天気が崩れて雪嵐になります。

クインタはまた四回目の魔法を使います。ぐったりしてしまいます。

ギルロイ教授はクインタの二度目の症状に疑問を感じます。

今日は雪山で野宿です。



翌日、クインタは目を覚まします。まだ体調が完全に戻っていません。

ギルロイ教授はクインタに体調を崩す原因を指摘します。

クインタは見事にいい当てられたものの、黙っています。秘密は打ち明けられないと気を引き締めます。

クインタの体調が回復しないので、ギルロイ教授とニコル=ニコルは周辺の植物を見学に出かけます。

クインタが一人で眠っていると、二人の魔女がクインタを見つけます。

二人の魔女は魔術協会の仕事を請け負い山に来ています。クインタの体調が悪そうなので連れて行くことにします。



ギルロイ教授とニコル=ニコルが戻ってくるとクインタとフィーヨの姿がないので捜索します。

すぐにクインタと連れた魔女を見つけます。

二人の魔女はギルロイ教授がクインタの仲間かどうかわからないのでクインタがはっきり目を覚ますまで一緒にいてもらうと言います。

ギルロイ教授は二人の魔女にここで何をと訊きます。

二人の魔女は植物採取、絞め殺しの樹というのがあるらしく探していると言います。

ギルロイ教授は二人の魔女が探している絞め殺しの樹をすぐに見つけます。

二人の魔女はギルロイ教授が若いのに植物に詳しいので魔術協会の情報で知った皆が探している教授なのではないかと言います。ニコル=ニコルが失敗してギルロイ教授が探している人物だとわかり、教授の発見を手に入れたいと考えていて、ギルロイ教授を捕えようとします。

ニコル=ニコルはもう一人の魔女と戦っています。

クインタが目を覚まします。

ギルロイ教授を狙う魔女だとわかり、助けてくれた恩を仇で返すと言い、フィーヨを本来の姿に戻し、魔法の準備に入ります。

二人の魔女はホラントラーが”死神の襲羽”なので助けた少女が大魔女クインタであることがわかります。

クインタは一気に火の精霊、風の精霊、水の精霊を呼び出し、

「三様に猛り狂い 狙いを定めよ!」

と二人の魔女を震え上がらせる魔法を使おうとします。

「相手がクインタじゃ降参だ! あんたの獲物なら手を出さないと誓うわ!」

と二人の魔女は完全に白旗を挙げてしまいます。

しかし、クインタは、

「ついでに光の精霊よ!」

と四つ目の精霊を呼び出します。

「落とせ 稲妻」

火の精霊と風の精霊と水の精霊と光の精霊、四つの精霊が二人の魔女に向かって放たれます。

二人の魔女はなすすべなく逃げていきます。



クインタは4回巨大な魔法を使ったことでギルロイ教授の疑念を晴らすことができたと安心します。

ギルロイ教授はフィーヨに好かれたいと思っているし、クインタにも好かれたいと信用されたいと思い始めているようです。ギルロイ教授の興味の先はどこに行きつくのか楽しみです。




300年生きている大魔女は本当は16歳の女の子。大魔女クインタが使える魔法は1日3回。彼女は秘密を抱えています。魔法使いが魔法を使うとき手にしているものは杖やタクトのような棒が定番なのにクインタはその役割を果たすものがフライパンです。なぜにフライパンを選択? 重たいだろうに。理由を後に描いてほしいです。

ギルロイ教授も秘密にしていることがいくつかあります。発見したこととは何か。三人の魔法使いの他にチームと呼ぶ人がいて、そのことには触れられたくないようです。

ニコル=ニコルはこの先もクインタとギルロイ教授について来るつもりなのでしょうか。

魔角類(ホラントラー)の造形は不思議です。博物館にある骨格標本が動いています。水分はなさそうなのに目はあって声も出せます。クインタのフィーヨは鹿っぽいし、ニコル=ニコルのホラントラーは頭に角が四つある四足動物です。ニコル=ニコルのホラントラーも鹿の仲間なのかな。ホラントラーが生息している理由なども描かれるのかなと期待しています。

何か面白そうなことが起きそうだと思わせてくれる物語です。

続きます。




草川為 世界で一番悪い魔女 1巻
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2024年3月20日水曜日

朝倉世界一 春山町サーバンツ 4巻

巻村鶴子が春山町の力になるために頑張ります。いろんな人に影響し影響され少しずつ町が変わっていきます。良くなると信じて鶴子は行動します。住民の多くが良くなったと実感した時鶴子の頑張りは報わるのだろうなと思います。




東京都渋谷区春山町。地元の公務員として、出張所で働き始めてもうすぐ1年の巻村鶴子。

大好きなこの町のために、どうしてもやると決めたことがあるのです。じんわりほぐれて、背筋がちょっとピンとする、オトナのための東京お仕事ストーリー、最高にキラキラな最終巻!




朝、鶴子は眠れなかったようで目の下につくっています。出勤途中、杉さんに出会います。よく見ている家がずっと空いていると言うと、家の持ち主が杉さんだとわかります。

渋谷区春山町出張所に着いて仕事の準備に取り掛かります。

窓口に一人の女性が妊娠届出書を提出しにやって来ます。

鶴子は母子手帳と母子バッグを渡します。

女性は保育所について訊ねます。

鶴子と先輩新田は説明します。

新田は鶴子に保育所が少ないと話します。

鶴子の頭の中で何かがつながります。



鶴子の父巻村吾郎とすし職人ジュリアーノ・デリチオーゾはイタリア料理を食べに行きます。

イタリア料理店なのにランチでおすしをはじめたと聞いて興味を持ったようです。

吾郎が杉さんを見つけ声をかけます。

吾郎は杉さんにジュリアーノ・デリチオーゾを紹介します。

ジュリアーノ・デリチオーゾは杉さんに春山町ですし屋をオープンすることになったと言います。

杉さんは二人を食事の後手伝って欲しいことがあると空き家に連れて行きます。

二人は雑草の掃除の手伝いをします。

杉さんは吾郎に小説はもう書かないのか、10年前なくした原稿をまだ探しているの? と訊きます。

吾郎はこたえません。黙って草をむしっています。

ジュリアーノ・デリチオーゾはなくした原稿はどんなのか訊きます。

吾郎はふつうの茶封筒だとこたえます。

杉さんが、吾郎と呼びます。杉さんは茶封筒を見つけます。

吾郎は中を確認します。よくわからない何かが入っていました。

期待していたのに違っていたようでみんながっかりします。



鶴子は杉さんに保育園を作りたい、杉さんの所有している空き家で保育園ができないか相談します。

杉さんは鶴子に助言します。保育園の代表になってやると言います。

鶴子は住民説明会のチラシを作製します。

杉さんは、大野町会長と古内区議にも相談するように言います。



鶴子は完成した住民説明会のチラシを置いてもらえないか店を回りお願いをします。



muneのところに一通のメールが届きます。個展を開いてみませんかとという内容です。

muneは鶴子に知らせます。メールの送り主西参道(にしかずゆき)と会います。個展の準備に忙しくなります。



鶴子はしもしゅうの誕生日会にいけないmuneから誕生日プレゼントを預かります。

しもしゅうはmuneのプレゼントを喜んでいます。



鶴子は新田さんの奥さんに会います。まどかは元保育士で地域の子供たちはまどかのことをまどか先生と呼び挨拶します。

新田はまどかに鶴子が新しく保育園を作ろうとしていると話します。鶴子にはまどかは元保育士だからわからないことがあれば聞くといいと言います。



鶴子はmuneの個展に行きます。muneの世界観のスケールの大きさを感じています。

まゆこは夫に息子のひろが小学生になったからもう一度保育士として働こうかと思うと言います。ひろに自転車を買ってあげようと思ったら、いらない、チャイルドシートがいいと言ったと話します。

ひろが寝室から出てきて、やっぱり自転車を買って欲しいといいます。小学生になったからなのか、鶴子にようちえん? と言われたからか、チャイルドシートを卒業しようと思ったみたいです。

ひろは自転車を買ってもらい、乗る練習をします。乗れるようになると自分の自転車にチャイルドシートをつけて欲しいと言います。まどかを後ろに乗せて買い物に出かけます。途中鶴子を見かけ声をかけます。若干頬を赤らめています。

鶴子はひろの後ろにまどかが乗っているのでちょっとびっくりしています。まどかに杉さんを紹介します。



ジュリアーノ・デリチオーゾはすし店を開店します。客が来ないので吾郎に電話して来てもらいます

吾郎は鶴子と、杉さん、北村さんに連絡してすし店に行きます。

美味しいお寿司を食べて、なんで客が来ないのか話していると、妻らしき人物ソフィアが現れ、宣伝していないからでしょう、とごく当たり前のことを言います。

チラシを作ってすし店が開店したことを春山町の人たちに知らせることにします。



杉さんはしもしゅう理髪店に行き、フェイシャルエステをたのみます。効果は抜群で顔が光り輝きます。

鶴子とまどかが保育施設の改修について話しているところに杉さんがやって来ます。顔がピカピカです。

鶴子は杉さんが気になって会話を聞いていません。

杉さんはひとり出て行き中華料理店華々飯店に昼食を食べに行きます。中華料理屋に勤めるドク・キノ子が保育士資格を持っていることを知ります。



鶴子が福祉保健局から戻ります。杉さんに認定外保育園からスタートしてみてはどうかと言われたと報告します。

杉さんは認定外で実績を積んで認定保育園の申請をしようと言います。

住民説明会が近づいてきています。

鶴子は保育士をもう一人探していると言います。

杉さんはドク・キノ子が保育士資格を持っていると言います。



華々飯店では店長がドク・キノ子に保育園を手伝うように言います。

ドク・キノ子が鶴子たちに合流します。

住民説明会です。鶴子は気合を入れて説明会に臨みます。

たくさんの人が集まります。鶴子が始めようとすると、保育園の予定地の近くに住む切山さんが挙手します。

切山は開園にとにかく反対だ、白紙撤回を要請しますと言います。

参加した住民の多数が切山と同じ意見です。

意見を言うと鶴子側の説明を聞かず、全員退席してしまいます。

呆然とする鶴子に杉さんが声をかけます。

鶴子は最後までやります、とあきらめてはいないようです。



鶴子は春山まつりのお手伝いをします。住民説明会は話しを聞いてもらうことができなかったのでくやしさを感じています。はるやまちょうスプリング商店街に向かいます。まつりに参加している人に声をかけます。切山を見かけます。

切山は鶴子を見て、このあいだはわるかったね、2回目の説明会はいつなの? 聞くだけは聞くよ、杉にそう言っといてと言います。

鶴子は杉さんに切山に何か言いましたかと訊きます。

杉さんはとにかく話を聞いてくれとだけ言ったと応えます。



第2回新設保育園事前説明会が行われます。

住民の心配についての対応など丁寧に説明します。

住民はそれでも今の環境とは変わるよね、変えたくないわけ、この暮らしを守りたい、それだけだからと言います。

鶴子はこの町生まれて助けられ育てられました、この町の力になりたいと思っています、心配についてはそのつど対処していくのでもう少しお時間を頂けないでしょうかと言います。



年が明けます。

保育園は開園しました。

鶴子は運営に工夫を凝らすためオジソンに相談します。



鶴子が町を歩いていると自転車に乗った杉さんを見かけます。

杉さんは若返っています。絹さんに求婚します。



鶴子は渋谷区議会議員古内貫助からバス新規路線停留所予定地案を説明されます。予定ルートを巡ります。杉さんに会います。絹さんに求婚した返事はまだみたいです。足取りが軽いmuneを見つけます。大きな仕事の依頼があって心が弾んでいます。



muneが渋谷区役所春山町出張所にやって来ます。転入届の手続きをします。

鶴子はmuneの名前を知ります。

春山町サロン次号の特集について考えます。卒業式はどうかということで取材に行きます。町を歩いているとマユハラに会います。父吾郎が小説を書いていた時の担当編集者です。吾郎は一部、二部がヒットし、頑張って書いた三部目をなくてしまいそれ以来小説を書くのをやめてしまいました。

鶴子はマユハラから貰った名刺を吾郎に渡します。

吾郎はマユハラに連絡します。

マユハラは吾郎に会いに行きます。

吾郎は原稿を渡します。なくした原稿ではなく新しく書いたものです。

マユハラは嬉しさでふるえています。

きゅうりさんは投稿原稿を出版社に送ります。

鶴子は新しい企画を思いつきます。

終わり。



春山町サーバンツ 4巻
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2024年3月18日月曜日

斎藤けん かわいいひと 5巻

花園森也(はなぞのもりや)と鈴木日和(すずきひより)互いを愛しいと思う気持ちが伝わりました。

原っち(原浩史)と日和のどっちが森也が好きかという競い合いが面白いです。




森也と日和は念願の箱根旅行に行きます。日和の母親の了承を得てようやく隠し事なく楽しめます。

旅行中、日和は度々メールの返信をしています。

森也は日和が難しいで文章を考えているなと感じています。

夕食を食べ、温泉に浸かり、二人の時間を楽しみます。

また日和の携帯にメールが届きます。

森也は誰とメールをしているのか訊きます。

日和は就活でお世話になっている先輩とですとこたえ、森也にテレビに出るのってどう思うか訊きます。



翌日は、観光し、お土産を買い、遊覧船に乗り、箱根神社に行きます。

昨夜、森也は芸能人になるのですかと訊きました。

日和はお天気キャスターに立候補しないかと誘われている、やる気があるならサポートすると言われていると応えました。

神社で森也は自分のしていることが誰かのためになるのは楽しいことだと言います。

日和は神社を出た後、先輩の話は断ろうと思うと言います。驚く森也に、自分のやりたいことは自分で決めたいと言います。

森也は日和さんらしいです、と言います。本当は心の中ではすごくほっとしていてもっともっと日和を好きになっていく知らない自分に驚いています。



原っちと高良まゆこ(こうらまゆこ)と森也と日和の4人で遊びに行きます。今回は動物園に行きます。

原っちは森也と付き合いが長いことを日和に強調します。

日和はすこしムッとして原っちの知らない二人の思い出を話して対抗します。

原っちと日和は森也のことで会うと競い合います。

森也は原っちと日和が話していると仲がいいなと思い、軽く嫉妬してしまいます。途中、日和と二人で抜け出します。

ちょっと2人になりたくて、という森也に、日和はうれしさのあまりふるえています。

森也は日和が笑っていると思っているようです。

ふれあいひろばで日和が人懐っこいうさぎとじゃれていると、森也はひよりからうさぎを取り上げ、すみません嫉妬しました、と恥ずかしそうに言います。

日和はまたふるえます。森也のかわいらしさに耐え切れずまゆこに森也がかわいすぎると助けを求めます。



帰りは居酒屋に寄ります。

原っちから今日遊びに誘った理由を聞かされます。まゆこと結婚して沖縄でまゆこのじいさんの店を継ごうと思っていると言います。

森也は少し間を置いて、おめでとうと言います。

日和はまゆこに本当に原さんでいいんですか? と言います。

まゆこはヒロくん(原っち)と結婚できて嬉しい、不満を言うなら、名前で呼んでくれたことがないので呼んで欲しいと言います。

日和も森也も呼ぶように言っても、結局原っちは言えませんでした。



森也は原っちが沖縄に行くのがさみしいようです。

日和は突然森也さんと呼び、森也は照れます。



森也の自宅で原っちの結婚お祝いパーティーを開きます。

日和はすこし遅れて参加します。

森也は日和が来たときすでに酔っ払ってしました。

日和がカヌレを作って来たと言うと、原っちがからかいます。

森也の初恋の話になり、日和が聞き出そうと真剣になります。

お開きになり、帰り際原っちは日和にイヤミを言って日和の苦い顔を見ようと思ったら、日和は余裕で返します。

日和と森也は部屋に行って二人きりになります。

森也は日和に原っちとの思い出を話します。原っちが幸せそうで嬉しい、遠くへ行くのはさみしいと気持ちを打ち明けます。

日和は優しく微笑みながら頭を撫でながら、たくさん会いに行きましょうと

言います。

森也は感情をコントロールできない自分を情けなく思います。

日和はぜんぶひっくるめてかわいいひとだと言います。




斎藤けん かわいいひと 5巻
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2024年3月16日土曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 43巻

四龍の血の盃は、緋龍城から持ち出されても、紛失しても、必ずゼノの手に戻ってくる、もしくはゼノが四龍の血の盃の元に寄せられるのかと思いました。

ゼノを除く三龍が自我を失い、本当の姿を現し暴走したとき、鎮める役目を担っているのが、不老不死であるゼノなのかもしれません。孤独で悲しい役割を何度か経験したのかもと想像するとゼノの終わりは苦しいものになりそうだと思います。

ヨナの夢、ゼノの様子の変化、真国との戦、スウォンの容態、スウォンの父ユホンを信奉する者たちの動き、描かれることがたくさんありすぎて展開を追うのも大変です。




ジェハは姿を消します。

村人は驚きと恐怖心でキジャを襲おうとします。

馬が2頭走ってきて、キジャを抱えたハクとヨナは馬に飛び乗り、村を離れます。

馬はハクを助けた、ソノン母子が準備したのでした。



安全な場所まで移動し、休息をとります。

ヨナは目が覚めてキジャを探します。

キジャは体の状態が良くないようです。

ヨナはキジャに一旦高華国に戻って身体を休めるよう言います。

ハクも心配でシンアとゼノはヨナと探すと言います。

キジャはハクにジェハが言ったこと、もしかしたら誰かから何か聞いたのかと訊きます。ハクが何も言わず黙っていると、キジャが四龍はゼノを除いて短命であるとヨナに話します。だからその時が来るまでまで姫様を守りたい、お側にいたいと言います。

ヨナは四龍の秘密を聞かされ動揺しながらも、キジャに思いを伝えます。

キジャはヨナの思いに生まれてきてよかったと心から感じます。

三人でジェハ、シンア、ゼノを探しに行きます。



夜、ヨナはハクと話します。

ヨナは夢でゼノに会ったこと、その時四龍の血の盃を持っていたこと、盃で四龍の力が回復すると言っていたことなどを話します。



高華国軍は進軍します。

予定していた場所に着き、野営の準備を始めます。

ミンスがスウォンにヨナたちは四龍と合流できたでしょうか、と話しかけると、スウォンはヨナたちはもう戻らないかもしれないと言います。

ミンスがなぜ? と聞き返そうとすると、ユンがやって来ます。

ユンはミンスに頼まれていた薬を届けにやって来ました。

スウォンはユンがヨナたちと行かなかったことに驚いています。なぜがと訊きます。

ユンは仕事があるからと応えます。

スウォンはやや驚いた表情でユンを見つめています。

ミンスはスウォンにヨナたちがもう戻らないとお思いでしたか? と訊ねます。

スウォンは応えす、じっと何かを考えています。



風の部族は野営の準備を始めていると、何か気配を感じます。



ヨナは夢を見ます。ゼノが夢に出てきて、必死に話しかけます。

ゼノはシンアの居所を示します。

ヨナは目を覚まします。ゼノが示した方向に向かいます。



風の部族の野営地に龍が現れます。矢を放ち、龍を傷つけます。

テウ将軍は攻撃するなと言います。

ジュド将軍は報告を受け駆けつけると青い龍を確認します。

ジュドは青い龍が四龍だと言い、兵士たちに保護するよう指示します。



ユンはメイニャンに薬を処方していると、外が騒がしくて行き交う人に何かあったのかと訊くと、兵士が大勢倒れて運ばれていて、全員が麻痺したように動かないのだと言われます。

ユンは麻痺という言葉が気になります。



ケイシュク参謀は青い龍を見てシンアであると確信します。皆で無事に確保しようとします。

縄と薬を使い、青い龍を拘束します。

シンアである青い龍は能力を使います。

ケイシュク参謀は足を食いちぎられる幻想を見て身体が麻痺します。

龍は縄から逃れるため暴れます。

スウォンが現れます。青い龍を見つめます。

ジュド将軍とケイシュク参謀は驚きます。

青い龍はスウォンを襲います。スウォンの頭部に牙を向けます。

見ている者はスウォンが龍に食われたように思います。

ケイシュク参謀は力を振り絞り、全兵士に陛下を助けるため、青い龍を仕留めるよう命令します。

将軍、兵士が一斉に龍に攻撃します。

ユンがやって来ます。青い龍がシンアだとすぐにわかり、攻撃しないでと叫びます。手当てをするため龍に近づこうとすると、キョウガ将軍に止められます。

ユンはなんとか制止を振り切ろうとします。

キョウガ将軍は兵士にユンをこの場から連れだすよう命令します。

青い龍はキョウガ将軍を攻撃します。一撃でキョウガ将軍は気を失います。ユンに近づきじっと見つめます。

ユンは龍にここから逃げるように言います。

ユンの言葉が通じたのか、青い龍は移動を始めます。

ジュド将軍、ジュンギ将軍は逃すまいと攻撃の体勢をとります。

ユンはジュド将軍攻撃しないようお願いします。

青い龍は去ります。



傷ついた青い龍は彷徨いながら、ヨナの元にかえりたいと願います。

視界の先にヨナとハクとキジャを見つけます。

ヨナはようやくシンアを見つけます。懸命にシンアに話しかけます。

傷だらけのシンアにキジャは四龍の血の盃があれば傷が回復するかもしれないと言います。

ヨナはゼノが近くにいるかな、と言うとシンアは目を使いゼノを探します。

遠くを見渡せるシンアの目はゼノを見つけます。

ゼノは、

「…あ 見つかっちまったか」

といいます。

ゼノの話しに夢中でシンアに背中を向けていたヨナは、振り返り、シンアを見上げると、姿が消えてしまっています。



高華国野営地では、ミンスによってスウォンの治療が行われています。

スウォンの護衛を務めるソガは青い龍を始末するため、出発します。



確かにいたはずのシンアが消えていなくなり、ヨナは気が抜けたようになります。

キジャはさっきまであったシンアの気配がなくなったと言います。

ヨナは気持ちを奮い立たせゼノを探そうと言います。

「呼んだ?」

とゼノが現われます。

あまりに緊張感のない登場にヨナとハクとキジャは気が抜けその場にへたり込みます。

ヨナは安堵の表情で、ゼノに、

「帰って来てくれて… よかった…」

と言います。

ゼノは会話を交わしていても何か隠しているか曖昧な反応です。

ハクは気配を察知します。

やって来たのは、スウォンを護衛している者たちでした。

護衛する者たちのリーダーらしきソガはスウォン陛下に重症を追わせた青い龍を追っていると、見つけ次第処分すると言います。

ヨナはソガの言い分に表情をこわばらせます。

ハクとキジャは少し構えます。

ヨナはシンアはここにいない、知っていたとしても渡せないと言います。

ソガ及び配下の者たちは殺気だちます。

ソガは自らの理屈を繰り広げます。

ハクはソガの言い分を否定し、護衛なのにスウォンを守れなかったことを指摘します。そして、スウォンが四龍を探しに行けと言ったと言います。

ソガはスウォン陛下が四龍を探しに行くよう言ったこと、ハクにだけに打ち明けたことも知っていると言います。

そのことについて、我々は認めないと言い、ここで全員消えてもらうと言います。

ヨナはスウォンがハクに行ったことをソガの口から聞きます。

ソガはスウォン陛下は誤った選択をした、その選択を断ち切るのは我々の役目だと剣を抜き、ハクと闘います。

他の配下の者はヨナを襲います。キジャはヨナを守るため闘います。身体が万全ではないため、太刀を浴び倒れてしまいます。

ヨナは矢で闘います。

ゼノはヨナの前に立ち守ります。

キジャは意識が遠のいていきそうてす。ヨナを守ろうと奮い立たせると龍に変身します。

龍に変身したキジャはスウォンの護衛を次々に倒します。

ソガはヨナを狙います。しかし、ハクが逃すわけもなく、仕留めます。

ヨナは暴れ狂うキジャに声をかけます。ヨナの声はキジャには届きません。

ゼノがキジャに向かって歩いていきます。耳飾りを手にし、盃を取り出します。不思議なことが起こります。龍は盃に吸い込まれていきます。すべて吸い込み耳飾りで盃にフタをします。

「おつかれ 白龍」

と言うゼノをヨナが呆然と見つめます。

続きます。






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2024年3月14日木曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 14巻

最終巻です。

墨の濃淡や、かすれ、行間やリズムで書を見る人に書き手の思いを伝えることが心が震えるほど感動するなんて思いもしませんでした。

言葉と同じくらい字に感情が込められていることもこの作品を通じて知ることができました。

前衛書はよくわかりませんでした。衝動を表現しているのかな、再現性はあるのかな、ぼんやりしている書だなと思いました。

望月結希は大江縁の気持ちに高校生の間に気づくのかな、気づかないだろうな。ただずっと張り合っているんだろうな、縁はそんな望月が好きなんだろうな、二人の仲は当分そういう関係が続きそうです。

面白い作品でした。




鈴里高校と鵠沼学園の合同夏合宿最後の夜、二度めの「書の甲子園」の作品に徹夜で挑むユカリ!!

そして、この夏合宿で書き上げた作品を最後に、書道部を辞めて柔道部に専念することになる結希の本心は…!?

文科系青春コメディー、これにて完結!!!!




望月はずっと同じ姿勢で書き続けて疲れを感じます。少し手を休め、肩を回しながら、気になる縁を見ます。

縁は影山先生と構成について話しています。

望月は縁が昨夜の状態を引きずらず、やる気になっているので、少し安心します。席を立ち部屋を出るのに縁の近くを通ると、縁は望月が近づいてきたので、慌てて作品に書く言葉を隠します。

望月は縁が文章を隠すので、なんで見せたくないのかわからず、怒りを感じます。

影山先生も縁が文章を隠そうとしているのがわかり、サプライズっぽく完成してから皆に見せたいのかと訊きます。

縁は曖昧に返事をします。



三浦清風先生は生徒に出来上がった者から作品を持ってきなさいと言います。

鵠沼学園の日野よしみと見城美弥子は一緒に持っていきます。

三浦先生はいい出来だとほめて、二人とも書の甲子園でもいい評価を得るだろうと言います。

続いて、日野ひろみが作品を持ってきます。

三浦先生はひろみの作品もいい出来だとほめます。

見城もひろみの作品を素敵だと言います。

日野ひろみと見城美弥子の会話に笠置亜紀子も縁のおばあちゃん大江英子と良い影響を与え合う関係だったと昔の記憶を思い起こします。



望月は作品を書き上げ手応えを感じます。

三輪と加茂はこの合宿中に書き上げられそうにないから、学校で完成させるつもりだと言います。縁も完成できないだろうと言います。

望月は縁を見ます。

縁は望月に声をかけられると急いで文章を隠します。

望月は縁がいちいち文章を隠すので、少しトゲトゲしいものの言い方で、合宿中に完成させるのをあきらめてるんでしょうと説教っぽく言います。自分は書き上げてこれから三浦先生に見せに行くと言うと、縁に見せてほしいと言われます。望月は先に三浦先生に見てもらってからといい、部屋を出ていきます。



宮田は縁と望月の会話を聞いていました。部屋を出た望月を呼び止めます。縁がなぜあんなに時間をかけているのか、その理由を明かします。

望月は驚きます。



縁は構成を決めます。あとはどんな字にするかです。



望月が作品をもって三浦先生のいある部屋に行くと、ちょうど勅使河原が書き上げた作品を三浦先生に見てもらっていました。

続いて三浦先生は望月の作品を見ます。なかなかよく書けていると言います。楷書がここまで書けたらどこへ行っても自分は書を学んでいたと胸を張って言えるとほめます。

望月は三浦先生の言葉に涙ぐみます。ありがとうごさいました、と感謝の気持ちを伝えます。



三浦先生は11時になるので広間にいる生徒たちに片付けをさせないとと言います。

影山先生がやって来ます。大江縁が徹夜で作品を書きたいと言っていると許可を求めに来ました。



広間では片付けが始まります。

縁にはこのまま引き続き書いていていいという許可がおります。

三浦先生は縁に助言をします。

縁は作意ではない純粋な気持ちで書くことを目指します。望月の書いた作品を見せてもらいます。全体的にはきれいで、一字一字とても力強いし生き生きしてると感想を言います。

皆広間から出ていき、縁は影山先生に見守られ書に向かいます。



望月は縁が気になって眠れません。縁が自分に見せたい全力を込めた書はいったいどんなものかずっと考えています。



縁は書く姿勢、気持ちについて影山先生に訊ねます。

影山先生は縁が学んだ一年と四ヶ月の全てを込めればいいと助言します。

縁は素直な気持ちで一筆一筆で意味を噛みしめながら書きます。



望月は目を覚ますと外が明るくなっているので、縁が書いている広間へ行きます。

縁は眠っています。

望月は作品を探します。




迷いながら

ぶつかりながら

揺れながら

過ごした日々を

いとしく思う




文章はこのように書かれています。



日野、加茂、三輪も目を覚まし縁のいる広間に向かいます。途中、三浦先生と会い四人で向かいます。

部屋のふすまを開けると望月が立っています。

日野と加茂が望月と呼ぶと、望月はシッ!と言い縁が寝ていることを知らせます。

加茂が作品は? と言うと、望月はアレです、と作品を示します。

日野と加茂と三輪は作品を見ます。

縁の完成した書を見たとたん、これまでの高校生活の記憶がよみがえり、感情がこみ上げてきて、涙がこぼれます。

日野と加茂と三輪は、初めは三人だけだった書道部の部活、それはそれで楽しかったみたいです。それから、縁と望月が入部してからさらに活動が面白くなっていったひとつひとつの出来事を思い出しているようです。



三浦先生はついにやったか、ともう少しだけ寝かせておいてやろうと言います。

望月は三浦先生に質問します。この作品はなぜ横書きにしたのかという疑問です。

三浦先生は、「ながら」なのだろうと答えます。

日野は望月を見てうれしそうにしています。



広間を出て、三輪は三浦先生の言葉について話します。

「ついにやったか」

って最高のほめ言葉なんじゃない? って皆に問いかけます。

日野はそうかもれない、それよりも私はさっきの望月さんにもっと驚いた、と言います。望月に書に対する観察力が身についていることがうれしいようです。



朝の座禅、大掃除を終え、合宿が終了となり解散します。

縁は勅使河原と話しをして別れ、鈴里高校書道部の皆と最寄り駅まで歩いて行きます。

望月は合宿所から自宅が近いのでここから歩いて帰ると言います。それではと礼をして、縁を強い視線で見つめてから犬のピースと帰っていきます。

縁は皆に望月の書道部の活動はこれが最後になるから何も言わなくていいんですかと言います。

加茂が望月を呼びます。しかし、望月に声は届かず行ってしまいます。



望月は軽く走りながら、縁の書の文章を口ずさみます。急に立ち止まります。ピースが望月の顔を見上げます。望月の目から涙が流れています。

あれ? なんだ? これ? と自然とこぼれる涙の意味が何なのかわからないでいます。



望月は柔道部で練習に励んでいます。

柔道場に加茂と三輪がやって来て、望月に書いた「楽毅論(がくきろん)」をそのまま書の甲子園に出す気なのか? と訊きます。

三輪も締め切りは9月15日でまだ時間があり、ホントにあの「楽毅論」でいいの、後悔しない? と書道部の活動への未練をくすぐろうとします。

望月は後悔なんてしません! 自信作ですと言います。

日野部長と縁がやって来て、加茂と三輪に望月を困らせるなと叱ります。望月に練習の邪魔をしてごめんなさいと謝って柔道場を出て行きます。

縁は望月と目が合ったので、笑顔を作って見つめます。

望月はすぐに縁に背を向けてしまいます。

縁は何か反応してほしかったのに無視されたように感じ落胆します。



書道部の教室に戻ります。

加茂と三輪はやる気がおこらなくて、ダラダラしています。

島と羽生は書の甲子園に出す作品を書いています。

日野は加茂と三輪に一年生が頑張っているから、二人よりいい作品ができちゃったりしてとからかいます。

縁は望月がいない書道部はどこか活気がなくさみしく感じています。



夏休みが終わります。

加茂と三輪と島と羽生は作品を書き上げます。

望月は書道部に顔を出すことはありません。



二学期。

三輪の教室に望月がやって来ます。

望月は相談したいことがあると言います。



書道部部活

出来上がった作品を皆で見ます。

縁のおばあちゃん大江英子先生も来て、加茂と三輪の作品を見てとてもよく書けてるとほめます。

三年生の日野と加茂と三輪はこれで書道部の活動は終わりです。

縁と島と羽生の三人だけになってしまいます。縁が次の部長になります。部員集めをしないといけないと言います。



一週間後、望月の柔道の試合が行われます。

決勝戦、望月は顧問の島田先生にこの試合に勝ったら柔道部と書道部のかけもちをもう一度認めると約束してほしいと言います。

島田先生は柔道に専念すると約束したはずだと言います。

望月は三輪から教わった交渉術で試合に勝てば認めると言わせます。

試合に勝ち、望月は柔道部と書道部のかけもち勝ち取ります。



理事長と校長が話しをして、柔道部部員の希望者に書道部の活動を認めます。

急に書道部の部員が増え、廃部の危機を逃れ部員集めをする必要がなくなります。

縁は入ってきた柔道部の人達に書道のおもしろさを知ってもらえるよう工夫しなくてはと影山先生と話します。



11月下旬。

書道部の教室に久しぶりに日野と加茂と三輪が姿を見せます。

影山先生から書の甲子園の結果の通知が来たと連絡があったと言います。

影山先生が教室に入って来ます。ため息をひとつして、部員7人全員が入選したと報告します。信じられないことに鈴里高校書道部が県内トップの成績になったと言います。

縁の作品が大賞を、日野の作品が準大賞、島の作品が優秀賞、望月の作品が秀作賞、加茂と三輪と羽生が入選したと言います。



影山先生が新聞社の取材に困っているのは、書道部部員全員が入選するための指導方法について質問されたときだと思います。

生徒が成長したのは縁のおばあちゃんと三浦先生の指導、他校の書道部との交流よるものが大きいから、何と答えればいいか迷っているはずです。



鈴里高校書道部は書の甲子園の入選した作品を展示している大阪市立美術館に行きます。

場所を移動して表彰式があり、席上揮毫が行われます。

望月は一条毅を見つけ話をします。合宿で話しかけてやめたことについてです。そして、書道部をやめて柔道に専念する予定だったのに縁の作品を見て感動したことがくやしくて、書道を続けたいと思ったことなどについて話します。



席上揮毫に縁が出るのに望月も一緒に登場し、二人で合作することになります。

書き上げたのち、インタビューが行われ、縁、望月それぞれが応えます。

続いて一条が登場します。

表彰式が終了します。

縁は一条と握手し、別れます。



春。

3年生が卒業します。

日野は縁に自分と同じ東都文化大の書道科に進まないかと誘います。

縁は考えてみます、と応えます。

日野は考えてみて、縁の書く書がとっても大好きだから! と言います。

望月が反応します。私も東都文化大に入れますから! と急に言います。

加茂と三輪と島と羽生が望月をからかいます。



エピローグ

鈴里高校書道部が書道パフォーマンス甲子園に参加します。

終わりです。



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2024年3月12日火曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 13巻

大江縁(おおえゆかり)がどんな言葉を書いた書で望月結希(もちづきゆき)の心を打ちたいのだろう。望月に縁の書は響くのか。直接言うのではなく、書にして伝える伝わる感情のやりとりがどのように描かれるのか楽しみです。




鈴里高校と鵠沼学園の合同夏合宿は中盤へ!「書の甲子園」二連覇を狙う一条の作品がついに完成!!

一方、何を書くかが決まっていないユカリはこの夏で書道部を辞める結希への気持ちを書にしたいというが…!?

文科系高校生の夏がヒートアップする第十三巻!!




大江縁は一条毅が書の甲子園でどんな作品を書こうとしているのか気にしています。



望月は懸命に書いています。

三浦清風先生は望月にこの夏で書道をやめるのかと声をかけます。

望月は約束したからと言います。

三浦先生は書の甲子園で何を書くのか決まっているのかと訊くと、望月はまだ決まってないと応えます。

三浦先生は影山先生の指導不足を叱ります。そして、望月と一条に明日自宅に戻るからついて来いと言います。

縁は望月と一条だけが行くので心配になります。



翌日、望月と一条は三浦先生の自宅へ、縁と日野部長は図書館へ歌集を探しに行きます。

縁は漢字かな交じりの書で書く現代短歌のヒントを探るため、日野はかなの書で創作作品を書くための歌集を探します。

日野は縁に構想を話し、お願いがあると切り出します。



三浦先生の自宅では青山杉雨(あおやまさんう)作「殷文鳥獣戯画(いんぶんちょうじゅうぎが)」を望月と一条に見せます。望月は作品を見て子供の落書きみたいだと言います。

三浦先生は次に同じ作者の「艱難玉汝(かんなんなんじをたまにす)」を見せます。

望月は艱難玉汝の書については、線の良し悪しがわかりすごく上手いと感想を言います。

三浦先生は青山杉雨は作品ごとに作風を変化させた書家だと言います。



日野のお願いとは縁のおばあちゃんに作品に書く歌について相談したいというものでした。二人は図書館を出て縁の自宅に向かいます。

途中の電車で日野は、望月が書道部をこの夏でやめることをどう思っているのと訊きます。

縁は本心は言わず、望月がいなくなるとさみしくなる、書道部が暗くならないように残ったみんなで明るくしないといけないと言います。

日野はなんとか望月が書道部を辞めないですむ方法はないかと考えてるのに、縁が望月がいなくなったあとのことを言うので、がっかりしたと不満を漏らします。

縁はすみませんと謝ります。



三浦先生は一条に書の甲子園の作品の文字数について訊きます。

聞いていた望月はあまりにも細かいことを決めようとしていると言います。

三浦先生は一条がそこまでやる理由を話そうとします。

すぐさま一条が先生! と三浦先生を言葉を遮ります。

望月が一条に書の甲子園で何があるのか訊こうしたら、一条はこの話題を続けたくなくて、話しを逸らそうとします。



縁は一条の目標を日野に話します。そのために鎌倉に来て三浦先生に知恵を借りに来たのだと、そして、目標が達成出来たら望月にふさわしい相手になれると言っていたと話します。

日野は一条が直接縁にそこまで話したことに驚きます。一条が縁をライバルとして意識しているとしか考えられないからです。

縁は一条が書で望月にアピールしているのなら、自分も望月に書道部をやめてほしくないと書で気持ちを伝えるべきだと思ったと話します。

日野は縁の考えに一番いい方法だと、応援すると言います。



三浦先生は望月はどうするのか訊ねます。書の甲子園の作品を何にするか決まっていないなら、得意の大字書で考えてみてはどうかと言います。

望月は最後の挑戦になるから、書道部で学んできたことの集大成になるような作品を書きたいと言います。

三浦先生は望月が何を書くかについて考えていたので感心します。望月の学んできたことに沿って一緒に考えようとします。



縁と日野は縁のおばあちゃんに会い、和歌について相談します。

望月と一条もアイデアを固めていきます。

縁、日野、望月、一条は夕方に合宿所に戻ります。



帰ってきた望月と日野は、加茂や三輪からなにかおもしろいことはなかったのかと訊かれます。

加茂と三輪は期待したような話はなく残念なような、ホッとしたような気持ちになります。



鵠沼学園書道部の勅使河原は一条に張り合いたいのか、むずかしい書に挑戦しようとします。



一条は縁に書に書く言葉は見つかったのかと訊きます。

縁はまだ見つかっていないと応えます。

一条は漢字かな交じりの書で短歌を書くと字数が多すぎると言います。

縁は現代短歌ではだめなのかと迷います。



勅使河原は原典を見て、蘇軾(そしょく)の書の臨書は無理だと悟り違う書にすることにします。

望月は楽毅論(がくきろん)の練習をしています。三浦先生が望月にピッタリだと選びました。

三浦先生の説明はありがたいです。



一条の携帯が鳴ります。通話を終え三浦先生に急に予定が変わり、3日後に大分に帰らなくてはならなくなりましたと言います。

三浦先生は書の甲子園に出す作品をこの合宿中に完成させるのはムリになったなと言います。

一条はあと3日で作品を完成させますと言います。三浦先生が書く言葉はと訊くと本を指し示します。

三浦先生は集字にとりかかるよう指示します。

部屋を出ていく一条を望月が追いかけ声をかけます。

望月は急いで作品を書く理由を訊ねます。

一条は作品を望月に見てもらいたいからと言い、思いを告白します。

望月は急な告白に慌てます。

一条と望月の会話を縁と宮田が盗み聞きしています。

縁はがっくり肩を落とします。

宮田はチャンス到来とやる気をみせます。



縁は部屋に戻り、本を開きます。何かをつかみます。翌日から縁は心に響く言葉を探します。



一条は書いては三浦先生に見せるを繰り返しています。

縁は図書館で言葉を探しています。

一条のやる気は望月にも影響し、楽毅論の臨書をさらにがんばろうと午後からのやる気を見せます。

縁は昼食に戻らず、縁の分がそのまま残されています。

日野は縁が一食抜くと言ってたとみんなに言います。

宮田は話しを聞いていて何か思いついたようです。

望月は縁が昼食を抜いて心配しています。加茂から縁になんか差し入れて来いと言われ、望月はしかたないと縁のところへ行くことにします。縁が書に書く言葉をこんなにも悩んでいることを不思議に思っています。

日野は縁が言葉を探している理由を知っているので、望月に最高の言葉を見つけたくて粘っているのよと言います。

望月はそんなにいい言葉が見つからないなら自分で文章を考えればいいのにと言います。

近くで聞いていた影山先生は望月の言葉に、「自詠」作品について説明を始めます。

三浦先生もやって来て、「自詠」の作品の凄さについて影山先生に賛同します。

加茂が望月にそんなことより、縁が空腹だろうから早く図書館に行ってやれといい、望月は出かけます。差し入れを買い、図書館で縁を探します。縁を見つけると縁は誰かと話していて近寄ると、話し相手が宮田であるとわかります。邪魔をしては悪いと感じたのか、縁に声もかけず図書館を出て行きます。外のベンチで望月は縁に差し入れるはずだった食べ物を自分が食べてしまいます。縁が言葉を探していると思ったのに宮田と仲良く話しをしていてので腹を立てています。



宮田はすぐに出かけて縁に差し入れを持って行ったようです。食べながら話していると縁が望月をどう思っているのかわかってしまい、恋心が実らないことを理解します。



望月は合宿所に帰ります。加茂から縁に昼食を渡したのかと聞かれると私が全部食べました、先に宮田が縁に差し入れていたのでと怒った口調で言います。

加茂と三輪は縁にまだ希望は残っているぞと小さな声で話します。



縁は言葉を見つけます。

一条はずっと書いていて疲労が出てきています。

縁が合宿所に戻って来ます。

加茂が縁に言葉は見つかったかと声をかけると、縁はハイ、見つかりました、と言います。

望月は縁が戻ってきてもまだ怒っていて目も合わせようとしません。

縁は望月の態度に違和感を感じています。

三浦先生がやって来て、縁に言葉は見つかったかと訊ねます。

縁は見つけた短歌を三浦先生に見せます。

三浦先生は構成はどうする? と訊きます。

縁はこれから影山先生と一緒に考えますと言います。

影山先生は三浦先生がいるのにどうして自分なのかと訊きます。

縁は自分は影山先生の教え子なので、影山先生のアドバイスを受けて書きたいと応えます。

望月は縁がいいことを言うなと感心し、そういえば宮田はどこにいるのだろうとふと思います。



宮田は自宅に帰ってしまいました。何かに葛藤し、明日合宿所に戻ろうと決めます。



縁と影山先生は作品の構成について話し合います。

一条は三浦先生の合格を得て作品を仕上げます。



一条が作品を書き上げたというのでみんなで見に行きます。

作品の良さを三浦先生が説明してなんとなくわかったような気になりました。



一条は大分に帰っていきます。

別れ際一条は望月にこの作品で書の甲子園の頂点を獲れたら望月に釣り合う相手になれると言います。

望月は一条の告白について何か言おうとします。だけどうまく言葉が出てこず、また今度言うねと言って別れます。



縁は一条の作品の触発されやる気が高まっています。影山先生に三浦先生が若い頃に出会ったという書を書いた人について聞いてみようと思うと言います。

縁が三浦先生に訊ねると、三浦先生は思案した後、作品が展示してある群馬県立近代美術館を教えます。



縁は群馬県立近代美術館を訪れます。

展示してある作品に衝撃を受けます。



縁は合宿所に戻り、三浦先生に作品を見てきたと報告します。そして、机に向かい筆を取り書こうとします。しかし、脳裏に焼き付いている書の衝撃で書けません。

三浦先生はみんなに縁が衝撃をうけた作品の作者井上有一(いのうえゆういち)という人物について話します。縁がこの合宿中に書き上げるのはムリかもしれないと言います。



望月は縁の様子を伺っています。何が気になっているのでしょう。

続きます。



河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 13巻
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2024年3月10日日曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 12巻

書について書家の世界観や筆致による線の感情表現がすこしだけわかった気になりました。

大江縁はどんな書を書き上げるのか続きが気になります。




ユカリが書道部に入って二度目の夏休み。ついに合同夏合宿が始まる!今年は鈴里高校と鵠沼学園に加えて、「書の甲子園」二連覇を狙う一条も参加!!

ユカリに想いを寄せる鵠沼の宮田。そして、書道部での活動は、これが最後になる望月。望月への想いと一条に対するコンプレックスにユカリは……!?

文科系青春コメディ、書も恋もさらにアツく第十二巻!!




高野山競書大会表彰式が行われます。

大槻藍子は大江縁の書いた源氏物語が気になっています。

記念撮影をして、日野ひろみ部長は大槻に声をかけます。

大槻は奥の院を見て帰ろうと思うと言うと、日野はもう少し作品の話をしたかったと残念そうに言います。

大槻さんは加茂、三輪、望月の作品の感想を言います。

日野は部員の作品を見てくれていたことに礼を言います。

大槻は縁の作品については言おうか迷って言わずに帰ります。縁の書の出来は日野の作品を上回っていると感じていたからです。もし自分がこの高野山競書大会に出品していなかったら、間違いなく弘法大師賞は縁の作品だったと考えるほどです。



帰り道、大槻は硯高校書道部の団体を見つけます。望月に声をかけメアドを交換しようと言います。日野部長はメアドを交換する様子をうらやましそうに見つめています。

それに気がついた望月は大槻に部長ともメアドを交換してあげて欲しいと言います。

大槻はバスが来たので、望月から日野に教えてあげて欲しいと言います。

縁は大槻が源氏の書をほめてくれたので嬉しそうです。もっと練習して一条毅が驚くような書を書こうと目標をたてます。



鈴里高校と鵠沼学園の書道部合同の夏合宿が始まります。

三浦清風先生は鈴里高校と鵠沼学園の書道部に加え、一条毅も参加すると紹介します。

男女それぞれの部屋で準備をします。

笠置亜紀子、笠置奈津子鵠沼学園書道部顧問がやって来ます。笠置亜紀子は三浦先生に会えてうれしそうです。



合同夏合宿は縁は書に真剣に取り組み、宮田は恋に夢中で、望月は書で縁に遅れを取りたくなくて、一条は書も恋も手にしたくて、島は書に取り組みつつ縁の恋をアシストし、それぞれがそれぞれの思いで頑張っていきます。



縁と望月は三浦先生から課題を与えられ、ひたすら臨書します。

三浦先生は生徒を鶴岡八幡宮に連れて行き、書家の独自の世界、書風を教えます。



今年の合宿も海水浴に行きます。

縁は砂の城を作ります。今年はピースに壊されずに見事な砂の城を作り上げます。

三浦清風先生が縁の砂の城の出来をほめたことで、一条が三浦先生が縁を評価していると少し嫉妬します。



一条は三浦先生に書の甲子園では篆書の創作作品を書きたいと言います。

三浦先生は一条が参考に挙げた作品が、青山杉雨(あおやまさんう)の萬方鮮(ばんぽうせん)だったので、それに沿って助言し、表現を完璧に再現なしえたとすれば、書の甲子園の連覇も可能だと言います。

続きます。



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2024年3月8日金曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 11巻

柔道の「全日本選抜体重別選手権大会」で好成績を修めた望月は、なんと国際強化選手に指定されることに!

だが、そのことで、書道部をやめ、柔道に専念するようにとの“圧力”がかかり……

ふってわいた望月の退部騒動に、ユカリの想いは!? そして望月の出した結論は……?

風雲急を告げる、文科系青春コメディー第十一巻!!




木簡を臨書していると、柔道部顧問島田先生が書道部の教室にやって来ます。

島田先生は望月に書道部をやめるように言います。

望月結希は書道部を続けたいと言い、書道部顧問影山先生も島田先生にもう少し書道部の活動をさせてやってほしいと言います。

書道部部員も島田先生にお願いし、望月は週に一回だけという条件で書道部の活動を続けられることになります。



和歌山県高野山、真言宗総本山金剛峯寺では、高野山競書大会の作品審査が行われています。

大江縁と同じく大槻藍子の作品も源氏物語で審査をする審査員は珍しい題材が別々の場所から同じ大会に送られてくる偶然を楽しんでいます。



書道部部員は望月が不在になり、どこか雰囲気が暗いと感じています。

影山先生が教室に入ってきて、いい報せがあると、高野山競書大会の事務局から通知が来たと言います。部員七人全員入賞したと言います。一番上の弘法大師賞はムリだった、だけど二番目の金剛峯寺を獲ったと言います。

加茂杏子と三輪三輪詩織は、日野部長が金剛峯寺賞をとったのだと思い、やったぜ、さすが、と日野部長を祝います。

影山先生は、一人は日野だと明かし、もう一人金剛峯寺賞をとった人がいると、大江縁の名を挙げます。

加茂と三輪は驚いて縁を見ます。

影山先生は縁はのおばあちゃん大江先生が太鼓判を押したくらいの出来だったと言います。

高野山管長賞に島、高野山総長賞に加茂と三輪、南山賞に望月、書道協会賞に羽生が選ばれたと言い、8月初めに高野山の金剛峯寺で授賞式があると言います。

夏休みだし、みんなで行こうと言います。。



島田先生は理事長にかけあい、望月を柔道に専念させるための策を提案します。



高野山競書大会の一番上の賞弘法大師賞に選ばれたのは大槻藍子でした。

大槻は源氏物語を題材に選んだ理由を思い出し、縁は何を書いたのか気にします。



望月は職員室で影山先生から高野山競書大会に入賞したと報告されます。


縁は望月が書道部にいないので元気がありません。

父親も縁を気にしています。



柔道部。

望月が練習とはいえ、格上の選手を投げたことで、島田先生は書道部をやめさせたくて、理事長に会議を開いてほしいと言います。

影山先生は島田先生と理事会の会話を盗み聞きして、三浦清風先生に助けを求めます。

大人がそれぞれの言い分を主張します。

望月は9月に締め切りのある書の甲子園に書を出品したあとは柔道に専念しますと宣言します。



3日後。

書道部の雰囲気はさらに重くなります。

日野部長は望月と話します。

望月は自分にどこまでやれるか確かめたいと言います。そして、一年間がんばってきた書道の集大成を書の甲子園に込めたいと言います。

日野は去年のように夏休みに合宿をしようと言います。

日野は三浦清風先生に連絡し、三浦先生は合宿で使用した建尚寺の和尚に言っておくと言います。

三浦先生宛に手紙が届きます。一条毅からで夏休みに書の指導を仰ぎたいという内容です。



一条毅は通っている大分県の豊後高校の書道部の顧問に夏休みに三浦清風先生のところへ行くと言います。



鈴里高校書道部。

三浦先生がやって来ます。

縁のおばあちゃん大江先生と再会します。

望月も書道部にいます。望月は縁にいま何に取り組んでいるのかと訊き、まだ木簡に取り組んでいるとわかり安心します。

三浦先生は縁に一条毅が来るので、夏休みに入ったら、特訓に来るか? と誘います。

縁は参加したいと言います。



夏休みに入ります。

一条毅は三浦先生の自宅に行きます。

縁、日野、加茂、三輪が部屋にいました。

加茂と三輪は一条にイジワルしてやろうと参加したのに会話が和んでくやしそうです。

一条の目標は書の甲子園の一位文部科学大臣賞の連続受賞です。

和気あいあいと特訓は続きます。

一条毅は縁に望月にふさわしい相手になると宣言します。

望月を想う人物がとても敵わないと縁は自信喪失して落ち込みます。



望月はインターハイに向かいます。

三浦先生の自宅は加茂と三輪がいないだけでとても静かです。

縁も一条が宣言した翌日から、三浦先生の自宅には行っていません。



鈴里高校書道部は高野山競書大会の表彰式の打ち合わせをします。

新幹線で大阪に行き、南海電車で向かいます。

途中、望月と羽生が合流します。

高野山に着き、受賞作品の展示をみて、自分たちの作品の前で記念撮影をします。

大槻藍子に会い、話します。

続きます。



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2024年3月6日水曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 10巻

大江縁と望月結希は修学旅行で京都で大槻藍子と出会い、彼女の案内で書の古典作品をたくさん見ることができます。書を見て何か感じるようになりたいと思いました。

ルールがあって、それから独自の書を見つけて、面白いなと思います。




「雨降って地固まるのたとえのごとく、ますます結束を強めた鈴里高校書道部は、半紙のサイズで出せる書道展「高野山競書大会」を目指すことに!

……が、その締め切りの前に、ユカリと望月は、高校生活の一大イベント・修学旅行へ!

旅行先の京都で二人を待ち受けていたのは……?

わくわく、ドキドキ満載の文科系青春コメディー第十巻!!




大江縁と望月は修学旅行があるので作品を書く時間がありません。

加茂は二人がいなくても五人いるから大丈夫だと言います。

望月はなんとか出品したいと言います。

縁のおばあちゃん大江先生はやるだけやってみようと言います。

日野部長は縁に修学旅行はどこへ行くの? と訊きます。

縁は九州と京都だと言います。

大江先生は京都へ行ったら博物館に行って書の古典作品を見てきなさいと言います。

望月は縁に自由行動の日に行こうと言います。



京都では自由行動の日、縁と望月は影山先生と一緒に博物館を巡ります。

偶然大槻さんと出会います。大槻さんは仏像が大好きでひとりで来ていました。

望月がかな文字を見たいと言うと、大槻さんは大阪にある藤田美術館へ連れて行きます。

かなのお手本を見て、京都に戻り、泉屋博古館、泉屋博古館を巡ります。

大槻さんが言ったタイムカプセルってなんだかロマンを感じます。

三人で話していると、大槻さんも高野山競書大会に作品を出すことを知り、大槻さんは縁と望月に作品についていろいろ話します。



修学旅行最終日、平等院鳳凰堂を見学し、影山先生の講義を聞いて、縁は高野山競書大会へ出す作品のヒントを得ます。



修学旅行から帰り、縁はおばあちゃんに源氏物語の書について教えてもらいます。

望月がおばあちゃんに書を教わりに自宅にやって来ます。



翌日、縁と望月は一週間ぶりに書道部の教室に行きます。

日野、三輪、加茂に修学旅行であったことを話します。そして、高野山競書大会に望月は高野切、縁は源氏物語を書くことに決めたと言います。

縁のおばあちゃんは料紙を持ってきて、本番はこれに書いてもらうと言います。

料紙は高価な紙で、日野、加茂、三輪はもったいないと言います。

大江先生はあなたたちの本気度をアピールするためにも料紙を使ってほしいと言い、そういうことならと日野が使わせてもらいます、と言います。

縁とおばあちゃんがこそっと話すところが好きです。



練習をして、作品を完成させます。

縁だけ完成が遅れ、9時過ぎまで頑張って書いて完成させます。

高野山競書大会への作品提出され、審査結果は三週間後になります。



日常に戻った書道部。

望月が縁に伝えたいことがあると言います。

縁はみんなに望月が今週いっぱい書道部を休むことを伝えます。

日曜日、テレビをつけると望月が映っています。

翌日、体育館に全校生徒が集まり、望月が大会でいい成績をおさめたと紹介されます。



書道部に望月がやって来ます。

普段通りの雰囲気で縁はホッとします。

職員室、書道部顧問影山先生は柔道部顧問に望月を柔道に専念させたいと言われます。

書道部部員は木簡に挑戦します。

影山先生が書道部部活の教室に入ってきて木簡を教えます。いまいち木簡に良さを感じない望月に影山先生は木簡の面白さを伝えます。

影山先生は望月が書に興味を持って取り組んでいるのに、書の本当の奥深さ、面白さがわかってきたところなのに書道部をやめさせなくてはならないことにくやしさを感じています。

続きます。




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2024年3月4日月曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 9巻

書を取り組む姿勢、何のために書くのか、賞を取るために書くのか、書を書くことを楽しむのか、について考えます。

評価されたい勝ちたい、と、いい線を引いて美しい字を書けるようになるために練習するという思いで揺れます。

大江縁のおばあちゃんが出した答えがより書を好きになる取り組み方なのだと思います。

淡い恋心や女学生時代の縁のおばあちゃんも面白かったです。




記憶に新しい(?)鵠沼学園との引き分け劇@市民書道大会。望月が人々の脳裏に衝撃を刻みこんだ伝説のあの事件から1年……

成長を遂げた新2年生・ユカリと望月が、個性豊かな新入部員と新年次最初の大舞台へ!

ユカリの祖母・英子と書道との出会いを描いた「湘南女学院書道部」編も完全収録した人が「書」を産み、「書」が人を創る文科系青春コメディー第九巻!!




鈴里高校書道部では日野部長が5月にある市民書道大会について話しています。

望月は少し考えると言い、他の部員は全員参加することが決まります。



大江縁はそば屋のみやた庵の店主に頼まれていたお品書きが完成し届けます。

店を出ると、帰ってきた宮田さんに会います。

宮田麻衣は男子生徒と一緒でした。男子と一緒にいるのを見られて縁に誤解されたくないからなんでもない人なのだと説明します。

しかし、縁は宮田さんが男の子と一緒にいたことに何も気にする様子もなく、書いたお品書きを届けてきたところです、と言い帰っていきます。

宮田さんは無関心な縁に腹を立てます。



島は椅子の上に正座し、壁に貼った「心」という字を見つめています。

加茂や三輪は島の様子が怖くて近寄ろうとしません。

独自の考えを持つ島が面白いです。



縁のおばあちゃん大江英子が書道部にやって来ます。

新入部員の島と羽生は英子に挨拶し、日野、望月、縁、加茂、三輪は市民書道大会の作品について相談します。



市民書道大会当日。

会場につくと鵠沼学園書道部の部員と鉢合わせします。

鵠沼書道部の日野よしみ部長は鈴里高校書道部を敵視しているので、騒がしくしていると、三浦清風先生、この市民書道大会の審査委員長がやってきて皆を注意します。

三浦先生はそれぞれの作品を寸評します。



鈴里高校書道部。

加茂と三輪は鵠沼の日野よしみに負けたことがくやしくて、縁のおばあちゃん大江英子先生に評価される書を教えてほしいと言います。

大江先生は書道を学ぶなら楽しいほうがいいのではと言います。

それでも賞を取れる書を教えてほしいというので、大江先生は賞を獲りたいという人には教えられないと怒って帰っていきます。



縁はおばあちゃんと話します。

賞を狙いに行くという考えはいけないことなのかと訊きます。

おばあちゃんは高校時代の話を始めます。

三浦清風先生、笠置亜紀子との出会い、三人て始めた書道部、賞を獲るために書く書についての考え、について話します。

縁は加茂と三輪が賞にこだわった理由を自分なりに解釈して、おばあちゃんにまた書道部に来てくれるよう説得します。



おばあちゃんは久しぶりな笠置亜紀子に会います。

三浦清風先生に同じ時同じだけ教えをもらったのに、書に対する考えが全く異なっていることに気づき、自分の考え方を貫こうと決めます。



おばあちゃんが鈴里高校書道部を訪れると加茂と三輪がすぐにおばあちゃんのところへ行き、書を教えてほしいと誤ります。

おばあちゃんは縁と話をして、少し考えを改めることにしたと言います。目標を設定することで書を楽しもうと言います。そして、早速5月下旬のしめ切りで「高野山競書大会」という書道展があるのでそこを目標にしようと言います。

縁は2年生は修学旅行があると言います。



書の話がたくさん出てきて楽しかったです。

続きます。



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2024年3月2日土曜日

河合克敏 とめはねっ! 鈴里高校書道部 8巻

縁はすこし自信をつけたと思うと、駄目だと落胆し、なかなか確信を持った前進ができないようです。




大学のオープンキャンパスを舞台に熱き火花を散らす鈴里高校と鵠沼学園の両書道部!

「かな」の創作授業で発表された最終成績は余りにも衝撃的で…!?

書道高校日本一・一条と柔道高校日本一・望月の幼なじみグダグダ初デートwithユカリ編や、毎年恒例! 新入部員獲得大作戦編をフル収録した「書」以外の青春グラフィティも超満載! の文科系青春コメディ第八巻!!






オープンキャンパス「高校生のための書道講座」の実技指導の授業の後、創作と寸評を行います。

担当する先生は寸評の際に順位をつけようと思うと話し、順位をつけるかどうかに挙手を求めます。

多くの生徒が希望するので順位をつけることになります。

和歌の書かれたプリントが配られ、和歌をどう書くかという全体の構図、なん箇所かを変体かなに変える、といった設計図を作成し、許可がでたら、半紙に書いてもらうという課題です。

時間は90分です。

はじめの合図から少しすると大槻藍子が設計図を提出します。担当の先生は許可を出します。

大槻さんの早さに教室がザワッとします。

続いて負けずに日野よしみが設計図を提出します。直しが入ります。

見城さんは許可が出ます。

日野ひろみ部長は許可が出ます。

勅使河原亮、加茂杏子、三輪詩織も許可が出ます。

大江縁は急いで持って行こうとしたらつまずいて転んでしまい、その拍子に斬新な発想が浮かび机に戻ります。

縁は設計図を提出すると許可をもらいます。

望月結希は修正をくらいます。



生徒が時間一杯まで使い書いた作品が審査されます。

先生は上位5作品を発表し寸評すると言います。



上位5位の作品は、

5位 日野よしみ

4位 大江縁

3位 見城美弥子

2位 日野ひろみ

1位 大槻藍子



となりました。

大江縁の作品が4位と発表され、日野よしみは驚きます。

縁は全体の構図の発想が評価されました。

鈴里高校書道部と鵠沼学園書道部の勝負は鈴里高校が勝利します。

沼学園書道部の部長日野よしみは口惜しそうにしています。

縁の書に対する取り組みが実を結びはじめています。



講座が終了し、大学を出ようとしたたら望月結希が東都文化大柔道部のコーチに呼び止められ柔道部の監督に会ってほしいと言われ道場に連れて行かれます。

大槻は望月に一条毅が講座に参加していることを知らせたくて望月の後を追います。

大槻は望月に一条がこの大学に来ていると知らせます。

望月は明日一条と会う約束をしていると言います。

縁はそれを聞いて驚いています。

帰りの電車で縁は驚いた理由を探します。



翌日、縁は鎌倉大仏で有名な寺に行きます。もしかしたら、望月に会えるかもしれないという期待でやって来ます。願いが届いて、望月を見つけます。

望月は一条とここで待ち合わせしていると言います。

せっかく望月に会えたのに縁は帰ろうとします。

望月は縁に一条に会ってみたらと言います。

縁と望月が話していると一条がやって来ます。

三人でブラブラします。

一条は恋のライバルとして縁を警戒しています。

縁はどこか落ち着きがない様子です。



数日後、書道部部員が集まり、新学期の新入生歓迎会で何をするか話し合います。

三輪が閃き、歓迎会での出し物の準備を始めます。



新入生歓迎会。

書道部の出し物は新入生に好評を得ます。

書道部に入部しようか迷っている生徒には出し物はふざけたものに映ったようで腹を立てています。



腹を立てていた生徒は島奏恵(しまかなえ)といい書道部顧問の影山先生の歳の離れた従兄妹です。

島は書道部に入部するつもりだったのに真剣に書道をやっていないから入らないと言います。

影山先生は一度見学してみてはどうかと言います。

柔道部の新入生羽生翔子(はぶしょうこ)が職員室に入って来て、影山先生に書道部に入部したいと言います。

影山先生は島と羽生を書道部に連れて行きます。

羽生は小学生の頃習字の塾に通っていたのでそれなりの字が書けます。

島は字は書かず、日野部長や縁の字を見学します。部長や望月の会話から入部を決めます。



島は前衛書という分野を学んでいます。

影山先生を通じて前衛書とはの説明が描かれます。

女子六人、男子一人の七人の書道部部活動が始まります。




物腰の柔らかい縁と、相手を簡単に認めてはいけないと言う羽生、縁を男子生徒いうだけで嫌う島がちょくちょく衝突しそうでにぎやかになりそうです。

続きます。



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