2017年12月28日木曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 13巻

●56
木々は白雪が泣いているのに気がつきます。
木々はゼンを呼んだほうがいいと考え、ゼンに白雪のところへ行ってもらいます。
ゼンは白雪の感じる寂しい気持ちを知り、みんな同じく感じていると言い、その気持を隠す必要はないと言います。


●57
ゼンと白雪とミツヒデと木々とオビはクラリネス王国王城ウィスタルに戻ります。
ゼンはまっ先にイザナ陛下に会いに行きます。
ゼンはイザナ陛下に白雪の辞令の件を聞かされていないことに抗議します。
イザナ陛下はゼンが城に戻ってきたら、機嫌の悪そうな顔で自分の元に来ると思っていたので、どこかうれしそうです。
イザナ陛下はゼンの怒りをさらりとかわします。

白雪とリュウはイザナ陛下に呼ばれます。緊張した面持ちで行くと、イザナ陛下は今回の辞令の目的について二人に話します。
イザナ陛下は、リュウにはいずれウィラント城の薬室に行ってもらおうと考えていること、クラリネス一知識の集まるリリアスを拠点に腕を磨き人と関わり、君達が担う役割を得る事を期待する、と言います。

白雪はゼンとミツヒデと木々とオビとは少なくとも二年は離れ離れです。
白雪とリュウはリリアスに出発です。


●58
オビはゼンに呼び出され、二人だけで話をします。
ゼンはオビが自分から白雪とリュウのいるリリアスに行くと言ってくると思っていたと言い、リリアスに行く意思はあるかと聞きます。
オビはリリアスに行っても学問は出来ないと言います。
ゼンはリリアスに行くのなら直属の騎士として行くことになる言います。
オビは、
「主のご命令とあらば」
と言いたいところですけど、ちょっと保留で頼みますと言います。
ゼンはオビが即答すると思っていたのに保留と答えたので、オビの表情からその理由を探ろうとします。しかし、しゃべる気はなさそうなので、これから視察に出るので戻るまでに決めるよう言います。

視察中、オビの様子がいつもと違うことはミツヒデと木々も感じています。


●59
オビはリリアスに行く決心はついていたようです。だたリリアスに最低でも二年は行くことに考えることがあるようです。そして、望んで同じ場所に身を置く事を決めるのは結構覚悟がいることをゼンに打ち明けます。
ゼンはオビに、
「おまえがここに身を置くと決めたなら、この先 おまえに白雪の側を任せたい」
と言います。
ゼンとオビの関係がこれまであいまいだったけど、主従として改めて関係を結びます。

オビはゼンとミツヒデと木々に別れの挨拶をせず、リリアスに向かいます。


●60
白雪とリュウはクラリネス王国の北の関所リリアスの学問街で鈴を待ちます。
白雪とリュウは手続きを済ませ、鈴に宿舎に案内してもらいます。
鈴は白雪とリュウに、
「飯は天幕街行ったほうがいいぜ… 君ら二人だけで薬学の館に行かないように…」
と忠告します。
「な 何故ですか」
と白雪が聞くと、
「まー 近いうちにわかるよ それじゃー」
と鈴は理由を教えてくれません。

翌日、白雪とリュウは薬学の館に行って、鈴が言っていた理由が分かります。
原因不明の病でリリアスが封鎖された際、原因であるオリンマリスを特定し、治療薬を作った白雪とリュウが有名人になってしまっているからです。
薬学の館は白雪とリュウをひと目見たい学者を研究員であふれています。
カザハという薬学者が話しかけてきます。
鈴はカザハを無視します。
カザハは気にする様子もなく、白雪に話しかけます。初対面なのに腕相撲勝負を挑んできます。
カザハのおかしな口上に乗って、白雪は勝負を受けます。
腕相撲は一瞬で勝負がつきます。
カザハはどうして勝負を挑んできたのだろう? 腕に自信があるからなのかと思っていたのに、瞬殺でやっつけられてしまいます。カザハは何事もなかったかのように、白雪とリュウと鈴に同行します。
鈴は白雪とリュウをシダンの所に連れていきます。

シダンの部屋にはイヅルという助手がいて、カザハと同じ薬学者です。
イヅルが白雪とリュウに自己紹介しているところに、カザハは自分の論文を持ってきて、リュウに読んでほしいと差し出します。
カザハは自由な人です。

シダンに挨拶を終え、鈴は白雪とリュウの仕事場である、調剤室と薬棚を案内します。
明日からリリアスでの生活が本格的に始まります。

翌朝、白雪はリュウの叫び声で目を覚まします。
白雪が急いで隣のリュウの部屋に行くとリュウは、
「なんでもない ねぼけてた」
と言います。

白雪とリュウは薬学の館に向かう途中、お面をかぶって座っているオビを見つけます。
オビは二人が来るのを待っています。
オビがリリアスに来て、白雪とリュウは驚いています。
続きます。


あきづき空太 赤髪の白雪姫 13巻
(アマゾンのサイトに移動します)

2017年12月26日火曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 12巻

新王の戴冠式の準備が着々と行われます。
白雪がゼンに言った感想と同じで、戴冠式が美しかったです。

イザナが王に即位し、新体制になり、ゼンも忙しくなります。
イザナは白雪に試練を与えます。
白雪はどう応えていくのでしょう。楽しみです。



●50
タンバルン王国の第一王子ラジ・ジェナザードは戴冠式に招かれています。

山の獅子の鹿月とイトヤと白雪の父親武風はクラリネス王国で新国王が即位や白雪が戴冠式に出られるのかななど遠くから戴冠式の話が聞こえてきたことで話題にしています。

クラリネス王国のセレグでは騎士団副団長びヒサメ・ルーギスが王城ウィスタルに出発する準備をしています。

王城ウィスタルでは陛下が帰城し、兵にねぎらいの言葉をかけます。
クラリネス王国の国王はハルト・ウィスタリアという人物でイザナとゼンの母親です。クラリネスは父親のカインが亡くなりハルトが国王の座に就き国を治めています。
ハルトはイザナに、
「おまえを王にする」
と言います。そして、
「おまえは何に懸けてこのクラリネスの王になる」
と問いかけます。イザナは、
「陛下とゼンに」
と返答します。
イザナの言葉にゼンの表情は引き締まります。
ハルトはゼンに王冠を新王にかぶせる役を任せます。

白雪とオビはゼンに第二王子として呼び出されます。
戴冠式に合わせタンバルンからラジ王子が来るので、白雪にタンバルン王国のラジ・ジェナザード王子の案内役に、オビにその付き人に任命します。

戴冠式当日です。
ラジ王子はクラリネス王国からの迎えの者が白雪であることに驚いています。再会がうれしすぎて涙ぐんでいます。
ラジ王子は登場の度に変化しています。成長しているということかな。


●51
継承式を執り行い、戴冠式の前にイザナとゼンが話しをします。イザナはハルトの前で、陛下とゼンに懸けて、と言ったことに触れ、ゼンに、
「お前は 今 お前の手にあるものに懸けてそこに立て」
と、ゼンが歩んでいる方向に誤りはないこと、信じていることに自信を持っていい、と力強い言葉をかけます。
ゼンはイザナにより力になれる存在になるべく、気持ちを新たにします。
ハルトがイザナに問いかけ、返答した言葉にゼンが反応したのはこういうことがあるからなんだと分かります。

白雪とラジ王子が一緒に歩いているところを貴族や政務官たちが目撃し、騒いでいます。中でも、白雪をからかったユウハは驚いています。
ユウハは白雪がゼン殿下の名において王宮に部屋を与えられたのは色恋であること決めてかかっていたので、大部屋で白雪を見かけた時にからかったことを悔やんでいるように見えます。
白雪がタンバルン王国の第一王子ラジと個人的なつながりを持ち、タンバルンから称号を与えられるほどの人物で実際に戴冠式の場でタンバルンの王子の横を歩く姿を目の当たりにして、ユウハは全身汗でびっしょりだと思います。
白雪はラジ王子に、
「ラジ王子が… 私と共に出席すると言って下さったのですか?」
とたずねます。
白雪は戴冠式に出席できるとは思っていなかったようで、ラジ王子の案内役として出席できることに感謝しているようです。なぜなら白雪が戴冠式に出席できることになって一番嬉しく思っているのはゼンだということをミツヒデと木々から聞かされていたからです。

美しい戴冠式が執り行われます。


●52
イザナ、ハルト、ゼン、ハキはクラリネスの民に挨拶します。
ハキは王妃になります。ハキはリリアスで原因不明の病が発症した時、兄のマキリから塔に隠れて身を守れてと命じられたのは、妃になる身だったからなのかとこの場面でようやく分かります。
城下は即位とご婚約でめでたいことが重なり、大盛りあがりです。

武風は鹿月とイトヤを連れてウィスタルの酒場でお祝いにまざっています。

城から見る城下はどこも灯りでいっぱいです。
城下を眺めている白雪にオビが話しかけます。
ゼンが白雪を見つけ、少しだけ話しをします。

夜会が始まります。
ラジ王子がなぜ白雪の近くにいないのかと思っていたら、タンバルンの王子とつながりを持ちたいと思う貴族や役人につかまっていて自由にできなかったようです。
白雪も同じです。
タンバルン王国から称号を贈られた人物と懇意にしたいクラリネスの人からたくさん話しかけられています。
ラジ王子が白雪に称号を贈った際に添えられた手紙、軽すぎる、という言葉がどういうことなのかわからなかったので、ここの場面が描かれてよかったです。

夜会を終え、白雪はラジ王子と別れてから、この機会に伝えるつもりでいたことを思い出します。
ラジ王子はタンバルンで別れ際白雪に、
「白雪どのの… 髪が伸びたら見せに来てくれ」
と言い、白雪は、
「ラジ王子が友人として訪ねてきて下さるなら 喜んで」
と言っていた約束が、今回どういうかたちで果たされるのか楽しみにクラリネスにやって来たようです。
ラジ王子は夜会を終え、白雪からは何も言ってこないので、拗ねているようです。サカキから白雪が来ていると言われ、会うと、白雪から約束を言われます。
白雪は髪留めをほどき、すこし伸びた赤い髪をラジ王子に見せます。
「覚えていますか タンバルンでの約束」
「隣国と言っても遠いので、多くは会えませんし 私は称号を贈ったりは出来ませんが 私も友人としての証を果たさせて下さい」
と言います。
ラジ王子は感動しています。望んだ約束が果たされたことはあまりなかったのかな。白雪が覚えていてくれたからかな。どちらかはわかりません。


●53
ゼン、白雪、ミツヒデ、木々、オビ、いつもの顔だけで祝宴をあげます。
白雪はゼンが嬉しそうだといいます。
ゼンはイザナが即位される時、イザナを支えられる者になっていたいという思いがあり、戴冠式の直前にゼンがイザナに言われた思いと自分の思いが重なったような気がして、嬉しいんだと思います。
信頼し、信頼される関係、ゼンがつくりたかったかたちができて、イザナの前に立てたことがどうしようもなく嬉しいんだと思います。

新王に即位したイザナは国をめまぐるしく動かしていきます。
白雪にも新たなる道が開かれます。

薬室は通常の業務に戻ります。
リュウの様子が変です。白雪をじっと見つめています。何か話したいことがあるようです。
翌日、リュウは王宮の白雪のところに向かう途中で、ミツヒデと木々とオビに出くわします。
リュウは薬室では言いにくいらしく、白雪の部屋で言おうと思ったところ、ミツヒデたちに会います。
リュウは、王城の外に移る事になり、白雪に伝えるように薬室長に任されたけど、まだ言ってないから言いにきたと言います。
それを聞いてオビは、リュウと白雪はいい感じに組んでいたのに、とコンビでなくなることを残念がっています。
リュウは、自分だけじゃなくて、白雪も一緒に行くと言います。
ミツヒデと木々とオビはリュウの言葉に驚きます。


●54
リュウは白雪に薬室で辞令の内容を話します。
リュウと白雪は王城を離れ、リリアスに薬剤師兼任研究員として移るというものです。
ひと月後に出発です。

ゼンは次から次にやってくる仕事に大忙しです。
白雪はゼンに会って辞令の件を話したくて、王宮と薬室を行き来します。
しかし、誰とも会うことができません。

オビはミツヒデと木々に白雪のことをゼンに知らせなくていいのかと聞きます。

白雪は王宮に戻ってもまだ誰にも会えません。ようやくミツヒデに会うことができ、辞令の件を話そうとすると、ミツヒデは、
「リリアス行きの事、俺と木々とオビは先にリュウから聞いている ゼンにはまだ伏せてる」
と言います。
ミツヒデは明日から城にいないと言うと、白雪も一度リリアスに行くと言います。
ミツヒデは白雪に明日出発前に連絡するから待っててくれと言います。

オビが薬室を訪れ、ミツヒデが調整してゼンと白雪がゆっくりと話せる時間をとるようにするから、と北で会う約束をします。

ゼンはクラリネス王国北の城ウィラント城でハルトに会います。
盗賊団を壊滅させる命を受け、果たします。
ゼンたちは白雪との待ち合わせ場所に急ぎます。

●55
白雪はゼンに会うと、王城を離れることになったことを話します。
ゼンは白雪の思いもかけない話にぼう然とします。
ゼンと白雪が会った場所からウィスタル城までは数日かかる距離で、ふたりにはゆっくり話せる時間があります。
ゼンは白雪が王城を離れることを考えるとうまく心の整理がつきません。
木々がゼンのところにやって来ます。
「白雪が呼んでるから行ってきてくれる」
木々はゼンに一人で白雪のところに行ってと言います。
続きます。


あきづき空太 赤髪の白雪姫 12巻
(アマゾンのサイトに移動します)

2017年12月12日火曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 11巻

●45
朝、ゼンは偶然白雪に会ったので、話したくなって薬草園に立ち寄ります。薬草園に入ると、白雪は鼻歌を歌っていてどこか楽しそうな様子です。
白雪はゼンが入口に立っているのに気がつくと、恥ずかしそうにします。
楽しそうなのはこれからリリアスから客人が来るからなのだと言います。
リリアスから鈴とユズリとキリトがやって来ます。

ゼンは執務室でオビに白雪の話をします。
オビはゼンに白雪のことをあまり話さないようです。
ミツヒデは息を切らしてやって来て、木々はまだか? と木々の姿を探しています。執務室に向かう時に、木々の話を耳にしたので早く木々の姿を確認したいようです。
木々は普段と変わらない様子で現れます。
しかし、ゼンとミツヒデとオビは木々の姿に驚きの声を上げます。
木々は三人の反応を気にすることなくいつものように話を始めます。
ゼンが木々の言葉を遮ります。
木々は長い髪を切り、五年前にゼンとミツヒデに出会った頃のような姿になっています。
オビは木々に髪が長い時ほとんど髪を束ねていたから、おろしている姿をもう一回見ておきたかったと言います。
ゼンはオビに薬室の方顔出していいぞ、と言います。
オビは部屋を出ていこうとすると、ミツヒデに呼び止められます。
二人きりになり、ミツヒデはオビに、
「……木々に恋仲なり意中の相手なりがいるの知ってるか」
とたずねます。
オビは一瞬考え、
「俺です」
と答えます。
オビはゼンは白雪のことは自分の口から聞くより、白雪の口から聞くほうがいいし、ミツヒデは木々のことに対しては自分で気づいてほしいと思っているようです。
ミツヒデは気づくことができるのかな。

鈴とユズリとキリトは王城の何もかもが珍しいようです。
鈴はガラクにいつでも訪ねて来なさいって言ってくれたから観光気分でウィスタルに来ています。
白雪は薬室長が今ちょっと… と言葉を濁します。
キリトはリュウに会うのを楽しみにしています。リュウを見かけ、声をかけます。リュウの反応はありません。
キリトは久しぶりの再会に驚いてくれるか、喜んでくれるか、なにかしらの反応があると思っていたのに、リュウは、
「キリト?」
とキリトが急に目の前に立っていることが不思議だというような表情です。
ガラク・ガゼルト薬室長は様子がおかしいです。仕事が次々に入ってきて終わりがなく、ピリピリしています。
キリトはシダンからガラクの様子がおかしいときの対処法を手紙で預かっています。
おいしいお茶を飲むと穏やかになるというので、体にいい成分で配合したオリジナルのお茶を作ろうということになります。リュウが最後の味付けをして満足のいくお茶が完成します。

薬室に来客を知らせるベルがなります。
白雪が行くと、イザナ王子が立っています。
鈴とユズリは、
「ルーエンさん」
とイザナ王子を呼びます。リリアスではイザナ王子をルーエンと呼んでいたのでそう呼びます。
イザナ王子は薬室長からリリアスの薬剤師が城に来ると聞いたので、挨拶に来たと言います。
鈴はリリアスでもイザナ王子のことを、色男風情とか言っていたのに、ここでも、
「ルーエンさん リリアスだと雪をも従える北の騎士みたいな感じだったけど 王城歩いてるのも様になりそうだね―― お茶 ご一緒にどーですか」
と気軽に話しかけます。
イザナ王子は白雪に、
「――そうだな 白雪 後で執務室に運ばせてくれ」
と言い、
「リリアスでは名乗る間も無く失礼したがルーエンは借りた名だ 俺はイザナ・ウィスタリアという 今後とも宜しく頼む」
と言い薬室を去ります。
鈴とユズリはキョトンとし、間を置いて、ウィスタリア? とつぶやき、ようやくクラリネス第一王子イザナ・ウィスタリア殿下の名と一致し驚きます。
ユズリは白雪にリリアスのときから本物の殿下だったの? と興奮気味に聞きます。
キリトはリュウに信じられないというような表情で、今言ったの本当? と確認します。
問題は鈴です。
鈴はリリアスでのこと、今話したこと、記憶を思い返します。まさか王族が自分達と同じ空間にいるだなんて思いもしないだろうし、イザナ殿下だとわかっていれば絶対に言わなかったのにと後悔しているようです。
鈴はオビに、
「……オビ君 俺 投獄かな?」
と問いかけ、オビは、
「残念ながらね」
と答えます。
鈴はどうして白雪とリュウが王族と話せるところにいるのかという疑問には行き着かないようです。
お茶を飲みながら話がはずみます。
白雪とリュウは鈴がシダンの研究を手伝うことを知ります。
ユズリは白雪とリュウにたまに様子を見に来てと言います。
ガラク薬室長が執務室から出てきます。
ガラクはお茶に気がつき飲みます。シダンの手紙に書いてあるとおり本当に穏やかになります。

あっという間に一日が過ぎます。
白雪はオビにゼン達ともお茶を飲んでと一式渡そうとします。
オビはゼン達を呼んでみんなで飲もうと言います。
白雪は用意しながら、ゼンから木々が髪を切ったと知ります。
白雪は、
「そっか… じゃあもう一回髪下ろしてるの見たかったなあ… でも短くてもまたステキな…」
とオビ同様の反応します。
ゼンは白雪の耳飾りに気がつきます。気がついたのに何も言えません。
オビがゼンを察して白雪に似合っていると言い、その後ゼンが発する言葉を待ちます。
ゼンは白雪に何も言ってあげられません。
ゼンとオビの心の声を想像すると、
「主 今言うときですよ」
「なんと言えばいい」
「なんでもいいんですよ 思ったことを言えばいいんですよ」
「…………」
という具合でしょうか。
ゼンはやっぱり白雪に気の利いた事が言えません。


●46
イザナ王子の元にゼンとの見合いの場の催促がうんざりするほど来ています。
ハルカ侯はゼンに見合いのリストを持参します。
ゼンは断ります。
しかし、ハルカ侯はリストの中のどなたか一人だけでも会って、ゼンが婚姻を放棄していない事を示して頂かねばなりません、と譲りません。
ゼンは見合いを了承します。
ゼンは木々と見合いをします。
リストの中に木々の名前が記されていて、ハルカ侯がどなたか一人というので、ゼンは木々に一芝居付き合ってほしいと頼みます。
木々は断れば夜会が開かれて出なくてはならなくなるので、渋々引き受けます。
ゼンは木々に誰にも邪魔されず話せるいい機会になったので、気になっていた先日の父上に言ったという話について聞きます。
ゼンと木々から少し離れたところでミツヒデとオビが二人を見ています。
オビがミツヒデをからかいます。
ミツヒデはオビの手に乗るかと思っているのに、想像してみると冗談に思えなくなってきて表情が険悪になっていきます。
見合いを終え、ゼンはミツヒデと木々とオビに、前から思っていたこと、白雪の立ち位置を明白にしたいという考えを打ち明けます。
ゼンはオビを連れてイザナ王子のもとへ向かいます。
ゼンはイザナ王子に、白雪に自分の名で王宮内に部屋を与えたいと願い出ます。
白雪はゼンからこの話を聞き驚きます。
ゼンはこのことの意味するところを説明し、白雪は、わかった、と返事をします。

夜になり、ゼンたちのところにイザナ王子がやって来ます。
「ゼン お前に王宮の東の一角をやる そこに王城付薬剤師白雪の部屋を置く事を許そう」
イザナ王子はゼンに鍵を手渡します。


●47
城内はゼン殿下が白雪どのを王宮に迎えるという話題で盛り上がります。
ミツヒデは白雪に説明します。
白雪は緊張しています。
周囲の者は白雪に興味津々です。
その視線は白雪をより緊張させます。
王宮での生活が始まります。

朝、白雪はオビと会話していると、ハルカ侯爵が現れます。
ハルカ侯爵はオビにゼン殿下にお渡ししろと書類を手渡します。そして、白雪を見て、小さくため息をつきます。
「………… 殿下の側に名を置くならば、自分の場所だけで殿下に会うな 知らぬ者に何も映らん」
とハルカ侯爵は不本意ながら、イザナ王子の決定ならば、より良い方法で進めていくべきと、白雪に助言します。

オビが行くゼンのいる大部屋に白雪もついて行くことにします。
オビは大部屋には政務官方や貴族が沢山いる場所だから、白雪が行ったらまず間違いなく蜂の巣だね、と注意します。

白雪が大部屋に一歩足を踏み入れると、中にいる全ての人の視線が白雪に注がれます。
全員作業を止め白雪をじっと観察しています。
その中の一人が、
「薬室からはるばる どなたかに御用ですか? 赤髪の方 寝台に腰かけて待っていた方がお早いのでは?」
と白雪に視線を合わせず言います。
大部屋は騒然とします。
オビの目は殺気を帯びます。
白雪はオビにここで待つように言い、男の方に歩いていきます。
「…白雪と申します お名前は」
男は白雪に挑戦的なことを言ったため引かず、
「……… ユウハと申します」
と何を言われるのか身構えています。
白雪はユウハの言葉に対して何も言わず、ゼン王子はどちらに? とだけたずねます。
白雪は堂々としています。
白雪に構えていたユウハは自分が恥ずかしくなります。
大部屋の奥ではザクラが白雪とユウハのやりとりを聞いて笑っています。
ザクラはゼンに今の様子に怒っていないのかとたずねます。
ゼンは白雪の受け流した対応に感心しています。
ユウハはゼンが近くにいるのにどうして白雪になにか一言言ってやろうと思ったのでしょうか。
まずいことになるとは考えなかったのでしょうか。
愚かな人物です。


●48
ゼンは白雪を途中まで送ると大部屋を出て行きます。
ゼンはユウハに声をかけます。
あえて、ユウハどの、というゼンに、ユウハだけでなく周囲の者も表情を青ざめます。
白雪は今後、貴族や政務官に会うたびこういう目に遭いそうです。

白雪が薬室に着くとヒガタが話しかけてきて、白雪への対応を変えるべきか聞いてきます。
薬室長とリュウは平常通りのようです。

白雪は王宮に部屋を与えられたことでずっと気を張っていたようです。
何をしても話題になってしまう白雪はこれから大変です。


●49
夜ご飯を白雪とオビが作ることになります。
白雪は酒場料理を、オビは辛い料理を作ります。
ゼンが食事中、明日兄上に呼ばれていると言います。

翌朝、ゼンがイザナ王子から陛下が王位を渡しに戻られると言われます。
イザナ王子が王位を継承します。
四ヶ月後、戴冠式が執り行われます。
続きます。


あきづき空太 赤髪の白雪姫 11巻
(アマゾンのサイトに移動します)

2017年12月8日金曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 10巻

リリアスでは、イザナ王子は白雪と同行して観察しようとしていたのかもしれません。
急な事態が起こり、対応する姿によって、イザナ王子の白雪の評価は上がったと思います。
混乱が迫ろうとする中、時間との戦いで原因を突き止めていく展開が面白かったです。


●40
ゼン、ミツヒデ、木々はリリアスに到着します。
学問街・薬学の館のオリンマリスによって発症した兵士、研究員はリュウが作った薬で回復します。
白雪とオビも回復します。
ガラク・ガゼルトが白雪とオビの今回の行動に対して叱ります。
ゼンとミツヒデと木々を白雪とオビが迎えます。
ゼンは白雪とオビの顔を見てようやく安心します。
ゼンは白雪が鈴と話しているのを遠目で見て、知らない男に気持ちがざわつきます。
それを見ていたイザナ王子はゼンを茶化します。そして、ゼンに優しい眼差しを向けます。

夜、宴が催されます。
鈴とユズリは白雪に、
「オビさんとルーエンさんとどっちが恋仲?」
とたずねます。
その声にゼンが一番に反応します。
ミツヒデは、ルーエンさんと言われ、なぜ自分が? という表情をし、オビは吹き出して笑っています。
ミツヒデはゼンと木々の冷たい視線にあわてて鈴とユズリに事情を聞こうとします。
白雪がミツヒデに事情を説明します。
鈴はゼンやミツヒデ、木々といった王城の人達が、白雪とリュウがリリアスに来たことによって次々に集まることに疑問を持っています。今まで会うこともなかった王城の人たちだから仕方ないといえば仕方ないですね。
ハキが宴の場にお礼にやって来ます。やわらかい空気をまとった愉快な人物です。
木々がハキに気づき、ゼンに知らせます。
ハキもゼンに気がつき、言葉は交わさず互いに会釈だけします。


別れの日、白雪とリュウはリリアスの人たちとあいさつをします。
ユズリはまたなにかできることがあったら力になるといいます。
鈴はリュウに、
「リュウ君 おチビとか言ってごめんね」
と薬学の館で初対面のときに言ったことを気にしていたようであやまります。
白雪、リュウ、薬室長はウィスタルに戻ります。


●41
ゼンと白雪が二人で城下に出かけます。
二人だけで過ごしたのはこれが初めてです。
ゼンは白雪の笑顔を見ることが出来て、白雪はゼンと一緒に過ごすことが出来て、二人にとって充実した一日になります。


●42
木々はゼンに会うなり、ミツヒデを怒らせたと言います。そして、ミツヒデはゼンにも怒ってると言います。
ゼンは木々が約束の話をしたと言ったので、理解します。
木々はあと一年で城を出ていくという約束を父親との間で交わしています。
ミツヒデは今のゼンと木々という三人のかたちになって五年が過ぎるのに二人が黙っていたことに怒っています。

五年前、木々が王城にやって来て、ゼンとミツヒデと共に行動するようになった経緯が描かれます。


●43●44
木々はミツヒデにどうしてあと一年で城を出ることを黙っていたか話します。
ミツヒデは木々に剣の勝負をして、勝ったら聞いてほしいことがあると言います。
木々は勝負を受けます。

勝負は決着がつかず、ミツヒデは膝をついて木々に城にいてほしいと頼みます。

翌朝、木々は早くにゼンの寝室を訪れます。
木々はゼンの思いを確認し、ミツヒデとともに父親に会いに行きます。
木々は父親に約束をとりやめてもらい、城に残ります。
続きます。


あきづき空太 赤髪の白雪姫 10巻
(アマゾンのサイトに移動します)

2017年12月6日水曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 9巻

イザナ王子とオビが大活躍です。

リリアスの物語は描かれていないイザナの動きを想像するのが楽しいです。




●35話

ゼン、ミツヒデ、木々、オビはウィラント城を目指し移動中です。

オビは途中リリアスに立ち寄るつもりのないゼンに不満をもらします。

ゼンもリリアスにいる白雪の顔が見たいのを我慢しているとオビには本音を言います。

リリアスでは、白雪がころんだ少年を医務室に運ぼうとします。

イザナ王子は白雪に守衛を呼んだほうがいいと言います。

白雪はころんだ少年の様子を気にしています。

医務室に運ばれた少年は、体温が下がり、震えが止まりません。

リュウに助けてくれよと言った少年は、すでに友達5人が倒れて同じような症状になっていると言います。

白雪とリュウは少年の言葉に驚き、イザナ王子は黙って聞いています。

守衛から急病人が運ばれたと聞き、シダンが急いで医務室に入ってきます。

シダンは少年を見るなり、

「あー!!!! やっぱりおまえかキリト!!」

少年はキリトと言い、シダンの甥です。

薬学の館でキリトが白雪とリュウに会ったのは、症状の記録と使っている薬を手に入れるためだったようです。

シダンはころんだ少年の腕をみます。

渦のようなあざがうかんでいます。

シダンは同様の症状の患者がこれで六人目であること、原因がまだわかっていないことを白雪とリュウに説明します。

黙ってシダンの説明を聞いているリュウに、イザナ王子が話しかけます。

リュウが声が聞こえる状態でよかったです。

集中していてイザナ王子の声が聞こえていなかったから、イザナ王子はどういう反応をしていたんだろう。

イザナ王子は軽口を言いそうにないから反応が気になります。

守衛がシダンに患者を診療所に運ぶ準備ができたと言いに来ます。

イザナ王子は、

「原因もわからないというのは厄介だな」

と言います。

キリトはリュウになにかわかったか、と聞きます。しかし、リュウにはキリトの声は届きません。

白雪とキリトが話していると、鈴とユズリがやって来ます。

鈴はイザナ王子を見て白雪に、

「そちらの雪も溶けそうな色男風情の御人も王城の方?」

と言います。

白雪は固まったまま何も発することができません。心拍数が上がって緊張しただろうなと思います。

イザナ王子は笑顔で、

「薬室長助手のルーエンだ」

と白雪の代わりにこたえます。

そして、白雪に、

「すまないが用が出来た 白雪 俺はしばらく外す」

と言います。

白雪はイザナ王子の手を引き、人のいないところまで連れていき、

「病の原因がわからない以上できるだけ動かないでいて下さい お一人になるようでしたらついて行きます」

と言います。

イザナ王子は意外だという表情をし、

「関所の方にいる また顔を出す」

と言い、薬学の館から出ていきます。

リュウが白雪に、

「思い出した白雪さん おれ やっぱり あの症状聞いた事がある」

と薬室長から本で読んだと聞いたと言います。

鈴がリュウの記憶からその本があるとするなら、とズラッと並んだ本棚の一角を示します。

白雪、リュウ、鈴、ユズリ、キリトで本を探します。

北へ向かうゼンたちにリリアスからイザナ王子より使者がやって来ます。

夜、片っ端から本をあさり、探していた文献をリュウが見つけます。

文献には事態が悪化した場合、混乱がどこまで広がるか予測できないことを考えさせる記録が記されています。

白雪と鈴とユズリは夜出入り禁止になっている薬学街の門の門番に、関所に行くためここを通してほしいと頼みます。

門番は夜は門は通せない、朝になって出直せと取り合ってくれません。

白雪はウィスタル城の身分証を見せ、

「わかりました 通してもらえないなら …イザナ王子をここに呼んで下さい!」

とつめよります。

イザナ王子の名に門番はひるみます。

鈴は、今なぜイザナ王子の名前を出すの? というような表情をしています。

その時、イザナ王子が門に現れます。

白雪はリュウが見つけた文献に記されている内容をイザナ王子に伝え、

「リリアスの人の出入りを止めて下さい!!」

と言います。

門番は緊張しています。

鈴とユズリは白雪が助手と称しているイザナ王子に話していることに疑問がわいています。

イザナ王子は白雪の要請にを聞き入れ、リリアスの外壁全ての門を封鎖せよと命令します。



●36話

イザナ王子の伝令はリリアスの外壁にある全ての門に通達されます。

イザナ王子は白雪にリリアスの管理者に事情を話すから一緒に来るように言います。

そして、鈴とユズリには薬学の館に戻り、作業を続けるように言い、門番には門は閉じたままにし、必要なものだけ通すよう指示します。

鈴とユズリは助手のルーエンがどうしてこれだけのことができるのか不思議がっています。

彼らは周りの緊張感を感じ取れないようです。

イザナ王子と白雪は馬でリリアスの管理者がいる塔に向かいます。

塔に向かうまでの二人の会話と表情が好きです。

リリアスの管理者マキリはイザナ王子に自分がいない場で外壁の門の封鎖を決断し、通達してしまったことに不服なようです。

イザナ王子は淡々と管理者がマキリだから判断した、異論があれば聞くと言います。

マキリは言葉が出ません。どういう関係なんだろう?

マキリの横にはハキがいます。館の食堂でシダンと立ち話をしていた女性です。ハキはマキリの妹です。

ハキはイザナ王子が昨日命令された調査の報告をします。

白雪は昨日イザナ王子が席を外すと言った理由が分かり、イザナ王子の行動の速さに驚いています。

白雪と門で会うまでにあらゆる指示を下していたのです。

ゼンに使者を送ったもこのときなのかな。

衛兵から、

「兵が一名倒れ… 左足に波紋状のあざが見られると…」

と報告が入ります。

イザナ王子は指示を出し、白雪をリュウのところに送ります。

マキリはハキに連絡の手配をし、塔から出るなと言います。

ハキは、承知しましたとマキリに従います。

イザナ王子のハキを見る表情が気になります。

イザナ王子は馬の蹄の音に気がつきます。門にゼンとオビが来ます。

イザナ王子はゼンにこれまでの経緯を話します。

ゼンはイザナ王子が送った使者の報告から考えられる事態を想定し手を打っていることを報告します。

イザナ王子はゼンを頼もしく思ったようで、ゼンに西は任せると言います。

ゼンはイザナ王子から任せると言われたのはこれが初めてなのではないでしょうか。

すこし間を置いてから返事するゼンを見てクラリネスのため、イザナ王子のため自分に何ができるかをより考えるようになったと思わせます。

ゼンはオビにリリアスに残り白雪と行動するよう言います。

リュウのいる薬学の館ではまた一人発症します。

リリアス外壁の門が全て閉門します。



●37話

イザナ王子はあらゆる事態に備えています。

夜が明け、人が動き出し、マキリが事態を説明します。

白雪たちは少し休息を取ります。

オビが事態の解決のため白雪とリュウに合流します。

オビが問題の糸口をみつけ、病の原因が判明します。

キリトはそれを知っていると言います。



●38話

キリトは、「鈍く光る水」を学問街の奥の林にある洞穴で見たと言います。

鈍く光るのは植物の種が作り出したもので、その種が今回の症状の原因で、治療薬もその種から作り出せることが文献から分かります。

白雪とオビとキリトで洞穴に向かいます。

オビの活躍がかっこいいです。

キリトは途中で発症してしまいます。

白雪とオビは種を発見します。

洞穴の中に発生した霧を吸い込んだため、白雪とオビも動ける時間が少なくなってしまいます。

白雪は館に戻り、リュウに採取した種を渡します。

白雪とオビは種のもとの植物を発見できなかったので、もう一度戻って探します。

オビの能力で別の洞穴にたどり着き、植物を発見します。

そこにシダンがいます。



●39話

シダンは植物を「オリンマリス」と呼ぶと白雪に教えます。

白雪は洞穴の中にシダンがいることに驚いています。

シダンはこの洞穴の中でオリンマリスを偶然見つけて、一年前から生態研究をしているが、この植物が毒素を作ることは知らなかったと言います。

そして、白雪にこの場所のこと、オリンマリスのことを報告しないでくれと頼みます。

オリンマリスが放つ光で、白銀の道々を灯らせたいといいます。

実現できれば、素晴らしい景色になるはずです。

しかし、白雪は、私達は一度でも偽れば、誰の力にもなれなくなるからと報告はするといいます。

白雪とオビとシダンは館に戻ります。館の前ではガラク・ガゼルト薬室長が白雪とオビの戻ってくるのを待っています。

イザナ王子は薬室長にも連絡しリリアスに呼び寄せています。

白雪は薬室長に報告します。

リュウは治療薬が明日にも完成すると言います。

白雪とオビはあとのことを薬室長とリュウに任せて、体を休めるため医務室に向かいます。

途中で、白雪は歩けなくなってしまいます。オビもすでに発症していて立っているのも辛い状態です。

オビが人を呼んで来ようとしたら、イザナ王子がやって来て、白雪を抱え自ら医務室に連れていきます。

ガラク・ガゼルトがいざな王子に報告し、オリンマリスはシダンが研究対象として管理できるようになります。

リリアスの外壁全ての門の封鎖が解除されます。

続きます。



あきづき空太 赤髪の白雪姫 9巻
(アマゾンのサイトに移動します)

2017年12月4日月曜日

あきづき空太 赤髪の白雪姫 8巻

●30
白雪がタンバルン王国に行く前に舞踏の稽古に使っていた部屋に行き、ゼンは白雪に想いを伝えます。
兄のイザナ王子にはゼンの白雪への想いをもう言ってあること、白雪の、
「ゼンが好きで… ゼン王子の隣に立ちたいって いつか そこにいたいって…」
という言葉に対してゼンはわかったという意思として、
「ああ」
と答えます。そして、
「いずれ ちゃんとしたこと言葉で必ず俺から告げる」
と約束します。
ゼンと白雪はあとどうなれば実現するのでしょうか。

ゼンと白雪が気持ちを伝え合った後それぞれの日常に戻ります。
ゼンはこれまであまり行きたがらなかったイザナ王子のところに、
「タンバルンの使者の見送りに十四時に出ます」
と報告するためだけに行きます。
白雪はゼンを大きく変えるようです。
何かを決意した表情のゼンを見て、イザナ王子も察知しているようです。

白雪はサカキに会います。サカキは白雪にまだ用があるようです。
サカキは個人的に考えている、白雪をラジ王子の妃にしたいことを白雪に伝え、ラジ王子から託された手紙を渡します。
手紙には白雪に贈った称号について書かれています。
白雪が今後、王族とつながりを持つためには、自分を守るためにも、誰の目にもわかりやすい何かが必要だと書いてます。
ラジ王子は白雪にタンバルン王国と密接につながりがあることを示すとんでもない価値のある素晴らしい贈りものをしたことになります。
これから白雪は、地位の高い人物からタンバルン王国の王族から称号が贈られた人物として、丁重に扱われる存在になります。
何も持たない白雪に心強い後ろ盾になりそうです。

サカキと巳早はタンバルン王国に戻ります。
ゼン、ミツヒデ、木々は途中まで見送ります。
白雪も薬室から用を頼まれて外に出るというので一緒に城を出ます。
白雪はサカキにラジ王子に宛てた手紙を渡します。
別れ際、サカキは白雪にいずれまた口説きますと言い残し去ります。

ゼン一行は城に戻るつもりが雨がきつくなり、どこかで泊まるしかなくなります。


●31
全員びしょ濡れで宿に着きます。
風呂で温まり、食事を摂ります。
ミツヒデが女性とぶつかり、それがきっかけで女性がゼンたちにからんできます。
女性はミツヒデにからみ、ゼンにからみ、オビにからみます。
女性は三人に相手にされず去っていきます。

夜、みんなが寝静まると、オビがひとり出かける準備をします。
ミツヒデが気づき、オビに声をかけると、夜のうちに戻ります、と言い、オビは出かけていきます。

食事の時からんできた女性がオビを待っています。
女性はオビと知った仲だったのです。
女性はオビに用があって、ゼンたちのいるテーブルにやって来たようです。


●32
女性はオビに仕事を手伝ってほしいと言います。

仕事を終えると、夜が明けていて、ゼンたちがオビを探しに来ています。
ゼンはオビに怒っています。
白雪は女性とオビのケガを手当をします。
オビはゼンたちがいる場所が自分の帰る場所であると決めたみたいです。


●33
白雪は用を済ませ城に戻ります。
リュウのところに行くと、研究室が資料と薬品でゴチャゴチャしています。
リュウは出かけることになるから、出かけるまでやれるだけやっておこうとしていると言います。
薬室長は、白雪とリュウに北にあるリリアスという地の調査のため出張を命じます。

ゼンは書庫で王国北部の文献を調べています。
夜、イザナ王子がゼンの執務室を訪れます。
イザナ王子はゼンに城を空けるから仕事をいろいろまわしておいたと言い、ゼンが王国の北部の文献を調べていることについて聞きます。
ゼンはこっそりイザナ王子がこれから行うであろうことの下調べをしておくつもりだったのに、イザナ王子に指摘されてしまいあせります。
イザナ王子はゼンと白雪の状況を聞き、近いうちに自分は妃を迎えると打ち明けます。
自分の婚姻が決まれば、王族と関係を築くために次はゼンに対象が変わるといいます。ゼンの今後に期待のすべてをかけるようになると言います。
ゼンは白雪を置いていく気はないと言います。
イザナ王子はゼンに、
「俺をお前と白雪の辿る道の味方につけてみろ」
と言い、ゼンのとるべき道を示します。

それからゼンはイザナ王子と酒を飲んで、飲みすぎたようで翌朝、起きることができません。
薬室からゼンの寝室に白雪が派遣されます。
白雪はゼンにリリアスへ行くことを伝えます。
ゼンは白雪にイザナ王子をどう思うかたずねます。
白雪は、
「いつか この国に来て良かったなって言って頂きたいかな」
とこたえます。

イザナ王子は雪が降っている場所にいます。リリアスにいるのでしょうか。
白雪とリュウはリリアスに向かいます。


●34
しばらくしてゼンはイザナ王子が王国の北の城ウィラント城に行ったと知ります。偶然にもゼンが北部の資料を調べている時だったのに、イザナ王子がゼンに何も話すことなく北の城に行ったと知り、兄に遊ばれていると、ゼンは怒りをミツヒデにぶつけています。

白雪とリュウはクラリネス王国北部リリアス天幕・学問街に到着します。ここは多分野の知識が集まることから、クラリネス王国の北の書庫と呼ばれています。
白雪とリュウをユズリという植物採集家が迎えます。
薬学の館で宮廷薬剤師が来たと、白雪とリュウは学者たちに注目されます。
薬学の館にいる学者たちは赤い髪の娘と少年が立っているので、ガラク・ガゼルトではなかったことにがっかりしてます。
ガラク・ガゼルトとは薬室長のことです。
学者の中のひとりがリュウを見て、
「そっちのおチビは王国最年少薬剤師の有名人じゃないか」
と言います。
学者たちはそれを聞き、リュウをガラクの弟子だとか、研究の助言を書面でもらったことがあるとか、論文がたくさんあるとかで騒いでいます。
リュウは人に囲まれるのが苦手で、うんざりしてその場から逃げ出します。
白雪がリュウを追いかけると、リュウは体力がないのでそう遠くないところで力尽きています。リュウのもとに駆け寄ろうとする白雪に少年がぶつかり、白雪は倒れてしまいます。
少年は、ごめん、と言い走っていきます。そして、しゃがみ込むリュウに、
「おい おまえっ どうした? 寒いのか!?」
と声をかけます。
リュウは、え、と言います。
白雪は、今のは何? 、という表情です。
少年はリュウのおでこに手をやり、体温を気にします。
守衛がやって来ます。少年に、子供は立入禁止だ、と注意します。
守衛はリュウにも注意します。
白雪は守衛にリュウがウィスタル城より派遣された宮廷薬剤師だと言い、入館証を見せます。
少年は自分と同じくらいの年齢のリュウが王城の薬剤師だと言うのを聞いてびっくりします。そして、納得すると、
「…… …よっしゃ」
とボソッと言います。
少年は守衛に連れ出されてしまいます。
少年の行動が不思議で白雪とリュウは顔を見合わせ、なんだったの? 、と目で話しています。

白雪とリュウはおなかが空いたので、ユズリの案内で館内の食堂に行きます。
食事をしていると、さっき、リュウを見て最年少薬剤師と言った男性が声をかけてきます。
ユズリが彼を紹介します。彼の名は鈴でリリアスの薬剤師だと言います
ユズリは少し離れた場所で立ち話をしている、シダンという常駐でリリアスの人々を診ている薬剤師も紹介します。
シダンと話している女性がが白雪たちに手を振っています。ユズリは彼女はハキといい、時々リリアスあたりに視察に来ていると、白雪に教えます。
白雪はリリアスの薬事の報告が王城にあがってこないので、状況を調べに来たとユズリと鈴に話します。
鈴は、
「この辺の研究って北方独特のものが多いから 研究者があんまり情報開示したがらないんだよねー まー調べたきゃガラク・ガゼルトの名前をふりかざしちゃえば早いんじゃない」
と言います。
白雪は薬室でのガラク・ガゼルト薬室長しか知りません。どれほどすごい人物なのかこの地で知ることができそうです。
白雪とリュウはいろんな人にあたって自分達でまとめてみようということにします。

夜、リュウはもっとしっかりしなくちゃと思うと白雪に言います。頼りないと思われたくないようで、リュウも心に変化が生じてきています。

翌朝、白雪とリュウが調査を始めていると、守衛から呼び出しが入っていると言われ、指示された部屋に行きます。
ノックをすると、入りなさいと声がきこえ、扉を開けるとイザナ王子が立っています。
イザナ王子は、
「やあ」
と白雪とリュウに言います。
ふたりとも目を見開いて驚いています。
イザナ王子は、
「俺も驚いたよ 立ち寄ったら宮廷薬剤師が来ていると聞いてな。 ちょうどリリアスを見ていこうと思っていたところだ 身分を伏せるからあなた達に同行している事にしてくれ」
と言います。
白雪とリュウはさらに驚きます。
イザナ王子はさらに、
「何がいいだろうな リュウ きみの助手という事にしようか」
と話をすすめます。
リュウは畏れ多くて顔から血の気が引いています。首を横に振るのが精一杯です。
「嫌か ではガラクの助手と名乗ろう 名前は…… ミツヒデの名でも借りるか 今からはルーエンと呼ぶように」
白雪とリュウは拒否できそうにありません。

イザナ王子を見つめる白雪は、会うのはタンバルンのサカキがやって来て以来だと思い、その時イザナ王子に言われたことを思い出します。
イザナ王子は白雪の様子を感じとり、白雪に、
「何か用か? 宮廷薬剤師助手のルーエンに」
と話しかけます。
白雪は言葉につまり、イザナ王子の意図を読み取ろうとします。ここでいうべきことではないと思い、
「クラリネスのイザナ王子に いずれ」
とだけ答えます。
そして、白雪はリュウに、
「…リュウ 私もです。 もっとちゃんとしないと」
と気持ちを引き締めます。
窓越しに雪玉が投げつけられます。
窓の外を見ると昨日の少年です。
でてこい、と書いた画用紙を掲げて、白雪たちが出てくるのを待っています。
言われるまま外に出ると、少年は、
「見てほしいものがあるんだ」
と少年が言い終える前に、一緒に連れてきたもう一人の少年が何もないのにころんでしまいます。
ころんだ少年は、
「たてない」
と言います。
白雪はころんだ少年に話しかけます。
ころんだ少年を見た少年は、
「……っ まただ…」
と言います。
少年の言葉にリュウが反応します。
少年はリュウに、
「なあ 助けてくれよ」
と言います。

ウィスタル城ではゼンは執務に忙しくしています。
ミツヒデはイザナ王子から任された仕事の中に手紙を見つけます。
(ここまでの仕事が片付き次第 すぐ発つように… 北のウィラントで待つ)
ゼンたちも北へ向かいます。
続きます。


あきづき空太 赤髪の白雪姫 8巻
(アマゾンのサイトに移動します)

2017年12月2日土曜日

ななじ眺 ふつうの恋子ちゃん 5巻

夏目恋子はみんなの前で、勢いで二宮剣に告白します。
しかし、剣には恋子の告白は伝わりません。付き合ってください、に対して、どこに? と言ってしまいます。
恋子は気弱になります。剣と両想いじゃないかもしれないとさえ思い始めます。


恋子は部屋に戻ると、辻ちゃんに話しかけられます。
辻ちゃんが恋子に話したことは恋子に自分を見つめ直すきっかけをくれます。
恋子は、何かのために、誰かのために、必死になることなんてなかったかもしれない、もう少し、いや、もっと頑張ってみようと思い直します。


翌日、恋子は朝食で剣を見て、「ふつう」をやめて目一杯頑張る決意をします。
決意したものの、剣と話ができず、修学旅行最終日になります。


関門海峡の海底トンネルで、県境をまたぐところでいろんな人が、九州! とはしゃいでいます。
恋子は自分も剣と県境に立って、九州! ってやりたいと思うけど、声をかけることができません。
班のみんあで海底トンネルを出て、関門橋をバックに写真を撮ろうということになります。
恋子の隣には剣が立っています。恋子は剣が隣でラッキー、とほんとうにささやかなことでうれしそうです。
恋子はフッと肩に何かを感じます。剣が恋子の肩に触れるか触れないかくらいで手を添えています。
恋子は写真を撮るのに剣が隣でラッキーと思っていたのは、そうではなくて、自然を装って隣に立ってくれたんだと思い直します。
写真を撮り終えて、恋子は剣を呼び止めます。そして、
「九州~! ってしたかった… ふたりで」
とありったけの勇気を出して言います。
剣は班のみんなに、
「あのさ あ えと あ! 落とし物したみたいで 先に行ってて…」
と恋子に気づかって言おうとすると、恋子は、
「もういいよ 気 使ってくれなくていい 隠さなくていい ふつうじゃなくていい」
と涙ぐみながら言います。
剣は恋子の表情を見て笑顔で班のみんなに、
「みんな 悪い ふたりになりたい」
と言い直します。


恋子と剣は、海底トンネルに戻り、二人で県境に立ち、
「せーの 九州!」
と言います。剣がご希望にそえましたか?と言うと、恋子は恥ずかしさにクラクラしています。
恋子と剣は互いの思いを同時に口にします。二人は思いも伝えるタイミングも同じです。
そして、剣は、
「オレと付き合ってください」
と言います。恋子は、
「よろしく お願いします」
と言います。ついに思いが通じ合います。


班に戻ると、みんな二人を祝福してくれます。


恋子は剣に、剣は恋子にお土産を買い合います。おそろいのケータイストラップをつけます。
剣は、
「記念に」
と言い、恋子は、
「覚悟の証です」
と言います。
恋子は人目につく物をおそろいにして、平和じゃない世界に飛び込む覚悟をしたようです。
剣のファンの中には、泣きじゃくる子、恋子に敵意むきだしの子が現れます。


恋子は帰宅すると、姉の愛子に事実確認されます。
母親は恋子の手をとり、
「でかしたぁー!!」
と娘をほめます。


翌日。
「ふつう」じゃない恋子が始まります。
スキンケアは念入りに、髪も根元から濡らしてブロー、自分内ベストを目指します。
玄関を出ると、剣が立っています。剣は恋子が出てくるのを待っています。
母親も愛子も出てきていて、剣は報告と挨拶をします。
学校までの道、とくに会話はなく、へへっ、ははっ、と声を出す程度のやりとりです。互いの照れくささが伝わってきます。


学校に着くと、たくさんの視線が恋子と剣に注がれます。
恋子はこの視線の何割くらいが悪意の視線かなと考え、始まったばかりなのにもうめげそうになります。
恋子に聞こえるように悪く言う子もいます。
「ふつう」を捨ててでも叶えたかった剣との恋。そう簡単に負ける訳にはいきません。
恋子は剣の彼女であるためにもっと頑張らなくては、辻ちゃんに相談します。
辻ちゃんは恋子の相談の内容が理解できません。
恋子が説明しても、辻ちゃんは、つるちゃんは今の夏目さんを好きになったんだから変わる必要はないと言います。
恋子と辻ちゃんの会話を盗み聞きしていた剣も入ってきて、
「そのままでいて」
と言われます。
恋子は頑張ろうとしているのに、そのままでいてと言われ、やる気にさらに火がつきます。
恋子は見た目の強化にさらに力を入れます。


翌朝、迎えに来た剣が恋子を見てほめます。
ほめられているのに、恋子はひねくれて受け取ります。


学校で佐藤くんに声をかけられます。
恋子はあまりにも何も思わないことにびっくりします。


恋子の頑張る熱はすこしの間続きます。
そして、元の見た目の恋子に戻っていきます。
頑張るというのは恋子の中でちょっとしたブームだったようです。


剣だから揺れまくる恋子がかわいいです。
続きます。


ななじ眺 ふつうの恋子ちゃん 5巻
(アマゾンのサイトに移動します)