●30
白雪がタンバルン王国に行く前に舞踏の稽古に使っていた部屋に行き、ゼンは白雪に想いを伝えます。
兄のイザナ王子にはゼンの白雪への想いをもう言ってあること、白雪の、
「ゼンが好きで… ゼン王子の隣に立ちたいって いつか そこにいたいって…」
という言葉に対してゼンはわかったという意思として、
「ああ」
と答えます。そして、
「いずれ ちゃんとしたこと言葉で必ず俺から告げる」
と約束します。
ゼンと白雪はあとどうなれば実現するのでしょうか。
ゼンと白雪が気持ちを伝え合った後それぞれの日常に戻ります。
ゼンはこれまであまり行きたがらなかったイザナ王子のところに、
「タンバルンの使者の見送りに十四時に出ます」
と報告するためだけに行きます。
白雪はゼンを大きく変えるようです。
何かを決意した表情のゼンを見て、イザナ王子も察知しているようです。
白雪はサカキに会います。サカキは白雪にまだ用があるようです。
サカキは個人的に考えている、白雪をラジ王子の妃にしたいことを白雪に伝え、ラジ王子から託された手紙を渡します。
手紙には白雪に贈った称号について書かれています。
白雪が今後、王族とつながりを持つためには、自分を守るためにも、誰の目にもわかりやすい何かが必要だと書いてます。
ラジ王子は白雪にタンバルン王国と密接につながりがあることを示すとんでもない価値のある素晴らしい贈りものをしたことになります。
これから白雪は、地位の高い人物からタンバルン王国の王族から称号が贈られた人物として、丁重に扱われる存在になります。
何も持たない白雪に心強い後ろ盾になりそうです。
サカキと巳早はタンバルン王国に戻ります。
ゼン、ミツヒデ、木々は途中まで見送ります。
白雪も薬室から用を頼まれて外に出るというので一緒に城を出ます。
白雪はサカキにラジ王子に宛てた手紙を渡します。
別れ際、サカキは白雪にいずれまた口説きますと言い残し去ります。
ゼン一行は城に戻るつもりが雨がきつくなり、どこかで泊まるしかなくなります。
●31
全員びしょ濡れで宿に着きます。
風呂で温まり、食事を摂ります。
ミツヒデが女性とぶつかり、それがきっかけで女性がゼンたちにからんできます。
女性はミツヒデにからみ、ゼンにからみ、オビにからみます。
女性は三人に相手にされず去っていきます。
夜、みんなが寝静まると、オビがひとり出かける準備をします。
ミツヒデが気づき、オビに声をかけると、夜のうちに戻ります、と言い、オビは出かけていきます。
食事の時からんできた女性がオビを待っています。
女性はオビと知った仲だったのです。
女性はオビに用があって、ゼンたちのいるテーブルにやって来たようです。
●32
女性はオビに仕事を手伝ってほしいと言います。
仕事を終えると、夜が明けていて、ゼンたちがオビを探しに来ています。
ゼンはオビに怒っています。
白雪は女性とオビのケガを手当をします。
オビはゼンたちがいる場所が自分の帰る場所であると決めたみたいです。
●33
白雪は用を済ませ城に戻ります。
リュウのところに行くと、研究室が資料と薬品でゴチャゴチャしています。
リュウは出かけることになるから、出かけるまでやれるだけやっておこうとしていると言います。
薬室長は、白雪とリュウに北にあるリリアスという地の調査のため出張を命じます。
ゼンは書庫で王国北部の文献を調べています。
夜、イザナ王子がゼンの執務室を訪れます。
イザナ王子はゼンに城を空けるから仕事をいろいろまわしておいたと言い、ゼンが王国の北部の文献を調べていることについて聞きます。
ゼンはこっそりイザナ王子がこれから行うであろうことの下調べをしておくつもりだったのに、イザナ王子に指摘されてしまいあせります。
イザナ王子はゼンと白雪の状況を聞き、近いうちに自分は妃を迎えると打ち明けます。
自分の婚姻が決まれば、王族と関係を築くために次はゼンに対象が変わるといいます。ゼンの今後に期待のすべてをかけるようになると言います。
ゼンは白雪を置いていく気はないと言います。
イザナ王子はゼンに、
「俺をお前と白雪の辿る道の味方につけてみろ」
と言い、ゼンのとるべき道を示します。
それからゼンはイザナ王子と酒を飲んで、飲みすぎたようで翌朝、起きることができません。
薬室からゼンの寝室に白雪が派遣されます。
白雪はゼンにリリアスへ行くことを伝えます。
ゼンは白雪にイザナ王子をどう思うかたずねます。
白雪は、
「いつか この国に来て良かったなって言って頂きたいかな」
とこたえます。
イザナ王子は雪が降っている場所にいます。リリアスにいるのでしょうか。
白雪とリュウはリリアスに向かいます。
●34
しばらくしてゼンはイザナ王子が王国の北の城ウィラント城に行ったと知ります。偶然にもゼンが北部の資料を調べている時だったのに、イザナ王子がゼンに何も話すことなく北の城に行ったと知り、兄に遊ばれていると、ゼンは怒りをミツヒデにぶつけています。
白雪とリュウはクラリネス王国北部リリアス天幕・学問街に到着します。ここは多分野の知識が集まることから、クラリネス王国の北の書庫と呼ばれています。
白雪とリュウをユズリという植物採集家が迎えます。
薬学の館で宮廷薬剤師が来たと、白雪とリュウは学者たちに注目されます。
薬学の館にいる学者たちは赤い髪の娘と少年が立っているので、ガラク・ガゼルトではなかったことにがっかりしてます。
ガラク・ガゼルトとは薬室長のことです。
学者の中のひとりがリュウを見て、
「そっちのおチビは王国最年少薬剤師の有名人じゃないか」
と言います。
学者たちはそれを聞き、リュウをガラクの弟子だとか、研究の助言を書面でもらったことがあるとか、論文がたくさんあるとかで騒いでいます。
リュウは人に囲まれるのが苦手で、うんざりしてその場から逃げ出します。
白雪がリュウを追いかけると、リュウは体力がないのでそう遠くないところで力尽きています。リュウのもとに駆け寄ろうとする白雪に少年がぶつかり、白雪は倒れてしまいます。
少年は、ごめん、と言い走っていきます。そして、しゃがみ込むリュウに、
「おい おまえっ どうした? 寒いのか!?」
と声をかけます。
リュウは、え、と言います。
白雪は、今のは何? 、という表情です。
少年はリュウのおでこに手をやり、体温を気にします。
守衛がやって来ます。少年に、子供は立入禁止だ、と注意します。
守衛はリュウにも注意します。
白雪は守衛にリュウがウィスタル城より派遣された宮廷薬剤師だと言い、入館証を見せます。
少年は自分と同じくらいの年齢のリュウが王城の薬剤師だと言うのを聞いてびっくりします。そして、納得すると、
「…… …よっしゃ」
とボソッと言います。
少年は守衛に連れ出されてしまいます。
少年の行動が不思議で白雪とリュウは顔を見合わせ、なんだったの? 、と目で話しています。
白雪とリュウはおなかが空いたので、ユズリの案内で館内の食堂に行きます。
食事をしていると、さっき、リュウを見て最年少薬剤師と言った男性が声をかけてきます。
ユズリが彼を紹介します。彼の名は鈴でリリアスの薬剤師だと言います
ユズリは少し離れた場所で立ち話をしている、シダンという常駐でリリアスの人々を診ている薬剤師も紹介します。
シダンと話している女性がが白雪たちに手を振っています。ユズリは彼女はハキといい、時々リリアスあたりに視察に来ていると、白雪に教えます。
白雪はリリアスの薬事の報告が王城にあがってこないので、状況を調べに来たとユズリと鈴に話します。
鈴は、
「この辺の研究って北方独特のものが多いから 研究者があんまり情報開示したがらないんだよねー まー調べたきゃガラク・ガゼルトの名前をふりかざしちゃえば早いんじゃない」
と言います。
白雪は薬室でのガラク・ガゼルト薬室長しか知りません。どれほどすごい人物なのかこの地で知ることができそうです。
白雪とリュウはいろんな人にあたって自分達でまとめてみようということにします。
夜、リュウはもっとしっかりしなくちゃと思うと白雪に言います。頼りないと思われたくないようで、リュウも心に変化が生じてきています。
翌朝、白雪とリュウが調査を始めていると、守衛から呼び出しが入っていると言われ、指示された部屋に行きます。
ノックをすると、入りなさいと声がきこえ、扉を開けるとイザナ王子が立っています。
イザナ王子は、
「やあ」
と白雪とリュウに言います。
ふたりとも目を見開いて驚いています。
イザナ王子は、
「俺も驚いたよ 立ち寄ったら宮廷薬剤師が来ていると聞いてな。 ちょうどリリアスを見ていこうと思っていたところだ 身分を伏せるからあなた達に同行している事にしてくれ」
と言います。
白雪とリュウはさらに驚きます。
イザナ王子はさらに、
「何がいいだろうな リュウ きみの助手という事にしようか」
と話をすすめます。
リュウは畏れ多くて顔から血の気が引いています。首を横に振るのが精一杯です。
「嫌か ではガラクの助手と名乗ろう 名前は…… ミツヒデの名でも借りるか 今からはルーエンと呼ぶように」
白雪とリュウは拒否できそうにありません。
イザナ王子を見つめる白雪は、会うのはタンバルンのサカキがやって来て以来だと思い、その時イザナ王子に言われたことを思い出します。
イザナ王子は白雪の様子を感じとり、白雪に、
「何か用か? 宮廷薬剤師助手のルーエンに」
と話しかけます。
白雪は言葉につまり、イザナ王子の意図を読み取ろうとします。ここでいうべきことではないと思い、
「クラリネスのイザナ王子に いずれ」
とだけ答えます。
そして、白雪はリュウに、
「…リュウ 私もです。 もっとちゃんとしないと」
と気持ちを引き締めます。
窓越しに雪玉が投げつけられます。
窓の外を見ると昨日の少年です。
でてこい、と書いた画用紙を掲げて、白雪たちが出てくるのを待っています。
言われるまま外に出ると、少年は、
「見てほしいものがあるんだ」
と少年が言い終える前に、一緒に連れてきたもう一人の少年が何もないのにころんでしまいます。
ころんだ少年は、
「たてない」
と言います。
白雪はころんだ少年に話しかけます。
ころんだ少年を見た少年は、
「……っ まただ…」
と言います。
少年の言葉にリュウが反応します。
少年はリュウに、
「なあ 助けてくれよ」
と言います。
ウィスタル城ではゼンは執務に忙しくしています。
ミツヒデはイザナ王子から任された仕事の中に手紙を見つけます。
(ここまでの仕事が片付き次第 すぐ発つように… 北のウィラントで待つ)
ゼンたちも北へ向かいます。
続きます。
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