●123
リュウとカゲヤを襲った者たちはカゲヤの家に行き、中和剤の作り方を見せるよう言い、書き記すよう言います。
刺客たちはヨヅミを香水で陥れようとしている者の部下のようです。
リュウはなんとなく状況がわかってきているようです。
カゲヤは刺客にここでは道具がないから作れない、近くにある温室に行かないと作れないと言います。
リュウは白雪たちがもし来たら分かるように手がかりを残します。
白雪とオビとエイセツはヨヅミの家に着きます。部屋の中は荒らされています。リュウとシュウとヨヅミの姿はありません。
エイセツは以前カゲヤに渡したものを見つけます。もしかしたらこの家はヨヅミの家ではなくカゲヤの家なのではないかと言います。
オビは部屋の外に人の気配を感じます。
白雪はエイセツに本当にここはカゲヤの家なのですね、と確認します。中和剤を作るための道具が見当たらないので、違うのかもしれないと思ったと言います。
エイセツは、
「……オビどの 君は俺にやられてくれ」
と言います。
エイセツと白雪が口論しています。
エイセツは白雪を殴りつけ気絶させます。
黒装束の刺客が入って来ます。
「ルギリア伯爵ですか?」
エイセツは、
「ああ 昨夜 俺を襲った連中の仲間か」
「……何の話です?」
白を切っているのか、知らないのかわかりません。エイセツは刺客に交渉します。
刺客は協力の姿勢を見せ、エイセツとともに部屋を出て行きます。
オビが残っている刺客を倒します。
伏せている白雪は本を見つけます。白雪とオビとエイセツは芝居を打っていました。
今来た刺客と昨夜の刺客の主人が違うことがわかり、事態はさらに混乱します。
●124
ツルバは心当たりの邸を訪ねます。
この邸の当主はツルバが考えた通り今回の黒幕でした。
トウカ・ベルガットが持っていたものをそのまま横取りしようと、ヨヅミを罠にはめ、カゲヤを従わせようとしたようです。
ツルバと当主が話していると、部屋の外が騒がしくなります。
当主は部屋から出ると、家臣や妻が倒れています。
タリガが邸を制圧したのでした。
全てが明るみになり、当主はツルバに命乞いをします。
ツルバは誰の命令でここに来たと思っているのかと問います。
白雪はリュウが残した手がかりを見つけます。どこかに温室があってリュウはそこにいるかもしれないから探そうと言います。
白雪とオビは協力して温室を見つけます。
カゲヤが案内し温室に着きます。
刺客は薬を作る道具はあるのかと訊き、カゲヤはすべてそろっていると言います。
刺客のひとりが仲間を呼びに行きます。
部屋に入り、刺客はカゲヤには薬を作らせ、リュウには何を使っているか書き記すよう命令します。
リュウはカゲヤが作る工程を見て何かを察します。
刺客はカゲヤが作った薬をリュウに飲むよう命令します。
リュウは一呼吸おいて薬を飲みます。
刺客はリュウの飲むまでの間が気になりなぜかと訊きます。
リュウはこの薬は鎮静剤のはずだと言います。
刺客はカゲヤが命令通り薬を作らなかったので殴ります。今度こそ薬を作るよう命じます。
完成した薬をリュウが飲みます、毒ではないことを確認すると刺客は手下に始末しろと命じます。
命じられた手下は剣を抜きます。
「待ちなさい!!」
カゲヤが言います。薬を作る工程を書き記した紙を燃やそうとします。
刺客は、
「それで抵抗しているつもりなのか? 燃やしたければ 燃やせばいい」
と余裕を見せます。
リュウはカゲヤを見ます。カゲヤは、
「ごめんなさい 巻き込んでしまって」
と言います。
刺客は膝から崩れ落ち倒れます。
●125
カゲヤは部屋に火をかけます。
「立てる? もう平気よ 彼らはしばらく起きられないわ あなたはさっき別の薬を飲んだから大丈夫」
カゲヤは部屋に薬を仕込んでいました。リュウにあと一つだけ協力して欲しいと、
「お願い この薬を届けてほしい人がいるの」
と言います。リュウは、
「…… ヨヅミさん…?」
と言います。カゲヤは答えません。
「ルギリア伯爵の家で会ったんだ 一緒に治す方法を探してる」
と説明します。
「あなたはカゲヤ・イリーズさん?」
「……あなたは?」
「リュウ」
「リュウ君 ここを離れて… 私は後始末があるの 火が回る前に…」
「だめだよ カゲヤさんももう動けないはずだ 一緒に…」
リュウは部屋を見回し、効果のある薬草を煎じてカゲヤに、
「飲んで 少しは効いてくれる」
「…薬に… 詳しいと話していたけれど…」
「おれは宮廷薬剤師なんだ」
そう言って、リュウは涙ぐみます。薬学の知識しかない自分を責めます。
カゲヤは自分に出来ることをして、それが誰かの助けになればすごいことなのよと慰めます。
白雪とオビとエイセツは温室へ急ぎます。
薬草を育てている場所でおそらく温室に向かうであろう地下の抜け道を発見します。
エイセツは抜け道から温室へ向かうと言います。
白雪とオビは地上から温室へ急ぎます。
カゲヤとリュウは扉に向かいます。
リュウが先に出て外の空気を大きく吸いこみます。扉が閉められ鍵がかけられます。慌てて声をかけます。
「…っ 彼らの仲間がきっと戻ってくるわ 早く離れるのよ 小川に沿って行けば抜けられるわ お願い走って…!」
カゲヤはリュウが走り出すのを見届けます。
リュウは大きな石をいくつか探し、温室に戻ります。
カゲヤは刺客の剣を取り自害しようとします。
リュウは石を使って扉を壊そうとします。しかし、殴られて肩を痛めていて腕が上がりません。
「リュウ 割ればいいのかい?」
リュウは声でわかります。オビです。間に合いました。
「――― うん」
「了解! 下がってて」
白雪はリュウを抱きしめます。
オビは扉を蹴り破ります。
カゲヤは入り口の方を振り返ります。
「カゲヤどの!」
抜け道から来たエイセツがカゲヤに声をかけます。
エイセツはカゲヤの手から剣を取り、
「カゲヤどの 泣いた後でしか見つけられないね 俺は」
となんとか間に合ってよかったと泣きそうな表情をします。
白雪とオビとエイセツはカゲヤと刺客を外に出します。
オビはリュウにシュウとヨヅミはどうしたと訊きます。
「…剣を持った人達に 馬車を止められて… 二人はおれを逃がしてくれたから その後はわからない」
と応えます。
オビは刺客にヨヅミ・イリーズの居場所を訊きます。
「………あの騎士はどうせ死罪だ 死に場所が知りたいのか…?」
仲間を呼びに行った刺客が戻ります。
刺客は、
「―――… くそっ どうなってる…! 来い! 女を捕える」
と言います。
白雪はリュウとカゲヤに逃げようと言います。
カゲヤはヨヅミのことを聞き呆然としています。
エイセツは刺客にルギリア家の当主だと言い、オビの身分も明かします。そして、
「カゲヤどの あの時は一人でごめん」
と言います。
白雪は、
「行きましょう ヨヅミさん達も北の地にいるはずです 助けに行けます!」
とカゲヤは一人ではないと励まします。
●126
シュウとヨヅミが監禁されています。
ヨヅミはルギリア邸では言わなかった恋人の名を明かします。コルーデ子爵家。シュウはその家の名を聞いて思うところがあるようです。
扉の外で物音がします。争っているような音です。
扉が開きます。シュウとヨヅミは入ってきた人物を見て驚きます。
白雪とリュウとカゲヤは逃げます。
「そこの!! 止まれ」
と声がします。
刺客はオビとエイセツに斬りかかります。
どこからか矢が飛んできて、刺客に刺さります。
「動くな! ウィラント騎士団だ」
矢を放ったのはミツヒデでした。
「旦那ぁ」
オビは驚いています。
ミツヒデは、
「気を抜くのが早いよ」
と言います。
白雪に止まれと言ったのは木々の隊でした。
高台で待機していたゼンは五人の無事の報告を受けます。
ルギリア邸に戻ります。
エイセツはツルバとタリガからシュウとヨヅミの無事を知らされ、頭を下げ感謝の気持ちを伝えます。
リュウはシュウとヨヅミに会いに行きます。無事を確認すると、
「良かった……」
と言い、そのまま眠りに落ちます。
カゲヤはヨヅミと会い無事でよかったと涙します。
ゼンは今日は休んで、明日から話を聞くと言います。
翌日、カゲヤは事情を説明します。オビとツルバはカゲヤの話と状況をつなぎ合わせていきます。
エイセツはゼンに今回の事態を招いた非を詫びます。ウィラントに残る禍根を全て明らかにし断ち切るためベルガット家と共に動くという意思を表明します。
●127
朝食のひとコマが描かれます。
ツルバとタリガは冗談と言えるやりとりに、会話に入っていける自信がなさそうです。
エイセツはカゲヤに会いもう一度あやまります。
カゲヤはエイセツの心が自分の行動を踏みとどまらせていたことを明かします。
白雪とオビとリュウは一度リリアスに戻ることにします。
ゼンは三人がリリアスに戻る頃にはガラクが来ているはずだと言います。
リリアスでのリュウとガラクの会話に師弟の深い結びつきを感じます。
後日、白雪とオビとリュウは改めてルギリア邸を訪れます。エイセツに香水と中和剤についての報告をして、本来ルギリア邸にやって来た理由、ルギリア家当主に会って要望の許可を貰うという要件について話します。
●特別編
鹿月と巳早、ユジナとロナ、キリトと鈴とユズリの会話が描かれています。
続きます。
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