●119
ひとりの女性が小部屋に入り、座っている女性に話しかけます。
「貴方方がお使いの『香水』――… とても妖しい香りがするのですね ひとが虜になるのも頷けます」
「……!? なぜあなたがそれを…」
「この香りを濃く一気に吸い込むとどうなってしまうか …当然ご存知でしょうね」
と言うと、香水を座っている女性にぶちまけます。
漂う濃い香りに座っている女性は慌てて小瓶に入った液体を飲みます。
「無駄です 今日お渡しした薬では中和されません 別物ですから」
座っていた女性は意識を失い倒れてしまいます。
オビは広間を観察しています。人がずっと立ったまま動かないことに気がつきます。エイセツを見ると彼も動かずじっと一点を見つめています。違和感で体に悪寒が走ります。
「おい」
「――え?」
「今 なんでここに居るのかわかります?」
「なんでって…? えーっと… ちょっと待ってくれ…」
「お嬢さんに貰ったやつ 口に入れて下さい」
「お嬢さん? ああ… 彼女か…」
オビはエイセツのふわふわした口調に薬が広間に充満していて、入って来たときから体に作用していたとこに気がつきます。白雪に渡されたものを口に入れ嚙み砕きます。エイセツの口にも放り込んで、
「噛め」
と言います。刺激物のようなもので一気に目が覚めます。
オビとエイセツは辺りを見回すと一人だけ薬の影響を受けずに歩いている女性を見つけます。
オビはその女性が出て来た小部屋の幕の方を見ます。中に人の気配を感じます。
幕から出て来た女性に、
「兄から伝言です 夫人」
と話しかける人物が現れます。
エイセツは女性を追いかけ、オビは小部屋に向かいます。
オビは小部屋に入ると倒れている女性を見つけます。
白雪とツルバはオビが決めていたのと異なる合図を送ってきたので異変を感じ邸に侵入しようとします。
ツルバはさっと手すりを飛び越え侵入に備えます。しかし、白雪は自力では登れずツルバに手を貸して欲しいとお願いします。
ツルバは生きて来てこんな風に誰かに手を貸して欲しいと言われた経験がなさそうです。気がつかなかったことに申し訳なさそうな表情をして手を貸そうとするところにオビが出て行きます。
白雪はオビに抱えられて邸の中に入ります。
「オビ 身体に異変は? さっき様子が…」
と白雪が言うと、オビはやはり薬が作用していたのだと分かります。
ツルバと相談して邸に入ろうとしたと言います。
ツルバは白雪がベルガット家の人間を普通に扱うところに小さな驚きを感じているようです。
オビは白雪とツルバを小部屋に案内します。
白雪は倒れている女性を見て、
「うん 別の部屋に移そう」
と言います。女性から放つ香水の香りがヨヅミが持って来た香水と同じ香りのようです。
女性を追ったエイセツは邸を出て、馬車に乗り込んだところで接触します。
「…仮面を外して頂けませんか」
と言います。
「……仮面をつけた方に言われましてもお応えしかねます」
と返されると、エイセツは仮面を取ります。
「話があります」
「……お一人ですか」
「――ええ」
「お乗り下さい」
エイセツは馬車に乗り込みます。
オビはツルバに、
「…ツルバ 表を見てきてくれるか エイセツどのが戻らない」
白雪とオビは女性の意識が戻るのを待ち、ツルバはエイセツを追います。
「お話とは? …エイセツ様」
「―――…… カゲヤどの…」
エイセツは女性を知っていました。しかし、知った人物だと分かり驚きます。
●120
カゲヤはあの広間でよく自分のことがわかったと言います。
エイセツは騎士にヨヅミ、イリーズという名の騎士がいて、イリーズと言う名でカゲヤ・イリーズの名を思い出したからわかったのだと言います。
カゲヤは、
「いつ どこで ヨヅミとお会いになったのですか!?」
と少し焦ったような口調で言います。
香水をかけられた女性の意識が戻ります。女性はすこし震えています。
「ど どこにあるの? リエラはどこ 早く中和剤をどこなの リエラ…っ リエラが…」
オビはエイセツが追った女性がリエラであるとわかります。
リリアスではユズリが文献を読み漁っています。文献の中に香水の作用と似ている事例をみつけリュウに報告します。
リュウは中和剤を作るため王城に行くと言います。
馬車ではエイセツがカゲヤにヨヅミとの関係を訊きます。
カゲヤは答えず、
「停めますわ 降りて下さい エイセツ様」
引き返せと言おうとするエイセツを短剣で刺します。刃先に薬を仕込んでいてエイセツは抵抗できず、馬車から押し出され、地面に転げ落ちます。
地面に投げ出されたエイセツは刺客に襲われます。
刺客のひとりがエイセツを見てルギリア伯だと気がつきます。
エイセツをどうすべきか迷っていると刺客の背後にツルバが現れます。
白雪とオビもツルバとエイセツを追います。
●121
ツルバは三人の刺客を倒します。
ツルバはエイセツに怪我の有無を聞いたの後、なぜひとりで動いたのか問い質します。
エイセツは彼女とは知り合いだった、トウカ・ベツガットと通じているとは考えられない人だと言います。
ツルバは戻ろうと言います。そして、倒した刺客の顔を確認し縛ろうとすると、矢が飛んできます。
エイセツは回避しようとして足がもつれ崖から落ちてしまい、気を失います。
エイセツとカゲヤの過去が描かれます。
エイセツの意識が戻ります。
白雪とオビも合流していました。
オビは状況を訊ねます。
ツルバは刺客の心当たりを探ると言います。
オビはエイセツにあなたはどうすると訊きます。
エイセツは白雪とオビに、君達とは行かないと言います。
白雪は、
「それでは初めて会った時と同じです ―――…何があったのですか?」
と言います。
エイセツは本音を吐き出します。
白雪とオビとツルバは静かに驚きつつ聞いています。
●122
エイセツはカゲヤが困っているなら助けたい、シュウとリュウを巻き込みたくない、君達を頼りたい、と言います。
白雪とオビとエイセツは邸に戻ります。
ツルバは心当たりの場所に向かいます。
邸に戻ると、リュウとシュウとヨヅミがヨヅミの家に行った言われます。
白雪はリュウからの手紙を読みます。
白雪とオビとエイセツはヨヅミの家に向かいます。
途中、何かを察知したオビが暗がりの道を行くと血痕を見つけます。
白雪はリュウに贈ったしおりを見つけます。
リュウとシュウとヨヅミを乗せた馬車は何者かに襲われてしまいます。
シュウとヨヅミがリュウを避難させ、襲ってきた者たちと戦います。
リュウは近くの騎士団に知らせなくてはと走り出します。
苦しそうにうずくまっているリュウをカゲヤが見つけ声をかけます。
二人に刺客が近づきます。
続きます。
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