2022年7月12日火曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 34巻

ユホンはヨンヒと出会わなければ高華国の次の王になるはずだった人物でした。

ユホンとイルの父ジェナム王は最後まで次の王の指名をしなかったのはユホンを見極めるつもりでいたのか、どう状況が変わろうとイルを指名するつもりでいたのか。

ジェナムはイルを王に据えると五部族のどこかが内乱を起こす可能性は考えなかったのでしょうか。

スウォンが行動を起こしたのは内乱寸前だったからのかもしれません。

ジェナムは緋龍王を信仰したイルを次の王に指名し、、緋龍王の末裔であるヨンヒを正妻に迎えたユホンは外されました。何でも力でねじ伏せるユホンは問題があります。しかし、ジェナムの選択は国を治める上で正しいのか疑問が残ります。




ユホンはヨンヒに、

「ヨンヒ、神官共は全て処刑した」

と言います。ユホンがヨンヒとヨンヒの一族を必ず守ると言ったことはこういう結果を生んでしまいます。

ヨンヒはユホンに守られていると理解します。

ヨンヒは一族の皆に会いに行きます。ヨンヒは叔父に母に会いたいと言います。

叔父はヨンヒの母ヨシノは自害したと言います。

大神官がヨンヒの存在を知り、あらゆる手段を使って一族に会いに来ました。

ヨンヒは母ヨシノの死は大神官が何かしたのかと思います。

叔父は大神官は最大限の礼を尽くしてくださったと言います。

ヨンヒは思い違いをしていました。

大神官は緋龍王の末裔が今もどこかで生きていると信じていて、ようやく会えたことに涙していました。一族の存在が大神官の希望であったと言います。

ところが、ユホンは一族に会いに行った大神官をむごい方法で処刑し、神殿を焼き、その他の神官も全て処刑してしまいます。

叔父はヨンヒに、我々の存在を見ただけで緋龍王の血筋であると見抜くのは、大神官が本物である証拠だと言います。そんな本物の大神官を処刑するユホンに全てを打ち明けてしまった母ヨシノは自分の責任だと自害したと言います。


ヨンヒは一目見ただけで緋龍王の末裔だと見抜いた大神官の能力が、神官の力で何をされるか恐くて、ユホンに処刑されたのは自分とは関係がないと思い込もうとしていました。しかし、母ヨシノが自害した経緯を聞き、間違っていたのは自分の方だったと涙します。

ユホンがやって来ます。ヨンヒを見て、なぜ泣いているのか尋ねます。

ヨンヒは母ヨシノが亡くなったと言います。

ユホンは一族に会いに行こうとします。しかし、ヨンヒが引きとめます。

「待って…! それは貴方が…」

言葉が続きません。ユホンが守ると約束したことから始まったことで、全てが自分に返ってくることがわかっているからです。

それでもヨンヒはユホンの側を離れるという選択ができず愛おしく感じています。



時が流れ、ヨンヒとユホンの間にスウォンが生まれます。

ヨンヒはユホンからイルが妻を娶ったことを聞きます。

ある日、イルの奥方と会います。話しているとその人物はカシであることがわかります。

ヨンヒがカシに話そうとした時イルが険しい表情でやって来て、カシの前に立ち守ろうとします。

ヨンヒはイルにカシの存在を誰にも言わないと言うと、イルは、

「…もう いいよ 私は幸せだから」

とだけ言い、カシを連れてその場を去ります。



さらに時が流れます。

ユホンはヨンヒにイルに娘が出来たと話します。名をヨナといい赤い髪の赤子だと説明します。

ある日、ヨンヒは庭園でカシと火の部族長の妻イグニを見かけます。邪魔にならないように、会わない方がいいと思いスウォンを呼びそっと戻ろうとします。スウォンは木の上にいて、ハクと遊んでいたいと言います。スウォンと同じ年頃の少年ハクは風の部族のムンドク将軍のところの子だと知ると、一人で戻ろうとします。

イグニがヨンヒに気がつき声をかけます。

ヨンヒも声をかけられたので対応します。

カシもヨンヒに気がつきます。

カシがヨンヒに近づき挨拶をします。

ヨンヒは心配するような事態にならず安心します。カシの横に立つ小さな少女ヨナを見て何かを感じます。

何かはわかりません。ヨナを見た時その場に座り込んでしまいそうになります。そしてなぜか緋龍王の存在を思い出せます。

スウォンがヨナに挨拶します。そしてヨナにハクを紹介します。

ハクはヨナに猫いるから見に行くか? と誘います。ハクはヨナの手を取って猫のいる所へ行こうとします。

咄嗟にカシがハクの肩を掴みます。ハクが振り返りカシを見ます。

カシは目を見開き、少しの間無言でハクを見つめます。そして、

「……ヨナを… 守ってね…」

とハクに言います。

ハクは急に何を言うのかという表情で、ヨナの手を引き、スウォンとともに猫を見に行きます。


ヨンヒは子供たちだけで行かせて大丈夫かと心配します。するとカシが、

「大丈夫ですよ ここから見えますし 今日は悪いことは起きません」

とどこかひっかかるような言い方をします。そうしたらイグニが、

「カシ様は本当に不思議な方 まるで占い師のような事を仰るの ほら ヨナ様がお生まれになったばかりの頃も 『この子には しろとあおとみどりときいろの守護がついている』って」

と言います。イグニがスジン将軍に呼ばれ庭を去ります。

ヨンヒはカシが言った言葉を反芻すると頭に痛みが走ります。


ヨナ、ハク、スウォンはすぐ打ち解けます。カシは、

「可愛いですね」

と言います。ヨンヒは、あなたは幸せ? と尋ねると、

「…イル様幸せだと仰ったのは 赤い髪の子供を授かったからだと思います」

とカシは答えます。

また不思議なことを言います。ヨンヒは、

「でも あれは ヨナが生まれる前よ …赤い髪の子供が生まれると… わかっていたの…? カシ… あなたは… 何が見えているの…?」

と尋ねます。カシは、

「自分以外の人間の未来が…」

と信じられないようなことを言います。

ヨンヒはカシの話を聞いていて、さっきの言っていたしろとあおとみどりときいろの守護という話を合わせるとどうしても緋龍王という存在が浮かんできます。再び頭に痛みが走ります。

なぜ緋龍王がイルとカシの娘とつながるのかとヨンヒは混乱します。

カシは、

「あの子が再び四龍を集結させる」

と言います。

ヨンヒはヨナは王でも緋龍王の血筋でもないのに、ヨナが緋龍王ならスウォンは何者なのか、そもそも自分の一族は一体何を守って来たのかとカシに問います。

カシは未来が視えても今の私に出来るのは、イルを支え、ヨナの母親として務めを果たすことだと言います。

ヨンヒはカシと同じことを考えているのに、緋龍王の血筋を持つのに何者でもないという事実を突きつけられます。また頭に痛みが走り、一族の運命である緋の病を発病してしまったことを知ります。



2年が過ぎます。

ヨンヒの頭の痛みは時々現れるものの、症状は比較的穏やかなものでした。

そんな時、ユホンとイルの父ジェナム王が倒れます。

ジェナム王は二人を呼び、次の国王の指名をします。

次期国王はイルとなります。

指名されなかったユホンは悩み苦しみます。

ヨンヒは自分の役割について考えます。ユホンが次期王となり息子のスウォンがその次の王となる。スウォンを育ることは自分の役割なのだと思っていたのに、弟のイルが次期王に指名され、イルの子ヨナは緋龍王だと言われてしまう。ヨンヒは生きている理由さえわからなくなってしまいます。

カシは、

「あなたが生きているだけで 幸福になる人がいると… お信じにはなれませんか?」

と言います。

そこでヨンヒは意識が途切れてしまいます。


目が覚めるとユホンが側にいました。

「…ヨンヒ 必ず守ると言っただろう 俺に隠し事をするな」

と言われ、ヨンヒは一族の病緋の病が発病したことをユホンに告げます。


ヨンヒは緋龍城の外で静養することにします。

あと少しでで城を出るというある夜、眠っているヨンヒのもとにイルが見舞いにやってきます。

イルは初めて会った時のように穏やかで優しさに満ちた語り口で元気になってと言います。

ユホンはイルとヨンヒの会話を隠れて聞いています。


イルの戴冠式が行われます。

ユホンはヨンヒにその様子を伝えます。会話の中でカシの名が出て来ます。ヨンヒは体調がすぐれない様子なのでユホンが休むようすすめます。

ヨンヒの世話係がユホンにカシ王妃について話をします。ヨンヒはゆめうつつに会話の断片を聞いています。


ヨンヒが静養する邸にカシを招くことになります。

スウォンはヨナに会えることを楽しみにしています。

しかし、カシは道中で賊に襲われてしまい、屋敷に訪れることはありませんでした。

そして、その2か月後、ユホンが亡くなります。


ヨンヒは憔悴しています。スウォンが側で元気づけてくれるのでなんとか心を保ちます。

夜、目を覚ますとスウォンがいません。

ヨンヒはスウォンを探します。スウォンは庭にいました。スウォンの周りにはケイシュク、ユホンの護衛兵がいて会話をしています。

ヨンヒは話している内容に驚きます。

ユホンは滑落したと聞いていたのに、イルが剣で刺したことによって亡くなったと言うのです。

それだけではなく、カシは族に襲われたのではなく、ユホンが手を下したと言うのです。

スウォンは血が上っている護衛兵たちをなだめ、冷静に対処します。そして時間を下さいと言い、皆を解散させ部屋に戻ります。

部屋に戻ったスウォンを追うようにヨンヒは戻ります。

スウォンは静かに怒りに燃えています。

ヨンヒはそんなスウォンを初めて見ます。

話しかけると、信じられないことを話し始めます。ヨンヒはスウォンに恐れを抱きます。



手記を読み、ヨナは事のあらましを大体把握します。

ヨンヒが書いた手記はイルの手元にありました。

ヨナはイルもこのヨンヒの手記を読んだのだと知ります。

イルがスウォンは駄目だと言った理由、母カシが賊に襲われた理由、イルが武器を持つことを嫌う理由、スウォンは計画的にしっかり物事を見極め実行していること、イルはいずれスウォンに殺されることをカシから聞かされていたこと。

ヨナは父イルがどういう思いでいたのだろうと考えます。手記に挟んであった栞に細工があるのを見つけます。ほどくと中から文が出てきました。

内容を読むと、イルがヨンヒに宛てたものでした。ヨンヒの手元には届かない文をイルは書いていました。

ヨナは文を読み、父イルの心情を理解します。ハクをヨナの側に置いたことも書かれています。

ヨナはヨンヒ手記とイルの文を読んでどう進むつもりなのでしょうか。



ミンスが書庫でユンを見つけ千樹草について尋ねます。

ミンスはスウォンの治療に千樹草を試したいようです。

ユンは自分が行って分けてもらうことならできそうだと言います。しかし、ヨナの仲間だから城の外に出る許可が下りないと言います。

ミンスはユンが千樹草を手に入れるため外出許可をもらうためスウォンのもとに走ります。


ミンスはケイシュク参謀に許可をもらうため庭を通ると、スウォンがうずくまっているのを発見します。スウォンを囲むように四龍が立っています。

キジャがミンスに、

「軍事演習中に具合が悪くなったようだ」

と言います。ミンスは、

「ご心配なく 陛下は寝不足で…」

と誤魔化そうとします。どこかに運ぶなら手伝うよ、とゼノが言うと、

「問題ありません」

とスウォンは立ち上がり、自分の足で歩いて部屋に戻ります。


スウォンの体調を知った四龍はヨナが四龍やハクに会わないと言った理由はこれなのかと納得します。

シンアは知ったからヨナに会えない理由はないと、ヨナに会おうと言います。



ヨナは手記を読み終え、ミンスが来ないので執務室を出ようとすると見張りが立っています。見張りは、

「ミンスから伝言です 急な仕事が入ったので今日はお部屋にお戻りになられるようにと」

とヨナに伝えます。

ヨナは、

「私はスウォンが戻るまでここで待つわ ミンスに伝えて」

と言い執務室に籠ります。


ミンスが執務室に現れたのは3日後です。執務室にヨナが居ることを聞いて慌てて来たようです。

ヨナがスウォンは? と聞くと、ミンスは、

「今日は南戒からの使者がいらっしゃいます 大切な会談なので今日もここにはお戻りにならないかと」

と答えます。

ジュドがやって来てミンスを呼びます。ミンスは少し席を外しますとヨナに言うと、ヨナは私も行くと言います。


スウォンの体調はかなり悪そうです。

ケイシュクは薬をすすめます。スウォンは薬を飲むと眠ってしまうと拒みます。振り絞って南戒の使者に会うため立ち上がります。

スウォンの目の前にヨナが立っています。

ヨナはスウォンに薬を飲むよう言います。南戒の使者には自分が会うと言います。



会談が行われる部屋では南戒の使者がスウォンが姿を現さないことに不満を漏らしています。

使者は人の気配がして、ようやく来たと思ったら、スウォンではなく女が現れたので怪訝な表情です。

ケイシュクがヨナを使者に紹介します。

「お待たせ致しました この御方はスウォン陛下の従妹君 ヨナ姫様です」

使者は、王はどうしたと尋ねます。

ケイシュクは王は会談には出席されません、と答えます。

使者は無礼だと声を荒げます。すると、ヨナは、

「私はスウォンの従妹である前に先王イルの子です この度は私が望んでこの場に立っています」

と言います。

使者は、地の部族の金州における振る舞いについて、謝罪を要求すると、ヨナを軽く見て発言します。

ヨナは、地の部族領で見てきたことを使者に説明します。使者にとっては触れられたくないことだったようで、さっきまでの勢いが失せてしまいます。さらにヨナは、

「あの時 高華国にやって来た船は全て沈めましたし 人身売買も麻薬も止めさせて 南戒の商人も貴族も高華国で捕えているので今更ですがご報告しておきます」

と言うと、使者は、

「何だと!?」

と立ち上がり声を荒げて、威嚇しようとすると、

「あら お心当たりでも?」

とヨナはやり込めます。ケイシュクとジュドも驚いています。

会談が始まります。




弱体化する国。飢える民。ここを見て見ぬふりをするイル王は文に自分を「つなぎ」だと書きます。

そんなことでよかったのか? と思います。兄ユホンを王にしてはならないとい理由で、生まれてくる子ヨナが緋龍王の生まれ変わりという理由で、どうして高華国の未来を託せるのかうまく飲み込めません。

続きます。



草凪みずほ 暁のヨナ 34巻
(アマゾンのサイトに移動します)



●関連リンク
白泉社公式サイト 暁のヨナ

0 件のコメント:

コメントを投稿