2017年8月30日水曜日

宇仁田ゆみ うさぎドロップ 4巻

大人の側からの視点が多く描かれていました。

これまでとは違う展開で感触が少し変わってきました。



宇仁田ゆみ うさぎドロップ 4巻
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2017年8月28日月曜日

宇仁田ゆみ うさぎドロップ 3巻

大吉のりんへの接し方が大吉のじいさんであり、りんの父親である宗一に似ていて、りんがすんなりと大吉との生活に入れた理由のひとつが、りんを生んだ母親吉井正子が二人を離れたところから見てるのを描くことによってわかりました。

りんと大吉の一緒に暮らすまでの描写が少なかったのでこの場面を描いてくれて少し納得できました。



りんが成長するにつれて、大吉のりんに対する不安と心配は大きくなっていき、その心配症っぷりと、コウキが大吉に大人の男に感謝されてちょっと満足げなところがよかったです。



コウキは誰の言うことも聞かないのに、りんの言うこと(だぶん大吉の言うことも)だけは素直に聞くのだろう。

学童保育所でのエピソードを描いてほしかったなと感じました。




宇仁田ゆみ うさぎドロップ 3巻
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2017年8月26日土曜日

宇仁田ゆみ うさぎドロップ 2巻

 6歳女児と30独身男のほのぼの成長期です。

りんの小学校入学とりんを生んだ母親探しが描かれています。



自分の知らない場所に大吉に連れられていくと常に大吉の服なり手を握って安全を確保しようとするしぐさ、それを当たり前に振舞える大吉。

ユウキくんのママのいう通り何処からどう見ても親子です。



りんは大吉に気持ちをぶつけられるようになり、いろんな人に接することができるようになってきました。

はみがきの場面と198ページからのりんと大吉の会話がよかったです。

日々成長する子供の思いもよらない一言にハッとさせられるいい場面でした。



宇仁田ゆみ うさぎドロップ 2巻
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2017年8月24日木曜日

宇仁田ゆみ うさぎドロップ 1巻

ある晴れた秋の日。河地大吉はじいさんの訃報を聞きます。

有休をとってかけつけてみるとそこに見知らぬ女の子がいました。

その女の子はじいさんの子だという。

女の子はりんといい、年齢は6歳。

孫の大吉からすると叔母にあたるりんは大吉を見るなり側を離れようとしませんでした。



葬式が終り、りんを誰が引き取るのかという擦り付け合うような話し合いがなされているのを側で聞いていた大吉はりんに、

「おれんち来るかァ?」

と声をかけ、りんはすぐさま応じ、30歳独身の大吉が6歳のりんの父親代わりになり二人の生活が始まります。



なぜかほおっておけなかった大吉と、大吉の声にすぐに応えたりん。なるべくしてなったような出会いです。



子育てに関することを何も知らない大吉が、日々成長していくりんを通じて今まで考えもしなかったことや、初めて体験する気持ちが描かれています。



大吉は6歳の子供が何を考えているのかを知ろうとし、抱えいる不安をどう取り除いて安心させてあげるか、わからないながらも、りんにとって頼りにできる存在であろうと頑張ります。



りんは漠然とだけど、自分の置かれている立場をわかっていて、じいさんに似てるからなのか、インスピレーションなのか、大吉の元で生きていくのですが二人の会話がとてもいいです。



大吉は幼いりんにひとつひとつ確認していき、りんは確認することでわき上がる疑問を大吉に、ときには恐る恐る、ときには無邪気に聞き返したりします。



しんじゃうっていうこと、いなくなるっていうこと、ひとりになることに、得体に知れない恐怖を感じていた幼いときのことを思い出しました。

そしていま幼い子にこういったことを尋ねられたとき安心させてあげられる言葉はきっと大吉の言ったことに似ているだろうなと思いました。

面白い作品です。




宇仁田ゆみ うさぎドロップ 1巻
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2017年8月22日火曜日

五十嵐大介 魔女 2巻

前巻とは違う面白い短編が収録されています。




●PETRA GENITALIX

人類が文明を築き、ある規律で運営しようとするとき、規律という大きな力に不都合な存在は異端とされ、やっかいごとはその人たちに押し付けてきた歴史を描いているみたいでした。小さな少女が問う言葉は生きていくのに身につけていなければならない大事なことを教えてもらいました。



●うたぬすびと

約束をあえて破ることで願いを叶えた少女。よくわかりませんでした。



●ビーチ

おばあを見て狼狽えなかったのはどうしてだろう。不思議が少なくなってしまったいま、大切にしたい世界です。



五十嵐大介 魔女 2巻
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2017年8月20日日曜日

五十嵐大介 魔女 1巻

 身近に起こることと、どこか重なっていくような感覚になる短編集です。




●SPINDLE

現実感を感じさせないのに、つくりものにも思わせない物語が面白かったです。



●KUARUPU

科学を信じきっている現代に生きていて、科学を超える力の存在をどこかで期待している自分がいました。



●騎鳥魔女

知らずにいることってたくさんありそうです。



五十嵐大介 魔女 1巻
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2017年8月18日金曜日

三島衛里子 高校球児ザワさん 2巻

ドキドキする野球部員たちの期待に応えることのない男らしい?ザワさん。
自分が女で男子部員との間のどうしても超えられない壁を感じることもあるけど、野球漬けの毎日を送っています。

ザワさんの飲んでいたプロテインを口にした女の子が、
「美味しい!」
といったらどんな会話が続いていたんだろう。
ザワさんの嬉しそうな顔を見るとができたのかな。

女だからといって特別扱いしない監督に往復ビンタされたのに楽しそうなザワさん。
男だったらと何度も苦い思いをしただろうなと思う話でした。

2017年8月16日水曜日

三島衛里子 高校球児ザワさん 1巻

都澤理紗はどこにでもいるような女子高生である。よく笑い、よく食べ、よく眠り、ちょっとだけ学ぶ。そんな彼女の「特別なこと」をひとつ挙げるとすれば、野球部ただ一人の女子部員であること。ささやかだけれども眺めていると訳もなく胸が騒ぐ・・・・・・部活少女・ザワさんの日常素描。


都澤理紗(ザワさん)は日践学院野球部に所属する女の子です。
甲子園に出場する野球部において唯一人の女性部員です。
もちろん公式戦には出ることはできません。

男子部員ばかりのなかでどうしても目立ってしまうザワさんはどこにいっても注目されてしまいます。
球場のスタンドで応援していても、部員とバッティングセンターに行っても、電車のなかでも、ザワさん他男子部員の一行はいったいどういう関係なんだと周囲にいる人達にいろいろ想像させ、ザワさんがマネージャーではなく男子部員と同じ野球部員であることがわかると一様に驚きます。

ザワさんが野球部員だと分かったポイントが納得するところばかりでおかしいです。
ザワさんがしゃべることは少なく、ザワさんを見る人視点でどういう女の子かが描かれているところが面白いです。

2017年8月14日月曜日

森薫 乙嫁語り 3巻

 19世紀末の中央アジアの遊牧民や商人の文化や風俗、人々が何に重きをおいているのかがこの作品を通して知ることができました。




居候のヘンリー・スミスはアンカラへ旅に出た。カラザでは盗難に遭うが、いま、運命の女性に出会う…!




アミルとカルルクのほんわか夫婦と別れ、アンカラへ向かうのに手配してもらった案内人と会う約束の市場にやってきたスミス。

いくら探しても案内人らしき人物は見当たらず、どうしたものかと、とぼとぼと繋いであった馬のところまで戻ってくると、荷物をのせたロバとともに馬がいなくなっています。

気が動転し、慌てて探してみても目撃者もなく、ダメだよ目を離しちゃと言われてしまい途方にくれてしまいます。

周囲を見まわしていると、スミスさんと同じようにキョロキョロと何かを探している様子の女の人が目に入ります。

その女の人もスミスさんの存在に気づき、近寄ってきて、スミスさんと同じ場所に繋いでいた白い馬の行方を尋ねます。

スミスさんは同じ事情であることを説明し、ふたりでそれぞれの馬を探してまわります。

ある市場の主人らしき人が、

「場長さんに相談してみな」

というので、いわれたとおり場長さんという人物がいる建物に向かいます。

場長さんに相談してみると、場長さんはある程度の目星がついているようで、難なくそれぞれの馬と荷物をのせたロバを取り返してくれます。

大切な馬だったらしく、無事に戻ってきて涙ぐむ女の人。

荷物の中身もなくなっていないことを確認し安堵するスミスさん。

捜し物が見つかり、この場で別れようとすると、女の人が、

「あの……もしよろしければうちにいらっしゃいませんか? お客様に来て頂ければ義母も喜びますし まだお泊まりが決まっていないようでしたら」

といい、何かの縁を感じたのか、スミスさんは女の人の招きに甘えて、世話になることにします。

女の人の名はタラスといい、義母とふたりだけで暮らしています。



同じ被害に遭って知り合い、ゆるやかにお互いが惹かれていき、将来を約束し、文化の違いによって引きされてしまうという、スミスさんとタラスさんの結末がさみしいです。

初めてタラスを見かけたときの、スミスさんの一瞬で心が奪われてしまったかような表情や、決断してタラスの家に向かうと思いもよらないことが起こり、一方的に話がつき、この土地の文化を思い知る場面が印象に残りました。

タラスさんはスミスさんに向ける表情や、髪をほどき、髪が風になびいている姿や、羊とじゃれあっているときに見せる表情、そして、早朝、義母が起きる前にスミスが立ち去ろうとするところで見せる表情が美しいです。



感情を表に出さないタラスさんがスミスさんの身に何かあったかもしれないと感じると、居ても立ってもいられず、馬に飛び乗り、市場まで駆けつけ、スミスさんの安否を確認し、

自分の心情を吐露する場面は、コマを眺めていると、アミルやパリヤと同じように顔がまっ赤になっていくようでした。



もう登場しないかもしれないと思われた、カルルクやアミル、パリヤが再登場してくれてのは嬉しかったです。パリヤの四コマも面白かったです。

想像力豊かなパリヤ。

何を想像して、顔をまっ赤にして、のぼせてしまったんでしょう。

多感な女の子です。

アミルにだけは素直に気持ちを話せるところや、どうしてか空回りしてしまうところがかわいらしいです。

縁が順調に進んでいけばいいなと思います。



森薫 乙嫁語り 3巻
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2017年8月12日土曜日

森薫 乙嫁語り 2巻

 語り部ってスミスさんだったの?

エイホン一族の話が続くと思っていたから、スミスさんが旅立って視点がスミスさんに向けられたのに戸惑いました。



もうエイホン一族のカルルクとアミルを見られないかと思うとちょっと寂しい気がします。



とはいえ、まっすぐで元気なアミルさん、勇敢なアルルクさんと見られてよかったです。その後のエピソード、第9話「嫁心」の話はよかったです。パリヤはせっかくでてきたのに、今回で出番は終わりなのでしょうか。

裏表紙の絵がいい雰囲気です。



森薫 乙嫁語り 2巻
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2017年8月10日木曜日

森薫 乙嫁語り 1巻

ゆっくりとした時間の流れ、異文化の人と人とのつながりが心地よく感じる作品です。



舞台は19世紀中央アジア、カスピ海周辺の地方都市。

アミル・ルガルとカルルク・エイホンの結婚式から物語は始まります。



狩りをしたり、母親の言いつけを守らない子供がいたり、部族間の交流や争いがあったり、風邪をひいて大慌てしたりと物語が展開していきます。

すこしずつ夫婦のかたちがつくられていくんだと思います。




森薫 乙嫁語り 1巻
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2017年8月8日火曜日

北条司 Angel Heart エンジェルハート 27巻

いい話で二粒ほど涙が流れました。

陳さん率いる玄武の部下はどんな人たちなのか、そのひとりに焦点をあてて話をつくってほしいと思っていたので、特にこの話はよかったと感じました。
玄武のサブチーフ、林忠(リンジョウ)が依頼人です。林忠は任務で香瑩の護衛を務めていました。
ひとりでフラフラ出掛ける香瑩に対してリョウが過保護な割に気にかけなかった理由がここにきてようやく分かりました。

林忠の依頼を引き受け、解決を急いだ香瑩が情報収集に選んだのはよりによって玄武のリーダー陳さんで、訳を知った陳さんの落ち込みようにグッときて、教会の神父さんと林忠の会話、キャッツアイでの千尋の会話、千尋と林忠の会話にポロポロと泣いてしまいました。
リョウのさりげない手助け、香瑩と香の林忠へのセリフもよかったです。

2017年8月6日日曜日

北条司 Angel Heart エンジェルハート 26巻

リョウ、陳さん、信宏(シンホン)、そして海坊主の4人で張り切って、やや力み気味で挑んだコンパで知り合った女性、菜月。彼女は以前海坊主が戦場に身を置いていたとき、特別な感情を抱いた女性、ヤヨイの娘でした。
海坊主は菜月に出会ったことで昔のヤヨイとの記憶が甦り、菜月は幼い頃から両親から聞かされていたファルコン(海坊主)に実際に会えたこと感激し、リョウから母親のヤヨイが好きだった花と海坊主との温かいエピソードを聞かされ、海坊主に惹かれていきます。

一方で、菜月は野間という男に言い寄られていてどうしたらいいか悩んでいました。
菜月は海坊主に相談すべきか迷っていました。

海坊主、菜月、野間という関係をみつけたカメレオンはこのつながりを利用し自分の目的を達成することに成功します。
上手く利用し、仕事がうまくいったかにみえたところを玄武の部隊とリョウに捕えられてしまいます。
カメレオンを慕う小さな女の子がカメレオンをかばうことで命を救われるます。
リョウの甘さに呆れる陳さん。
でも嫌いじゃない、冴羽さんのそういうとこという陳さん。
最後の3コマの会話がとても好きです。

リョウに出会って陳さんがどんどん感情的な人物に変化していってるのがいいです。
彼はいったいいくつなんだ?玄武のリーダーだった頃の冷静で非情な判断をする陳さんも描いてほしいなと思います。


●第285話
不安な夜 菜月と香瑩(シャンイン)との会話は菜月の決意がよく伝わってくるいい場面でした。
香瑩と香が菜月の背中をトンと押してあげる流れと最後の菜月の表情が素敵でした。


●第286話
潮騒 帰ってきた海坊主は菜月に、彼女が選ぼうとしている選択を知りつつ、同じような選択をした香と菜月を重ね合わせて話し始めます。
海坊主は香が裏の世界の男であるリョウと一緒になるという選択はよかったのかわからないと話し始めます。
裏の世界に関わらずに生きていくことが相手の幸せを願う上で疑いないことだけど、側にいてほしいというジレンマ。
海坊主のキャラクターらしく汗をかきながら素直でない言い回しをする不器用な男がよく伝わってきます。
夜明けの浜辺で告白する菜月に率直に感情を出さず照れたような、人を想う感情には勝てないなと決断したような笑みを浮かべた海坊主の表情で締めくくるのがよかったです。


25巻、26巻に収録されているこのエピソードはこれまでのエンジェルハートのエピソードのなかでもとびきりいいストーリーでした。
「海から日が昇るところを見たことがない。海といえば夕日というイメージしかない。いままで海が日に沈む光景しか目にしていないからかも。半世紀近く生きていながら、どうして早朝の海を見たことがないのだろう。」
と作者のコメントがありました。
ふと気になって水平線から日が昇ってくる景色を想像してみて記憶をたぐってみましたが、夕日が海に沈んでいく景色しか頭に浮かんできませんでした。
見たことあるはずなんだけどな。
どうしてだろう?夕日は映像や海で目にすることが多かったからなのかな。

2017年8月4日金曜日

北条司 Angel Heart エンジェルハート 25巻

前巻の合コンのあった翌日のキャッツアイから始まります。
リョウ、陳侍従長、信宏(シンホン)の三人はメアドを知り合った女性に教えたのに一向に連絡がなく号泣。
海坊主は途中からやってきた看護士の笠井菜月という女性の声、雰囲気を感じてからあからさまに様子がおかしいことになっています。
昔の記憶の女性と笠井菜月が重なり気になって仕事も手につきません。

香瑩(シャンイン)を経由して笠井菜月がキャッツアイを訪ねて来て海坊主と二人で話をすることになり、記憶と彼女の関係が明らかになります。ちょっといい話です。
この話を読みながら、海坊主とリョウは一体いくつなんだろうという疑問がわいてくるのですが、それは置いておいて、海坊主の記憶の女性、コスモスのの花と笠井菜月を結ぶ思い出をリョウが紹介するところもバッチリ感動してしまいます。

いつものエピソードの倍くらいあるボリュームでこの巻で結末にはいたりません。
カメレオンがまたもや登場して引っ掻き回そうとしています。

2017年8月2日水曜日

北条司 Angel Heart エンジェルハート 24巻

香瑩が本来この年齢なら普通に感じることのできる楽しさ、喜び、仲間との信頼をようやく体験しはじめます。
陳さんの香瑩のためならと起こす行動の桁が違い過ぎるのが面白かったです。

話が代わってリョウと信宏と陳さん、そして海坊主が張り切って挑んだ合コンに香瑩が女性陣とやってきてからの海坊主以外の三人の落ち込みようが、信宏がヤケになっているところが面白かったです。