2017年2月28日火曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 10巻

幕府側の先見性のある人物は自前の備え、力を充分に認識しつつ、どういう可能性と選択があるかをよく見極め、予測を超える異常事態に対しても懸命に対処しようとする姿勢がうかがえました。



外交折衝で大わらわだった幕府は安政の大地震が起きたことで国内の対応にも追われ、内と外での対応に大変でした。

この地震にまつわる、江川太郎左衛門が築いた品川台場の悲劇、吉原の大門およびすべての出口をふさぎ遊女を見殺しにした話は残酷なものでした。

一方で、佐賀藩では蒸気機関車が完成し、江川塾出身の望月大象、鈴藤勇次郎(旧姓藤枝)が爆裂爆弾の開発に成功したという話は西洋に遅れをとっている日本が諸外国から教えてもらうでもなく、見たり、想像力でからくりを理解しようとし、実際に組み立てて、目にした物にかなりの近い精度で同じものを作り上げる技術力と努力に気持ちが熱くなりました。



他には、勝麟太郎、川路聖謨、吉田寅次郎、村田蔵六、それぞれの活躍が描かれ、ハリスが日本に来航します。

そして、最後の1ページで坂本龍馬が江戸に帰ってきたことを告げ11巻に続いていきます。



たくさんの人がとりあげられたことでこの安政二年から三年はできる限りの手は打っていこうとする幕府、松下村塾を率いる吉田松陰は幕府とともにどうにかして明るい日本の未来を作りたいという希望を抱きつつ生きていることがよくわかります。

桂小五郎がこの有様からどのようにして長州の中枢の一員になっていくのか今後が楽しみです。



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2017年2月26日日曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 9巻

前巻から続き、福沢諭吉が大坂北浜三丁目にある適塾に着くまでの人生を描いています。

手塚治虫の曾祖父がこの頃に適塾に入門しているという挿話で、現代の有名人の先祖がこの場所にいたのだという事実を知ることができました。



伊豆では無事船が完成し、プチャーチンがロシア首都ペテルブルグに帰還、クリミア戦争の終結、ナイチンゲールの活躍、イギリス、フランス、アメリカの情勢、宇和島藩では蒸気船の雛形が完成、村田蔵六が江戸に向かい、勝海舟が表舞台に、安政の大地震が発生するところが描かれています。



アメリカでは有名ではないというペリー、嘉蔵の大きな貢献にも関わらず変わらない扱いの低さの話は、アメリカからみた日本という国の知名度のなさ、身分でのみ扱うことになんの疑いも持たない当時の考え方を思い知りました。



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2017年2月24日金曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 8巻

村田蔵六と妻の琴の夫婦喧嘩のスピード感と全速力で逃げる蔵六がおかしかったです。

おイネの寂しげな表情をみるとこちらまで哀しくなってきます。



過去に書かれた書物が領土の主権を主張するのにこれほど根拠になるものだとは思っていませんでした。

歴史で書物を大量に焼いてしまうという出来事を特に宗教絡みでよくみるけど、これほど愚かな行為はないのではないかと思います。

過去の歴史の真実を葬り去りたいのであれば、書物を焼いてしまうという暴挙に出ることが新たな真実を作るのに有効な手段になってしまうとも思いました。



江川太郎左衛門英竜が過労死します。

後世にどう評価されるか予想しながらも、そのときに必要なことを、将来に必要になるであろうことに全力で取り組んだ功績をこの作品を読むまで知りませんでした。

とてつもない重要人物です。

知らなかったのが恥ずかしいです。



獄舎での吉田寅次郎が描かれています。囚人も牢役人も教師になり生徒になり一緒になって勉強します。本文にもありますが、寅次郎はどこに行っても教育者だなって思います。



中村諭吉(福沢諭吉)の生い立ちが描かれています。

身分にこだわりのない、頭が柔らかく発想が豊かな人物はいつの時代にも大きな影響を与えるもんだなと思いました。



続いて大坂、北浜三丁目の適塾。

九州中津からやって来た中村諭吉(福沢諭吉)が登場し、適塾に来るまでを生い立ちから描いています。この流れがこう続くのかと思うことばかりで勉強になります。



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2017年2月22日水曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 7巻

江戸幕府がなくなるなんてことを考える人はいませんでした。

しかし、徳川将軍の値打ちは大きく下がっていくのでした。

永遠に続くと思われている徳川幕府がしだいに機能しなくなりつつある空気感。

庶民は抑えつけられていたと感じる人がおおかったのでしょうか。



江川太郎左衛門の頑張り、日本の国旗日の丸の話、地震の周期、伊豆での日露両国の救助活動、感嘆することばかりです。



土佐では坂本龍馬が河田小竜に教えを請います。三百藩が薩摩のように力をつけ協力し合ってひとつの日本になるとどうかというい問いには、それでも米国には勝てない、大人と子供のケンカと断言されます。

では、この国が生まれ変われる方法があるのかと問えば、交易によって富を得てそして国力をつけるといった方法があると助言され、この頃ぼんやりと船を手に入れたい考えていた龍馬の思いと小竜の方法がつながり進むべき道を発見します。

小竜の言葉に、

「やっぱりわしの思うちょった通りか…」

とハナを垂らしてどこまで本気なのかと思える龍馬の姿がおかしかったです。



最後に村田蔵六とおイネ。

おイネは蔵六の言葉が嬉しくてたまらなかったという表情です。

恋してますね。



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2017年2月20日月曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 6巻

吉田寅次郎、金子重之輔が密航に失敗し、奉行所に自首。

ついでに佐久間象山も寅次郎を煽ったという罪で下獄。

そこで佐久間象山が語った日米交歓会のようすが面白かったです。



函館と下田の二港の開港について。どうしてこの二カ所が選ばれたのか疑問だったけど、調べることもせずに放っておいたままになっていて、ようやくこの作品で下田の重要性がわかり解決しました。



つづいて土佐。

坂本龍馬が帰郷します。

龍馬は疑問ばかりがわいてきて的確な解を得ることができずどうすることもできないでいます。姉の乙女の言葉に励まされます。



一冊に描かれる内容が濃くて、わかりやすく読むのが楽しいです。



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2017年2月18日土曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 5巻

江川太郎左衛門の足跡と中浜万次郎(ジョン万次郎)が旗本に取り立てられ縁談が成立する所から始まり、宇和島藩には村田蔵六がやってきて藩校で蘭学を教え、要塞計画を練り、嘉蔵とともに蒸気船を造りに着手します。



プチャーチンはギャグ担当の立ち位置で、この時の日本の外の動きを面白おかしく描いています。

リアルタイムで情報が入らない時代の時間の流れを知りたくなります。



嘉永七年(一八五四)一月六日、ペリー二度目の来航。

このときになってようやく幕府は慌て始めます。

国際法という西洋のルール。

強引すぎる勝手なルールだけど、その中で懸命にペリーの要求を最小限のものにしようとする交渉の様子が描かれています。

どんな会話がなされたか、力関係はどんなだったか、国と国の交渉での駆け引きよる熱さが面白いです。

蒸気船の内燃機関を日本人が初めて目にした時の自分たちの想像を超え理解できない仕組みに恐怖する者、嘔吐する者が出たという説明は、当時の日本と西洋の文明の差を感じとれるいい場面でした。



シーボルト・イネが村田蔵六の元に弟子入り。イネがこれまで感じていた劣等感、日本人から蔑みの目を向けられる容姿に対しての救いにも似た村田蔵六の答えに涙が出ました。ボケも入りつつなので泣き笑いの状態で、とてもいい場面でした。



ペリーとの領土主権の交渉では、アメリカの口先だけで小笠原諸島を持っていかれてしまうところを、日本の側の決定的な証拠の提出によって回避し領土をかすめ取られることはありませんでした。

しかし、その決定的な証拠はこれまで江戸幕府が迫害し、殺した多くの日本人の中にいた人物であったことがわかります。

この話にも胸が熱くなりました。

事件が起こるまで、起こってからの説明が丁寧でどうして、なぜ、と抱いていた疑問が、知らなかった人物の実績が、風俗がわかりやすく、面白く描かれています。



みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 5巻
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2017年2月16日木曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 4巻

登場する人物に愛嬌があってどんな活躍で楽しませてくれるのかと期待してしまう読み応えのある作品です。



幕府側、ロシア側それぞれの立場からの事情を描いていてとてもわかりやすいです。



佐久間象山という人物、日本の歩むべき道を過激だけど最善といえる方法を論じた意見書は幕府にこれの意図するものを読み取れる人物がいたらどうなっていたのだろうと思わずにはいられない話でした。

作者も言っているけど、その後の歴史を知っている立場から見ると、これほど先見性のある人物はいなかったと思えます。

アヘン戦争の二の舞になると考えるのが普通で、戦いによってこの国は目覚める、そして自分たちはこの戦いで死ぬことになるなど国を見据る姿勢に感動します。

250年抑えつけられて幕府が意見を求めても藩を取り潰す理由になるかもしれぬと恐れ、自分たちのことばかり考え、それ以外のことはまともに考えようとしない諸藩の姿勢からみてもかなり特殊だったと言えます。



Presidentという単語を訳するのに大統領という新しい日本語を誕生させたときの出来事が面白く、出島の商館長クルチウスの言葉に感動し、川路聖謨のプチャーチンへの啖呵の場面が興奮しました。



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2017年2月14日火曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 3巻

黒船が来航してきたときの日本人の行動が想像していたのと違っていたので驚きました。

冷静に考えてみると、泳いだり、小舟で行けそうな距離にまで船が接近しているのに、ただ眺めるだけなんて考えられません。

本当はこうだったんだろうと思わせる面白い場面でした。

黒船が来たことよりも幕府の役人が追い払う事もできず、すごすごと退散する姿に庶民が驚いたというのはとても新鮮でした。



幕府の呑気な対応にあせる阿部正弘。

幕閣を頼りにせず外様大名と連携し、これまでの幕府の仕組みが徐々に崩されていきます。

黒船が来たときの幕府の対応と慌てぶり、二百五十年間つづいた幕藩体制が大きく転換した出来事、建築土木の重要性が面白かったです。



坂本龍馬が登場します。なんて顔してんだろうというくらい緩みきった顔です。

「西洋通、川路聖謨を勘定奉行に引き上げ江戸へ直ちに戻ってくるよう命じたのである!!」

という103ページの川路聖謨のコマがたまらなくおかしいです。



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2017年2月12日日曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 2巻

吉田寅次郎、桂小五郎の足跡が大部分で描かれ、琉球王国尚泰王、松平容保、勝麟太郎、孝明天皇、岩倉具視、佐久間象山、阿部正弘が登場します。

誰がどの時点でどんな考えを持っていたかがわかりやすく描いてあり人物がいきいきしていて面白いです。

幕府側の要人の呑気ぶりと以降の流れを内と外から感じる事ができる貴重な作品です。



みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 2巻
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2017年2月10日金曜日

みなもと太郎 風雲児たち 幕末編 1巻

一六〇〇年関ヶ原の戦いで徳川家康は日本全土を手中に収める。


おびただしい敗北者の中で特に、薩摩、長州、土佐の三国はいつか天下をくつがえそうと心にちかう。


しかしその願いも空しく、豊臣家は滅ぼされ三代将軍家光は鎖国を断行、二百六十年におよぶ盤石の体制が築かれた…が。


それは同時に日本が孤立し世界の発展から取り残される事でもあった。


百年後わずかに開かれた長崎出島から世界をのぞいたのは、進歩したオランダ医学を懸命に吸収しようとする医学者たちであった。


それが突破口となったかのように西洋に目を向けるおびただしい人物が群がり出てくる。


それは必然的に日本国内へのさまざまな変革運動となって現れ、権力者の怒り、締めつけ、禁止、弾圧をまねく結果となり、改革者たちは老中筆頭から一郷士にいたるまで何らかの形で非業の最期を遂げるのであった。


しかし幕府がどれほどやっきになって庶民の目をふさごうと外国を見てきた漂流者を幽閉しようと海外情報はさまざまに入ってくる。


鎖国中でさえロシアやイギリスと開戦寸前までいったのである。(レザーノフ事件、フェートン号事件)


そして日本に医学を伝えたシーボルトもスパイ容疑で追放される。


幕府の膠着した政治はつぎつぎとひずみをもたらし、さまざまな改革も焼け石に水。ついに鎖国はじまって二百年目、幕府役人大塩平八郎が内乱を起こすに至る。


その直後中国がイギリスに敗れるという大事件(アヘン戦争)が起り、日本の前途を憂えた蘭学者や一部官僚は身分を超えて結集するに至るが・・・。


その団体も異常としかいいようのない弾圧を受け壊滅され(蛮社の獄)、マトモな西洋通がほとんど絶滅した頃、ついにペリーが鎖国の扉をこじ開けにやってくるのである。


新時代を担う若者たちははたしてこの危機を乗りきれるのであろうか…。


という所から幕末編がはじまりますが、物語はペリー来航八年前から描かれる。




幕末の出来事がどうして起こったのか。

登場する人物はどんな思惑、意図があり、行動したのか。

わかりやすくそれぞれの目的、交わされたであろう会話をギャグと資料に基づいた作者の見解が描いてあり、人間模様が面白い作品です。

歴史で起こった事件を暗記しただけで、中心人物がどういう経緯でその事件に至ったのか、その事件がその後どういう結果を生むことになるのか知らなかったので、そうなのか、こんなことがあってあの事件に結びつくのか、とひとつひとつが繋がっていくことに興奮します。



描き方にこんなに魅力を感じるのはなかなかありません。作品を通じて、この人物の考えていた事をもっと知りたいとか、もしはないけど、もしこの思いが上手くいっていたらどんな国のかたちになっていたんだろうと想像するのも楽しいと思います。



日本国外に追放されたシーボルト(フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト)とお滝の間に生まれた娘イネが女医を目指し、シーボルトの弟子であり産科医として有名な石井宗謙に弟子入りを願う所から始まります。



弘化二年(一八四五)のことでその年には、高野長英が伝馬町の獄舎に火を放って脱獄、幕府高官鳥井耀蔵(鳥居耀蔵?どっちだろう)が失脚して丸亀に拘禁されたことなどが、弘化三年には、長州藩軍学師範吉田松陰がはじめてアヘン戦争のニュースを知って腰を抜かし、外敵の脅威に驚異した孝明天皇が二百年ぶりに幕府に手紙を出して海防強化を訴えるという事が起きました。



江戸城には井伊直弼がはじめて登城します。彦根の井伊家と徳川家の関係、31歳までなんのために生きているのかわからずひっそりと過ごしていた直弼に巡ってきた大役に大いに喜んでいることが描かれています。



ペリーが来航してきたときの幕府、庶民の反応、蝦夷地の開拓案、廃仏棄釈、島津斉彬が島津藩の藩主になるのと手助けする幕府の老中、阿部正弘の改革、斉彬とジョン万次郎の対面、アメリカホワイトハウスのミラード・フィルモア大統領とペリーの日本開国を迫る作戦、吉田寅次郎、桂小五郎の足跡などが描かれています。少し脱線して描く、出産の考え方、天皇という地位、水戸家の徳川家に対する位置と尊王思想、水戸学が行き過ぎた結果の太平洋戦争への突入、髭の歴史、檀家制度などの話も面白かったです。



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2017年2月8日水曜日

高橋留美子 めぞん一刻 15巻

やきもち妬きで早とちりで泣いたり、

怒ったりするけど、

微笑うと最高にしあわせになる。

五代裕作はそんな女性とゴールイン。

おめでとう五代くん。あれだけからかっていた住人たちが祝福します。

一の瀬さんの、

「バカだね。からかったりしないから安心おし」

四谷さんの、

「よかったじゃないですか」

朱美さんの、

「遅すぎたくらいよ」

三人がまじめな表情で言うこの場面は泣けてきます。



五代さんのばあちゃんは最後の最後まで笑わせてくれます。



音無響子と五代祐作のつかず離れずで互いに後ろめたさを抱えつつの恋物語と三鷹さんとの三角な関係、、一刻館の一の瀬花枝さん、四谷さん、六本木朱美さんの住人たちとのドタバタ。楽しい時間でした。



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2017年2月6日月曜日

高橋留美子 めぞん一刻 14巻

三鷹さんの早とちりで不幸にも明日菜さんとの結婚話が、後戻りできないところで判明します。

音無響子もケジメをつけてさようならと言った三鷹さんに、真相がわかった後、どう振舞えばいいのか、何と言っていいのかわからないぎこちない感じの二人がとてもよかったです。



そんな一生の不幸が一度にやってきたようなどん底の三鷹さんなのに、五代裕作に会い、励ましの言葉を言ったりします。三鷹さんはいい人過ぎます。



不幸の真っ只中にいる三鷹さんでしたが、明日菜さんは女性として一番大切な人を守ろうとする心配りのある女性だということに気がつきます。

「ゆっくりとしあわせになりましょう」

いい言葉だなと思いました。なんか泣けてきました。



さて、残るは五代さんと響子さんの行方です。単純な手にひっかかるバカな五代さんを、しょうがない人だと許してあげる響子さんと、許した直後に起こる出来事がまるでジェットコースターみたいに急降下してくようで面白かったです。



いい場面からたったの数ページでこれまでにない勢いでひっぱたかれる五代さん。

出て行った響子さんを冷静に分析する朱美さんのするどさ。朱美さんはこのあたりから存在感が増していきます。



こずえちゃん、そしてもうひとつこずえちゃん、と二つの波乱があり、最後の波乱は朱美さんです。

茶々丸での五代さんと響子さんの人の目も気にしない言い合いは完全に恋人の域に達しています。

朱美さんが茶々丸を出ようとする響子さんに言う一言。シビレます。



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2017年2月4日土曜日

高橋留美子 めぞん一刻 13巻

一刻館に戻った響子さんは五代裕作に後ろめたいことはなかったと言いたいのだけれど、なかなか言い出せず、五代さんが預かっている太郎くんを間に挟むことでようやく話す機会を持てます。

そこでの素直に話せない響子さんと五代くんの、信じている、信じていないのやりとりをする場面がよかったです。



まず相手を信じないことには何も前進しないけどけど、信じられる根拠のようなものがなく、互いになんとなく自分ことが好きなようだとか、嫌われてはいないようだとか探りばかり入れている状態で確信が持てず、すべてを信じることができない二人に、言葉で伝えて信じてもらうところからはじめなくてはと思うところがよかったです。



響子さんの、

「誤解は解いておきたい。自分の言ったことは信じてほしい。だけど、疑っているんでしょ?」

とやきもきしながら話すこの場面が好きです。

一番のみどころは、おもいっきり五代さんの頬をひっぱたいて、感情をおさえることなく五代さんを怒る場面です。



高橋留美子 めぞん一刻 13巻
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2017年2月2日木曜日

高橋留美子 めぞん一刻 12巻

間に遮るものはなにもないと考えているようで、惣一郎さんをナデナデすると響子さんに、

「わかっていただけたでしょうか?」

と三鷹さんは響子さんに本人にしかわからない問いかけをします。

響子さんは、なんのことだかわからないと混乱しながらも返事をします。

響子さんと横にいた五代さんは、

「今のはどういうことだったのでしょうか」

と困惑しています。

それなのに、三鷹さんは完全な勝利を確信して帰るのでした。

何故このようなことになったのでしょう。三鷹さんも五代さんに負けず、ややズレているおかしな人です。



何度か同じシチュエーションがありますが、一の瀬さんと響子さんの会話は読んでいてとても楽しいです。

探りたいと思う一の瀬さん、はぐらかしたい響子さん、という攻防が面白いです。

一の瀬さんはすぐからかって酒の肴にしようとするいいキャラクターです。



九条明日菜さんはどういう女性なのだろう。大胆なのか繊細ないのか掴みにくいキャラクターです。

五代くんは響子さんの前でこれだけ醜態をさらしているのに、格好をつけたい気持ちが先にくるんのか、大事なことを話しません。。。



五代さん優柔不断で押しに弱くて、すぐ後ろめたいことが一刻館の住人にバレて弱みを握られてしまいます。

主人公なのにもてあそばれています。間違えました、主人公だからからかわれるんですね。

そんな五代さんが一人前になるのを待っている響子さんはどこに一番魅力を感じているのだろう。いろんな人に優しすぎるところなのかな。



惣一郎さんも少し変わった人だと想像できるので、響子さんはすこしドジな男性がすきなんでしょうか。

惣一郎さんのお墓の前で響子さんがつぶやいているシーンからそんなことを感じましたが、五代くんへの愛情を感じる、印象に残るいいシーンです。



あのときの台詞をすべて声に出していたら、五代くんは大喜びだっただろうな。



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