有馬公生(ありまこうせい)は毎報音楽コンクールに出場することになりました。公生とピアノ。2人きりの時間がまた始まります。
もう一度公生がピアノと向き合ってほしい。
そう思いつつも澤部椿(さわべつばき)は宮園かをり(みやぞのかをり)と公生を見ていると隔たりを感じてしまいます。演奏家どうししかわからない感覚にさみしさを感じ、ジレンマを抱えています。
そんな目でかをりを見ないで。椿は公生にこう言ってやりたいのにできません。公生の目が語る感情をわかりたくない。自分から離れていくさみしさを感じています。
かをりの横に立つ公生は、いつもと違って少し遠くに感じて、長い間一緒にいたことや、たくさんの思い出は簡単になくなってしまいそうに思えてきます。
渡もサッカーで活躍して何かから取り残されまいとしています。残念ながら、渡は結果を残せずくやしい思いのまま中学のサッカー生活が終わります。
曲の解釈。イメージするもの。どう弾きたいのか。公生はこれまで考えもしなかったことを考え始めます。まとまらないまま時間が迫ってきます。
そんな中、
「君の人生で ありったけの君で 真摯に弾けばいいんだよ」
かをりは言い、公生は音楽の力を信じてみようと思い始めます。
公生のピアノコンクール出場を心待ちにしている人たちが他にもいます。
公生を待っていた同じ演奏家がいます。相座武士(あいざたけし)と井川絵見(いがわえみ)です。
二人は公生を目標で、ライバルで常に意識しています。
相座武士は寸分狂いなく鳴らされる音を追い続けてきたピアニストです。井川絵見は幅広い表現力を持ったピアニストです。
2年ぶりにコンクールに出てきた公生がどんな演奏をするか。相座武士と井川絵見は意識せずにはいられません。
相座武士の演奏が始まります。
井川絵見は公生が自分のピアノに何の興味も示さないのが許せません。公生が反応する音を弾くのが彼女の目標だからです。
2年ぶりに再会した公生は以前と変わったところはないように見受けられました。
井川絵見が武士の演奏をモニタで聴いていたその後ろで公生が武士の演奏を聴いているのに気がついて、何かが変わりつつあるのを感じます。
続きます。
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