中華風の王国白陽国(はくようこく)が舞台の物語です。
李順は陛下(珀黎翔・はくれいしょう)の夕鈴への思いが本気になってきたので心配事がさらに増えてしまいそうです。
●第14話
休暇最終日。
夕鈴は父親には会えずに王宮に戻ることになります。怒り心頭の夕鈴は弟の汀青慎(ていせいしん)になだめられ怒りが冷めます。陛下を探します。見つけて声をかけようとすると狼陛下で誰かと話をしています。休暇中見る事がなかった狼の陛下を見て身がすくんでしまいます。
陛下は夕鈴に気がつき、子犬陛下に戻ります。
夕鈴は王宮に戻れば、あの狼陛下との生活かと少し気持ちが重たくなるのを感じます。
夕鈴は几鍔(きがく)の手下に呼ばれ行ってみると、その場所には几鍔がいました。
几鍔は夕鈴を心配しているようです。
手下は几鍔の夕鈴を心配する気持ちは別のところにあると考えていて、二人で話す時間を作るべきだと手を回したのでした。
手下の考えは間違っていて、几鍔と夕鈴は言い合いを始めます。
互いに譲らず、夕鈴は出て行きます。
外に出ると陛下が待っていました。
夕鈴は陛下をどう思っているか改めて知るきっかけになりました。
王宮に戻ると、李順が書簡を山積みにして待っていました。
●第15話
氾家邸宅。
氾紅珠は陛下と夕鈴が体調を崩し数日王宮に出てこなかったことを知ります。そこで氾家特製の栄養剤を夕鈴に届けます。
夕鈴は休暇をもらって家に帰っていただけで元気なので、山積みになった仕事をこなしぐったりしている陛下に栄養剤をすすめます。
陛下は薬は嫌いだと言います。
夕鈴はとりあえず持っていて下さいと言います。
翌日、氾紅珠は慌てて後宮にやって来ます。夕鈴に昨日渡した薬は栄養剤ではなく間違えて惚れ薬を渡してしまったと言います。
夕鈴は氾紅珠から貰った栄養剤と思っていた薬を陛下に渡したから汗が止まりません。なんとか取り戻そうとします。
しかし、陛下は貰った薬は人にあげたと言います。誰に? と訊く夕鈴に、柳方淵と応えます。
夕鈴に絶望感が襲います。夕鈴は柳方淵に会い、陛下から貰った薬を返して欲しいと言います。
柳方淵は陛下から賜った物だからと断ります。
夕鈴は絶望感から疲労困憊です。
陛下が夕鈴に薬を見せます。
夕鈴は驚いて手を伸ばします。しかし、陛下は渡そうとしません。
陛下は薬が何の効果があるのか調べていて、夕鈴をからかいます。
夕鈴は必死に言い訳をします。
その言葉に陛下は地味に傷つきます。
夕鈴は惚れ薬の手違いでドタバタして切ない思いを感じます。
最後に惚れ薬の一連の出来事の報告を受けた李順が怒っています。
●第16話
夕鈴は陛下に温泉に行こうと誘います。
陛下は乗り気がないようです。
夕鈴は陛下に休養が必要だと、陛下は夕鈴が望むならと王家専用の離宮へと向かいます。
離宮には夕鈴が思っていたよりたくさん人がいます。
李順は夕鈴に王宮にいるときよりも夫婦の仲の良さを強調するよう言います。
夕鈴はそれじゃあ休養にならないのではと思います。思っていた通り宴、温泉、寝室とどこにいても休むことができず、計画していたことが何一つできなくて、来なければよかったと悔やみます。
●第17話
離宮を管理している露石(ろせき)は陛下に宴の準備を申しつけられるのを待っています。
陛下は露石に身の回りの女官の数を減らすよう命じます。
夕鈴は一人温泉めぐりをします。
露石は陛下の機嫌を損ねたと荒れています。
女官たちはきっと妃が陛下に言って女官を遠ざけているのだと考え、夕鈴を無視し始めます。
夕鈴は女官の態度が昨日までとは違っていることに気がつきます。けれど、何が原因でそうなったのか身に覚えがないし、特に困ることはないので放っておきます。
陛下が楽しくなさそうなので、夕鈴は片っ端から温泉に浸かり楽しむことにします。意地になって入ったせいか湯あたりを起こし、気を失ってしまいます。目が覚めると陛下が介抱してくれていました。陛下になぜ離宮に来たくなかったのか訊ねます。陛下から理由を話してもらってもっと陛下を知りたいと強く思うようになります。
李順のもとに妃をイジメたという報告が入ります。
●第18話
盛大な宴が開かれます。
李順は陛下に事前に理由を説明しています。
陛下は夕鈴に何か言っておくことはないかと訊きます。
夕鈴は黙ってうつむいています。
陛下は言いたくないと解釈し話を切ります。
李順は夕鈴にイジメられているという報告を受けたことを知らせ、宴でどうするか指示します。
華やかに着飾った夕鈴が陛下の側に座り宴が始まります。
露石がやって来て、
「これはお美しい! なるほど陛下が他の女人に目を向けぬわけですな」
と妃を褒めたたえます。
陛下は、
「…ああ 私の特別な妃だ 側にあるだけで癒される 大切な」
夕鈴は狼陛下の変化に気がつきます。
「――――だが その大切な妃が この離宮に来てからというものどうにも時折憂い顔を見せる この中に理由を知る者はないか? 何があったか 妃はきいても答えようとしない 自分の中で抱えこんでしまう しかし 私は彼女を傷つけるものを 何ひとつ捨て置く気になれぬのだ 覚えのある者は!?」
と陛下は続けます。
宴に参加している全員が青ざめます。
咄嗟に夕鈴が、
「陛下! ちがいます 私の憂いはそんなものではございません ―――慣れぬ旅行慣れぬ土地に疲れて ――――後宮が恋しくなってしまったのです 私のわがままで連れてきて頂いたのにそんなこと言い出せなくて―― ―――…些細なことと思って隠し立て致しましたこと申し訳ありません どうか―――」
と陛下の怒りが鎮まるように言います。
陛下は夕鈴が前に出て話したので怒りを収めます。
宴が終わり、部屋に戻ると夕鈴は李順から宴での陛下は事前に決められていたことなのだと説明されます。
夕鈴は自分の行動が空回りだったと知りがっかりします。
李順は陛下の怒りが演技ではなく本当の怒りに感じていて、夕鈴があの場を収めてくれてよかったと感じています。
のんびりするために計画した温泉旅行なのに、行く前より疲れてしまいました。だけど、陛下と夕鈴の仲は少しだけ近づいたように思います。
続きます。
可歌まと 狼陛下の花嫁 4巻
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