12月。年末に向けて、
冬が本気を出して来る季節。
クリスマス。そして年越し。
川本家で過ごす3年目のお正月は、
ジグソーパズルを皆で囲んで。
時に惑いながらも、あたたかな幸せをかみしめてゆく。
零と三姉妹の日々はゆっくりと、着実に進んでゆく。
一方、白熱する獅子王戦・決勝トーナメント。
零、二階堂、重田…互いに高め合い、
切磋琢磨を繰り返して来た島田研の弟子たちが、
盤上で熱い火花を散らす――。
宗谷名人の将棋の外での顔が知ることができて面白かったです。
二階堂五段の桐山くんを分かろうとしている過程の描き方が好きです。
●167 冬の鈴音
12月。クリスマスです。
桐山零は文化祭を機に小池君と山下君の三人で机を合わせてお昼を食べるようになります。
クラスメイトは桐山くん以外はほぼ受験を控えていて、クリスマスだと浮かれる余裕はありません。小池君と山下君は受験がない桐山くんをうらやましがります。
桐山くんは林田先生にその話しをします。すると、
「ハハハ 言ってやりゃよかったのに その代わり『中学生の時から働いてました』って んで あまりの辛さに学校の階段で転職雑誌読んで泣いてたって!!」
と林田先生はからかいます。
桐山くんは高校に入り直してやってみたかったことがひとつでもできて、この選択をしてよかったと満足そうです。
桐山くんはひな(川本ひなた)とクリスマスプレゼントを買いに行きます。
ひなはジグソーパスルを買います。冬休みはこれでみんなで遊ぶのが楽しみだと言います。
●168 月の雨 1
宗谷名人が描かれます。勝つことを20年続けている棋士の日常が描かれています。
実家は京都で祖母と住み込みで生活する母子と四人で暮らしています。
●169 月の雨 2
母子はたまちゃんとひびきと言います。母子が宗谷名人の祖母の家で暮らすようになった経緯と、宗谷名人が祖母の家で暮らすようになった経緯が描かれています。
●170 新しい年 1
年が明けます。桐山くんは川本家を訪れます。
年末は屋台の手伝いをして、新年はクリスマスに買ったジグソーパズルで遊びます。
●171 新しい年 2
桐山くんはジグソーパズルを絵柄で組み合わせるのではなく、製造方法からピースのカットした型のラインを頼りに組み合わせを推理してできることを見つけます。そこから驚くような速さでピースが埋まっていきます。
このペースでいくと今夜中にジグソーパズルが完成するから一気にやってしまおうということになります。
そうなるとお菓子が足りないとあかりとひなが言い出し、モモをお風呂に入れている間に桐山くんとひながお菓子を調達に出掛けます。
●172 新しい年 3
お菓子を買いに行く道で桐山くんとひなはたくさん話をします。
去年のお正月のこと、その前にお正月のこと、高校を卒業してからのこと、ひなが桐山くんのことを心配していること、桐山くんはそんなことを考えてくれるひなに泣くくらいうれしいこと。
ひなは、
「逃げない」
「一緒に考えよう」
「かわりばんこにはげまし合いながら歩いて行こう」
と言います。
桐山くんは、どこへでも行ける切符でどこかへ行ってしまいたい思いはひなの言葉で消えて行きます。
両手にたくさんお菓子を抱え帰宅します。
パズルは午前5時くらいに完成します。
あかりは箱の裏に記録を書きます。
「こうしておくと いつでも思い出せるでしょ? その時 誰がここにいて どんな風に一緒に過ごしたか」
桐山くんにとって今年のお正月は心に残るものとなったようです。
●173 新しい年 4
ご近所にパズル仲間がいます。
パズル仲間の花田さんの家に行き挨拶し、ジグソーパズルを交換します。
帰宅し、交換したパズルの箱を開けてみると裏に記録が記されています。
花田さんのタイムがずいぶん更新されています。
あかりとひなはメラメラと闘志が燃え上がります。
ひなは桐山くんのちょっとした変化に気がつきます。
桐山くんは将棋のことが気になっていて、帰ることになります。
あかりとひなは桐山くんにおにぎりを渡します。
●174 冬の匂い 1
幸福感に包まれている桐山くんは将棋に対してますます意欲が増していきます。
二階堂五段と重田五段の対局があり、勝った方が桐山くんと対局することになるので、桐山くんは将棋会館に見に行きます。
控え室には田中七段、島田八段、三角(スミス)六段がいます。
島田八段は獅子王戦決勝トーナメントで誰が勝ち上がってきても島田研の弟分と対局することになり、うれしいやら困るやらと言っていると、愚痴が始まります。
田中七段、スミス六段も参戦し三人で楽しそうに話しているの見る桐山くんはこの空間がとても好きだと思っています。
●175 冬の匂い 2
三日月堂であかりはおじいちゃんにひなたと二人で三日月堂を継ぎたいと言います。
美咲おばさんがやって来て、桐山くんを巻き込んで店を拡張計画する妄想で盛り上がります。いろんな場所ででいろんな楽しい話で盛りあがり明るい雰囲気があふれています。
桐山くんは帰宅し、二階堂五段と重田五段の対局の棋譜を並べ一手一手考えながら楽しんでいます。
●176 冬の匂い 3
あまりに夢中で棋譜を並べていて、ご飯を食べていないことに気がつき、冷蔵庫を開けるとひなのおにぎりが一つも無いこと知り、一体何日川本家に行っていないのかと考え、川本家に向かいます。
家に入ると、ひなは作業をしています。
あかりからひなのことを聞いた桐山くんはひなと話します。
●177 冬の匂い 4
桐山くんはひなにおにぎりのお礼をします。
ひなは新たなおにぎりを作ろうといいます。しかしすぐに、
「あ …… でも… いっぱい作ったら……… また… いっぱい来なくなってしまう?」
と桐山くんが頑張っているのを台無しにしたくなくて会いたくても我慢してたと言います。
桐山くんとひなはいろいろと約束を取り決めます。その交わす言葉ひとつひとつがうれしくてたまらないようです。
同じ夜の島田八段の様子が描かれます。
島田八段は重田五段が負けたので会館を出て帰宅を急ぎます。重田五段が島田八段の家に来て、負けたことを明け方まで話すのに付き合いたくないから電気を消して居留守しようと考えています。家に着くと玄関先に寒そうにして重田五段が座って待っていました。
島田八段は帰れとは言えず、重田五段を家に入れます。お腹を空かしているので食事を用意してあげると、
「ええ~~ 冷凍うどん~~!?」
と出された食事に不満を漏らします。島田八段は、
「じゃ 喰うなよ」
と言うも、重田五段は舌打ちして大きなため息をついて、
「いただきます」
と言って食べます。
●178 道~みち~ 1
二階堂五段は自宅で優雅にお茶をしながら対局を振り返っています。
次は桐山くんと対局です。
桐山くんの初手は重田五段との対局を再現したいようです。
●179 道~みち~ 2
二階堂五段は桐山くんの姿勢に桐山くんに対して思考を巡らせます。恋人ができて将棋に対して心を占める割合が減るのではないかと心配しています。しかし、対局を通じて桐山くんの姿勢を理解していきます。この描写がすごく面白かったです。
続きます。
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