2018年2月26日月曜日

ハロルド作石 7人のシェイクスピア 3巻

“失われた年月(ザ・ロスト・イヤーズ)”
―謎に包まれたシェイクスピア空白の時代。
片田舎の教育のない青年が、7年後には偉大な詩人になっていた。その間、彼がどこで何をしていたのか―――記録は、一切残っていない。
1564年 ストラトフォード・アポン・エイヴォンに生まれる。
1582年 結婚。
1583年長女スザンナ誕生。
585年教区に双子(ハムネット、ジュディス)受洗の記録。
…しかしそれ以降、1592年に偉大な詩人としてロンドンに現れるまで、シェイクスピアに関する記録は一切、途絶える。
この“失われた年月(ザ・ロスト・イヤーズ)”と呼ばれる7年間こそが、実は天才劇作家を育んだ季節であった……
謎の女との出会い、そして処女作“ODETTE(オデット)”上演…天才劇作家の歴史の空白を埋める!!


最初の芝居で散々な評価を受け、それが芝居にのめり込ませるきっかけになり、芝居を作る作業に何よりも熱心になって現在に至るランス・カーター。
彼の芝居は次第に人気を獲得していくが、食料品商ギルドのオランダ帰りのジョン・ハーマン、ワイン商ギルドのクレタ・マシューズというリヴァプールにおける二大巨頭の芝居の評価に肩を並べることができないでいるのでした。

本を売り歩く行商人トマス・ソープによって知識を得て、リーの詩は見事に観衆を魅了し、ランス・カーターはこれまでにない、身震いするほど感動と自信と確信を得ます。

ラドクリフ司祭の伝言もランスの気持ちを後押しし、ロンドンで演劇で勝負する決意を固めます。
そのために欠かせないのは、リーの紡ぐ言葉で、リーをロンドンに連れて行くためにはどうしてもミルの助けを必要とし、ミルの返事を待ちます。
ワースはランスの決意の固さを知り、必要なものを手配する役割を引き受けます。

この作品のタイトル「7人のシェイクスピア」の7人というのは、ランス・カーター(ウィリアム・シェイクスピア)、リー、ワース、ミル、トマス・ソープ、宮内大臣ジョージ・ケアリー卿、エリザベス女王陛下のことなのでしょうか。それともジョージ・ケアリー卿とエリザベス女王陛下は入らず、あと二人、ロンドンに到着してから登場するのでしょうか。
1巻のハムレット上演後、ランスカーター(ウィリアム・シェイクスピア)が帰宅し、
「つまり陛下はまたリーをご所望なのですね」
の会話に続く、リーの悲しそうな、幸福そうには見えない表情は何を物語っているのでしょう。
ロンドンには明るい未来が待っていないように思えます。

ワースが戻り、宴を開くために、市場に買い物に出かけたランス、リー、ミル。
そこで見たリーの不思議なちから。
リーの詩と言葉が3人の男のこれらを変えていく場面が面白かったです。
ミルの側転も面白かったです。
リーの言葉が持つ力がどれだけ人の心を揺さぶれるのかを試したランスの野心はどこへ向かうのか。
ンス、ワース、ミルの三人の男が偽名を使っている理由。
とても気になります。

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