1966年初夏、横須賀から地方の高校へ転入した薫。幼い頃から転校の繰り返しで、薫にとって学校は苦しいだけの場所になっていた。ところが転入初日、とんでもない男と出会い、薫の高校生活が意外な方向へ変わり始め…!?
小玉ユキ 坂道のアポロン 1巻
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1966年初夏、横須賀から地方の高校へ転入した薫。幼い頃から転校の繰り返しで、薫にとって学校は苦しいだけの場所になっていた。ところが転入初日、とんでもない男と出会い、薫の高校生活が意外な方向へ変わり始め…!?
“失われた年月(ザ・ロスト・イヤーズ)”
―謎に包まれたシェイクスピア空白の時代。
片田舎の教育のない青年が、7年後には偉大な詩人になっていた。その間、彼がどこで何をしていたのか―――記録は、一切残っていない。
1564年 ストラトフォード・アポン・エイヴォンに生まれる。
1582年 結婚。
1583年長女スザンナ誕生。
585年教区に双子(ハムネット、ジュディス)受洗の記録。
…しかしそれ以降、1592年に偉大な詩人としてロンドンに現れるまで、シェイクスピアに関する記録は一切、途絶える。
この“失われた年月(ザ・ロスト・イヤーズ)”と呼ばれる7年間こそが、実は天才劇作家を育んだ季節であった……
謎の女との出会い、そして処女作“ODETTE(オデット)”上演…天才劇作家の歴史の空白を埋める!!
目次gag #1 ドギワ荘の青春 / ドギワ荘の凄春 / ドギワ荘の性春 / ドギワ荘の盛春 / SEX And The CITY / アフロ課長とレイバン娘 / レイバン娘のレイバン現状 / アフロ課長の幸せの時間、崩壊寸前!! / 違和感課長 / ゼロの昇天 Collaboration マフラーで殺して(マフラーズ:原作/一條マサヒデ) / 絶叫(マフラーズ:原作/一條マサヒデ) / 伊東(w/相原コージ) essay ご近所探検隊リターンズ / 寿丼 / 吉祥寺 / 今日は「はつね」に行こう / 讃岐うどんツアー のこり火篇 / 八丈島ぢビール / 吾妻ひでお「うつうつ日記」を読む / 吉田戦車という名前 / OT道 / ハタチの頃とかなんとか… / 1989泡の日々 / 吉祥寺妄想トリビア / トリビュられたりトリビュったり / ファッション漫才 / ゲームする女 / 東京深いところ gag #2 東京物語(グラサンMIX) / 御一行様 / はじめての鹿威し / イソノの嫁 / あおぬ゛ま゛くん / メガ4コマ もみあげクン story ラッキーストライク / 平成大江戸巷談イレギュラー(原作/椿屋の源) SELF LINER NOTES
目次
圧縮 / 彼女は毎朝、東西線で / しりとり家族 / くさいはなし / 岡本 綾 / KV-201XR / 恋はガッツで / 絶食 / 怪獣王国 / 正義の人たち / ハァドボイルド / 下品な一家 / 意味なし芳一 / スプリンタージュン / 旅の極北 / ヌードラマ / 眠る人々 / 作品解説 / あとがき
悩んでも、迷っても、落ち込んでも、出会っても、別れても、嬉しくても、悲しくても、それでも…人は、恋をする。
最初の出会いから季節がひとめぐりした夏…。すずと3人の姉たちは、父の一周忌で再び河鹿沢温泉を訪れた。複雑な思いを胸に抱くすずだが…?家族の「絆」を鎌倉の美しい風景とともに情緒的に描く、大注目のシリーズ第3弾!
揺れる感情をくみ取ろうとしたり、まったく触れもしなかったり、傍観していたりと人間味のあるドラマが面白いです。
自由奔放な陽子さんの現状を訊き、淡々と対処した長女幸にこれまで見せたこともない怒りをぶつけるすず。
一年で、他人だった三姉妹とすずが感情をぶつけ合えるほど親密に確かなつながりを持つようになったんだなと思える場面でした。
濃い一年を送ったというけど、「嫌い」は「好き」よりずっと早く伝わってしまうのかもしれないと感じたすずの感情は敏感な子供心を思い出させてくれました。
「もしも」という選択はすずが成長していくのにあらゆる状況を想像させるのに役立っているなと感じます。
陽のあたる坂道は人の優しさが感じられるいい話でした。
止まった時計は選んだ道に迷いが生じてどんな結論を出すのが望ましいかというのは人それぞれで、どんな結論にしろ自分の中にいい思い出として大事しまえることが大切だなって思いました。
鎌倉での生活に慣れ始めたすず。
家族のこと、友人のこと、チームメイトのこと、親のことを通じて相手の思いを感じ、気持ちに耳を傾け、自分の後ろめたさを正直に告白したりと、人と人が関係していく中で起こる出来事が丁寧に描かれています。
花底蛇
本当の家族じゃないけど上手くいく家、家族なのに一緒に暮らしているのに関係が破綻している家、家族にはさまざまなかたちがあります。
祖母が大切に育て、手入れしていた草木がいまも変わることなく在り続ける庭、世代が変わると樹々は切り落とされ、外部から何かを隠すように草花の鉢を隙間なく埋めつくす庭。
庭から感じ取れるその家庭、住む人の雰囲気。
故郷で過去に縛られず、引っ張らず、前を向いていこうと決意する者、終らせようとする者。いろんな人がいてその数だけ思いが、考えがあります。
上手くまとまらないけど、数ある選択肢の中で何が正しいというのはなくて、生きることは自分で決めることなんだなと思いました。
二人静
自分の居場所がある心地よさと安心感、そして、失う恐さ。
とっさに計算し言葉がでなかったというすずの胸に内と、自分の記憶が重なる部分がありました。
桜の花の満開の下、男ではなく女でもなく共通の似た体験を通じて生まれる絆、側にいても感じる疎外感、思春期の揺れる恋心。
この年頃のそわそわする気持ち、時間が経ってやっと気がつく鈍感な感覚。
漫画や小説のように自分の人生を俯瞰で見ることができたらどんなだろうと考えてしまいました。
真昼の月
同じ家なのに、息が詰まる場所だった人、大切だと思う人。
同じ景色を見て過ごしていても感じることは人それぞれで、あるところでアンカーを下ろしたまま、わだかまりが取れなくなる長女幸の気持ちは強情なのかな。
すずの言葉は重みを感じました。
似たような経験が物語と重なります。
男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報が届いた。母との離婚で長い間あっていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は・・・。鎌倉を舞台に家族の「絆」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!!
浅野すずが置かれている境遇を察して、「あたしたちといっしょに暮さない?」といった幸の思い。
このまま境遇でこれからも過ごすのと、三姉妹の鎌倉の家で一緒に生活をするのと、二つの選択肢を用意したら、選べる自由があるとしたら、すずはどっちを選ぶ?幸はすずに自分で選ばせようとしました。
それは幸が過去に選ぶことができなかった、受け入れるしかなかったという記憶が今もなおわだかまりとしてあることを感じる場面でした。
いろんなことを溜めこんでいたすずに、梅酒がきっかけで、ようやく吐き出せる場所が見つかります。
三姉妹に話す言葉遣いが敬語じゃなくなり、お互いが認められたという安心感を感じ始めます。
人と人が関わることで生まれる感情や突然変わってしまう日常へのとまどいが面白い作品です。