尊の予感は的中しました。唯は戦場で初めて見る光景に気を失ってしまいます。
唯は若君に会えました。
噛み合わない会話で唯のことを笑う若君がかっこいいです。
戦の準備のため集合せよと言われた場所に行ってみると、すでに一人ひとり所属する部隊がきちんと決められていて、唯は回状に名前のない者が羽木家の者として紛れ込むのは難しいことを知ります。
唯は偉そうなじーさんをみつけ、直談判して戦に参加したいと申し出ます。
唯は小荷駄隊という役を手に入れます。小荷駄隊とは兵糧や飼葉などを運搬する部隊です。
小垣というところまでまる二日歩き続けていると、銃声がきこえます。唯は若君の危機なのかもと急いで駆けつけます。
砂埃でまわりが見えなくて、それでも唯は若君を探します。
唯は戦の壮絶さを目の当たりにし気絶してしまいます。
気がつくと唯は荷車に乗せられていて、気を失っている間に戦は終わっていて、味方が見事に勝利したことを知ります。
その夜は寺で野営となり、戦勝祝いの宴が催されます。
唯はどこかに若君がいるのだろうと寺の壁を見つめています。そこに猿楽一座の娘あやめが通りがかり、唯に声をかけてきます。
唯はあやめから今夜鐘ヶ江久政の娘が若君の元に行くという情報を知ります。あやめから聞く話は唯にとって不吉なことばかりです。じっとしていられない唯は寺に侵入し鐘ヶ江の娘が若君のもとへ行くのを阻止しようとします。
あやめは唯が女子だと知り、協力すると言います。
唯はカツラをかぶり、化粧をして、姫っぽい格好をして寺に潜入し、若君と会うことができます。
現代の唯の感覚が余程気に入ったのか、唯が去った後、
「面白い……」
と若君はつぶやきます。
あやめは若君にただ会って話をしただけで戻ってきた唯を叱ります。そして、若君の側にいたいのであれば、側室になるほうが早いのではないかと言います。
唯は戦の時若君の近くにいなきゃ意味がないとつっぱねます。
あやめは唯に若君の側にいたいのであれば、天野家に士官すべきだと助言します。
翌朝、出立の準備が整い、若君は小平太に昨夜の唯について、
「腹が決まれば来い」
と伝えよと言います。
小平太は唯を若君の元に案内したので、唯の顔を見ています。
「わからぬ 若君の女の好み… いや何でもない」
なぜ? どうして?という思いがあふれ出ています。
黒羽城に戻り、唯は天野様と呼ばれているじいさんを見つけます。
唯は若君の近くで働きたいから小平太のところの足軽として雇ってほしいと願い出ます。
天野様は、
「あきらめろ」
といい去っていきます。
諦める訳にはいかない唯は馬に乗った天野様を追いかけます。
唯は馬に並走して天野様に訴えます。
天野様は馬に追いついてみせた唯の足に驚き、ひとつ提案します。
「千原家の足軽 悪丸とかけくらべをせい もし悪丸に勝てば お前の願いを聞き入れてやろう」
足の速さに自信がある唯は、勝つ気満々です。天野家の具足を身にまとい、かけくらべの始まりです。
唯は悪丸を応援している仲間の妨害にも負けず、圧倒的に勝利します。
敗けてしまった悪丸は千原家を追い出されてしまいます。唯は悪丸が気の毒だと天野様にうちで雇ってあげましょうよと願い出ます。千原に勝った天野様は機嫌がよく、悪丸も召し抱えることになります。
城でも唯と悪丸のかけくらべは噂になり、若君の耳にも入り、小平太と話題になります。
唯之助の話をしていると、鐘ヶ江久政の娘が明日到着するとの知らせが入ります。若君はまた唯に会えることを楽しみにしています。
唯は梅谷村に戻ろうします。悪丸がついてきます。悪丸は唯に家来になるといいます。唯は帰る家も家族もない悪丸を梅谷村に連れて行きます。
おふくろ様は唯が天野家の赤揃えを着て戻ってきたことに驚きます。そして、大男悪丸が唯について来たことに、
「それは また 変わりものじゃの」
と唯が短期間に成長する姿に驚いています。
唯は天野家から支度金をもらっていて、城下の市場でそのお金でお米、あずき、着物を手に入れおふくろ様に喜んでもらおうと差し出します。しかしおふくろ様は唯の支度金の使いみちに説教します。
おふくろ様は唯を叱ったものの、みんなが寝静まって、自分のために買ってきた着物を眺め唯の心遣いに感謝しています。
城では若君のもとに鐘ヶ江の娘が到着します。若君と鐘ヶ江の娘の対面です。
再会を楽しみにしていた若君は鐘ヶ江の姿を見るなり別人であることに動揺します。
隣で小平太もびっくりしています。
先夜、小垣の寺で会った「ふく」という女子ではなく、「ふき」と名前さえも違います。
ふきはあの夜は急なめまいがして気を失ったのだと言います。
てっきり、唯が来るものだと思っていた若君は言う言葉が見つかりません。落胆した気持ちは表に出さず、若君はふきに下がるよう言います。
若君は小平太と二人きりになると別人であることを問いただします。
小平太にもあの夜見た女子とは別人であることは説明できません。でも、あの夜あった唯よりもふきのほうがしとやかなのでふきにすればいいのではと若君にすすめます。
若君はつまらんと言い捨てます。
若君の興味は唯に向いています。
二回目の出陣です。
今度の戦はこれまでで最も厳しいもので、状況を聞くと唯にもわかるほどの危険さです。
千対三千。
羽木家は圧倒的に不利な状況です。
唯はひらめきます。その日の夜は満月です。尊になんとかしてもらおうと考えます。唯は現代に戻ります。
続きます。
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