藤子・F・不二雄によるSF(すこしふしぎ)短編集です。
漫画の力を感じます。
●オヤジ・ロック
タイム・トラベルトの有効な使い方を知ったセールスマンはこの後、売り物であるタイム・トラベルトを自分が使って何を売ったんだろう。
●じじぬき
あの世といえどもさすがお役所。同様の苦情を受けることが多かったのしょう。うまい対策を講じるもんだと感心させる作品でした。
●自分会議
どの年代の「ぼく」が主観になっているんだろう。
学生のぼくなのかな。
どのコースを選択しても、訪れる運命はそう変わるもんじゃないといっているように感じた作品でした。
●間引き
読後、この話がおかしいと感じない時代が来ないとも限らないと感じたのが怖いです。
●3万3千平米
地球上の人類同士では法律を楯に詐欺同様の取引が行われているのに、人類が勝手に権利を発生させ主張したものに対して律儀にルールを守り価値相当のものと引き替えを迫る地球外の生命。
守るべき者がルールを犯し、守らなくていいものがルールを尊重する姿勢が面白い作品でした。
●劇画・オバQ
オバQの世界から無邪気さを取り除き、少年は成長し、大人の現実を漫画に取り込むとこんなにもシビアに渇いた関係をつくってしまうのかと寂しくなりました。
それをオバQの作者が描くなんて、常に客観的にあらゆる角度から作品を眺めているんだな感じました。
●ドジ田ドジ郎の幸運
無限の偶然はない。
どっかで埋め合わせがつくもんさ。
ドジ田ドジ郎の運よさが増せば増すほど関係する誰かに不運が起こる。
最後のページの笑顔が複雑な気持ちにさせます。
●T・Mは絶対に
できたらいいなと思うタイムマシーン。
そんないいことばかりじゃないよ、案外見られると困ること、知られてはいけないことといったマイナス面が多いのでは?という作品。
可能だけど都合の悪いことの方が多いから実用化できないアイデアはたくさんあるのかもしれないと思わされました。
●ミノタウロスの皿
信じている絶対って不確かなものだと思う作品でした。
●一千年後の再開
これ以上の確率で再会を果たす二人はいないでしょう。
この短編集で唯一のハッピーエンドです。
●ヒョンヒョロ
これからマーちゃんはどうやって生きていくんだろう?
●わが子スーパーマン
分別のない子供が正義の味方、スーパーマンになったら世の中が大混乱することに例えてこの世の正義の正当性を問うているようでした。
●コロリころげた木の根っ子
そりゃ、そうなってもちっとも不思議じゃないという話でした。
藤子不二雄 「異色短編集」1 ミノタウロスの皿
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