2016年7月12日火曜日

志村貴子 青い花 3巻

怒って、笑って、食い意地が原因で立ち聞きしてしまったり、ふみちゃんの相談にのったり、といろんな表情のあーちゃんと、あーちゃんのスパイス要因のちょい役ではなくて、立派にあーちゃんの成長過程に影響する存在になりつつある兄が面白かったです。

毎年夏は許婚澤乃井康の家族とともに清里で過ごすという井汲京子に誘いで、あーちゃん、ふみちゃん、茂木美和、本厚木洋子、安田美沙子、おまけ?であーちゃんのお兄さんというメンバーで遊びに行くことになります。

清里に向かう途中、早速兄弟ゲンカを始めるあーちゃんと兄。なんだか様子がおかしいモギー(茂木美和)。

安田美沙子のあーちゃんの兄への絶妙な質問が面白かったです。

この時モギーはどんな顔してたんだろう。照れてうつむきながら、全神経を耳に集中していたのかな。

清里ではテニス、ゴルフ、ハイキング、野外でカレー作り、ロッジに宿泊と思い切りアウトドアを満喫します。澤乃井康があーちゃんに話した、

「俺はその人になりたい」

は前後の回想シーンとともに、康さんが心に決めたことをずっと守ろうとしているように感じました。

ふみちゃん、杉本恭己、井汲京子それぞれに思いを抱えつつ、杉本次女和佐と各務先生の結婚式が行われます。

四女の恭己だけでなく、三女の公理も各務先生が好きだったという挿話は若草物語で描いてほしいです。

祝福される新郎新婦をまだ素直に喜べないという表情を浮かべながら見つめる杉本恭己、杉本恭己のそんな表情を知っているかどうかは分からないけど、背中を見つめ、あきらめ切れないというような表情をする井汲京子。

そんな井汲京子のうつむく表情から何かを感じ取る澤乃井康。一方通行な視線がとても印象的な場面です。

杉本恭己が髪を短くした理由や井汲京子が自分とよく似ている点など、演じて生きてきたことが描かれています。

演じる何かが意図したとおり他の人に伝わればの話ですが、演じると他の人が自分が想像する自分そのままに感じてくれるので、自分のみっともない部分は自分にしか分からずにすんでしまうという思うは、誰にも持っているものなんじゃないかと思います。

ふみちゃんの気持ちがあーちゃんに向かい始めます。

清里からちょくちょく澤乃井康とあーちゃんがふたりきりで行動するところを見聞きするふみ。

ふみちゃんのこみ上げてくる嫉妬心の表現がよかったです。

心のどこかがズキッとするけど、この痛みは言い表しにくくて、ふみちゃんの言いようのない感情はこの表現でよく伝わってきました。



●若草物語―公理さんと駒子さん #1―

好きな人の苦手なものを知らなかった駒子さん。その日のために張りきっていただろうにがっくりしただろうと思います。



●若草物語―織江さんと日向子さん―

2巻の若草物語では好きになる前の話で今回はふたりの現在の話でした。相談に来る河久保さんの、

「私とうとう病気だっていわれたわ」

というちょっと荒れ気味な態度がなんか妙に現実感を感じました。



●若草物語―公理さんと駒子さん #2―

好きな人が好きという「好き」がどういう語感の好きか分かってしまう寂しさ。駒子さんは気持ちをしまったままにしたのかな。



志村貴子 青い花 3巻
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