●第19話
陛下と夕鈴は温泉旅行から戻り、後宮でのいつもの生活に戻ります。
夕鈴は仲良し夫婦の演技がまだうまく出来ず陛下に申し訳なさそうです
陛下は特訓でもしてみる? と夕鈴に言ってみます。
夕鈴は成果が出せそうにないという表情で陛下を見ます。
突然、
「へぇ 狼陛下が妃を雇ったって話し本当だったんだ なんかの冗談かと思ってた!」
と言う声が聞こえ、夕鈴はいつの間にか部屋に人がいるのに気がつきます。
浩大(こうだい)という陛下の隠密です。
夕鈴は浩大に陛下との仲を訊ねられ、ただのバイトで陛下と夫婦の演技をしているだけと応えます。
浩大は一人を雇い続けているから本物の夫婦なのだと思ったようです。
「やっぱりアンタでもダメなんだな 陛下も相変わらずか つまんね」
と言います。
夕鈴は浩大の言いように腹を立てます。
陛下は気にしないでと言います。
それから陛下は浩大が戻ってきてから後宮に姿を見せなくなります。
夕鈴は仕事だから仕方ないと思いつつも、昼間浩大から陛下とずっと酒を飲んで遊んでいると聞いて後宮に一目でも姿を見せてくれないことに腹を立てます。浩大に、
「陛下はお友達とのお喋りの方が楽しいみたいですから」
と言います。
でも浩大は友達ではない、あんな人の友達には頼まれてもなりたくないと言います。そして窓から出て行き屋根をつたってどこかへ行こうとします。
夕鈴は屋根に上り浩大を追いかけ、文句を言います。陛下は楽しいんだろうなと思っているのに浩大はそうでもないと言ったのが夕鈴を怒らせてしまいました。
浩大は陛下に対してこんなことを言う人は見たことが無かったようで、夕鈴はもしかしたら陛下の本当の妃になるのではと期待しています。
●第20話
夕鈴は後宮立入禁止区域でいつものように掃除して、老師と浩大が陛下と夕鈴の仲をからかってという日常が続いています。
人間関係でピリピリしているのは夕鈴だけではなく、陛下もピリピリして機嫌が悪いです。
春の宴を開催するのに総指揮を名乗り出ている二人の人物についてです。中央行政の中心人物の柳大臣、国内で最も歴史ある名家氾大臣の二人です。二人のせいで王宮は二派の勢力争い状態になってしまっています。
夕鈴は自分のわかる感覚で宴会の幹事を取り合っている感じを想像しています。陛下の役に立ちたい思いで氾紅珠にそれとなく春の宴について話すと、後日、氾大臣と柳大臣と会って話すということになってしまいます。
陛下が助けに入ってくれてなんとかその場を逃れることができます。
李順からも夕鈴は勝手なことをするなと言われてしまいます。
後宮で夕鈴の部屋に陛下がやって来ます。
二人きりなのに王宮での狼の陛下で夕鈴に話します。
夕鈴は狼の陛下の前では身がすくんでしまいます。なんとか話題を探し、昼間の柳大臣と氾大臣の話を持ち出そうとします。
陛下は、その話はいい、君が関わる必要のない問題だと言います。
夕鈴は陛下の言葉に心が痛みます。何もせず後宮にいるだけでは陛下のことかわらないままだと言い返します。
陛下は何を思ったのか夕鈴の鼻を咬みます。
夕鈴は一瞬何が起こったのかわからなくなります。確かに鼻を咬まれたとわかり、取り乱してしまいます。
「嫌い! 狼陛下なんか 大っキライ!」
と大暴れします。
陛下は夕鈴を止められなくて、部屋を出て行きます。
夕鈴は家出をします。
●第21話
王宮内で柳家と氾家が対立する中、夕鈴は氾紅珠の邸に逃げ込みます。
李順は夕鈴の書置きを見て激怒します。
陛下は遊びに行っただけだ、落ち着いたら戻ると言うので少しの間放っておけと言います。
夕鈴は鼻を咬まれて陛下の顔がまともに見れず夫婦の演技ができなくて仕事を放り出して申し訳ない気持がありつつ感情がうまく抑えきれずにいます。
夕鈴は氾紅珠から一番上の兄氾水月を紹介されます。
氾水月は妹紅珠の邸に滞在する女性が妃だとわかるとじっと夕鈴を見つめます。紅珠とともに人から聞いた陛下が話す妃について話し始めます。
夕鈴にとっては初めて聞く話で、自分がいないところで陛下は何を言っているんだと顔を赤らめます。
氾水月はそんな夕鈴を観察しています。
柳大臣に妃が氾家息女の私邸を訪問していると報告が入ります。
氾大臣は陛下から娘に妃を丁重に尽くすよう伝えよと言われます。
氾水月は夕鈴の話し相手になります。
浩大が氾家の警備をかいくぐり夕鈴に会いに来ます。
夕鈴は感情を整理してすぐに後宮に戻るからと言います。
浩大は夕鈴は特殊で特別なんだから陛下を困らせてやればいいと言います。
氾水月は夕鈴に少し落ち着かれたでしょうかと、陛下とケンカのようなことでもして後宮から出て来たのだとなんとなく察して訊ねます。そして、陛下とケンカなどすごいことだ、恐ろしくはないのですかと訊ねます。
夕鈴は、
「陛下は怖いけれど 理由なく他者を虐げたげるようなひどい方ではありません」
と応えます。
氾水月は夕鈴が妃だと知ったとき、どうしても自分の知る陛下と結びつかなかったと言い、
「お好きなのですね 貴女は あの方が恐ろしくても冷たくても」
と言います。
夕鈴は意図とは違った反応をする氾水月に動揺させられて、妃としての答え、自分の本当の気持ちが重なり、
「――――は い 好き… で す…」
と言葉にして言ってみます。夕鈴の落ち着きかけた心が再び暴走してしまいます。
夕鈴は氾水月と話すうちに陛下を好きだという気持ちを口にし動揺が収まる気配がありません。
浩大は陛下に夕鈴が元気であると報告します。
●第22話
夕鈴は恐ろしい夢で目を覚まします。
氾紅珠がやって来て陛下から贈られた花を届けます。
夕鈴は早く戻らなくては、でも心が落ち着いてくれないと焦りばかりが募ります。
王宮から使者がやって来ます。柳方淵です。
柳方淵は怒りを込めて妃を批判します。
夕鈴は言い返したいのに何も言い返せません。
氾水月が助けに入ります。
柳方淵は氾水月にも言いたいことを言って帰っていきます。
氾水月は夕鈴に柳方淵の言いたい放題の言葉の裏に忍ばせた感情を読み取り説明します。
夕鈴は妃の置かれている立ち位置を知ります。家出をしたという自分の行動が意図せず王宮に大きな影響を与えていることに気がつきます。
夕鈴は与えられている自室で陛下に大きな迷惑をかけているから今すぐにでも王宮に戻らなくてはいけない、気持ちを切り替えて、妃を演じなくては考えています。
再び王宮から使者がやって来ます。
夕鈴は使者は李順だと思い必死に謝ります。
使者は陛下で自ら夕鈴を説得するためにやって来ました。
夕鈴は馬車に乗せられ王宮に戻ります。
●第23話
馬車に乗せられ後宮に向かう夕鈴は戻ったら李順にクビを言い渡されると確信しているのでビクビクしています。
馬車を刺客が襲います。
「――――その中に妃がいるな? 殺せ!」
刺客が夕鈴を狙っています。
「ありゃりゃ 空気読まねえ お客さんだな――」
浩大が馬車を護衛していて刺客と戦います。
陛下も馬車を出て浩大とともに刺客と戦います。
刺客は妃ひとりだけだと思っていたようで、護衛が現れたので全員逃走します。
後宮に戻ると報告を受けた李順が激怒しています。刺客が柳大臣の命令で動いていたなら非常に厄介な問題だと言います。
翌日、陛下は柳大臣と妃について雑談をします。
後宮では夕鈴が落ち込んでいます。刺客が襲ってきたあとどうなってるのか教えてもらえず、できることもなくて、自分から臨時花嫁を辞めると言うべきなのに辞めたくなくて泣いています。
そばで浩大が聞いています。浩大は夕鈴がどれだけ特別ですごい人なのか説明します。
夕鈴は陛下に会いに行きます。
夕鈴は再び氾家の紅珠の邸に行きます。
柳方淵は官吏が妃がまた氾家の屋敷に行ったと話しているのを聞きいらだった表情をしています。
夕鈴は氾紅珠に少しお願いがあると言います。
氾紅珠の兄水月のところにも夕鈴がまた紅珠の邸を訪れたと報告が入ります。
夕鈴は氾紅珠に手薄な警備の邸内を自由に行動している妃を演出してほしいとお願いします。陛下には相談して囮になるから刺客を捕え、首謀者の名を吐かせてほしいとお願いします。
夕鈴の思惑通、刺客は再び夕鈴を襲います。
陛下と浩大は今度は逃がしません。刺客全員を捕えます。
夕鈴には別の思惑もあります。陛下の役に立てれば側にいられると考えています。だから今回の刺客を捕えるための囮になったのでした。
捕らえた刺客に誰の差し金なのかと訊くと、
「…っ 柳だっ 柳大臣に命じられて」
と言います。
●第24話
刺客の言葉を聞いて陛下と李順は今回の犯行は柳大臣ではないと断定します。
柳家と氾家の二大勢力を追い落とそうとする人物が画策したのでした。
用意周到に実行しても上手く行くはずがないのに、二大勢力を排除するという大それた計画は失敗に終わります。
柳方淵が政務室で官吏が妃のことを話していたとき、いらだった表情に見えたのは、妃に対してではなく噂話をしている官吏が誰なのかを確認する表情だったのだとここで判りました。
陛下は夕鈴に柳大臣が本気で妃を狙うならこんなまわりくどいことはしないと言います。
夕鈴は陛下の柳大臣に対する敵対しているからこその信頼を感じてびっくりしています。
氾水月が陛下の前にやって来ます。
夕鈴が氾紅珠に頼んだことはすべて水月が采配したことのようです。
陛下と氾水月、陛下と夕鈴のやりとりが面白いです。
陛下の言葉に氾水月が感動しているところがよかったです。
春の宴について、陛下は柳大臣と氾大臣を呼び、夕鈴の意見を聞かせます。
夕鈴は柳方淵、氾水月の二人を春の宴の責任者に任命してみてはと意見します。
氾水月が出仕するようになります。
何を言っても出てこなかった水月を動かした夕鈴は李順にほめられます。
続きます。
可歌まと 狼陛下の花嫁 5巻
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