2023年3月28日火曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 40巻

地の部族領金州に南戒の軍と高華国の軍を集結させて、手薄になった高華国の王都緋龍城に火をかけ、暗殺集団とともに南戒の最高権力者チャゴル自らがやって来てメイニャンを奪い返すという物語は、無理があるのではと感じます。

どうしてチャゴルはメイニャンに固執するのか。なぜ緋龍城に火をかけて満足するのか。何か緋龍王と因縁のある一族なのでしょうか。そうでないと、戦の勝敗前に敵国の都に火をかけるなんてことはやらない気がします。ただ破壊を好むだけの人物なのか、何かある存在感のある人物として描いて欲しいです。

南戒の将軍はチャゴルに反旗を翻すという可能性もあったらいいなと思います。




水の部族長の娘リリは緋龍城の衛兵に城が焼き討ちあうと懸命に説明します。

しかし衛兵はまともに取り合わず、リリたちを城の中に入れます。

城門をくぐると中の衛兵はことごとくやられてしまっています。

南戒の暗殺集団ドロモスがすでに城内に侵入していて、リリたちは本殿へ急ぎます。

本殿には三人のドロモスがメイニャンとヴァルを待っていました。メイニャンの監視をしていたヒューリが倒れています。ユンの姿はありません。リリたちがユンを探し、メイニャンとヴァルは三人のドロモスと戦います。



ユンを捕えたドロモスは本殿に火をかけるための下準備をしています。

そこにもう一人ドロモスが現れます。

二人のドロモスが話しているとリリたちが現れます。

ユンを抱えたドロモスは緋龍城に火をかけます。城は勢いよく燃え上がります。

ユンは自力でドロモスから逃れなければと、頑張って逃れてリリと応援を呼ぶため走ります。



メイニャンとヴァルは三人のドロモスを倒します。

ユンとリリがメイニャンと合流し、メイニャンがユンの無事を喜びます。

テトラとアユラが戦っているはずのドロモスが目の前に現れます。リリはテトラとアユラの安否を心配します。

ヴァルがドロモスに斬りかかります。

メイニャンはヴァルが戦うドロモスを倒せば全員やっつけたことになると言います。

しかし、ユンはもう一人いたと言い、メイニャンは驚きます。

その瞬間、メイニャンの背後にドロモスが現れ、メイニャンを抱きすくめます。そして、かぎ爪のような武器でメイニャンの腿を突き刺します。

ヴァルはドロモスを倒し、ユンの叫ぶ声に振り返ると、

「会いたかったぞ 猫… 冒険は楽しかったか?」

とメイニャンを抱きすくめたドロモスが言います。

メイニャンを抱きすくめたドロモスは南戒の最高権力者チャゴルだったのです。

メイニャンはチャゴル自ら緋龍城にやって来たことに心底驚き、彼の声だけで恐怖します。

ところが、ヴァルはチャゴルに逆らうと宣言します。

チャゴルは新たに六人のドロモスを呼び、この場にいる全員を始末するため戦わせます。

ヴァルは六人のドロモスに追い詰められていき、メイニャンがチャゴルに連れ去られるのを阻止できません。

ドロモスはユンとリリも始末しようとします。倒れていたヒューリが立ち上がり、ドロモスと戦います。ヒューリはスウォンからユンとメイニャンの護衛をお願いされたので、命が尽きても忠実に従おうとしています。ヒューリの使命感が格好いいです。



高華国野営地に場面が移ります。

ヨナはケイシュク参謀に緋龍城に戻りたいからスウォンに会わせて欲しいと言います。

ケイシュク参謀はこの状況で我儘を言うなとヨナの要望を退けようとします。

ヨナはそう言うことではなく嫌な予感がするから早くスウォンに会わせて欲しいと言います。

医務官のミンスが慌ててヨナのところにやって来ます。四龍が倒れたと知らせます。

ヨナとケイシュク参謀は四龍がいる天幕に向かいます



ゼノは体が落下するような感覚に襲われます。

落下する先には炎の渦が上がっていて、キジャ、シンア、ジェハの三人は耐えられないと焦っていると、ヨナの声で意識がはっきりとします。

ゼノは自分がどうやら夢を見ていたのだと理解します。しかし、体が夢の中で感じた感覚が、目覚めてからも残っています。

ゼノはヨナにキジャとシンアとジェハはどうしているか尋ねます。

ヨナはみんなぐったりしているとこたえます。

キジャもシンアもジェハもゼノと同じ夢を見て、現実でも夢の中で感じた炎に包まれる感覚が残っていて、痛みとして続いています。

ヨナも、

「炎…」

とつぶやき、

「私も… 見た 緋龍城が炎に包まれる夢…」

と四龍たちが夢と関連するような夢を戦の前に見たと話します。

空の部族長のジュド将軍がやって来ます。ケイシュク参謀に、

「今 空都の方角より烽火が上がった」

と言います。

ケイシュクはたった今、ヨナと四龍の夢の話を聞いたところなので、少し慌てて、

「緋龍城が炎上しているのですか?」

とジュド将軍に尋ねます。

ジュド将軍は烽火が上がり、何かが起こったかもしれないと報告に来たのに、突飛に緋龍城という言葉が出て驚いています。



ヨナとスウォンとケイシュク参謀、そして5大将軍が天幕に集まり軍議が行われます。

スウォンはジュド将軍の報告から、

「…襲撃の可能性が高いでしょうね」

と判断します。

ジュド将軍は緋龍城に戻ることを進言します。

スウォンは、

「…お腹空きません?」

と皆に投げかけます。

意表を突く返答にジュド将軍が困惑します。

スウォンは野営地から緋龍城まで軍で移動するには早くて2日かかると言い、ここを離れれば南戒の軍勢に地の部族領は侵略されると説明します。

地の部族長のグンテ将軍は侵略という言葉に反応します。ジュド将軍は反論できません。

風の部族長のテウ将軍が沈黙を破ります。天幕から出ていこうとします。

ケイシュク参謀は、

「テウ将軍どちらへ」

と尋ねると、

「メシ食って 寝ますよ」

と平然とした表情で言い、出ていきます。

テウ将軍の言葉に火の部族長のキョウガ将軍は理解を超える行動に震えています。水の部族長のジュンギ将軍はキョウガ将軍に同意し、グンテ将軍は頼もしさを感じています。

会議は終了となり、将軍、ケイシュク参謀が退出し、ヨナとスウォン二人になります。

スウォンは、

「緋龍城の他に何か …見ましたか? 夢を」

と尋ねると、ヨナは、

「…どうして?」

と聞き返します。

スウォンはヨナの母親カシの未来が見える能力をヨナが継いでいるのかと思って聞いてみたようです。

ヨナは、

「私には… 何の能力もないわ」

と言い、天幕を出ていきます。

外ではハクがヨナを待っていました。

ヨナはハクに母親のカシの不思議な能力について話し始めます。そして、もし母の能力を継いでいるならば、スウォンには言わなかった他に見た夢も現実になるのではという不安を口にします。

ハクは、

「ただの夢だ 俺がさせない」

そっとヨナの手を包むように柔らかく握りしめ、安心させようとします。

ヨナとハクの会話を木の陰でゼノが立ち聞きしていました。ゼノはヨナの夢について何を思うのでしょうか。




夜が明けます。

キジャ、シンア、ジェハはまだ回復しません。

ゼノはヨナに、

「城の加護が弱まっているけど 消えたわけじゃない 恐らく地下の緋龍城の廟は無事なんだ」

と笑顔で説明します。

ヨナは少し安心し、新しい情報はないか探してくると外へ出ます。

ハクが、お供させてください、とついて来ます。

見張り台で情報はないかと聞き込みをしていると、馬がやって来ます。

止まれと忠告しても止まらないので、ハクが力づくで止めようとします。

馬に乗っていたのはユンとヴァルでした。

ヴァルは傷だらけです。

ユンはヨナを見つけると、メイニャンが連れて行かれて、助けに行くと言います。緋龍城が燃えていること、怪我人が出ていること、それよりもメイニャンを助けないと危ないと急いでいます。

ヴァルがユンを無事目的地まで運べたところで気を失います。




南戒帝国軍の野営地に移ります。

カジ将軍は生きていました。ハクはカジが持っていた千樹草の入った巾着だけを奪い返し戻っていったようです。

ヒッタン将軍は、軍を統率する将軍が負傷し戦える状況ではないのに、撤退の許可は出ないので、途方に暮れています。

ラーン将軍がやって来ます。カジ将軍とヒッタン将軍に、

「チャゴル殿下がお見えになりました」

と言います。慌てるヒッタン将軍に、

「緋龍城よりメイニャン様とご帰還なさったと…」

と報告します。

カジ将軍はメイニャンの帰還に驚き呆然としています。

チャゴルが集まった皆の前で話すと士気が一気に上がります。

チャゴルが将軍や兵士に対してどうしてこれほどの存在を示せるのかわかりにくいです。クラウ将軍を倒したハクの首を獲った者は、空白になった将軍の位を授けると言います。

カジ将軍が馬車の中にいるメイニャンを見つけます。メイニャンは魂が抜けてしまい目がうつろです。




再び高華国の野営地に移ります。

ヴァルの意識が戻り、ヴァルとハクが話をします。四龍も加わり、メイニャンを助け出そうと言います。

ヨナはスウォンとケイシュク参謀にメイニャンを助けに行きたいから行かせて欲しいと言います。

ケイシュク参謀の何故? という問いに、ヨナは、

「行かなければならない気がするの」

と言います。

スウォンは、答えになっていませんよ、と心の声か、小さな声かで呟きます。このコマが面白いです。冷静な人物だなって思います。

ケイシュク参謀はヨナの要求に難色を示します。理由の一つに援軍が来ないことを挙げます。

スウォンは、援軍なら来ますよ、と言います。

スウォンが言うとすぐに兵士が天幕の外から報告が入ります。

「スウォン陛下! 援軍が 真国…コウレン王の援軍が到着しました…!」

コウレンが援軍一万を率いて、高華国の野営地にやって来ました。

コウレン王はヨナへの恩義に報いる為と高らかに宣言します。

ヨナの存在が高華国にとってさらに大きなものとなります。

ヨナは援軍が来たのでメイニャンを助けに行く許可をスウォンに求めます。

スウォンはヨナとコウレン王に天幕の中へ入るよう言います。


ヴァルは体が動くようになったのでメイニャンを助けに行く用意を始めます。

ハクがヴァルに新しい服を渡し、自分の考えを話し始めます。


同じころスウォンはヨナとコウレン王にハクと同じ話を始めます。

ハクとスウォンの考えは同じで、チャゴルとメイニャンは南戒の野営地にいる可能性が高いというものでした。

コウレン王はヨナに自分の護衛の五星を貸すと言います。

スウォンはヨナに出来るだけ速やかにメイニャンを奪還するように言います。

ヨナが天幕を出ていき、スウォンとケイシュク参謀が話します。

スウォンは、

「こちらもそろそろ次の一手を と思っていたところです」

と鮮やかな一手を見たいところなので、うれしい一言を発してくれます。




南戒帝国軍野営地に移ります。

カジ将軍はヒッタン将軍の天幕を訪れます。ラーン将軍がいて、二人は、ヴァル将軍が裏切ったというチャゴルの言葉が信じられないようでそれについて話しているところです。

カジ将軍はメイニャンについて話します。チャゴルが現れた時馬車に乗っていたメイニャンを見つけて、その姿があまりにも憔悴しきっていて、高華国でひどい目に遭ったのだと

自分の考えを話します。

ラーン将軍はハクがメイニャンは自ら高華国にいると言った言葉は嘘ではないと言います。

カジ将軍は敵の言うことを信じるのですかと言い返します。

ヒッタン将軍はヴァル将軍がメイニャンにとって打撃だったのではと考えを話します。そして、メイニャンならヴァル将軍の裏切りについて知っているはずだと言います。

カジ将軍はいち早く真実が知りたくて、メイニャンに会って話したいとやや感情的になります。

ヒッタン将軍はカジ将軍に今は待てと言います。



カジ将軍はどうにかしてチャゴルの天幕に入ることは出来ないか探ります。

医療班の班長を言いくるめて、チャゴルの天幕に入ることに成功します。

中に入ると、やつれたメイニャンを見つけます。

カジ将軍はメイニャンに声をかけます。メイニャンは、

「ここに来ちゃだめ… 早く… 出て」

とカジ将軍に言います。

カジ将軍はメイニャンになぜヴァル将軍が裏切ったのか尋ねます。

メイニャンは、

「ヴァルは私を守ろうとしただけ… 何も悪くない…っ ヴァルは私のせいで…」

と言います。カジ将軍は思いもかけない話を聞き混乱します。

その時、カジ将軍の背後にチャゴルが現れます。



ヒッタン将軍はカジ将軍の姿が見えなくて、ラーン将軍に行方を尋ねます。

南戒の貴族連中も野営地に来ていて、マンデ、サンデという貴族がヒッタン将軍とラーン将軍に近づいてきます。

彼らがカジ将軍の行方を知っていました。ヒッタン将軍とラーン将軍はカジ将軍が拘束されたと知ります。

ヒッタン将軍はカジ将軍がラーン将軍やヴァル将軍のように処分されるのを恐れます。


敵襲の合図が鳴ります。

見張り台の兵士から高華国軍が進軍しているとの知らせが入ります。

貴族のマンデとサンデは自分たちの兵を高華国軍にぶつけたくて、敵襲を楽しんでいます。


夜襲はスウォンの作戦のようです。

相手を混乱させて、ヨナがその隙に南戒の野営地に侵入し、メイニャンを奪還する援護を行うようです。


ヨナは南戒の野営地のすぐそばで敵の動きを監視しています。

シンアが能力を使って敵兵をやっつけます。

ジェハがひとりずつ野営地内へ運ぶ予定が、キジャ、アルギラ、ヨタカが野営地の板壁を派手に壊して侵入します。

当然派手に壊したから、破壊音で敵兵に気づかれます。

アルギラ、ヨタカ、ヴォルドが敵兵と戦っている間にヨナたちはチャゴルの天幕を探します。



南戒のラーン将軍に、野営地の西の板壁が破壊され、何者かが侵入したという知らせが入ります。



シンアがジェハの背中に乗って、チャゴルの天幕らしきものを発見します。

ゼノが妙な気配に気づき、ドロモスを見つけます。

ドロモスは姿を消すと、ヨナの背後に現れます。ハクがドロモスを察知して大刀で追い払います。

シンアが逃げるドロモスを追いかけます。

ヴァルはドロモスが逃げる方向にチャゴルがいると確信します。

「そこにいるのは誰ですか? 全員こちらを向いて下さい」

ヴァルの背後にラーン将軍が現れます。

ヴァルは剣を抜き、ラーン将軍と戦おうとします。

ヨナがヴァルの前に立ちマントでヴァルを隠します。

ハクが、

「よぉ」

とラーンに話しかけます。



もしかしたら、ヒッタン将軍もラーン将軍もカジ将軍も高華国に寝返りそうな展開に感じました。

ハクとラーン将軍の間にどんな会話がなされるのでしょうか。

スウォンはどんな作戦で戦を勝利に導こうとしているのか。

続きが楽しみです。

ところで四龍はどうして元気になったんだろう。緋龍城の火が消えたから?廟は燃えなかったのに焼けるような感覚を実際に感じていたのに不思議です。

チャゴルはどういう結末を迎えるのでしょうか。

続きます。



草凪みずほ 暁のヨナ 40巻
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2023年3月24日金曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 39巻

ヨナに四龍に助けられ、ハクには全身傷だらけで千樹草(せんじゅそう)を届けられます。

スウォンの心境は変化するのでしょうか。





高華国の兵士、風の部族のヘンデに襲いかかる南戒の兵士をことごとくなぎ倒していく馬に乗った兵士。

南戒のカジ将軍がやって来て

「何で新米なのに歩兵じゃないの…?」

と新米兵士は、

「…馬に乗るの得意なんで」

と答えます。カジ将軍は気に入らなかったのか、新米兵士の兜を剣で振り落とします。

新米兵士はハクでした。

ヘンデはハクが戦場にいて、南戒の兵士であることに驚いています。

カジ将軍は、

「…ねえ 投石機の縄… 切った…?」

と問い、ハクは、

「なんのことだかわかりません」

と白を切ろうと、とぼけた返事をします。

ヘンデはそんなハクが何かの作戦中なのかもしれないと考え、様子を見ています。


ハクはしらばっくれようとしていたのに、南戒のラーン将軍がやってきました。

ハクと一騎打ちの末敗れ、ハクに助けられた人物です。

ラーン将軍はハクに負けないくらい全身傷だらけでボロボロです。

ラジ将軍はラーン将軍に、

「この男に 見覚えはありますか?」

と尋ねます。

ラーン将軍はハクだと気づきます。驚きと喜びをごちゃ混ぜにしたような表情でハクを見ます。

逃れられないと覚悟を決めハクはラーン将軍に、

「それ 俺がやった傷じゃねぇよな 誰にやられた?」

と話しかけます。

ラーン将軍はハクを見て涙します。

「生きて… いたのですか… また… 会えてうれしいです」

とつぶやきます。


カジ将軍は二人のやりとりに引っ掛かりを感じ、状況を飲み込めないのでラーン将軍にハクが部下であるのか尋ねます。

ラーン将軍は、

「いいえ… 敵です 高華国の兵士です」

と答えます。

カジ将軍はハクを戦場に連れて来たのは自分だから自らが始末をつけると言います。

ハクは戦闘態勢を整えます。ヘンデがハクの横につきます。

ハクは一気に周囲にいる南戒の兵士をなぎ倒していきます。

暴れまわるハクにカジ将軍が剣を向けます。


カジ将軍はハクの圧倒的な力に歯が立ちません

ボロボロのハクは力尽きる一歩手前の状態で、カジに蹴りを入れられると頭の傷が開いてしまい、倒れそうになります。


カジは再びハクに斬りかかります。

しかし、ふたりの間に大きな物体が降ってきて、地面に叩きつけられ鈍い音がします。

カジ将軍は人が降ってきたので驚いています。

ハクは降ってきた人の顔を見ると黄龍ゼノだったので抱きかかえ話しかけます。

ゼノは声の主がハクだと気がつくと、ハクが生きていたことに驚いて、やべえ奴に目をつけられここに逃げて来たと話します。


南戒の司令官クラウ将軍がやって来ます。全体の指揮も執らずどういうつもりなのでしょうか。クラウ将軍の統率力で南戒に苦戦している高華国の軍事力はいかがなものかと思ってしまいます。

クラウ将軍はラーン将軍とカジ将軍に話しかけ、ゼノが弱らないことを楽しんでいます。

クラウ将軍はゼノの横にいる兵士に、ゼノを動けないように縛りあげるよう命令します。

ゼノのそばにいるのはハクです。

ハクは静かな怒りをクラウ将軍に向け、槍を振り上げ、一太刀でクラウ将軍の息の根を止めます。

しかし、最後の力を振り絞ったハクはその場で力尽き気を失い倒れてしまいます。


南戒の兵士はハクの首を獲ろうと剣を向けます。

傷が回復したゼノがハクの前に立ち、南戒の兵士からハクを守ろうとします。

ゼノが急に立ち上がり反撃してきたことに驚いたカジ将軍は隊を整えて高華国軍を攻撃するよう指示します。

ゼノは隊列を整えて襲いかかってくる南戒の兵士にハクを守りながら戦う術がなく迷っていると、

「ゼノ君 下がって!!」

と声が聞こえます。ジェハとシンアがゼノのもとに駆けつけていて、南戒の騎馬隊をやっつけてしまいます。

ジェハとシンアがハクを見つけます。生きていたことに驚きつつも二人ともうれしそうです。



本陣のクラウ将軍の隊と援軍に来たヒッタン将軍の隊は四龍に興味がいってしまいクラウ将軍本人が本陣不在で士気が落ちているのに加え、高華国火の部族キョウガ将軍の隊、キジャの猛攻に崩壊寸前です。

ヒッタン将軍が耐え切れそうにないと判断し本陣が崩れる前に、全軍撤退の合図を送ります。


カジ将軍の隊にも撤退の合図の知らせが届き、撤退を始めます。


ゼノがハクに話しかけます。ジェハは戦は終わったよ、と言います。

ハクの意識が戻ります。意識が戻るとすぐに立ち上がり馬に乗ると、撤退する南戒のカジ将軍の隊に突進していきます。

カジ将軍の隊の兵士の一人が高華国側から一騎でこちらに向かってくる兵士がいるとカジ将軍に告げます。カジ将軍はその兵士がハクだとわかり、彼の狙いは自分であると悟り、向きを変え突進してくるハクに向かって剣を振り上げ走り出します。



高華国の本陣は南戒の軍勢が撤退していくのを見て、ひとまず勝利したと緊張を解きます。

スウォンはこの戦の勝利はまぎれもなくヨナと四龍によってもたらされたものだと、心に揺れを抱えます。

ミンスはスウォンに身体を休めるよう勧めます。

スウォンが馬から降り、続いてヨナも馬を降ります。ヨナは状況がわからないなりに四龍の無事を確認したいようです。ふと、何かがこちらに向かって来る気配を感じます。ヨナは皆に南戒の兵士かもしれないと言い、弓を構えます。

馬で駆けてきたのはハクでした。

ヨナは呼吸を忘れ、ハクを見つめています。

ハクは馬を降り、スウォンの前に来ると、握りしめていた袋を差し出します。

「千樹草…」

それだけをつぶやくとハクの意識は途切れます。倒れるハクをスウォンが支えます。

ヨナは黙って二人を見つめています。




ハクは手当てされ、スウォンの症状もやや落ち着きをみせます。

ヨナとハクの場面が描かれ、ハクはようやく悪夢から醒めます。



高華国と南戒の戦は高華国が勝利しました。

しかし、停戦の交渉は行われることはなく、互いに軍を引かず睨み合いが続きます。




場面は緋龍城に移ります。

ユンが薬草を見るために城下に行こうとします。

メイニャンが一緒に行くと言い出し、ヒューリと3人で城下に行きます。

歩いていると、水の部族長の娘リリと出会います。リリは情報屋のオギの所に行く途中で、一緒に行かないかとユンたちを誘います。

ユンとリリは情報屋のオギの酒場に着き、オギから戦の状況を聞きヨナ達が無事であると知り安心します。

ユンは用を済ませて城に戻りたいのに、メイニャンがテトラとアユラの三人で酒盛りを始め帰ろうとしません。

メイニャンは酔っぱらい酒場を出るとあたりは暗くなっています。

ユンはオギから空都(クウト)で事件が多発していると知らされ、急いで城に戻ろうとします。メイニャンは歩くのも難しいくらい酔っ払っていて、ユンはヒューリにメイニャンを抱えて連れて帰ってほしいといいます。

ところがヒューリはユンの言葉は聞こえていないようで、何かを察知したのか急に走り出していなくなります。

ユンは酔っ払ったメイニャンを抱えきれず、地面に膝をつきます。すると、

「大丈夫ですか?」

と声をかけられます。ユンは大丈夫ですと答えると、声をかけた人物はメイニャンに触れようとします。

メイニャンは手を振り払います。メイニャンの大事な友達ホーちゃんがその人物に飛びつきます。メイニャンが顔を上げ見てみるとその人物は南戒のヴァルでした。一気に酔いが醒めます。

「どうしてここに… 何しに来たんだよ…」

ヴァルは、

「………… わかってんだろ」

と答えます。メイニャンは一気に表情を硬くして、

「帰れ 寄るな 来るんじゃねぇ!!」

と強い口調で言います。

メイニャンを見てユンが何者か尋ねます。

「こいつは追手だ 私を連れ戻しに来たっ」

メイニャンとユンの会話を聞きヴァルは状況を見極めようとしています。

メイニャンはヴァルに南戒には戻らないと言うと、ユンとともにその場を去ります。



ユンとメイニャンは城に戻ろうとします。途中でリリと再会します。

リリはオギが言っていたことが気になって城下を見廻りをしていて、衛兵が見当たらなくてやたら静かでおかしいと言います。

メイニャンはヒューリがいなくなったことを口にしながら歩いていると、背筋が凍えるような感覚がして、視界に黒い影を見つけます。

ユンが、

「誰かいる…」

と言うと、メイニャンは、

「やばい… 逃げるよ!」

とユンの手を取ると、

「急いで! やばい奴が空都に入りこんでいる 南戒の暗殺集団ドロモス…」

と言います

メイニャンの前にドロモスが姿を現します。メイニャンはそれだけで戦意を喪失してしまいます。

アユラとテトラがドロモスを振り払います。

メイニャンはユンだけは守らないとという思いで気持ちを奮い立たせ、アユラの剣を借りドロモスと戦います。

距離を詰めて、剣を突き立てようとしたその瞬間にメイニャンとドロモスの間にヴァルが立ち双方を制止させます。

ドロモスは一旦距離を置きます。

どうしても南戒に連れて帰ろうとするヴァルにメイニャンは胸の内を話します。

ヴァルは迷います。

ユンが空が赤いことに気がつきます。リリが火事だと叫びます。リリ達は火の手の上がるほうへ走ります。

ドロモスが、

「ヴァル将軍 町の鎮火に衛兵が動いた 混乱に乗じ 緋龍城に侵入する 姫を連れて貴殿もこられよ」

と言います。

ドロモスはユンを狙います。ユンを救おうとメイニャンが動きます。ドロモスはメイニャンに攻撃しようとします。ヴァルがメイニャンをかばうためドロモスに剣を向けます。

ヴァルがドロモスを裏切りメイニャンの側につきます。メイニャンとヴァルはドロモスと戦います。ドロモスはメイニャンと将軍を相手に戦うには時間がかかりすぎるので、別のドロモスがユンをさらって姿を消します。


メイニャンとヴァルはユンを助けるため、急いで緋龍城に向かいます。リリと合流し緋龍城を目指します。



ユンとドロモスが着いた場所にヒューリがいました。ヒューリは別行動のドロモスを倒していて、残りのドロモスが来るのを待っていました。

三人のドロモスがヒューリに襲いかかります。

ユンの心の中で叫びます。

野営地にいるヨナが何かを察知します。




何かを察知したヨナはどう動こうとしているのでしょうか

続きます。



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