四龍がいなければ、高華国は南戒との戦は敗北していた可能性が高いのではと思います。
ヨナの目が赤かったのに気づいて、ジェハはスウォンに、
「君の前では泣くのかなとおもってさ… 僕らの前では無理した笑顔だったのに …嫉妬する」
と言います。
スウォンは自分で選んだんだ、いらない箱は全て捨てろ、父上はそうしてきた、自分に言い聞かせます。
全部族が集まります。ヨナと四龍の姿を見た兵士は士気が上がります。
金州へ進軍します。
ハクは生きていました。意識が戻り辺りを見回しても何もなく、空が見えるだけです。ここがどこか探ろうとしていると声が聞こえます。
「うわ 酷ぇな…」
「早く埋めろ」
戦闘で亡くなった者、水に流されて溺れた者が掘られた穴の中に積み上げられて、埋められようとしています。
ハクは状況が分かり、逃げ出そうとします。しかし身体が思うように動かず倒れてしまいます。
南戒の兵士は、生きている者などいないと思っていたのに、動き出したので慌てて捕えようとします。
「お待ち下さい」
と女の声がします。
「その人は私の夫です 水攻めに巻き込まれたんです 見つかってよかった 連れて帰ります 放して下さい」
と女は言います。兵士は、
「………ほら」
とハクを女に渡します。ハクの意識は遠くなります。
ハクは家の中で目が覚めます。傷の手当てがされていました。ハクを連れ帰った女が世話したようです。
女はソノンと名乗り、
「無事…とはとても言えませんが 命があってよろしゅうございました あそこは戦死者を埋める墓地 あなた水攻めで流されて来たんですよ」
と言います。
ハクは水、と言われて起きた出来事を思い出し、水攻めから何日経ったと聞きます。
ソノンは、
「一週間程… 生存者はわかりませんが 高華国との睨み合いが続いています」
と答えます。
ハクはここが南戒だと知ります。帯に括り付けていた千樹草の入った白い袋を探します。探さなくてはと
立ち上がろうとしますが身体が思うように動きません。
家の外では南戒軍が金州に向かっています。
金州(キンシュウ)はジュド将軍が率いる空の部族の精鋭部隊がなんとか守り抜いています。
グンテ将軍は意識が戻り、痛みをこらえながらも冗談を飛ばせる状態に回復しています。
地の部族兵の士気が下がらないように無理しているようにも見えます。
グンテはジュドをからかいながらも、ヨナやハクに地の部族の兵と民を守ってくれたことに対する礼をしなくてはと真面目な表情で話します。
南戒が大軍勢で金州にやって来ます。
ジュドは敵の軍勢を見て持ちこたえなくてはと思いつつも、奮い立つことができません。
ジュドは南戒の大将クラウ将軍のところに行き、一騎打ちを申し出ます。
クラウ、兵士はジュドの口上に馬鹿にした笑いで応えます。
ジュドは挑発する言葉で返すと、クラウは馬鹿にはするけど、馬鹿にされるのは我慢ならないようで、相手が怯む一撃を食らわせます。
投石器で岩を高華国の兵士に向かって投げつけます。大きな岩が高華国側に飛んできます。兵士は恐怖で叫び声を上げています。
しかし、岩は空中で制止します。ジェハが飛んできた岩を受け止めています。制止させた岩を南戒の兵士のところへ蹴り返します。
残酷な笑みを浮かべていたクラウの頭上を岩が通り過ぎ、南戒の兵士の中に落下します。
クラウは岩を蹴り返した人物が四龍のであると知ります。
高華国の軍が到着します。
シンアがハクを探しています。
高華国軍の角笛が鳴り戦闘開始です。
ハクの耳に高華国の角笛が聞こえます。
スウォンが来ていると知り、早く千樹草を届けなくてはと白い袋を探します。
ハクはソノンとその息子ランランで白い袋を探すために外に出ます。
手あたり次第探しても見つかるわけがありません。
ランランの悲鳴が聞こえます。
ランランは南戒の将軍カジに抱えられています。カジ将軍の手に白い袋があります。
ハクがカジ将軍の持つ白い袋について尋ねると、探していたものでした。
カジ将軍はハクになぜこの村にいるのか尋ねます。
ソノンが負傷して休養していると答えます。
カジ将軍はハクに斬りかかります。ハクは軽々とかわします。
カジ将軍はそれだけ動ければ十分だ、軍に復帰しなさいとハクに命令します。
ヨナは母カシの能力を受け継いでいるようです。
ヨナの変化を感じ取り、シンアが
「どうかしたの?」
と聞くとヨナは、
「…ちょっと嫌な感じがして… キジャとジェハに何か…」
とつぶやきます。スウォンはヨナの様子を見ています。
シンアとゼノは馬に乗って、キジャとジェハのところへ向かいます。
南戒は投石器を使って攻撃しています。
投げていた物を岩から人間に変更します。地の部族兵の捕虜を投石器にのせて投げ始めました。
キジャやジェハは岩が飛んできた時は投げ返し、蹴り返ししてたけれど、味方が地面の叩きつけられないように必死に受け止めます。
キジャとジェハ直接投石器を破壊するため敵陣の突入します。
キジャがジェハを庇い、ジェハが投石器を一つ破壊します。
クラウとジェハが対面します。
クラウはジェハをボコボコにして投石器で投げてやると言います。
怪力自慢の兵がジェハを捕まえ、クラウが自らジェハを傷めつけようとします。
そこにシンアの目の能力が南戒の兵士を襲います。クラウを囲む兵士はバタバタと倒れます。
シンアは能力を全開で使ったので麻痺が起こり倒れてしまいます。
ゼノがシンアを肩に抱え起こそうとします。
クラウはゼノを槍で貫きます。
高華国の本陣では報告が入って来ます。
ヨナは捕虜とキジャ達が助けた人達の安否を尋ねます。まだ、戦場に取り残されたままだと騎兵に潰されてしまうので救護班を送りたいと言います。
しかし、スウォンはこのまま進みます、変更はないとヨナに告げます。
すると、
「ヨナ姫」
と声がします。グンテ将軍です。
グンテは取り残された捕虜と負傷した兵は自らが阿波の海賊たちと行って救うと言います。そして、スウォンに、将軍を退くと言います。
一連のやり取りを黙って見ていたケイシュク参謀はヨナの存在がますます大きくなっているのを実感します。
スウォンにとって戒帝国を制圧することは悲願であるようです。
しかし、ここに来て迷いが生じます。
ヨナとハクを捨てられない。
感情を排除し冷静に戦況を判断し、勝利するための戦略はほころび始めます。
四龍がいる場所に高華国の矢が飛んできます。
キジャはシンアを抱え、ジェハに捕虜を助け、矢を回避します。
ケイシュクは周囲の兵の言葉に焦っています。
頭痛が始めりスウォンは意識を失いそうになります。
ケイシュクが動こうとする前に、ヨナがそっとスウォンの横に立ち支えます。
ヨナは四龍に矢を放ったことに対する兵の動揺を鎮めます。
風の部族は有利に展開しています。
テウ将軍は突撃を命じ、進もうとすると南戒の援軍が現れます。
現れた南戒の援軍はカジ将軍の部隊です。
ヨナが判断し、風と火の部族に後退の合図を出します。
風と火の部族は合図で交代を始めます。
後退するために弓隊援護します。
南戒の軍は弓隊に投石器を食らわせます。
弓隊はまともに投石を食らい半数が壊滅してしまいます。
南戒は投石器での攻撃を続けようとします。
投石器の引き金を引き準備をしていると、引き金の縄が切れてしまいます。
カジ将軍は投石器の綱を見て誰かが刃物で傷つけた跡を見つけます。誰かが切り目を入れたと考えます。
ジュド将軍、テウ将軍、キョウガ将軍は、敵の大将クラウを探します。
風の部族は前に集中し過ぎて背後から敵の援軍が攻撃してきているのに気づくのが遅れます。
ヘンデがテウ将軍に後方の敵は任せろと、少人数で突撃します。
ヘンデが全力で暴れます。しかし、南戒の兵士の勢いを止めることは難しい戦況です。
ヘンデに騎兵が襲いかかります。
ヘンデは覚悟を決めます。
しかし、ヘンデに襲いかかる騎兵は味方の振り回した槍に当たり、落馬してしまいます。
ヘンデは何が起こったというような表情で見ています。
続いて別の騎兵がヘンデを襲おうとします。槍を振り回した騎兵は、軍旗を振り回し兵を振り落とします。
騎兵がブンブン軍旗を振り回し、南戒の兵士は騎兵を制止しようとします。
カジ将軍がやって来ます。槍や軍旗を振り回していた騎兵の兜を取ると兵士はハクでした。
ヘンデは驚きます。
カジ将軍は、
「…ねえ投石器の縄… 切った…?」
と尋ねます。ハクは、
「何のことだかわかりません」
と答えます。
グンテ将軍がかっこいいです。
スウォンの状態が悪くて、これからの高華国がどうなってしまうんだろうと思ってしまいます。
続きます。
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