夏目恋子(なつめこいこ)は「ふつう」ということに並々ならぬこだわりを持っている高校生です。
二宮剣(にのみやつるぎ)はおよそ欠点が見当たらない高校生です。
可愛い系の美形で、身長183センチ。性格いい。頭いい。運動できる。モテる。そろいすぎています。
恋子はふつうだと思っていた自分の生き方がふつうではないことに気づき、気づかせてくれた剣を意識するようになります。
剣はこれまで出会った女の子の誰とも違う恋子が気になり、これが恋ということなのか? と恋子を意識し始めていきます。
なんでもなかったふたりが偶然出会い、互いを気にし始め、距離が少しずつ縮まっていきます。
夏目恋子は「ふつう」に異常なほどこだわりを持っています。それは家族からの影響が大きいようです。
父親はなく、三人暮らしです。
母は家庭料理屋「なつめ」を営む癒し系美人女将です。モテ女、恋多き女です。娘達に隙がない女は全然ダメよ~。隙ってなんなら何より大事。隙こそモテよ。と恋について語っています。
姉愛子(あいこ)は母を見てきてお母さんみたいにはならないと意地を張っているようです。恋子が言うには地味でダサくて好きがなさすぎ、恋をする気ゼロの性格です。
恋子は母のようにも姉のようにもならない、「ふつう」の人生を生きていくを決めています。恋子は母が言うには無難に育った、派手でもなく、地味でもなく、美人でもないけど、ブスでもないそうです。見た目はふつう。成績もふつう。恋多きわけでもなく恋無きわけでもなく、ふつうに恋して、ふつうの彼氏がいます。
恋子には佐藤くんというふつうの恋子にはぴったりなふうつの彼氏がいます。
いつものふつうのキス。恋子はふつうがしあわせだと信じています。
二宮剣はそんな恋子と佐藤くんの前に現れます。特に何か話すわけではなく、恋子の髪にくっついている枯れ葉を佐藤くんに気づかせるこなくさり気なくとってあげます。
恋子にとって二宮剣は顔は知っているけど話したことはなく、階層が違う男の子です。
恋子のいう階層とは、同じクラスでも互いに触れることはない人達のことみたいです。
恋子にとって違う階層にいる男の子二宮剣は、なにか気になることがあるのか恋子に視線が止まります。
恋子は人気者の二宮剣はこれからたいへんな恋をして苦しむのだろうなと思っていて、自分は安定第一、ふつうに生きていくことを再確認します。
そんなふつうの恋子に事件が起こります。
二宮剣からメッセージが届きます。内容は佐藤くんが浮気しているというもの。そしてその場所も添えられています。
恋子は二宮剣が指定した場所に行ってみます。佐藤くんが見知らぬ女とキスしている場面に遭遇してしまいます。
恋子に二人の会話が聞こえてきます。
「来月の泊まり楽しみ 付き合って一年だね」
恋子は言います。
「浮気・・・? 私付き合ってまだ3ヶ月ですけど?」
恋子は浮気相手は自分のほうだと知り、呆然とします。
涙が流れてきます。
帰宅し、恋子は、
(「ふつうがいい」)
(「ふつうなのがしあわせ」)
(「なのに ふつうだと思ってた佐藤くんとの恋がふつうじゃなかった」)
佐藤くんに別れようとメッセージを送り、髪をバッサリ切ります。
翌朝、佐藤くんが恋子の家の前で待っていて、別れたくないと言います。
恋子は許すことにします。
二宮剣は近くで二人の様子を見ています。
学校に着いて、二宮剣は恋子を教室から連れ出します。
二宮剣は恋子にあきれている様子です。
恋子は知りもしない二宮剣に言われっぱなしがくやしくほっといてと言います。
二宮剣は、
「あんた しあわせじゃなさそうな顔しってからだ」」
恋子をほっとけない理由を言います。
恋子は信じられないという表情です。
「しあわせじゃ… なさそう……?」
二宮剣は言います。
「うん なんか かわいそうな顔」
恋子は怒りがこみ上げてきます。
「私は しあわせだし かわいそうなんかじゃない」
教室に戻ると、恋子は異なる階層のクラスメイトを見ます。
漫画家デビューが決まり興奮している子。失恋してそれでも前向きになろうとする子。
恋子はそんな人達を見てすごいなと思います。すごいなと思うけど…。恋子はほどほどなのがしあわせなのだと言い聞かせようとします。
翌日、いつものように佐藤くんは恋子を迎えに来ていて、いつものように一緒に学校に行こうとします。
でも、この日は違っていました。
佐藤くんは恋子のことを夏目さんと呼んでいたのに、今日は「恋子」と呼んできました。
恋子は呼び名が変わって違和感を感じます。
そして、いつものようにキスしようとする佐藤くんに嫌悪を感じ走り去ります。
やっぱり二宮剣は恋子の近くにいて、恋子を引き止めます。二宮剣はどうして見ているんだろう?何が気になるんだろう。
恋子は二宮剣に、
「あんたの言う通りだったかもしれない」
と言いいます。
「私 しあわせじゃないのかもしれない」
「私 私 かわいそう~!」
二宮剣は涙がこぼれ、鼻水もちょっと出ている恋子を見つめ、小さく吹き出します。
恋子は学校まで二宮剣と歩きながら、思ったことを話します。
二宮剣は恋子の話をするときにコロコロ変わる表情に、
「なんだ 案外いろんな顔するんだね」
とまた小さく吹き出して笑います。
恋子は歩きながら、他のことを考え始めます。
恋子は二宮剣と話しているところを誰かに見れでもしたらたいへんなことになってしまう。二宮剣は人気者だから巡り巡って一人ぼっちになってしまうかもしれないと思い慌てます。
ふつうを目指している恋子は二宮剣に、
「これからは自力でまたしあわせを探します ほんと もう 構わないで…!」
と言い、その場で別れます。
恋子は佐藤くんのことは自然消滅でいいや。はいおわり。と区切りをつけます。
恋子は平和な気持ちで満たされている気分になります。
平和な気持ちを吹き飛ばす出来事が起こります。
二宮剣が誰かとケンカしているという声が聞こえてきます。
恋子は見に行くと、二宮剣は佐藤くんと言い合っています。
恋子は自分のことで揉めていると思い二人の間に割って入ります。
恋子は佐藤くんには、
「佐藤くん やっぱ終わろう ごめんね」
二宮剣には、
「か・か・わ・る・な!」
と言います。
恋子は帰宅すると家に二宮剣がいることに驚きます。
母がバイトに二宮剣を採用していたのです。
二宮剣がどうして夏目恋子を気にするのかと不思議でした。
二宮剣はバイト先の娘が同じクラスの子だと分かり、声をかけようかと思っていたら、佐藤くんとの場面に出くわし、気にしていたら、恋子のいろんな表情が剣の何かに引っかかったということだろうと思います。
恋子は二宮剣が母の店でバイトしていることを同級生に知られてはいけないから、
「このこと学校では内緒にいといてよね!」
と二宮剣に言います。
二宮剣は人気者で、バレたらファンから何をされるかわからないと恋子は思っています。
恋子の気持ちも知らず、二宮剣は、
「そんときは守るじゃん」
とさらっと言います。
恋子は二宮剣の言葉にときめいてしまいます。
でも、絶対に表情には出しません。
そして、ふつうを死守するため、なんでもない風を装うことを決めます。
恋子はベッドに寝転んで、つらつら考えながらうたた寝してしまいます。
恋子の部屋に二宮剣が女将さんに言われ、何か食べ物を持ってきます。
恋子は気持ちよく眠っています。
二宮剣はどうしようか考えていると、
「いけません 王子様… 私は庶民です…」
「ふつうの… ふつうにょ ひとなんでしゅ… ちゅるぎおーじしゃま……」
恋子の恥ずかしい寝言を聞いてしまいます。
恋子は目が覚めると、机の上に二宮剣が書いたと思われるメモを見つけます。
壁の「ふつう」と書いた習字を見つめます。恋子は多分見られただろうと恥ずかしい気持ちでざわざわしています。
翌朝、恋子は学校に行くと、下足室で二宮剣から、
「習字 やってたの?」
と言われ、やっぱり見たんだと、もしかしたらという思いが一瞬で崩れてしまいます。
恋子は二宮剣がどうして自分にかまってくるのかがわからず、訊いてみることにします。
すると、
「なんでだろう」
二宮剣は本当にわからないようです。
恋子は、
「それって もしかして 恋?」
つい二宮剣に言ってしまいます。とても恥ずかしそうです。
そんなことを気にしているうちに恋子は自分のほうが二宮剣のことを気にしていることに気がつきます。
ふつうでありたい恋子は気にしているのは気のせいだ言いきかせます。
言いかせようとしているのに、二宮剣は恋子に、
「なんか 気になる」
と言います。
恋子は、
「それって やっぱり 恋というやつでは」
とふつうはどこに行った? と思えるようなことを言います。
「うーん わからない ちゃんと 恋したことないし」
「!! でっ でもっ だったらそれが初のとかっ」
などと言い合っていると、二宮剣がなんの前触れもなく恋子のおでこにキスをします。
完全に恋子はふつうじゃいられなくなってしまいます。
気になっている人にそんなことされて、恋子はどうなってしまうのか楽しみです。
続きます。
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