ある晴れた秋の日。河地大吉はじいさんの訃報を聞きます。
有休をとってかけつけてみるとそこに見知らぬ女の子がいました。
その女の子はじいさんの子だという。
女の子はりんといい、年齢は6歳。
孫の大吉からすると叔母にあたるりんは大吉を見るなり側を離れようとしませんでした。
葬式が終り、りんを誰が引き取るのかという擦り付け合うような話し合いがなされているのを側で聞いていた大吉はりんに、
「おれんち来るかァ?」
と声をかけ、りんはすぐさま応じ、30歳独身の大吉が6歳のりんの父親代わりになり二人の生活が始まります。
なぜかほおっておけなかった大吉と、大吉の声にすぐに応えたりん。なるべくしてなったような出会いです。
子育てに関することを何も知らない大吉が、日々成長していくりんを通じて今まで考えもしなかったことや、初めて体験する気持ちが描かれています。
大吉は6歳の子供が何を考えているのかを知ろうとし、抱えいる不安をどう取り除いて安心させてあげるか、わからないながらも、りんにとって頼りにできる存在であろうと頑張ります。
りんは漠然とだけど、自分の置かれている立場をわかっていて、じいさんに似てるからなのか、インスピレーションなのか、大吉の元で生きていくのですが二人の会話がとてもいいです。
大吉は幼いりんにひとつひとつ確認していき、りんは確認することでわき上がる疑問を大吉に、ときには恐る恐る、ときには無邪気に聞き返したりします。
しんじゃうっていうこと、いなくなるっていうこと、ひとりになることに、得体に知れない恐怖を感じていた幼いときのことを思い出しました。
そしていま幼い子にこういったことを尋ねられたとき安心させてあげられる言葉はきっと大吉の言ったことに似ているだろうなと思いました。
面白い作品です。
宇仁田ゆみ うさぎドロップ 1巻
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