2016年3月30日水曜日

ゆうきまさみ じゃじゃ馬グルーミン☆UP! 1巻

春の北海道を旅行中、駿平は行き倒れ寸前で渡会牧場に拾われた。優しい瞳の馬たちと、美人ぞろいの四人姉妹に囲まれて、駿平の青春が始まる―――話題の大型サラブレッド・ロマン、いよいよ発走!!



競走馬を生産する牧場が舞台の物語です。

牧場に関わる人たちの日常が描かれ、登場人物たちの会話が面白いです。


財布をなくし、バイクはガス欠で、人気のない山道をバイクを押しながら歩く久世駿平(くぜしゅんぺい)。春休みを利用して、ひとりバイクで北海道旅行に来てはみたが、いまや飢え死に寸前。意識が薄れていく中でわけのわからないモノが現れ、天使のお迎えが来たのかと、ぼんやり考えているところで意識が途切れてしまいます。  


目が覚めるとベッドの上で、車に乗せられ、なにか食べたという記憶が途切れ途切れに残っています。家の中に誰もいないので外に出て、誰かいないかうろうろしていると、見知らぬ人に厩舎の掃除、飼桶洗いを命じられ、状況が飲み込めないまま駿平は言われたとおり作業を行います。しばらくすると、別の人から、

「おおい!君も手ェ休めたらどや!!レース観戦しよ!」

と誘われ、言われるがまま後について行きます。


人がごった返している部屋に連れてこられた駿平。見回していると、先日意識が途切れる間際に見た顔がありました。何のためにこの場所に集まっているのかわからず、みんなの視線が集中するテレビに目をやると競馬の中継が放送されているのでした。

馬券を購入してレースを観戦しているんだと勘違いした駿平。ストライクイーグルという馬が一着でゴールインすると部屋は大きな歓声に包まれます。ここは渡会(わたらい)さんという人が経営する競走馬を生産する牧場で、ストライクイーグルは渡会牧場(わたらいぼくじょう)から12年ぶりに誕生したクラシック候補の競走馬なのでした。


ようやく状況が飲み込めた駿平。夜に行われる祝勝会の準備を手伝い、夜中産気づいたハナコの出産に立会い、なんとなくここでアルバイトで働いてみようとかなという考えが浮かびます。


●STEP 1 春一番!

ゴム長靴に軍手でひら仮名で「のうきょう」と書かれたキャップをかぶったおじさんが運転する車のエンブレム。。馬のエンブレムがついているからこの車を選択したんでしょうか。


●STEP 2 春の祭典

物腰が柔らかく、温厚で人当たりがいい、情が深い渡会牧場社長渡会健吾。

自分のところの馬がレースで走るのを冷静に見ることができなかったり、立ち会った出産では馬が力むと、自分も一緒になって力みながら見守ったりする、親しみのある人物です。

渡会家長女あぶみは家の家事全般を切り盛りする、おっとりした性格で人懐っこい人物です。間の抜けているとことがあって笑わせてくれます。

無愛想な次女ひびき。駿平と同じ年の女の子です。愛想がないけど、ひとりポツンと取り残されている駿平を気遣えるところも持ち合わせています。

育ちのよさが身体全体からにじみ出ている醍醐悟。同業の醍醐ファームという大牧場の四男坊です。


●STEP 3 春風の招待

トカチハナコとい牝馬の出産に立ち会う駿平。財布をなくしたのもあって、渡会牧場で使ってもらえないかと渡会社長に遠まわしに言おうします。駿平の言葉をそのまんま受け取ってしまう渡会社長が面白かったです。


●STEP 4 春と修羅

馬のしぐさにセリフが添えてあるので、もしかしたらこんな風に思っているのかもしれないと馬に親しみがわいてきます。

ひびきと駿平の会話が面白く、渡会社長の駿平への同情が面白かったです。駿平を雇うかどうかの決定権をもつ渡会夫人の千草。

「手はねぇ足りるのよ」

と、難色を示します。

渡会家三女渡会だづな。不幸な場所に洗面所があったために、駿平と不運な出会いを果たしてしまいます。怒るしかないたづな。弁解する駿平。ダメ押しのひびきという展開が面白かったです。


●STEP 5 春の夢

夫の渡会社長の意向をくんであげたい。だけど、いい落としどころがない上、たづなが怒り狂っているので、どうしたものかと思案する千草。駿平の母親との電話で見事に駿平を雇い入れます。この間の渡会社長喜怒哀楽がおかしかったです。

渡会牧場の財務を担当している妻千草はきちんと公私を使い分け、シビアな面あり、情が深いところがある人物です。

夫の健吾が放っておくとどこまでも情に流されてしまいかねないので、冷淡に線を引く役割を演じています。渡会夫妻のバランスが好きです。

どうやら妄想が大好きな駿平。妄想中に渡会家四女のひづめが登場します。ひづめは田舎が嫌いで都会や流行が大好きな小学生です。

渡会一家との生活が始まります。


●STEP 6 沈黙の春

駿平にとって家族が一緒に夕食をとることは珍しく、会話が途切れることなく、コロコロと話題が変わり続ける食卓はとても新鮮なものでした。

たづなに変質者呼ばわりされていた駿平がようやく和解できました。鍵がないから、起こりうる事故だ、とたづなが納得してくれました。名誉が取り戻すことができた駿平でした。梅ちゃんが企てる歓迎会はどんなのなんだろう。


●STEP 7 春の雪

がっしりとした体格と下まつげが特徴のケンさん(橋野堅太郎)の前振りが駿平にとって効果的でした。駿平の涙がおかしかったです。


●STEP 8 春の波濤

愛想がいい馬。警戒心を持つ馬。機嫌が悪い馬。駿平は毎日淡々と仕事をこなしていきます。

駿平が大のお気に入りのヒルダという馬は渡会社長にとっても思い入れのある馬で、ヒルダについての会話が、頭ではわかっているんだけど、一頭一頭の違いをより感じさせてくれました。

渡会夫妻のなれそめとひびきとの出会いを重ねる駿平。ひびきのセリフがあまりにもその通りで面白かったです。


●STEP 9 春が来た

醍醐悟が渡会牧場にまめにやってくる理由がわかります。千草は本当に人をよく見ているな。梅ちゃんからの情報で焦りを感じる悟。ひびきの前で財布のしめり気について言い合ってはいけません。


●STEP 10 春にして君を離れ

クリシュナを調教中のひびきの元に、バイクに乗って近づく駿平。ひびきに気づいてほしくてクラクションを鳴らします。エンジン音にさえ怯えているのにクラクションの大きな音にびっくりして、ひびきを落馬させます。怒られる駿平。何がなんだか分からずひびきに言い返すと平手をくらい、そのまま渡会牧場を出て行ってしまいます。



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