学校で友達をかばったために、いじめにあう「ひなた」。
周りに負けず戦う彼女のために零はできることを必死に捜す。
元担任の林田先生に
「お前にできることを一つずつやりなさい」
と諭され、ヒナのために戦うことを誓う。
そんな時、二階堂が対局中に倒れたとの一報が…
零はいろんな思いを背負い、新人戦の決勝に臨むため大阪に向かう。
様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。
ひなた(ヒナ)が学校でいじめにあっていることを知った桐山零。
ヒナを泣かせた人間は今すぐにでも仕返ししてやりたい衝動にかられながら、そんなんじゃ解決にならない、ヒナの為に何ひとつならないと考え、どうすればいいかひたすら考えます。
ヒナが落ち着きを取り戻し自宅に帰ると、おじいちゃんが待っていました。あかりから事情をきいたようです。
おじいちゃんはいつもは軽口をたたいてその場の雰囲気を明るくするのに、真面目な顔をしてヒナの帰りを待っていました。
おじいちゃんはよくやったとヒナをほめます。
すげえ勇気だ!!
大人にだってめったに出来る事じゃねぇ!!
お前はすごい!!
俺の自慢の孫だ!!
お前は何ひとつ間違っちゃいねえ!!
友だちを助けたんだ!! 胸をはれ!!
零は夕食を食べながら、自分に出来る事を探します。
翌日、零は高校の将棋部の顧問林田先生にヒナのことを相談します。しかし、教員の立場からは答えは出ないと言われてしまいます。
林田先生は大事なのは、ひなちゃんがどんな風な解決を望んでいるのか、をよく聞く事だと助言します。
重くるしい空気を軽くする、零の他の人とは違う面が描かれています。ヒナのためにできることを現実的にあらゆる面を想定して考えていることが分かるけれど、すこしズレている零の思考は面白いです。
あかりと零の会話は泣けてきます。
母親がいなくなって3姉妹で生きてきて、あかりはヒナとモモの母親代わりをつとめてきましたので、あかりの思いはわかります。
そのあとの零が言ったこと、
ぼくは小さい頃からずっと孤立して来ました
でも 救いの手なんてそんな恐ろしくて申し訳ないもの誰にも望めなかった
でも あの日 ひなちゃんは「恐い」って言いながらも「後悔しない」「間違ってない」って言い切ったんです
まるで自分に言いきかせるみたいに
あの時 僕は僕が助けてもらったんだと思いました
ひなちゃんは僕の恩人だと…
だからひなちゃんをこんな「勇気のある子」に育ててくれた あかりさんも僕にとっては恩人なんです
5巻で零がヒナに君はぼくの恩人だと言った訳がわかりました。零にとって、あかり、ヒナは初めて出会った恩人です。
ヒナが憧れている野球部の高橋くんも零からいじめの件を聞いて、ヒナのためにできることをします。
「キャッチボールはいつでもやろうぜ 何かさ 見せといた方がいい気がする 味方がいるって事」
高橋くんかっこいいです。
林田先生は零からきいて熱くなっています。
零のまわりには零の望んだ人たちが集まりつつあります。
そんな中、新人戦決勝で零と対局することを待ち焦がれている二階堂が準決勝で負けてしまいます。
将棋会館で零は神宮寺会長と島田の会話をたまたま二階堂がしばらく入院することを聞いてしまいます。
零はうすうす二階堂の病気がどういうものか気づいてはいたけど、二階堂が訊かれるのを嫌がっていたことが分かっていたので、訊けないままでいました。
島田に二階堂のことを訊きます。二階堂の将棋に対する情熱を感じます。
新人戦決勝は大阪の関西将棋会館で行われます。
零は決勝の前日、川本家で夕食をごちそうになり、ヒナも2泊3日の修学旅行で京都に行くことを知ります。
修学旅行のしおりで日程を見てみると、ヒナにとっては相当苦しいことになりそうだと想像できるものでした。
新人戦決勝。山崎順慶五段との対局は自分を省みながら慎重に指し勝利します。
対局を終えると、まっさきにヒナのことが頭に浮かび、いきおいで電車に乗り込み京都に向かいます。
京都の町をやみくもに探し回ってもヒナを見つけられるはずもなく、ヒナが泣きたくなると向かう場所、そこに向かって零は走ります。
ヒナは鴨川でひとりうつむいていました。
ヒナを見つけた零は、本当に彼女に会えたことで、急に素に戻ってしまい恥ずかしそうです。
零が目の前に立っていて驚くヒナ。零が自分を探し当ててくれて、こらえていた感情が溢れてきます。
京都で川岸でふたりが会えて本当によかったです。
続きます。
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