「あの家はなんかコタツみたいだ…」。
年末に体調を崩していた桐山だが、心配して賭け付けた川本家の3姉妹のあたたかい看病を受けて回復する。
復調した桐山は因縁の相手・後藤九段と対決すべく獅子王挑戦者決定トーナメントに挑むのだが…
様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。
桐山零の苦悩は続きます。
順位戦はあと3局。現在4勝3敗。零は昇進はもうないけれど、調子を戻して来期につなげたいと考えています。
獅子王挑戦者決定トーナメントがはじまります。
桐山零は年内の対局を全て終え、体調をくずし、寝込んでしまいます。
そして、大晦日。回復せず新年を迎えることになりそうだと熱にうなされながら考えていると、インターホンが鳴ります。零は起き上がることができないから、そのままやり過ごそうと思っていると、チャイムを連打されます。
いらだちを感じつつ、放っておくと、玄関ドアの郵便受けの小窓から、
「れいちゃーん」
と声が聞こえてきます。モモちゃんの声です。
フラフラしながら玄関にいきドアを開けると、マスクで完全防備した川本3姉妹が立っていました。
ご飯を食べにこないし、連絡しても携帯の電源は切られたままで、もしかしたらと零のマンションにやってきたのでした。
零は川本家で看病してもらうことになりました。
あかりに目白の幸田の父に連絡するようにうながされ、零はもう独立したので必要ないというと、あかりは零の携帯の電源を入れて、着信履歴の画面を零につきつけます。何度も何度も父からの着信があったのでした。
「こんなにまわりに心配させてるうちは『独立した』っていいません」
あかりは零に優しく諭します。
心配してくれる人がいる。そんなことを忘れかけていた零でした。
年が明け、零の風邪は回復します。ひなた(ヒナ)の気を利かせた年賀状のエピソードで、ヒナの申し訳なさそうな表情が面白かったです。
自宅に戻った零を襲う孤独感。
人の温もりがどれだけ安心感を与えてくれるかを思い出させてくれた川本家での数日間から、マンションに戻ったときに感じてしまいます。
ひたすら目をそらし、耐えるしかないこの感情に、零は家族を失ってから何度も飲み込まれそうになったんだと思います。
進もうとする方向さえ見失いそうになるのを乗り越えるにはどうすればいいんだろう。零は見つけることができるのでしょうか。
獅子王戦。
零は辻井武史九段と対局し勝利します。次の島田八段に勝つと後藤九段と対決です。
零は後藤にうらみを持っているようです。
後藤は結婚していながら、義姉香子と関係を持っています。
零はこのことに嫌悪を感じていて、直接やりあった過去があり、いつか将棋でやっつけてやると思っています。その機会がめぐってきて闘志がもえています。
後藤との対局のみ見据えて、島田八段との対局は勝利するものと決めてかかっていた零は敗北します。
零は感想戦でも、どこが勝利の分かれ目だったのか、島田に指摘されるまで分かりませんでした。
将棋に対する姿勢、自分の未熟さ、すべてに完敗した零は恥ずかしさでいっぱいになり挫けそうになります。
幸田の家を出て、ひとり暮らしを始めたこと、高校に一年遅れで通い始めたこと、零はなにをやっているかわからなくなります。
学校での昼休み、転職雑誌を片手に、階段のスミで涙ぐみながらパンをかじっているところを担任の林田先生が見つけ、励まします。
後藤と島田の対局を観戦し、林田先生の助言もあり、零は島田の研究会に参加してみようと思います。
続きます。
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