いつも、はるか遠くを見ているような目。鬼灯くんはどこを見ているんだろう……。 キュート&ポップのキングが贈る幼なじみの3人が織りなす、ほんのすこし苦い恋のエレジー(ちょっと忍者風味!?)、はじまります!
菊田早苗(きくたさなえ)、鬼灯影斎(ほおずきかげゆ)、谷村暁(たにむらあきら、タニムー)、三人が相手を思いやったり、影から支えたり、橋渡しをしたり、因縁とたたかったり、思いを伝えられなかったりします。
直接言葉にはせず、人を思いやるところに温度を感じるお話です。
活気を失いつつあるベッドタウンだったまちが舞台です。
灯油の配達中、タニムーと軽トラに乗っていると、なぜだか急に小学校6年生のとき、菊田さんとタニムーのいる6年2組の学級に転入してきた、とてもきれいで無口な男の子、鬼灯くんのことを思い出す菊田さん。
そんな会話をしながら劇場の前を通ると整理券を待っている行列を発見します。車のフロントガラスから劇場をのぞき見すると、鬼灯くんが主演する映画「不忍(SHINOBAZU)」が公開されていて、本日舞台挨拶があるというのです。
鬼灯くんは国際的俳優になっていたのでした。
菊田さんとタニムーが菊田さんのお父さんが営む「菊田燃料店」に戻ると、そこにはふたりの帰りを鬼灯が待っていました。
三人の再会は何年ぶりなんだろう。
「そよそよ」とは別に、「ブロウガンズ」、「谷村くんと鬼灯くん」、「谷村家の食卓」というタイトルのお話が収録しています。すべてつながっているなら、このときの再会は時間はそんなにはあいていなくて、大きくなってから何度か会っていることになるので、軽トラで急に鬼灯くんの話が出るのも、劇場で鬼灯くんの主演映画の看板を観ても驚かないのも納得です。
初めて読んだときは最後まで読み終えるまでここのやりとりがよく分かりませんでした。
ふとしたとき、鬼灯くんはどこか遠くのほうを見ているような目をします。その目が気になる菊田さん。
それは小学校のとき、初めて鬼灯くんを見たときにも感じたことでした。
どこか遠くを見ている目が気になって、そんな鬼灯くんのことを好きなのかどうかもわからないうちに鬼灯くんは転校してしまいます。
吹き矢教室は菊田さんが大きくなってからもずっと続いている習いごとです。小学生のとき、おもしろそうだから、という理由で始め、続けています。
タニムーは遊びで始めたのになかなかの腕前です。
小学校のとき、菊田さんのお母さんが家から出て行ってしまい、菊田さんはふさぎこんで、めったに笑うことがなくなってしまったのが心配になったタニムー。
吹きや教室の張り紙を見て、すこし興味を持った菊田さんのためにタニムーは一緒に通うことになったのだと思います。
タニムーが吹き矢で的の真ん中に当てると菊田さんは誰よりも笑顔でタニムーをほめるのでした。
鬼灯くんと仲良くなったのも、きっかけは、吹き矢教室でした。初めてタニムーと菊田さんと一緒に、吹き矢教室にいったとき、教えを受けることなく鬼灯くんは吹き矢を的の真ん中に当てることができました。
鬼灯くんが吹き矢が上手な理由は後で明らかになります。
吹き矢教室に通うようになってすぐ、鬼灯くんは転校してしまいました。
鬼灯くんが気になる菊田さん。
菊田さんのことが気になる鬼灯くん。
そして、ふたりの気持ちを分かっているタニムー。タニムーは菊田さんが笑っていられるようになにかしてあげたいのかな、そう思いました。
菊田さん、タニムー、鬼灯くんと同じくこのまちで育った木下長宗(きのしたおさむね)。
彼の父が経営するキノシタレクリエイションがこのまちに松伏戦国村を建設しようとします。
そういう計画があることを吹きや教室で菊田さんとタニムーは知ることになります。
ほかの受講生や講師の服部先生はタニムーは忍者姿が似合うとか盛り上がっているのに、菊田さんはまったく興味を示しません。木下さんが吹きや教室にやって来るまでは。
興味がなさそうだった菊田さんは木下さんが登場するとコロッと態度を変え、タニムーに戦国村について積極的に話し始めます。
菊田さんは木下さんのことが気になりはじめたようです。
タニムーはすぐ菊田さんの様子を鬼灯くんに知らせます。
すると、鬼灯くんはカリブにいるのに、プライベートジェット機で日本に戻ります。
そんなに菊田さんのことが気になっているの? そうなら、もっと頑張らなきゃ、鬼灯くん、と思いました。
鬼灯くんは菊田さんのことは気になっています。だけど、鬼灯くんの一族には秘密があるのでした。
鬼灯家の男たちに受け継がれたものを鬼灯くんは父から影教わり、一族の運命を課されているのでした。
音を立てるな 匂いをなくせ 気配を消し去れ 存在を悟られるな なにがあっても素性を隠し通せ
教えは影になるというものでした。
父の教えを受けなくても、鬼灯くんは誰にも見つけてほしくありませんでした。
なのに、菊田さんに逢ってからは見つけてもらえることがうれくしてたまらなくなりました。
一目見たときから、彼女には見つけて欲しいと思うようになって今に至ります。
彼女が手を振ってくれるのが、また明日ね、と言われるのがうれしくてたまりませんでした。
幼い頃からの思いは途切れることなく、国民的俳優になった今でも菊田さんに思いを寄せています。
その気持ちを分かっている幼馴染のタニムー。なんだか切ないです。 木下長宗の一族と鬼灯くんの一族は因縁の関係にあるようです。
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